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特許拒絶査定不服審判

2016-016933

電機

審判番号
2016-016933
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-231610外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年11月11日
審決日
2017年09月25日
公報発行日
2018年04月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01F) / P18 .575-Z (H01F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-231610「電機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月17日出願公開、特開2012- 94868〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、平成23年10月21日(パリ条約に基づく優先権主張 平成22年10月22日 米国(US))の出願であって、平成27年7月31日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成28年1月5日付けで手続補正がなされたが、同年6月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月11日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。 2.平成28年11月11日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年11月11日付けの手続補正を却下する。 [理 由] (1)補正後の本願発明 平成28年11月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項5については、 「【請求項5】 地表浅層部または湖、池、河川からなる浅層の温度保持体との間に、1次側流体流路及び2次側流体流路を備える熱交換装置を設置し、生成する熱エネルギーを熱交換装置の1次側流体を経て伝送し、且つ熱交換装置の2次側流体が浅層の温度保持体の中に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して熱エネルギーを放出することにより、浅層の温度保持体と交換流体を通して放熱する電機であって、 熱交換装置は回転電機のボディシェルと分離して設置され、当該電機が生成する熱エネルギーは、熱交換装置の2次側流体を通して、浅層の温度保持体に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して放熱し、 回転電機(701)、熱交換器(703)、放熱器(709)、および、前記回転電機(701)の外部に設けられている流体ポンプ(706、707)を備え、 回転電機(701)は磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルの回転電機を備え、モータまたは発電機または電磁カップリング装置によって構成される装置を含み、 熱交換器(703)は1次側流体流路(702)及び2次側流体流路(704)を備え、かつ互いに熱エネルギーを伝送し、その中の前記1次側流体流路(702)は、管路及び流体ポンプ(707)の圧送を通して、前記回転電機(701)の内部の気流と一緒の循環気流を構成し、前記2次側流体流路(704)は、管路(705)及び流体ポンプ(706)を通して、前記自然蓄熱体(108)の中に設置する放熱器(709)を流れる冷却流体(711)をポンピングし、循環流体を構成することによって、熱エネルギーを伝送し、 前記放熱器(709)は熱伝導性材料によって構成され、流れる前記冷却流体(711)を放熱させる容器構造であり、土地または池、湖、河川によって構成される前記自然蓄熱体(108)に設置され、 前記流体ポンプ(706、707)は機械力または電気モータによって駆動される流体ポンプで構成されることを特徴とする電機。」 とあったものが、 「【請求項5】 地表浅層部または湖、池、河川からなる浅層の温度保持体との間に、1次側流体流路及び2次側流体流路を備える熱交換装置を設置し、生成する熱エネルギーを熱交換装置の1次側流体を経て伝送し、且つ熱交換装置の2次側流体が浅層の温度保持体の中に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して熱エネルギーを放出することにより、浅層の温度保持体と交換流体を通して放熱する電機であって、 熱交換装置は回転電機のボディシェルと分離して設置され、当該電機が生成する熱エネルギーは、熱交換装置の2次側流体を通して、浅層の温度保持体に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して放熱し、 回転電機(701)、熱交換器(703)、放熱器(709)、および、前記回転電機(701)の外部に設けられている流体ポンプ(706、707)を備え、 回転電機(701)は磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルの回転電機を備え、モータまたは発電機または電磁カップリング装置によって構成される装置を含み、 熱交換器(703)は1次側流体流路(702)及び2次側流体流路(704)を備え、かつ互いに熱エネルギーを伝送し、その中の前記1次側流体流路(702)は、管路及び流体ポンプ(707)の圧送を通して、前記回転電機(701)の内部の気流と一緒の循環気流を構成し、前記2次側流体流路(704)は、管路(705)及び流体ポンプ(706)を通して、前記自然蓄熱体(108)の中に設置する放熱器(709)を流れる冷却流体(711)をポンピングし、循環流体を構成することによって、熱エネルギーを伝送し、 熱交換器(703)における前記1次側流体流路(702)及び前記2次側流体流路(704)は、それぞれの流路入口と流路出口とを結ぶ基本流れ方向に対し交差する方向に繰り返し往復するように形成されており、前記1次側流体流路(702)と前記2次側流体流路(704)とは、基本流れ方向が互いに平行であり、且つ、繰り返し往復する範囲が基本流れ方向の同じ位置に設けられており、 前記放熱器(709)は熱伝導性材料によって構成され、流れる前記冷却流体(711)を放熱させる容器構造であり、土地または池、湖、河川によって構成される前記自然蓄熱体(108)に設置され、 前記流体ポンプ(706、707)は機械力または電気モータによって駆動される流体ポンプで構成されることを特徴とする電機。」 と補正された。 上記補正は、請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「熱交換器(703)」について、「前記1次側流体流路(702)及び前記2次側流体流路(704)は、それぞれの流路入口と流路出口とを結ぶ基本流れ方向に対し交差する方向に繰り返し往復するように形成されており、前記1次側流体流路(702)と前記2次側流体流路(704)とは、基本流れ方向が互いに平行であり、且つ、繰り返し往復する範囲が基本流れ方向の同じ位置に設けられ」ている旨の限定を付加するものである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項5に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。 なお、請求項5において、19行目に「前記自然蓄熱体(108)」とあるものの、かかる記載より前には「自然蓄積体(108)」の記載はないが、 当該請求項5の記載全体からみて、この「前記自然蓄熱体(108)」は「温度保持体」を意味するものと解釈する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-327738号公報(以下、「引用例」という。)には、「設備装置に自然温度蓄積体を使用し、温度均衡を行うシステム」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 ア.「【0003】 本発明の主要な目的は、設備装置に自然温度蓄積体を使用し、温度均衡を行うシステムを提供するものである。それは、自然にある相対的に安定な温度エネルギーを蓄積する地層、地表、池、川、砂漠、氷山、海洋等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体に熱伝導が良い均熱装置を設けることで、その中に流れる温度差のある流体に温度均衡調整機能を行うことができる。又は、自然温度蓄積体自体が持つ流体の収納空間を使って、又は、直接流体の伝送パイプを構成することで、流体から直接自然温度蓄積体へ接触することで、流れる流体に温度均衡調整機能を行うことができる。」 イ.「【0006】 図1は、本発明の一実施例による設備装置に自然温度蓄積体を使用し、温度均衡を行うシステムの模式図である。このシステムは、少なくとも一つの流体伝送パイプ105を設けて、ポンプ106の作動によって、流体が設備装置103に流れてから、流体伝送パイプ105を通して、自然温度蓄積体101に設けられる均熱装置102に回流することで、流体の循環が構成されるのである。そのシステムの主要な構成は、下記の通りである。 【0007】 自然温度蓄積体101は、相対的に安定な温度蓄積容量がより大きい地層、地表、池、川、砂漠、氷山、海洋等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体で構成される。 均熱装置102は、良い熱伝導性の材料で構成され、自然温度蓄積体101との間に良い熱伝導の構造を持つものであり、均熱装置102自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つか、自然温度蓄積体101の内部に流体が流れる空間により直接均熱装置102の温度蓄積機能を構成することで、良い熱伝導性の材料で作られた均熱装置102の代わりとして使う。又は、同時に両者を設置するものである。 【0008】 設備装置103は、専属の特定の機能を持つ産業設備で構成され、安定な温度を持つ精密工作機械、精密産業機械、又は精密検査インストルメント、又は観測インストルメント、又は特定の開放式タンク、又は封鎖式タンク、又はその他安定な温度環境を持つ冷蔵設備、電気エネルギーを蓄積する装置、例えば、UPSのバッテリー、又は冷却が必要な内燃エンジン、又はモーター、又は発電機等の冷却が必要な回転電機設備装置で構成され、上述の設備装置に温度均衡を行うために必要な対象構造を持ち、又は、以上の各種の設備装置103自体に配置される冷却又は加熱装置の放熱器自体はすべて温度均衡を行うために必要な対象構造である。 【0009】 設備装置103自体の内部に流体104が流れるパイプ、及び設備装置103に温度均衡を行うために必要な対象構造を置く位置の流体104との間に温度均衡調整機能を行うための構造を設け、又は、直接流体が流れるパイプを利用して温度均衡を行うために必要な対象物を置く位置に流れて、直接に温度均衡調整機能を行う。 又、必要によって流体分流パイプ119、分流制御弁120、分流補助ポンプ121等の装置を設けることで、自然温度蓄積体101の中に設けてある均熱装置102に流れる流体104を導入して、設備装置103に選んだ個別で温度均衡を行うための部分に流れて温度均衡調整機能を行ってから、均熱装置102に回流することによって、循環を形成することで、温度均衡機能を行う。」 ウ.「【0014】 図2は、本実施例が単方向流動の流体を利用して、間接に温度均衡を行うシステムの模式図である。それは、増設された中継均熱器202を利用して、間接に温度エネルギーを伝送することで、単方向流動で間接に温度均衡を行う調整システムが構成される。それは、図1で示されるそれぞれの装置(例えば、自然温度蓄積体101、均熱装置102、設備装置103、流体104、流体伝送パイプ105、ポンプ106、温度検知装置107、ろ過装置108、制御ユニット110、補助温度調整装置109、流体分流パイプ119、分流制御弁120及び分流補助ポンプ121)を備えるほか、単方向流動で間接に温度均衡を行う調整システムの主要なシステムは、更に下記のようなものを含む。 【0015】 自然温度蓄積体101の中に熱伝導性が良い均熱装置102を設けることで、均熱装置102及び自然温度蓄積体101で均熱伝送機能が形成される。 中継均熱器202は、熱の蓄積及び熱伝導性が良い材料で構成され、中継均熱器202自体が流体104の入口、流れ通路及び出口の第一流体通路を持ち、又、流体204の入口、流れ通路及び出口の第二流体通路を持つことで、流体104及び流体204が中継均熱器202により相互に温度エネルギーを伝送することができる。 【0016】 均熱装置102と中継均熱器202の間に流体伝送パイプ205及び中継ポンプ206を設け、連続又は間歇的に単方向流動で均熱装置102と中継均熱器202の間で流体204を循環させて伝送し、封鎖環状流路が形成されることで、均熱装置102と中継均熱器202の間で温度均衡機能が構成される。 設備装置103と中継均熱器202の間に流体伝送パイプ105及びポンプ106を設けることで、連続又は間歇的に単方向流動で設備装置103と中継均熱器202の間で流体104を伝送させ、温度均衡機能を行う。 【0017】 流体伝送パイプ105は、流体104が流れるためのパイプ構造で構成され、流体伝送パイプ105は必要によって開く構造又は引き出す構造を設けることができるので、メンテナンス作業を便利に行える。 流体104は、熱の蓄積及び熱伝導性が良い気体又は液体で構成されるので、ポンプ106の作動により中継均熱器202と設備装置103の間で流体104が流体伝送パイプ105に流れて、流路を構成することで、温度均衡機能を行うものであり、流体104は必要によって流体204と同一のもの又は同一ではないものを選ぶことができる。 【0018】 流体伝送パイプ205は、流体204が流れるためのパイプ構造で構成され、流体伝送パイプ205は必要によって開く構造又は引き出す構造を設けることができるので、メンテナンス作業を便利に行える。 流体204は、熱の蓄積及び熱伝導性が良い気体又は液体で構成されるので、ポンプ206の作動により均熱装置102と中継均熱器202の間で流体204が流体伝送パイプ205に流れて、流路を構成することで、温度均衡機能を行うものであり、流体204は必要によって流体104と同一のもの又は同一ではないものを選ぶことができる。 【0019】 ポンプ106は、電力又は機械力で駆動する流体ポンプで構成されることで、流体104を伝送するものであり、このポンプで作動させる機能の代わりとして、流体が熱くなると上がり、冷却すると下がるという対流効果を使っても良い。 ポンプ206は、電力又は機械力で駆動する流体ポンプで構成されることで、流体204を伝送するものであり、このポンプで作動させる機能の代わりとして、流体が熱くなると上がり、冷却すると下がるという対流効果を使っても良い。」 エ.「【0046】 図1及び図3で示されるシステムは、直接熱伝導が良い従来の熱パイプ装置を使って、均熱装置102と設備装置103の間に設けて、流体伝送パイプ105の代わりとして使われ、又は、必要により設けられる流体分流パイプ119の代わりとして使うことで、温度均衡を行う機能を構成することを使っても良いのである。 図2で示されるシステムの均熱装置102と中継均熱器202の間に用いる均熱運転方式は、均熱装置102と中継均熱器202の間に少なくとも一つの流体204が流れるための流体伝送パイプ205及び少なくとも一つの中継ポンプ206を設けることで、封鎖回路を形成し、中継ポンプ206で熱伝導が良い流体204を伝送することで、単方向で連続又は間歇的に伝送を行い、又は、ポンプの作動により伝送する流量を調整することで、均熱装置102と中継均熱器202の間に温度均衡を行う機能が構成される方式である。 【0047】 図2で示されるシステムの中継均熱器202と設備装置103の間に用いる均熱運転方式は、中継均熱器202と設備装置103の間に少なくとも一つの流体伝送パイプ105及び少なくとも一つのポンプ106を設けることで、封鎖回路を形成し、ポンプ106で熱伝導が良い流体104を伝送することで、単方向で連続又は間歇的に伝送を行い、又は、ポンプの作動により伝送する流量を調整することで、中継均熱器202と設備装置103の間に温度均衡を行う機能が構成される方式である。」 ・上記引用例に記載の「設備装置に自然温度蓄積体を使用し、温度均衡を行うシステム」は、上記「ア.」の記載事項、図2によれば、自然にある相対的に安定な温度エネルギーを蓄積する地層、地表、池、川等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体101中に熱伝導が良い均熱装置102を設けることで、その中に流れる温度差のある流体に温度均衡調整機能を行うことができるようにしたものであり、 さらに、上記「ウ.」の記載事項、及び図2によれば、当該システムは、増設された中継均熱器202を利用して、間接に温度エネルギーを伝送することで、単方向流動で間接に温度均衡を行うシステムを含むものである。 ・上記「ウ.」の段落【0015】の記載事項、及び図2によれば、中継均熱器202は、設備装置103とは分離して設けられ、流体104の入口、流れ通路及び出口の第一流体通路と、流体204の入口、流れ通路及び出口の第二流体通路を持つ。 さらに、図2によれば、中継均熱器202の第一流体通路を流れる流体104の基本流れ方向は下から上であり、自然温度蓄積体101の表面に対して垂直方向であるといえ、また、第二流体通路を流れる流体204の基本流れ方向は上から下であり、自然温度蓄積体101の表面に対して垂直方向であるといえる。そして、それぞれの基本流れ方向に対して交差する方向に繰り返し往復する流路がそれぞれ形成されており、且つ、それぞれの繰り返し往復する流路の範囲が基本流れ方向の異なる位置に重ねて設けられてなるものであるということができる。 ・上記「イ.」の段落【0007】の記載事項によれば、均熱装置102は、それ自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つものである。 ・上記「イ.」の段落【0008】の記載事項によれば、設備装置103は、例えば発電機等の冷却が必要な回転電機設備装置で構成されてなるものである。 ・上記「ウ.」、「エ.」の記載事項、及び図2によれば、 設備装置103と中継均熱器202の間に流体伝送パイプ105及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ106を設けることで、封鎖環状流路を形成し、設備装置103と中継均熱器202の間で流体104を循環させて伝送することで、設備装置103と中継均熱器202の間に温度均衡機能が構成されてなるものである。なお、上記「イ.」の段落【0009】の記載事項、及び図2によれば、設備装置103の内部には流体104が流れるパイプが設けられているといえる。 また、均熱装置102と中継均熱器202の間に流体伝送パイプ205及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ206を設けることで、封鎖環状流路を形成し、均熱装置102と中継均熱器202の間で流体204を循環させて伝送することで、均熱装置102と中継均熱器202の間に温度均衡機能が構成されてなるものである。 ・上記「ウ.」の段落【0017】の記載事項によれば、流体104は、例えば熱の蓄積及び熱伝導性が良い気体で構成される。 したがって、特に図2に示されるシステムにおける設備装置が、発電機等の冷却が必要な回転電機設備装置である場合に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「中継均熱器を利用して、間接に温度エネルギーを伝送するとともに、自然にある相対的に安定な温度エネルギーを蓄積する地層、地表、池、川等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体中に熱伝導が良い均熱装置を設けることで、その中に流れる温度差のある流体に温度均衡調整機能を行うようにしたシステムにおける、発電機等の冷却が必要な回転電機設備装置であって、 前記中継均熱器は、前記回転電機設備装置とは分離して設けられ、流体104の入口、流れ通路及び出口の第一流体通路と、流体204の入口、流れ通路及び出口の第二流体通路を持ち、 前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間に流体伝送パイプ105及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ106を設け、前記回転電機設備装置の内部にも流体が流れるパイプを設けることで封鎖環状流路を形成し、前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間で前記流体104を循環させて伝送することで、前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間に温度均衡機能が構成されるとともに、前記均熱装置と前記中継均熱器の間に流体伝送パイプ205及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ206を設けることで、封鎖環状流路を形成し、前記均熱装置と前記中継均熱器の間で前記流体204を循環させて伝送することで、前記均熱装置と前記中継均熱器の間に温度均衡機能が構成され、 前記流体104は、例えば熱の蓄積及び熱伝導性が良い気体であり、 前記中継均熱器の前記第一流体通路を流れる前記流体104の基本流れ方向は前記自然温度蓄積体の表面に対して垂直方向であり、また、前記第二流体通路を流れる前記流体204の基本流れ方向も前記自然温度蓄積体の表面に対して垂直方向であり、そして、それぞれの基本流れ方向に対して交差する方向に繰り返し往復する流路がそれぞれ形成されており、且つ、それぞれの繰り返し往復する流路の範囲が基本流れ方向の異なる位置に重ねて設けられ、 前記均熱装置は、それ自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つ、回転電機設備装置。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、 ア.引用発明における「中継均熱器を利用して、間接に温度エネルギーを伝送するとともに、自然にある相対的に安定な温度エネルギーを蓄積する地層、地表、池、川等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体中に熱伝導が良い均熱装置を設けることで、その中に流れる温度差のある流体に温度均衡調整機能を行うようにしたシステムにおける、発電機等の冷却が必要な回転電機設備装置であって、前記中継均熱器は、前記回転電機設備装置とは分離して設けられ、流体104の入口、流れ通路及び出口の第一流体通路と、流体204の入口、流れ通路及び出口の第二流体通路を持ち」によれば、 (a)引用発明における「自然温度蓄積体」、「均熱装置」、「中継均熱器」は、それぞれ本願補正発明でいう「温度保持体」、「均熱器」、「熱交換装置」に相当し、 さらに、引用発明の中継均熱器における「第一流体通路」、「第二流体通路」が、それぞれ本願補正発明でいう「1次側流体流路」、「2次側流体流路」に相当するとともに、引用発明における「流体104」、「流体204」が、それぞれ本願補正発明でいう「1次側流体」、「2次側流体」に相当し、 引用発明における、発電機等の冷却が必要な「回転電機設備装置」が、本願補正発明でいう「電機」あるいは「回転電機(701)」に相当する。 (b)そして、引用発明においても、回転電機設備装置で生成された温度エネルギー、すなわち熱エネルギーを、順に流体104、中継均熱器、流体204、均熱装置を介して自然温度蓄積体に放熱するようにしたものであるといえることから、 本願補正発明と引用発明とは、「地表浅層部または池、河川からなる浅層の温度保持体との間に、1次側流体流路及び2次側流体流路を備える熱交換装置を設置し、生成する熱エネルギーを熱交換装置の1次側流体を経て伝送し、且つ熱交換装置の2次側流体が浅層の温度保持体の中に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して熱エネルギーを放出することにより、浅層の温度保持体と交換流体を通して放熱する電機」である点で一致する。 (c)また、引用発明における「回転電機設備装置」にあっても、例えば発電機であり、磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルを備えることは自明なことである。 そして、引用発明における「中継均熱器」にあっても、回転電機設備装置とは分離して設けられていることから、 本願補正発明と引用発明とは、「熱交換装置は回転電機のボディシェルと分離して設置され、当該電機が生成する熱エネルギーは、熱交換装置の2次側流体を通して、浅層の温度保持体に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して放熱」するものである点、及び「回転電機は磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルの回転電機を備え、発電機によって構成される装置を含」むものである点で一致するということができる。 イ.引用発明における「前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間に流体伝送パイプ105及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ106を設け、前記回転電機設備装置の内部にも流体が流れるパイプを設けることで封鎖環状流路を形成し、前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間で前記流体104を循環させて伝送することで、前記回転電機設備装置と前記中継均熱器の間に温度均衡機能が構成されるとともに、前記均熱装置と前記中継均熱器の間に流体伝送パイプ205及び電力又は機械力で駆動する流体ポンプ206を設けることで、封鎖環状流路を形成し、前記均熱装置と前記中継均熱器の間で前記流体204を循環させて伝送することで、前記均熱装置と前記中継均熱器の間に温度均衡機能が構成され、前記流体104は、例えば熱の蓄積及び熱伝導性が良い気体であり」によれば、 (a)引用発明における「流体伝送パイプ105」、「流体ポンプ106」、「流体伝送パイプ205」、「流体ポンプ206」は、それぞれ本願補正発明でいう「管路」、「流体ポンプ(707)」、「管路(705)」、「流体ポンプ(706)」に相当する。 なお、引用発明における「中継均熱器」、「均熱装置」は、それぞれ本願補正発明でいう「熱交換器(703)」、「放熱器(709)」に相当している。 (b)そして、引用発明の「流体ポンプ106」及び「流体ポンプ206」にあっても、回転電機設備装置の外部に設けられてなるものであるといえ(引用例の図2も参照)、電力又は機械力で駆動するものであることから、 本願補正発明と引用発明とは、「回転電機、熱交換器、放熱器、および、前記回転電機の外部に設けられている流体ポンプ」を備える点、及び「前記流体ポンプは機械力または電気モータによって駆動される流体ポンプで構成される」点で一致するといえる。 (c)さらに、引用発明における、回転電機設備装置と中継均熱器の間で循環、伝送される「流体104」は、気体であることを踏まえると、 本願補正発明と引用発明とは、「熱交換器は1次側流体流路及び2次側流体流路を備え、かつ互いに熱エネルギーを伝送し、その中の前記1次側流体流路は、管路及び流体ポンプの圧送を通して、前記回転電機の内部を通る循環気流を構成し、前記2次側流体流路は、管路及び流体ポンプを通して、前記自然蓄熱体(温度保持体)の中に設置する放熱器を流れる冷却流体をポンピングし、循環流体を構成することによって、熱エネルギーを伝送」するものである点で共通するということができる。 ただし、回転電機の内部を通る循環気流について、本願補正発明では、「前記回転電機の内部の気流と一緒の」循環気流を構成するものであるのに対し、引用発明では、回転電機の内部では流体が流れるパイプが設けられている点で相違しているといえる。 ウ.引用発明における「前記中継均熱器の前記第一流体通路を流れる前記流体104の基本流れ方向は前記自然温度蓄積体の表面に対して垂直方向であり、また、前記第二流体通路を流れる前記流体204の基本流れ方向も前記自然温度蓄積体の表面に対して垂直方向であり、そして、それぞれの基本流れ方向に対して交差する方向に繰り返し往復する流路がそれぞれ形成されており、且つ、それぞれの繰り返し往復する流路の範囲が基本流れ方向の異なる位置に重ねて設けられ」によれば、 引用発明の「中継均熱器」における第一流体通路及び第二流体通路においても、基本流れ方向はいずれも自然温度蓄積体の表面に対して垂直方向であるから、基本流れ方向が互いに平行であるといえ、また、いずれにも基本流れ方向に対して交差する方向に繰り返し往復する流路が形成されていることから、 本願補正発明と引用発明とは、「熱交換器における前記1次側流体流路及び前記2次側流体流路は、それぞれの流路入口と流路出口とを結ぶ基本流れ方向に対し交差する方向に繰り返し往復するように形成されており、前記1次側流体流路と前記2次側流体流路とは、基本流れ方向が互いに平行」である点で共通するとみることができる。 ただし、熱交換器における1次側流体流路及び2次側流体流路の繰り返し往復する範囲について、本願補正発明では、「基本流れ方向の同じ位置に設けられ」ている旨特定するのに対し、引用発明では、基本流れ方向の異なる位置に重ねて設けられている点で相違している。 エ.引用発明における「・・地層、地表、池、川等の固体又は液体を呈する自然温度蓄積体中に熱伝導が良い均熱装置を設けることで、・・・・前記均熱装置は、それ自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つ」によれば、 引用発明における「均熱装置」にあっても、熱伝導が良いものであり、熱伝導性材料によって構成されているといえることから、 本願補正発明と引用発明とは、「前記放熱器は熱伝導性材料によって構成され、流れる前記冷却流体を放熱させる構造であり、土地または池、河川によって構成される前記自然蓄熱体に設置され」るものである点で共通するということができる。 ただし、放熱器について、本願補正発明では、「容器」構造である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような明確な特定を有していない点で相違している。 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「地表浅層部または池、河川からなる浅層の温度保持体との間に、1次側流体流路及び2次側流体流路を備える熱交換装置を設置し、生成する熱エネルギーを熱交換装置の1次側流体を経て伝送し、且つ熱交換装置の2次側流体が浅層の温度保持体の中に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して熱エネルギーを放出することにより、浅層の温度保持体と交換流体を通して放熱する電機であって、 熱交換装置は回転電機のボディシェルと分離して設置され、当該電機が生成する熱エネルギーは、熱交換装置の2次側流体を通して、浅層の温度保持体に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して放熱し、 回転電機、熱交換器、放熱器、および、前記回転電機の外部に設けられている流体ポンプを備え、 回転電機は磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルの回転電機を備え、発電機によって構成される装置を含み、 熱交換器は1次側流体流路及び2次側流体流路を備え、かつ互いに熱エネルギーを伝送し、その中の前記1次側流体流路は、管路及び流体ポンプの圧送を通して、前記回転電機の内部を通る循環気流を構成し、前記2次側流体流路は、管路及び流体ポンプを通して、前記自然蓄熱体(温度保持体)の中に設置する放熱器を流れる冷却流体をポンピングし、循環流体を構成することによって、熱エネルギーを伝送し、 熱交換器における前記1次側流体流路及び前記2次側流体流路は、それぞれの流路入口と流路出口とを結ぶ基本流れ方向に対し交差する方向に繰り返し往復するように形成されており、前記1次側流体流路と前記2次側流体流路とは、基本流れ方向が互いに平行であり、 前記放熱器は熱伝導性材料によって構成され、流れる前記冷却流体を放熱させる構造であり、土地または池、河川によって構成される前記自然蓄熱体に設置され、 前記流体ポンプは機械力または電気モータによって駆動される流体ポンプで構成されることを特徴とする電機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 回転電機の内部を通る循環気流について、本願補正発明では、「前記回転電機の内部の気流と一緒の」循環気流を構成するものであるのに対し、引用発明では、回転電機の内部では流体が流れるパイプが設けられている点。 [相違点2] 熱交換器における1次側流体流路及び2次側流体流路の繰り返し往復する範囲について、本願補正発明では、「基本流れ方向の同じ位置に設けられ」ている旨特定するのに対し、引用発明では、基本流れ方向の異なる位置に重ねて設けられている点。 [相違点3] 放熱器について、本願補正発明では、「容器」構造である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような明確な特定を有していない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 [相違点1]について 本願補正発明では、「前記回転電機の内部の気流と一緒の」循環気流を構成する、すなわち、本願の図7も参照するに、回転電機の内部では管路が設けられておらず、内部全体を流体(気流)が流れると解されるところ、例えば特開2002-58205号公報(特に段落【0009】~【0010】、図9を参照)、特開2010-110203号公報(段落【0009】~【0020】、図4~6を参照)に見られるように、回転電機内部に管路(パイプ)を設けることなく、内部全体を循環気流が流れる構成とすることは周知の技術事項であり、引用発明においても、かかる周知の技術事項を採用し、相違点1に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることである。 [相違点2]について 例えば特開2009-19859号公報(段落【0004】~【0014】、図1を参照)、特開2008-116112号公報(段落【0034】~【0036】、図1を参照)、特表平8-511205号公報(図1に示される「熱交換器(8)」を参照)に見られるように、熱交換器における1次側流体流路及び2次側流体流路の繰り返し往復する範囲を、基本流れ方向の同じ位置に設けてなる構成とすることは周知といえる技術事項であり、引用発明において、かかる周知の技術事項を採用し、相違点2に係る構成とすることも当業者であれば容易になし得ることである。 [相違点3]について 引用発明における均熱装置にあっても、それ自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つものであることから、「容器」構造とみることもでき、かかる相違点3は実質的な相違点ではない。 仮に、引用発明の均熱装置は、それ自体が流体入口、流体出口及び内部流体の通路を持つものの、具体的にはU字形のパイプ構造であり(引用例の図2を参照)、「容器」構造とみることまではできないとしても、例えば自然温度蓄積体との接触面積をより大きくしたり、自然温度蓄積体との接触時間を長くする等のために、内部流体の通路の断面積を流体入口や流体出口の断面積より大きくするなどして、「容器」構造とすることも当業者が適宜なし得ることである。 そして、上記各相違点を総合的に判断しても本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。 (5)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成28年11月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年1月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項5に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項5】 地表浅層部または湖、池、河川からなる浅層の温度保持体との間に、1次側流体流路及び2次側流体流路を備える熱交換装置を設置し、生成する熱エネルギーを熱交換装置の1次側流体を経て伝送し、且つ熱交換装置の2次側流体が浅層の温度保持体の中に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して熱エネルギーを放出することにより、浅層の温度保持体と交換流体を通して放熱する電機であって、 熱交換装置は回転電機のボディシェルと分離して設置され、当該電機が生成する熱エネルギーは、熱交換装置の2次側流体を通して、浅層の温度保持体に設置される均熱器へ流れ、浅層の温度保持体に対して放熱し、 回転電機(701)、熱交換器(703)、放熱器(709)、および、前記回転電機(701)の外部に設けられている流体ポンプ(706、707)を備え、 回転電機(701)は磁界巻線、鉄芯、ロータ及びマシンシェルの回転電機を備え、モータまたは発電機または電磁カップリング装置によって構成される装置を含み、 熱交換器(703)は1次側流体流路(702)及び2次側流体流路(704)を備え、かつ互いに熱エネルギーを伝送し、その中の前記1次側流体流路(702)は、管路及び流体ポンプ(707)の圧送を通して、前記回転電機(701)の内部の気流と一緒の循環気流を構成し、前記2次側流体流路(704)は、管路(705)及び流体ポンプ(706)を通して、前記自然蓄熱体(108)の中に設置する放熱器(709)を流れる冷却流体(711)をポンピングし、循環流体を構成することによって、熱エネルギーを伝送し、 前記放熱器(709)は熱伝導性材料によって構成され、流れる前記冷却流体(711)を放熱させる容器構造であり、土地または池、湖、河川によって構成される前記自然蓄熱体(108)に設置され、 前記流体ポンプ(706、707)は機械力または電気モータによって駆動される流体ポンプで構成されることを特徴とする電機。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である熱交換器(703)」について、「前記1次側流体流路(702)及び前記2次側流体流路(704)は、それぞれの流路入口と流路出口とを結ぶ基本流れ方向に対し交差する方向に繰り返し往復するように形成されており、前記1次側流体流路(702)と前記2次側流体流路(704)とは、基本流れ方向が互いに平行であり、且つ、繰り返し往復する範囲が基本流れ方向の同じ位置に設けられ」ている旨の限定を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願の請求項5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-016933

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