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特許異議申立

2016-700009

白色反射材及びその製造方法

審判番号
2016-700009
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2011-519952
登録番号
特許第5746620号(P5746620)
請求日
2016年01月08日
審決日
2018年07月24日
公報発行日
2019年01月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社朝日ラバー
  • 【権利者代理人】特許業務法人眞久特許事務所
  • 【権利者代理人】小宮 良雄
  • 【権利者代理人】大西 浩之
  • 【異議申立人】山▲崎▼ 浩一郎
審判長/審判官
  • 審判長 森 竜介
  • 審判官 山村 浩
  • 審判官 居島 一仁
分類
P1651.121-YAA(H01L) / P1651.851-YAA(H01L) / P1651.536-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L) / P1651.113-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項第2号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5746620号発明「白色反射材及びその製造方法」の特許異議申立事件についての平成29年5月11日付け決定に対して、知的財産高等裁判所が、平成30年3月29日、上記決定中、「特許第5746620号の請求項1ないし17に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す旨の判決を言い渡し、この判決が確定したので、さらに審理の上、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5746620号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正することを認める。 特許第5746620号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第5746620号の請求項1~17に係る特許についての出願(特願2011-519952号)は、平成22年6月25日に国際特許出願(国内優先権主張平成21年6月26日、平成22年3月23日)されたものであって、平成27年5月15日付けで設定登録がなされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人山崎浩一郎により請求項1ないし17に対して特許異議の申立てがなされたものである。以後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 3月 1日:取消理由通知(同年3月4日発送) 平成28年 5月 2日:訂正請求書・意見書 平成28年 6月30日:通知書(同年7月5日発送) 平成28年 8月 4日:意見書(特許異議申立人) 平成28年11月24日:取消理由通知 (決定の予告、同年11月29日発送) 平成29年 1月30日:訂正請求書・意見書 平成29年 2月 6日:通知書(同年2月9日発送) 平成29年 3月13日:意見書(特許異議申立人) 平成29年 3月31日:手続補正書(平成29年1月30日付け訂正請 求書の補正) 平成29年 5月11日:異議の決定 平成29年 5月22日:異議の決定の特許権者への送達 平成29年 6月16日:決定取消訴訟提起 (平成29年(行ケ)第10130号) 平成30年 3月29日:上記決定の一部取消判決の言渡 平成30年 4月16日:上記判決の確定 以下、平成29年5月11日付け異議の決定を「一次決定」といい、平成30年3月29日に言い渡された上記判決を、単に「判決」という。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成29年1月30日付けの訂正請求(平成29年3月31日付けの手続補正後のもの。以下「本件訂正請求」という。)は、明細書、特許請求の範囲を訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~17について訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項1~7からなる。(当審注:下線は、請求人が付したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」 とあるのを、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」 に訂正(以下「訂正事項1-1」という。)し、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分に」 とあるのを、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、」 に訂正(以下「訂正事項1-2」という。)し、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」 とあるのを、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した」 に訂正(以下「訂正事項1-3」という。)し、 「ショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって」 とあるのを、 「ショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である、厚さ2μm~5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって」 に訂正(以下「訂正事項1-4」という。)し、 「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」と 「何れかの方法で架橋硬化して、」と 「何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、」と 「立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、」 で改行する訂正(以下「訂正事項1-5」という。また、訂正事項1-1~訂正事項1-5をまとめて「訂正事項1」という。)をする。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」 とあるのを、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」 に訂正(以下「訂正事項2-1」という。)し、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分に」 とあるのを、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、」 に訂正(以下「訂正事項2-2」という。)し、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」 とあるのを、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した」 に訂正(以下「訂正事項2-3」という。)し、 「前記支持体上に前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので」 とあるのを、 「前記支持体上に厚さ2μm~5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので」 に訂正(以下「訂正事項2-4」という。)し、 「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を」 とあるのを 「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」 にして改行する訂正(以下「訂正事項2-5」という。)をし、 「何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、」と 「膜状又は板状の白色反射材を形成することによつて、」 とで改行する訂正(以下「訂正事項2-6」という。また、訂正事項2-1~訂正事項2-6をまとめて「訂正事項2」という。)をする。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」 とあるのを、 「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」 に訂正(以下「訂正事項3-1」という。)し、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」 とあるのを、 「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分」 に訂正(以下「訂正事項3-2」という。)し、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」 とあるのを、 「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した」 に訂正(以下「訂正事項3-3」という。)し、 「該組成物を白色反射材へ架橋硬化して」 とあるのを、 「該組成物を厚さ2μm~5mmの白色反射材へ架橋硬化して」 に訂正(以下「訂正事項3-4」という。)し、 「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を」 とあるのを 「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」 にして改行する訂正(以下「訂正事項3-5」という。また、訂正事項3-1~訂正事項3-5をまとめて「訂正事項3」という。)をする。 (4)訂正事項4 明細書の段落0013を、訂正事項1~3と整合させるように、訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落0081に、 「このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は…網目状に三次元的に架橋するというものである。」 とあるのを、 「このようなシリコーンは、三次元架橋したシリコーンであり、この三次元架橋をするポリシロキサン化合物は…網目状に三次元的に架橋するというものである。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落0094に、 「前記シリコーンレジン成分」 とあるのを、 「シリコーン樹脂成分」 に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落0100に、 「シリコーンレジン(商品名SR-7010:東レ・ダウコーニング株式会社)」 とあるのを 「シリコーンレジンSR-7010(商品名:東レ・ダウコーニング株式会社)」 に訂正する。 2 当審の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的の適否 訂正事項1-1は、「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物である」ことを明瞭にする訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 訂正事項1-2は、「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物である」であることを明瞭にするとともに、「シリコーンゴム成分」のあとに読点を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 訂正事項1-3は、「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」の含有量を特定する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 訂正事項1-4は、「立体形状、膜状、又は板状の成形体」の厚さを特定する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項1-5は、読点の後に改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 願書に添付した明細書には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付加した。以下、同様である。)。 (ア)「【0014】 請求項5に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1~4の何れかに記載されたものであって、前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05~50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5~400質量部含有されていることを特徴とする。」 (イ)「【0053】 (3) パッケージ成形体部材の作製: 一方、前記と同様の未架橋のシリコーン樹脂成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末と必要に応じシランカップリング剤とを含有するシリコーン組成物を下金型に注入し、上金型を閉じて加熱架橋させることによって、酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材であるパッケージ成形体部材10を、成形する … 【0057】 本発明の白色反射材は、アルミ板のような異なる材質からなる支持体17上にシリコーン組成物を塗布することで形成された膜状の白色反射材16であってもよい。また、フイルムシート状に成形された膜状の白色反射材16であってもよく、… … 【0059】 これらの白色反射材16の厚さは用途に応じて適宜調整される。通常2μm~5mmの範囲で調整され、好ましくは5μm~2000μmであり、10μm~100μmであると更に好ましい。厚みが薄すぎると、隠蔽度が低下し、適切な反射率は得られない。また、厚すぎると反射材表面特性はそれ以上向上しないので、機械的な特性を望む以外は、それ程厚さは必要はない。」 (ウ)「【0070】 本発明におけるシリコーン組成物は、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分100質量部に対し、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが5~400質量部含まれていることが好ましい。このシリコーン組成物を用いて形成された本発明の白色反射材は、5質量部より少ないと十分な反射が得られず、特に長波長領域において反射率の低下が生じ、一方、400質量部を超えると酸化チタンの分散が困難になる。」 (エ)「【0078】 本発明の白色反射材に用いられるシリコーン樹脂又はシリコーンゴムとしては、特に限定されず、硬質シリコーン樹脂、軟質シリコーン樹脂、硬質シリコーンゴム、軟質シリコーンゴムが用いられる。一例としてポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)で例示されるポリシロキサン化合物が挙げられる。 … 【0081】 このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、…、網目状に三次元的に架橋するというものである。」 上記(エ)によれば、シリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分としての架橋性のポリシロキサン化合物が記載されている。よって、訂正事項1-1、訂正事項1-2は、何れも、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 上記(ア)によれば、酸化チタンを、未架橋のシリコーン樹脂又はシリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含まれることが記載されており、また、上記(ウ)によれば、酸化チタンは、アナターゼ型又はルチル型酸化チタンであることが記載されている。よって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 上記(イ)によれば、パッケージ成形体部材や膜状である白色反射材は、その厚さが通常2μm~5mmの範囲で調整されることが記載されている。よって、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 訂正事項1-5は、改行を挿入する訂正であって、技術的事項を実質的に変更するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項1-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的の適否 訂正事項2-1~訂正事項2-4は、上記訂正事項1-1~訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、該訂正は、上記(1)アと同様に、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項2-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 さらに、訂正事項2-6は、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項2-1~訂正事項2-4は、訂正事項1-1~訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、上記(1)イと同様に、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 また、訂正事項2-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、技術的事項を実質的に変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項2-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 そして、訂正事項2-6は、改行を挿入する訂正であって、技術的事項を実質的に変更するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項2-6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項2は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的の適否 訂正事項3-1~訂正事項3-4は、訂正事項1-1~訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、該訂正は、上記(1)アと同様に、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項3-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項3-1~訂正事項3-4は、訂正事項1-1~訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、上記(1)イと同様に、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 また、訂正事項3-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、技術的事項を実質的に変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項3-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項3は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法120条の5第9項で準用する126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1~訂正事項3と整合させるものであるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1~訂正事項3と整合させるものであるから、上記(1)イ、(2)イ、(3)イで検討したとおり、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1~3と整合させるものであるから、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的の適否 本件の願書に添付した明細書には、シリコーンに関して以下の記載がある。 「【0077】 本発明の白色反射材は、酸化チタンと共に、アルミナや硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、シリカ(結晶性シリカ・溶融シリカ)、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムのような無機白色顔料を、放熱用途や紫外線反射用途などに応じて適宜添加してもよい。シリコーンにアルミナや硫酸バリウムのような無機白色顔料のみを分散可能な最大量を含有させても、光の漏出を生じてしまうが、このような無機白色顔料と酸化チタンとが共存していると、光の漏出が無くなり反射率が高くなることに加えて、放熱機能や紫外線反射機能などの機能が付加されて好ましい。 … 【0081】 このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。」 上記【0077】の記載によれば、シリコーンは、無機白色顔料、酸化チタンとともに白色反射材を構成するものであり、ポリシロキサン化合物が三次元架橋したものと解される。そうすると、訂正事項5は、誤記を訂正するものであり、該訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 上記アで引用した本件の願書に添付した明細書の【0077】、【0081】の記載は、願書に最初に添付した明細書の【0077】、【0081】の記載と同一である。してみると、該訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項5は、明細書の段落0081の「三次元架橋するシリコーン」を、「三次元架橋したシリコーン」に誤記訂正するものであり、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的の適否 本件の願書に添付した明細書には、以下の記載がある。 「【0093】 …次いで、ヒドロシリル基含有シリル基を有するシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型酸化チタンとが含まれているシリコーン原料組成物とで表面処理した金属箔の面を、接触させ、加熱して加硫すると、ビニルシリル基含有シリル基のビニルと、ヒドロシリル基含有シリル基のヒドロシリルとが付加型反応をする結果、金属箔と白色反射材とが強固な化学結合を介して付され確りと結合される。 【0094】 活性基がビニル基であるビニルメトキシシロキサンホモポリマーを用い金属膜に結合させ、反応性基がヒドロシリル基であるヒドロシリル基含有シリル基含有シリコーンゴム成分が含まれているシリコーン組成物を用いた例を示したが、活性基が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基であり、反応性基が、前記シリコーンゴム成分又は前記シリコーンレジン成分中のヒドロシリル基含有シリル基、ビニルシリル基含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの反応性シリル基であってもよい。活性基と反応性基との組み合わせは、何れかがヒドロシリル基含有シリル基である場合に他方がビニルシリル基含有シリル基であり、何れかがアルコキシシリル含有シリル基である場合に他方がアルコキシシリル含有シリル基又は加水分解性基含有シリル基であり、何れもが加水分解性基含有シリル基であるものが、挙げられる。」 上記記載によれば、【0094】におけるヒドロシリル基含有シリル基を有する「前記シリコーンゴム成分又は前記シリコーンレジン成分」のうち、「シリコーンゴム成分」は、【0093】に前出するものの、「シリコーンレジン成分」は【0094】以前には前出しない。ここで、【0093】の記載に照らせば、「シリコーンレジン成分」は「シリコーン樹脂成分」の誤記と認められる。そうすると、訂正事項6は、誤記を訂正するものであり、該訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 上記アで引用した本件の願書に添付した明細書の【0093】、【0094】の記載は、願書に最初に添付した明細書の【0093】、【0094】の記載と同一である。してみると、該訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項6は、明細書の段落0094の「前記シリコーンレジン成分」を、「前記シリコーン樹脂成分」に誤記訂正するものであり、特許請求の範囲に「前記シリコーンレジン成分」が特定されていないことを踏まえると、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的の適否 本件の明細書の【0100】には以下の記載がある。 「【0100】 (実施例1) シリコーンレジン(商品名SR-7010:東レ・ダウコーニング株式会社)100質量部に…」 上記記載によれば、「SR-7010」が括弧の中に記載されており、実施例1において用いられるシリコーンレジンが、「SR-7010」であるのか否か不明瞭であった。訂正事項7は、「シリコーンレジンSR-7010(商品名:東レ・ダウコーニング株式会社)」と訂正することにより、実施例1において用いられるシリコーンレジンが、東レ・ダウコーニング株式会社の商品名「SR-7010」であることを明瞭にするものである。よって、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 明細書には、上記アで摘記したとおりの記載があるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項7が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (8)一群の請求項について 請求項1ないし17は一群の請求項であるところ、訂正事項1ないし訂正事項3は、前記一群の請求項ごとに請求された特許請求の範囲の訂正であり、訂正事項4ないし7は、前記一群の請求項を対象とする明細書の訂正である。よって、本件訂正請求は特許法第120条の5第4項及び同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 (9)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号から第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。 第3 訂正発明 上記のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の訂正後の請求項1~17に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、 コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、 又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、 前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である、厚さ2μm~5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、 150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材を得ることを特徴とする白色反射材の製造方法。 【請求項2】 非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面に、架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、 スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、 前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である、膜状又は板状の白色反射材を形成することによって、 前記支持体上に厚さ2μm~5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。 【請求項3】 前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にしたことを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。 【請求項4】 非シリコーン樹脂からなる支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分にシランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、 スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を厚さ2μm~5mmの白色反射材へ架橋硬化して、前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80であって150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。 【請求項5】 前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05~50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5~400質量部含有されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項6】 前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。 【請求項7】 前記白色反射材は、厚さが5μm~2000μmの膜又は板であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項8】 前記白色反射材は、発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであることを特徴とする請求項1に記載の白色反射材の製造方法。 【請求項9】 前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項10】 前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいることを特徴とする請求項1~4に記載の白色反射材の製造方法。 【請求項11】 前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有することを特徴とする請求項1~4、10の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項12】 前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項13】 前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していることを特徴とする請求項12に記載の白色反射材の製造方法。 【請求項14】 前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項15】 前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項16】 前記白色反射材が、曲げ得ることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。 【請求項17】 前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていることを特徴とする請求項2~4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。」(以下、この順に「訂正発明1」等といい、「訂正発明1」ないし「訂正発明17」を併せて、「訂正発明」という。) 第4 取消理由の概要 平成28年5月2日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~17に係る発明に対して、当審が特許権者に通知した平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)の概要は以下のとおりである。 平成28年5月2日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~17に係る発明は、何れも、甲第1号証に記載された発明と周知の技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 甲第1号証:特開2001-207059号公報 甲第2号証:シリコーンとその応用、1988年版、東芝シリコーン株式会社編集・発行、23頁~24頁及び77頁~78頁 甲第3号証:特開2007-308581号公報 甲第4号証:特開2005-243795号公報 甲第5号証:特開2009-40884号公報 甲第6号証:ゴム・プラスチック軟質物硬さ計、株式会社テクロック、1頁~16頁(製品カタログ) 第5 取消理由についての判断 1 訂正発明1について (1)甲1発明 ア 甲第1号証(特開2001-207059号公報)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項1】(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、及び(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物。 【請求項2】請求項1に記載のシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は低粘度で低チキソ性の酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に関する。」 (ウ)「【0002】 【従来の技術】従来より酸化チタンは、着色剤としてシリコーン組成物に添加されてきたが、新しい用途として、例えば薄膜での遮光剤や、逆に反射剤としての要求がある。具体的には、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング等が挙げられる。これらの要求ニーズに合わせるためには、酸化チタンを多量に添加する必要がある。しかし、従来のようにシリコーンゴム組成物に酸化チタンを多量に添加すると、粘度やチキソ性が高くなり、このため組成物の取扱いが困難で、かつ十分な作業性が得られなかった。」 (エ)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、酸化チタンを多量に含有するにも拘わらず、低粘度、低チキソ性で取扱いやすく、特に遮光剤や反射剤の用途での作業性が優れた酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を提供することである。」 (オ)「【0004】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するものとして、本発明は、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、及び(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。」 (カ)「【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (A)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン:成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合するアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有するもので、本発明組成物のベースポリマーとして使用される。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよい。中でも、硬化物の機械的強度等の物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アルケニル基は、分子鎖の両末端のみに存在していても、側鎖置換基として分子鎖の途中のみに存在していても、或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。 … 【0010】(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用される。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。… … 【0016】成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5~8モルとなるような量、好ましくは1~5モルとなるような量である。 【0017】(C)白金族金属系触媒:成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒である。このような白金族金属系触媒としては、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。… 【0018】成分(C)の使用量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、白金族金属の重量換算で、0.1~1,000ppm、特に0.5~500ppm程度でよい。 【0019】(D)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物で表面処理した酸化チタン:成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分である。 【0020】1(当審注:丸数字の1)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物 酸化チタン粉末の表面処理に用いるテトラアルコキシシランは、下記一般式(7): Si(OR3)4 (7) (式中、R3は独立に非置換又は低級アルコキシ置換のアルキル基である)で表わされる。 【0021】一般式(7)において、R3の非置換又は低級アルコキシ置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等の、通常炭素数1~12、好ましくは炭素数1~6程度のもの等が挙げられる。 【0022】このようなテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物としては、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上の残存アルコキシ基を有するシロキサン縮合物であればよく、例えば、下記平均組成式(8): [(OR3)3SiO1/2]K[(OR3)2SiO2/2]L[(OR3)SiO3/2]M[SiO4/2]N (8) (式中、R3は前記と同じであり、K、L、M及びNは、K+L+M+N=1、0.002≦K≦1、0≦L≦0.998、0≦M≦0.998及び0≦N≦0.35を満足する数である。)で表わされるもの等が挙げられ、特に代表的なものは、下記一般式(9): 【0023】 【化4】 (式中、R3は前記と同じであり、jは2以上の整数、好ましくは2~1,000、より好ましくは2~200の整数である。)で表わされるものである。このようなテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が150~100,000のものが好ましく、より好ましくは200~20,000のものである。 【0024】この表面処理剤としては、1種又は2種以上のテトラアルコキシシランを単独で使用しても、1種又は2種以上のテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を単独で使用してもよく、また、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを任意の割合で併用して使用してもよい。 【0025】2(当審注:丸数字の2)酸化チタン 表面処理に用いる酸化チタン粉末は公知のものでよい。一般的には、ルチル形及びアナターゼ形の2種類があるが、特に電子部品の遮光剤や反射剤の用途にはアルミニウムや有機物等で表面処理されていないものが好ましい。平均粒子径は通常0.05~10μm程度、好ましくは0.1~5μm程度でよく、用途により適宜選択することができる。なお、平均粒子径は、通常、例えば電子顕微鏡による測定や、レーザー光回折法による重量平均値(或いはメジアン径)等として求めることができる。 【0026】表面処理の方法としては、公知の湿式処理法又は乾式処理法を使用することができる。このような表面処理法の具体例としては、前記のテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。加熱・乾燥の条件は、例えば、50~200℃で0.5~10時間程度でよく、この時減圧処理を併用してもよい。 【0027】別の表面処理方法として、例えば前記成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられる。加熱処理の条件は、例えば80~200℃で0.5~10時間程度でよい。このように成分(A)の少なくとも一部と酸化チタン粉末とテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合して表面処理する方法は、後述するように成分(A)~(D)及び必要ならば他の添加剤成分を混合又は混練して本発明の組成物を製造する際に、前記混合又は混練工程において同時に酸化チタン粉末の表面処理が行えるので、省エネルギー及び工程時間短縮等による合理化が図れる点で好ましい。 【0028】前記のテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の使用量は、酸化チタン粉末の比表面積やその他の性状に合わせて適宜調節できるが、通常、酸化チタン粉末100重量部当たり、0.1~20重量部、好ましくは0.5~10重量部程度でよい。このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られる。 【0029】成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、通常15重量部以上、好ましくは15~300重量部、より好ましくは20~250重量部、特に好ましくは30~200重量部である。この量が少なすぎると、遮光性や反射効果が少なくなる場合がある。 【0030】その他の成分:本発明の組成物には、前記成分(A)~(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等が挙げられる。これらの無機フィラーの添加量は、(A)~(D)成分の合計量100重量部当たり、通常0~200重量部である。また、後述するように、特に組成物を2液型で使用する場合は、アセチレンアルコールや、アセチレンアルコールのシラン変性誘導体やシロキサン変性誘導体等の硬化抑制剤を添加することができる。更に、組成物の接着性を向上する目的で、前記成分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加することができる。 【0031】シリコーンゴム組成物及びその硬化物の製造法、用途:本発明の組成物は、基本的には、前記成分(A)~(D)及び必要に応じて添加剤成分を混合又は混練することにより製造される。この場合、通常の付加硬化型シリコーンゴム組成物と同様に、例えば、成分(A)の一部、成分(C)及び成分(D)と、成分(A)の残部及び成分(B)というように、前記の成分(A)~(D)を2液に分け、使用時にこれら2液を混合して硬化させる所謂2液型の組成物としてもよい。他の2液型の組成物としては、酸化チタン粉末を表面処理する際に、成分(A)の少なくとも一部と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合又は混練し、該混合物又は混練物を加熱処理したものを予め調製し、これを1液とし、他の成分を混合又は混練して別の1液としたものが挙げられる。また、成分(A)~(D)を少量の硬化抑制剤と共に混合又は混練して所謂1液型の組成物としてもよい。 【0032】本発明の硬化物は、このようなシリコーンゴム組成物を硬化して得られる。硬化条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば室温でも十分硬化するが、必要に応じ加熱してもよい。こうして得られる本発明の硬化物は、高い遮光性と反射特性を有しかつ低粘度、低チキソ性であるということから、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用できる。」 (キ)「【0033】 【実施例】実施例1 下記式: 【0034】 【化5】 (式中、nはこのシロキサンの25℃における粘度が1,000cP(センチポイズ)となるような数である。) 【0035】で表されるビニル基含有直鎖状ジメチルポリシロキサン100重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン粉末(純度98%、石原産業社製)120重量部及びテトラエトキシシラン3重量部を3本ロールで混練した後、プラネタリーミキサーを使用して、この混練物を更に160℃で3時間混練した。次に、この混練物にメチルハイドロジェンポリシロキサン〔ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)の含有量:0.7モル/100g〕8重量部((A)成分中のビニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比:4.5)及び塩化白金酸のオクチルアルコール変性物溶液(白金含有量:2重量%)0.02重量部を加えて撹拌し、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度(25℃での粘度、以下同様)をB型回転粘度計を用いて測定したところ、64P(ポイズ)であった。 【0036】得られた組成物について、下記方法に従って流動性(フロー値)、硬化物のゴム物性及び他の特性、薄膜の光透過性を測定した。結果を表1に示す。 <流動性(フロー値)>上記組成物1gをガラス板上に正確に計量し、該ガラス板ごと水平台上に室温で30分間放置し、次いで150℃で30分間加熱硬化させた後、組成物の直径をノギスで測定した。 <硬化物のゴム物性>上記組成物を150mm×100mm×2mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱してシート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じてゴム物性(硬さ、引張り強さ、伸び)を測定した。なお、硬さはスプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用して測定した。 <硬化物の電気特性>上記組成物を150mm×100mm×1mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じて体積抵抗率を測定した。 <硬化物の耐熱性>前記ゴム物性の測定に使用したものと同様のシート状の硬化物を250℃で24時間加熱した後の硬さ、及び同温度で48時間加熱した後の硬さをJIS K6249に準じて測定した(スプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用)。 【0037】<硬化物の接着性>上記組成物を、電気・電子部品に用いられる、150mm×100mm×1mmのニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物について、これをミクロスパチラを用いて基板から剥ぎ取る際に、凝集破壊(硬化物の断面で破壊したもの)の部分と界面剥離(硬化物と基板との接着界面で破壊したもの)の部分との割合(面積比)を観察し、下記基準で接着性を評価した。 ○:凝集破壊率が80%を越えるもので、良好に接着する。 △:凝集破壊率が20~80%のもので、接着する。 ×:凝集破壊率が20%未満のもので、殆ど接着しない(容易に剥離する)。 <薄膜の遮光性(光透過率)>離型剤をコーティングしたガラス板上に各厚さのスペーサーを置き、上記組成物をポッティング、真空脱泡した後、150℃で4時間硬化して得られた厚さ50μm、100μm又は200μmの薄膜について、分光光度計により800nmでの光透過率を測定(リファレンスは空気)した。 【0038】実施例2 テトラエトキシシランに代えてテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(SiO2含有量:40重量%)[コルコート(株)製、商品名エチルポリシリケート40T]2重量部を使用した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、60P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。 【0039】実施例3 テトラエトキシシランに代えてテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物[重量平均分子量(Mw):788]2重量部を使用した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、61P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。 【0040】実施例4 酸化チタン粉末を60重量部に減量した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、41P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。 【0041】実施例5 酸化チタン粉末を20重量部に減量した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、25P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。 … 【0047】 【表1】 」 イ 甲1発明の認定 上記ア(ア)【請求項2】によれば、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物が記載されているところ、上記ア(カ)【0031】に記載のとおり、「硬化物の製造法」が開示されている。そこで、硬化物の製造法に関し、以下、甲1発明を認定する。 (ア)上記ア(ア)によれば、 「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (C)白金族金属系触媒、及び (D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上 を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法。」 が開示されている。 (イ)上記ア(カ)【0005】によれば、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよいものである。 (ウ)上記ア(カ)【0010】によれば、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよいものである。 また、上記ア(カ)【0016】によれば、成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5~8モルとなるような量、好ましくは1~5モルとなるような量である。 (エ)上記ア(カ)【0017】によれば、成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒であり、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。 (オ)上記ア(カ)【0019】によれば、成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分である。 また、上記ア(カ)【0025】によれば、酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05~10μm程度でよい。 そして、上記ア(カ)【0026】、【0027】によれば、上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられる。 さらに、上記ア(カ)【0028】によれば、このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られる。 (カ)上記ア(カ)【0029】によれば、成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、好ましくは15~300重量部である。 (キ)上記ア(カ)【0030】によれば、前記成分(A)~(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等を添加することができる。 (カ)上記ア(ウ)【0002】、上記ア(カ)【0032】によれば、上記イ(ア)の硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である。 (キ)以上によれば、甲第1号証には以下の発明が開示されている。 「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (C)白金族金属系触媒、及び (D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上 を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法であって、 成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよく、 成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく、成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5~8モルとなるような量、好ましくは1~5モルとなるような量であり、 成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒であり、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用でき、 成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分であり、 上記酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05~10μm程度でよく、 上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ、 このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ、 成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、好ましくは15~300重量部であり、 前記成分(A)~(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等を添加することができ、 上記硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である、 酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法。」(以下「甲1発明」という。) (2)対比(訂正発明1) 訂正発明1と甲1発明を対比する。 (ア)訂正発明1の 「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」 と、甲1発明の 「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (C)白金族金属系触媒、及び (D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上 を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」であって、 「成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され」、 「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、…、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく」、 「上記酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05~10μm程度でよく」、 「上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ、このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ」る「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」を対比する。 a 甲1発明の「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン」は、「組成物のベースポリマーとして使用され」るものであるから、甲1発明の「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン」は、訂正発明1の「架橋性ポリシロキサン化合物」に相当し、甲1発明の「ルチル型又はアナターゼ型でよ」い「酸化チタン粉末」は、訂正発明1の「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」に相当する。 b 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、訂正発明1の「酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」に相当し、甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」が含有する「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン」は、訂正発明1の「シリコーンゴム成分」に相当する。 c 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、加熱して硬化物を得てよいところ、得られる硬化物は、「シリコーンゴム」である。そして、「架橋材として使用される」「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン」が「三次元網状構造の樹脂状物」でよいことは、架橋硬化した「シリコーンゴム」が網目構造を有してよいことである。 d 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、「低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物」であるから、「液状又は塑性」の組成物である。そうすると、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」から「酸化チタン粉末」と「白金族金属系触媒」を除いたシリコーンゴムになる成分も「液状又は塑性」である。 e 甲1発明は、「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」の表面処理(以下「甲1表面処理」ということがある。)に関して、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理」するものであって、「上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ」ることを特定している。 そうすると、まず、甲1発明は、「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」が「表面処理された」というところまでは備える。 しかし、甲1表面処理は、訂正発明1の「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2で」された「表面処理」ではないから、甲1発明は、「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2」「で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えない。 次に、甲1発明が、「SiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えるか否かにつき、一次決定がこれを備えると認定したのに対し、判決は、甲1発明の酸化チタン粉末の表面に形成されるシロキサンの被膜が、SiO2の被膜とは認められず、よって、甲1発明における「表面にシロキサンの被膜が形成され」た「酸化チタン粉末」は、訂正発明1の「SiO2で表面処理された…酸化チタン粒子」に相当しない旨判示した。この判示事項は当審を拘束するから、当審は、甲1発明が「SiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えないと認定する。 以上をまとめると、甲1発明は、訂正発明1の「表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えるが、その「表面処理」は、「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2又はSiO2で」された「表面処理」ではない。 f 以上によれば、両者は、 「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した液状又は塑性の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」 という限度で一致する。 (イ)訂正発明1の 「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、 又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化」 することと、甲1発明の酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を 「硬化し」 て硬化物を得ることを対比する。 甲1発明の「硬化」は、架橋硬化であるから、両者は、「架橋硬化」する点で一致する。 (ウ)訂正発明1の 「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である、厚さ2μ~5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形する」 と、甲1発明の 「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、…、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく」、「上記硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である」 ことを対比する。 a 甲1発明は、架橋剤として使用される「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン」が「三次元網状構造の樹脂状物」でよいことを踏まえると、三次元網目構造中に「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」が取り込まれていることが示唆されているといえる。したがって、甲1発明は、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」のうち、「前記網目構造中に表面処理された」「酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴム」を備える。 しかしながら、甲1発明は、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」の「前記酸化チタン粒子」のうち、「前記」に当たる部分を備えない。すなわち、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」における「前記酸化チタン粒子」は、「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を意味すると解されるから、上記(ア)eでしたところの、甲1表面処理は訂正発明1の「表面処理」とは異なるとの議論と同様の議論が成り立つ。 以上をまとめると、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」と甲1発明の「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」が含まれている「三次元網状構造の樹脂状物」とは、「前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴム」という限度で一致するということになる。 b 甲1発明の硬化物は、その用途が「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」であることを踏まえると、甲1発明の硬化物は、「立体形状、膜状、又は板状の成形体」である。 c してみると、両者は、 「前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴムである、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形する」 という限度で一致する。 (エ)訂正発明1の「150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材」と、甲1発明の用途が「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等であ」る「硬化物」を対比する。 甲1発明の「硬化物」は、「酸化チタン粉末」を含有しており、その用途が「反射剤」や「反射コーティング」であることを踏まえると、甲1発明の「硬化物」は、訂正発明1の「白色反射材」に相当する。 (オ)訂正発明1の「白色反射材の製造方法」と、甲1発明の「硬化物の製造法」を対比する。 上記(エ)で検討したとおり、甲1発明の「硬化物」は訂正発明1の「白色反射材」に相当する。してみると、両者は相当関係にある。 (カ)以上によれば、訂正発明1と甲1発明は、 「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した液状の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、 架橋硬化して、 前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴムである、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、 前記成形体からなる白色反射材を得る白色反射材の製造方法。」 という限度で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-1:「架橋硬化」する際に、訂正発明1では、「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、」架橋硬化しているのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」に用いる「硬化物」は、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」を、どのように成形や塗布をして架橋硬化しているのか、明らかでない点。 相違点1-2:前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度に関し、訂正発明1では、「表面処理された酸化チタン粒子」が「前記酸化チタン粒子」、すなわち、「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」であり、かつ、「ゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80である」のに対し、甲1発明では、「表面処理された酸化チタン粒子」がそうではなく、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」された「酸化チタン粒子」であり、ゴム硬度は特定されていない点。 相違点1-3:白色反射材が、訂正発明1では「150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である」のに対し、甲1発明は、そのようなものなのか否か、明らかでない点。 相違点1-4:酸化チタン粒子の含有量に関し、訂正発明1では、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5~400質量部含有」しているのに対し、甲1発明では、「成分(A)『一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン』100重量部当たり、好ましくは15~300重量部含有している」点。 相違点1-5:成形体の厚さに関し、訂正発明1では、「厚さ2μm~5mm」であるのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」の用途に用いられる硬化物であるものの、その具体的厚さは明らかでない点。 相違点1-6:「表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」の「表面処理」に関し、訂正発明1は「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理された」ものであるのに対し、甲1発明はそうではなく、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」されたものである点。 (3)判断 ア 相違点1-6について 本件の事案に鑑み、相違点1-6から判断する。 (ア)甲1発明の技術的意義は次のとおりである。 甲1発明が解決しようとする課題は、シリコーンゴム組成物に酸化チタンを多量に添加すると、粘度やチキソ性が高くなり、このため組成物の取扱いが困難で、かつ十分な作業性が得られなかったというものと認められる(甲第1号証の【0002】・【0003】(上記(1)ア(ウ)及び(エ))。そして、甲1発明は、その課題を解決するために、酸化チタン粉末を「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」(甲1表面処理)されたものとするものであり、その結果、「酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ」るものであると認められる。 (イ)上記(ア)で認定した甲1発明の技術的意義からすれば、甲1発明における甲1表面処理は、上記課題を解決するための構成にほかならないとともに、上記課題を解決するための構成として不可欠のものでもあると認められる。 そうすると、甲1発明の酸化チタン粉末に対してなされる表面処理として、甲1表面処理に代えて、相違点1-6の「シランカップリング剤、Al2O3、ZrO2、又はSiO2で表面処理」するようにすることについては、特段の事情がない限り、動機付けが存在するとはいえず、むしろ、阻害要因があるというべきである。 (ウ)そこで、異議申立人から提出された甲第2号証~甲第8号証が、上記(イ)でいう特段の事情を示すものかを検討すると、以下のとおり、そのような証拠はない。 a 甲第2号証 甲第2号証は、「シリコーンとその応用」との表題の刊行物であって、シリコーンの物理的性質について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。 したがって、甲第2号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 b 甲第3号証 甲第3号証は、「付加効果型シリコーンゴム組成物の硬化方法及び付加効果型シリコーンゴム組成物」を名称とする発明についての公開特許公報であって、シリコーンゴム組成物について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。 したがって、甲第3号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 c 甲第4号証 (a)甲第4号証は、「光半導体装置」を名称とする発明についての公開特許公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。 「【請求項1】 パッケージ内部に、光半導体素子が載置されたリードフレームを有する低熱抵抗の光半導体装置に於いて、 前記パッケージは、耐熱性と耐光性とを共に有する高熱伝導な樹脂から成る一方向が開放した中空容器状に形成され、 該中空容器状の内側底部に前記リードフレームの前記光半導体素子が載置された側を露出させて設置された胴体と、 該胴体の内側に充填された耐熱性と耐光性とを共に有する透明な樹脂から成る事を特徴とする光半導体装置。 【請求項2】 前記胴体は耐熱性と耐光性とを共に有する低熱抵抗な白色の熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。 【請求項3】 前記胴体は耐熱性と耐光性とを共に有する低熱抵抗な透明な熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。 【請求項4】 前記透明な樹脂は耐熱性と耐光性とを共に有する熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。」 (b)そうすると、甲第4号証には、光半導体装置に用いる樹脂が熱硬化性シリコーン樹脂であることが開示されていると認められる。しかしながら、甲第4号証のその余の記載を含めて、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。 したがって、甲第4号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 d 甲第5号証 (a)甲第5号証は、「光反射部形成用樹脂組成物、その組成物の皮膜を有する配線基板とその製造方法、光半導体パッケージ、および照明装置」を名称とする発明についての公開特許公報であるところ、発明の詳細な説明には、次の記載がある。 「【0049】 酸化チタンを少しでも使用する場合において最も好ましい充填材の形態の1例(本発明の実施形態の変形例)を示すと、中空の酸化チタン球状粒子の表面にあらかじめシリカ、あるいはアルミナなどの皮膜を形成した状態で樹脂に混練する。このような形態の白色顔料は、中空の酸化チタンが高反射率を呈する一方、非導電性、屈折率1.3~1.7、かつ400~800nmの波長範囲での分光吸光率の変動が10%以下、となる物質をあらかじめ表面にコーティングしたことによって光酸化還元・光分解作用の影響が最小化されている。なお、酸化チタンによる紫外線吸収量を最小化するために、酸化チタンからなる球殻を十分に薄くしておくことが必要であることはいうまでもない。酸化チタンからなる球殻厚の具体例を挙げると、球径の10%以下となることが望ましく、あるいは、前記白色顔料中に占める体積分率が30%以下であることが望ましい。」 (b)よって、甲第5号証には、酸化チタンが有する光酸化還元・光分解作用の影響を最小化するために、シリカあるいはアルミナなどの皮膜を酸化チタン球状粒子の表面に形成した状態で樹脂に混練する技術的事項(以下「甲5技術的事項」といい、甲5技術的事項における表面処理を「甲5表面処理」という。)が開示されていると認められる。 (c)上記(b)によれば、甲5技術的事項において甲5表面処理をしたことによる技術的意義(酸化チタンが有する光酸化還元・光分解作用の影響を最小化すること)は、甲1発明において甲1表面処理をしたことによる技術的意義(低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られること)とは異なることになる。そうすると、甲1発明に接した当業者が甲1表面処理に代えて甲5表面処理を採用しようとする動機付けはないといえるし、仮に、何らかの動機付けがあるとしても、そのような代替は、甲1発明が解決しようとする課題(上記(ア))を解決できないようにするものであるから、阻害されるというべきである。 (d)以上のとおりであるから、甲第5号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 e 甲第6号証 甲第6号証は、「ゴム・プラスチック軟質物硬さ計」の製品カタログであって、ゴムの硬さ試験を行うための装置について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないものと認められる。 したがって、甲第6号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 f 甲第7号証(国際公開第1998/47476号) (a)甲第7号証は、「化粧料、シリカ被覆金属酸化物粉およびその製法」を名称とする発明についての国際公開公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。 「1.シリカ膜厚が0.1~100nmであるシリカ皮膜金属酸化物粉を含有することを特徴とする化粧料。」、 「5.金属酸化物がチタニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は2種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。」、 「6.金属酸化物がチタニアである請求項5に記載の化粧料。」 (b)そうすると、甲第7号証には、チタニア粉がシリカにより被覆された構造が開示されていると認められるが、これは、化粧料の技術分野に関するものであって、訂正発明が属する技術分野とは異なるものである。 したがって、甲第7号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 g 甲第8号証(国際公開第2008/062714号) (a)甲第8号証は、「導光シート及びこれを使用した電子機器」を名称とする発明についての国際公開公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。 「[1]反射フィルムと、 前記反射フィルムの前面に印刷された複数の印刷マーク部と、 前記反射フィルムの前面に積層され、前記印刷マーク部がその内部に埋め込まれ 、前 記反射フィルムと一体化された、透明シートと、を含み、 前記透明シートの可視光線透過率が80%以上99%以下であり、 前記透明シートは、その端面に前記透明シートの内部へ光を入射させうる光入射部を有し、 前記光入射部から前記透明シートの内部に入射された光を、前記印刷マーク部で反射させ、前記透明シートの前記反射フィルム側の面の反対面から前記導光シートの外に導出させ得る導光シート。 [2]前記透明シートがシリコーンゴムシートである請求項1に記載の導光シート。 [5]前記印刷マーク部は、母材と前記母材中に分散された微粒子とを含む請求項1に記載の導光シート。 [6]前記母材がシリコーンゴムを含む請求項1に記載の導光シート。」 また、発明を実施するための最良の形態には、次の記載がある。 「[0009](2)印刷マーク部 反射フィルムの反射面には所望の印刷マーク部が印刷されている。後述する透明シートの光入射部から透明シート内に入射された光は透明シート中を伝播する。印刷マーク部で反射することにより臨界角を超えた光は透明シートの反射フィルム側の面の反対面から透明シート外に導出される。より具体的には、各印刷マーク部は、母材とこの母材中に分散された微粒子とを含む。母材には、透明シートの材料と屈折率値が同じ力、または近似した材料が主成分として含まれる。透明シートがシリコーンゴ ムシートである場合、母材には、シリコーンゴムが主成分として含まれていると好ましい。印刷方法について特に制限はないが、プリント印刷が好ましい。 [0010]透明シートがシリコーンゴムシートである場合、印刷マーク部を形成するための好適な印刷用インクとしては、例えば、上記微粒子を含むシリコーン系インク等が挙げられる。シリコーン系インクは、例えば、上記微粒子と、加熱硬化型液状ゴム等のシリコーンゴムとを含む。シリコーン系インクは、本発明の目的が損なわれない限りにおいて、耐熱剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。印刷用インクは、例えば硬化剤と混合されてから使用される。微粒子としては、例えば、酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子等が挙げられる。印刷インクおよび印刷マーク部には、これらの微粒子が1種のみ含まれていてもよいが、2種以上含まれていてもよい。微粒子の平均粒子径は、透明シートを透過して印刷マーク部内に進入してきた光を反射させることができれば特に制限はないが、例えば、20μm以下が適当であり、良好な印刷が行えるという理由から1μm~10μmであると好ましい。微粒子のシリコーンゴムに対する添加量は、その種類および平均粒子径により異なるが、反射効果が得られかつ印刷マーク部のゴム弾性が損なわれない範囲で適宜決定すればよい。」 (b)そうすると、甲第8号証には、シリコーンゴムを含む母材中に酸化チタン微粒子を分散した構造が開示されており、しかも、その構造が入射光を反射するためのものであることが開示されていると認められる。しかしながら、甲第8号証には、その余の記載も含めて、酸化チタン微粒子を表面処理することについては開示されていないと認められる。 したがって、甲第8号証は、上記の特段の事情を示すものではない。 h 小括 以上のとおりであるから、甲第2号証~甲第8号証のいずれも、上記の特段の事情を示すものではない。 (エ)さらに、異議申立人は、酸化チタンなどの無機粉末をシランカップリング剤で表面処理することは、当業者にとって周知慣用技術であり、よって、甲第1号証に記載の酸化チタン粉末を甲第1号証に記載のテトラアルコキシシランで処理するのではなく、シランカップリング剤で処理することは、特許発明の特徴になり得ない旨主張している。 しかしながら、酸化チタンなどの無機粉末をシランカップリング剤で表面処理することが当業者にとって周知慣用技術であるとしても、甲1発明の甲1表面処理で用いられるテトラアルコキシシランは、シランカップリング剤ではなく、しかも、甲1表面処理で用いられるテトラアルコキシシランとシランカップリング剤との作用が同じであることを示す証拠もない。 よって、異議申立人の主張は失当である。 (オ)したがって、相違点1-6は、当業者が容易に想到することができたものではない。 イ 小括 以上のとおりであるから、他の相違点の容易想到性の有無について判断するまでもなく、訂正発明1は、甲1発明及び甲第1号証~甲第8号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 訂正発明2について (1)対比 訂正発明2と甲1発明を対比する。 両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5及び1-6で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。 相違点2-1:「架橋硬化」する際に、訂正発明2では、「スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後」、架橋硬化しているのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」の用途の「硬化物」は、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」をどのように塗布して架橋硬化しているのか、明らかでない点。 相違点2-2:酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を塗布する対象が、「非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面」であって、白色反射材が、支持体上に積層した積層体が備える白色反射材であるのに対し、甲1発明では、支持体の表面と解されるものの、支持体が「非シリコーン樹脂からなる」ものなのか否か、そして「表面活性化処理した面」であるのか否か、明らかでない点、 (2)判断 このように、訂正発明2も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 訂正発明3について (1)訂正発明3 訂正発明3は、訂正発明2の発明特定事項に加え、「前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にした」点をさらに特定するものである。 (2)対比 訂正発明3と甲1発明を対比する。 両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、2-1及び2-2で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。 相違点3-1:訂正発明3は、「前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材」の上に「更に金属導電層を設けて、前記積層体にした」のに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。 (3)判断 このように、訂正発明3も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 訂正発明4について (1)対比 訂正発明4と甲1発明を対比する。 両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5、1-6及び2-1で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。 相違点4-1:酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を塗布して架橋硬化した白色反射材に関し、訂正発明4では、「支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に」塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を白色反射材へ架橋硬化したものであるのに対し、甲1発明では、そのようなものではない点。 (2)判断 このように、訂正発明4も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 訂正発明5について (1)訂正発明5 訂正発明5は、訂正発明1~4において、さらに、「前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05~50μmであ」ることを特定する発明である。なお、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5~400質量部含有されていること」は、訂正事項1-3により、訂正発明1の発明特定事項となっている。 (2)対比・判断 このように、訂正発明5は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6 訂正発明6について (1)訂正発明6 訂正発明6は、訂正発明2について、さらに、 「前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであること」 を特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明6は、訂正発明2に従属するものであるから、訂正発明2と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 7 訂正発明7について (1)訂正発明7 訂正発明7は、訂正発明1~4について、さらに、「前記白色反射材は、厚さが5μm~2000μmの膜又は板である」ことを特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明7は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 8 訂正発明8について (1)訂正発明8 訂正発明8は、訂正発明1について、さらに、白色反射材が「発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであること」を特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明8は、訂正発明1に従属するものであるから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 9 訂正発明9について (1)訂正発明9 訂正発明9は、訂正発明1~4について、さらに、「前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有すること」ことを特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明9は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 10 訂正発明10について (1)訂正発明10 訂正発明10は、訂正発明1~4について、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいること」を特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明10は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 11 訂正発明11について (1)訂正発明11 訂正発明11は、訂正発明1~4、10について、さらに、「前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有すること」を特定するものである。 (2)対比・判断 このように、訂正発明11は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 12 訂正発明12について (1)訂正発明12 訂正発明12は、訂正発明1~4について、さらに、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明12は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 13 訂正発明13について (1)訂正発明13 訂正発明13は、訂正発明12について、さらに、「前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明13は、訂正発明12に従属するものであるから、訂正発明12と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 14 訂正発明14について (1)訂正発明14 訂正発明14は、訂正発明1~4の何れかについて、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明14は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 15 訂正発明15について (1)訂正発明15 訂正発明15は、訂正発明1~4の何れかについて、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明15は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 16 訂正発明16について (1)訂正発明16 訂正発明16は、訂正発明1~4の何れかについて、さらに、「前記白色反射材が、曲げ得ること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明16は、訂正発明1~4に従属するものであるから、訂正発明1~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 17 訂正発明17について (1)訂正発明17 訂正発明17は、訂正発明2~4の何れかにおいて、さらに、「前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていること」を特定する発明である。 (2)対比・判断 このように、訂正発明14は、訂正発明2~4に従属するものであるから、訂正発明2~4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 18 小括 以上のとおり、訂正発明1~訂正発明17は、甲1発明及び甲第1号証~甲第8号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることできたものではない。 したがって、平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)によっては、訂正発明1ないし訂正発明17についての特許を取り消すことができない。 第6 平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立て理由について 1 特許異議の申立て理由 (1)特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号違反 反射材の硬度(ショアA及びショアD硬度)に関する構成要件は、明細書中において製造した反射材の硬度を実際に測定していないため、当該要件を充足した反射材を製造する方法が明細書において開示されているとは言えない。 (2)特許法第36条第4項第1号違反 実施例では、表面処理が施されていない酸化チタンを用いているのに対し、表面処理された酸化チタンを用い、初期反射率及び高温経時反射率に関する特定を有する本件特許発明は、明細書に開示のない発明を含んでいると考えられ、更には当業者が実施する際に、過度の試行錯誤を強いる蓋然性を含むものである。 (3)特許法第36条第6項第2号違反 訂正前の請求項1、2及び4に記載された、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムに関して「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」との特定は、シリコーン樹脂成分を示しているのか、硬化性のシリコーン樹脂組成物を示しているのか定かではなく、請求項の範囲が不明確である。更に、このような記載であると、請求項5のように、フィラーの含有量を規定する際に、樹脂成分に対するフィラーの含有量を特定しているか、組成物に対するフィラーの含有量を特定しているか、不明である。 (4)新規性欠如 請求項1~17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。 2 判断 (1)特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号違反との理由について 各訂正発明における「ゴム硬度がショアA硬度で30~90又はショアD硬度で5~80」との範囲が有する技術的意味は、低硬さのゴムや特に硬いゴムを除き、中硬さから高硬さの範囲のゴムであり、ゴム硬度として好ましい範囲を特定したものと解される。すなわち、本件訂正明細書には、「【0084】 シリコーンゴムであれば、そのゴム弾性と耐熱性から長期間高い反射率を有することが出来る。また、硬質のシリコーン樹脂であってもフェニルシリコーンは、高温時に硬度が低下する特性を有していることから、支持体の線膨張に十分に対応することが出来る。」、「【0085】 ゴム硬度としては、ショアA硬度で30~90、ショアD硬度で5~80が好適である。」との記載があるところ、上記記載によれば、ショアA硬度で30~90、ショアD硬度で5~80の範囲は、ゴム弾性を有するシリコーンゴムのゴム硬度として好ましい範囲を特定したものと解され、それ以上の技術的意義は説明されていない。 そして、架橋密度によりゴム弾性の程度が違うことは技術常識であることからすれば、中硬さから高硬さの範囲のゴム弾性を得る程度のことは、明細書に具体的製造方法の開示が無いとしても、当業者が通常の創作能力を発揮すれば、容易に実施できる程度のものである。 (2)特許法第36条第4項第1号違反との理由について 本件訂正明細書には、実施例1で用いるアナターゼ型酸化チタンが「商品名SA-1:堺化学工業株式会社」である(【0100】)とともに、実施例2で用いるルチル型酸化チタンが「商品名SR-1:堺化学工業株式会社」である(【0103】)旨記載されているところ、乙3号証によれば、実施例1で用いるアナターゼ型酸化チタンは表面処理が未処理の酸化チタンであり、実施例2で当該ルチル型酸化チタンは、Al2O3で表面処理された酸化チタンである。 そして、 ア 初期反射率と、高温経過時反射率は、酸化チタンの表面処理の有無に依らず、90%を超えうるものと認められること(本件訂正明細書の表1・図6・図7)、 イ 酸化チタン粒子の反射率が高いことは当業者に周知の技術事項であること(例えば、甲第5号証【0006】~【0009】参照。)、 ウ シリコーン樹脂はUV変色が起こり難いこと、熱変色が発生し難いことは周知の技術事項であること(例えば、甲第4号証【0018】参照。)、 を踏まえると、初期反射率及び高温経過時反射率に関する特定を有する訂正発明は、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できるものと認められる。 (3)特許法第36条第6項第2号違反との理由について 本件訂正により、請求項1、2、4の「シリコーン樹脂成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物」であり、「シリコーン樹脂成分」が「酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」の一成分であることが明確になった。したがって、訂正後の請求項1、2、4及び、当該請求項を引用する訂正後の請求項3、5ないし17は、明確である。 (4)新規性欠如について 上記第5のとおり、訂正発明1~17と甲1発明との間には、少なくとも相違点1-6が存在し、当該相違点は実質的であるから、訂正発明1~17は甲1発明ではない。 (5)小括 したがって、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。 また、訂正発明1~17は、甲1発明に基づき新規性を欠如しない。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載された取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~17に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~17に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700009

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