特許拒絶査定不服審判
2016-005506
プロセス制御システム用のレシピ情報を表示するための方法及び機器
- 審判番号
- 2016-005506
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-114640外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月14日
- 審決日
- 2018年02月13日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 分類
- P18 .121-WZ (G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-114640「プロセス制御システム用のレシピ情報を表示するための方法及び機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月2日出願公開、特開2014-186746〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成20年12月17日(パリ条約による優先権主張2007年12月21日、アメリカ合衆国)に出願した特願2008-320921号の一部を、平成26年6月3日に新たな特許出願としたものであって、平成27年12月7日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成28年4月14日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
一方、当審において、平成29年9月8日付けで拒絶理由を通知し、応答期間内である平成29年12月7日に意見書及び手続補正書が提出された。
そして、本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成29年12月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1の記載は以下のとおりのものである。
「【請求項1】
プロセス制御システム用のレシピ情報を表示するための方法であって、
前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピに関連するユーザインタフェース画面であって、レシピ解析ツールアイコンを含むユーザインタフェース画面を表示し、
前記ユーザインタフェース画面内に、前記レシピの全体の進展を示すようにレシピ進捗表示と、前記レシピの前記複数の工程フェーズの進展を示すように複数の工程段階進捗表示と、を表示し、前記複数の工程段階進捗表示の各々が前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つに対応し、前記複数の工程段階進捗表示の各々のため、前記工程段階進捗表示の全体の塗潰し量は、対応する工程フェーズに対する工程段階によって要求される時間又は作業の量を示し、
前記プロセス制御システムから受信された情報に基づいて、前記レシピの全体における進捗状況を示すレシピ進捗情報と、前記複数の工程フェーズの第1の工程フェーズにおける進捗状況を示す工程フェーズ進捗情報とを生成し、前記レシピ進捗情報は、前記レシピ進捗表示の部分的な塗潰し量を示し、前記工程フェーズ進捗情報は、前記工程段階進捗表示の部分的な塗潰し量を示し、
前記工程段階進捗表示を前記工程フェーズ進捗情報と関連させ、
前記レシピ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記レシピ進捗表示の前記部分的な塗潰し量を更新すると共に、前記工程フェーズ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記複数の工程段階進捗表示の第1の工程段階進捗表示の前記部分的な塗潰し量を更新し、
第1の工程段階進捗表示に対応する工程フェーズに関連するレシピ解析ツールアイコンを選択し、
前記レシピ解析ツールアイコンの選択に応答して、前記第1の工程段階進捗表示を表示するとともに、実行中のレシピに関連するパラメータについての予測値を表示すること、
を含む方法。」(以下「本願発明」という)
2 当審が通知した拒絶の理由
当審が平成29年9月8日付けで通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
本件出願の請求項1ないし11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1:特開2003-37032号公報
2:特開2007-5617号公報
3:特開平5-53641号公報
4:実願昭60-15823号(実開昭61-132885号)のマイクロフィルム(周知文献)
3 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
当審が通知した上記拒絶の理由で引用した特開2003-37032号公報(以下「引用文献1」という)には、次の事項が記載されている。(下線は理解の便のため、当審で付した)
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の処理装置及び処理装置の処理状況表示方法に関する。」
b 「【0012】そして、上記加熱ヒータ6へ電力供給、上記流量制御機構10、上記真空引き機構16、上記ボート昇降エレベータ24及び上記昇降エレベータ34等は、コンピュータよりなる制御本体40により自動的に制御されることになる。この場合、前述したように、一連の処理を行うためにレシピと称するプログラムが予め制御本体40内に組み込まれており、必要に応じてレシピが開始できるようになっている。また、このレシピプログラムは、当然のごとく多数のステップよりなり、レシピ実行時には1つずつこのステップを順次消化して行くことになる。また、この制御本体40は内部に日時も含めて時を刻むことができるタイマを有しており、上記レシピの開始及び終了の時刻やレシピ内の各ステップの開始及び終了の時刻等を検知できるようになっている。」
c 「【0013】そして、この制御本体40には、例えばマイクロコンピュータ等よりなる時間演算制御手段42が接続されており、この時間演算制御手段42には、例えば書き換え可能なメモリよりなる時間記憶手段44及び液晶表示ディスプレイ(LCD)等よりなる表示手段46がそれぞれ接続されている。上記時間記憶手段44は、少なくもレシピ基準総時間を記憶しており、このレシピ基準総時間は当該レシピを開始してから終了するまでの時間の予測時間、或いは実測時間で定義され、必要な場合には、更新されて新しい実測時間で入れ替えられる。当該レシピが一度も実行されたことがない場合には、このレシピ基準総時間として、経験則に基づいて予め設定される予測時間が記憶され、実際にレシピが実行された時には、この時の実測時間で上記経験則に基づいて設定した予測時間を更新する。
【0014】上記時間演算制御手段42は、少なくともレシピの開始からの経過時間と上記レシピ基準総時間とに基づいてこのレシピの進み具合、すなわち進捗率を求める。この進捗率は次の式で与えられる。
進捗率(%)=[レシピ経過時間/レシピ基準総時間]×100
また、この時間演算制御手段42は、上記進捗率の他に、レシピの終了予定時刻、レシピが終了するまでの残り時間、現在実行中のステップの経過時間等を演算によって求める。例えばレシピの終了予定時刻は次の式で与えられる。
レシピ終了予定時刻=レシピの開始時刻+レシピ基準総時間
また、レシピ終了までの残り時間は次の式で与えられる。
残り時間=レシピ基準総時間-レシピ経過時間
【0015】上記表示手段46は、上記各求めた時間、或いは時刻を視覚的に表示するものである。従って、ここでは図2に示すように、この表示手段46は、上記進捗率を表示する進捗率表示部46A、上記経過時間を表示する経過時間表示部46B、レシピの開始時刻と終了予定時刻とを表示する時刻表示部46C、上記残り時間を表示する残り時間表示部46D、現在実行中のステップの経過時間を表示するステップ経過時間表示部46E及び現在実行中のステップ名を表示するステップ表示部46Fをそれぞれ有している。上記ステップ表示部は図示例では3つの表示欄があって現在実行中のステップ名が常に中央に位置するように表示され、1つのステップが終了する毎に上方へ、或いは下方へ表示が1欄ずつスクロールされる。図示例では中央のステップ名が、他よりも輝いて(明るく)表示されており、現在実行中である旨を示している。」
【図2】
d 「【0016】次に、以上のように構成された本実施例の動作について、図4に示すフローも参照して説明する。ここでは、半導体ウエハWに対する処理として成膜を行う場合を例にとって説明する。この成膜処理を行うには、予めプログラム化されたレシピを作成し、このプログラムを実行することにより、成膜が行われる。前述したように、このレシピは、多数のステップにより構成されており、図3にレシピを構成する各ステップと、その時のウエハ温度との関係を示している。図示例では、説明の簡単化のために全部で7つのステップしか記載していないが、実際には、数100のステップを有している。
【0017】ステップ1は5分程度要し、室温の処理容器4の温度をウエハのロードを行う温度、例えば200℃まで昇温する。ステップ2は10分程要し、処理容器4内へウエハをロードする。ステップ3は8分程要し、ウエハをプロセス温度(成膜温度)例えば600℃程度まで昇温する。ステップ4は20分程要し、ウエハ温度をプロセス温度にて安定化させる。ステップ5は120分程要し、成膜ガスを流して実際に膜付け(成膜処理)を行う。ステップ6は8分程要し、ウエハ温度をアンロード可能な温度、例えば200℃程度まで降温する。ステップ7は9分程要し、ウエハボート30を降下させてアンロードする。以上の各ステップ1~7を実行することにより、レシピの実行が1回終了することになる。
【0018】まず、時間記憶手段44には、予めレシピ基準総時間が記憶されている。ここでは、直前に行ったこのレシピの開始から終了までに要した時間を、更新して記憶しておくものとする。この時のレシピ基準総時間は、一例として図3に示されているような時間とし、180分間が終了に要している。また、図3には、各ステップ1~7を実行するための時間の内訳も示している。図2の表示内部について説明すると、このレシピの開始時刻は2時10分30秒であり、終了予定時刻は、レシピ基準総時間(180分)後の5時10分30秒である。現在のレシピ開始後の経過時間は1時間(60分)であり、従って、レシピ終了後までの残り時間は、2時間(120分=180分-60分)である。この時のレシピの進捗率は33%(=60分/180分)である。現在実行中のステップは”ステップ5”であり、そのステップ5を開始してからの経過時間は17分である。」
e 「【0019】次に、図4を用いて一連の各工程の流れについて説明する。尚、これ以降説明するフローの各ステップは、例えば制御本体40より発せられる基準クロックに基づいて順次実行される。まず、制御本体40の指令によりレシピが開始されたか否かが判断され(S1)、レシピが開始されるとタイマの計測が開始される(S2)。そして、このレシピの開始時刻及びレシピの進行にともなう経過時間が、時間演算制御手段42の指示により表示手段46の所定の表示部、すなわち、時刻表示部46Cの開始時刻の欄及び経過時間表示部46Bにそれぞれ表示される(S3)。次に、時間演算制御手段42は、上記レシピの開始時間と、時間記憶手段44に記憶されているレシピ基準総時間とに基づいてこのレシピの終了予定時刻を求め(S4)、その時刻を表示手段46の時刻表示部46Cの終了予定時刻の欄に表示する(S5)。次に、上記時間演算制御手段42は、上記レシピ基準総時間と経過時間とに基づいてレシピが終了するまでの残り時間を求め(S6)、この求めた残り時間を表示手段46の残り時間表示部46Dに表示する(S7)。
【0020】次に、上記時間演算制御手段42は、上記レシピ基準総時間と経過時間とに基づいてレシピの進捗率を求め(S8)、この求めた進捗率を表示手段46の進捗率表示部46Aに表示する(S9)。次に、時間演算制御手段42は、現在実行中のステップ名を、表示手段46のステップ表示部46Fの中央の欄に輝度を増した状態で表示する(S10)。次に、時間演算制御手段42は、現在実行中のステップの開始からの経過時間を計測すると共に、その経過時間を表示手段46のステップ経過時間の表示部46Eに表示する(S11)。尚、このステップの経過時間は、制御本体40側で計測するようにしてもよい。そして、レシピが終了したか否かが判断され(S12)、NOの場合には、まだ処理が実行中なのでステップS3へ戻って上述した各ステップが繰り返し行われる。そして、レシピが終了したならば(S12のYES)、このレシピを実行するのに要した実測時間で、上記時間記憶手段44に記憶されているレシピ基準総時間を更新する(S13)。これにより、一連の処理が完了することになる。」
f 「【0021】これにより、操作者はレシピの時間的な進捗率を常時確認することができるので、例えば次の処理等のための準備作業を適切なタイミングで着手することができる。この場合、このレシピが終了するまでの残り時間と終了予定時刻の両者、或いはいずれか一方も併せて確認することができるので、例えばより一層適切なタイミングで次の処理等のための準備作業に着手することができる。ここで、図4に示すフローの内、ステップS3~ステップS11において、時刻を求めて表示する一連の工程は、どの種類のものから着手してもよく、その順序は問わない。また、ここでは時間記憶手段44に記憶しているレシピ基準総時間は、レシピを実行する毎にその時のレシピ終了までの実測時間で更新するようにしているが、これに限定されず、これをレシピを複数回実行する毎、或いは複数回実行したならばその複数回の平均の実測時間で更新するようにしてもよい。
【0022】ただし、例えば新しいレシピを作成して初めて実行するような場合には、前述したように、このレシピ基準総時間としては、過去の経験則に基づいて算出した総時間が使用される。この場合、各ステップの所要時間は、或る程度の時間的余裕を組み込んで総時間を求めるようにする。また、経験則だけではなく、各ステップに設定されている時間の総時間を使用してもよい。また、ここでは処理の一例として成膜処理の場合を例にとって説明したが、これに限定されず、酸化拡散処理、エッチング処理、改質処理、アニール処理等の全ての処理について本発明を適用できるのは勿論である。また、処理装置の形態も、バッチ式の処理装置であればよく、図1に示した装置例に限定されない。また、被処理体としては半導体ウエハに限定されず、LCD基板、ガラス基板等にも本発明を適用し得る。」
g 「【図面の簡単な説明】
・・・(省略)・・・
【図2】表示手段の表示面を示す平面図である。
・・・(省略)・・・」
h 上記摘記事項a~gを、技術常識を踏まえて整理すると、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる。
「バッチ式処理装置用のレシピ情報を表示するための方法であって、
前記バッチ式処理装置において実行されている、複数のステップを含むレシピに関連する表示手段46の表示面を表示し、
前記表示手段46の表示面内に、前記レシピの進み具合を示すように進捗率表示部46Aと、前記レシピの前記複数のステップの実行状況を示すように3つの表示欄のステップ表示部46F及び現在実行中のステップの経過時間を示すようにステップ経過時間表示部46Eと、を表示し、前記ステップ表示部46Fの3つの表示欄の各々が前記レシピの前記複数のステップの少なくとも1つに対応し、前記ステップ経過時間表示部46Eに表示された数字は、現在実行中のステップの経過時間を示し、
時間演算制御手段42が制御本体40からの指令により、前記レシピの全体における進み具合を示す進捗率と、前記複数のステップの現在実行中のステップ名及びステップ経過時間とを生成し、前記進捗率は、パーセント表示で示し、前記現在実行中のステップ名が3つの表示欄の中央で他よりも明るく表示されるように1つのステップが終了する毎に1欄ずつスクロールされるとともに前記ステップ経過時間を時間表示で示し、
前記ステップ表示部46F及びステップ経過時間表示部46Eの表示を、前記実行中のステップ名及びステップ経過時間と関連させ、
前記進捗率に基づきリアルタイムで、前記進捗率表示部46Aの表示を更新すると共に、前記実行中のステップ名及びステップ経過時間に基づきリアルタイムで、前記ステップ表示部46F及びステップ経過時間表示部46Eの表示を更新し、
前記ステップ表示部46F及びステップ経過時間表示部46Eを表示するとともに、レシピ終了予定時刻も時刻表示部46Cに表示すること、
を含む方法。」(以下「引用発明」という)
(2)引用文献2
当審が通知した上記拒絶の理由で引用した特開2007-5617号公報(以下「引用文献2」という)には、次の事項が記載されている。(下線は理解の便のため、当審で付した)
a 「【0074】
以上の通り、本実施形態では、1ロット分全体の搬送処理の進捗状況が表示領域R21に表示されるとともに、搬送系をなす装置の各々が何番目のウェハWを搬送しているかを示す進捗状況が表示領域R22に表示される。これにより、オペレータは搬送処理の進捗状況を容易に把握することができる。また、これらの表示は1つの表示ウィンドウWD2内に表示されるため、オペレータは搬送処理の進捗状況の把握が更に容易になる。
【0075】
尚、図5に示す例では、搬送処理全体の進捗状況をプログレッシブバーで表示し、搬送系をなす装置の各々をブロックP0~P8で表示していたが、搬送処理全体の進捗状況は、文字表示、グラフ表示、及びイラスト表示で行っても良い。また、表示領域R22には、搬送系をなす各装置をブロックP0~P8で示してどの装置に何番目のウェハWが搬送されているかを表示していたが、ウェハW各々の搬送状況を表示してもよい。」
【図7】
b 「【0076】
図8は、表示ウィンドウWD2に設けられた表示領域R22の他の表示例を示す図である。図8に示す通り、画面縦方向には、ウェハWのウェハ番号が順次表示されており、その右側にはウェハW毎の搬送の進捗状況がプログレッシブバーで表示されている。FOUP30から取り出されていないウェハW(図8に示す例ではウェハ番号「11」~「25」)については進捗状況が0%であり、搬送が完了したウェハW(図8に示す例ではウェハ番号「1」~「6」)については進捗状況が100%になる。搬送途中のウェハW(図8に示す例ではウェハ番号「8」~「10」)については、進捗状況に応じた表示がなされる。図8に示す表示を行うことで、各ウェハWの搬送状況を直感的に把握することができる。」
c 「【0081】
図9は、露光処理時における端末装置Tのディスプレイ54の表示例を示す図である。図9に示す表示ウィンドウWD3には、露光処理全体の進捗状況(全体処理進捗状況)を示す表示領域R31及び露光処理に含まれる個々の処理の進捗状況(部分処理進捗状況)を表示する表示領域R32、並びに露光を行っているショット領域の位置情報、露光条件等の各種情報を表示する表示領域R33が設けられている。ここで、露光処理とは、狭義にはウェハステージWST上に保持されたウェハWを露光する処理をいうが、広義にはレチクルR及びウェハWの搬送及びアライメント、ベースラインチェック、アライメントマークの計測等の露光に先立って又は露光の後に行われる各種処理(予備処理)が含まれる。図9に示す表示ウィンドウWD3には、露光処理(狭義)及び予備処理の進捗状況が表示されている。」
【図9】
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「バッチ式処理装置」は、半導体ウェハや各種基板の成膜処理やエッチング処理等の全ての処理に適用可能であるから、本願発明の「プロセス制御システム」に相当するものであり、引用発明の「複数のステップを含むレシピ」は、本願発明の「複数の工程フェーズを含むレシピ」に相当する。
引用発明の「表示手段46の表示面」は、本願発明の「ユーザインターフェース画面」に相当する。
引用発明の「前記レシピの進み具合を示すように進捗率表示部46A」を表示することは、本願発明の「前記レシピの全体の進展を示すようにレシピ進捗表示」を表示することに相当する。
引用発明の「前記レシピの前記複数のステップの実行状況を示すように3つの表示欄のステップ表示部46F及び現在実行中のステップの経過時間を示すようにステップ経過時間表示部46Eと」を表示することは、本願発明の「前記レシピの前記複数の工程フェーズの進展を示すように複数の工程段階進捗表示」を表示することと対比すると、「前記レシピの前記複数の工程フェーズ」の「実行状況を示す」ように「複数の工程段階表示」を表示することまでは一致している。
引用発明の「前記ステップ表示部46Fの3つの表示欄の各々が前記レシピの前記複数のステップの少なくとも1つに対応し」ていることは、ステップ表示部46Fの3つの表示欄に対して現在実行中のステップ名が常に中央に位置するようにスクロール表示されることからみて、本願発明の「前記複数の工程段階進捗表示の各々が前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つに対応し」ていることと対比すると、「前記複数の工程段階表示の各々が前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つに対応し」ていることでは一致する。
引用発明の「時間演算制御手段42が制御本体40からの指令により、前記レシピの全体における進み具合を示す進捗率」「を生成」することは、本願発明の「前記プロセス制御システムから受信された情報に基づいて、前記レシピの全体における進捗状況を示すレシピ進捗情報」「を生成」することに相当する。また、同様に引用発明で生成する「前記複数のステップの現在実行中のステップ名及びステップ経過時間」は、本願発明で生成する「前記複数の工程フェーズの第1の工程フェーズにおける進捗状況を示す工程フェーズ進捗情報」と対比して、「前記複数の工程フェーズの第1の工程フェーズにおける実行状況を示す工程フェーズ情報」である点では一致している。
引用発明の「前記ステップ表示部46F及びステップ経過時間表示部46Eの表示を、前記実行中のステップ名及びステップ経過時間と関連させ」ることは、本願発明の「前記工程段階進捗表示を前記工程フェーズ進捗情報と関連させ」ることと対比すると、「前記工程段階表示を前記工程フェーズ情報と関連させ」ることまでは一致する。
引用発明の「前記進捗率に基づきリアルタイムで、前記進捗率表示部46Aの表示を更新する」ことは、本願発明の「前記レシピ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記レシピ進捗表示の前記部分的な塗潰し量を更新する」ことと対比すると、「前記レシピ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記レシピ進捗表示を更新する」ことまでは一致している。また、引用発明の「前記実行中のステップ名及びステップ経過時間に基づきリアルタイムで、前記ステップ表示部46F及びステップ経過時間表示部46Eの表示を更新する」ことは、本願発明の「前記工程フェーズ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記複数の工程段階進捗表示の第1の工程段階進捗表示の前記部分的な塗潰し量を更新する」ことと対比すると、「前記工程フェーズ情報に基づきリアルタイムで、前記複数の工程段階表示の第1の工程段階表示を更新する」ことまでは一致している。
そうすると、引用発明は、以下の点で本願発明と一致し、また相違する。
<一致点>
「プロセス制御システム用のレシピ情報を表示するための方法であって、
前記プロセス制御システムにおいて実行されている、複数の工程フェーズを含むレシピに関連するユーザインタフェース画面を表示し、
前記ユーザインタフェース画面内に、前記レシピの全体の進展を示すようにレシピ進捗表示と、前記レシピの前記複数の工程フェーズの実行状況を示すように複数の工程段階表示と、を表示し、前記複数の工程段階表示の各々が前記レシピの前記複数の工程フェーズの少なくとも一つに対応し、
前記プロセス制御システムから受信された情報に基づいて、前記レシピの全体における進捗状況を示すレシピ進捗情報と、前記複数の工程フェーズの第1の工程フェーズにおける実行状況を示す工程フェーズ情報とを生成し、
前記工程段階表示を前記工程フェーズ情報と関連させ、
前記レシピ進捗情報に基づきリアルタイムで、前記レシピ進捗表示を更新すると共に、前記工程フェーズ情報に基づきリアルタイムで、前記複数の工程段階表示の第1の工程段階表示を更新すること、
を含む方法。」
<相違点1>
本願発明が、レシピ進捗表示を全体又は部分的な塗潰し量で表現しているのに対し、引用発明では、表示手段46における進捗率の表示が数字によるものであり、塗潰し量ではない点。
<相違点2>
工程段階表示について、本願発明では、「工程段階進捗表示」という各工程の「進捗状況」を表示するものであり、当該「進捗状況」を全体又は部分的な塗潰し量で表現しているのに対し、引用発明では、ステップ表示部46Fの3つの表示欄の中央に現在実行中のステップ名を表示することで、3つのステップについて、既に終了したステップ、現在実行しているステップ、まだ開始していないステップのいずれかであるかの進行状況を表示するものであり、当該進行状況をステップ名の輝度の増加や経過時間の数字表記により行うもので、塗潰し量で表示するものではない点。
<相違点3>
本願発明が、ユーザインタフェース画面に「レシピ解析ツールアイコン」を含み、「第1の工程段階進捗表示に対応する工程フェーズに関連するレシピ解析ツールアイコンを選択し、前記レシピ解析ツールアイコンの選択に応答して、前記第1の工程段階進捗表示を表示するとともに、実行中のレシピに関連するパラメータについての予測値を表示する」ものであるのに対し、引用発明では、表示手段46に「レシピ解析ツールアイコン」を含まない点。
5 当審の判断
(1)相違点1について
プロセス制御システムにおけるユーザインターフェース画面での工程の進捗状況表示方法として、帯状体の塗潰し量で表現する技術は、引用文献2にも、搬送処理全体の進捗状況を示すプログレッシブバー(図7の表示領域R21を参照)、ウェハW毎の搬送の進捗状況を示すプログレッシブバー(図8を参照)として示されているように、制御装置の表示技術として周知のものにすぎない。また、引用文献2の図5及び図6でも、リセット処理全体の進捗状況及び各コントローラにおけるリセット処理の進捗状況を、プログレッシブバーや棒グラフで表示しており、これも塗潰し量による表示に相当するものと認められる。よって、全体処理の進捗状況と個別処理の進捗状況とをユーザインターフェース画面で同時に塗潰し量で表示することは、引用文献2に示されている。
そうすると、引用発明に、引用文献2に記載された進捗状況表示方法を適用して、進捗率の数字による表示を、プログレッシブバーのような塗潰し量による表示に換えることは、当業者であれば容易に想到する事項である。
(2)相違点2について
引用文献2に記載されているように、搬送処理全体の進捗状況及びウェハW毎の搬送の進捗状況を両方ともにユーザーインターフェース画面で示すという事項が、当業者にとって周知であることを勘案すれば、引用発明におけるステップの進行状況の表示について、レシピ全体の進捗率の表示に合わせて、各ステップの進捗率による進捗状況表示とすることも、当業者にとって格別困難な事項とは認められない。
そして、このような進捗状況をプログレッシブバーを利用した塗潰し量による表示とすることも、上記(1)で検討したように、当業者であれば容易に想到する事項である。
(3)相違点3について
プラント制御装置等のプロセス制御システムのユーザインターフェース画面において、実行中のレシピに関連するパラメータについての予測値を表示させるボタン等のアイコンを設けることは、例えば、特開平9-198126号公報にも、モニタCRT5で表示されるトレンドグラフ画面に設けられた予測表示ボタン23(特に図32参照)として示されているように、従来周知の事項にすぎない。
そして、引用発明においても、実行中のレシピに関連するパラメータについての予測値である「レシピ終了予定時刻」を表示するものであるし、工程段階進捗表示と実行中のレシピに関連するパラメータとを同時に表示することも、引用文献2の図9に、露光処理全体の進捗状況(全体処理進捗状況)を示す表示領域R31、個々の処理の進捗状況(部分処理進捗状況)を示す表示領域R32、露光条件等の各種情報を表示する表示領域R33を同時に表示する端末装置Tのディスプレイ54の表示例として示されているように、従来周知の事項であるから、引用発明において、表示手段46の表示面内に、本願発明の「レシピ解析ツールアイコン」のような予測値を表示させるボタンを設けて、当該ボタンの選択に応じてレシピ終了予定時刻等のパラメータ予測値を表示させるようにすることも、当業者であれば容易に想到し得る程度の事項である。
(4)効果について
上記相違点1ないし3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び従来周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
6 むすび
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、拒絶をすべきものである。
よって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。
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2016-005506