特許拒絶査定不服審判
2025-004779
プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
- 審判番号
- 2025-004779
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-208520
- 請求日
- 2025年03月28日
- 審決日
- 2026年06月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社コロプラ
- 【請求人代理人】弁理士法人信栄事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 坂庭 剛史
- 審判官 久慈 渉
- 分類
- P18 .55 -WZ (G06F) / P18 .571-WZ (G06F) / P18 .572-WZ (G06F) / P18 .575-WZ (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-208520「プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月28日出願公開、特開2022- 95286〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年12月16日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年12月 6日 手続補正書の提出
令和6年 6月26日付け 拒絶理由通知
同年 8月28日 意見書、手続補正書の提出
同年10月16日付け 拒絶理由通知
同年12月18日 意見書、手続補正書の提出
令和7年 1月 8日付け 拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 3月28日 審判請求書、手続補正書の提出
同年11月 4日付け 拒絶理由通知
令和8年 1月 7日 意見書、手続補正書の提出
同年 1月27日付け 拒絶理由通知(最後)
同年 4月 6日 意見書、手続補正書の提出
第2 令和8年4月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和8年4月6日にされた手続補正(以下「本件第2補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件第2補正の内容
(1)本件第2補正前の特許請求の範囲の記載
本件第2補正前の、令和8年1月7日にされた手続補正(以下、「本件第1補正」という。)により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
コンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体を表示する表示手段と、
前記表示体がユーザの所定の操作によって所定の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段と、
して機能させ、
前記所定の操作領域は、
前記表示体の位置を中心とする連続した第1領域と、前記所定の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、
前記変更手段は、
前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作に応じて、前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、プログラム。
【請求項2】
前記表示手段は、画面に対する前記ユーザの特定の操作を検出可能な表示部に前記表示体を表示させ、
前記第1操作は、前記表示部に表示された前記表示体に対する前記特定の操作である、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記表示手段は、
前記ユーザの第2操作に応じて、前記第1操作に応じて変更された前記時間量を変更前の値に変更させ、
前記第2操作は、前記第1操作と同様の操作である、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記変更手段は、
前記第2領域において、前記所定長さ移動させたときに変化する前記時間量を大きくする、
請求項1に記載のプログラム。」
(2)本件第2補正後の特許請求の範囲の記載
本件第2補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は当審で付した。以下同様。)
「【請求項1】
コンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体を表示する表示手段と、
前記表示体がユーザの所定の操作によって第1の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段と、
して機能させ、
前記第1の操作領域は、
前記第1の操作領域上における前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域と、前記第1の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、
前記表示手段は、画面に対する前記ユーザの特定の操作を検出可能な表示部に前記表示体を表示させ、
前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作であって、前記表示部に表示された前記表示体に対するロングタップ操作に応じて、前記第1の操作領域が、前記第1領域および前記第2領域を含む操作領域であって、前記ユーザの前記所定の操作によって前記表示体が移動可能な第2の操作領域に変更され、
前記変更手段は、
前記第2の操作領域に含まれる前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第2の操作領域に含まれる前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、プログラム。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記ユーザの第2操作に応じて、前記第1操作に応じて変更された前記時間量を変更前の値に変更させ、
前記第2操作は、前記第1操作と同様の操作である、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記変更手段は、
前記第2領域において、前記所定長さ移動させたときに変化する前記時間量を大きくする、
請求項1に記載のプログラム。」
2 本件第2補正の適否について
(1)本件第2補正に係る補正事項
上記1からみて、本件第2補正は、次のア~エに示す補正事項1~4からなるものである。
ア 本件第2補正前の請求項1を削除するとともに、本件第2補正前の請求項2を独立項として本件第2補正後の請求項1とし、本件第2補正前の請求項3及び4をそれぞれ、本件第2補正後の請求項2及び3とする補正(補正事項1)
イ 本件第2補正前の「前記表示体がユーザの所定の操作によって所定の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段」を、「前記表示体がユーザの所定の操作によって第1の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段」に変更するとともに、本件第2補正前の「前記所定の操作領域は、 前記表示体の位置を中心とする連続した第1領域と、前記所定の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、」を、「前記第1の操作領域は、 前記第1の操作領域上における前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域と、前記第1の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、」に変更する補正(補正事項2)
ウ 本件第2補正前の請求項1に記載された「前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作」を引用していた補正前の請求項2に記載された「前記第1操作は、前記表示部に表示された前記表示体に対する前記特定の操作である、」を、「前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作であって、前記表示部に表示された前記表示体に対するロングタップ操作に応じて、前記第1の操作領域が、前記第1領域および前記第2領域を含む操作領域であって、前記ユーザの前記所定の操作によって前記表示体が移動可能な第2の操作領域に変更され、」に変更する補正(補正事項3)
エ 本件第2補正前の「前記変更手段は、 前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作に応じて、前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、」を、「前記変更手段は、 前記第2の操作領域に含まれる前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第2の操作領域に含まれる前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、」に変更する補正(補正事項4)
(2)補正の目的について
ア 補正事項1は、請求項1を削除する補正及び請求項1を削除する補正に伴って必然的に生じる他の請求項の形式的な補正であるから、それは、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものである。
イ 補正事項2は、「変更手段」について、本件第2補正前の「前記表示体の位置を中心とする連続した第1領域」を「前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域」に限定することによって、本件第2補正前に記載されていた「所定の操作領域」を、前記「所定の操作領域」が含む「第1領域」に係る構成が減縮された「第1の操作領域」として記載したものであるから、それは、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 補正事項3は、本件第2補正前に記載されていた「第1操作」を「ロングタップ操作」に具体化した上で、更に、当該操作「に応じて、前記第1の操作領域が、前記第1領域および前記第2領域を含む操作領域であって、前記ユーザの前記所定の操作によって前記表示体が移動可能な第2の操作領域に変更され」る、という発明特定事項を新たに追加して記載したものであるが、当該発明特定事項が、本件第2補正前に記載されていた、第1操作「に応じて、前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、」という発明特定事項を、概念的に、より下位の発明特定事項にしたものであると理解することはできないから、そのような発明特定事項の新たな追加は、いわゆる外的付加に相当するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
エ 補正事項4は、「変更手段」について、本件第2補正前に記載されていた「前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作に応じて、」という発明特定事項を削除する補正(補正事項4の1)と、本件第2補正前の「前記第2領域」を「前記第2の操作領域に含まれる前記第2領域」に限定する補正(補正事項4の2)からなるものであって、補正事項4の2の目的が特許請求の範囲の減縮に該当するとしても、直列的に記載されていた発明特定事項を削除する補正事項4の1の目的が特許請求の範囲の減縮に該当しないことは明らかであるから、補正事項4は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
オ そして、上記ウ及びエからみて、補正事項3~4に係る補正の目的が、特許法第17条の2第5項第1号、第3号及び第4号の各号に掲げられたいずれの目的にも該当しないことは明らかである。
カ したがって、本件第2補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
(3)独立特許要件について(予備的判断)
上記(1)及び(2)で検討したとおり、本件第2補正は却下されるべきものであるが、さらに進めて、本件第2補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件第2補正発明」という。)が独立して特許を受けることができるかについても検討する。
ア 引用文献1、引用発明
米国特許出願公開第2011/0145745号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「[0041] FIG. 1A illustrates a touch screen 100 to display diverse items. The touch screen 100 displays a screen 120 regarding multimedia content currently being displayed, and a progress bar 110 regarding the content.」
(当審訳:[0041]図1Aは、様々なアイテムを表示するタッチスクリーン100を示している。タッチスクリーン100には、現在表示されているマルチメディアコンテンツに関する画面120と、そのコンテンツに関するプログレスバー110が表示されている。)
(イ)「[0044] In this exemplary embodiment, the progress bar 110 of content has a bar shape having a plurality of sections 110-1, 110-2, . . . , and 110-10. A section indicates the playback time of content divided according to a predetermined basis. For example, if a movie is played back on the screen 120, a section may be a time unit obtained by dividing the entire playback time of the movie according to a predetermined time basis. If still images are sequentially displayed on the screen 120, a section may be a time taken to display a single still image.」
(当審訳:[0044]この例示的な実施形態では、コンテンツのプログレスバー110は、複数のセクション110-1、110-2、・・・、110-10を有する棒状の形状を有する。1つのセクションは、所定の基準に基づいて分割されたコンテンツの再生時間を示す。例えば、画面120で動画が再生される場合、1つのセクションは、動画全体の再生時間を所定の時間単位で分割した時間単位であってもよい。静止画像が画面120に順次表示される場合、1つのセクションは、1枚の静止画像を表示する時間であってもよい。)
(ウ)「[0046] The position item 115 can be moved on the progress bar 110 by the user. That is, if the user moves the position item 115 on the progress bar 110, the current playback time point of the content changes and the content is played back from the changed time point.」
(当審訳:[0046]位置アイテム115は、ユーザによってプログレスバー110上で移動させることができる。つまり、ユーザがプログレスバー110上の位置アイテム115を移動させると、コンテンツの現在の再生時間位置が変更され、その変更された時間位置からコンテンツが再生される。)
(エ)「[0049] FIG. 1A illustrates a method for extending section 110-5 on the progress bar 110 by touching section 110-5 for greater than a predetermined time period (e.g., 3 seconds). As illustrated in FIG. 1A, on the touch screen 100 displaying the progress bar 110, if the user presses section 110-5 of the progress bar 110 for greater than 3 seconds, the length of section 110-5 is extended on the touch screen 100. In contrast, the lengths of the non-selected sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 are reduced.
[0050] FIG. 1B illustrates the extended length of section 110-5 and the reduced lengths of the non-selected sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 on the progress bar 110 when the user presses section 110-5 on the progress bar 110 for greater than 3 seconds as illustrated in FIG. 1A.
[0051] For example, if the entire length of the progress bar 110 is 20 cm, the lengths of all the sections 110-1, . . . , and 110-10 are 2 cm before section 110-5 is extended. However, if a user command is input to extend section 110-5, section 110-5 is extended to 11 cm and the remaining sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 are reduced to 1 cm. That is, the entire length of the progress bar 110 is maintained and all the sections 110-1, . . . , and 110-10 of the progress bar 110 are displayed, but section 110-5 is extended and the remaining sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 are reduced. The lengths of the reduced sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 are the same. In this case, the extended section 110-5 is highlighted to be distinct from the reduced sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10, as illustrated in FIG. 1B, though it is understood that another exemplary embodiment is not limited thereto.
[0052] As described above, if a user command is input to extend section 110-5 on the progress bar 110, section 110-5 is extended and the remaining sections 110-1, . . . , 110-4, 110-6, . . . , and 110-10 are reduced, so the user can control the extended section 110-5 of the progress bar 110 more precisely.」
(当審訳:[0049]図1Aは、プログレスバー110上のセクション110-5を所定の時間(例えば3秒)以上タッチすることで、セクション110-5を拡張する方法を示している。図1Aに示すように、プログレスバー110を表示するタッチスクリーン100において、ユーザがプログレスバー110のセクション110-5を3秒以上押すと、タッチスクリーン100上でセクション110-5の長さが拡張される。一方、選択されていないセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10の長さは縮小される。
[0050]図1Bは、図1Aに示すように、ユーザがプログレスバー110上のセクション110-5を3秒以上押した場合の、プログレスバー110上のセクション110-5の拡張と、選択されていないセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10の縮小を示している。
[0051]例えば、プログレスバー110全体の長さが20cmである場合、セクション110-5が拡張される前は、すべてのセクション110-1、・・・、110-10の長さはそれぞれ2cmである。しかし、ユーザがセクション110-5を拡張するコマンドを入力すると、セクション110-5は11cmに拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10はそれぞれ1cmに縮小される。すなわち、プログレスバー110全体の長さは維持され、すべてのセクション110-1、・・・、110-10が表示されているが、セクション110-5は拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10は縮小される。縮小されたセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10の長さはすべて同じである。この場合、図1Bに示すように、拡張されたセクション110-5は、縮小されたセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10とは区別できるようにハイライト表示されるが、別の実施形態ではこれに限定されないことは理解されたい。
[0052]上述のように、ユーザがプログレスバー110上のセクション110-5を拡張するコマンドを入力すると、セクション110-5が拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10は縮小されるため、ユーザはプログレスバー110の拡張されたセクション110-5をより正確に操作できるようになる。)
(オ)「(図1A)
[図:0001438934000001.jpg]
」
(カ)「(図1B)
[図:0001438934000002.jpg]
」
(キ)上記(ウ)~(カ)からみて、「前記セクション110-5は、前記位置アイテム115を中心として、前記位置アイテム115の前に位置する部分と、前記位置アイテム115の後に位置する部分から成る連続した領域である」ことが見て取れる。
(ク)「[0094] While not restricted thereto, the exemplary embodiments can also be embodied as computer-readable code on a computer-readable recording medium. The computer-readable recording medium is any data storage device that can store data that can be thereafter read by a computer system. Examples of the computer-readable recording medium include read-only memory (ROM), random-access memory (RAM), CD-ROMs, magnetic tapes, floppy disks, and optical data storage devices. The computer-readable recording medium can also be distributed over network-coupled computer systems so that the computer-readable code is stored and executed in a distributed fashion. Also, the exemplary embodiments may be written as computer programs transmitted over a computer-readable transmission medium, such as a carrier wave, and received and implemented in general-use digital computers that execute the programs. Moreover, while not required in all aspects, one or more units of the multimedia device 600 can include a processor or microprocessor executing a computer program stored in a computer-readable medium, such as a local storage.」
(当審訳:[0094]この例示的な実施形態はこれらに限定されるものではないが、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータ読み取り可能なコードとして実現することもできる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータを格納できるあらゆるデータ記憶装置を指す。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、および光データ記憶装置などが挙げられる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ネットワーク接続されたコンピュータシステムに分散して配置することもでき、コンピュータ読み取り可能なコードを分散的に格納および実行することが可能となる。また、この例示的な実施形態は、搬送波などのコンピュータ読み取り可能な伝送媒体を介して送信され、汎用デジタルコンピュータで受信および実行されるコンピュータプログラムとして記述することもできる。さらに、必ずしもすべての態様において必須ではないが、マルチメディアデバイス600の1つまたは複数のユニットは、ローカルストレージなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたコンピュータプログラムを実行するプロセッサまたはマイクロプロセッサを備えることができる。)
(ケ)上記(ア)~(ク)からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「タッチスクリーン100には、現在表示されているマルチメディアコンテンツに関する画面120と、そのコンテンツに関するプログレスバー110が表示され、
コンテンツのプログレスバー110は、複数のセクション110-1、110-2、・・・、110-10を有する棒状の形状を有し、
1つのセクションは、所定の基準に基づいて分割されたコンテンツの再生時間を示し、画面120で動画が再生される場合、1つのセクションは、動画全体の再生時間を所定の時間単位で分割した時間単位であってもよく、
ユーザがプログレスバー110上の位置アイテム115を移動させると、コンテンツの現在の再生時間位置が変更され、その変更された時間位置からコンテンツが再生され、
プログレスバー110上のセクション110-5を所定の時間(例えば3秒)以上タッチすることで、セクション110-5を拡張する一方、選択されていないセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10の長さは縮小され、
例えば、プログレスバー110全体の長さが20cmである場合、セクション110-5が拡張される前は、すべてのセクション110-1、・・・、110-10の長さはそれぞれ2cmであるが、
ユーザがセクション110-5を拡張するコマンドを入力すると、セクション110-5は11cmに拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10はそれぞれ1cmに縮小され、すなわち、プログレスバー110全体の長さは維持され、すべてのセクション110-1、・・・、110-10が表示されているが、セクション110-5は拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10は縮小され、
前記セクション110-5は、前記位置アイテム115を中心として、前記位置アイテム115の前に位置する部分と、前記位置アイテム115の後に位置する部分から成る連続した領域であり、
ユーザはプログレスバー110の拡張されたセクション110-5をより正確に操作できるようになる、ようにした、
汎用デジタルコンピュータで実行されるコンピュータプログラム。」
イ 引用文献2、引用文献2記載技術
米国特許出願公開第2012/0308204号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「[0012] Another aspect of the invention provides a method of controlling a touch screen using a timeline supporting fisheye lens-based dynamic zoom, wherein a scale of a timeline is dynamically changed depending on a touch event preset in the timeline, thus allowing a precise control of a touch screen is possible so that the touch screen is controlled through natural interaction.」
(当審訳:[0015]本発明の別の態様は、魚眼レンズに基づく動的ズームをサポートするタイムラインを使用してタッチスクリーンを制御する方法を提供する。この方法では、タイムラインにプリセットされたタッチイベントに応じてタイムラインのスケールが動的に変更されるため、タッチスクリーンを正確に制御することが可能となり、自然なインタラクションを通じてタッチスクリーンを制御できる。)
(イ)「[0032] If a user touches the bar 110 at a specific location on or near the timeline 130 displayed on the touch screen 100 with a touch input means such as a fingertip or other means in step S10, the slider 120 is shifted to the user-touched position in step S20 and displays the content frame corresponding to the touched location. At this time, if the user contact is maintained at the same location for a predetermined time (e.g., 5 seconds) or more in step S30, the area around the user-touched location are enlarged or zoom-displayed in step S40. In other words, as the user fine tunes (or continuously contacts) the slider 120, a partial area of the timeline bar 110, which includes the user-touched position, is up-scaled and displayed. Here, a display zoom ratio is predetermined.」
(当審訳:[0032]ステップS10において、ユーザがタッチスクリーン100に表示されたタイムライン130上の特定の位置、またはその近傍のバー110を指先などのタッチ入力手段でタッチすると、ステップS20においてスライダ120がタッチされた位置に移動し、タッチされた位置に対応するコンテンツフレームが表示される。このとき、ステップS30において、ユーザが同じ位置で所定の時間(例えば5秒)以上タッチし続けると、ステップS40において、タッチされた位置周辺の領域が拡大またはズーム表示される。換言すると、ユーザがスライダ120を微調整(または継続的にタッチ)すると、タッチされた位置を含むタイムラインバー110の一部が拡大されて表示される。ここで、表示の拡大率は予め定められている。)
(ウ)「[0034] If the user maintains his or her contact continuously on the touch screen at the same point in step S50 even after the zoom display effects are applied and displayed in step S40, the display zoom ratio can further be increased gradually thereafter, thus enlarging the zoom effect thereafter in step S60.
[0035] In this state, if the user adjusts the position of the slider 120 in step S70, the content frame corresponding to the adjusted position of the slider 120 is retrieved and displayed on the touch screen 100 in step S80. That is, the user continuously moves the finger to the slider 120 after being up-scaled to control the slider 120.」
(当審訳:[0034]ステップS40でズーム表示効果が適用され表示された後も、ステップS50でユーザがタッチスクリーン上の同じ箇所に接触し続けた場合、その後、表示ズーム比を徐々にさらに増加させることができ、ステップS60でズーム効果を拡大することができる。
[0035]この状態で、ユーザがステップS70でスライダ120の位置を調整すると、ステップS80で、調整されたスライダ120の位置に対応するコンテンツフレームが取得され、タッチスクリーン100に表示される。つまり、拡大表示された後のスライダ120を操作するためにユーザは指をスライダ120に連続的に移動させる。)
(エ)「[0041] As shown in FIGS. 3A to 3C, the timeline bar 110 may be selectively zoom-displayed depending on the user-touched position. In particular, the user-touched position is zoomed or distorted the most, and the farther away from the user-touched position, the less the timeline bar 110 is zoomed or distorted.」
(当審訳:[0041]図3A~3Cに示すように、タイムラインバー110は、ユーザがタッチした位置に応じて選択的にズーム表示される。具体的には、ユーザがタッチした位置が最もズームまたは変形され、タッチした位置から離れるほど、タイムラインバー110のズームまたは変形は小さくなる。)
(オ)「[0044] Alternatively, the user-touched position and its adjacent area may be zoom-displayed in accordance with a circular fisheye lens effect as shown in FIG. 3C.」
(当審訳:[0044]あるいは、図3Cに示すように、ユーザがタッチした位置とその周辺領域を、円周魚眼レンズ効果に従ってズーム表示することもできる。)
(カ)「(図3C)
[図:0001438934000003.jpg]
」
(キ)上記(ア)~(カ)からみて、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献2記載技術)
「タッチスクリーンを正確に制御することを可能にするために、
ユーザがスライダ120を継続的にタッチすると、タッチされた位置を含むタイムラインバー110の一部が拡大されて表示され、
ズーム表示効果が適用され表示された後の状態で、拡大表示された後のスライダ120を操作するためにユーザは指をスライダ120に連続的に移動させ、
タイムラインバー110は、ユーザがタッチした位置が最もズームまたは変形され、タッチした位置から離れるほど、タイムラインバー110のズームまたは変形は小さくなる」技術
ウ 対比
本件第2補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「汎用デジタルコンピュータで実行されるコンピュータプログラム」は、本件第2補正発明の「コンピュータにおいて実行されるプログラム」と一致している。
(イ)引用発明の「位置アイテム115」、「ユーザがプログレスバー110上の位置アイテム115を移動させる」こと、「プログレスバー110」及び「タッチスクリーン100」はそれぞれ、本件第2補正発明の「コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体」、「所定の操作」、「操作領域」及び「画面に対する前記ユーザの特定の操作を検出可能な表示部」に一致する。
(ウ)引用発明の「プログレスバー110」が有する「セクション110-5」は、「前記位置アイテム115を中心として、前記位置アイテム115の前に位置する部分と、前記位置アイテム115の後に位置する部分から成る連続した領域であ」るから、本件第2補正発明の「前記第1の操作領域上における前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域」と一致する。
(エ)引用発明の「プログレスバー110」が有する「残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10」は、「セクション110-5」に隣接する領域であると理解されるから、それは、本件第2補正発明の「前記第1の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域」と一致する。
(オ)上記(イ)~(エ)を踏まえると、引用発明の「タッチスクリーン100には、現在表示されているマルチメディアコンテンツに関する画面120と、そのコンテンツに関するプログレスバー110が表示され、コンテンツのプログレスバー110は、複数のセクション110-1、110-2、・・・、110-10を有する棒状の形状を有し、1つのセクションは、所定の基準に基づいて分割されたコンテンツの再生時間を示し、画面120で動画が再生される場合、1つのセクションは、動画全体の再生時間を所定の時間単位で分割した時間単位であってもよく、ユーザがプログレスバー110上の位置アイテム115を移動させると、コンテンツの現在の再生時間位置が変更され、その変更された時間位置からコンテンツが再生され、」は、引用発明の「コンピュータプログラム」を実行することによって「汎用デジタルコンピュータ」に実現される機能を表現したものであるから、本件第2補正発明の「前記プログラムは、前記コンピュータを、コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体を表示する表示手段と、前記表示体がユーザの所定の操作によって第1の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段と、して機能させ、前記第1の操作領域は、前記第1の操作領域上における前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域と、前記第1の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、前記表示手段は、画面に対する前記ユーザの特定の操作を検出可能な表示部に前記表示体を表示させ、」と一致している。
(カ)引用発明の「セクション110-5を拡張するコマンド」は「プログレスバー110上のセクション110-5を所定の時間(例えば3秒)以上タッチすることで」「入力される」から、当該コマンドを入力する操作は、「前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作であって」「ロングタップ操作」である点で本件第2補正発明と共通し、後述する相違点において両者は相違している。
(キ)上記(オ)及び(カ)からみて、引用発明の「プログレスバー110上のセクション110-5を所定の時間(例えば3秒)以上タッチすることで、セクション110-5を拡張する一方、選択されていないセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10の長さは縮小され、 例えば、プログレスバー110全体の長さが20cmである場合、セクション110-5が拡張される前は、すべてのセクション110-1、・・・、110-10の長さはそれぞれ2cmであるが、ユーザがセクション110-5を拡張するコマンドを入力すると、セクション110-5は11cmに拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10はそれぞれ1cmに縮小され、すなわち、プログレスバー110全体の長さは維持され、すべてのセクション110-1、・・・、110-10が表示されているが、セクション110-5は拡張され、残りのセクション110-1、・・・、110-4、110-6、・・・、110-10は縮小され、」は、「前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作であって、ロングタップ操作に応じて、前記第1の操作領域が、前記第1領域および前記第2領域を含む操作領域であって、前記ユーザの前記所定の操作によって前記表示体が移動可能な第2の操作領域に変更され、前記変更手段は、前記第2の操作領域に含まれる前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第2の操作領域に含まれる前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、」である点で本件第2補正発明と共通し、後述する相違点において両者は相違している。
エ 一致点及び相違点
本件第2補正発明と引用発明は、次の(ア)の点で一致し、次の(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「コンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体を表示する表示手段と、
前記表示体がユーザの所定の操作によって第1の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段と、
して機能させ、
前記第1の操作領域は、
前記第1の操作領域上における前記表示体の位置を中心として前記表示体の前に位置する前領域および前記表示体の後ろに位置する後領域から成る連続した第1領域と、前記第1の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、
前記表示手段は、画面に対する前記ユーザの特定の操作を検出可能な表示部に前記表示体を表示させ、
前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作であって、ロングタップ操作に応じて、前記第1の操作領域が、前記第1領域および前記第2領域を含む操作領域であって、前記ユーザの前記所定の操作によって前記表示体が移動可能な第2の操作領域に変更され、
前記変更手段は、
前記第2の操作領域に含まれる前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第2の操作領域に含まれる前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、プログラム。」
(イ)相違点
本件第2補正発明の第1操作は、「前記表示部に表示された」「前記表示体に対する」操作であるのに対して、引用発明のプログレスバー110上のセクション110-5を所定の時間以上タッチしてコマンドを入力する操作は、「タッチスクリーン100に表示された位置アイテム115に対する」操作に特定されていない点。
オ 判断
(ア)引用文献2記載技術は、上記イ(カ)に示したとおりのものであって、当該技術では、タッチスクリーンを正確に制御できるようにすることを目的として、タイムラインバー110をズーム表示するために、ユーザは、「スライダ120」を継続的にタッチしているものである。
(イ)一方、上述した引用発明において「セクション110-5を所定の時間以上タッチすること」は、「ユーザはプログレスバー110の拡張されたセクション110-5をより正確に操作できるようになる」ことを目的とした操作である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)からみて、引用発明において、拡張するセクションを対象とした操作を行うことに代えて、当該セクションの中心に表示された「位置アイテム115」を対象とした操作を行わせるように、その操作位置を限定することは、引用文献2記載技術を知る当業者であれば、その必要に応じて適宜なし得る設計変更程度の事項にすぎない。
(エ)以上のことからみて、上記相違点に係る本件第2補正発明の構成は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(オ)そして、本件第2補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(カ)したがって、本件第2補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張
本件第2補正に係る手続補正書とともに提出された意見書における請求人の主張は、概略、以下のとおりである。
「本願発明では、表示体を所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくするための操作が「表示体に対するロングタップ操作」であることを要件としているため、例えば、表示体をロングタップしたまま当該表示体を移動するドラッグ操作に移ることが可能となり、一連の流れの中でスムーズに操作を行うことが可能であり、ユーザの利便性を向上させることができる。」
(イ)当審の見解
a 引用発明において、拡張するセクションを対象とした操作を行うことに代えて、当該セクションの中心に表示された「位置アイテム115」を対象とした操作を行わせるように、その操作位置を限定することが、引用文献2記載技術を知る当業者にとって容易想到であることは、上記オで検討したとおりである。
b そして、引用文献2記載技術は、上記イ(カ)に示したとおりのものであって、当該技術では、タイムラインバー110をズーム表示するために、ユーザは、スライダ120を継続的にタッチしており、この状態で、拡大表示された後のスライダ120を操作するためにユーザは指をスライダ120に連続的に移動できるようになっているから、引用発明及び引用文献2記載技術は、請求人が主張する作用効果と同程度の作用効果を奏し得るものであるといえる。
c よって、請求人の上記(ア)の主張については、採用できない。
キ 小括(独立特許要件について)
したがって、本件第2補正発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 まとめ(本件第2補正について)
以上のとおり、本件第2補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、請求項1に係る本件第2補正の目的が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当するとした場合であっても、本件第2補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件第1補正の適否について
1 本件第1補正後の請求項1の記載
上記のとおり、本件第2補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲は、本件第1補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
コンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体を表示する表示手段と、
前記表示体がユーザの所定の操作によって所定の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する変更手段と、
して機能させ、
前記所定の操作領域は、
前記表示体の位置を中心とする第1領域と、前記所定の操作領域のうち前記第1領域とは異なる領域であって、前記第1領域に連続する第2領域とを含み、
前記変更手段は、
前記表示体に対する前記ユーザの前記所定の操作とは異なる第1操作に応じて、前記第2領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量に比べて、前記第1領域において前記表示体を前記所定長さ移動させたときに変化する時間量を小さくする、プログラム。」
2 当審拒絶理由の概要
令和8年1月27日付けで通知された拒絶の理由は、本件第1補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである。
3 当審の判断
本件第1補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてしたものであるかについて、以下検討する。
(1)本件第1補正について
ア 本件第1補正後の請求項1の記載は、上記1(1)に示したとおりであるところ、本件第1補正により、「コンテンツの現在の再生箇所を示す表示体」が「ユーザの所定の操作によって所定の操作領域上を所定長さ移動されたことに応じて、前記コンテンツの再生箇所を当該所定長さに対応する時間分だけ変化させた再生箇所に変更する」ものにおける「所定の操作領域」に含まれる「第1領域」が「前記表示体の位置を中心とする」領域であることが特定された。
イ 上記アからみて、前記「表示体」は、「所定の操作領域」上を所定長さ移動させられるものであるとともに、「所定の操作領域」に含まれる「第1領域」は「前記表示体の位置を中心とする」領域であるのだから、所定長さ移動する前に所定の操作領域上において第1領域の中心にあった表示体は、所定長さ移動させられた後においても、第1領域の中心にあることが特定されている。
ウ 上記イからみて、表示体が所定の操作領域上を所定長さ移動することに連動して、前記表示体を中心とする第1領域の位置も所定長さ移動した位置に変更されることによって、移動前後の表示体の位置は第1領域の中心に常にあるようにされているといえる。
(2)当初明細書等の記載
そこで、上記(1)ア~ウに関して当初明細書等の記載を検討すると、当初明細書等には、次のア及びイの記載がある。
ア 「【図6】
[図:0001438934000004.jpg]
」
イ 「【0066】
ここで、図6を用いて、ステップS406~S410の一連の処理について詳述する。図6は、シークバー511における時間量の変更例を示す模式図である。図6の上部には、ステップS406における変更前のシークバー511が示されており、図6の下部には、ステップS406における変更後のシークバー511’が示されている。
【0067】
なお、本開示の理解を容易にするため、図6では、シークバー511の時間軸512を想像線A1~A4で区切っている。また、想像線A1~A2の間を領域R2とし、想像線A2~A3の間を領域R1とし、想像線A3~A4の間を領域R3としている。同様に、シークバー511’の時間軸512を想像線A1、A2’、A3’、及びA4で区切っている。また、想像線A1~A2’の間を領域R2’とし、想像線A2’~A3’の間を領域R1’とし、想像線A3’~A4の間を領域R3’としている。なお、想像線A1は、時間軸512の左端に位置し、想像線A4は、時間軸512の右端に位置する。
【0068】
変更前のシークバー511において、時間軸512の単位長さL1に対応する時間量は、「(コンテンツの総再生時間/シークバー511の全長)×単位長さL1の長さ」であり、時間軸512のどの箇所においても同一である。すなわち、変更前では、領域R1~R3のどの箇所においても、スライダ513を単位長さL1と同じ長さだけ移動させた場合、変化する時間量は同一である。なお、単位長さL1は、タッチスクリーン130における任意の長さであり、タッチスクリーン130上の表示サイズや表示媒体が変われば、単位長さL1に対する時間量も変わる。
【0069】
一方で、変更後のシークバー511’では、時間軸512上におけるスライダ513の位置を含む連続した第1領域(領域R1’)において、単位長さL1に対応する時間量を小さくしている。すなわち、領域R1’においてスライダ513を単位長さL1だけ移動させた場合、変化する時間量は、変更前のシークバー511においてスライダ513を単位長さL1だけ移動させた場合よりも小さい。
【0070】
また、時間軸512上における第1領域外の第2領域(領域R2’及びR3’)において、単位長さL1に対応する時間量を大きくしている。すなわち、領域R2’及びR3’においてスライダ513を単位長さL1だけ移動させた場合、変化する時間量は、変更前のシークバー511においてスライダ513を単位長さL1だけ移動させた場合よりも大きい。
【0071】
なお、シークバー511の想像線A2に対応する再生箇所は、シークバー511’の想像線A2’に対応する再生箇所と同一である。また、シークバー511の想像線A3に対応する再生箇所は、シークバー511’の想像線A3’に対応する再生箇所と同一である。すなわち、領域R1’は領域R1に対応し、領域R2’は領域R2に対応し、領域R3’は領域R3に対応している。
【0072】
以下、理解を容易にするために、コンテンツの総再生時間を「60分」とし、シークバー511の全長を「60」とし、単位長さL1の長さを「1」として説明する。この場合、変更前のシークバー511における単位長さL1当たりの時間量は「1分(=(60分/60)×1)」である。シークバー511おいて、想像線A1からスライダ513までの長さが「30」であり、スライダ513から位置P1までの長さが「15」である場合、スライダ513を位置P1まで移動させると、コンテンツの再生箇所は、「30分」の位置から「45分」の位置まで進むことになる。
【0073】
一方、変更後のシークバー511’において、領域R1’では、単位長さL1当たりの時間量が「1分」よりも小さく、具体的には、「1/4分(15秒)」である。また、領域R2’及びR3’では、単位長さL1当たりの時間量が「1分」よりも大きく、具体的には、「3分」である。
【0074】
スライダ513から位置P2までの長さが「15」である場合において、スライダ513を位置P2まで移動させると、コンテンツの再生箇所は、「30分」の位置から「33分45秒(=30分+15秒×15)」の位置まで進むことになる。すなわち、シークバー511とシークバー511’とでは、スライダ513の移動量が同一であったとしても、再生箇所が異なることになる。シークバー511’において、再生箇所を「45分」の位置にしようとする場合、例えば、スライダ513を領域R3’内の位置P1’まで移動させることが必要である。
【0075】
なお、図6の例において、第1領域は、スライダ513の位置と、時間軸512上でスライダ513の前(左側)に位置する領域を前領域512aの一部と、時間軸512上でスライダ513の後(右側)に位置する後領域512bの一部と、を含んだ連続した領域であるが、これに限定されるわけではない。第1領域は、スライダ513の位置と、前領域512a及び後領域512のいずれか一方と、を含んだ領域であってもよい。また、第1領域は、前領域512aの全部又は後領域512bの全部を含んだ領域であってもよい。第1領域をどのような領域にするかは、例えば、スライダ513の位置に応じて決定してもよいし、ユーザによって設定可能にしてもよい。」
(当審注:段落【0074】の「位置P2まで移動させたる」は「位置P2まで移動させる」の誤記と認められるので、誤記を正して摘記した。)
(3)新規事項の判断
ア 明示的な記載の有無
(ア)請求項1に記載された「表示体」は、当初明細書等に明示的に記載されていないが、当初明細書等に記載された「スライダ513」が前記「表示体」に対応すると理解できる。
(イ)補正後の請求項1に「前記表示体の位置を中心とする第1領域」が記載されている一方、当初明細書等には、表示体の位置を第1の領域の「中心」としたことを明示的に示す記載はない。
イ 当初明細書等の記載についての検討
本件第1補正に関連する当初明細書等の記載として上記(2)ア及びイで示した【図6】及び明細書の段落【0066】~【0075】の記載について、以下詳細に検討する。
(ア)当初明細書等には、明細書の段落【0067】及び【0069】からみて、シークバー511’の時間軸512を区切っている「想像線A2’~A3’」の間である「領域R1’」が「第1領域」であるとされており、また、【図6】からみて、第1領域である領域R1’の中央あたりの位置に、スライダ513が位置していることが見て取れる。
(イ)しかしながら、上記(ア)に関して、段落【0072】及び【0074】の記載によれば、【図6】の記載は、コンテンツの総再生時間を「60分」とし、シークバー511(及びシークバー511’)の全長を「60」とし、想像線A1からスライダ513までの長さが「30」であり、コンテンツの再生箇所が「30分」の位置である場合を説明したものであるが、スライダ513がシークバーの半分の位置にある場合(コンテンツの再生箇所が「30分」の場合)以外の場合においても、領域R1’の「中心」にスライダ513が位置していることを、当初明細書等の記載から特定することはできない。
(ウ)一方、当初明細書等には、スライダ513を単位長さL1だけ移動させることが段落【0069】に記載されているものの、スライダ513の移動に応じて第1領域も単位長さL1だけ移動させることは記載されていないから、スライダ513を単位長さL1だけ移動した後においても、第1領域の中央あたりの位置にスライダ513が位置していることは記載されていない。
(エ)また、当初明細書等には、スライダ513を位置P2まで移動させること及び位置P1’まで移動させることが段落【0074】に記載されているものの、移動後のスライダ513の位置P2や位置P1’が「中心」となるように第1領域を連動して移動させることは記載されていない。
(オ)更に、段落【0075】には、「第1領域をどのような領域にするかは、例えば、スライダ513の位置に応じて決定してもよい」との記載があるものの、この記載は、第1領域を、「スライダ513の位置と、時間軸512上でスライダ513の前(左側)に位置する領域を前領域512aの一部と、時間軸512上でスライダ513の後(右側)に位置する後領域512bの一部と、を含んだ連続した領域」、「スライダ513の位置と、前領域512a及び後領域512のいずれか一方と、を含んだ領域」及び「前領域512aの全部又は後領域512bの全部を含んだ領域」のいずれにするのかを、スライダ513の位置に応じて決定してよいことを説明しているにすぎないため、スライダ513がシークバー511’上のいずれの位置に移動しようとも、移動後のスライダ513の位置が常に第1領域の「中心」になるように第1領域の範囲を動的に再設定する技術思想を具体的に開示していると認めることはできない。
(カ)以上をまとめると、上記(ア)及び(イ)からみて、当初明細書等には、移動前のスライダ513(表示体)が領域R1’(第1の領域)の「中心」に位置する「場合があること」が記載されているといえるものの、移動前の表示体が第1の領域の中心に常に位置していることが実質的に記載されているとはいえない。また、上記(ウ)~(オ)からみて、スライダ513(表示体)を移動させた後でも領域R1’(第1の領域)の「中心」に位置するように制御することは記載されていない。
(キ)したがって、上記2(1)で示したように、表示体の移動に連動して第1領域も移動し、その移動後においても、表示体の位置が第1領域の中心に常にあるようにした発明概念は、当初明細書等に記載されておらず、また当初明細書等の記載から自明な事項であるとはいえない。
ウ 小括(新規事項の判断)
したがって、上記2(1)に示した本件第1補正後の請求項1に記載された事項は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等の記載から自明でもないから、かかる事項を含む本件第1補正は、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない。
4 まとめ(本件第1補正について)
以上のとおり、本件第1補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであるとはいえない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-004779