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特許拒絶査定不服審判

2016-016271

洗濯機

審判番号
2016-016271
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-155308外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年11月01日
審決日
2017年09月25日
公報発行日
2017年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (D06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-155308号「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 14587号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、平成24年7月11日の出願であって、平成27年12月15日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、平成28年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月29日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は、同年8月9日に請求人に送達された。これに対して、同年11月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明 この出願の請求項1~3に係る発明は、平成28年2月15日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)。 「【請求項1】 洗濯、すすぎ、脱水の設定条件および設定ボタンを表示する液晶パネルと、前記液晶パネルに重ねて配置した構成とし透明電極を裏面に有する透明板とを有し、前記透明板を指で触れるときの静電容量の変化を検出することで操作を行うタッチパネル表示部と、前記タッチパネル表示部とは別に設けられ指で押圧することで操作を行う押圧操作ボタン部とを備え、前記タッチパネル表示部を傾斜して配置し、前記タッチパネル表示部と前記押圧操作ボタン部とは操作表示パネルに設けられ、前記液晶パネルに表示する画面表示をひとつ前の画面表示に戻す戻るボタンを前記押圧操作ボタン部で構成したことを特徴とする洗濯機。」 「【請求項2】 前記操作表示パネルには前記透明板を露出する開口部を設け、前記透明板の周囲に配した弾性体により、前記開口部の周囲と前記透明板の周囲をシールする構成とした請求項1に記載の洗濯機。」 「【請求項3】 前記押圧操作ボタン部は、スイッチと、前記スイッチを押圧操作する操作部材と、前記操作部材を押圧するために前記操作表示パネル設けた開口部と、前記開口部を塞ぐパネルシートとを有する構成とした請求項1または2に記載の洗濯機。」 第3 引用文献に記載された事項 (1)引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用され本願の出願日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2003/0028259号明細書(平成15年2月6日 出願公開。以下、単に「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (A)「For purposes of explaining the present invention, reference is initially made to FIG. 1 in describing the construction and operation of an exemplary household appliance 1 shown as a clothes washing machine. Appliance 1 includes a cabinet 2 provided with a door 3 in a front face 4. Door 3 is designed to be pivoted to expose an integral washing tub (not shown). A display 10 is integrated into a control panel 20 through which a user can control and program washing appliance 1. ・・・ 」(0014、当審訳: 本発明を説明するために、最初に衣類洗濯機として示されている例示的な家電製品1の構成及び動作を説明するためのFig1を参照されたい。機器1は、前面4にドア3を備えた筐体2を備えている。ドア3は一体の洗濯槽(図示せず)を露出するように回動されるようになっている。ディスプレイ10は、制御パネル20に統合され、ユーザーは、洗濯機器1を制御及びプログラムすることができる。・・・) (B)「As shown, appliance 1 preferably includes various control buttons 50-56 shown about display 10. More specifically, an “OFF“ button 50 is provided to selectively turn off or reset laundry appliance 1. Button 51 constitutes a “START/PAUSE“ button used to initiate or pause a selected washing operation. A “HELP“ button 52 is provided to enter a help control mode used to aid a user in addressing potential washing or operating concerns. A “HOME“ button 53 is used to enter another control mode which will also be discussed fully below. Button 54 enables direct access to “FAVORITES“ relating to preferred cycle parameters stored by a user in a memory 75 of a CPU 85 ・・・. Finally, a “BACK“ button 55 is provided to erase an inadvertently inputted control parameter or revert back to a prior screen on display 10.・・・ 」(0015、当審訳:示されているように、機器1は、好ましくは、ディスプレイ10を中心に示した各種操作ボタン50-56を備えている。より具体的には、選択的にオフまたはリセットを洗濯用機器1に提供する「OFF」ボタン50が設けられている。ボタン51は、選択した洗浄動作を開始又は停止するための「スタート/ポーズ」ボタンを構成している。「ヘルプ」ボタン52は、潜在的な洗浄または動作の問題に対処するためにユーザを支援するために使用されるヘルプ制御モードに入るために設けられている。「ホーム」ボタン53は、以下に説明する他の制御モードを入力するために用いられる。ボタン54は、ユーザによってCPU85のメモリ75に記憶された好ましいサイクルパラメータに関する「お気に入り」への直接アクセスを可能にする・・・。最後に、不注意に入力された制御パラメータを消去したり、ディスプレイ10の前画面に戻すために「戻る」ボタン55が設けられている。・・・) (C)「The present invention is particularly directed to the selective use of appliance 1 in an advertising mode of operation. Although the input of cycle parameters for a desired washing operation can be accomplished in many different ways in accordance with the present invention, in the preferred embodiment, the input of cycle parameters is performed through display 10. That is, in the most preferred form of the invention, display 10 takes the form of an LCD touch screen, such as a 128×96 dot matrix, touch screen display, which enables a user to readily review displayed data, preferably in alpha or word text format, and select from that data to establish and begin a desired washing operation, as well as retrieve a wide range of information regarding appliance 1.・・・ 」(0016、当審訳:本発明は、特に動作の広告モードに機器1を選択的に使用することに向けられている。本発明に従った多くのさまざまな方法で達成することができる所望の洗浄動作のサイクルパラメータの入力が、好適な実施形態では、サイクルパラメータの入力は、ディスプレイ10を介して行われる。すなわち、発明の最も好ましい形態においては、ディスプレイ10は、LCDタッチスクリーンの形態、128×96ドットマトリクス、タッチスクリーンディスプレイのような、ユーザが容易に、好ましくはアルファまたはワードテキスト形式で表示されているデータを検討し、所望の洗浄操作を確立し、開始、並びに機器1に関する情報の広い範囲を検索するためにそのデータから選択することが可能となる。・・・) (D)「FIGS. 3A and 3B depict a preferred screen sequence used to illustrate the manner in which potential cycle inputs are presented to a consumer if screen 100 is touched, thereby switching the advertising mode to an interactive format. In general, in the example shown, the consumer is directed through a typical wash cycle input control sequence to indicate how an operator would be required to input at least the particular fabric type, wash/rinse temperature and soil level/wash time before initiating a washing operation with appliance 1. To this end, screen 130 is initially presented to the user on display 10 upon touching screen 100. Actually, screen 130 can also be accessed by pressing “HOME“ button 53. As shown, screen 130 preferably presents various fabric type options for appliance 1. With screen 130 displayed, the consumer can select a desired cycle input by simply touching the corresponding portion of display 10. As shown, the consumer is provided with the option of selecting between “cotton/sturdy“, “wrinkle free“, “delicates“ or “hand wash“ fabric types. 」(0019、当審訳:FIG.3AおよびFIG.3Bは、画面100がタッチ操作されると電位サイクル入力が、消費者に提示される方法を例示するために使用される好ましい画面シーケンスを示すことにより、広告モードを切り替える対話形式に変換する。一般に、図示の例では、消費者は、機器1による洗浄動作を開始する前に、操作者は、少なくとも特定の生地タイプ、洗浄又はすすぎ温度及び汚れレベル/洗浄時間をどのように入力しなければならないかを示す典型的な洗濯サイクル入力制御シーケンスを通って導かれる。この目的のために、スクリーン130は、最初にタッチスクリーン100にディスプレイ10上でユーザに提示される。実際には、画面130には、「ホーム」ボタン53を押下することによりアクセスすることも可能である。示されているように、スクリーン130は、好ましくは、機器1の様々な生地タイプオプションを提示する。表示画面130では、消費者が、ディスプレイ10の対応する箇所に触れるだけで、所望のサイクル入力を選択することができる。示されているように、消費者は、「綿/頑丈な」、「しわのない」、「繊細な」または「手洗い」との生地タイプを選択するオプションが設けられている。) (E)「 On the other hand, the consumer could select “more cycles“ for other potential wash and/or special rinse cycles. The “favorites“ option is preferably provided in connection with enabling a consumer to store desired cycle parameters relating to specific loads which are continuously washed. For example, the actual user of appliance 1 may have uniforms or grass-stained clothing that need to be periodically washed utilizing a consistent set of wash cycle parameters. Therefore, instead of requiring the user to re-input the overall set of wash cycle parameters each time, these “favorites“ can be stored in memory 75 of CPU 85 for easy access. Under this section, the “favorites“ cycles can preferably by given personal titles through an alpha keyboard screen, i.e., a screen depicting all the letters of the alphabet, (not shown) presented on display 10. 」(0020、当審訳: 一方、消費者は、他の潜在的な洗浄及び/又は特殊リンスサイクルの「サイクル」を選択することができる。「お気に入り」選択肢は、消費者を連続的に洗浄される特定の負荷に関する所望のサイクルパラメータを格納するためにに関連して設けられていることが好ましい。例えば、機器1の実際のユーザは、定期的に洗濯サイクルパラメータの整合性のあるセットを利用して洗浄する必要があるユニフォームや草染色された衣類を有していてもよい。ので、ユーザはその都度洗濯サイクルパラメータの全体セットを再要求する代わりに、これらの「お気に入り」は、容易なアクセスのために中央処理ユニット85のメモリ75に記憶することができる。このセクションの下には、「お気に入り」サイクルは、ディスプレイ10に提示されたアルファキーボード画面、すなわち、アルファベットのすべての文字を示す画面(図示せず)を介して得られる個人タイトルを付与できることが好ましい。) (F)「In the example provided, the consumer has selected the “cotton/sturdy“ fabric type through screen 130. This selection causes display 10 to automatically convert to screen 140 wherein the consumer will be prompted to input a desired wash/rinse temperature. As shown, the consumer preferably can select between “hot wash/cold rinse“, “warm wash/warm rinse“, “warm wash/cold rinse“ and “cold wash/cold rinse“ options. For exemplary purposes, the “warm wash/warm rinse“ option has been selected which causes screen 150 as shown in FIG. 3B to be presented on display 10. Screen 150 enables the final, required cycle parameter, i.e., the soil level/wash time, to be selected. Again, although shown just with respect to a preferred embodiment of the invention, the consumer has the option of selecting between “extra heavy soil-34 min. wash“, “heavy soil-29 min. wash“, “normal soil-16 min. wash“, “light soil-10 min. wash“ and “quick-5 min. wash“. As shown, the “extra heavy soil-34 min. wash“ option has been selected, thereby resulting in the presentation of screen 160 in display 10. 」(0021、当審訳:提供された例では、消費者は、画面130を通して「綿/頑丈な」の生地タイプを選択している。この選択は、表示部10は、画面140に自動的に変換され消費者が所望の洗浄/すすぎ温度を入力するように促されることを特徴とする。示されているように、消費者は、好ましくは「ホット洗・冷リンス」、「ウォーム洗浄/ウォームリンス」、「温洗・冷リンス」および「低温洗浄/冷たいリンス」との間のオプションを選択することができる。例示のため、「ウォーム洗浄/ウォームリンス」オプションが選択され、FIG.3Bに示すように画面150がディスプレイ10に表示されている。画面150により、最終的な、必要とされるサイクルのパラメータ、すなわち、汚れレベル/洗浄時間を選択することができる。再び、本発明の好適な実施例に関してのみ示されているが、消費者は「特にひどい汚れ-34分洗浄」、「ひどい汚れ-29分洗浄」、「通常の汚れ-16分洗浄」、「軽い汚れ-10分洗浄」、「クイック-5分洗浄」を選択するオプションを有する。示されているように、「特にひどい汚れ-34分洗浄」オプションが選択されたことにより、ディスプレイ10の画面160の表示になる。) 以上の摘記事項及び図面から、引用文献1には、次の発明が記載されているものといえる(以下、単に「引用発明1」という。)。 「洗浄/すすぎ温度、洗浄時間、並びに「綿/頑丈な」、「しわのない」、「繊細な」または「手洗い」といった生地タイプを表示し、指で触れることで操作を行うLCDタッチスクリーンの形態のディスプレイ10と、操作ボタン50-56とを備え、ディスプレイ10は、制御パネル20に統合され、ディスプレイ10の前画面に戻る「戻る」ボタン55を設けた洗濯機。」 (2)引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用され本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2011-216386号公報(平成23年10月27日 出願公開。以下、単に「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (G)「操作表示部4は、本実施の形態では、天板2に設けられた操作表示窓20、操作表示窓20の下側に配置されたタッチパネル装置60、及びタッチパネル装置60の下面側に重ねて配置された液晶装置80により構成される。」(【0015】) (H)「タッチパネル装置60は、いわゆる表面型静電容量式のタッチパネルである。タッチパネル装置60は、例えばガラスやポリカーボネート板などで構成された透明な基板61と、印刷の施されていない透明電極膜62とを備えている。本実施の形態では、透明電極膜62は、複数の透明電極膜62a~62lに区分けされていて(後述する図5参照)、各透明電極膜62a~62lは、個別に静電容量の変化を検出可能である。タッチパネル装置60は、検出した静電容量の変化に基づいて使用者の指によりタッチされた位置を検出し、この位置情報を制御部9に伝える。 なお、本実施の形態では表面型静電容量式のタッチパネル装置を例に説明するが、いわゆる投影型静電容量式のタッチパネル装置を用いてもよい。」(【0016】) (I)「・・・図4では図示しないが、タッチパネルホルダー70によりタッチパネル装置60と液晶装置80とが天板2の下面側に固定される。タッチパネルホルダー70によりタッチパネル装置60と液晶装置80とを天板2の下側に組み付けると、使用者は、光透過性の操作表示窓20(天板2)を介して、タッチパネル装置60の下側に配置された液晶装置80に表示された文字や画像などを見ることができる。」(【0021】) 第4 対比・判断 (1)一致点・相違点 引用発明1と本願発明1を対比すると、引用発明1の「洗浄/すすぎ温度、洗浄時間、並びに『綿/頑丈な』、『しわのない』、『繊細な』または『手洗い』といった生地タイプ」は、本願発明1の「洗濯、すすぎ」の「設定条件」に相当する。また、引用発明1の「LCD」は、本願発明1の「液晶パネル」に相当し、引用発明1の「タッチスクリーン」は、本願発明1の「タッチパネル表示部」に相当する。同様に、引用発明1の「操作ボタン」は、本願発明1の「押圧操作ボタン部」に相当し、引用発明1の「制御パネル」は、本願発明1の「操作表示パネル」に相当する。 そして、引用文献1のFIG.1を参照すると、引用発明1のLCDタッチスクリーン形態のディスプレイ10と操作ボタン50-56は、制御パネル20に設けられており、これは、本願発明1の「前記タッチパネル表示部と前記押圧操作ボタンとは操作表示パネルに設けられ」ていることに相当する。 また、引用発明1では、洗浄/すすぎ温度の設定条件をLCDに表示して使用者に選択させるものであるから、引用発明1においても、本願発明1の「設定ボタン」に相当する文字をLCD表示しているものと認められる。 引用発明1の「ディスプレイ10の前画面に戻る「戻る」ボタン55を設けた」点は、「戻る」ボタン55が「操作ボタン50-56」の一つであることも考慮すると、本願発明1の「前記液晶パネルに表示する画面表示をひとつ前の画面表示に戻す戻るボタンを前記押圧操作ボタン部で構成した」に相当する。 してみると、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点があるものといえる。 (一致点) 「洗濯、すすぎ、の設定条件および設定ボタンを表示する液晶パネルと、指で触れることで操作を行うタッチパネル表示部と、前記タッチパネル表示部とは別に設けられ指で押圧することで操作を行う押圧操作ボタン部とを備え、前記タッチパネル表示部と前記押圧操作ボタン部とは操作表示パネルに設けられ、前記液晶パネルに表示する画面表示をひとつ前の画面表示に戻す戻るボタンを前記押圧操作ボタン部で構成したことを特徴とする洗濯機。」 (相違点1) 本願発明1では、「脱水」の設定条件及び設定ボタンを液晶パネルに表示するのに対して、引用発明1では、「脱水」について明記されていない点。 (相違点2) 本願発明1では、タッチパネル表示部が「前記液晶パネルに重ねて配置した構成とし透明電極を裏面に有する透明板とを有し、前記透明板を指で触れるときの静電容量の変化を検出する」のに対して、引用発明1では、そのような構成がない点。 (相違点3) 本願発明1では、「前記タッチパネル表示部を傾斜して配置し」ているのに対して、引用発明1では、LCDタッチスクリーン形態のディスプレイ10の傾斜について明記されていない点。 (2)当審の判断 上記相違点1について検討すると、洗濯機において、洗浄、すすぎに加えて、「脱水」についても生地の種類に応じて時間や強さを調整することは、例示するまでもなく従来周知の技術手段であって、当業者が引用発明1において、「洗浄/すすぎ」に加えて、脱水についても設定条件及び設定ボタンを表示して入力可能とすることに困難性はなく、単なる周知技術の付加にすぎないものといえる。 上記相違点2について検討すると、引用文献2の摘記事項(G)~(I)から、引用文献2には、「タッチパネル装置の下面側に重ねて配置された液晶装置」であって「タッチパネル装置と液晶装置とが天板の下面側に固定され」、「使用者は、光透過性の操作表示窓(天板)を介して、タッチパネル装置の下側に配置された液晶装置に表示された文字や画像などを見ることができ」るものであり、当該タッチパネル装置が「いわゆる表面型静電容量式」であり、「タッチパネル装置は、例えばガラスやポリカーボネート板などで構成された透明な基板61と、印刷の施されていない透明電極膜62とを備えている」点が記載されており、当該透明電極膜により、「透明電極膜は、・・・、個別に静電容量の変化を検出可能である。タッチパネル装置60は、検出した静電容量の変化に基づいて使用者の指によりタッチされた位置を検出」する技術が記載されている。 してみると、引用文献2の「液晶装置」が本願発明1の「液晶パネル」に相当し、同様に、引用文献2の「光透過性の操作表示窓」が本願発明1の「透明板」に、また、引用文献2の「透明な基板と印刷の施されていない透明電極膜」が本願発明1の「透明電極」にそれぞれ相当し、相違点2に係る構成は、引用文献2に記載された事項ということができる。 ここで、引用文献2のタッチパネル装置は、洗濯機に適用されるものではないが、静電容量式タッチパネル装置を洗濯機に用いることは、例えば、特開2010-198336号公報(0001、0113を参照。)、特開2012-104045号公報(0022、0053を参照。)、特表2011-522714号公報(0003、0004を参照。)などに例示されており、また、米国特許出願公開第2011/0153085号(0029を参照。)には、洗濯機に適用するタッチパネル装置として静電容量式を例示しており、周知の技術と認められる。そうすると、当業者が洗濯機において静電容量式タッチパネル装置を試みる動機付けは、あったものと認められる。 よって、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明1のLCDタッチスクリーンの形態のディスプレイ10として、引用文献2に示される構成の静電容量式タッチパネル装置を採用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。 上記相違点3について検討すると、引用文献1のFIG.1からみて、引用文献1のLCDタッチスクリーン形態のディスプレイ10が配置された制御パネル20の正面側は、水平面に対して角度をもつて立ち上がる形状をしていることから、傾斜しているものと認められる。してみると、制御パネル上に配置されたタッチパネルとディスプレイ(LCD)も傾斜して配置されているものと認められる。 よって、相違点3は実質的な相違点ではないか、当業者が容易に想到し得たものである。 審判請求人は、審判請求書において「そして、静電容量式のタッチパネル表示部を搭載した洗濯機の開発を進めるうちに、洗濯機に静電容量式のタッチパネル表示部を採用する際には、特有の課題があることがわかりました。 即ち、洗濯機は、使用する際に、水、洗剤等がタッチパネル表示部上に落下することが想定されますが、静電容量式のタッチパネル表示部においては、特に液体洗剤が付着した際の検出値と、指で操作した際の検出値が近似するため、誤検知する虞があります。・・・本願発明は、静電容量式のタッチパネル表示部を搭載した洗濯機において、特に液体洗剤による誤検知を抑制することを課題とするものです。 本願発明は、上記課題を解決するために、タッチパネル表示部を傾斜させて配置しています。傾斜させて配置することにより、タッチパネル表示部に付着した液体洗剤等は、傾斜に沿って流れ落ちるために、静電容量式のタッチパネル表示部であっても誤検知を抑制することができます。」と主張する。 また、審判請求人は、「しかしながら、引用文献1-8のいずれにも、静電容量式のタッチパネル表示部においては、特に液体洗剤が付着した際の検出値と、指で操作した際の検出値が近似するため、誤検知する虞があることについてまったく言及されていません。 引用文献1-8のいずれも、本願発明の特に液体洗剤による誤検知を抑制する課題を示唆するものではありません。 引用文献1-8から、静電容量式タッチパネル表示部に液体洗剤が付着することによる誤検出を抑制するための洗濯機の具体的構成が導き出されるものではありません。」とも主張する。 しかしながら、本願発明1が液体洗剤による誤検知を抑制するとの課題を解決するために、タッチパネル表示部を傾斜させて配置したことについては、本願明細書に記載されていない。また、引用発明1の「戻る」ボタン55もディスプレイ10とは別に設けたものであるから、ディスプレイ10を静電容量式タッチパネルとしても誤検出は抑制されるものである。引用文献2は、静電容量式タッチパネルを加熱調理器に適用するものであるが、静電容量式タッチパネル装置を洗濯機に用いることは、上記のとおり周知の技術であるから、洗濯機に静電容量式タッチパネルを使用できないことが技術常識であったとはいえず、引用発明1に引用文献2記載の技術的事項を適用することを阻害する要因があるということはできない。 さらに、引用発明1においてタッチパネル及びディスプレイが設置された制御パネルは、傾斜して配置されているものであって、当該傾斜して配置された制御パネルに引用文献2記載の静電容量式タッチパネルを配置すれば、相違点2、3に係る本願発明1の構成が得られる以上、液体洗剤の付着に伴う誤検出の有無にかかわらず、当該相違点に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものというほかない。 第5 むすび したがって、本願発明1は、引用発明1、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

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2016-016271

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