特許拒絶査定不服審判
2016-013744
フォーム、組成物、および方法
- 審判番号
- 2016-013744
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-550477外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月13日
- 審決日
- 2018年01月23日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WZ (C08G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-550477「フォーム、組成物、および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日国際公開、WO2013/101973、平成27年 2月 2日国内公表、特表2015-503668〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年12月28日(パリ条約による優先権主張 2011年12月29日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月9日付け(発送日:同年7月14日)で拒絶理由が通知され、同年11月11日に手続補正書及び意見書が提出され、平成28年4月13日付け(発送日:同年5月13日)で拒絶査定がされたところ、これに対して、同年9月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年10月11日付けで前置報告書が作成され、平成29年2月9日に上申書が提出され、同年8月16日付け(発送日:同年8月18日)で当審から拒絶理由が通知され、同年11月17日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成29年11月17日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであって、そのうち、本願の請求項10に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「芳香族エポキシ化合物、脂環式構造に直接結合されたエポキシ基を含む脂環式エポキシ化合物、バイオ系エポキシ化合物、又はこれらの組み合わせからなるエポキシ-含有化合物と、超酸、BF3錯体、リン酸誘導体、又はこれらの組み合わせであるカチオン性触媒と、発泡剤と、界面活性剤、難燃剤、触媒担体、共-反応物、又はこれらの組み合わせである少なくとも一つの添加剤とからなる組成物を含むフォームにおいて、前記フォームがASTM D1622により測定した場合、4.8kg/m3~80.1kg/m3の密度を有し、前記フォームはイソシアネート化合物を含まない、フォーム。」
第3 平成29年8月16日付けの拒絶理由の概要
当審における平成29年8月16日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、要するに、「本願発明は、その出願前外国において頒布された下記引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許明細書3607795号」
というものを含むものである。
第4 当審拒絶理由についての判断
1 刊行物の記載事項
(1)引用文献1には、次の記載がある。なお、記載について合議体仮訳を括弧書きで付し、また、下線は、当審において付与した。
ア「
」
(1.発泡剤としての不活性-易揮発性有機溶剤、整泡剤と、付加的なラクトンまたは環状エーテルの存在下で、エポキシ樹脂の多孔性プラスチックを製造する方法であり、
エポキシ樹脂に対して硬化剤として添加される成分がaとbの混合物であって、aはオルトリン酸、リン酸、またはリン酸とオルトリン酸との混合物であり、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対し、前記酸は0.2から0.6の水酸基当量であり、bはルイス酸であって、樹脂の平均エポキシ当量に対し0.1から3モルパーセントであり、
さらに、aは、オルトリン酸、ニリン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸、ポリリン酸、アルキル基の炭素原子数が1から10であり、ハロゲンと置換されてもよいテトラアルキル二リン酸、ペンタアルキル三リン酸、ヘキサアルキル四リン酸、メタリン酸アルキルエステル、
モノ-、ジ-、またはトリアルキルエステルとポリリン酸との反応生成物、ジ-、トリ-、テトラ-またはペンタリン酸のポリリン酸のアルキル、アリールエステルであって、アルキル基が上記定義のとおりであり;アリールエステルのアリールエステル基が、フェニル-、メチルフェニル-、クロロフェニル-、または、1,3,5-トリブロモフェニルエステル基である前記リン酸エステルのアリールエステル;レゾルシノール、4,4’-ジオキシジフェニル-メタンまたは4,4’-ジオキシジフェニル-プロパンの中性あるいはポリリン酸エステル;であり、
;前記bは、三フツ化ホウ素、四塩化スズ、五塩化アンチモン、五フッ化リン、五フツ化アンチモン、BF3一水和物、BF3二水和物、ヒドロキシボロンのフッ化物、BF3・2CH2H5OH、BF3・O(C2H5)2、BF3・2CH3COOH、BF3・アニリン、BF3・ピペリジン、BF3・o-クロロアニリン、SnCl4・2O(C2H5)2、SnCl4・2H2O、PF5・テトラヒドロフランであり、
;前記樹脂が発泡され硬化し、前記多孔性プラスチックが得られる。)
(特許請求の範囲 請求項1)
イ「
」
(エポキシ樹脂の多孔性プラスチックを製造する時に、気泡構造の調整、すなわち、開放気泡または独立気泡のフォームの制御された製造には、特に困難性がつきまとう。
本発明は、発泡剤としての易揮発性有機溶剤、整泡剤、付加的なラクトンまたは環状エーテルの存在下でエポキシ樹脂を硬化することで、エポキシ樹脂の多孔性プラスチックの製造のためのプロセスを提供し、オルトリン酸及び/または少なくとも1つのPOP基を有するリン酸誘導体とルイス酸との混合物が硬化剤として使用される。
本発明のプロセスは、クラックや収縮がなく、良好な機械特性を有する多孔性プラスチックを、短い発泡、硬化時間で得ることを可能とする。本発明のプロセスは、適切なリン酸成分の選択により、多孔性プラスチックの気泡構造の調整、すなわち、開放気泡または独立気泡の多孔性プラスチックを自在に得ることを可能とする、特別な利点を与える。
例えば、オルトリン酸を使用することで、短い発泡、硬化時間で完全な開放気泡の多孔性プラスチックが得られ、一方、ピロリン酸またはポリリン酸エステルは独立気泡の多孔性プラスチックをもたらす。この方法により、熱や音に対する遮蔽材といった所望の用途に応じて、望ましい特性を有する多孔性プラスチックを得ることができる。)
(第1欄第24行~第51行)
ウ「By epoxy resins there are meant compounds with more than one epoxy group (and at most 10 epoxy groups) in the molecule.・・・
」
(エポキシ樹脂は、1分子中に1以上のエポキシ基(そして、多くても10のエポキシ基)を有するものである。・・・
発泡させるために、例えば、モノフルオロトリクロロメタン、モノフルオロジクロロメタン、1,2,2-トリフルオロトリクロロエタン、1,2-ジクロロテトラフルオロエタン、メチレンクロライドやペンタンのような易揮発性のハロゲン化炭化水素または炭化水素をエポキシ樹脂に公知の方法で加える。発泡剤はエポキシ樹脂の重量に対し5から30%の範囲の量とすることが有利である。
できる限り均一な気泡を得るために、シリコーンオイルのような整泡剤が好ましくは使用される。
オルトリン酸および/またはPOP基を含むリン化合物とともに触媒として使用されるルイス酸として次のようなものが挙げられる。三フッ化ホウ素、四塩化スズ、五塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモンおよびそれらとアルコール、フェノール、カルボン酸、エーテル、エステル、ケトン、アミンや水との複合体、例えば、BF3一水和物、BF3二水和物、BF3332C2H5OH、BF3×O(C2H5)2、BF3×23COOH、BF3×アニリン、BF3×ピペリジン、BF3×o-クロロアニリン、SnCl4×2O(C2H5)2、SnCl4×2H2O、PF5×テトラヒドロフラン、または、ジヒドロキシジフルオヒドロホウ酸のようなヒドロキシボロンのフッ化物。
リン酸成分とルイス酸との比率は広範囲で変えられる。例えば、リン酸成分とルイス酸とを同じ重量とすることもでき、また、リン酸成分を多量とすることもできる。リン酸成分50重量部に対し、ルイス酸を1重量部より少なくすることは適切でない。有利には、2から10重量部のリン酸成分が同量のルイス酸と用いられる。ルイス酸の量は用いられる樹脂のエポキシ当量に対し、0.01から5、あるいは、0.1から3モルパーセントである。
リン酸成分として、オルトリン酸および/またはPOP基を有するリン酸誘導体、例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-またはポリリン酸、テトラアルキル二リン酸、ペンタアルキル三リン酸、ヘキサアルキル四リン酸、トリアルキルホスフェートと五酸化二リンとをほぼ同量反応させて得られるメタリン酸アルキルエステルが用いられる。ジ-、トリ-、テトラ-またはペンタリン酸のポリリン酸エステルも使用でき、これらは、リン酸のモノ-、ジエステルとP2O5との反応、あるいは、リン酸のモノ-、ジ-、トリエステルと、P2O5よりも扱いの容易なポリリン酸との反応によって得られる。)
(第1欄第52行~第2欄第41行)
エ「
・・・
」
(エポキシ樹脂混合物を発泡と同時に硬化させるために用いられる本発明の硬化剤の混合物には、例えば、ラクトンや環状エーテルといった反応性のコモノマーを加えてもよい。硬化剤の混合物に対して溶剤として反応性のコモノマーを用いることは特に有利である。
・・・
ラクトンまたは環状エーテルはエポキシ樹脂に対して、1から50重量%、そして、1から20重量%の範囲で用いられる。)
(第3欄第10行~第41行)
オ「
」
(以下の実施例により発明が例証されるが、発明はそれらに限定されない。また、部は重量部である。使用されたエポキシ樹脂は、4,4-ジオキシ-ジフェニル-2,2-プロパンのジグリシジルエーテルであり、エポキシ当量は190、25℃での粘度が11,800cp.である。シリコーンオイルとして、L531の名称でUCCから市販される商品を使用した。
実施例1
エポキシ樹脂100部を、1部のシリコーンオイル、15部のトリクロロフロロメタンと混合した。次に、得られた混合物を、10部のオルトリン酸、20部のε-カプロラクトン中の1部のBF3×O(C2H5)2と、30秒以内、25℃で混合した。発泡させる混合物を型に注入した。1分以内に、フォームは最高点に達して非粘着性となった。内部が均一で、密度が35g./l.であり、圧縮強度が2.3kg./cm2であって、開放気泡で、無色の多孔性プラスチックが得られた。
実施例2
エポキシ樹脂100部を、1部のシリコーンオイル、15部のトリクロロフロロメタンと混合した。次に、得られた混合物に、オルトリン酸と二リン酸の重量比1:1の5部の混合液、10部のε-カプロラクトン中の1部のBF3×O(C2H5)2を、8秒以内攪拌機で混合した。独立気泡率が76.5%、均一な内部、せん断と圧縮に対する良好な耐性を有し、密度が34.5g./l.の多孔性プラスチックが得られた。
実施例3
エポキシ樹脂100部を、1部のシリコーンオイル、15部のトリクロロフロロメタンと混合した。次いで、3.5部の二リン酸が1部のBF3×O(C2H5)2と共に80℃に加熱され、冷却され、15部のε-カプロラクトンに溶解され、溶液は、樹脂、整泡剤及び発泡剤の混合物と、30秒撹拌して混合された。1.5分後、フォームは型内で最高点に達して非粘着性となった。独立気泡率80%、密度が37.2g./lの多孔性プラスチックが得られた。
実施例4
エポキシ樹脂100部を、1部のシリコーンオイル、15部のトリクロロフロロメタンと混合した。次に、7部のリン酸ジ-n-ヘキシルエステルと3部の亜リン酸5酸化物の反応で得られた10部のポリリン酸ヘキシルエステル中に、0.8グラムのBF3×o-クロロアニリンが入った溶液を、18秒撹拌しながら加えた。型に注入した後、1分以内に、フォームは最高点に達して非粘着性となった。独立気泡率79%、密度34.4g./lの硬質で丈夫な多孔性プラスチックが得られた。
実施例5
100部のエポキシ樹脂、1部のシリコーンオイルと15部のトリクロロフロロメタンの混合物を、10.4部のオルトリン酸、5.4部のγ-ブチロラクトンと0.2部のBF3×O(C2H5)2との混合物と、30秒以内撹拌して混合し、型に注入した。30秒以内に、多孔性プラスチックは最高点に達して非粘着性となった。内部が均一で、密度が30g./lの、開放気泡で完全に開放気泡で、微細気泡で無色の多孔性プラスチックが得られた。
実施例6
100部のエポキシ樹脂、1部のシリコーンオイルと15部のトリクロロフロロメタンの混合物を、7部のオルトリン酸、10部の3,3-ビス-(クロロメチル)-オキサシクロブタンと0.2部のBF3×O(C2H5)2との混合物と、45秒以内撹拌して混合した。内部が均一で、密度が40g./lの、微細気泡のプラスチックが得られた。)
(第3欄第67行~第4欄第71行)
2 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、特に上記摘示オのEXAMPLE1より、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「エポキシ樹脂として、4,4-ジオキシ-ジフェニル-2,2-プロパンのジグリシジルエーテル100部を、1部のシリコーンオイル(UCCのL531)、15部のトリクロロフロロメタンと混合し、得られた混合物を、10部のオルトリン酸、20部のε-カプロラクトン中の1部のBF3×O(C2H5)2と、30秒以内、25℃で混合し、混合物を型に注入し、1分以内に、フォームは最高点に達して非粘着性となった、密度35g./l.であり、圧縮強度が2.3kg./cm2であって、開放気泡で、無色の多孔性プラスチック。」
3 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「4,4-ジオキシ-ジフェニル-2,2-プロパンのジグリシジルエーテル」は、芳香族エポキシ化合物であるから、本願発明の「芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、バイオ系エポキシ化合物、又はこれらの組み合わせからなるエポキシ-含有化合物」に相当する。
引用発明の「シリコーンオイル(UCCのL531)」及び「ε-カプロラクトン」は、本願発明の「界面活性剤、難燃剤、触媒担体、共-反応物、又はこれらの組み合わせである少なくとも一つの添加剤」と、少なくとも一つの添加剤である限りにおいて一致する。
引用発明の「トリクロロフロロメタン」は、本願発明の「発泡剤」に相当する。
引用発明の「オルトリン酸」はリン酸であり、引用発明の「BF3×O(C2H5)2」はボラン触媒であって、本願明細書の段落【0013】より、両者は、本願発明の「超酸、BF3錯体、リン酸誘導体、又はこれらの組み合わせであるカチオン性触媒」と、カチオン性触媒である限りにおいて一致する。
引用発明の「多孔性プラスチック」は、発泡剤を用いて得られるものであるから、本願発明の「フォーム」に相当する。
さらに、引用発明は、イソシアネート化合物を使用していないから、本願発明の「フォームはイソシアネート化合物を含まない」ことに該当する。
そして、本願発明には圧縮強度や気泡構造の特定がなく、本願の請求項10の記載上任意であってよいから、本願発明と引用発明とは、
[一致点]
「芳香族エポキシ化合物、脂環式構造に直接結合されたエポキシ基を含む脂環式エポキシ化合物、バイオ系エポキシ化合物、又はこれらの組み合わせからなるエポキシ-含有化合物と、カチオン性触媒と、発泡剤と、少なくとも一つの添加剤とからなる組成物を含むフォームにおいて、前記フォームはイソシアネート化合物を含まない、フォーム。」
である点で一致し、
次の点で相違する。
[相違点1]
カチオン性触媒に関し、本願発明は「超酸、BF3錯体、リン酸誘導体、又はこれらの組み合わせである」と特定するのに対して、引用発明は「オルトリン酸」及び「BF3×O(C2H5)2」である点。
[相違点2]
添加剤に関し、本願発明は「界面活性剤、難燃剤、触媒担体、共-反応物、又はこれらの組み合わせである」と特定するのに対して、引用発明は「シリコーンオイル(UCCのL531)」及び「ε-カプロラクトン」である点。
[相違点3]
密度に関し、本願発明は「ASTM D1622により測定した場合、4.8kg/m3~80.1kg/m3の密度を有し」と特定するのに対して、引用発明は測定法が不明であって「35g./l.」である点。
4 相違点についての判断
事案に鑑みて相違点3から検討する。
(1)相違点3について
密度は、「物質の単位体積の質量。単位はkg/m3またはg/cm3」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]であり、測定対象の質量と体積より求められるものであって、測定法によりその値が大きく異なる物性ではない。
そして、引用発明の多孔性プラスチックの密度「35g./l.」は換算すると「35kg/m3」であるから、引用発明のフォームの密度をASTM D1622により測定した場合も、同程度の値を示すといえる。
よって、相違点3は実質的な相違点ではない。
(2)相違点1について
BF3×O(C2H5)2は、三フッ化ホウ素エチルエーテル錯化合物であるから(例えば、化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典3」、縮刷版、共立出版株式会社、1997年9月20日発行、992頁 「さんふっかほうそエチルエーテル錯化合物」の項)、本願発明の「BF3錯体」に相当する。
引用文献1には、上記摘示ア及びウに、硬化剤として添加される成分がaとbの混合物であって、aがリン酸、オルトリン酸、各種リン酸誘導体であり、bがBF3×O(C2H5)2等であることが記載され、上記摘示オのEXAMPLE3において、成分aとして二リン酸を用い、独立気泡率80%のもの、及び、EXAMPLE4において、成分aとしてポリリン酸ヘキシルエステルを用い、独立気泡率79%のものが記載されており、上記摘示イに、適切なリン酸成分を選択することで、気泡構造が調整されることが記載されている。
そうすると、引用発明において、用途等に応じて開放気泡構造から独立気泡構造の多孔性プラスチックとするために、成分aであるオルトリン酸を、引用文献1に記載されるリン酸誘導体とすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、引用文献1には上記摘示オのEXAMPLE2~6において、エポキシ樹脂100部に硬化剤として成分aを3.5~10.4部、成分bを0.2~1部配合したものの密度が30~40g./l(=kg/m3)であることが記載されているから、引用発明において成分aのリン酸成分の種類を変えたとしても、密度は引用発明と大きくは変わらず、本願発明において特定される範囲内にあると解される。
また、引用文献1の記載事項に照らせば、相違点1に関する発明特定事項により奏される効果は、当業者が予測し得ない格別顕著なものでもない。
(3)相違点2について
引用発明の「シリコーンオイル(UCCのL531)」は、UCC(ユニオンカーバイド)から市販されるシリコーンオイルL531であって、ポリオキシアルキレン-シロキサン共重合体表面活性剤、すなわち、界面活性剤であるから(例えば、特公昭51-29559号公報の第11欄第24行~第26行、特開昭46-2542号公報の第20頁左下欄第8行~第10行及び第23頁左上欄第11行~第14行参照)、本願発明の「界面活性剤」に相当する。
また、引用発明の「ε-カプロラクトン」は、上記摘示エより、反応性のコモノマーであるから、本願発明の「共-反応物」に相当する。
そうすると、引用発明の「シリコーンオイル(UCCのL531)」及び「ε-カプロラクトン」は、本願発明の「界面活性剤、難燃剤、触媒担体、共-反応物、又はこれらの組み合わせである少なくとの一つの添加剤」に相当するから、相違点2は実質的な相違点ではない。
(4)平成29年11月17日提出の意見書における主張について
請求人は、上記意見書において、「引用文献1に記載された発明では、シリコーンオイルが必要とされており、シリコーンオイルは、本発明の添加剤のいずれにも包含されないものです。このように、引用文献1に記載された発明はシリコーンオイルを必要としますので、引用文献1は、本発明の成分からなる組成物を含む方法もフォームも記載も示唆もしていません。
・・・
当業者は、引用文献1および2から本発明の組成物を有するフォームに到達しませんから、本発明は引用文献1および2に対して新規性および進歩性を有します。
また、本発明は、望ましいフォーム/硬化の速度で、かつフォーム密度で設置することができる非毒性のフォームを提供します。」と主張する。
シリコーンオイルについては、上記(3)相違点2について述べたとおり、実質的な相違点ではない。
また、引用文献1には、上記摘示イに、良好な機械特性を有する多孔性プラスチックを、短い発泡、硬化時間で得ることを可能とすることが記載されている。また、フォーム密度については、上記3 本願発明と引用発明との対比、及び、上記4(1)ないし(3)で述べたとおりである。
したがって、上記主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明、すなわち、平成29年11月17日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項10に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-013744