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特許異議申立

2018-700612

駆動ユニット及び電動補助自転車

審判番号
2018-700612
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-073129
登録番号
特許第6267433号(P6267433)
請求日
2018年07月24日
審決日
2020年02月28日
公報発行日
2021年10月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】ヤマハ発動機株式会社
  • 【権利者代理人】上羽 秀敏
  • 【権利者代理人】山内 哲文
  • 【異議申立人】伊藤 靖彦
審判長/審判官
  • 審判長 中川 真一
  • 審判官 氏原 康宏
  • 審判官 藤井 昇
分類
P1651.161-ZDB(B62M) / P1651.113-ZDB(B62M) / P1651.121-ZDB(B62M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条特許法29条の2特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6267433号発明「駆動ユニット及び電動補助自転車」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6267433号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項10~12について訂正することを認める。 特許第6267433号の請求項1~9に係る特許を取り消す。 同請求項10~12に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6267433号の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成25年3月29日に出願され、平成30年1月5日に特許権の設定登録がされ、同年1月24日に特許掲載公報が発行された。その後、同年7月24日に特許異議申立人伊藤靖彦(以下「申立人」という。)より請求項1~12に対し特許異議の申立てがされ、平成30年11月2日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年12月28日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成31年1月23日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年2月28日に申立人より意見書が提出され、令和1年5月23日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年6月25日に意見書の提出がなされ、同年7月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年10月4日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月10日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年11月15日に申立人より意見書が提出され、同年12月19日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和2年1月24日に意見書の提出がなされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和1年10月4日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6267433号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下の訂正事項1~3のとおりである(下線部が訂正箇所である。)。 なお、平成30年12月28日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「伝達軸とを備え、」と記載されているのを、「伝達軸と、前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して直交する方向に広がる電子部品の実装面を有する基板とを備え、」に訂正し、「前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、駆動ユニット」と記載されているのを、「前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く、前記基板は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する、駆動ユニット」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~8も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9に「伝達軸とを備え、」と記載されているのを、「伝達軸と、前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して直交する方向に広がる電子部品の実装面を有する基板とを備え、」に訂正し、「前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含む、駆動ユニット」と記載されているのを、「前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含み、前記基板は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する、駆動ユニット」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9の何れか1項に記載の駆動ユニットを備える電動補助自転車。」と記載されているのを、 「駆動ユニットを備える電動補助自転車であって、 前記駆動ユニットは、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く、 前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含み、 前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり、 前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車である、電動補助自転車。」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11及び12も同様に訂正する。)。 2 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面をも併せて「本件明細書等」ということもある。)及び図面の記載 (1)本件明細書には、以下の記載がある(なお、下線は当審で付した。以下同様。)。 「【0016】 以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態による駆動ユニット及び電動補助自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。なお、以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、サドル18に着座し且つハンドル16を握った状態の運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。 ・・・ 【0065】 伝達軸82の回転中心C3は、図2及び図3に示すように、クランクシャフト54の回転中心C1よりも前方に位置し、且つ、出力軸74の回転中心C2よりも後方に位置する。回転中心C3は、図3に示すように、回転中心C1よりも上方に位置し、且つ、回転中心C2よりも上方に位置する。 【0066】 つまり、図6に示すように、回転中心C1と回転中心C2とを結ぶ第1線分S1と、回転中心C2と回転中心C3とを結ぶ第2線分S2と、回転中心C3と回転中心C1とを結ぶ第3線分S3とにより、三角形が形成される。第1線分S1は、第2線分S2及び第3線分S3よりも長い。 ・・・ 【0091】 図6を参照しながら、被駆動歯車104、モータ60及び第1伝達歯車84の関係について説明する。 【0092】 被駆動歯車104は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合、モータ60よりも大径であり、且つ、第1伝達歯車84よりも大径である。モータ60は、第1伝達歯車84よりも大径である。つまり、モータ60、第1伝達歯車84及び被駆動歯車104のうち、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も大きい部材(第1部材)は、被駆動歯車104である。その次に径が大きい部材(第2部材)は、モータ60である。最も径が小さい部材(第3部材)は、第1伝達歯車である。 ・・・ 【0104】 [基板] 検出素子134は、基板150に設けられる。基板150は、プリント配線基板である。基板150は、図3に示すように、ハウジング52内に配置される。基板150には、駆動ユニット50の動作を制御する制御装置(図示せず)が実装される。なお、基板150は、防水性を有するコーティング材により、コーティングされている。 【0105】 図2及び図8~図11を参照しながら、基板150について説明する。図8は、基板150を説明するための右側面図である。図8においてハッチングを付した部分が、基板150である。図9は、第1領域154を説明するための右側面図である。図9においてハッチングを付した部分が、第1領域154である。図10は、第1領域154と第2ハウジング部52Rとの関係を説明するための縦断面図である。図11は、第2領域162及び第3領域164を説明するための右側面図である。図11においてハッチングを付した部分が、第2領域162及び第3領域164である。 【0106】 図2に示すように、基板150は、実装面152を有する。実装面152は、基板150の厚さ方向一方の端面である。実装面152には、駆動ユニット50の動作を制御するための各種電気部品が実装される。実装面152は、クランクシャフト54の中心軸線L1に対して直交する方向に広がる。 ・・・ 【0111】 図8に示すように、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、基板150は、第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側に配置される。 ・・・ 【0113】 図9に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、モータ60に重なる第1領域154を有する。 【0114】 図9に示すように、第1領域154には、電気部品156が配置される。電気部品156は、モータ60に電力を供給するスイッチング素子である。電気部品156は、実装面152に配置される。 ・・・ 【0118】 図11に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、被駆動歯車104に重なる第2領域162を有する。 ・・・ 【0157】 [応用例] 上記実施の形態では、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も小さい部材は、第1伝達歯車84であったが、例えば、図15に示すように、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も小さい部材は、モータ60であってもよい。この場合、線分S3が、線分S1及び線分S2よりも長くなる。 【0158】 以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。」 (2)本件明細書等には以下の図が示されている。 3 訂正の適否 3-1 訂正事項1について (1)訂正事項1は、上記「1(1)」のとおりであって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1について、 ア「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して直交する方向に広がる電子部品の実装面を有する基板とを備え」ること(以下「訂正1ア」という。)、及び、 イ「前記基板は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する」こと(以下「訂正1イ」という。)を追加するものであるから、上記訂正1ア及び訂正1イが、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるか否かについて検討する。 (2)検討 ア 訂正1アについて 本件明細書等(上記「2」)には、「基板150は、図3に示すように、ハウジング52内に配置される。」(【0104】)、「図8においてハッチングを付した部分が、基板150である。」(【0105】)、「図2に示すように、基板150は、実装面152を有する。実装面152は、基板150の厚さ方向一方の端面である。実装面152には、駆動ユニット50の動作を制御するための各種電気部品が実装される。実装面152は、クランクシャフト54の中心軸線L1に対して直交する方向に広がる。」(【0106】)、及び「図9に示すように、第1領域154には、電気部品156が配置される。電気部品156は、モータ60に電力を供給するスイッチング素子である。電気部品156は、実装面152に配置される。」(【0114】)と記載されているから、基板150がハウジング52内に配置されていること、基板150が実装面152を有すること、実装面152に電気部品156(かかる技術分野の技術常識に照らせば、「電子部品」と同義といえる。)が配置されること、及び基板150の実装面152が、クランクシャフト54の中心軸線L1に対して直交する方向に広がることが明らかであり、図2、図3、図8及び図9にもそのように図示されている。 したがって、「駆動ユニット」が、その構成要素として、ハウジング内に配置され、クランクシャフトの中心軸線に対して直交する方向に広がる電子部品の実装面を有する基板を備えることは本件明細書等に記載されているといえるから、上記訂正1アは、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正ということができる。 イ 訂正1イについて (ア)上記訂正1イは、基板の形状・構造について、「前記基板は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する」ことを特定するものである。 (イ)ここで、本件明細書等(上記「2」)には、上記「基板」の形状・構造について、「図2及び図8~図11を参照しながら、基板150について説明する。図8は、基板150を説明するための右側面図である。図8においてハッチングを付した部分が、基板150である。図9は、第1領域154を説明するための右側面図である。図9においてハッチングを付した部分が、第1領域154である。・・・図11は、第2領域162及び第3領域164を説明するための右側面図である。図11においてハッチングを付した部分が、第2領域162及び第3領域164である。」(【0105】)、「図8に示すように、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、基板150は、第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側に配置される。」(【0111】)、「図9に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、モータ60に重なる第1領域154を有する。」(【0113】)及び「図11に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、被駆動歯車104に重なる第2領域162を有する。」(【0118】)と記載されているから、上記「基板150」は、「クランクシャフト54の軸方向から見た場合に」、「第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側に配置される」ものであって、「モータ60に重なる第1領域154を有する」とともに、「被駆動歯車104に重なる第2領域162を有する」ことが記載されているものといえる。 (ウ)以上を踏まえて検討すると、上記訂正1イで特定する「基板」の配設位置は、第1線分に対して、「第3部材とは反対側」において、被駆動歯車に重なる領域、及びモータと重なる領域を有する、というものであるが、本件明細書に記載された上記「基板150」の配置位置は、あくまでも、第1線分S1に対して、「回転中心C3とは反対側」において、被駆動歯車104に重なる第2領域、及びモータ60に重なる第1領域154を有する、というものであるから、上記訂正1イで特定する「基板」の配設位置と、本件明細書に記載された「基板150」の配置位置とは整合していない(上記訂正1イにおける「第3部材とは反対側」と、本件明細書に記載された「回転中心C3とは反対側」とは、別意である。)。 また、図8には、「第3部材」としての第1伝達歯車84が示されているところ、その図示内容によれば、上記第1伝達歯車84は、「第1線分」として示される「S1」の両側に存在しているから、図8からも上記訂正1イで特定する「前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側」を特定することはできない。 したがって、本件明細書等に、上記訂正1イに係る「前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する」という「基板」の構成が記載されているということはできない。 (エ)また、上記訂正1イで特定する「前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側」が、本件明細書に記載された「第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側」(【0111】)の意と解し得たとしても、上記「基板150」の形状・構造は、あくまでも、本件明細書に「伝達軸82の回転中心C3は、図2及び図3に示すように、クランクシャフト54の回転中心C1よりも前方に位置し、且つ、出力軸74の回転中心C2よりも後方に位置する。回転中心C3は、図3に示すように、回転中心C1よりも上方に位置し、且つ、回転中心C2よりも上方に位置する。」(【0065】)及び「モータ60、第1伝達歯車84及び被駆動歯車104のうち、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も大きい部材(第1部材)は、被駆動歯車104である。その次に径が大きい部材(第2部材)は、モータ60である。最も径が小さい部材(第3部材)は、第1伝達歯車である。」(【0092】)として記載された駆動ユニットを前提とした基板150の配設構造であって、訂正後の請求項1に記載される「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」(以下「事項A」ということもある。)として構成されれば足りる駆動ユニットに対する基板150の配設構造ということはできない。 要するに、上記訂正1イに係る「基板」の構成は、訂正後の請求項1に記載された「第1部材」、「第2部材」及び「第3部材」のそれぞれが、「被駆動歯車」、「モータ」及び「第1伝達歯車」として特定されるとともに、訂正後の請求項1に記載された「第1部材の回転中心」、「第2部材の回転中心」及び「第3部材の回転中心」のそれぞれが、「被駆動歯車の回転中心」、「モータの回転中心」及び「第1伝達歯車の回転中心」であって、それら回転中心の配設構造について、「第1伝達歯車の回転中心」が、「被動歯車の回転中心」よりも前方に位置し、且つ、「モータの回転中心」よりも後方に位置するとともに、「第1伝達歯車の回転中心」が、「被駆動歯車の回転中心」及び「モータの回転中心」よりも上方に位置するものとして特定された場合に、上記訂正1イに係る「基板」の構成が認められるというべきであって、例えば、「第1伝達歯車の回転中心」が、「被駆動歯車の回転中心」及び「モータの回転中心」よりも「上方」ではなく「下方」に位置するものや、本件明細書等の【0157】及び図15に記載されような「第1部材」、「第2部材」及び「第3部材」のそれぞれを、「被駆動歯車」、「第1伝達歯車」及び「モータ」として特定した場合においてまで、上記訂正1イに係る「基板」の構成が認められるものではない。 そして、本件明細書(上記「2」)には、「本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。」(【0158】)との記載は認められるものの、かかる記載を根拠として、基板の形状・構造が、上記事項Aの駆動ユニットにおいて、上記訂正1イの構成で足りるものと解すべき合理性もない。 したがって、上記訂正1イは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるということはできない。 (オ)特許権者の主張 特許権者は、令和2年1月24日付けの意見書(4~6頁「(3-3)」の項)で、本件明細書等には、「図8に示すように、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、基板150は、第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側に配置される。」(【0111】)、「図9に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、モータ60に重なる第1領域154を有する。」(【0113】)及び「図11に示すように、基板150は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、被駆動歯車104に重なる第2領域162を有する。」(【0118】)と記載されているため、本件明細書等には、「基板150」が、クランクシャフト54の軸方向から見た場合に、第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側に配置されるものであって、モータ60に重なる第1領域154を有するとともに、被駆動歯車104に重なる第2領域162を有することが記載されているものといえる。したがって、訂正事項1は、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である、旨主張する。 しかし、上記(ウ)で述べたとおり、本件明細書等に記載された「基板150」の配置位置は、あくまでも「第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側」(【0111】)であって、上記訂正1イで特定する「前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側」というものではないから、そもそも訂正1イが、本件明細書等に記載した範囲内の事項と解すべき合理性はない。 また、上記訂正1イで特定する「前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側」が、本件明細書に記載された「第1線分S1に対して、回転中心C3とは反対側」(【0111】)の意と解し得たとしても、上記(エ)で述べたとおり、上記訂正1イに係る「基板」の構成は、図2、図8、図9及び図11に示される駆動ユニットを前提とした配設構造というべきであるから、単に上記事項Aの駆動ユニットにおいて、上記訂正1イの構成で足りるものと解すべき合理性もない。 したがって、特許権者の上記主張は採用できない。 ウ 小括 以上のとおり、上記訂正1イを含む訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるということはできないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。 3-2 訂正事項2について (1)訂正事項2は、上記「1(2)」のとおりであって、訂正前の特許請求の範囲の請求項9について、 ア「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して直交する方向に広がる電子部品の実装面を有する基板とを備え」ること(以下「訂正2ア」という。)、及び、 イ「前記基板は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記被駆動歯車に重なる領域及び前記第1線分に対して前記第3部材とは反対側において前記モータと重なる領域を有する」こと(以下「訂正2イ」という。)を追加するものであるから、上記訂正2ア及び訂正2イが、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるか否かについて検討する。 (2)検討 ア 訂正2アについて 上記訂正2アは、上記訂正1アと同様の訂正内容であるから、上記「3-1(2)ア」で述べた上記訂正1アと同様に本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正ということができる。 イ 訂正2イについて 上記訂正2イは、上記訂正1イと同様の訂正内容であって、訂正後の請求項9に記載された駆動ユニットの構成も、訂正後の請求項1に記載された駆動ユニットの上記事項Aと同様に「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」というものであるから、上記訂正2イは、上記「3-1(2)イ」で述べた上記訂正1イと同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるということはできない。 ウ 小括 以上のとおり、上記訂正2イを含む訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるということはできないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。 3-3 訂正事項3について (1)訂正事項3は、上記「1(3)」のとおりであって、訂正前の特許請求の範囲の請求項10について、 請求項9の記載を引用する態様を独立形式で書き下し、さらに、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり、前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車である」ことを追加するものであるから、かかる追加した事項が、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるか否かについて検討する。 (2)検討 ア 本件明細書等(上記「2」)の「伝達軸82の回転中心C3は、図2及び図3に示すように、クランクシャフト54の回転中心C1よりも前方に位置し、且つ、出力軸74の回転中心C2よりも後方に位置する。回転中心C3は、図3に示すように、回転中心C1よりも上方に位置し、且つ、回転中心C2よりも上方に位置する。」(【0065】)、「つまり、図6に示すように、回転中心C1と回転中心C2とを結ぶ第1線分S1と、回転中心C2と回転中心C3とを結ぶ第2線分S2と、回転中心C3と回転中心C1とを結ぶ第3線分S3とにより、三角形が形成される。第1線分S1は、第2線分S2及び第3線分S3よりも長い。」(【0066】)、「図6を参照しながら、被駆動歯車104、モータ60及び第1伝達歯車84の関係について説明する。・・・被駆動歯車104は、クランクシャフト54の軸方向から見た場合、モータ60よりも大径であり、且つ、第1伝達歯車84よりも大径である。モータ60は、第1伝達歯車84よりも大径である。つまり、モータ60、第1伝達歯車84及び被駆動歯車104のうち、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も大きい部材(第1部材)は、被駆動歯車104である。その次に径が大きい部材(第2部材)は、モータ60である。最も径が小さい部材(第3部材)は、第1伝達歯車である。」(【0091】~【0092】)及び図3、6等の記載によれば、クランクシャフト54の軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合において、第1部材は被駆動歯車104であり、第2部材はモータ60であり、第3部材は第1伝達歯車84であること、及び、クランクシャフト54の軸方向から見て、上記第3部材の回転中心C3が、クランクシャフト54の回転中心C1と出力軸74の回転中心C2とを結ぶ第1線分S1上方にあることは明らかである。 したがって、「駆動ユニット」の構成として、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり、前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車である」ことは、本件明細書等に記載されているといえるから、上記訂正事項3により追加された事項は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正ということができる。 イ 小括 以上のとおり、訂正事項3による訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項10について、 請求項9の記載を引用する態様を独立形式で書き下すとともに、訂正前の請求項10に記載した発明を特定するために必要な事項である「駆動ユニット」を本件明細書等の記載を根拠に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 4 一群の請求項について (1)本件訂正前の請求項1~8、10~12について、訂正前の請求項2~8、10~12はそれぞれ訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~8、10~12は一群の請求項を構成する。 (2)本件訂正前の請求項9~12について、訂正前の請求項10~12はそれぞれ訂正前の請求項9を直接又は間接的に引用するものであって、請求項9の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項9~12は一群の請求項を構成する。 (3)上記(1)(2)の一群の請求項はいずれも請求項10~12を含むことから、それら一群の請求項は組み合わされて、訂正前の請求項1~12が特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項となる。 (4)請求人は、訂正後の請求項10~12については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めており、上記「3 3-3」で述べたとおり、訂正後の請求項10~12についての訂正事項3は訂正が認められるものであるから、訂正後の請求項10~12については、一群の請求項を構成しないものとする。 5 まとめ (1)訂正後の請求項1~8について 訂正後の請求項1~8についての訂正事項1は、上記「3 3-1」で述べたとおり訂正が認められないから、一群の請求項を構成する訂正後の請求項1~8についての訂正事項1による訂正は認められない。 (2)訂正後の請求項9について 訂正後の請求項9についての訂正事項2は、上記「3 3-2」で述べたとおり訂正が認められないから、訂正後の請求項9についての訂正事項2による訂正は認められない。 (3)訂正後の請求項10~12について 訂正後の請求項10~12についての訂正事項3は、上記「3 3-3」で述べたとおりおり、訂正が認められる。 第3 本件発明 上記「第2」で述べたとおり、訂正後の請求項1~9については訂正を認めず、訂正後の請求項10~12については訂正を認めるから、請求項1~12に係る発明(以下「本件発明1~12」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 電動補助自転車に用いられる駆動ユニットであって、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、駆動ユニット。 【請求項2】 請求項1に記載の駆動ユニットであって、 前記第1部材は、前記被駆動歯車である、駆動ユニット。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の駆動ユニットであって、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記モータの少なくとも一部は、前記被駆動歯車と重なる、駆動ユニット。 【請求項4】 請求項3に記載の駆動ユニットであって、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1伝達歯車の少なくとも一部は、前記モータと前記被駆動歯車とが重なる領域に重なる、駆動ユニット。 【請求項5】 請求項1又は2に記載の駆動ユニットであって、 前記第2部材は、前記モータである、駆動ユニット。 【請求項6】 請求項5に記載の駆動ユニットであって、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第2伝達歯車は、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ線分と重ならない、駆動ユニット。 【請求項7】 請求項5又は6に記載の駆動ユニットであって、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記伝達軸の回転中心は、前記モータと重なる、駆動ユニット。 【請求項8】 請求項1~7の何れか1項に記載の駆動ユニットであって、 前記クランクシャフトに配置され、前記クランクシャフトを第1の方向に回転させる回転力を、前記クランクシャフトに配置される駆動スプロケットに伝達し、前記クランクシャフトを前記第1の方向とは反対の方向に回転させる回転力を、前記駆動スプロケットに伝達しないワンウェイクラッチをさらに備え、 前記ワンウェイクラッチは、前記被駆動歯車を含む、駆動ユニット。 【請求項9】 電動補助自転車に用いられる駆動ユニットであって、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く、 前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含む、駆動ユニット。 【請求項10】 駆動ユニットを備える電動補助自転車であって、 前記駆動ユニットは、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く、 前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含み、 前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり、 前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車である、電動補助自転車。 【請求項11】 請求項10に記載の電動補助自転車であって、 前記伝達軸の回転中心及び前記出力軸の回転中心は、前記クランクシャフトよりも前方に位置する、電動補助自転車。 【請求項12】 請求項10又は11に記載の電動補助自転車であって、 前記伝達軸の回転中心及び前記出力軸の回転中心は、前記クランクシャフトよりも上方に位置する、電動補助自転車。」 第4 取消理由の概要 訂正前の請求項1~12に係る特許に対して令和1年7月31日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 [取消理由1] 本件特許の請求項1~10に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開がされた以下の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (先の出願) ・特願2012-171094号(特開2013-209077号参照)  上記出願は、申立人が証拠として提出した甲第1号証である。 [取消理由2] 本件特許の請求項1、3、4、8、10、11に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。よって、上記発明に係る特許は取り消すべきものである。 [取消理由3] 本件特許の請求項2及び5~7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明及び周知の事項(刊行物2等)に基いて、 本件特許の請求項8及び9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明及び周知の事項(刊行物3、4等)に基いて、 本件特許の請求項12に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明に基いて、 その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (刊行物) ・刊行物1:中国実用新案第2300584号明細書(甲第2号証) ・刊行物2:特開2003-146286号公報(甲第3号証) ・刊行物3:特開平11-227666号公報(甲第4号証) ・刊行物4:特開平10-250673号公報(甲第5号証) 上記刊行物1~4は、括弧書きのとおり、申立人が提出した甲第2~5号証である。 第5 当審の判断 1 取消理由1について 1-1 先の出願の明細書等に記載された事項等 先の出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 (1a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、電動アシスト自転車に係り、特に、制動時や下り坂走行時にモータを発電機として機能させて回生発電を実行できるようにした電動アシスト自転車に関する。」 (1b)「【0023】 以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動アシスト自転車1の左側面図である。図2は、図1の電動アシスト自転車1の要部を示す左側面図であり、図3は同右側面図であり、図4は図3のA-A線断面図である。 【0024】 電動アシスト自転車1は、車体前方に位置するヘッドパイプ3と、該ヘッドパイプ3から後方かつ下方に延びるダウンフレーム2と、ダウンフレーム2の後端から上方に立ち上がるシートパイプ6とを備える。ヘッドパイプ3には、下方に延びるフロントフォーク5が操舵可能に接続されており、このフロントフォーク5の下端に前輪WFが軸支されている。ヘッドパイプ3の上端にはハンドル4が設けられており、ハンドル4の両端には、前後輪のブレーキレバー44が左右一対で取り付けられている。ブレーキレバー44の支持部には、ブレーキ操作を検知するためのブレーキスイッチSWが設けられている。 【0025】 ダウンフレーム2の後端には、後方に延びるリヤフォーク11が配設されており、このリヤフォーク11の後端に後輪WRが軸支されている。また、シートパイプ6の上部とリヤフォーク11の後部との間に、左右一対のステー10が配設されている。 【0026】 ダウンフレーム2およびリヤフォーク11は、アシスト駆動ユニット24を支持している。シートパイプ6には、シート7の上下位置を調整可能とするシートポスト8が支持されている。シートパイプ6の後方には、アシスト駆動ユニット24に電力を供給するバッテリ9が、シートパイプ6のステー20に対して着脱可能に取り付けられている。 【0027】 車幅方向に延びるクランク軸14は、アシスト駆動ユニット24およびスプロケット15を貫通して配設されている。クランク軸14の両側には、ペダル13Lを有するクランク12Lと、ペダル13Rを有するクランク12Rとが固定されており、運転者がペダル13L,13Rを漕ぐことにより、クランク軸14に回転トルクが与えられる。クランク軸14は、筒状の中空部材42の内側にワンウェイクラッチ78(図3参照)を介して回転自在に軸支されており、この中空部材42の外周側にスプロケット15が固定されている。スプロケット15の回転は、チェーン22を介して後輪WR側のスプロケット23に伝達される。 【0028】 アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26の内部に、ブラシレスモータ(以下、単にモータと示すこともある)17と、モータ17を駆動させる駆動ドライバ25と、後述するペダル踏力センサの出力値に基づいて駆動ドライバ25のPWM制御を行うコントローラ16と、モータ17の駆動軸18と噛み合って回転する駆動ギヤ35と、駆動ギヤ35と一体となって回転する出力軸33と、出力軸33と噛み合って回転する出力ギヤ27が含まれる。出力ギヤ27は、スプロケット15と同様に、クランク軸14の中空部材42に固定されている。出力軸33は、左側ケース半体28に固定されたベアリング48および右側ケース半体29に固定されたベアリング49によって回転自在に支持されている。 ・・・ 【0032】 モータ17が発生したアシストトルクは、駆動軸18および駆動ギヤ48を介して出力軸33に伝達される。出力軸33に伝達されたアシストトルクは、出力ギヤ27を介してクランク軸14の中空部材42に伝達される。これにより、運転者がクランク軸14に与えた回転トルクおよびモータ17が与えたアシストトルクの合力が、チェーン22を介して後輪側のスプロケット23に伝達されることとなる。 【0033】 モータ17は、円周方向に交互に配置された例えば8個のN極およびS極の永久磁石を有するロータ32と、該ロータ32の外周部を覆うように径方向で対向配置され、ロータ32を回転させる回転磁界を発生する3相のステータ巻線を有する例えば12個のステータ30とを備える。駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転する。 【0034】 アシスト駆動ユニット24は、ワンウェイクラッチ78の作用によって、ペダル13L,13Rを前進方向(正方向)に漕いだ場合にはスプロケット15を回転させ、ペダル13L,13Rを逆方向に漕いだ場合にはスプロケット15を回転させない機構を有する。 【0035】 ワンウェイクラッチ78は、クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられている。クランク軸14の図示右端側は、ベアリング38によってケース26の右側ケース半体29に軸支されている。中空部材42の図示左端側は、ベアリング43によってケース26の左側ケース半体28に軸支されている。中空部材42の左端側の外周部には、スプロケット15を固定するためのスプラインが形成されている。 【0036】 正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転する。一方、正方向と反対方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14は回転するが、ワンウェイクラッチ78が空転して中空部材42は回転しない。また、後輪WRの回転によってスプロケット15が従動回転される場合は、モータ17は従動回転するものの、この従動回転による動力はペダル13L,13Rに伝わらないこととなる。」 (1c)図面には以下の図1、3及び4が図示されている。 (1d)摘示(1b)から以下の事項が認定できる。 ・【0024】~【0026】より、「電動アシスト自転車1は、ダウンフレーム2を備え、ダウンフレーム2の後端には、後方に延びるリヤフォーク11が配設されており、ダウンフレーム2およびリヤフォーク11は、アシスト駆動ユニット24を支持している」こと、及び【0027】より、「クランク軸14は、アシスト駆動ユニット24およびスプロケット15を貫通して配設されている」ことから、「アシスト駆動ユニット24」及び「クランク軸14」は、「電動アシスト自転車1」に用いられるものであること、 ・【0027】より、「クランク軸14は、アシスト駆動ユニット24およびスプロケット15を貫通して配設されている」こと、 ・【0028】より、「アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26の内部に、ブラシレスモータ(以下、単にモータと示すこともある)17と、モータ17の駆動軸18と噛み合って回転する駆動ギヤ35と、駆動ギヤ35と一体となって回転する出力軸33と、出力軸33と噛み合って回転する出力ギヤ27が含まれる」こと、及び「出力ギヤ27は、スプロケット15と同様に、クランク軸14の中空部材42に固定されている」こと、及び ・【0033】より、「モータ17は、ロータ32とステータ30とを備え」、「駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転する」こと、 ・【0035】【0036】より、「ワンウェイクラッチ78は、クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられ」、「正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転」し、「一方、正方向と反対方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14は回転するが、ワンウェイクラッチ78が空転して中空部材42は回転しない」こと。 (1e)また、図1、3及び4から以下の事項が見て取れる。 ・「モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材である」こと、 ・「クランク軸14の軸方向から見た場合、出力ギヤ27の少なくとも一部は、モータ17と重なり、駆動ギヤ35の少なくとも一部は、出力ギヤ27とモータ17とが重なる領域に重なり、出力ギヤ27の回転中心とモータの回転中心とを結ぶ線分(以下「線分A」という。)と、モータ17の回転中心と駆動ギヤ35の回転中心とを結ぶ線分(以下「線分B」という。)と、駆動ギヤ35の回転中心と出力ギヤ27の回転中心とを結ぶ線分(以下「線分C」という。)とにより、三角形が形成される」こと、及び ・「線分Aが、線分B及び線分Cよりも長く、前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある」こと。 以上によれば、先の出願には、「電動アシスト自転車1に用いられる、アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14」として、以下の発明(以下「先願発明A」という。)が記載されていると認められる。 <先願発明A> 「電動アシスト自転車1に用いられる、アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14であって、 クランク軸14は、アシスト駆動ユニット24およびスプロケット15を貫通して配設されており、 アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26の内部に、モータ17と、モータ17の駆動軸18と噛み合って回転する駆動ギヤ35と、駆動ギヤ35と一体となって回転する出力軸33と、出力軸33と噛み合って回転する出力ギヤ27を含み、出力ギヤ27は、スプロケット15と同様に、クランク軸14の中空部材42に固定されており、 モータ17は、ロータ32とステータ30とを備え、駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転し、 ワンウェイクラッチ78は、クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられ、正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転し、一方、正方向と反対方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14は回転するが、ワンウェイクラッチ78が空転して中空部材42は回転せず、 モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であり、 クランク軸14の軸方向から見た場合、出力ギヤ27の少なくとも一部は、モータ17と重なり、駆動ギヤ35の少なくとも一部は、出力ギヤ27とモータ17とが重なる領域に重なり、出力ギヤ27の回転中心とモータの回転中心とを結ぶ線分Aと、モータ17の回転中心と駆動ギヤ35の回転中心とを結ぶ線分Bと、駆動ギヤ35の回転中心と出力ギヤ27の回転中心とを結ぶ線分Cとにより、三角形が形成され、 線分Aが、線分B及び線分Cよりも長く、前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある、 電動アシスト自転車1に用いられる、アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14。」 また、先の出願には、「アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14を有する電動アシスト自転車1」として、以下の発明(以下「先願発明B」という。)が記載されていると認められる。 <先願発明B> 「アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14を有する電動アシスト自転車1であって、 クランク軸14は、アシスト駆動ユニット24およびスプロケット15を貫通して配設されており、 アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26の内部に、モータ17と、モータ17の駆動軸18と噛み合って回転する駆動ギヤ35と、駆動ギヤ35と一体となって回転する出力軸33と、出力軸33と噛み合って回転する出力ギヤ27を含み、出力ギヤ27は、スプロケット15と同様に、クランク軸14の中空部材42に固定されており、 モータ17は、ロータ32とステータ30とを備え、駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転し、 ワンウェイクラッチ78は、クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられ、正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転し、一方、正方向と反対方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14は回転するが、ワンウェイクラッチ78が空転して中空部材42は回転せず、 モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であり、 クランク軸14の軸方向から見た場合、出力ギヤ27の少なくとも一部は、モータ17と重なり、駆動ギヤ35の少なくとも一部は、出力ギヤ27とモータ17とが重なる領域に重なり、出力ギヤ27の回転中心とモータの回転中心とを結ぶ線分Aと、モータ17の回転中心と駆動ギヤ35の回転中心とを結ぶ線分Bと、駆動ギヤ35の回転中心と出力ギヤ27の回転中心とを結ぶ線分Cとにより、三角形が形成され、 線分Aが、線分B及び線分Cよりも長く、前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある、 アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14を有する電動アシスト自転車1。」 1-2 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と先願発明Aを対比する。 (ア)先願発明Aの「電動アシスト自転車1」は、その意味、構造、機能からみて、本件発明1の「電動補助自転車」に相当し、以下同様に「ケース26」は「ハウジング」に相当するといえる。 (イ)先願発明Aの「クランク軸14」は、「アシスト駆動ユニット24」を「貫通して配設されており」、かかる「アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26」を含むことに加え、図4(摘示(1c))を併せみると、「クランク軸14」は、「ケース26」を貫通して配置されることが明らかである。 そうすると、先願発明Aの「クランク軸14」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフト」に相当するといえる。 (ウ)先願発明Aの「モータ17」は、「ケース26の内部に」含まれるものであるから、ケース26内に配置されるといえる。 そうすると、先願発明Aの「モータ17」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に配置されるモータ」に相当するといえる。 (エ) i) 先願発明Aの「モータ17」は、「ロータ32とステータ30とを備え、駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転」するものであるから、かかる「ロータ32」及び「駆動軸18」は、それぞれ本件発明1の「ロータ」及び「出力軸」に相当するといえる。 また、「モータ17の駆動軸18」は、「駆動ギヤ35」と「噛み合って回転する」ことから、「駆動軸18」には「駆動ギヤ35」と噛み合う「歯」がその周方向に配置されていることが明らかであり、かかる「歯」は、本件発明1の「出力歯車」に相当するといえる。 ii) 先願発明Aの「駆動軸18」は、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、クランク軸14の中心軸線に対して平行に延びるものといえる。 iii) 上記i)、ii)を踏まえると、先願発明Aの「モータ17」は、「ロータ32」と、「ロータ32」とともに回転し「クランク軸14」の中心軸線に対して平行に延びる「駆動軸18」と、「駆動軸18」に配置される「歯」とを含むといえ、かかる「ロータ32」、「駆動軸18」及び「歯」を含む「モータ17」の構成は、本件発明1の「前記モータは、ロータと、前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、前記出力軸に配置される出力歯車とを含み」という構成に相当するといえる。 (オ)先願発明Aの「出力軸33」は、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、クランク軸14の中心軸線に対して平行に延びるものといえ、かかる「出力軸33」は、「ケース26の内部に」含まれるものであるから、その意味、構造、機能に加え、上記(ア)(イ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸」に相当するといえる。 (カ) i) 先願発明Aの「駆動ギヤ35」は、「ケース26の内部に」「含み」構成されるものであるから、ケース26内に位置することが明らかである。 ii) また「駆動ギヤ35」は、「出力軸33」と「一体となって回転する」ものであるから、「出力軸33」に配置されることも明らかである。 iii) さらに、上記(エ)i)で述べたとおり、「駆動ギヤ35」は、「駆動軸18」の周方向に配置される「歯」と「噛み合って回転する」ものであり、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、かかる「歯」よりも多い歯を有するといえる。 iv) 上記(ア)、(エ)、(オ)での相当関係及び上記i)~iii)をも踏まえると、先願発明Aの「駆動ギヤ35」は、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車」に相当するといえる。 v) 先願発明Aの「出力ギヤ27」は、「出力軸33と噛み合って回転する」から、かかる「出力軸33」には、「出力ギヤ27」と噛み合って回転する「歯」が周方向に配置されていることが明らかであり、かかる「歯」は、図4(摘示(1c))を併せみると、「出力軸33」において、「駆動ギヤ35」より「モータ17」から離れた位置に配置されるものであることも明らかである。 そうすると、先願発明Aの「出力軸33」に配置される「歯」は、上記(ア)(ウ)(オ)での相当関係及び上記iv)をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車」に相当するといえる。 vi) 先願発明Aの「出力ギヤ27」は、「ケース26の内部に」「含み」構成され、「クランク軸14の中空部材42に固定されて」いるから、ケース内に位置し、「クランク軸14」に配置されているといえる。 また、図4(摘示(1c))から、「出力ギヤ27」は、「クランク軸14」の軸方向において「駆動ギヤ35」よりも「モータ17」から離れて配置され、「出力軸33」の周方向に配置される「歯」と噛み合い、かかる「歯」よりも多い歯を有するといえる。 そうすると、先願発明Aの「出力ギヤ27」は、上記(ア)~(ウ)での相当関係及びiv)v)をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車」に相当するといえる。 (キ)先願発明Aの「出力ギヤ27とモータ17」は、その「一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であ」るから、「出力ギヤ27」と「モータ17」の一方を本件発明1の「第1部材」、他方を「第2部材」として特定することができる。また、先願発明Aの「駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であ」るから、「駆動ギヤ35」は、本件発明1の「第3部材」として特定することができる。 そうすると、先願発明Aの「モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であ」りという構成は、上記(イ)(ウ)(カ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」という構成に相当するといえる。 (ク)先願発明Aの「クランク軸14の軸方向から見た場合、出力ギヤ27の少なくとも一部は、モータ17と重なり、駆動ギヤ35の少なくとも一部は、出力ギヤ27とモータ17とが重なる領域に重なり、出力ギヤ27の回転中心とモータの回転中心とを結ぶ線分Aと、モータ17の回転中心と駆動ギヤ35の回転中心とを結ぶ線分Bと、駆動ギヤ35の回転中心と出力ギヤ27の回転中心とを結ぶ線分Cとにより、三角形が形成され、線分Aが、線分B及び線分Cよりも長く」という構成は、上記(イ)(ウ)(カ)(キ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い」という構成に相当するといえる。 (ケ)先願発明Aの「アシスト駆動ユニット24」は、「ケース26」、「モータ17」、「出力軸33」、「駆動ギヤ35」、「出力軸33」に配置される「歯」、「出力ギヤ27」を備え、これと「クランク軸14」を合わせた構成は、本件発明1の「駆動ユニット」に相当するといえるから、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、先願発明Aの「電動アシスト自転車1に用いられる、アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14」は、本件発明1の「電動補助自転車に用いられる駆動ユニット」に相当するといえる。 以上を総合すると、本件発明1と先願発明Aとは、次の点で一致し、相違点は存在しない。 <一致点> 「電動補助自転車に用いられる駆動ユニットであって、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、駆動ユニット。」 よって、本件発明1は先願発明Aと同一である。 (2)本件発明2及び5について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに「前記第1部材は、前記被駆動歯車である」という事項(以下「発明2事項」ということがある。)を付加したものである。 また、本件発明5は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項の全てを含み、さらに「前記第2部材は、前記モータである」という事項(以下「発明5事項」ということがある。)を付加したものである。 先願発明Aは、上記発明2事項及び発明5事項を有するか不明であるが、モータの外径より被駆動歯車の外径を大きくすることは、例えば特開2003-146286号公報(後記刊行物2(甲第3号証)の図1,3,4参照)にもみられるように本件特許に係る出願前に周知の事項といえるし、先願発明Aにおいて「出力ギヤ27(被駆動歯車)」と「モータ17(モータ)」の径の関係は、相対的なものということができる(モータの外径を小さくし、トルクが小さくなると、被駆動歯車の歯数を多く(外径を大きく)する必要がある。)から、発明2事項及び発明5事項はいずれも課題解決のための具体化手段における微差であって、新たな効果を奏するものではない。 よって、本件発明2及び5は、先願発明Aと実質的に同一である。 (3)本件発明3、4について 本件発明3は、少なくとも本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記モータの少なくとも一部は、前記被駆動歯車と重なる」という事項(以下「発明3事項」ということがある。)を付加したものであり、本件発明4は、本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第1伝達歯車の少なくとも一部は、前記モータと前記被駆動歯車とが重なる領域に重なる」という事項(以下「発明4事項」ということがある。)を付加したものである。 上記摘示(1c)の図3から、先願発明Aの「モータ17(モータ:なお、括弧内に、先願発明Aの構成と相当関係にある本件発明1~4の構成を示す。以下同様。)」の少なくとも一部と「出力ギヤ27(被駆動歯車)」とは重なっていること、また、先願発明Aの「駆動ギヤ35(第1伝達歯車)」の少なくとも一部は、「モータ17(モータ)」と「出力ギヤ27(被駆動歯車)」とが重なる領域に重なっていることが明らかであるから、先願発明Aは、さらに、発明3事項及び発明4事項をも備えていると認められる。 よって、本件発明3及び4は先願発明Aと同一である。 (4)本件発明6及び7について 本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含み、さらに「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記第2伝達歯車は、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ線分と重ならない」という事項(以下「発明6事項」ということがある。)を付加したものである。 また 本件発明7は、本件発明5又は本件発明6の発明特定事項を全て含み、さらに「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記伝達軸の回転中心は、前記モータと重なる」という事項(以下「発明7事項」ということがある。)を付加したものである。 先願明細書等の図1、図3及び図4(摘示(1c))によれば、先願発明Aの「線分A(第1部材の回転中心と第2部材の回転中心を結ぶ線分)」は「出力軸33(伝達軸)」に配設される「歯(第2伝達歯車)」と重ならないこと、また、「出力軸33(伝達軸)」の回転中心は、「モータ17(モータ)」と重なることが見て取れるから、先願発明Aは、発明6事項及び発明7事項をも備えた発明ということができる。 よって、本件発明6及び7は、先願発明Aと実質的に同一である。 (5)本件発明8について 本件発明8は、少なくとも本件発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに「前記クランクシャフトに配置され、前記クランクシャフトを第1の方向に回転させる回転力を、前記クランクシャフトに配置される駆動スプロケットに伝達し、前記クランクシャフトを前記第1の方向とは反対の方向に回転させる回転力を、前記駆動スプロケットに伝達しないワンウェイクラッチをさらに備え、前記ワンウェイクラッチは、前記被駆動歯車を含む」という事項(以下「発明8事項」ということがある。)を付加したものである。 先願発明Aの「ワンウェイクラッチ78」は、「クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられ」ているところ、本件発明8のワンウェイクラッチの配設態様(【0077】、【0078】、【図2】のワンウェイクラッチ56Cに係る事項参照)を踏まえると、先願発明Aの「ワンウェイクラッチ78」は、「クランク軸14」に配置され、「出力ギヤ27」を含んでいるということができる。 また、先願発明Aにおいて、「出力ギヤ27は、スプロケット15と同様に、クランク軸14の中空部材42に固定されて」いるから、先願発明Aの「スプロケット15」も、「クランク軸14の中空部材42に固定されて」いることが明らかであり、「正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転」するから、「スプロケット15」も同様に回転することが明らかである。 ここで、先願発明Aの「ワンウェイクラッチ78」は、その技術的意味を踏まえると、本件発明8の「ワンウェイクラッチ」に相当し、以下同様に、「クランク軸14」は「クランクシャフト」に、「正方向」及び「正方向と反対の方向」は「第1の方向」及び「第1の方向とは反対の方向」に、「スプロケット15」は「駆動スプロケット」に相当するといえる。 そうすると、先願発明Aの「ワンウェイクラッチ78は、クランク軸14と、クランク軸14の外周に挿嵌される中空部材42との間に設けられ、正方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14が回転すると共に、ワンウェイクラッチ78が係合して中空部材42が回転し、一方、正方向と反対方向にペダル13L,13Rが漕がれると、クランク軸14は回転するが、ワンウェイクラッチ78が空転して中空部材42は回転せず」という構成は、本件発明8の「前記クランクシャフトに配置され、前記クランクシャフトを第1の方向に回転させる回転力を、前記クランクシャフトに配置される駆動スプロケットに伝達し、前記クランクシャフトを前記第1の方向とは反対の方向に回転させる回転力を、前記駆動スプロケットに伝達しないワンウェイクラッチをさらに備え、前記ワンウェイクラッチは、前記被駆動歯車を含む」という構成、すなわち、発明8事項に相当するといえる。 よって、本件発明8は先願発明Aと同一である。 (6)本件発明9について 本件発明9は、本件発明1の発明特定事項である「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車と、前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され」の下線部分を除く本件発明1の発明特定事項の全ての事項を有し、さらに「前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含む」という事項(以下「発明9事項」ということがある。)を付加したものである。 上記発明9事項についてみると、先願発明Aの「中空部材42」には、「出力ギヤ27」及び「スプロケット15」が「固定されて」いるから、「中空部材42」と「出力ギヤ27」とは一体的な部材ということができる。そうであれば、先願発明Aの「出力ギヤ27」は、「スプロケット15」が取り付けられる「中空部材42」を含むということができる。 ここで、先願発明Aの「出力ギヤ27」、「スプロケット15」は、上述のとおり、本件発明9の「被駆動歯車」、「駆動スプロケット」に相当するといえる。 そうすると、先願発明Aの「中空部材42」は、本件発明9の「取付軸」に相当するといえるから、先願発明Aは、発明9事項に相当する構成を備えているといえる。 仮に、発明9事項の「含む」の意味が、「一体的に形成される」こと、すなわち別部材ではないことを意味するとしても、一体的に形成するか、別部材のものを一体化するかは課題解決のための具体化手段における微差であって、新たな効果を奏するものではない。 いずれにしても、本件発明9は先願発明Aと実質的に同一である。 (7)本件発明10について ア 対比 本件発明10と先願発明Bを対比する。 (ア)先願発明Bの「電動アシスト自転車1」は、その意味、構造、機能からみて、本件発明10の「電動補助自転車」に相当し、以下同様に「ケース26」は「ハウジング」に相当するといえる。 (イ)先願発明Bの「クランク軸14」は、「アシスト駆動ユニット24」を「貫通して配設されており」、かかる「アシスト駆動ユニット24は、その筐体としてのケース26」を含むことに加え、図4(摘示(1c))を併せみると、「クランク軸14」は、「ケース26」を貫通して配置されることが明らかである。 そうすると、先願発明Bの「クランク軸14」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフト」に相当するといえる。 (ウ)先願発明Bの「モータ17」は、「ケース26の内部に」含まれるものであるから、ケース26内に配置されるといえる。 そうすると、先願発明Bの「モータ17」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に配置されるモータ」に相当するといえる。 (エ) i) 先願発明Bの「モータ17」は、「ロータ32とステータ30とを備え、駆動軸18はロータ32に固定され、これと一体に回転」するものであるから、かかる「ロータ32」及び「駆動軸18」は、それぞれ本件発明10の「ロータ」及び「出力軸」に相当するといえる。 また、「モータ17の駆動軸18」は、「駆動ギヤ35」と「噛み合って回転する」ことから、「駆動軸18」には「駆動ギヤ35」と噛み合う「歯」がその周方向に配置されていることが明らかであり、かかる「歯」は、本件発明10の「出力歯車」に相当するといえる。 ii) 先願発明Bの「駆動軸18」は、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、クランク軸14の中心軸線に対して平行に延びるものといえる。 iii) 上記i)、ii)を踏まえると、先願発明Bの「モータ17」は、「ロータ32」と、「ロータ32」とともに回転し、「クランク軸14」の中心軸線に対して平行に延びる「駆動軸18」と、「駆動軸18」に配置される「歯」とを含むといえ、かかる「ロータ32」、「駆動軸18」及び「歯」を含む「モータ17」の構成は、本件発明10の「前記モータは、ロータと、前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、前記出力軸に配置される出力歯車とを含み」という構成に相当するといえる。 (オ)先願発明Bの「出力軸33」は、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、クランク軸14の中心軸線に対して平行に延びるものといえ、かかる「出力軸33」は、「ケース26の内部に」含まれるものであるから、その意味、構造、機能に加え、上記(ア)(イ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸」に相当するといえる。 (カ) i) 先願発明Bの「駆動ギヤ35」は、「ケース26の内部に」「含み」構成されるものであるから、ケース26内に位置することが明らかである。 ii) また「駆動ギヤ35」は、「出力軸33」と「一体となって回転する」ものであるから、「出力軸33」に配置されることも明らかである。 iii) さらに、上記(エ)i)で述べたとおり、「駆動ギヤ35」は、「駆動軸18」の周方向に配置される「歯」と「噛み合って回転する」ものであり、図1、3及び4(摘示(1c))を併せみると、かかる「歯」よりも多い歯を有するといえる。 iv) 上記(ア)、(エ)、(オ)での相当関係及び上記i)~iii)をも踏まえると、先願発明Bの「駆動ギヤ35」は、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車」に相当するといえる。 v) 先願発明Bの「出力ギヤ27」は、「出力軸33と噛み合って回転する」から、かかる「出力軸33」には、「出力ギヤ27」と噛み合って回転する「歯」が周方向に配置されていることが明らかである。 そうすると、先願発明Bの「出力軸33」に配置される「歯」は、上記(ア)(ウ)(オ)での相当関係及び上記iv)をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車」に相当するといえる。 vi) 先願発明Bの「出力ギヤ27」は、「ケース26の内部に」「含み」構成され、「クランク軸14の中空部材42に固定されて」いるから、ケース内に位置し、「クランク軸14」に配置されているといえる。 また、図4(摘示(1c))から、「出力ギヤ27」は、「出力軸33」の周方向に配置される「歯」と噛み合い、かかる「歯」よりも多い歯を有するといえる。 そうすると、先願発明Bの「出力ギヤ27」は、上記(ア)~(ウ)での相当関係及び上記iv)v)をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車」に相当するといえる。 (キ)先願発明Bの「出力ギヤ27とモータ17」は、その「一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であ」るから、「出力ギヤ27」と「モータ17」の一方を本件発明10の「第1部材」、他方を「第2部材」として特定することができる。また、先願発明Bの「駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であ」るから、「駆動ギヤ35」は、本件発明10の「第3部材」として特定することができる。 そうすると、先願発明Bの「モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であ」りという構成は、上記(イ)(ウ)(カ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」という構成に相当するといえる。 (ク)先願発明Bの「クランク軸14の軸方向から見た場合、出力ギヤ27の少なくとも一部は、モータ17と重なり、駆動ギヤ35の少なくとも一部は、出力ギヤ27とモータ17とが重なる領域に重なり、出力ギヤ27の回転中心とモータの回転中心とを結ぶ線分Aと、モータ17の回転中心と駆動ギヤ35の回転中心とを結ぶ線分Bと、駆動ギヤ35の回転中心と出力ギヤ27の回転中心とを結ぶ線分Cとにより、三角形が形成され、線分Aが、線分B及び線分Cよりも長く」という構成は、上記(イ)(ウ)(カ)(キ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く」という構成に相当するといえる。 (ケ)先願発明Bの「アシスト駆動ユニット24」は、「ケース26」、「モータ17」、「出力軸33」、「駆動ギヤ35」、「出力軸33」に配置される「歯」、「出力ギヤ27」を備え、これと「クランク軸14」を合わせた構成は、本件発明10の「駆動ユニット」に相当するといえる。 したがって、先願発明Bの「アシスト駆動ユニット24及びクランク軸14を有する電動アシスト自転車1」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「駆動ユニットを備える電動補助自転車」に相当するといえる。 以上を総合すると、本件発明10と先願発明Bとは、 「駆動ユニットを備える電動補助自転車であって、 前記駆動ユニットは、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、電動補助自転車。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点1〕 本件発明10は、「前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含み」構成されているのに対し、先願発明Bは、そのように特定されていない点。 〔相違点2〕 本件発明10は、「前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車であ」り、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり」として構成されるものであるのに対し、先願発明Bは、「モータ17、駆動ギヤ35及び出力ギヤ27を、クランク軸14の軸方向から見たときに、出力ギヤ27とモータ17の一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、駆動ギヤ35が最も径が小さい部材であり」、「前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある」として構成されるものである点。 イ 判断 本件発明10と先願発明Bとは、上記アのとおり、上記相違点1及び相違点2で相違するところ、それら相違点が課題解決のための具体化手段における微差である場合には、実質同一と判断することもできるので、まずは、上記相違点2について検討する。 本件発明10は、「最も径が小さい部材」である「第3部材」の配設位置が、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり」とされ、他方、先願発明Bは、「最も径が小さい部材」である「第3部材(駆動ギヤ35)」の配設位置が、「前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある」とされるものであるから、本件発明10と先願発明Bとは、少なくとも、上記「第1線分(線分A)」に対する「第3部材(駆動ギヤ35)」の配設に係る構造上の差異が認められる。 そこで、先願発明Bにおける上記「第3部材(駆動ギヤ35)」の配設構造を検討するに、先願明細書等には、「出力ギヤ27」及び「モータ17」に対する「駆動ギヤ35」の配設位置を任意に設定し得る旨の記載ないし示唆はなく、まして、「第1線分(線分A)」に対する「第3部材(駆動ギヤ35)」の配設位置が任意である旨の記載ないし示唆もない。 また、先願発明Bは、「前記クランク軸14の軸方向から見て、前記駆動ギヤ35の回転中心は、前記線分Aより下方にある」として構成されるものであるが、かかる配設構造に代えて、上記「駆動ギヤ35の回転中心」を、「線分A」より「上方にある」として構成することが、周知・慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものでない、とする合理的な根拠もない。 したがって、上記相違点2は、実質的な相違点というべきであり、課題解決のための具体化手段における微差ということはできないから、上記相違点1を検討するまでもなく、本件発明10は、先願発明Bと実質同一であるとはいえない。 よって、本件発明10は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである、ということはできない。 (8)本件発明11及び12について 本件発明11及び12は、本件発明10の発明特定事項を全て含み、さらに限定して発明を特定したものであるから、本件発明10と同様に、先願発明Bと実質同一であるとはいえないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである、ということはできない。 2 取消理由2及び取消理由3について 2-1 刊行物の記載事項等 2-1-1 刊行物1(甲第2号証)に記載された事項等 刊行物1には、次の事項が記載されている。和訳は、申立人作成の甲2号証訳文を参考にした。 (1a)実用新案登録請求の範囲 「1、直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器であって、 直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され、 歯車減速機において中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされることを特徴とする電動車駆動器 ・・・ 3、上記1の電動車駆動器であって、 クラッチ28、34において、スリーブ26及びボルト27によって鎖歯車25がクラッチ28、34に固定されることを特徴とする電動車駆動器」 なお、符合に付された括弧は省略した。以下同様。 (1b)説明書1頁13行~2頁17行 ・・・ 「図1は本考案の正面断面図である。 図2は本考案の左側面図である。 図3は本考案の実施例1である。 図4は本考案の実施例2である。 ・・・ 図1及び図2に示すように、本実用新案は、モータと減速機との2つの部分からなる。 1、モータ。モータカバー5は、ボルト14によってマシンベース15に固定されている。マシンベースの右側面において、ヨーク13がボルトによって連結され、両者はモータ部分の支持部材を構成している。モータ歯車軸6は、軸受17、19及び止輪18によってマシンベース15の挿入貫通孔内に固定され、且つ回転可能である。電機子12は、電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8は、キー7と止輪18とによってモータ歯車軸6の左端に固定されている。永久磁石11は、モータカバー5に均等に粘着され、マシンベース15における右側のヨーク13とモータ磁路を形成する。カーボンブラシホルダ9は、モータカバー5に固定され、このうち正極/負極の導線は、電流を、カーボンブラシ10を介して電機子12に出力することができる。 2、減速機。マシンベース15は、ボルトを介してカバー38と一体に接続され、減速機歯車駆動の支持部分である。第1小歯車軸23は、キー22を介して第1大歯車20と一体に連結され、軸受21は、マシンベース15及びカバー38にそれぞれ支持され、軸線の周りを回転することができる。第2大歯車24は、キー4を介して出力軸スリーブ36と一体に連結され、出力軸スリーブ36を駆動して軸線の周りを回転することができるとともに、キー37を介して動力をクラッチ34に伝達し、ボルト27及びスリーブ26によってクラッチ34に接続された鎖歯車25に動力を出力する。中軸30は、軸受2と軸受32とによって位置が固定されている。人力でペダル39を漕ぐと、人力は中軸30によってキー29を介してクラッチ28に伝わり、ボルト27及びスリーブ26を介して人力が鎖歯車25に伝わることで、これにより人力を出力する。クラッチ28及びクラッチ34が一体に連結されて一つの専用クラッチを形成する。これによって、電動モードのとき、中軸30のペダル39は動かなくてもよく、任意に回転してもよい。人力でペダル39を漕ぐとき、モータはこの回転によって回転することがない。車両に容易に取り付けるために、マシンベース15には、切欠き口(A)と取付脚(B)とが形成されている。 本実用新案は、複数の実施例がある。実施例1は図3であり、実施例2は図4である。上記2つの実施例では、電動車駆動器が電動アシスト自転車のフレームの中下部に取り付けられている。」 (1c)図面には以下の図1~図4が示されている。 また、上記図1及び図2に基づき当審で作成した参考図2を以下に示す。 (1d)摘示(1a)(1b)より、以下の事項が認定できる。 ・「直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され、 歯車減速機において中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされ、 スリーブ26及びボルト27によって鎖歯車25がクラッチ28、34に固定される、直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器」、及び ・「電動車駆動器が電動アシスト自転車のフレームに取り付けられている」こと。 (1e)摘示(1b)、摘示(1c)(参考図2含む)及び技術常識を踏まえると、「電動車駆動器」に関して以下の事項が認定できる。 ・「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に、直流モータと、中軸30の中心軸線に対して平行に延びる第1小歯車軸23、第1大歯車20、第2大歯車24が位置している」こと、 ・「中軸30は、マシンベース15及びカバー38を貫通して配置されている」こと、 ・「直流モータは、ヨーク13と、電機子12と、電機子トレイ8と、中軸30の中心軸線に対して平行に延びるモータ歯車軸6と、前記モータ歯車軸6に配置される歯車とを含んでおり、電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能である」こと、 ・「電動車駆動器は、 第1小歯車軸23と一体に連結され、モータ歯車軸6に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第1大歯車20と、 第1大歯車20より直流モータから離れた位置に配置される第1小歯車軸23に配置される歯車と、 中軸30の軸方向において第1大歯車20よりも直流モータから離れて出力軸スリーブ36と一体に連結され、第1小歯車軸23に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第2大歯車24とを備えている」こと、 ・「直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材である」こと、 ・「中軸30の軸方向から見た場合、第2大歯車24の少なくとも一部は、直流モータと重なり、第1大歯車20の少なくとも一部は、第2大歯車24と直流モータとが重なる領域に重なり、第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分(以下「線分D」という。)と、直流モータの回転中心と第1大歯車20の回転中心とを結ぶ線分(以下「線分E」という。)と、第1大歯車20の回転中心と第2大歯車24の回転中心とを結ぶ線分(以下「線分F」という。)とにより、三角形が形成される」こと、及び ・「線分Dが、線分E及び線分Fよりも長い」こと。 以上によれば、刊行物1には、「電動アシスト自転車のフレームに取り付けられている電動車駆動器」として、以下の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明A> 「直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され、 歯車減速機において中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされ、 スリーブ26及びボルト27によって鎖歯車25がクラッチ28、34に固定される、直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器であって、 マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に、直流モータと、中軸30の中心軸線に対して平行に延びる第1小歯車軸23、第1大歯車20、第2大歯車24が位置しており、 中軸30は、マシンベース15及びカバー38を貫通して配置されており、 直流モータは、ヨーク13と、電機子12と、電機子トレイ8と、中軸30の中心軸線に対して平行に延びるモータ歯車軸6と、前記モータ歯車軸6に配置される歯車とを含んでおり、電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であり、 電動車駆動器は、第1小歯車軸23と一体に連結され、モータ歯車軸6に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第1大歯車20と、 第1大歯車20より直流モータから離れた位置に配置される第1小歯車軸23に配置される歯車と、 中軸30の軸方向において第1大歯車20よりも直流モータから離れて出力軸スリーブ36と一体に連結され、第1小歯車軸23に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第2大歯車24とを備えており、 直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材であり、 中軸30の軸方向から見た場合、第2大歯車24の少なくとも一部は、直流モータと重なり、第1大歯車20の少なくとも一部は、第2大歯車24と直流モータとが重なる領域に重なり、第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分Dと、直流モータの回転中心と第1大歯車20の回転中心とを結ぶ線分Eと、第1大歯車20の回転中心と第2大歯車24の回転中心とを結ぶ線分Fとにより、三角形が形成され、 線分Dが、線分E及び線分Fよりも長い、 電動アシスト自転車のフレームに取り付けられている電動車駆動器」 また、刊行物1には、「電動車駆動器を有する電動アシスト自転車」として、以下の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明B> 「直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され、 歯車減速機において中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされ、 スリーブ26及びボルト27によって鎖歯車25がクラッチ28、34に固定される、直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器を有する電動アシスト自転車であって、 マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に、直流モータと、中軸30の中心軸線に対して平行に延びる第1小歯車軸23、第1大歯車20、第2大歯車24が位置しており、 中軸30は、マシンベース15及びカバー38を貫通して配置されており、 直流モータは、ヨーク13と、電機子12と、電機子トレイ8と、中軸30の中心軸線に対して平行に延びるモータ歯車軸6と、前記モータ歯車軸6に配置される歯車とを含んでおり、電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であり、 電動車駆動器は、第1小歯車軸23と一体に連結され、モータ歯車軸6に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第1大歯車20と、 第1大歯車20より直流モータから離れた位置に配置される第1小歯車軸23に配置される歯車と、 中軸30の軸方向において第1大歯車20よりも直流モータから離れて出力軸スリーブ36と一体に連結され、第1小歯車軸23に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する第2大歯車24とを備えており、 直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材であり、 中軸30の軸方向から見た場合、第2大歯車24の少なくとも一部は、直流モータと重なり、第1大歯車20の少なくとも一部は、第2大歯車24と直流モータとが重なる領域に重なり、第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分Dと、直流モータの回転中心と第1大歯車20の回転中心とを結ぶ線分Eと、第1大歯車20の回転中心と第2大歯車24の回転中心とを結ぶ線分Fとにより、三角形が形成され、 線分Dが、線分E及び線分Fよりも長い、 電動車駆動器を有する電動アシスト自転車。」 2-1-2 刊行物2(甲第3号証)に記載された事項 (2a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は一種の電動アシスト自転車の踏力検出装置に係り、特に、電動アシスト自転車の踏力検出装置が複雑過ぎる欠点を改善し、製造コストが低廉である高い経済生産効果利用価値を達成するものに関する。 ・・・ 【0007】 【実施例】図1は、本発明の実施例の踏力検出装置1を自転車に取り付けた構造表示図である。この踏力検出装置1の組成構造については図2、3に示される。自転車のペダルクランクH1、H2の両端が、第1伝動軸Aの両端A1、A2と連接し、ペダルクランクH1、H2が駆動される時(人に踏まれる時)、第1伝動軸Aがこれに伴い回転する。第1伝動軸Aの左側端位置近くに逆時計方向に伝動する単方向ラチェットB(A1からA2の方向を見て)が設けられ、該単方向ラチェットBのラチェット歯端面に第1左回転はすば歯車Cが套設固定され、第1伝動軸Aが駆動されて逆時計回りに回転する時、該第1左回転はすば歯車Cもまた第1伝動軸Aに伴い逆時計回りに回転する。また、第1伝動軸Aの隣側に第2伝動軸Lが設けられ、該第2伝動軸Lに移動可能な第2右回転はすば歯車Dが套設され、該第2右回転はすば歯車Dが第1伝動軸Aに組み付けられた第1左回転はすば歯車Cと噛み合い(図3参照)、第1左回転はすば歯車Cが駆動されて逆時計回りに回転する時、第2右回転はすば歯車Dが駆動されて時計回りに回転する。また、該第2右回転はすば歯車Dの輪側に第3左回転はすば歯車Eが固定され、ゆえに第3左回転はすば歯車Eが第2右回転はすば歯車Dと同様に同じ方向の回転を呈し、第1伝動軸Aにさらに第4右回転はすば歯車Fが套設されて、前述の第3左回転はすば歯車Eと噛み合い、ゆえに、第1、第4はすば歯車C、Fの回転方向が同じとなる。そのうち、該第4右回転はすば歯車Fの第1伝動軸Aに向いたA2端側にチェーンホイールG1が連接され(図4参照)、該チェーンホイールG1がチェーンJを駆動して後輪K1を逆時計回りに回転させて前進回転させる(図1参照)。 ・・・ 【0011】本発明の第2右回転はすば歯車D、第3左回転はすば歯車Eの移動量検出の装置は、第2右回転はすば歯車Dの滑動端側(即ち左側)に一つの環形磁石装置が取り付けられ、該装置はスリーブリングMを具え、該スリーブリングMに環形磁石M1が取り付けられ、且つ該環形磁石M1の移動端側に対応する位置にホールセンサNが設けられ、該ホールセンサNは歯車箱ケースTの内側に固定される(図3参照)。これにより、ホールセンサNと環形磁石M1の両者の距離の変化を利用し、ペダルクランクH1、H2の力の大きさを代表する電圧信号を発生する。この電圧信号はモータOの動力出力を制御し、モータの原動軸前端の歯車Pで歯車Q、R、Sで組成された減速システムを駆動し、即ちさらにチェーンホイールG1を駆動し、補助動力出力の目的を達成する(図4参照)。 ・・・ 【符号の説明】 1 踏力検出装置 H1、H2 ペダルクランク A、L 伝動軸 A1、A2 端 B 単方向ラチェット P、Q、R、S 歯車 C、D、E、F はすば歯車 G1 チェーンホイール J チェーン K1 後輪 L1 弾性体 M スリーブリング M1 環形磁石 N ホールセンサ T ケース O モータ 」 (2b)図面には、以下の図が示されている。 2-1-3 刊行物3(甲第4号証)に記載された事項 (3a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータ等の補助動力ユニットが装着された自転車用補助動力装置に関するものである。 ・・・ 【0014】図4および図6に示すように、減速機構やスピードセンサー等の電動モータ12からの伝達系が収納されて外ケース24Aと内ケース24Bとの車体幅方向に2分割された内外ケース24内のほぼ中央部には、前記電動モータ12およびクランク軸6と平行でスピードセンサー29を構成するシャフト20が配置され、歯車列からなる減速機構が形成される。人力によるペダル踏力の大きさ即ちチェーン7のテンションの大きさを検出した前記変位センサー36からのセンサー出力を得て前記制御ユニット2からの制御信号を受けて電動モータ12により補助動力制御がなされる。モータシャフト12Aにはギヤ16が固定されており、その回転はギヤ17に伝達されるが、ギヤ17はフランジ体18とボルトにて固定されているので、回転はワンウェイクラッチ19に伝達される。該ワンウェイクラッチ19は電動モータ12が正回転の時、ギヤ17側からシャフト20に対して回転を伝達するものである。すなわち、その逆にシャフト20からギヤ17には回転を伝達できない。そのため、制御の過程で電動モータ12の動力がなくなった場合でも、人力によりペダルを踏動してチェーンが駆動されても前記ワンウェイクラッチ19から先には回転駆動力が伝達されず、電動モータ12を無理にモータシャフト12A側から回転させることを防止できる。 【0015】前記シャフト20はスピードセンサー29を構成し、その回転軸の軸端部40を多角形断面とし、図2(B)に示すように、それらの各頂部を近接スイッチにて感知することにより、クランク軸回転数が検出される。シャフト20の回転は、該シャフト20の外周に形成されたギヤ20Aに噛合するギヤ21に伝達される。ギヤ21のボス部は内部に前記クランク軸6を軸支すべく同心状に中空軸22がハンガーパイプ38を貫通して延設される。該中空軸22の一端外周には出力スプロケット8が接続され、他端内周には一方向クラッチを構成するラチェット23および爪13を介してクランク軸6と接続される。前記中空軸22は、前記内ケース24Bの内側面からクランク軸6と同心状に延設された筒状凸部25の内周部に補助動力ユニット体として予め精度良く軸支される。前記筒状凸部25は内ケース24Bと一体に形成されてもよいし、図示のように内ケース24Bと別体に形成されてもよい。したがって、前記筒状凸部25の外周部と前記ハンガーパイプ38の内周部との間の高い精度は必要がなく、自転車のフレームとしての安価な製造が可能となる。なお、前記スピードセンサーを構成する多角形断面の軸端部はアイドラースプロケットの回転軸に設けてもよいものである。」 (3b)図面には、以下の図が示されている。 2-1-4 刊行物4(甲第5号証)に記載された事項 (4a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、踏力に応じてモータ出力を増減させる電動自転車用駆動装置に関するものである。 ・・・ 【0016】駆動装置4は、図2~図4に示すように、ペダルクランク軸6と同一軸線上に、人力駆動系とモータ駆動系とを連結するための円筒状の合力軸10を回転自在に設け、これらの軸より車体の後方にモータ11を配設している。このモータ11と前記合力軸10とは、二段減速式の歯車減速機12を介して連結している。 【0017】前記ペダルクランク軸6は、ペダル付きクランク13を両端に取付けることができるように形成し、軸線方向が車幅方向を指向するように駆動装置ハウジング14に回転自在に支持させている。この駆動装置ハウジング14は、図1に示すように、前記車体フレーム2のハンガー部3にブラケット15を介して固定する。前記ペダルクランク軸6の車体左側は軸受16を介して駆動装置ハウジング14に回転自在に支持させ、車体右側は、ペダルクランク軸6が貫通する合力軸10の小径部10aと軸受17,18を介して駆動装置ハウジング14に回転自在に支持させている。 【0018】前記合力軸10は、前記軸受17を介してペダルクランク軸6を軸承する小径部10aと、この小径部10aの車体左側の端部に一体に形成した大径部10bとから構成し、前記小径部10aを駆動装置ハウジング14から側方へ突出させてこの突出側端部に前記スプロケット8を固定している。また、前記大径部10bは、外周面に歯を刻設することによって歯車となるように形成し、前記歯車減速機12の小径歯車19を噛合させている。前記大径部10bが本発明に係る従動回転体を構成している。 【0019】この合力軸10と前記ペダルクランク軸6との間の人力駆動系には、図3および図4中に符号21で示す中間軸を介装している。この中間軸21は、磁性材によって円筒状に形成し、ペダルクランク軸6と同一軸線上に位置付けられかつペダルクランク軸6が貫通する状態で前記合力軸10と隣接するように配設している。また、この中間軸21は、車体左側の端部をペダルクランク軸6にスプライン嵌合させるとともに、車体右側の端部を合力軸10の大径部10bに一方向クラッチ22およびトルクリミッタ23を介して連結している。前記スプライン嵌合部を符号24で示す。この中間軸21における車体右側の端部と、前記一方向クラッチ22およびトルクリミッタ23は、前記大径部10bの中心側に形成した凹陥部10c内に収容している。 【0020】前記一方向クラッチ22は、径方向の外側から中間軸21に係合し、中間軸21を車体が前進する方向(図1において反時計方向)へ回転させたときのみに連結状態になって動力をトルクリミッタ23に伝達するラチェット式のものを使用している、前記トルクリミッタ23は、ペダル5が地面の突起物などに衝突したときに衝撃力が中間軸21や一方向クラッチ21に加えられるのを阻止するために設けてあり、径方向の内側に一方向クラッチ22を連結するとともに、径方向の外側に前記大径部10bを連結している。」 (4b)図面には、以下の図が示されている。 2-2 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明Aを対比する。 (ア)引用発明Aにおいて、「直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され」ているから、上記「マシンベース15」は、「直流モータ及び歯車減速機」を支持するハウジングとしての機能を有するものといえる。 また、刊行物1の摘示(1a)の「モータカバー5は、ボルト14によってマシンベース15に固定されている。・・・両者はモータ部分の支持部材を構成している。」、「マシンベース15は、ボルトを介してカバー38と一体に接続され、減速機歯車駆動の支持部分である。」との記載を参酌しつつ、摘示(1c)の図1の記載を併せみると、引用発明Aの「カバー38及びモータカバー5」についても、引用発明Aの「直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器」における「直流モータ及び歯車減速機」を支持するハウジングとしての機能を有するものといえる。 そうすると、引用発明Aの「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5」は、本件発明1の「ハウジング」に相当するといえる。 (イ)引用発明Aの「中軸30」は、その技術的意味、構造からみて、本件発明1の「クランクシャフト」に相当する。 したがって、引用発明Aの「マシンベース15及びカバー38を貫通して配置されて」いる「中軸30」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフト」に相当するといえる。 (ウ)引用発明Aの「直流モータ」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」いるから、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に配置されるモータ」に相当するといえる。 (エ)引用発明Aの「中軸30の中心軸線に対して平行に延びる第1小歯車軸23」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」いるから、上記(ア)(イ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸」に相当するといえる。 (オ)引用発明Aの「電機子12と、電機子トレイ8」は、モータの技術常識に照らし、ロータとしての機能を有するものであることが明らかであり、「電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であ」ることから、かかる「モータ歯車軸6」は、ロータとして機能する電機子12及び電機子トレイ12とともに回転するといえる。 そうすると、引用発明Aの「モータ歯車軸6」は、本件発明1の「出力軸」に相当し、引用発明Aの「モータ歯車軸6に配置される歯車」は本件発明1の「出力歯車」に相当するといえる。 上記(イ)(ウ)での相当関係をも踏まえると、引用発明Aの「直流モータは、ヨーク13と、電機子12と、電機子トレイ8と、中軸30の中心軸線に対して平行に延びるモータ歯車軸6と、前記モータ歯車軸6に配置される歯車とを含んでおり、電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であり」という構成は、本件発明1の「前記モータは、ロータと、前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、前記出力軸に配置される出力歯車とを含み」という構成に相当するといえる。 (カ) i)引用発明Aの「第1大歯車20」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」おり、「第1小歯車軸23と一体に連結され、モータ歯車軸6に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する」ものであるから、上記(ア)(エ)(オ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車」に相当するといえる。 ii)引用発明Aの「第1小歯車軸23に配置される歯車」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」おり、「第1大歯車20より直流モータから離れた位置に配置される」ものであるから、上記(ア)(ウ)(エ)での相当関係及び上記i)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車」に相当するといえる。 iii)引用発明Aの「第2大歯車24」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」おり、「中軸30の軸方向において第1大歯車20よりも直流モータから離れて出力軸スリーブ36と一体に連結され、第1小歯車軸23に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する」ものである。 ここで、本件発明1の「クランクシャフトに配置され」る「被駆動歯車」は、本件明細書の【0082】の「被駆動歯車104は、クランクシャフト54と同軸に配置され」との記載から、クランクシャフトと同軸に配置されていれば足りると解されるところ、引用発明Aの「第2大歯車24」は、図1(摘示(1c))より、中軸30と同軸に配置されているといえる。 そうすると、引用発明Aの「第2大歯車24」は、上記(ア)(イ)(ウ)での相当関係及び上記i)ii)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車」に相当するといえる。 iv)上記i)ii)iii)で述べた「第1大歯車20」、「第1小歯車軸23に配置される歯車」及び「第2大歯車24」は、「電動車駆動器」に備えられるものであるから、かかる「電動車駆動器」は、本件発明1の「駆動ユニット」に相当するといえる。 (キ)引用発明Aの「第2大歯車24と直流モータ」は、その「一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であ」るから、「第2大歯車24」と「直流モータ」の一方を本件発明1の「第1部材」、他方を「第2部材」として特定することができる。また、引用発明Aの「第1大歯車20が最も径が小さい部材であ」るから、「第1大歯車20」は、本件発明1の「第3部材」として特定することができる。 そうすると、引用発明Aの「直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材であ」りという構成は、上記(イ)(ウ)(カ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」という構成に相当するといえる。 (ク)引用発明Aの「中軸30の軸方向から見た場合、第2大歯車24の少なくとも一部は、直流モータと重なり、第1大歯車20の少なくとも一部は、第2大歯車24と直流モータとが重なる領域に重なり、第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分Dと、直流モータの回転中心と第1大歯車20の回転中心とを結ぶ線分Eと、第1大歯車20の回転中心と第2大歯車24の回転中心とを結ぶ線分Fとにより、三角形が形成され、線分Dが、線分E及び線分Fよりも長い」という構成は、上記(イ)(ウ)(カ)(キ)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い」という構成に相当するといえる。 (ケ)引用発明Aの「電動車駆動器」は、「マシンベース15,カバー38及びモータカバー5」、「直流モータ」、「第1小歯車軸23」、「第1大歯車20」、「第1小歯車軸23に配置される歯車」、「第2大歯車24」を備えているといえる。 また、「直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器」は、「歯車減速機において中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされる」ものであることから、「中軸30及び出力軸スリーブ36」は、「歯車減速機」の構成、すなわち「電動車駆動器」に含まれるといえる。 さらに、「電動車駆動器」は、「電動アシスト自転車のフレームに取り付けられている」から、電動アシスト自転車に用いられるものといえる。 ここで、引用発明Aの「電動アシスト自転車」は本件発明1の「電動補助自転車」に相当するといえるから、上述の「第2大歯車24」、「中軸30」等を備える引用発明Aの「電動車駆動器」は、本件発明1の「電動補助自転車に用いられる駆動ユニット」にも相当するといえる。 以上を総合すると、本件発明1と引用発明Aとは、次の点で一致し、相違点は存在しない。 <一致点> 「電動補助自転車に用いられる駆動ユニットであって、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸において、前記第1伝達歯車より前記モータから離れた位置に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトの軸方向において前記第1伝達歯車よりも前記モータから離れて前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、 駆動ユニット。」 よって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明(引用発明A)である。 (2)本件発明2及び5について 引用発明Aは、上記発明2事項及び発明5事項(上記1 1-2(2))を有するか不明であるが、モータの外径より被駆動歯車の外径を大きくすることは、例えば刊行物2(摘示(2a)(2b))の特に図1,3,4等にもみられるように本件特許に係る出願前に周知の事項といえるし、引用発明Aにおいて「第2大歯車24(被駆動歯車)」と「直流モータ(モータ)」の径の関係は、相対的なものということができる(モータの外径を小さくし、トルクが小さくなると、被駆動歯車の歯数を多く(外径を大きく)する必要がある。)から、引用発明Aにおいて、発明2事項及び発明5事項を有するものとすることは、引用発明A及び周知の事項に基いて、当業者が容易に想到し得たといえる。 よって、本件発明2及び5は、引用発明A及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたといえる。 (3)本件発明3及び4について 刊行物1の図1及び図2(参考図2も参照)(摘示(1c)より、引用発明Aの「直流モータ(モータ)」の少なくとも一部と「第2大歯車24(被駆動歯車)」とは重なっていること、また、引用発明Aの「第1大歯車20(第1伝達歯車)」の少なくとも一部は、「直流モータ(モータ)」と「第2大歯車24(被駆動歯車)」とが重なる領域に重なっていることが見て取れるから、引用発明Aは、さらに、上記発明3事項及び発明4事項(上記1 1-2(3))に相当する事項をも備えていると認められる。 よって、本件発明3及び4は刊行物1に記載された発明(引用発明A)である。 (4)本件発明6及び7について 刊行物1の図2(参考図2も参照)(摘示(1c))より、引用発明Aの「線分D(第1部材の回転中心と第2部材の回転中心を結ぶ線分)」は「第1小歯車軸23(伝達軸)」に配置される「歯車(第2伝達歯車)」と重ならないこと、また、「第1小歯車軸23(伝達軸)」の回転中心は、「直流モータ(モータ)」と重なることが見て取れるから、引用発明Aは、発明6事項及び発明7事項(上記1 1-2(4))に相当する事項をも備えた発明ということができる。 よって、本件発明6及び7は、引用発明A及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたといえる。 (5)本件発明8について 引用発明Aの「電動車駆動器」は、「中軸30及び出力軸スリーブ36は、2つのクラッチ28、34を有するカップリング31、33によって双方向の切離し機能を有するクラッチに組み合わされ、スリーブ26及びボルト27によって鎖歯車25がクラッチ(28、34)に固定される」構成を備えている。 そして、かかる構成を備えることで、刊行物1に「人力でペダル39を漕ぐと、人力は中軸30によってキー29を介してクラッチ28に伝わり、ボルト27及びスリーブ26を介して人力を鎖歯車25に伝わることで、これにより人力を出力する。・・・電動モードのとき、中軸30のペダル39は動かなくてもよく、任意に回転してもよい。」(摘示(1b))と記載されているように、人力でペダル39を漕ぐと、人力は中軸30からクラッチ28に伝わり、さらに鎖歯車25に伝わることが明らかである一方、「電動モードのときに中軸30のペダル39は動かなくてもよ」いことから、電動モードにより鎖歯車25が回転する際に中軸30に回転が伝わらないこと、すなわち、ペダル39を逆方向に回転させても鎖歯車25に回転が伝わらないことが明らかである。 そうすると、引用発明Aの「クラッチ28」は、上記発明8事項(上記1 1-2(5))の「ワンウェイクラッチ」としての機能を備えているといえるから、引用発明Aは、発明8事項に相当する事項をも備えているといえる。 してみると、本件発明8は、刊行物1に記載された発明(引用発明A)である。 仮に、引用発明Aの「クラッチ28」が「ワンウェイクラッチ」とはいえないとしても、例えば、刊行物3(摘示(3a)(3b))の一方向クラッチを構成するラチェット23および爪13(特に【0015】、【図4】参照)や刊行物4(摘示(4a)(4b))の一方向クラッチ22等(特に【0019】、【図3】参照)にみられるように、クランクシャフトに一方向クラッチを配置することは本件特許に係る出願前に周知の事項といえるから、発明8事項は、かかる周知の事項に基いて当業者が容易に想到し得たといえる。 よって、本件発明8は、刊行物1に記載された発明(引用発明A)であるか、引用発明A及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明9について 上記発明9事項(上記1 1-2(6))は、例えば、刊行物3(摘示(3a)(3b))のギヤ21(被駆動歯車)のボス部に延設される中空軸22(取付軸)に出力スプロケット8(駆動スプロケット)が接続される構造(特に【0015】、【図4】参照)及び刊行物4(摘示(4a)(4b))の小径部10a(取付軸)、大径部10b(被駆動歯車)から構成される合力軸10の小径部10a(取付軸)にスプロケット9(駆動スプロケット)が固定される構造(特に【0018】、【図3】参照)にみられるように、本件特許に係る出願前に周知の事項といえる。 してみると、上記発明9事項は、周知の事項に基いて当業者が容易に想到し得たといえる。 よって、本件発明9は、引用発明A及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明10について ア 対比 本件発明10と引用発明Bを対比する。 (ア)引用発明Bにおいて、「直流モータ及び歯車減速機はマシンベース15及びボルト14によって一体に接続され」ているから、上記「マシンベース15」は、「直流モータ及び歯車減速機」を支持するハウジングとしての機能を有するものといえる。 また、刊行物1の摘示(1a)の「モータカバー5は、ボルト14によってマシンベース15に固定されている。・・・両者はモータ部分の支持部材を構成している。」、「マシンベース15は、ボルトを介してカバー38と一体に接続され、減速機歯車駆動の支持部分である。」との記載を参酌しつつ、摘示(1c)の図1の記載を併せみると、引用発明Bの「カバー38及びモータカバー5」についても、引用発明Bの「直流モータと歯車減速機とを含む電動車駆動器」における「直流モータ及び歯車減速機」を支持するハウジングとしての機能を有するものといえる。 そうすると、引用発明Bの「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5」は、本件発明10の「ハウジング」に相当するといえる。 (イ)引用発明Bの「中軸30」は、その技術的意味、構造からみて、本件発明10の「クランクシャフト」に相当する。 したがって、引用発明Bの「マシンベース15及びカバー38を貫通して配置されて」いる「中軸30」は、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明1の「前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフト」に相当するといえる。 (ウ)引用発明Bの「直流モータ」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」いるから、上記(ア)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に配置されるモータ」に相当するといえる。 (エ)引用発明Bの「中軸30の中心軸線に対して平行に延びる第1小歯車軸23」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」いるから、上記(ア)(イ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸」に相当するといえる。 (オ)引用発明Bの「電機子12と、電機子トレイ8」は、モータの技術常識に照らし、ロータとしての機能を有するものであることが明らかであり、「電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であ」ることから、かかる「モータ歯車軸6」は、ロータとして機能する電機子12及び電機子トレイ12とともに回転するといえる。 そうすると、引用発明Bの「モータ歯車軸6」は、本件発明10の「出力軸」に相当し、引用発明Bの「モータ歯車軸6に配置される歯車」は本件発明10の「出力歯車」に相当するといえる。 上記(イ)(ウ)での相当関係をも踏まえると、引用発明Bの「直流モータは、ヨーク13と、電機子12と、電機子トレイ8と、中軸30の中心軸線に対して平行に延びるモータ歯車軸6と、前記モータ歯車軸6に配置される歯車とを含んでおり、電機子12は電機子トレイ8に粘着固定され、電機子トレイ8はモータ歯車軸6に固定され、モータ歯車軸6は回転可能であり」という構成は、本件発明10の「前記モータは、ロータと、前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、前記出力軸に配置される出力歯車とを含み」という構成に相当するといえる。 (カ) i)引用発明Bの「第1大歯車20」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」おり、「第1小歯車軸23と一体に連結され、モータ歯車軸6に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する」ものであるから、上記(ア)(エ)(オ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車」に相当するといえる。 ii)引用発明Bの「第1小歯車軸23に配置される歯車」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」構成されるものであるから、上記(ア)(エ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車」に相当するといえる。 iii)引用発明Bの「第2大歯車24」は、「マシンベース15、カバー38及びモータカバー5により囲まれた領域内に」、「位置して」おり、「中軸30の軸方向において第1大歯車20よりも直流モータから離れて出力軸スリーブ36と一体に連結され、第1小歯車軸23に配置される歯車と噛み合い、当該歯車よりも多い歯を有する」ものである。 ここで、本件発明10の「クランクシャフトに配置され」る「被駆動歯車」は、本件明細書の【0082】の「被駆動歯車104は、クランクシャフト54と同軸に配置され」との記載から、クランクシャフトと同軸に配置されていれば足りると解されるところ、引用発明Bの「第2大歯車24」は、図1(摘示(1c)より、中軸30と同軸に配置されているといえる。 そうすると、引用発明Bの「第2大歯車24」は、上記(ア)(イ)での相当関係及び上記ii)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車」に相当するといえる。 iv)上記i)ii)iii)で述べた「第1大歯車20」、「第1小歯車軸23に配置される歯車」及び「第2大歯車24」は、「電動車駆動器」に備えられるものであるから、かかる「電動車駆動器」は、本件発明10の「駆動ユニット」に相当するといえる。 (キ)引用発明Bの「第2大歯車24と直流モータ」は、その「一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であ」るから、「第2大歯車24」と「直流モータ」の一方を本件発明10の「第1部材」、他方を「第2部材」として特定することができる。また、引用発明Bの「第1大歯車20が最も径が小さい部材であ」るから、「第1大歯車20」は、本件発明10の「第3部材」として特定することができる。 そうすると、引用発明Bの「直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材であ」りという構成は、上記(イ)(ウ)(カ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり」という構成に相当するといえる。 (ク)引用発明Bの「中軸30の軸方向から見た場合、第2大歯車24の少なくとも一部は、直流モータと重なり、第1大歯車20の少なくとも一部は、第2大歯車24と直流モータとが重なる領域に重なり、第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分Dと、直流モータの回転中心と第1大歯車20の回転中心とを結ぶ線分Eと、第1大歯車20の回転中心と第2大歯車24の回転中心とを結ぶ線分Fとにより、三角形が形成され、線分Dが、線分E及び線分Fよりも長い」という構成は、上記(イ)(ウ)(カ)(キ)での相当関係をも踏まえると、本件発明10の「前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長く」という構成に相当するといえる。 (ケ)引用発明Bの「電動車駆動器を有する電動アシスト自転車」は本件発明10の「駆動ユニットを備える電動補助自転車」に相当する。 以上を総合すると、本件発明10と引用発明Bとは、 「駆動ユニットを備える電動補助自転車であって、 前記駆動ユニットは、 ハウジングと、 前記ハウジングを貫通して配置されるクランクシャフトと、 前記ハウジング内に配置されるモータと、 前記ハウジング内に配置され、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる伝達軸とを備え、 前記モータは、 ロータと、 前記ロータとともに回転し、前記クランクシャフトの中心軸線に対して平行に延びる出力軸と、 前記出力軸に配置される出力歯車とを含み、 前記駆動ユニットは、さらに、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置され、前記出力歯車と噛み合い、前記出力歯車よりも多い歯を有する第1伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記伝達軸に配置される第2伝達歯車と、 前記ハウジング内に位置し、前記クランクシャフトに配置され、前記第2伝達歯車と噛み合い、前記第2伝達歯車よりも多い歯を有する被駆動歯車とを備え、 前記モータ、前記第1伝達歯車及び前記被駆動歯車のうち、前記クランクシャフトの軸方向から見たときの径が最も大きい部材を第1部材とし、その次に径が大きい部材を第2部材とし、最も径が小さい部材を第3部材とした場合、 前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記被駆動歯車であり、 前記クランクシャフトの軸方向から見た場合、 前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材と重なり、 前記第3部材の少なくとも一部は、前記第1部材と前記第2部材とが重なる領域に重なり、 前記第1部材の回転中心と前記第2部材の回転中心とを結ぶ第1線分と、前記第2部材の回転中心と前記第3部材の回転中心とを結ぶ第2線分と、前記第3部材の回転中心と前記第1部材の回転中心とを結ぶ第3線分とにより、三角形が形成され、 前記第1線分が、前記第2線分及び前記第3線分よりも長い、 電動補助自転車。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点I〕 本件発明10は、「前記被駆動歯車は、前記駆動スプロケットが取り付けられる取付軸を含み」構成されているのに対し、引用発明Bは、そのように特定されていない点。 〔相違点II〕 本件発明10は、「前記第1部材は、前記被駆動歯車であり、前記第2部材は、前記モータであり、前記第3部材は、前記第1伝達歯車であ」り、また、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり」として構成されるものであるのに対し、引用発明Bは、「直流モータ、第1大歯車20及び第2大歯車24を、中軸30の軸方向から見たときに、第2大歯車24と直流モータの一方が径が最も大きい部材であり、他方が径が次に大きい部材であり、第1大歯車20が最も径が小さい部材であり」、また、上記「中軸30の軸方向から見たとき」の、「線分D」に対する「第1大歯車20」の配設位置は特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点IIについて検討する。 (ア)本件発明10は、「最も径が小さい部材」である「第3部材」の配設位置が、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり」とされるものである。 そこで、引用発明Bにおける「最も径が小さい部材」である「第1大歯車20」の配設構造を検討するに、刊行物1の図1には、引用発明の「電動車駆動器」に係る正面断面図が示され、同図2には、上記「電動車駆動器」に係る左側面図が示され、同図3には、上記「電動車駆動器」を設けた実施例1としての電動自転車が示され、同図4には、上記「電動車駆動器」を設けた実施例2としての電動アシスト自転車が示されている(摘示(1b)(1c))。 上記図2(摘示(1c))に示される「電動車駆動器」に係る左側面図(当審で作成した参考図2(摘示(1d))も参照)によれば、引用発明Bにおける「第1大歯車20の回転中心」は、「第2大歯車24の回転中心と直流モータの回転中心とを結ぶ線分D」に対し「下方」に配置されていることが見て取れる。さらに、上記図3及び図4に示される各実施例の「電動アシスト自転車」に対する上記「電動車駆動器」の配設態様によっても、上記図2に示される「電動車駆動器」における各回転中心の相対位置関係は、概ねその状態を維持した状態で取り付けられていることが見て取れることから、引用発明Bは、「第1大歯車20の回転中心」を、上記「線分D」より「下方」に配置するように設計されたものと解するのが自然である。そして、刊行物1には、「第2大歯車24」及び「直流モータ」に対する「第1大歯車20」の配設位置を任意に設定し得る旨の記載ないし示唆はなく、まして、「線分D」に対する「第1大歯車20」の配設位置が任意である旨の記載ないし示唆もないから、引用発明において、「第1大歯車20の回転中心」を、上記「線分D」より「上方」に配置するまで想定されていると解すべき合理性はない。 また、刊行物2(摘示(2a)(2b))には、電動アシスト自転車の踏力検出装置に関し(【0001】)、電圧信号によりモータOの動力出力を制御し、モータの原動軸前端の歯車Pで歯車Q、R、Sで組成された減速システムを駆動すること(【0011】)、及び、モータOの外径より歯車Sの外径を大きくすること(図1、3、4)が記載され、刊行物3(摘示(3a)(3b))には、電動モータ等の補助動力ユニットが装着された自転車用補助動力装置に関し(【0001】)、一方向クラッチを構成するラチェット23および爪13を設けること(【0015】、図4)、及び、ギヤ21(被駆動歯車)のボス部に延設される中空軸22に出力スプロケット8が接続されること(【0015】、図4)が記載され、刊行物4(摘示(4a)(4b))には、踏力に応じてモータ出力を増減させる電動自転車用駆動装置に関し(【0001】)、一方向クラッチ22を設けること(【0019】、図3)、及び、小径部10a、大径部10bから構成される合力軸10の小径部10aにスプロケット9が固定されること(【0018】、図3)が記載されているが、それら刊行物のいずれにも、上記相違点IIに係る本件発明10の「最も径が小さい部材」である「第3部材」の配設位置が、「前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第3部材の回転中心は、前記第1線分より上方にあり」とされる構成は記載されていない。 したがって、引用発明Bに上記刊行物2~4に記載された技術事項を適用しても、上記相違点IIに係る本件発明10の構成には至らない。 (イ)申立人の主張 申立人は、令和1年11月15日付けの意見書(25頁8~11行)で、刊行物1において、第3部材の回転中心の位置を限定する記載はなく、第3部材の回転中心の位置を第1線分の下方に配置しなければならない理由は記載されていないから、訂正発明10は、当業者であれば、刊行物1に記載の発明に基いて、容易に想到し得るものである、旨主張する。 しかし、上記(ア)で述べたとおり、刊行物1の図2に示される「電動車駆動器」における各回転中心の相対位置関係は、概ねその状態を維持した状態で取り付け設計されたものと解するのが自然であり、刊行物1には、「第2大歯車24」及び「直流モータ」に対する「第1大歯車20」の配設位置を任意に設定し得る旨の記載ないし示唆はなく、まして、「線分D」に対する「第1大歯車20」の配設位置が任意である旨の記載ないし示唆もないから、引用発明において、「第1大歯車20の回転中心」を、上記「線分D」より「上方」に配置することが容易想到ということはできない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (ウ)小括 以上のとおり、上記相違点IIに係る本件発明10の構成は容易想到といえないことから、上記相違点Iを検討するまでもなく、本件発明10は引用発明B及び上記刊行物2~4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、ということはできない。 また、本件発明10は、引用発明Bと上記相違点I及びIIで相違するものであるから、刊行物1に記載された発明(甲1発明B)である、ということもできず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するものでもない。 (8)本件発明11及び12について 本件発明11及び12は、本件発明10の発明特定事項を全て含み、さらに限定して発明を特定したものであるから、本件発明10と同様に、引用発明B及び上記刊行物2~4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、ということはできない。 また、本件発明11及び12は、刊行物1に記載された発明(甲1発明B)である、ということもできず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するものでもない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1~9に係る特許は、特許法第29条及び第29条の2の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 本件発明10~12に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に、本件発明10~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定をする。

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2018-700612

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