特許拒絶査定不服審判
2016-002500
ハイブリッド部品の製造方法
- 審判番号
- 2016-002500
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-037977外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月19日
- 審決日
- 2017年09月19日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】二宮 浩康
- 分類
- P18 .113-WZ (B22F) / P18 .121-WZ (B22F) / P18 .537-WZ (B22F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 37977「ハイブリッド部品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日出願公開、特開2014-169500〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月28日(パリ条約による優先権主張 2013年2月28日,欧州)の出願であって、平成27年2月17日付けの拒絶理由通知に対して、同年6月23日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、同年10月9日付けで拒絶査定がなされ、平成28年2月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成29年3月7日付けで当審による拒絶理由通知がなされ、同年6月8日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1-12に係る発明は、平成29年6月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
ハイブリッド部品(11)の製造方法であって、
a)前記ハイブリッド部品(11)の第1の部分としてプリフォーム(2)を製造するステップと、ただし、前記プリフォーム(2)の微細構造は、有利な結晶粒配向を有さない等方性の微細構造であり、
b)選択的レーザ溶融法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)または電子ビーム溶解法(EBM)のうちいずれか1つから選択されたアディティブマニュファクチャリング法を用いて、粉末の金属材料(12)から、エネルギービーム(14)で粉末の層を走査することにより前記部品(11)の第2の部分を前記プリフォーム(2)上に順次造形していくことにより、
c)前記部品(11)の前記第2の部分の連続する層の少なくとも一つのグループ(サブボリューム)内の1次方位および2次方位において、制御された結晶粒配向を実現するステップであって、前記1次方位は造形方位(z)に相当し、前記2次方位は前記粉末平面(x-y平面)内にあり、ステップと、
を有し、
d)ただし、前記連続する層の少なくとも一つのグループ内の前記制御された2次結晶粒配向は、前記エネルギービーム(14)の特定の走査パターンを用いることにより実現され、
ただし、ヤング係数を最小値にしたい前記部品(11)の方向に対して連続する各層内において、平行方向と直交方向とに交互に走査経路を配置することにより、前記粉末平面(x-y平面)内の前記2次結晶粒配向の制御を行う、
ことを特徴とする、製造方法。」
第3 引用刊行物の記載事項
当審による平成29年3月7日付け拒絶理由通知において引用された特開2001-277368号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a) 「【請求項1】 基台上に積層していく有機物粉末層もしくは無機質粉末層に漸次光ビームを照射して粉末層を溶融硬化させていくことで所望の立体形状物体を造形するにあたり、造形しようとする立体形状物体を基台に接合させるべき接合部と、上面部と、接合部と上面部との間の中間部に分類し、各部毎に光ビームの照射条件を変えて造形していくことを特徴とする立体形状物体の造形方法。
・・・
【請求項16】 光ビームの照射条件として走査パターンを含めることを特徴とする請求項1記載の立体形状物体の造形方法。
【請求項17】 走査パターンの一つとして平行線状の走査パターンを用いるとともに、該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変えることを特徴とする請求項16記載の立体形状物体の造形方法。」
(1b) 「【0049】・・・造形用の無機質粉末材料としては、ブロンズを主成分としてニッケルやリン銅などの材料を添加したもの、鉄系主成分にニッケルを添加したものなどが考えられる・・・」
第4 引用刊行物記載の発明
上記記載事項(1a)-(1b)によれば、引用刊行物1には、
「基台上に積層していく、ブロンズを主成分としてニッケルやリン銅などの材料を添加した、または、鉄系主成分にニッケルを添加した無機質粉末層に、漸次光ビームを照射して粉末層を溶融硬化させていくことで所望の立体形状物体を造形するにあたり、造形しようとする立体形状物体を基台に接合させるべき接合部と、上面部と、接合部と上面部との間の中間部に分類し、各部毎に光ビームの照射条件を変えて造形していくことを特徴とし、光ビームの照射条件として平行線状の走査パターンを含め、該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える立体形状物体の造形方法。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
第5 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比
ア 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「立体形状物体」、「基台」、「ブロンズを主成分としてニッケルやリン銅などの材料を添加した、または、鉄系主成分にニッケルを添加した無機質粉末」、「光ビーム」は、技術常識に照らすと、それぞれ、本願発明における「ハイブリッド部品(11)」、「ハイブリッド部品(11)の第1の部分としてのプリフォーム(2)」、「粉末の金属材料(12)」、「エネルギービーム(14)」に相当する。
イ そして、引用発明における「基台に接合させるべき接合部と、上面部と、接合部と上面部との間の中間部」は、本願発明における「ハイブリッド部品(11)」の「第2の部分」に相当することから、引用発明の「にあたり、造形しようとする立体形状物体を基台に接合させるべき接合部と、上面部と、接合部と上面部との間の中間部に分類し」の前段にある「基台上に積層していく」「無機質粉末層に、漸次光ビームを照射して粉末層を溶融硬化させていくことで所望の立体形状物体を造形する」は、本願発明の「アディティブマニュファクチャリング法を用いて、粉末の金属材料(12)から、エネルギービーム(14)で粉末の層を走査することにより前記部品(11)の第2の部分を前記プリフォーム(2)上に順次造形していく」に相当する。
ウ さらに、引用発明の「光ビームの照射条件として平行線状の走査パターンを含め、該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える」は、本願発明の「連続する各層内において、平行方向と直交方向とに交互に走査経路を配置すること」に相当する。
したがって、両者は、
「ハイブリッド部品(11)の製造方法であって、
b)アディティブマニュファクチャリング法を用いて、粉末の金属材料(12)から、エネルギービーム(14)で粉末の層を走査することにより前記部品(11)の第2の部分を第1の部分としてのプリフォーム(2)上に順次造形していくことにより、
d)ただし、前記部品(11)に対して連続する各層内において、平行方向と直交方向とに交互に走査経路を配置する
ことを特徴とする、製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、製造方法の最初に「a)前記ハイブリッド部品(11)の第1の部分としてプリフォーム(2)を製造するステップと、ただし、前記プリフォーム(2)の微細構造は、有利な結晶粒配向を有さない等方性の微細構造であり」と規定するのに対し、引用発明には、そのような特定がない点。
(相違点2)
本願発明では、アディティブマニュファクチャリング法として、「選択的レーザ溶融法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)または電子ビーム溶解法(EBM)のうちいずれか1つから選択された」ものとするのに対し、引用発明には、そのような特定がない点。
(相違点3)
本願発明では、「c)前記部品(11)の前記第2の部分の連続する層の少なくとも一つのグループ(サブボリューム)内の1次方位および2次方位において、制御された結晶粒配向を実現するステップであって、前記1次方位は造形方位(z)に相当し、前記2次方位は前記粉末平面(x-y平面)内にあり、ステップ」を有するのに対し、引用発明には、そのような特定がない点。
(相違点4)
本願発明では、エネルギービーム(14)の走査により「ヤング係数を最小値にしたい前記部品(11)の方向に対して連続する各層内において」「前記粉末平面(x-y平面)内の前記2次結晶粒配向の制御を行う」のに対し、引用発明には、そのような特定がない点。
(相違点5)
本願発明では、第2の部分について、さらにその部分を分けていないが、引用発明では、「接合部と、上面部と、接合部と上面部との間の中間部」に分け、各部毎に光ビームの照射条件を変えて造形している点。
2 判断
以下、上記相違点1-5について検討する。
・(相違点1)について
本願発明の「ハイブリッド部品(11)の第1の部分としてのプリフォーム(2)」に相当する引用発明の「基台」の製造ステップについて、引用刊行物1に明記はないものの、引用発明に供するものである以上、その前の段階で製造ステップを経ていることは自明の事項である。また、引用刊行物1には、「基台」について、何ら制約的な事項は記載されていないことから、引用発明において得られる、ハイブリッド部品(11)相当の立体形状物体の機械的特性に関する異方性を予め排除することを目的として、「ハイブリッド部品(11)の第1の部分としてのプリフォーム(2)」の微細構造を「有利な結晶粒配向を有さない等方性の微細構造」とすることは当業者が適宜なし得る事項である。
・(相違点2)について
アディティブマニュファクチャリング法として、選択的レーザ溶融法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、電子ビーム溶解法(EBM)を採用することは、出願時において周知の技術事項である(要すれば、特開2003-129862号公報、特開2006-312782号公報など参照。)ことから、引用発明のアディティブマニュファクチャリング法として、選択的レーザ溶融法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、電子ビーム溶解法(EBM)のうちからいずれかを選択することは当業者が容易になし得る事項である。
・(相違点3)について
相違点3に係る制御された結晶粒配向を実現するステップに関し、本願発明の詳細な説明には次の記載がある。
(本1)「本発明により製造された部品/製品は、制御された2次結晶粒配向を示し、これにより、従来技術のアディティブマニュファクチャリング法により製造された部品と比較して、金属製のパーツや試作品の寿命が長くなり、動作性能が高くなる。
本発明の有利な実施形態では、前記2次結晶粒配向の能動的な制御を行うために、ヤング率を最小値にしたい前記部品の方向に対して平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に走査経路を配置することを繰り返す。ヤング率が最小となる方向は通常、最大の熱機械的負荷がかかる方向にすべきである。
他の1つの実施形態では、2次結晶粒配向の制御は、連続する各層において走査経路の方向を変化させることによって実施される。この方向変化は、n×90°との偏差が15°より大きくならないように行われ、ここでnは整数値である。」(【0024】-【0026】)
(本2)「本発明のハイブリッド部品11の製造方法は、
a)前記ハイブリッド部品11の第1の部分としてプリフォーム2を製造するステップと、
b)アディティブマニュファクチャリング法を用いて、金属粉末材料12から、エネルギービーム14を走査することにより前記部品11の第2の部分を前記プリフォーム2上に順次造形していくことにより、
c)前記部品11の前記第2の部分の少なくとも一部の1次方位および2次方位において、制御された結晶粒配向を実現するステップと
を有し、
d)ただし、前記制御された2次結晶粒配向は、前記部品11の断面形状または前記部品11の局所的な負荷条件に整合した、エネルギービーム14の特定の走査パターンを用いることにより実現される
ことを特徴とする。
本発明に重要なのは、2次結晶粒配向が部品の特徴的な負荷条件に整合すること、たとえば、部品の断面形状に合っていることである。
本発明の一実施形態では、前記2次結晶粒配向の能動的な制御を行うために、ヤング率を最小値にしたい前記部品の方向に対して平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に、前記スキャナ経路を配置することを繰り返す。これは、後続の層においても同様に繰り返す。
2次結晶粒配向の制御は、連続する各層において走査経路の方向を変化させることによっても実現することができる。この方向変化は、n×90°との偏差が15°より大きくならないように行われ、ここでnは整数値である。」(【0046】-【0049】)
これらによれば、相違点3に係る構成は、エネルギービーム(14)の走査パターンを平行方向(最初の層)と直行方向(次の層)とに交互に走査経路を配置することで実現されるものであると認められる。一方、引用発明は、平行線状走査パターンが各層毎に90度向きを変えるものであるから、エネルギービーム(14)の走査パターンを平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に走査経路を配置するものであり、上記制御された結晶粒配向を実現するステップがなされているということができる。
してみると、相違点3は、実質的な相違点とはいえない。
・(相違点4)について、
相違点4に関する制御された2次結晶粒配向は、前記(本1)~(本2)によれば、前記相違点3に係る構成と同様に、エネルギービーム(14)の走査パターンを平行方向(最初の層)と直行方向(次の層)とに交互に走査経路を配置することで実現されるものであると認められる。そうすると、引用発明は、エネルギービーム(14)の走査パターンを平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に走査経路を配置するものであるということができることから、上記制御された2次結晶粒配向を行っているともいうことができる。
してみると、相違点4も、実質的な相違点とはいえない。
・(相違点5)について
本願発明は、「c) 前記部品(11)の前記第2の部分の連続する層の少なくとも一つのグループ(サブボリューム)内の1次方位および2次方位において、制御された結晶粒配向を実現するステップ・・・を有し、
d)ただし・・・
ことを特徴とする、製造方法。」であり、第2の部分の一つのグループ(サブボリューム)、すなわち、第2の部分における一部分についてc)、d)に規定されるエネルギービーム(14)照射に関する制御を規定するものである。そして、その他、第2の部分について、複数の部分から構成されるもの、その他のエネルギービーム(14)照射条件を排除する規定も存在しない。
してみると、相違点5は、実質的な相違点とはいえない。
上記を総合すると、相違点1-2については、引用発明において、当業者が適宜ないしは容易になし得る事項であり、相違点3-5については、実質的な相違点ではない。そして、本願発明が、引用刊行物の記載及び周知事項から予想し得ない格別の効果を奏するものとは認められない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、平成29年6月8日付け意見書(「3.(3)」の欄)において、以下の主張をしている。
「(3)判断の誤りについて
一致点(d)および相違点4に関する審判官殿の判断には誤りがあります。
審判官殿は、「引用発明は、エネルギービーム(14)の走査パターンを平行方向(最初の層)と直交方向(次の層)とに交互に走査経路を配置するものであり、」と判断されましたが、引用発明には、そのような技術は開示されていません。以下その理由を述べます。
刊行物1の段落「0041」には、「光ビームの照射条件を変えることについては、その走査パターンを変えるようにしてもよい。たとえば、図17に示すように平行線状の走査パターンを用いるとともに、該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える。向きを変えるのは強度の弱い方向を無くして全体の強度を高めるためである。また、図では各層において同方向に光ビームを走査するとともにその前あるいは後で輪郭部分を走査して平行線端面の凹凸の無くすようにしているが、これに限定されるものではない。平行線走査の始点S及び終点座標及び輪郭線走査の走査ラインSLは、造形する図形の断面輪郭線に対して光ビームの走査(輪郭線走査)による硬化幅Wの1/2に相当する値W/2でオフセットしておく。」の記載があります。
また、刊行物1の段落「0041」で指摘している図17を下記に示します。
刊行物1の段落「0041」の「該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える。」に関する解釈において、審査官殿は、この文章の意味を、「或る層(N層)と、次の層(N+1層)とでは、走査方向が90度異なる」と解釈していますが、この解釈は正しくありません。この文章の意味は、「各層において、走査方向を90度変える。すなわち、各層(全ての層、N層も(N+1)層も同じ)内において、つまり、1つの層内において、90度異なる走査パターンがある」という意味です。特に、図17(a)において、輪郭線走査において、輪郭の強度を高めるために、90度走査の向きを変えています。これは、全ての層において実施されています。
したがって、本願発明の「N層の走査方向と、次の層である(N+1)層の走査方向が90度異なる」ということは、刊行物1には開示されていません。
したがって、本願発明は、刊行物1に基づき容易に導き出せる発明ではありません。」
イ 審判請求人の指摘するように、引用刊行物1の段落「0041」には、図17を参照し、走査パターンに関する説明がなされている。ここで、段落「0041」と図17との対応について、すなわち、上記審判請求人の主張について検討する。引用刊行物1の段落「0041」の記載は以下のとおりである。
「【0041】光ビームの照射条件を変えることについては、その走査パターンを変えるようにしてもよい。たとえば、図17に示すように平行線状の走査パターンを用いるとともに、該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える。向きを変えるのは強度の弱い方向を無くして全体の強度を高めるためである。また、図では各層において同方向に光ビームを走査するとともにその前あるいは後で輪郭部分を走査して平行線端面の凹凸の無くすようにしているが、これに限定されるものではない。平行線走査の始点S及び終点座標及び輪郭線走査の走査ラインSLは、造形する図形の断面輪郭線に対して光ビームの走査(輪郭線走査)による硬化幅Wの1/2に相当する値W/2でオフセットしておく。」(当審注:下線は当審が付与したもの。以下同様。)
ウ 以下、上記各下線部について、便宜上、順を追って、「図17に示すように平行線状の走査パターンを用いる」を下線部1、「該平行線状走査パターンは各層毎に90度向きを変える」を下線部2、「向きを変えるのは強度の弱い方向を無くして全体の強度を高めるためである」を下線部3、「図では各層において同方向に光ビームを走査するとともにその前あるいは後で輪郭部分を走査して平行線端面の凹凸の無くすようにしている」を下線部4と称する。
(ウ-1) 図17(a)には、アディティブマニュファクチャリング法における各層毎の光ビーム照射に関する走査パターンが示されていると認められる。図17(a)中の1つの層に着目すると、輪郭線上ではない部分においては、下線部1、すなわち、平行線状の走査パターンが実施されていると解される。
(ウ-2) そして、図17(a)の1つの層における輪郭線上の矢印については、下線部2が実施されていると解するよりも、輪郭部分の走査を直接的に説明している下線部4が実施されているものと解し、下線部2に関する態様は、「各層毎に90度向きを変える」のであるから、図17(a)における真ん中の層の輪郭線上ではない部分の矢印が、一番上の層と一番下の層の輪郭線上でない部分の矢印と直交する向きで記載されるべきところ、誤って同じ方向の矢印が示されていると解するのが内容的に合理性がある。
(ウ-3) また、下線部3の記載、「向きを変えるのは」「全体の強度を高めるため」について、当該「向きを変える」走査パターンは、対象物である立体形状物体の「全体」から見て、三次元的により広い部分に関するもの、すなわち輪郭線上ではない部分に関するものであると解釈する方が極めて合理性が高く、かつ、上記図17(a)の図において誤った記載が存在するとの上記の解釈とも整合するものである。
(ウ-4) さらに、引用刊行物1の図26においては、以下のとおり走査パターンの一例として、「或る層(N層)と、次の層(N+1層)とでは、走査方向が90度異なる」もの(上層部の例)が示されている。
エ 以上、総合すれば、引用刊行物1に開示された引用発明は、前記第4のとおりに認定することが自然であり、何ら不合理な点はない。
オ よって、審判請求人の上記主張は、合理性がなく失当であり、これを採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-002500