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特許拒絶査定不服審判

2016-014955

情報処理装置及びその制御方法、プログラム、並びに記憶媒体

審判番号
2016-014955
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-025021外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年10月05日
審決日
2017年04月10日
公報発行日
2017年05月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .575-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012- 25021「情報処理装置及びその制御方法、プログラム、並びに記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-161409、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年2月8日の出願であって、平成27年11月13日付けで拒絶理由が通知され、平成28年1月15日付けで手続補正がなされ、同年2月5日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月18日付けで手続補正がなされたが、同年6月30日付けで平成28年4月18日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成28年4月18日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要 1.平成28年4月18日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。 請求項1-11についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1-11に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 しかしながら、補正後の請求項1、3、4、6-11に係る発明は、引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、平成28年4月18日付けの補正は却下すべきものである。 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2001-101351号公報 2.特開2010-140367号公報 3.特開2010-211577号公報 4.特開2012-016853号公報 2.原査定(平成28年4月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-4、6-11に係る発明は、上記引用文献1、3、4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 本願発明 本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成28年10月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 <本願発明1> 「【請求項1】 情報処理装置であって、 ユーザを認証するための認証情報が格納された認証用媒体から前記認証情報を取得する取得手段と、 前記ユーザに対して情報を表示する表示手段と、 前記取得手段にかざされた前記認証用媒体を検知する検知手段と、 前記取得手段及び前記検知手段への電力供給を制御する電力制御手段と、を備え、 前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記認証用媒体が検知されたときに、前記電力制御手段は前記取得手段に電力が供給されるよう制御し且つ前記表示手段は前記認証用媒体を前記取得手段にかざすよう促す内容を表示する、ことを特徴とする情報処理装置。」 <本願発明2-8> 本願発明2-8は、概略、本願発明1を減縮した発明である。 <本願発明9> 「【請求項9】 ユーザを認証するための認証情報が格納された認証用媒体から前記認証情報を取得する取得手段と、前記ユーザに対して情報を表示する表示手段と、前記取得手段にかざされた前記認証用媒体を検知する検知手段と、前記取得手段及び前記検知手段への電力供給を制御する電力制御手段とを備えた情報処理装置の制御方法であって、 前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記認証用媒体が検知されたときに、前記電力制御手段によって前記取得手段に電力が供給されるように前記電力制御手段を制御し且つ前記表示手段によって前記認証用媒体を前記取得手段にかざすよう促す内容が表示されるように前記表示手段を制御することを特徴とする情報処理装置の制御方法。」 <本願発明10> 「【請求項10】 ユーザを認証するための認証情報が格納された認証用媒体から前記認証情報を取得する取得手段と、前記ユーザに対して情報を表示する表示手段と、前記取得手段にかざされた前記認証用媒体を検知する検知手段と、前記取得手段及び前記検知手段への電力供給を制御する電力制御手段とを備えた情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、 前記情報処理装置の制御方法は、 前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記認証用媒体が検知されたときに、前記電力制御手段によって前記取得手段に電力が供給されるように前記電力制御手段を制御し且つ前記表示手段によって前記認証用媒体を前記取得手段にかざすよう促す内容が表示されるように前記表示手段を制御することを特徴とするプログラム。」 <本願発明11> 本願発明11は、概略、本願発明10を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【請求項1】 ICカード等の情報媒体のデータを読み取るリーダ部と、前記情報媒体が前記リーダ部に近づいた事を検出するセンサ部とを有し、前記情報媒体が前記リーダ部に近づいた時に、前記センサ部からの信号により前記リーダ部の電源を投入する電源管理部を設けたリーダ装置。」 (b)「【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成のリーダライタ装置を入出退システムの鍵として使用する場合、ほぼ24時間、ICカード18を検出できるようにしておく必要があるため、電源管理部17が各所の電源をオフしている時間は非常に少なかった。 【0008】本発明は上記課題を解決するため、情報媒体がいつ近づくか判らない状況であっても、省電力を実現できるリーダ装置を提供することを目的とする。」 (c)「【0032】以下、本発明の第1の実施例である非接触式のICカードリーダライタ装置について、図1を用いて説明する。 【0033】リーダライタ1は、上位コントローラ7とコマンドおよびレスポンスの通信を行う通信部2と、ICカード8と通信を行うRF送受信部4と、リーダライタ1の制御を行う制御部3と、リーダライタ1の電力を制御する電源管理部5とICカード8を検出するカード検出部6で構成されている。 【0034】図2は、同実施例のフローチャートである。このフローチャートをもとにリーダライタ1の動作を説明する。 【0035】まずリーダライタ1は、スタート時に電源管理部5を低消費電力モード(スタンバイモード)に設定し、通信部2、制御部3およびRF送受信部4の電源をオフにする。カード検出部6のみ電源をオンにし、ICカード8が通信圏内に入るのを監視する。 【0036】次にリーダライタ1は、カード検出部6がICカード8を検出するまでこの状態を維持し、カード検出部6がICカード8を検出した時点で電源管理部5に割込みを発生し、電源管理部5は、低消費電力モード(スタンバイモード)から通常のモードへ移行し、電源管理部5は通信部2、制御部3およびRF送受信部4の電源をオンにし、ICカード8と通信できる状態に移行する。更に電源管理部5は、リーダライタ1がICカード8と通信できる状態になったことを上位コントローラ7へ通知する。 【0037】・・・中略・・・ 【0038】前述のICカード8の検出待ち状態では、上位コントローラ7は処理を行う必要がないため、低消費電力モード(スタンバイモード)で待機し、リーダライタ1からの電源オン通知信号により通常のモードへ移行するシステムにすることができる。このことから、ICカード8がリーダライタ1の通信圏内にない状態では、リーダライタ1および上位コントローラ7共に低消費電力モード(スタンバイモード)で待機することが可能となり、システムの消費電力を最小限に抑えることが可能になる。」 上記(a)の請求項1の記載の「リーダ装置」は、上記(c)に記載される「第1の実施例」の「リーダライタ1」に対応しており、上記(a)の「センサ部」、「第1の実施例」における「カード検出部6」に、上記(a)の「リーダ部」は、「第1の実施例」における「通信部2」、「RF送受信部4」及び「制御部3」に対応するものと認められる。 以上総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「ICカード等の情報媒体のデータを読み取るリーダ部と、前記情報媒体が前記リーダ部に近づいた事を検出するセンサ部と、前記情報媒体が前記リーダ部に近づいた時に、前記センサ部からの信号により前記リーダ部の電源を投入する電源管理部とを有し、 前記電源管理部を低消費電力モード(スタンバイモード)に設定し、前記リーダ部の電源をオフにし、前記センサ部のみ電源をオンにし、前記情報媒体が通信圏内に入るのを監視し、 前記センサ部が前記情報媒体を検出するまでこの状態を維持し、前記センサ部が前記情報媒体を検出した時点で前記電源管理部に割込みを発生し、前記電源管理部は、低消費電力モード(スタンバイモード)から通常のモードへ移行し、前記電源管理部は前記リーダ部の電源をオンにし、前記情報媒体と通信できる状態に移行する、 リーダ装置。」 第5 当審の判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (a)引用発明の「ICカード等の情報媒体」は、「データ」が格納されているものであるから、引用発明の「ICカード等の情報媒体」と、本願発明1の「ユーザを認証するための認証情報が格納された認証用媒体」とは、「情報が格納された媒体」の点では共通する。 また、引用発明の「リーダ部」は、「ICカード等の情報媒体のデータを読み取る」ものであるから、引用発明の「リーダ部」と、本願発明1の「取得手段」とは、「情報が格納された媒体から前記情報を取得する取得手段」の点では共通する。 (b)引用発明の「センサ部」は、「前記情報媒体が前記リーダ部に近づいた事を検出する」ものであるから、引用発明の「センサ部」と、本願発明1の「前記取得手段にかざされた前記認証用媒体を検知する検知手段」とは「前記取得手段に対する前記認証用媒体を検知する検知手段」の点では共通する。 (c)引用発明の「電源管理部」は、「低消費電力モード(スタンバイモード)」では「前記リーダ部の電源をオフにし、前記センサ部のみ電源をオンにし」、「通常のモード」では「前記リーダ部の電源をオンに」するものであるから、「前記リーダ部」の電力供給の制御を行っているものと認められ、引用発明の「電源管理部」と、本願発明1の「前記取得手段及び前記検知手段への電力供給を制御する電力制御手段」とは、「前記取得手段への電力供給を制御する電力制御手段」の点では共通する。 (d)引用発明の「低消費電力モード(スタンバイモード)」は、「前記リーダ部の電源をオフにし、前記センサ部のみ電源をオンにし」た状態であるから、本願発明1の「前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態」に相当する。 そして、引用発明では、「低消費電力モード(スタンバイモード)」で「前記センサ部が前記情報媒体を検出した時点で前記電源管理部に割込みを発生し、前記電源管理部は、低消費電力モード(スタンバイモード)から通常のモードへ移行し、前記電源管理部5は前記リーダ部の電源をオン」することから、引用発明と本願発明1とは、「前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記媒体が検知されたときに、前記電力制御手段は前記取得手段に電力が供給されるよう制御する」点では共通する。 (e)引用発明の「リーダ装置」は、本願発明1の「情報処理装置」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。 (一致点) 「情報処理装置であって、 情報が格納された媒体から前記情報を取得する取得手段と、 前記取得手段に対する前記媒体を検知する検知手段と、 前記取得手段への電力供給を制御する電力制御手段と、を備え、 前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記媒体が検知されたときに、前記電力制御手段は前記取得手段に電力が供給されるよう制御する、情報処理装置。」 (相違点1) 上記「媒体」が、本願発明1では、「ユーザを認証するための認証情報が格納された認証用媒体」であって、「取得手段」は「前記認証情報を取得する」のに対して、引用発明では、情報媒体にどのような情報が格納されているかは特定されておらず、リーダ部はどのような情報を取得するかは特定されていない点。 (相違点2) 上記「取得手段に対する前記媒体」の「検知」が、本願発明1では、「かざされた」ことを検知するのに対して、引用発明では、「近づいた事」を検知するものである点。 (相違点3) 上記「電力制御手段」が、本願発明1では、「前記検知手段」への「電力供給」も制御するが、引用発明では、「センサ部」への電力供給を制御するかは特定されていない点。 (相違点4) 本願発明1は、「ユーザに対して情報を表示する表示手段」を備え、「前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記認証用媒体が検知されたときに」、「前記表示手段は前記認証用媒体を前記取得手段にかざすよう促す内容を表示する」のに対して、引用発明は、表示手段を備えておらず、そのような表示は行われない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本願発明1の構成(以下、「構成A」という。)は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 なお、原審の補正の却下の決定においては、相違点4に係る本願発明1の構成Aは、引用文献2の段落【0130】~【0131】に記載されているとの判断がされているが、引用文献2においては、「前記検知手段に電力が供給され且つ前記取得手段への電力の供給が停止される省電力状態において前記検知手段によって前記認証用媒体が検知されたとき」ではなく、「個人カード」がICカードリーダに接触し、該個人カードにさらに情報を書き込む必要があるときであって、また、表示される内容も、「前記認証用媒体を前記取得手段にかざすよう促す内容」ではなく、認証用媒体をカードリードライタに接触させたままにする内容であるから、構成Aが、引用文献2に記載されているものとは認められない。 2.本願発明2-8について 本願発明2-8も、本願発明1と同一の構成を備え、さらに限定したものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 3.本願発明9について 本願発明9は、本願発明1の「情報処理装置」を情報処理装置の制御方法の観点から記載したに過ぎないことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 4.本願発明10について 本願発明10は、本願発明1の「情報処理装置」を情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムの観点から記載したに過ぎないことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 5.本願発明11について 本願発明11も、本願発明10と同一の構成を備え、さらに限定したものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、補正後の本願発明1-11は「構成A」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-014955

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