審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-010972

LED装置

審判番号
2022-010972
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-111708
請求日
2022年07月14日
審決日
2023年05月22日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】楊 泰和
  • 【請求人代理人】弁理士法人服部国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 波多江 進
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-111708「LED装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月 7日出願公開、特開2019-195075〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成24年2月13日に出願した特願2012-27982号の一部を令和元年6月17日に新たな特許出願としたものであって(パリ条約による優先権主張 2011年2月11日 米国、2011年2月11日 米国)、その手続の経緯の概略は次のとおりである。 令和 元年 6月17日 :上申書の提出 令和 2年 9月14日付け:拒絶理由通知書 令和 3年 2月 9日 :意見書の提出 同年 7月27日付け:拒絶理由通知書 同年10月26日 :意見書の提出 令和 4年 3月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達) 令和 4年 7月14日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 1個以上の発光素子ユニットを含み、両端が電源に接続されるLED装置であって、 前記発光素子ユニットは1個あたり、 複数個のLED(101)が同極性で接続されて構成された1個のLEDセットと、 前記LEDセットの両端に並列接続され、過電圧となったときインピーダンスが速やかに下降する半導体素子によって構成された1個の共用の電圧制限素子(105)と、 各前記LED(101)に個別に対応し、抵抗成分によって構成され、対応する各前記LED(101)の両端に並列接続された複数個の均圧抵抗(107)と、 を備え、 前記電源から来るサージ電圧が現れるとき、各前記LED(101)が瞬間的な過電圧及び過電流により壊れることを防ぐように、共用の前記電圧制限素子(105)を通してサージ電圧を吸収し、且つ、各前記LED(101)の両端に個別に並列接続された前記均圧抵抗(107)により各前記LED(101)を過電圧から保護するLED装置。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 (進歩性)本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.国際公開第2010/073437号 2.仏国特許出願公開第2891106号明細書(周知技術を示す文献) 3.特開2008-131007号公報(周知技術を示す文献) 4.米国特許出願公開第2002/0117975号明細書(周知技術を示す文献) 第4 当審の判断 1 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 (1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものである。 (ア) [0001]-[0003] 「[0001] この発明は、車載ヘッドランプやテールランプ等の光源として使用するLED(発光ダイオード;Light Emitting Diode)を点灯させるLED点灯装置及びヘッドランプ用LED点灯装置に関するものである。 背景技術 [0002] 近年、車載ヘッドランプやテールランプ用の光源としてLEDが使用され始めている。しかしながら、未だに発光効率が低く、ヘッドランプ用として充分な発光量を確保するには、放電灯式ヘッドランプと同等な投入電力が必要であり、当該ヘッドランプにおいて、LED及び点灯用電源による消費電力は放電灯と同程度に大きい。従って、現段階では、LED及び点灯電源の発熱対策や省エネルギーの観点から両者の消費電力を低減する必要がある。なお、この課題は、テールランプ用の光源としてLEDを使用した場合であっても同様である。 [0003] また、少ない点灯電力でLEDの発光量を視覚的に高くみせる手法としては、人の視覚において、ピーク電流通電時の明るさが当該光源の明るさとして認識されるため、ピーク電流の大きな光源が明るく感じられることを利用して、数字や文字等を表示するディスプレイにLEDや蛍光表示管を使用する構成において、個々のセグメント(LEDや蛍光表示管の1発光素子)に対してDC定格電流を超える短時間の大電流パルスの通電(点灯)と非通電(消灯)を、ちらつきとして視認されないように高速で繰り返して平均電力を定格電力以内にする点灯方式が一般的である。」 (イ) [0014]-[0019]、[図1] 「[0014] 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。 実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1によるLED点灯装置の構成を示す回路図である。図1において、LED点灯電源1(当審注:「LED点灯装置1」の誤記であると認められる)は、LED2-1~2-n、誤差増幅器3、発振器(VCO;Voltage Controlled Oscillator)4、フリップフロップ5、コンパレータ6、スイッチングトランジスタ7、チョークコイルL1(インダクタ)及び電源電圧Viの直流電源8を備える。LED2-1~2-nは直列に接続されたn個のLEDからなるLED回路(以下、LED直列回路と称す)を構成し、端部のLED2-1のアノードがチョークコイルL1の一端に接続しており、もう一方の端部のLED2-nのカソードがシャント抵抗R2を介して接地されている。 [0015] 誤差増幅器3は、反転入力端子がLED2-nのカソードに抵抗R0を介して接続しており、目標電流を与える基準電源Vtが非反転入力端子に接続し、出力端子が発振器4に接続するとともに、コンデンサC0を介して反転入力端子と抵抗R0の接続点に出力端子が接続している。発振器4は、誤差増幅器3から印加される電圧値に応じた発振周波数の矩形波を生成してフリップフロップ5のセット端子Sに出力する。誤差増幅器3及び発振器4が周期決定手段を構成する。 [0016] フリップフロップ5(以下、FF5と略称する)は、セット端子Sが発振器4の出力端子に接続し、リセット端子Rがコンパレータ6の出力端子に接続しており、出力端子Qがスイッチングトランジスタ7のゲート端子に接続している。FF5は、セット端子Sに立ち上がりエッジが入力されると、出力端子Qの電位をハイレベルとし、リセット端子Rに立ち上がりエッジが入力されると、出力端子Qの電位をロウレベルとする。なお、FF5としては、RSフリップフロップに限定されるものではなく、スイッチングトランジスタ7のオンオフを保持する2つの安定出力状態を有する回路であればよい。 [0017] コンパレータ6は、所定の電流値を与える基準電源Vcが反転入力端子に接続し、非反転入力端子がスイッチングトランジスタ7のソース端子とシャント抵抗R1との接続点に接続し、出力がFF5のリセット端子Rに接続している。上述したFF5及びコンパレータ6が点灯手段を構成する。 [0018] スイッチングトランジスタ(スイッチング素子)7は、電界効果トランジスタ(FET)から構成され、ゲート端子がFF5の出力端子Qに接続し、ドレイン端子がチョークコイルL1とLED直列回路との接続点に接続し、ソース端子がシャント抵抗R1を介して接地されており、オンオフのスイッチングによって直流電源8からチョークコイルL1への電流の通電を制御する。 [0019] スイッチングトランジスタ7がオン状態になると、直流電源8の電圧ViがチョークコイルL1に印加され、直流電源8からチョークコイルL1へ電流が通電される。一方、スイッチングトランジスタ7がオフ状態になると、チョークコイルL1から流出したパルス状の出力電流Io(ピーク電流)がLED直列回路に供給されてLED2-1~2-nが点灯する。なお、スイッチングトランジスタ7、直流電源8及びチョークコイルL1からステップアップ電源(電源供給部)が構成される。」 「 [図:0001403259000001.jpg] 」 (ウ) [0039]、[図3] 「[0039] 実施の形態2. 図3は、この発明の実施の形態2によるLED点灯装置の構成を示す回路図である。図3に示すように、実施の形態2によるLED点灯装置1Aは、図1に示した構成のうち、チョークコイルL1をオートトランスL2(1次コイルの巻回数n1、2次コイルの巻回数n2)に置き換えている。また、LED点灯装置1Aでは、LED2-1~2-nの各々に印加される電圧を略均等に配分する素子として抵抗Rb1~Rbnを各LEDに並列に接続している。なお、スイッチングトランジスタ7、直流電源8及びオートトランスL2からステップアップ電源(電源供給部)が構成される。この他の構成要素については図1と同一若しくはこれに相当するものであるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。」 「 [図:0001403259000002.jpg] 」 (エ) [0040]-[0045]、[図4] 「[0040] 次に動作について説明する。 図4は、図3中のLED点灯装置の各構成回路の出力波形を示す図であり、図4(a)は発振器(VCO)4の出力電圧波形、図4(b)はFF5の出力電圧波形、図4(c)は電流IFETの波形、図4(d)は出力電圧波形、図4(e)は出力電流Ioの波形を示している。上記実施の形態1で示した図2と同様に、発振器4から入力した矩形波の立ち上がりエッジのタイミングで、FF5がハイレベル(高電位)となる駆動信号を出力端子Qから出力する(図4(a)(b)参照)。 [0041] スイッチングトランジスタ7のオン期間において、図4(c)に示すようなピーク値を有するパルス状の電流IFETが、オートトランスL2の1次コイルからドレイン端子-ソース端子間に流れる。なお、図4(c)中の破線の比較値は基準電源Vcの電圧であり、この比較値とシャント抵抗R1に発生した電流IFETの電流量を表す電圧とがコンパレータ6によって比較される。 [0042] 出力電流Ioは、図4(e)に示すように、スイッチングトランジスタ7がオフのときに、オートトランスL2の2次コイルから流出してLED直列回路に通電されるパルス状の電流である。なお、スイッチングトランジスタ7がオフしたときにオートトランスL2の2次コイルから流出する出力電流Ioの先頭のピーク電流は、スイッチングトランジスタ7がオンしたタイミングで1次コイルから終末に流れるピーク電流(電流IFET)にオートトランスL2の巻数比(1次コイルの巻回数n1/2次コイルの巻回数n2)を乗じた電流値となる。 [0043] 図4(e)中に破線で示した平均電流Iaの値は、誤差増幅器3の積分器によって出力電流Ioを平均化処理した電流値である。この平均電流Iaと基準電源Vtからの目標電流とが誤差増幅器3によって比較され、上記実施の形態1と同様にして平均電流Iaの値が一定になるように制御される。 [0044] 上記周期の1サイクルあたりの出力電力は、(オートトランスL2のインダクタンス×パルス状電流IFETの2乗)/2で求められる。従って、パルス状電流IFETを一定にすれば、サイクル数と出力電力とは比例することから、繰り返し動作の周期(図4(a)に示す発振器4の出力矩形波の周期)を任意の周期に制御することにより出力電力を制御できる。なお、LED点灯装置1Aの出力極性は、電源電圧と同極性であっても、電源電圧の極性を反転した極性でも構わない。 [0045] このようにパルス状電流IFETの値を一定にすることで、出力電流Ioのピーク電流を一定にしながらLED直列回路に印加される電圧が高いときは出力電流Ioの通電幅が狭くなり、上記電圧が低いときは通電幅が広くなる。これにより、実施の形態2においても、特にフィードバック制御を実施することなく、出力電流Ioの1パルスあたりの出力電力を概ね一定に制御することができる。」 「 [図:0001403259000003.jpg] 」 (オ) [0046]-[0051] 「[0046] なお、オートトランスL2は、スイッチングトランジスタ7がオンするタイミングで、図4(d)中に破線で示すように、電源電圧Viに(2次コイルの巻回数n2/1次コイルの巻回数n1)を乗じた値のトランスのフォワード電圧(LEDに対して逆方向電圧)を発生する。ただし、LEDに逆方向電圧を印加してもLEDは点灯しない。図4(d)において、GND(破線)より低い部分がトランスが発生するフォワード電圧であり、LEDに印加される逆方向電圧である。 [0047] また、LED直列回路の各LEDに逆方向電圧が印加されると、LEDに多少の逆方向の漏れ電流が生じるが、LEDの個体差によってその電流量は異なる。このため、LED直列回路において、漏れ電流量が少ない特定のLEDには逆方向電圧が集中することとなる。ここで、LEDの許容逆方向電圧は5V程度であり、過度に電圧が集中すると、LEDが破壊する可能性がある。 [0048] そこで、LED2-1~2-nの各々に並列に同一抵抗値の抵抗Rb1~Rbnを接続して、各LEDに印加される電圧を略均等に配分する。これにより、上記特定のLEDに逆方向電圧が集中することを回避でき、個々のLEDに印加される電圧が許容逆方向電圧を超えることを防ぐことができる。 [0049] なお、LED2-1~2-nの各々の印加電圧を略均等に配分する素子としては、抵抗の他に、コンデンサや、2個のツェナーダイオードの同極性の片側端子を互いに接続したツェナーダイオード対の使用が可能である。 [0050] 以上のように、この実施の形態2は、LED点灯装置1Aを図3に示すように構成し、所定の繰り返し周期で、出力電流Ioとして1パルスごとにピーク電流の高い電流を供給してLED2-1~2-nを点灯する。これにより、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。 [0051] また、上記実施の形態2では、チョークコイルL1の代わりにオートトランスL2を用い、LED2-1~2-nの各々に印加される電圧を略均等に配分する素子を各LEDに並列に接続したので、オートトランスL2によって逆方向電圧が発生しても、個々のLEDに印加される電圧が許容逆方向電圧を超えないようにすることができる。」 イ 引用文献1から読み取れる事項の認定 (ア) 図3についての説明で援用する[0014]の「LED2-1~2-nは直列に接続されたn個のLEDからなるLED回路(以下、LED直列回路と称す)を構成し」という記載及び図3から、「LED直列回路を構成する直列に接続されたn個のLED2-1~2-nは、同極性で接続されている」との事項が読み取れる。 (イ) 図1について説明する[0014]の「端部のLED2-1のアノードがチョークコイルL1の一端に接続しており、もう一方の端部のLED2-nのカソードがシャント抵抗R2を介して接地されている」という記載及び図1、並びに、図3について説明する[0039]の「LED点灯装置1Aは、図1に示した構成のうち、チョークコイルL1をオートトランスL2(1次コイルの巻回数n1、2次コイルの巻回数n2)に置き換えている」という記載と併せてみると、図3から、「端部のLED2-1のアノードがオートトランスL2の一端に接続しており、もう一方の端部のLED2-nのカソードがシャント抵抗R2を介して接地されている」との事項が読み取れる。 (ウ) 図3から、「直流電源8は、一端がオートトランスL2の他端に接続され、他端が接地されている」との事項が読み取れる。 ウ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「LED2-1~2-n、誤差増幅器3、発振器(VCO;Voltage Controlled Oscillator)4、フリップフロップ5、コンパレータ6、スイッチングトランジスタ7、オートトランスL2及び電源電圧Viの直流電源8を備えるLED点灯装置1Aであって、([0014]、[0039]) LED2-1~2-nは直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路を構成し、([0014]、[0039]) LED直列回路を構成する直列に接続されたn個のLED2-1~2-nは、同極性で接続されており、(前記イ(ア)の認定事項) スイッチングトランジスタ7は、ソース端子がシャント抵抗R1を介して接地されており、([0018]、[0039]) 端部のLED2-1のアノードがオートトランスL2の一端に接続しており、もう一方の端部のLED2-nのカソードがシャント抵抗R2を介して接地されており、(前記イ(イ)の認定事項) 直流電源8は、一端がオートトランスL2の他端に接続され、他端が接地されており、(前記イ(ウ)の認定事項) スイッチングトランジスタ7、直流電源8及びオートトランスL2からステップアップ電源が構成され、([0039]) LED2-1~2-nの各々に印加される電圧を略均等に配分する素子として抵抗Rb1~Rbnを各LEDに並列に接続しており、([0039]) LED2-1~2-nの各々に並列に同一抵抗値の抵抗Rb1~Rbnを接続して、各LEDに印加される電圧を略均等に配分し、これにより、特定のLEDに逆方向電圧が集中することを回避でき、個々のLEDに印加される電圧が許容逆方向電圧を超えることを防ぐことができる、([0048]) LED点灯装置1A」 (2) 引用文献2に記載された事項及び周知技術の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。()内の翻訳は当合議体によるものであり、下線は当合議体が付したものである。 (ア) 明細書1ページ18-21行 [図:0001403259000004.jpg] (多数の発光ダイオードを1つの分岐に直列に接続すると、その分岐の1つの発光ダイオードに障害が発生した場合、その分岐の全ての発光ダイオードがオフになるという大きな欠点がある。) (イ) 明細書2ページ5-17行、Fig.2 [図:0001403259000005.jpg] (図2は、本発明の実施例において、高交流電圧に対するこれらの発光ダイオードの電源図を説明するものである。 一般的な原理は、全ての発光ダイオードが直列に接続され、したがって1つの分岐を形成することである。 本発明による各発光ダイオードは、発光ダイオード(7)と並列のツェナーダイオード(8)により完成される。このツェナーダイオードのツェナー電圧値は、電流調整器(6)から供給される発光ダイオードの電圧より高い。発光ダイオードが故障しても、その関連するツェナーダイオードが導通状態となり、分岐部全体の電流が維持される。) 「 [図:0001403259000006.jpg] 」 (ウ) 明細書2ページ27-33行、Fig.3 [図:0001403259000007.jpg] (コストの観点から、図3のように、全ての発光ダイオードにツェナーダイオードを並列に配置せず、発光ダイオードのグループごとにのみ配置することも可能である。この場合、ある分岐の1つの発光ダイオードが故障すると、その分岐の全ての発光ダイオードが消灯するが、残りの発光ダイオードは電力を維持することができる。) 「 [図:0001403259000008.jpg] 」 イ 周知技術の認定 前記アに摘記した引用文献2の記載事項と、本願優先日の技術常識によれば、以下の内容は本願優先日における周知技術といえる。 <周知技術> 「多数の発光ダイオードを1つの分岐に直列に接続すると、その分岐の1つの発光ダイオードに障害が発生した場合、その分岐の全ての発光ダイオードがオフになるのを防止するために、発光ダイオードと並列にツェナーダイオードを設け、発光ダイオードが故障しても、その関連するツェナーダイオードが導通状態となり、分岐部全体の電流を維持すること、また、コストの観点から、全ての発光ダイオードにツェナーダイオードを並列に配置せず、発光ダイオードのグループごとにのみ配置すること」 2 対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア(ア) 引用発明の「直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路」は、「LED直列回路を構成する直列に接続されたn個のLED2-1~2-nは、同極性で接続されて[いる]」から、本願発明の「複数個のLED(101)が同極性で接続されて構成された1個のLEDセット」に相当する。 (イ) 引用発明の「抵抗Rb1~Rbn」は、「LED2-1~2-nの各々に印加される電圧を略均等に配分する素子」であって、「各LEDに並列に接続して[いる]」ものであるから、本願発明の「各前記LED(101)に個別に対応し、抵抗成分によって構成され、対応する各前記LED(101)の両端に並列接続された複数個の均圧抵抗(107)」に相当する。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)から、引用発明の「直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路」及び「抵抗Rb1~Rbn」からなる構成は、本願発明の「発光素子ユニット」に相当する。 (エ) そうすると、本願発明と引用発明は、「前記発光素子ユニットは1個あたり、複数個のLED(101)が同極性で接続されて構成された1個のLEDセットと、各前記LED(101)に個別に対応し、抵抗成分によって構成され、対応する各前記LED(101)の両端に並列接続された複数個の均圧抵抗(107)と、を備え[る]」点で共通する。 イ(ア) 引用発明は、「スイッチングトランジスタ7、直流電源8及びオートトランスL2からステップアップ電源(電源供給部)が構成され[る]」ものであるところ、LED直列回路の「端部のLED2-1のアノードがオートトランスL2の一端に接続して[いる]」から、「直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路」及び「抵抗Rb1~Rbn」からなる構成の一端は、ステップアップ電源に接続されていることとなる。 (イ) また、引用発明は、LED直列回路の「もう一方の端部のLED2-nのカソードがシャント抵抗R2を介して接地されて」おり、ステップアップ電源を構成するスイッチングトランジスタ7は、「ソース端子がシャント抵抗R1を介して接地されており」、同じくステップアップ電源を構成する直流電源8は、「一端がオートトランスL2の他端に接続され、他端が接地されて[いる]」ところ、このことは、シャント抵抗R2がステップアップ電源を構成するスイッチングトランジスタ7のソース端子に接続されたシャント抵抗R1及び直流電源の他端と接続されていることと等価である。 (ウ) そうすると、引用発明の「直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路」、「抵抗Rb1~Rbn」及び「シャント抵抗R2」からなる構成は、その両端がステップアップ電源に接続されていることになるから、前記ア(ウ)も踏まえると、引用発明の「直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路」、「抵抗Rb1~Rbn」及び「シャント抵抗R2」からなる構成は、本願発明の「1個以上の発光素子ユニットを含み、両端が電源に接続されるLED装置」に相当する。 ウ 引用発明の「LED2-1~2-nの各々に並列に同一抵抗値の抵抗Rb1~Rbnを接続して、各LEDに印加される電圧を略均等に配分し、これにより、特定のLEDに逆方向電圧が集中することを回避でき、個々のLEDに印加される電圧が許容逆方向電圧を超えることを防ぐことができる」ことは、本願発明の「各前記LED(101)の両端に個別に並列接続された前記均圧抵抗(107)により各前記LED(101)を過電圧から保護する」ことに相当する。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 ア 一致点 「1個以上の発光素子ユニットを含み、両端が電源に接続されるLED装置であって、 前記発光素子ユニットは1個あたり、 複数個のLED(101)が同極性で接続されて構成された1個のLEDセットと、 各前記LED(101)に個別に対応し、抵抗成分によって構成され、対応する各前記LED(101)の両端に並列接続された複数個の均圧抵抗(107)と、 を備え、 各前記LED(101)の両端に個別に並列接続された前記均圧抵抗(107)により各前記LED(101)を過電圧から保護するLED装置」である点。 イ 相違点 発光素子ユニットについて、本願発明は、 a 発光素子ユニットは1個あたり、「前記LEDセットの両端に並列接続され、過電圧となったときインピーダンスが速やかに下降する半導体素子によって構成された1個の共用の電圧制限素子(105)」を備え、 b 「前記電源から来るサージ電圧が現れるとき、各前記LED(101)が瞬間的な過電圧及び過電流により壊れることを防ぐように、共用の前記電圧制限素子(105)を通してサージ電圧を吸収[する]」 のに対して、引用発明は、当該電圧制限素子を備えていない点。 3 判断 (1) 相違点についての検討 前記相違点について検討する。 ア 前記1(2)イで示したとおり、「多数の発光ダイオードを1つの分岐に直列に接続すると、その分岐の1つの発光ダイオードに障害が発生した場合、その分岐の全ての発光ダイオードがオフになるのを防止するために、発光ダイオードと並列にツェナーダイオードを設け、発光ダイオードが故障しても、その関連するツェナーダイオードが導通状態となり、分岐部全体の電流を維持すること」は周知技術であるところ、直列に接続されたn個のLEDからなるLED直列回路を備える引用発明においても、1つのLEDに障害が発生した場合にLED直列回路の全てLEDがオフになるのを防止するのが好ましいことは、当業者にとって明らかな事項である。 よって、引用発明において、1つのLEDに障害が発生した場合にLED直列回路の全てLEDがオフになるのを防止するために、LEDと並列にツェナーダイオードを設けることは当業者が容易になし得たことである。 イ そして、ツェナーダイオードが「過電圧となったときインピーダンスが速やかに下降する半導体素子」に相当することは、本願優先日時点における技術常識である。 ウ(ア) また、前記1(2)イで示したとおり、「コストの観点から、全ての発光ダイオードにツェナーダイオードを並列に配置せず、発光ダイオードのグループごとにのみ配置すること」もまた周知技術であるから、前記アのように引用発明においてLEDと並列にツェナーダイオードを設けるに際しても、コストの観点から、全てのLEDにツェナーダイオードを並列に配置せず、LEDのグループごとにのみツェナーダイオードを並列に配置することもまた、当業者が容易になし得たことである(相違点のa)。 (イ) このとき、1つのグループを構成する複数のLED及びこれらに並列に接続される複数の抵抗と1つのツェナーダイオードが、本願発明の「発光素子ユニット」に相当することとなる。 エ(ア) ところで、LEDにツェナーダイオードを並列接続することにより、電源から来るサージ電圧が現れるとき、各LEDが瞬間的な過電圧及び過電流により壊れることを防ぐように、ツェナーダイオードを通してサージ電圧を吸収することは、本願の発明の詳細な説明【0002】にも背景技術として「従来のLED装置は、LEDの両端に例えばツェナーダイオード等の電圧制限素子を並列接続することによって構成した発光素子ユニットを有し、LEDにかかる電圧が異常に上昇するときツェナーダイオードにより異常電圧を吸収する。」と記載されているとおり、文献を挙げるまでもない周知技術である。 (イ) そして、前記ウに示した周知技術における発光ダイオードと並列に発光ダイオードのグループごとに設けられるツェナーダイオードは、発光ダイオードが正常に動作しているときは導通状態ではなく、発光ダイオードが故障して、その両端にグループ内の発光ダイオードの順方向電圧の和よりも高い所定電圧が印加されたときに導通状態となるように構成されるものであるから、前記(ア)の周知技術におけるツェナーダイオードと同様に、「電源から来るサージ電圧が現れるとき、各LEDが瞬間的な過電圧及び過電流により壊れることを防ぐように、ツェナーダイオードを通してサージ電圧を吸収する」との作用を当然に有するといえる(相違点のb)。 オ したがって、引用発明において、相違点に係る本願発明の構成を採用することは、前記ウ及びエで示したとおり、当業者が容易になし得たことである。 (2) 効果についての検討 本願発明の奏する効果についても、本願発明の構成が奏するものとして、技術水準から当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 (3) 相違点の判断についてのまとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 請求人の主張について (1) 審判請求書における請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。 本願発明は、引用文献2の図3の回路の欠点を解決するための進歩性のある回路設計を提供する。本願発明の回路では、「公称ツェナー電圧がより高いツェナーダイオード」が並列接続された各LEDセットの各LEDの両端に、さらに均圧抵抗(107)が並列接続される。均圧抵抗(107)は、電圧均等化/電流シャント(分流)機能を提供することで、引用文献2の図3の回路の欠点、すなわち、LEDセット内の個々のLEDが劣化または故障する前に積極的に保護できないという問題点を解決する。 本願発明は、直列接続されたLEDセット内の各LEDの両端(プラス側/マイナス側)に均圧抵抗(107)が並列接続される点が新しい。LEDセットはさらに、ツェナーダイオードによって構成される電圧制限素子(105)と並列に接続されることで、以下に説明する保護機能が得られる。 直列接続された複数のLEDを含むLEDセットが電源に接続されると、各LEDの個体特性のばらつきと場所による熱環境の違いによって劣化の程度が異なり、各LEDの順方向電圧が変動する。均圧抵抗(107)を接続せずに引用文献2の図3の回路設計を採用すると、LEDセット内の個々のLEDの端子電圧もそれぞれの状態によって変化する。それに対し本願発明は、直列接続されたLEDセット内の各LEDの両端に均圧抵抗(107)が並列に接続される。各均圧抵抗(107)は、電圧平均化および電流シャント(分流)機能を提供する。均圧抵抗(107)を通過する電流の大きさは、LEDセット内の個々のLEDの順方向電圧変動に応じて変化する。このとき、各LEDの並列接続された均圧抵抗(107)のシャント電流を同時に調整して、ツェナーダイオードによって構成される電圧制限素子(105)の電圧制限範囲内で端子電圧をさらに比例的に調整することが可能である。この機能は、LEDセット内の各LEDの端子電圧変動を滑らかにし、個々のLEDを積極的に保護する。 この機能は、引用文献2の図3には開示されていない本願発明特有のものである。審判請求人は先行技術を詳細に調査したが、直列接続されたLEDセット内の各LEDの保護回路を開示する先行文献は見当たらない。個々のLEDを積極的に保護する電圧均等化の機能を伴う保護機能は、電源からの異常な電圧サージに対して特に効果的である。 本願発明のLED装置は、直列接続されたLEDセットの各LEDの両端(プラス側/マイナス側)に均圧抵抗(107)が接続され、さらにLEDセットの両端に電圧制限素子(105)が並列接続されていることを特徴とする。本願発明の回路レイアウトは、均圧抵抗(107)の電圧均等化/電流シャント(分流)機能によって、直列接続されたLEDセット内の各LEDの端子の電圧変動を滑らかにし、個々のLEDが劣化または故障する前に積極的に保護する。 (2) 請求人の主張についての検討 請求人の主張は要するに、引用文献2には直列接続されたLEDセットの各LEDの両端に均圧抵抗を接続することが開示されていない、というものであるが、当該均圧抵抗は引用文献1に記載されていることは、前記2(1)ア(イ)で示したとおりであり、また、当該均圧抵抗を備えた引用発明に対して、引用文献2に例示される、発光ダイオードと並列に発光ダイオードのグループごとにツェナーダイオードを設けるという周知技術を適用することは当業者が容易になし得たことであることも、前記3で検討したとおりである。 よって、請求人の主張は採用できない。 5 当審の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-010972

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決17件(楊 泰和)
  • 2023-021606拒絶査定不服審判 / 2024-10-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)外へ向けて延出する放熱翼及び/または放熱孔を有する静止型電動機の鉄心の外枠装置
    同じ当事者: 楊 泰和
  • 2022-009258拒絶査定不服審判 / 2022-12-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)放熱装置
    同じ当事者: 楊 泰和
  • 2020-004481拒絶査定不服審判 / 2022-05-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)放熱装置
    同じ当事者: 楊 泰和
  • 2020-001230拒絶査定不服審判 / 2021-09-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)貼付け式均温器と伝熱流体を備える温度制御システム及びその応用装置
    同じ当事者: 楊 泰和
  • 2017-008272拒絶査定不服審判 / 2020-03-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱エネルギー放出装置
    同じ当事者: 楊 泰和
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,479件(121・H01L)
  • 2025-000609拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)軽量太陽光発電パネル及びその製造方法
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001807拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)太陽電池セルおよび太陽電池
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-002107拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立熱硬化性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001151拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立光電変換装置及び飛行体
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存