特許拒絶査定不服審判
2016-009669
金属化フィルムコンデンサ
- 審判番号
- 2016-009669
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-259952外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月29日
- 審決日
- 2017年02月27日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 健司
- 【請求人代理人】前田 浩夫
- 分類
- P18 .121-WY (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-259952「金属化フィルムコンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月10日出願公開、特開2013-115230、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月29日の出願であって、平成27年8月31日付けで拒絶理由が通知され、同年11月5日付けで手続補正がされたが、平成28年4月8日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年6月29日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。
第2 平成28年6月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正の前(平成27年11月5日付けの手続補正による補正後)に、
「【請求項1】
誘電体フィルムの片面または誘電体フィルムの一方の面と他方の面との両面に、前記誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一のマージン部を除いて金属薄膜からなる電極を備えた金属化フィルムを、前記電極が前記誘電体フィルムを挟んで対向し、前記誘電体フィルムのそれぞれの面の第一のマージン部が反対側に位置するように巻回または積層し、両端に外部電極を形成した金属化フィルムコンデンサであって、
前記電極は、前記誘電体フィルムの幅方向の他方側の前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一の電極と、前記第一のマージンから前記誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に向かって設けられた複数の第二のマージンによって、フィルムの長さ方向に並ぶように分割された複数の分割電極と、この分割電極と前記第一の電極とを電気的に接続する接続部とを備え、
前記誘電体フィルムの長さ方向において、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極と、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の前記接続部を備えた前記分割電極とが交互に並ぶことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
【請求項2】
前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極において、前記接続部の寸法の前記分割電極の長さ方向の寸法に対する比率は、0.167以上0.625以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
【請求項3】
前記誘電体フィルムの幅方向の略中央部に前記接続部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。」
とあったところを、
「【請求項1】
誘電体フィルムの片面または誘電体フィルムの一方の面と他方の面との両面に、前記誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一のマージン部を除いて金属薄膜からなる電極を備えた金属化フィルムを、前記電極が前記誘電体フィルムを挟んで対向し、前記誘電体フィルムのそれぞれの面の第一のマージン部が反対側に位置するように巻回または積層し、両端に外部電極を形成した金属化フィルムコンデンサであって、
前記電極は、前記誘電体フィルムの幅方向の他方側の前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一の電極と、前記第一のマージンから前記誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に向かって設けられた複数の第二のマージンによって、フィルムの長さ方向に並ぶように分割された複数の分割電極と、この分割電極と前記第一の電極とを電気的に接続する接続部とを備え、
前記誘電体フィルムの長さ方向において、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極と、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の前記接続部を備えた前記分割電極とが交互に並んでおり、
前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極において、前記長さ方向における前記分割電極の寸法に対する前記接続部の寸法の比率は、0.167以上0.625以下であることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
【請求項2】
前記誘電体フィルムの幅方向の略中央部に前記接続部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。」
とするものである。なお、下線は審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1において、
「前記誘電体フィルムの長さ方向において、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極と、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の前記接続部を備えた前記分割電極とが交互に並ぶこと」とあったところを、
「前記誘電体フィルムの長さ方向において、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極と、前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の前記接続部を備えた前記分割電極とが交互に並んでおり、
前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極において、前記長さ方向における前記分割電極の寸法に対する前記接続部の寸法の比率は、0.167以上0.625以下であること」
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。
(2)請求項2について
請求項2(補正前の請求項3)自体の記載は補正されていないが、請求項2は、請求項1を引用する従属請求項であることから、実質的に「補正事項1」と同じ補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。
2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部」について、「前記分割電極の前記誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の前記接続部を備えた前記分割電極において、前記長さ方向における前記分割電極の寸法に対する前記接続部の寸法の比率は、0.167以上0.625以下である」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
ア.刊行物の記載事項
a.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平9-283366号公報(以下、「引用例1」という。)には、「コンデンサ」について、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
(ア)「【0008】金属蒸着フィルム1は、誘電体フィルム上に金属蒸着膜と該金属蒸着膜との絶縁を図るために設けられたフリーマージン2、および該金属蒸着膜を分画し、かつ分画された金属蒸着膜部3と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路部6を有する保安機構マージン5を有している。」
【0009】従来のコンデンサは図1(A)の分画された金属蒸着膜部3の面積S1が同じ金属蒸着フィルム同志を巻回、あるいは積層、または図1(A)の保安機構マージン付蒸着フィルム1と図2の保安機構マージンを有していない通常の金属蒸着フィルムとを巻回、あるいは積層して作られていた。
【0010】これに対し本発明のコンデンサは図1(A)の金属蒸着フィルムと図1(B)のごとく分画された金属蒸着部3の面積S2がS2>S1となる金属蒸着フィルムを巻回、あるいは積層して作られたものである。
【0011】S2は1.5S1≦S2≦5S1、より好ましくは2S1≦S2≦4S1である。S2が1.5S1未満であれば金属蒸着膜部の面積が小さくなりコンデンサのサイズも大きくなる。S2が5S1を超えると課電下における保安機能動作時の容量低下が大きくなる。
【0012】なお、フリーマージンd1、d2の幅、保安機構マージンの幅b1、b2、c1、c2、および隘路の幅a1、a2はコンデンサの定格電圧、容量、誘電体フィルムの種類、厚み、蒸着金属の種類、膜抵抗によって好ましく決定されるが、d1とd2、b1とb2、c1とc2は等しく、a2>a1とすることがより好ましい。また一つの分画された金属蒸着膜部3に対し、隘路部6は複数個設けてもよく、さらに保安機構マージン5のパターンは図1に限定されるものではなく、特許第132759号、欧州特許公開00175561、ドイツ特許1079203、特公平1-30284号公報、あるいは特開平7-86088号公報などに記載されているがごとく種々のパターンを用いることができる。本発明の特徴は同一の保安機構マージンパターンを有し、かつ分画された金属蒸着膜部3の面積Sが異なる金属蒸着フィルムを巻回、または積層して作られたコンデンサである。
【0013】なお、本発明は金属蒸着フィルムの保安機構マージンパターンを一つの誘電体の両側に設け、金属蒸着されていない誘電体フィルムと巻回、積層したコンデンサを除外するものではない。この場合分画された金属蒸着膜部3の面積を両側で変えることが必要である。また、本保安機構マージン付蒸着フィルムとの間に蒸着のない誘電体フィルムを入れ、巻回、積層したコンデンサなども除外するものではない。
【0014】また本発明の別の実施態様として、図3のごとく一つの金属蒸着フィルム1の中に保安機構マージン5にて面積の異なるように分画された金属蒸着部31、32を設け、該金属蒸着フィルム同志を巻回、積層することによって本発明のコンデンサを作ることができる。この場合面積の異なる三つ以上の分画された金属蒸着部を設けても良い。なお、図3のパターンにおいて隘路の間隔a1、a2はs2>s1の組み合わせでa2>a1であることが好ましい。さらに図4のようなパターンの場合は、パターンが変わるまでの一つのパターンの間隔の長さf1、f2はs2>s1の場合f1>f2であることが好ましい。」
・上記(ア)及び図3によれば、金属蒸着フィルム1は、誘電体フィルム上に金属蒸着膜と該金属蒸着膜との絶縁を図るために設けられたフリーマージン2、および該金属蒸着膜を分画し、かつ分画された金属蒸着膜部3(31、32)と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路部6を有する保安機構マージン5を有するものである。また、金属蒸着フィルムの保安機構マージンパターンを一つの誘電体フィルムの両側に設けてもよいものである。さらに、一つの金属蒸着フィルム1の中に保安機構マージン5にて面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32を設け、該金属蒸着フィルム同志を巻回、積層することによって作られたコンデンサであり、面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32の面積はs1、s2であり、隘路の間隔a1、a2はs2>s1の組み合わせでa2>a1である。さらに、金属蒸着フィルムの保安機構マージンパターンを一つの誘電体の両側に設け、金属蒸着されていない誘電体フィルムと巻回、積層したコンデンサを除外するものではない。
・図3によれば、「フリーマージン2」は、誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に長さ方向に連続して設けられ、「金属蒸着膜部4」は、誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に長さ方向に連続して設けられているものである。
以上の点を踏まえて、上記記載事項および図面を総合的に勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「金属蒸着フィルム1は、誘電体フィルム上に金属蒸着膜とフリーマージン2を有し、フリーマージン2は誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に長さ方向に連続して設けられており、
該金属蒸着フィルム同士を巻回、積層して作られたコンデンサであって、
金属蒸着フィルム1は、金属蒸着膜を分画し、かつ分画された金属蒸着膜部31、32と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路6を有する保安機構マージン5を有し、金属蒸着膜部4は、誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に長さ方向に連続して設けられており、
面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32を設け、面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32の面積はs1、s2であり、分画された金属蒸着膜部31、32と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路6の間隔a1、a2はs2>s1の組み合わせでa2>a1であるコンデンサ。」
b.引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-16047号公報(以下、「引用例2」という。)の【請求項1】の記載からみて、当該引用例2には、「誘電体フィルムの一方側に第1電極膜(3A)を、また誘電体フィルムの他方側に第2電極膜(3B)をそれぞれ配置してなり、上記第1電極膜(3A)は、容量を形成する有効電極部となる蒸着電極を有し、その長手方向に沿う一側部に絶縁マージン部(4)を、また絶縁マージン部(4)の反対側の他側部にメタリコン電極が形成される接続部(5)を長手方向に沿って帯状に設けた構造であって、また、第2電極膜(3B)は、第1電極膜(3A)と略同一構造のものであって、絶縁マージン部(4)側と接続部(5)側とを互いに逆にして配置した構造であり、一方の接続部側分割電極(11)と他方の絶縁マージン部側分割電極(12)とが誘電体フィルムを介して対向するように構成する」という技術事項が記載されていると認められる。
c.引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2009-267217号公報(以下、「引用例3」という。)の【請求項1】の記載からみて、当該引用例3には、「誘電体フィルムの一方側に第1電極膜(3A)を、また誘電体フィルムの他方側に第2電極膜(3B)をそれぞれ配置してなり、上記第1電極膜(3A)は、容量を形成する有効電極部となる蒸着電極を有し、その長手方向に沿う一側部に絶縁マージン(4)を、また絶縁マージン(4)の反対側の他側部にメタリコン電極(10)が形成される接続部(5)を設けた構造であって、また、第2電極膜(3B)は、第1電極膜(3A)と略同一構造のものであって、絶縁マージン(4)側と接続部(5)側とを互いに逆にして配置した構造であり、一方の第1分割電極(11)と他方の第2分割電極(12)とが誘電体フィルムを介して対向するように構成する」という技術事項が記載されていると認められる。
d.引用例4
平成28年9月27日付けの前置報告書に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭61-85810号公報(以下、「引用例4」という。)の「第1頁左下欄第16行~同右下欄第20行」の記載からみて、当該引用例4には、「金属蒸着電極を分割して巻回した金属化フィルムコンデンサにおいて、金属化フィルム1A、1Bの少くとも一方の蒸着電極を分割することによって、自己保安機能を得るが、分割電極の長さLに対する隘路部3の長さlの総和の割合であるパス率が低いと、保安機能の動作性は高まり、反対に高い場合には保安機能の動作性は低下する」という技術事項が記載されていると認められる。
イ.対比
本願補正発明1と引用発明とを比較する。
a.引用発明の「金属蒸着フィルム1」、「誘電体フィルム」、「フリーマージン2」、「金属蒸着膜」は、本願補正発明1の「金属化フィルム」、「誘電体フィルム」、「第一のマージン部」、「金属薄膜からなる電極」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明の「金属蒸着フィルム1は、誘電体フィルム上に金属蒸着膜とフリーマージン2を有し、フリーマージン2は誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に長さ方向に連続して設けられており、該金属蒸着フィルム同士を巻回、積層して作られたコンデンサ」は、本願補正発明1の「誘電体フィルムの片面に、前記誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一のマージン部を除いて金属薄膜からなる電極を備えた金属化フィルムを、前記電極が前記誘電体フィルムを挟んで対向し、巻回または積層し、両端に外部電極を形成した金属化フィルムコンデンサ」に相当する。
ただし、「第一のマージン部」について、本願補正発明1は「誘電体フィルムのそれぞれの面の第一のマージン部が反対方向に位置」することが特定されているのに対して、引用発明にはそのような特定がなされていない点で相違する。
b.引用発明の「金属蒸着膜部4」、「分画された金属蒸着膜部31、32」、「隘路6」は、それぞれ、本願補正発明1の「第1の電極」、「分割電極」、「接続部」に相当する。
また、引用例1の図3を参照すると、「保安機構マージン5」は「フリーマージン2」から誘電体フィルタの幅方向にむかうマージンを有していることから、引用発明も本願補正発明1の「第二のマージン」を有しているといえる。
したがって、引用発明の「金属蒸着フィルム1は、金属蒸着膜を分画し、かつ分画された金属蒸着膜部31、32と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路6を有する保安機構マージン5を有し、金属蒸着膜部4は、誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に長さ方向に連続して設けられ」ていることは、本願補正発明1の「前記電極は、前記誘電体フィルムの幅方向の他方側の前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一の電極と、前記第一のマージンから前記誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に向かって設けられた複数の第二のマージンによって、フィルムの長さ方向に並ぶように分割された複数の分割電極と、この分割電極と前記第一の電極とを電気的に接続する接続部とを備え」ていることに相当する。
c.引用発明の「面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32」は、引用例1の図3を参照すると、交互に並んでいることから、引用発明の「面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32を設け、面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32の面積はs1、s2であり、分画された金属蒸着膜部31、32と外部との電気的結合をとるための金属蒸着膜部4とを電気的に結合するための隘路6の間隔a1、a2はs2>s1の組み合わせでa2>a1である」ことは、本願補正発明の「前記誘電体フィルムの長さ方向において」、第1の長さの「接続部を備えた分割電極」と、第2の長さの「接続部を備えた前記分割電極とが交互に並んでいる」ことに相当する。
ただし、「分割電極」について、本願補正発明1は、分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部を備えた分割電極と、「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の接続部を備えた分割電極」とが交互に並んでいるのに対して、引用発明において、そのような特定がなされていない点で相違する。
さらに、「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部」について、本願補正発明1は、「長さ方向における前記分割電極の寸法に対する前記接続部の寸法の比率は、0.167以上0.625以下である」のに対して、引用発明において、そのような特定がなされていない点で相違する。
そうすると、本願補正発明1と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「誘電体フィルムの片面に、前記誘電体フィルムの幅方向の一方の端部に前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一のマージン部を除いて金属薄膜からなる電極を備えた金属化フィルムを、前記電極が前記誘電体フィルムを挟んで対向し、巻回または積層し、両端に外部電極を形成した金属化フィルムコンデンサであって、
前記電極は、前記誘電体フィルムの幅方向の他方側の前記誘電体フィルムの長さ方向に連続して設けられた第一の電極と、前記第一のマージンから前記誘電体フィルムの幅方向の他方の端部に向かって設けられた複数の第二のマージンによって、フィルムの長さ方向に並ぶように分割された複数の分割電極と、この分割電極と前記第一の電極とを電気的に接続する接続部とを備え、
前記誘電体フィルムの長さ方向において、第1の長さの接続部を備えた分割電極と、第2の長さの接続部を備えた前記分割電極とが交互に並んでいることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。」
<相違点1>
「第一のマージン部」について、本願補正発明1は「誘電体フィルムのそれぞれの面の第一のマージン部が反対側に位置」するのに対して、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。
<相違点2>
「分割電極」について、本願補正発明1は、「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部を備えた分割電極と、分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の接続部を備えた分割電極とが交互に並ん」でいるのに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
<相違点3>
「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部」について、本願補正発明1は、「長さ方向における前記分割電極の寸法に対する前記接続部の寸法の比率は、0.167以上0.625以下である」のに対して、引用発明において、そのような特定がなされていない点。
ウ.判断
上記相違点2について検討する。
分割電極の長さに対する接続部の長さが小さい場合にはヒューズ機能の動作性は高まり、反対に高い場合にはヒューズ機能の動作性は低下する、すなわち、分割電極の長さに対する接続部の長さが小さい場合には課電試験における静電容量の変化は大きくなり、反対に高い場合には静電容量の変化は低下すること自体は、引用例4(上記「ア. d.」 参照)に記載された技術事項であり、引用発明においてヒューズ機能の動作による静電容量の減少を抑えるために分極電極の長さに対する接続部の長さを調整することは当業者であれば容易に想到し得ることである。
しかしながら、引用発明の「面積の異なるように分画された金属蒸着膜部31、32」は「保安機構マージン5」を有する保安機能性を備えたことを前提にした技術である以上、引用発明に引用例4に記載の技術事項を適用して分極電極の長さに対する接続部の長さを調整し得たとしても、「保安機構マージン5」を有する状態で「隘路」の間隔を調整するものにすぎず、引用発明において金属蒸着膜部32の面積s2の隘路の間隔a2だけを「保安機構マージン5」を有しない状態である「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の接続部」とし、「分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法よりも短い寸法の接続部を備えた分割電極と、分割電極の誘電体フィルムにおける長さ方向の寸法と同じ寸法の接続部を備えた分割電極とが交互に並ん」でいる相違点2に係る構成とすることまで容易であるとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本願補正発明1は、引用発明及び引用例2ないし4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
(2)補正事項2について
本件補正の補正事項2は、実質的に補正事項1と同じであり、請求項1を引用する請求項2についても、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する補正がなされたことになること、そして、補正前の請求項3に記載された発明と補正後の請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明2」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
本願補正発明2は、本願補正発明1に係る発明をさらに限定した発明であるから、上記「(1)ウ.」と同じ理由により、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
よって、本件補正の補正事項2は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
3.本件補正についてのむすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。
第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1および2に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1および2に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願補正発明1および2は、上記「第2 2.」のとおり、当業者が引用発明及び引用例2ないし4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-009669