特許拒絶査定不服審判
2022-009258
放熱装置
- 審判番号
- 2022-009258
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-207734
- 請求日
- 2022年06月15日
- 審決日
- 2022年12月22日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】楊 泰和
- 【請求人代理人】弁理士法人服部国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 平城 俊雅
- 審判官 槙原 進
- 審判官 間中 耕治
- 分類
- P18 .121-WY (F28D) / P18 .537-WY (F28D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2019-207734「放熱装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月13日出願公開、特開2020- 24087、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月26日(パリ条約による優先権主張2013年6月26日、アメリカ合衆国)に出願した特願2014-131632号の一部を令和元年11月18日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和2年11月9日付けで拒絶理由通知
令和3年3月31日に意見書及び手続補正書の提出
令和3年6月17日付けで拒絶理由通知(最後)
令和3年11月10日に意見書及び手続補正書の提出
令和4年2月28日付けで令和3年11月10日付けの手続補正に対する補正の却下の決定及び拒絶査定(以下、「原査定」という。;令和4年3月8日送達)
令和4年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 理由1(進歩性)について
(1)本願請求項1及び2に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本願請求項4及び6に係る発明は、以下の引用文献1及び4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(4)本願請求項5に係る発明は、以下の引用文献1及び5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.登録実用新案第3166157号公報
2.米国特許第5950712号明細書
3.特開2012-26723号公報
4.特開2004-169985号公報
5.特開2001-108381号公報
2 理由2(明確性)について
本願は、請求項4に係る発明が明確でないから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第3 令和4年6月15日にされた手続補正について
令和4年6月15日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)が適法に行われたものであるか、以下検討する。
1 請求項1の補正について
本件補正後の請求項1において、「流体ポンプ(105)」の「ポンピング」について本件補正前の「流体を任意の方向に」から「流体の流向を切替可能又は周期的に切替可能に」とする補正(以下、「補正1」という。)は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)における段落【0009】、【0029】及び【0033】の記載に基づくものであり、また、「二本の管柱(201)」について「熱伝導特性を備える材料により製造された」との発明特定事項を追加する補正(以下、「補正2」という。)は、当初明細書等における請求項6、段落【0042】、【0043】及び【0050】の記載に基づくものであるから、本件補正における請求項1の補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正における請求項1の補正は、補正1及び補正2の内容からみて、特許法17条の2第4項に規定する要件に違反するものではない。
さらに、本件補正における請求項1の補正は、補正1により「流体ポンプ(105)」の「ポンピング」の態様を限定するものであり、また、補正2により「二本の管柱(201)」の構成材料を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、下記の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1及び2に係る発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する(独立特許要件を満たす)ものである。
2 請求項3ないし6を削除をする補正について
本件補正の本件補正前の請求項3ないし6を削除する補正は、特許法第17条の2第5項第1号の特許請求の範囲の削除を目的とするものに該当し、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものであり、また、特許法17条の2第4項に規定する要件に違反するものではない。
3 明細書の補正について
本件補正の明細書の段落【0005】についての補正は、上記1の請求項1についての補正と整合させたものであるから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は適法に行われたものである。
第4 本願発明
本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和4年6月15日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)と、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)の放熱器(104)と、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)及び前記放熱器(104)が収容されるシェール構造400と、
伝熱流体が循環輸送される支柱管体として機能し、前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の内部に形成される伝熱流体通路、又は、前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の外面と前記シェール構造400との間に形成される空間により構成される伝熱流体通路に連通するU型管体と、
前記伝熱流体通路に直列接続され、流体の流向を切替可能又は周期的に切替可能にポンピングする1個以上の流体ポンプ(105)と、
を備え、
前記U型管体は、別々に前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)へ通じ、上端の高さが互いに異なり、熱伝導特性を備える材料により製造された二本の管柱(201)、(202)により構成され、
一方の前記U型管体の管柱(201)は前記伝熱流体通路の入口へ通じ、他方の前記U型管体の管柱(202)は前記伝熱流体通路の出口へ通じ、
前記U型管体の下段に、伝熱流体の回路を形成する曲げ戻し部(200)が形成され、
前記U型管体の前記曲げ戻し部(200)は、自然熱エネルギ体(100)の中に直接埋設され、又は、前記自然熱エネルギ体(100)の中に設置された柱状の伝熱覆い体(2002)の中に覆われており、
前記自然熱エネルギ体(100)より上方で、前記U型管体の二本の管柱(201)、(202)は、外気に直接露出している放熱装置。
【請求項2】
上端の高さが互いに異なる前記U型管体の管柱(201)、(202)に代えて、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)の同じ高さの左側及び右側に位置する出入口に通じる、上端の高さが互いに等しい前記U型管体の管柱(301)、(302)が設けられる請求項1に記載の放熱装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、次の記載がある。(なお、下線は理解の一助として当審において付したものである。以下、同様)
「【0001】
本考案は、自然貯温ユニットを利用して半導体応用装置の温度を均一化するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固相或いは気相半導体応用装置の温度の保持、冷却或いは加熱には、通常、受動温調装置の設置を必要とした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の受動温調装置の設置は、コストが高く、比較的大きなエネルギーを消耗する。」
「【0089】
図5の実施例は、本考案を背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置を路灯へ応用する実施例の説明図である。比較的大きいかつ相対的に安定している貯温容量を持つ地層、地表、貯水池、湖泊、河川、砂漠、氷山、海洋等の固相或いは液相の自然貯温ユニットによって構成する自然貯温マトリックス101の温度エネルギーを通して、発光二極体(LED)によって構成する背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031に対して、熱エネルギーを産生することによって、温度均一化を保つ。その主な構成は少なくとも1ヶ所に流体輸送配管105を設け、ポンプ106のポンピングを通して、或いは流体の温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する対流効果によって駆動され、或いは流体を通して、流体が背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031に流れてから、再び流体輸送配管105を経て、自然貯温ユニット101に設置する均熱装置102へ戻ることによって、流体循環を構成する。その主な構成は下記を含む。
【0090】
--均熱装置102:良好な熱伝導特性を有する材料によって構成され、また自然貯温ユニット101と良好な熱伝導特性を有する構造であって、均熱装置102本体に流体流入口、流体流出口及び内部流体通路を有する。或いは自然貯温ユニット101の内部に流体が流通する空間を通して、直接的に均熱装置102の貯温機能を構成することによって、良好な熱伝導特性を有する材料に取り換え、均熱装置102を形成し、或いは二個同時に設置する。均熱装置102はまたサポーター600を自然貯温ユニット101のパイプに埋め込むことによって構成することができる。一個或いは一個以上の均熱装置102が、同一の背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031によって構成する半導体応用装置に対して、自然貯温ユニットの温度均一化システムを通して、温度均一化を保つ。また一個の均熱装置102が、一個或いは一個以上の独立に設置する背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031によって構成する半導体応用装置に対して、自然貯温ユニットの温度均一化システムを通して、温度均一化を保つ。また二個或いは二個以上の均熱装置102が、二個或いは二個以上の独立に設置する背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031によって構成する半導体応用装置に対して、自然貯温ユニットの温度均一化システムを通して、温度均一化を保つ。
【0091】
--背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031:発光二極体(LED)或いはガス灯300及び散熱装置の配置によって構成し、また散熱装置に流体輸送配管105を配置することによって、流体104を通過する。
【0092】
--ドライブ制御回路310:入力電気エネルギーのオン/オフ機能を制御し、及び発光二極体(LED)或いはガス灯300を駆動し、または設定機能によってオン/オフし、または明度を制御し、またはオン/オフ時期を制御し、及び温度測定装置107の信号を受け、システム温度が異常になったとき、システムの負荷低減或いは断電を制御する。・・・ドライブ制御回路310を独立或いは背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)に設置し、或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031の散熱装置に設置することによって、自然貯温ユニット101を通して、温度均一化を共同維持する。
【0093】
--流体104:熱伝送機能を持つ気体或いは液体等の流体が、システム作動中にポンプ106のポンピングを受け、流体が自然貯温ユニット101の中に設置する均熱装置102を通過してから、及び流体輸送配管105を通過してから、及びニーズによって選択的に設置する背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031を通過してから、再び流体輸送配管105を経て、均熱装置102へ戻り、循環を形成することによって、温度均一化機能を作動させる。または温かい空気が上昇し、冷たい空気は下降する効果により、循環を形成し、温度均一化機能を作動させる。
【0094】
--流体輸送配管105:流体104が流動する配管構造によって構成し、均熱装置102と背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031の間に設置し、またポンプ106を連続設置する。流体輸送配管105はニーズによってオープン式或いは引き抜ける構造を選択的に設置することによって、整備作業が便利になる。
【0095】
--ポンプ106:電力、機械力、人力、その他自然力を動力源とし、流体ポンプを駆動することによって構成され、流体輸送配管105に連続的に設置する。制御ユニット110の制御を受けることによって、流体104をポンピングする。本項のポンピング機能を流体の温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する対流効果に取り換える。
【0096】
--温度測定装置107:各種のよく使われるアナログ或いはデジタル機械電気或いは固相電子装置によって構成され、背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031に設置する。・・・
【0099】
--制御ユニット110:機械電気或いは固体素子回路及びソフトウェア関連によって構成され、その機能は温度測定装置107の温度測定信号及びシステムの温度設定値、流体制御ポンプ106、流体104を圧送することによって、一方向流動の連続圧送を作動させ、或いは間欠圧送を作動させ、均熱装置102と背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031間の流体104の流向と流量を制御する。及び制御ポンプ106を通して作動或いは停止させることによって、システムを設定温度範囲内に作動させ、及びシステムに温度調節補助装置109を設置し、ポンプ106作動が設定時間に達しても、温度が設定範囲から外れたとき、温度調節補助装置109を起動させ、温度調節補助装置109を制御し、温度調節を補助する。及びシステム温度が異常になったとき、システムを制御し、負荷を低減させるか断電する。
【0100】
--サポーター600:一個或いは一個以上の柱状或いは支え台の構造によって構成し、その低い端に均熱装置102を設け、自然貯温ユニット101の中に設置する均熱装置102は、ニーズによって温度伝達バネ601を設置することによって導熱効果を高め、サポーター600に発光二極体(LED)或いはガス灯300及び背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031を設置し、及び関連灯の光学及びシェール構造400と下記の一部の或いは全部ユニット装置を含む。制御ユニット110、ポンプ106、温度測定装置107、ろ過装置108。上述のサポーター600の背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031は、流体輸送配管を持ち、及び流体の流入口と流出口は別々に流体輸送配管105と連結し、均熱装置102と繋ぐことによって閉鎖流路を構成する。流体輸送配管105の内部は流体104が流通する。流体104を通して流体の温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する対流効果により循環を行い、或いはニーズによって加設するポンプ106を通してポンピングすることによって、均熱装置102と背面に散熱構造を持つ発光二極体(LED)或いはガス灯の構成を持つ半導体応用装置1031の間に、流体104を通して、均一な温度を伝送する。
【0101】
--耐熱物質700:各種の耐熱物質を自然貯温ユニット101に露出するサポーター600と内部流体輸送配管105の間に入れ込むことによって、外部に対して耐熱効果を持ち、温度エネルギーロスを減少する。・・・
【0102】
--導熱体800:導熱物質をサポーター600に設置する自然貯温ユニット101内のパイプ内部と流体輸送配管105の間に入れ込むことによって構成し、流体輸送配管105の流体104が均熱装置102と自然貯温ユニット101を経過する温度均一化を保つ効果が高くなる。導熱体はまた均熱装置102の本体構造を一体構成することができる。」
「【0162】
本項の半導体応用装置の温度均一化システムのサポーター600は、また一個或いは一個以上のU型配管によってサポーターの支柱を構成し、U型配管の上端は、例えば図5、6、7、8、9、10、11、12の上端に設置する支え台構造と結合することによって、半導体関連応用装置と制御関連回路装置を設置し、U型配管の上端の流体配管は、半導体応用装置に設置する或いは選択的に設置する電気エネルギー貯蔵装置900の流体輸送配管105と連結することによって、一つの閉鎖流体回路を構成し、流体を通過して、均熱装置102間の温度エネルギーを伝送し、更に設置する半導体装置の機能によって、ポンプろ過装置や光線追跡装置1200等の設置を選択することができる。
【0163】
U型配管は耐熱材料によって構成し、或いは耐熱材料を覆い、或いは耐熱層の管材を覆うことによって構成し、或いは直徑が比較的大きい外管620によってサポーター600の構造を構成し、内部に直徑が比較的小さい内部流体輸送配管105貫通して設置するによって、流体が流通する、U型配管は自然貯温ユニット101以上の一部に露出し、その外管620の外部は耐熱材料を覆い、外管620の内壁と内部流体輸送配管105間の空間に耐熱物質700を詰込み、U型配管の上端は、例えば図5、6、7、8、9、10、11、12の上端に設置する支え台構造と結合することによって、U型配管本体は流体配管機能の構造を持つ。その構成方式は下記の一種或いは一種以上を含む。」
「
[図:0001393007000001.jpg]
」
そして、段落【0100】、【0162】及び【0163】並びに図5の記載から、半導体応用装置の温度均一化システムは、U型配管を備え、前記U型配管の下段に、流体104の回路を形成する曲げ戻し部が形成され、前記U型配管の前記曲げ戻し部は、自然貯温ユニット101の中に設置された柱状の均熱装置102の中に覆われていることが認められる。
また、段落【0100】並びに図5の記載から、半導体応用装置1031は、発光二極体(LED)或いはガス灯300の上側背面に散熱構造を備えており、散熱構造には、散熱構造用の流体輸送配管を内部に形成し、この散熱構造用の流体輸送配管にU型配管が連通することが認められるとともに、U型配管は、別々に半導体応用装置1031へ連結され、上端の高さが互いに異なる二本の流体輸送配管105により構成されたものであることが認められる。
(2)引用発明
上記(1)から、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「半導体応用装置1031と、
前記半導体応用装置1031の散熱構造と、
前記半導体応用装置1031及び前記散熱構造が収容されるシェール構造400と、
流体104が流体循環される管体として機能し、前記散熱構造の内部に形成される散熱構造用の流体輸送配管に連通するU型配管と、
前記散熱構造用の流体輸送配管に直列接続され、前記流体104を一方向流動の連続圧送、或いは間欠圧送するようにポンピングする1個以上のポンプ106と、
を備え、
前記U型配管は、別々に前記半導体応用装置1031へ連結され、上端の高さが互いに異なる二本の流体輸送配管105により構成され、
一方の前記U型配管の流体輸送配管105は前記散熱構造用の流体輸送配管の流入口へ連結され、他方の前記U型配管の流体輸送配管105は前記散熱構造用の流体輸送配管の流出口へ連結され、
前記U型配管の下段に、流体104の回路を形成する曲げ戻し部が形成され、
前記U型配管の前記曲げ戻し部は、自然貯温ユニット101の中に設置された柱状の均熱装置102の中に覆われており、
前記自然貯温ユニット101より上方で、前記U型配管の二本の流体輸送配管105は、柱状のサポーター600に覆われている半導体応用装置の温度均一化システム。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献2には、次の記載がある。
「FIG. 1 shows an illustrative embodiment of an apparatus for cooling and warming pole-mounted electronics in accordance with the principles of the invention. Referring to FIG. 1, the base station electronics 8 are installed in an enclosure 10 that is mounted to the top of a twenty-foot hollow pole 12 having an upper portion and a lower portion. The upper portion supports the enclosure 10 housing the electronics 8 and the lower portion extends below and is supported by the ground 14. An air duct 16 through which air can move is disposed within the hollow pole 12. The air duct 16 and the hollow pole 12 are in concentric alignment on a common central longitudinal axis 18. A circulating fan 20 is installed within the lower end of the air duct 16. The fan 20 is located at or slightly above ground level (e.g., two feet above ground level) for easy inspection and maintenance by way of a maintenance hatch 22 through the hollow pole 12 and air duct 16.
During cooling operation, warm air 23 from the mounted electronics assembly is drawn downward by the circulating fan 20 through the air duct 16, discharged into the annular air conduit defined between the hollow pole 12 and the air duct 16 where it is cooled underground, and then the cooled air is drawn upwards through the annular conduit by operation of the circulating fan 20.
The hollow pole 12 and the air duct 16 are supported and held by a concrete base foundation 24. The concrete base foundation 24 is at least partially hollow to allow both the air duct 16 and the hollow pole 12 to extend below ground level.
The circulating fan 20 draws air from the electronics assembly downward and out the lower end of the air duct 16 where it discharges into the annular air conduit defined between the hollow pole 12 and the air duct 16 and returns upward to the electronics.
・・・
The hollow metal pole can be (in some cases partially) covered with a material that provides insulation from solar radiation. The insulation material isolates the air within the hollow pole from the effect of the sun heating the hollow pole, so that the air moving down the air duct discharging into the ground will be significantly cooler.」(第3欄第40行~第4欄末行)
<当審訳>
「図1は、本発明の原理によるポールが取り付けられた電子機器を冷却および加温するための装置の例示的な実施形態を示す図である。図1を参照すると、基地局の電子機器8は、上部と下部を有する20フィートの中空ポール12の上部に取り付けられる筐体10に設置される。上部は電子機器8を収容する筐体10を支持し、下部は下方に延びて地面14によって支持される。中空ポール12内には、空気が移動可能な空気ダクト16が配置されている。空気ダクト16と中空ポール12は、共通の中心長手方向軸18上で同心に位置合わせされている。空気ダクト16の下端部内には、循環ファン20が設置されている。ファン20は、中空ポール12及び空気ダクト16を貫通するメンテナンスハッチ22によって容易に点検及びメンテナンスできるように、地上レベル又はわずかに上(例えば、地上レベルより2フィート)に配置されている。
冷却動作中、搭載された電子機器アセンブリからの暖かい空気23は、循環ファン20によって空気ダクト16を通って下方に引き込まれ、中空ポール12と空気ダクト16との間に画定された環状空気導管に排出されて地下で冷却され、その後、冷却された空気は循環ファン20の動作によって環状導管を通って上方に引き出される。
中空ポール12とエアダクト16は、コンクリート製の基礎24によって支持・保持されている。コンクリート製の基礎24は、空気ダクト16と中空ポール12の両方が地表下に延びるように、少なくとも一部が中空になっている。
循環ファン20は、電子機器アセンブリから下方に空気を吸い込み、吸い込まれた空気は空気ダクト16の下端から出て、中空ポール12と空気ダクト16の間に画定された環状の空気導管に排出し、電子機器に上方から戻る。
・・・
中空の金属製のポールは、日射から絶縁する材料で(場合によっては部分的に)覆うことができる。断熱材は、太陽が中空のポールを加熱する影響から中空のポール内の空気を分離するので、地面に排出される空気ダクトを移動する空気は著しく低温になる。」
「
[図:0001393007000002.jpg]
」
そして、引用文献2の第4欄下から6行~下から4行には「中空の金属製のポールは、日射から絶縁する材料で(場合によっては部分的に)覆うことができる。」ことが記載され、中空ポール12が地面14より上方で外気に直接露出する態様を含むものである。
(2)引用文献2の技術的事項
上記(1)から、上記引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「ポールに取り付けられた電子機器を冷却および加温するための装置において、
上部は基地局の電子機器8が設置された筐体10が取り付けられ、下部は下方に延びて地面14によって支持された金属製の中空ポール12と、
前記中空ポール12内に、前記中空ポール12と共通の中心長手方向軸線18上で同心に位置合わせされて配置された空気ダクト16と、
前記空気ダクト16の下端部内に設置された循環ファン20とを備え、
前記電子機器18からの暖かい空気23が、前記循環ファン20によって前記空気ダクト16を通って下方に引き込まれ、前記中空ポール12と前記空気ダクト16との間に画定された環状空気導管に排出されて地下で冷却され、その後、冷却された空気が前記循環ファン20の動作によって前記環状空気導管を通って上方に引き出されるようにし、
前記地面14より上方で、前記中空ポール12が、外気に直接露出するようにすること。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「半導体応用装置1031」は、前者の「電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)」に相当し、以下同様に、「散熱構造」は「放熱器(104)」に、「シェール構造400」は「シェル(106)」に、「流体104」は「伝熱流体」に、「散熱構造用の流体輸送配管」は「伝熱流体通路」に、「U型配管」は「U型管体」に、「ポンピング」は「ポンピング」に、「ポンプ106」は「流体ポンプ(105)」に、「流体輸送配管105」は「管柱(201)」又は「管柱(202)」に、「流入口」は「入口」に、「流出口」は「出口」に、「曲げ戻し部」は「曲げ戻し部(200)」に、「自然貯温ユニット101」は「自然熱エネルギ体(100)」に、「均熱装置102」は「伝熱覆い体(2002)」に、「半導体応用装置の温度均一化システム」は「放熱装置」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「U型管体」は、「流体104が流体循環される管体として機能」するところ、サポーター600とともに上方に連結された「半導体応用装置1031」を支持する構成となっているから、「流体104が流体循環される支持管体として機能」するものといえ、これは前者の「伝熱流体が循環輸送される支柱管体として機能」することに相当する機能を有する。
また、後者の「前記散熱構造の内部に形成される散熱構造用の流体輸送配管」は、前者の「前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の内部に形成される伝熱流体通路、又は、前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の外面と.前記シェル(106)との間に形成される空間により構成される伝熱流体通路」に相当する。
そうすると、後者の「流体104が流体循環される管体として機能し、前記散熱構造の内部に形成される散熱構造用の流体輸送配管に連通するU型配管」は、前者の「伝熱流体が循環輸送される支柱管体として機能し、前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の内部に形成される伝熱流体通路、又は、前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)もしくは前記放熱器(104)の両方又はいずれか一方の外面と前記シェル(106)との間に形成される空間により構成される伝熱流体通路に連通するU型管体」に相当する。
ウ 後者の「前記散熱構造用の流体輸送配管に直列接続され、前記流体104を一方向流動の連続圧送、或いは間欠圧送するようにポンピングする1個以上のポンプ106」は、前者の「前記伝熱流体通路に直列接続され、流体の流向を切替可能又は周期的に切替可能にポンピングする1個以上の流体ポンプ(105)」に、「前記伝熱流体通路に直列接続され、ポンピングする1個以上の流体ポンプ」という限りにおいて一致する。
エ 後者の「U型配管」を構成する「二本の流体輸送配管105」は、「均熱装置102」と熱交換することから、熱伝導特性を備える材料により製造されたものであることが明らかである。
そして、後者の「前記U型配管は、別々に前記半導体応用装置1031へ連結され、上端の高さが互いに異なる二本の流体輸送配管105により構成され」ることは、前者の「前記U型管体は、別々に前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)へ通じ、上端の高さが互いに異なり、熱伝導特性を備える材料により製造された二本の管柱(201)、(202)により構成され」ることに相当する。
オ 後者の「一方の前記U型配管の流体輸送配管105」は、前者の「一方の前記U型管体の管柱(201)」に相当し、また、後者の「他方の前記U型配管の流体輸送配管105」は、前者の「他方の前記U型管体の管柱(202)」に相当する。
そして、後者の「一方の前記U型配管の流体輸送配管105は前記散熱構造用の流体輸送配管の流入口へ連結され、他方の前記U型配管の流体輸送配管105は前記散熱構造用の流体輸送配管の流出口へ連結され」ることは、前者の「一方の前記U型管体の管柱(201)は前記伝熱流体通路の入口へ通じ、他方の前記U型管体の管柱(202)は前記伝熱流体通路の出口へ通じ」ることに相当する。
カ 後者の「前記U型配管の下段に、流体104の回路を形成する曲げ戻し部が形成され」ることは、前者の「前記U型管体の下段に、伝熱流体の回路を形成する曲げ戻し部(200)が形成され」ることに相当する。
キ 後者の「前記U型配管の前記曲げ戻し部は、自然貯温ユニット101の中に設置された柱状の均熱装置102の中に覆われている」ことは、前者の「前記U型管体の前記曲げ戻し部(200)は、自然熱エネルギ体(100)の中に直接埋設され、又は、前記自然熱エネルギ体(100)の中に設置された柱状の伝熱覆い体(2002)の中に覆われて」いることに相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「電気エネルギ応用装置アセンブリと、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリの放熱器と、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリ及び前記放熱器が収容されるシェルと、
伝熱流体が循環輸送される支柱管体として機能し、前記電気エネルギ応用装置アセンブリもしくは前記放熱器の両方又はいずれか一方の内部に形成される伝熱流体通路、又は、前記電気エネルギ応用装置アセンブリもしくは前記放熱器の両方又はいずれか一方の外面と前記シェルとの間に形成される空間により構成される伝熱流体通路に連通するU型管体と、
前記伝熱流体通路に直列接続され、ポンピングする1個以上の流体ポンプと、
を備え、
前記U型管体は、別々に前記電気エネルギ応用装置アセンブリへ通じ、上端の高さが互いに異なり、熱伝導特性を備える材料により製造された二本の管柱により構成され、
一方の前記U型管体の管柱は前記伝熱流体通路の入口へ通じ、他方の前記U型管体の管柱は前記伝熱流体通路の出口へ通じ、
前記U型管体の下段に、伝熱流体の回路を形成する曲げ戻し部が形成され、
前記U型管体の前記曲げ戻し部は、自然熱エネルギ体の中に直接埋設され、又は、前記自然熱エネルギ体の中に設置された柱状の伝熱覆い体の中に覆われている、
放熱装置。」
[相違点1]
「前記伝熱流体通路に直列接続され、ポンピングする1個以上の流体ポンプ」に関し、本願発明1では、「流体の流向を切替可能又は周期的に切替可能にポンピングする」のに対して、引用発明では、「前記流体104を一方向流動の連続圧送、或いは間欠圧送するようにポンピングする」ものであり、そのような構成を有していない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記自然熱エネルギ体(100)より上方で、前記U型管体の二本の管柱(201)、(202)は、外気に直接露出している」のに対して、引用発明では、「前記自然貯温ユニット101より上方で、前記U型配管の二本の流体輸送配管105は、柱状のサポーター600に覆われている」点。
(2)判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
引用文献2の技術的事項において、「前記地面14より上方で、前記中空ポール12が、外気に直接露出する」ことが示されている。
しかしながら、引用発明において、U型配管の二本の流体輸送配管105を覆うサポーター600は、U型配管の二本の流体輸送配管105が連結された散熱構造を持つ半導体応用装置1031を設置するものであり(引用文献1の段落【0100】)、上方で散熱構造を持つ半導体応用装置1031を支持するものであるから、引用発明において、サポーター600を取り除くことによりU字配管の二本の流体輸送配管105を外気に直接露出させることは、支持強度が不足することを考慮すると、阻害要因があるというべきものである。
また、引用文献2の技術的事項は、管柱に関して、中空ポール12内に空気ダクト16が中空ポール12と共通の中心長手方向軸線18上で同心に位置合わせされて配置された、いわゆる二重管を構成するものであり、二本の管柱により構成されたU型管体を有するものではないから、引用発明に引用文献2の技術的事項を適用する動機付けもないというべきである。
そうすると、引用発明において上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、本願発明1は、「電気エネルギにより熱損失を発生する管状支柱の外部に放熱する埋込式支柱管体で構成されており、内循環伝熱流体を有する放熱装置を提供する」(本願明細書の段落【0013】)という所期の目的を達成するものである。
したがって、本願発明1は、相違点1の検討を要するまでもなく、引用発明及び引用文献2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明とを、上記1(1)の対比を踏まえて対比すると、両者は相違点1及び2に加えて次の点で相違する。
[相違点3]
本願発明2では、「上端の高さが互いに異なる前記U型管体の管柱(201)、(202)に代えて、
前記電気エネルギ応用装置アセンブリ(108)の同じ高さの左側及び右側に位置する出入口に通じる、上端の高さが互いに等しい前記U型管体の管柱(301)、(302)が設けられる」のに対して、引用発明では、そのような構成を有していない点。
(2)判断
本願発明2は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を含むものであり、本願発明1についての上記1(2)の判断を踏まえると、相違点1及び相違点3の検討を要するまでもなく、引用発明及び引用文献2の技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
1 理由1(進歩性)について
本件補正により本願発明1及び2は、「前記自然熱エネルギ体(100)より上方で、前記U型管体の二本の管柱(201)、(202)は、外気に直接露出している」という発明特定事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定の理由において引用された引用文献1及び2に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件補正により請求項3ないし6は削除されたため、上記第2の1(2)ないし(4)に示した理由は対象が存在しないものとなった。
2 理由2(明確性)について
本件補正により請求項4は削除されたため、上記第2の2に示した理由は対象が存在しないものとなった。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009258