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特許拒絶査定不服審判

2016-018795

ワイヤハーネス及びワイヤハーネス製造方法

審判番号
2016-018795
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-191256外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月14日
審決日
2017年08月21日
公報発行日
2017年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-191256「ワイヤハーネス及びワイヤハーネス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 62816〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成26年9月19日の出願であって、平成28年7月22日付けで拒絶理由が通知され、同年9月9日付けで手続補正がなされたが、同年11月2日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年12月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年9月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 複数の電線と、前記複数の電線が束ねられた電線束を覆うシート状又はテープ状の保護部材と、を有するワイヤハーネスであって、 前記電線束と前記保護部材との間に当該電線束を覆うように設けられた導電性のシート部材をさらに有し、 前記複数の電線のそれぞれにおける前記保護部材の端末から外部に延在している部分の長さが、複数種類あり、 前記複数の電線のうちの少なくとも1本が、前記シート部材に電気的に接続されたドレイン線であり、 前記ドレイン線は、前記保護部材の両端末それぞれから外部に延在していることを特徴とするワイヤハーネス。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された、特開平11-353952号公報(以下「引用例」という。)には、次の記載がある。 a.「【0017】図1(A)(B)に示すように、多数の電線群WからなるワイヤハーネスW/Hの所要区間にシールド外装材11を巻き付けてシールドを施している。該シールド外装材11は図2に示すように、塩化ビニル等からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート12の一面全体に銅箔等からなる金属箔13を接着固定して金属箔層を設けている。該シールド外装材11の長さは、作業員がしわ等の発生させずに巻き付けることできる長さの約40cmとしている。 【0018】上記シールド外装材11の長さ方向の一端両面、即ち、図2中で、金属箔13の上面と絶縁樹脂シート12の下面に所要幅で粘着層14、15を設け、使用前には、各粘着層14、15の表面に剥離紙16、17を貼付している。 【0019】上記シールド外装材11は、ワイヤハーネスW/Hに対してシールドしたい所要区間に図3に示すように巻き付けている。 【0020】即ち、図3(A)に示すように、ワイヤハーネスW/Hの電線群Wはテープ22で予め荒巻きされており、かつ、ワイヤハーネスW/Hを構成する各電線wの端末には予め端子(図示せず)が接続され、これら端子はコネクタCに挿入係止され、ワイヤハーネスW/Hの端末はコネクタCと接続されている。 【0021】上記したワイヤハーネスの電線群Wに対して、図3(B)に示すように、シールド外装材11の粘着層14、15を設けた一端より電線群Wに巻き始める。この時、金属箔13を電線群Wに接する内面側として、金属箔13側の粘着層14を電線群Wの外周面に粘着固定する。この時、シールドを施したい区間がシールド外装材11の長さよりも長い場合には、複数枚のシールド外装材11を長さ方向に連続させて巻き付ける。 【0022】この状態で、図3(B)に示すように、外周側に位置する絶縁樹脂シート12の粘着層15(図中、クロス斜線で示す)の幅方向の中央部に、予め先端にアース端子21を接続している裸線のドレイン線20を配置して、該ドレイン線20を絶縁樹脂シート12の外周面に粘着固定する。この時、ドレイン線20はシールド外装材11の全長にわたって固定すると共に、アース端子21を端末に接続した部分20aをシールド外装材11より所要寸法延在させ、アース端子21が自動車ボデーの所定の固定位置まで達するようにしている。 【0023】ドレイン線20を取り付けた後、シールド外装材11を電線群Wにすし巻き状に巻き付けていき、ドレイン線20を粘着固定した巻き始め部分の外周面にも巻き付ける。この時、シールド外装材11の内面側に金属箔13が位置しているため、絶縁樹脂シート12の外周側の粘着層15に粘着固定されたドレイン線20が外周側に巻き付けられてくる金属箔13と接触する。かつ、金属箔13は粘着層15に粘着固定されることとなる。よって、ドレイン線20を挟んで巻き始め側の内周の絶縁樹脂シート12と巻き終わり側の外周の金属箔13とが粘着固定され、図3(D)に示すように、電線群Wの外周にシールド外装材11が巻き付けられられる。 【0024】上記シールド外装材11の金属箔13と接触させたドレイン線20は、ワイヤハーネスW/Hを自動車に搭載した時、端末のアース端子21を自動車のボデーの所要箇所に固定して、金属箔13の接地が図られる。」(【0017】~【0024】の記載。下線は、当審で付与。) b)図3によれば、電線群W及びドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有している。 これら引用例の記載及び関連する図面から、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「多数の電線群WからなるワイヤハーネスW/Hにシールド外装材11を巻き付けてシールドを施し、該シールド外装材11は塩化ビニル等からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート12の一面全体に銅箔等からなる金属箔13を接着固定して金属箔層を設けたものであるワイヤハーネスW/Hにおいて、 上記シールド外装材11の長さ方向の一端両面、即ち、金属箔13の上面と絶縁樹脂シート12の下面に所要幅で粘着層14、15を設け、 ワイヤハーネスW/Hの電線群Wはテープ22で予め荒巻きされており、かつ、ワイヤハーネスW/Hを構成する各電線wの端末には予め端子が接続され、これら端子はコネクタCに挿入係止され、ワイヤハーネスW/Hの端末はコネクタCと接続され、 上記ワイヤハーネスの電線群Wに対して、シールド外装材11の粘着層14、15を設けた一端より電線群Wに巻き始め、この時、金属箔13を電線群Wに接する内面側として、金属箔13側の粘着層14を電線群Wの外周面に粘着固定し、 この状態で、外周側に位置する絶縁樹脂シート12の粘着層15の幅方向の中央部に、予め先端にアース端子21を接続している裸線のドレイン線20を配置して、該ドレイン線20を絶縁樹脂シート12の外周面に粘着固定し、この時、ドレイン線20はシールド外装材11の全長にわたって固定すると共に、アース端子21を端末に接続した部分20aをシールド外装材11より所要寸法延在させ、アース端子21が自動車ボデーの所定の固定位置まで達するようにし、 ドレイン線20を取り付けた後、シールド外装材11を電線群Wにすし巻き状に巻き付けていき、ドレイン線20を粘着固定した巻き始め部分の外周面にも巻き付け、この時、シールド外装材11の内面側に金属箔13が位置しているため、絶縁樹脂シート12の外周側の粘着層15に粘着固定されたドレイン線20が外周側に巻き付けられてくる金属箔13と接触し、かつ、金属箔13は粘着層15に粘着固定されることとなり、よって、ドレイン線20を挟んで巻き始め側の内周の絶縁樹脂シート12と巻き終わり側の外周の金属箔13とが粘着固定され、電線群Wの外周にシールド外装材11が巻き付けられられ、 電線群W及びドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有する ワイヤハーネスW/H。」 3.対比 本願発明と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 (1)引用発明の「ワイヤハーネスW/Hを構成する各電線w」及び「ドレイン線20」は本願発明の「複数の電線」に、引用発明の「ワイヤハーネスW/Hの電線群W」及び「ドレイン線20」は本願発明の「前記複数の電線が束ねられた電線束」に、引用発明の「ワイヤハーネスW/H」は本願発明の「ワイヤハーネス」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「シールド外装材11」は、「塩化ビニル等からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート12の一面全体に銅箔等からなる金属箔13を接着固定して金属箔層を設けたもの」であり、「ドレイン線20を取り付けた後、シールド外装材11を電線群Wにすし巻き状に巻き付け」るものであるから、引用発明の「シールド外装材11」の「絶縁樹脂シート12」は、本願発明の「複数の電線が束ねられた電線束を覆うシート状又はテープ状の保護部材」に相当する。 したがって、引用発明の「ワイヤハーネスW/H」は、本願発明の「複数の電線と、前記複数の電線が束ねられた電線束を覆うシート状又はテープ状の保護部材と、を有するワイヤハーネス」に相当する。 (2)引用発明の「シールド外装材11」は、「塩化ビニル等からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート12の一面全体に銅箔等からなる金属箔13を接着固定して金属箔層を設けたもの」であり、「上記ワイヤハーネスの電線群Wに対して、シールド外装材11の粘着層14、15を設けた一端より電線群Wに巻き始め、この時、金属箔13を電線群Wに接する内面側として、金属箔13側の粘着層14を電線群Wの外周面に粘着固定」し、「シールド外装材11を電線群Wにすし巻き状に巻き付け」てゆくものであるから、引用発明の「シールド外装材11」の「金属箔13」は、本願発明の「前記電線束と前記保護部材との間に当該電線束を覆うように設けられた導電性のシート部材」に相当する。 (3)引用発明の「電線群W及びドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有する」ことは、本願発明の「前記複数の電線のそれぞれにおける前記保護部材の端末から外部に延在している部分の長さが、複数種類」あることと、「前記複数の電線のそれぞれにおける前記保護部材の端末から外部に延在している部分」を有する点では、共通しているといえる。 (4)引用発明は「ドレイン線20を取り付けた後、シールド外装材11を電線群Wにすし巻き状に巻き付けていき、ドレイン線20を粘着固定した巻き始め部分の外周面にも巻き付け、この時、シールド外装材11の内面側に金属箔13が位置しているため、絶縁樹脂シート12の外周側の粘着層15に粘着固定されたドレイン線20が外周側に巻き付けられてくる金属箔13と接触」するものであるから、引用発明の「ドレイン線20」は、本願発明の「前記複数の電線のうちの少なくとも1本が、前記シート部材に電気的に接続されたドレイン線」に相当する。 (5)引用発明の「ドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有する」ことは、本願発明の「前記ドレイン線は、前記保護部材の両端末それぞれから外部に延在している」ことと、「前記ドレイン線は、前記保護部材から外部に延在している」点では、共通しているといえる。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 〈一致点〉 「複数の電線と、前記複数の電線が束ねられた電線束を覆うシート状又はテープ状の保護部材と、を有するワイヤハーネスであって、 前記電線束と前記保護部材との間に当該電線束を覆うように設けられた導電性のシート部材をさらに有し、 前記複数の電線のそれぞれにおける前記保護部材の端末から外部に延在している部分を有し、 前記複数の電線のうちの少なくとも1本が、前記シート部材に電気的に接続されたドレイン線であり、 前記ドレイン線は、前記保護部材から外部に延在しているワイヤハーネス。」 〈相違点1〉 本願発明は「前記複数の電線のそれぞれにおける前記保護部材の端末から外部に延在している部分の長さが、複数種類あ」るのに対し、引用発明は「電線群W及びドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有する」ものの、延在している部分の長さについて、複数種類あると特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明は「前記ドレイン線は、前記保護部材の両端末それぞれから外部に延在している」ものであるのに対して、引用発明は「ドレイン線20は、シールド外装材11の端末から外部に延在している部分を有する」ものの、「シールド外装材11」(保護部材)の両端末それぞれから外部に延在していると特定されていない点。 4.当審の判断 〈相違点1〉について 引用発明は「各電線wの端末には予め端子が接続され、これら端子はコネクタCに挿入係止され、ワイヤハーネスW/Hの端末はコネクタCと接続」されるものであり、また、引用発明の「ドレイン線20」は「アース端子21を端末に接続した部分20aをシールド外装材11より所要寸法延在させ、アース端子21が自動車ボデーの所定の固定位置まで達する」ようにしたものであるから、引用発明において、「各電線w」及び「ドレイン線20」は、それぞれの接続先である「コネクタC」の接続先及び「自動車ボデーの所定の固定位置」までの長さを有するものであることは明らかであり、それら各線の接続先の位置に応じて、各線の延在している部分の長さを複数種類とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 〈相違点2〉について 例えば、特開2011-159564号公報(図1、図2及び関連する記載参照)には、ドレイン線20をシールド部30の両端末それぞれから外部に延在しているものとすることが記載され、特開2011-14391号公報(図1及び関連する記載参照)には、ドレイン線6をシールド層(導電層)を形成する金属箔材8の両端末それぞれから外部に延在している剥ぎ部分B1,B2を有するものとすることが記載されてるように、ドレイン線を保護部材の両端末それぞれから外部に延在したものとすることは本願の出願日前周知技術であったものと認められ、引用発明のドレイン線20をシールド外装材11の両端末それぞれから外部に延在したものとすることに格別の困難性は認められない。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用発明及び上記周知技術から当業者ならば予測することができる程度のものであり、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。 なお、請求人は審判請求書の請求の理由において、 「『前記ドレイン線は、前記保護部材の両端末それぞれから外部に延在し』ていることで、両端末のうち、どちら側の端末であっても、自動車ボディの所定の固定位置に接続することが可能となるので、ドレイン線の軸方向の向きに寄らずに、接続することが可能となるのであります。換言すると、ドレイン線が、一方側の端末からのみ延出された場合には、ドレイン線の軸方向の向きが限られます。 このように、「当該ドレイン線の軸方向の向きを選ぶことなく、その両端末に位置する一対の端子の何れかを、自動車ボディの所定の固定位置に接続することができる」ことは『前記ドレイン線は、前記保護部材の両端末それぞれから外部に延在し』ていることの作用効果であり、そうである以上、「出願人の主張は特許請求の範囲にある記載に基づく」ものであります。」 と主張しているが、「ドレイン線の軸方向の向きを選ぶことなく、その両端末に位置する一対の端子の何れかを、自動車ボディの所定の固定位置に接続することができる」ためには、ドレイン線が「保護部材の両端末それぞれから外部に延在」するのみならず、ドレイン線の前記「外部に延在」した部分の長さが、両端末で同じ長さである必要があるものと認められる。 しかしながら、特許請求の範囲には、「ドレイン線」が「保護部材の両端末それぞれから外部に延在」しているとの記載はあるものの、その延在した部分の長さに関する記載は無いのであるから、「ドレイン線の軸方向の向きを選ぶことなく、その両端末に位置する一対の端子の何れかを、自動車ボディの所定の固定位置に接続することができる」という作用効果は、特許請求の範囲の記載に基づくものとは認められず、請求人の主張は採用できない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-018795

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