特許拒絶査定不服審判
2016-001742
デバイスへのオーディオ処理能力の動的供給
- 審判番号
- 2016-001742
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-000665外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月05日
- 審決日
- 2016年11月29日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】奥村 元宏
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第36条第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 665「デバイスへのオーディオ処理能力の動的供給」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月29日出願公開,特開2014- 99893〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2010年1月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年1月29日(以下,「優先日」という。),米国)を国際出願日とする特願2011-548101号の一部を平成26年1月6日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 1月30日 :翻訳文,手続補正書,出願審査請求
書,上申書の提出
平成27年 3月 9日付け :拒絶理由の通知
平成27年 6月17日 :意見書,手続補正書の提出
平成27年10月28日付け :拒絶査定
平成28年 2月 5日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成28年 3月10日 :前置報告
平成28年 5月16日 :上申書の提出
第2 平成28年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年2月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成28年2月5日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成27年6月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至23の記載
「 【請求項1】
第1の無線ネットワークを通してデバイスと通信するように構成された第1の無線インターフェースと,
第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するように構成された第2の無線インターフェースであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,第2の無線インターフェースと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信することと,
前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成されたコントローラと,
を備え,
前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む,無線通信デバイス。
【請求項2】
前記構成情報は,前記デバイスの1つまたは複数の処理能力を示すように構成された構成インジケータをさらに含む,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記デバイスはデータを復号するためのデフォルトコーデックを記憶しており,前記データは第2の特定の形式で符号化されたオーディオである,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記実行ファイルは,前記デバイスに含まれる揮発性メモリにダウンロードされ,前記デフォルトコーデックは前記デバイスに含まれる不揮発性メモリに記憶される,請求項3に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
第1の無線ネットワークを通して第2のデバイスと通信するための第1の無線インターフェースと,第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するための第2の無線インターフェースと,を含む無線通信デバイスであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,無線通信デバイスを備え,
前記無線通信デバイスは,前記第1の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスから第2のデバイス構成情報を検索することと,
前記第2のデバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記第2のデバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが前記無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成され,
前記第2のデバイス構成情報を検索することは,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索することを備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む,装置。
【請求項7】
前記第2のデバイスは,前記第1の無線ネットワークを通して前記実行ファイルを受信するように構成された,請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のデバイスは無線ヘッドセットである,請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の無線ネットワークはブルートゥースネットワークである,請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記無線通信デバイスは,セルラ電話または携帯情報端末(PDA)である,請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記無線通信デバイスは,前記実行ファイルをダウンロードするために,ブルートゥース一般オブジェクト交換プロファイルを用いる,請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記無線通信デバイスは,
前記ヘッドセットのハードウェア構成を識別するように構成された回路構成と,
前記ハードウェア構成に基づいて前記実行ファイルを選択するように構成された回路構成と,
を含む,請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記実行ファイルはオーディオ実行ファイルである,請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するための手段であって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,手段と,
第2の無線ネットワークを通して第2のデバイスと通信するための手段と,
前記第2の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスから第2のデバイス構成情報を検索するための手段と,
前記第2のデバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択するための手段であって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記第2のデバイスを構成するためのものである,手段と,
前記選択された実行ファイルがローカルに記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第1の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索するための手段と,
前記第2の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードするための手段と,
を備え,
前記第2のデバイス構成情報を検索するための手段は,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索するための手段を備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む,装置。
【請求項16】
前記リモートサーバで前記実行ファイルを記憶するための手段と,
前記記憶するための手段から前記実行ファイルを検索し,前記検索された実行ファイルを前記ダウンロードするための手段に提供するための手段と,
をさらに備える,請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の無線ネットワークはブルートゥースネットワークである,請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は,セルラ電話または携帯情報端末(PDA)である,請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ダウンロードするための手段は,前記実行ファイルをダウンロードするために,ブルートゥース一般オブジェクト交換プロファイルを用いる,請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記ダウンロードするための手段は,前記第2のデバイスに少なくとも部分的に含まれる,請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記第2のデバイスはヘッドセットである,請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ヘッドセットのハードウェア構成を識別するための手段と,
前記ハードウェア構成に基づいて前記実行ファイルを選択するための手段と,
をさらに備える,請求項21に記載の装置。」
(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)
を,
「 【請求項1】
第1の無線ネットワークを通してデバイスと通信するように構成された第1の無線インターフェースと,
第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するように構成された第2の無線インターフェースであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,第2の無線インターフェースと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信することと,
前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成されたコントローラと,
を備え,
前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す,無線通信デバイス。
【請求項2】
前記構成情報は,前記デバイスの1つまたは複数の処理能力を示すように構成された構成インジケータをさらに含む,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記デバイスはデータを復号するためのデフォルトコーデックを記憶しており,前記データは第2の特定の形式で符号化されたオーディオである,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記実行ファイルは,前記デバイスに含まれる揮発性メモリにダウンロードされ,前記デフォルトコーデックは前記デバイスに含まれる不揮発性メモリに記憶される,請求項3に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
第1の無線ネットワークを通して第2のデバイスと通信するための第1の無線インターフェースと,第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するための第2の無線インターフェースと,を含む無線通信デバイスであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,無線通信デバイスを備え,
前記無線通信デバイスは,前記第1の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスから第2のデバイス構成情報を検索することと,
前記第2のデバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記第2のデバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが前記無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成され,
前記第2のデバイス構成情報を検索することは,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索することを備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す,装置。
【請求項7】
前記第2のデバイスは,前記第1の無線ネットワークを通して前記実行ファイルを受信するように構成された,請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のデバイスは無線ヘッドセットである,請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の無線ネットワークはブルートゥースネットワークである,請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記無線通信デバイスは,セルラ電話または携帯情報端末(PDA)である,請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記無線通信デバイスは,前記実行ファイルをダウンロードするために,ブルートゥース一般オブジェクト交換プロファイルを用いる,請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記無線通信デバイスは,
前記ヘッドセットのハードウェア構成を識別するように構成された回路構成と,
前記ハードウェア構成に基づいて前記実行ファイルを選択するように構成された回路構成と,
を含む,請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記実行ファイルはオーディオ実行ファイルである,請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するための手段であって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,手段と,
第2の無線ネットワークを通して第2のデバイスと通信するための手段と,
前記第2の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスから第2のデバイス構成情報を検索するための手段と,
前記第2のデバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択するための手段であって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記第2のデバイスを構成するためのものである,手段と,
前記選択された実行ファイルがローカルに記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第1の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索するための手段と,
前記第2の無線ネットワークを通して前記第2のデバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードするための手段と,
を備え,
前記第2のデバイス構成情報を検索するための手段は,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索するための手段を備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す,装置。
【請求項16】
前記リモートサーバで前記実行ファイルを記憶するための手段と,
前記記憶するための手段から前記実行ファイルを検索し,前記検索された実行ファイルを前記ダウンロードするための手段に提供するための手段と,
をさらに備える,請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の無線ネットワークはブルートゥースネットワークである,請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は,セルラ電話または携帯情報端末(PDA)である,請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ダウンロードするための手段は,前記実行ファイルをダウンロードするために,ブルートゥース一般オブジェクト交換プロファイルを用いる,請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記ダウンロードするための手段は,前記第2のデバイスに少なくとも部分的に含まれる,請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記第2のデバイスはヘッドセットである,請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記特定の形式は,PCM,ADPCM,MP3,AAC,WMA,およびRealからなるグループから選択されるオーディオ符号化形式を含む,請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ヘッドセットのハードウェア構成を識別するための手段と,
前記ハードウェア構成に基づいて前記実行ファイルを選択するための手段と,
をさらに備える,請求項21に記載の装置。」
(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
に補正するものである。
そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。
2 目的要件
本件補正は上記「1 補正の内容」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。
(1)補正前の請求項と,補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1乃至23はそれぞれ,補正前の請求項1乃至23に対応することは明らかである。
(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1乃至3よりなるものである。
<補正事項1>
補正前の請求項1の
「前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む」との記載を,
補正後の請求項1の
「前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」との記載に変更する補正。
<補正事項2>
補正前の請求項6の
「前記第2のデバイス構成情報を検索することは,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索することを備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む」との記載を,
補正後の請求項6の
「前記第2のデバイス構成情報を検索することは,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索することを備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」との記載に変更する補正。
<補正事項3>
補正前の請求項15の
「前記第2のデバイス構成情報を検索するための手段は,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索するための手段を備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む」との記載を,
補正後の請求項15の
「前記第2のデバイス構成情報を検索するための手段は,前記第2のデバイスが生成した,前記第2のデバイスの構成を示すSDPサービス応答を検索するための手段を備え,前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記第2のデバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記第2のデバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」との記載に変更する補正。
(3)補正事項1乃至3について
補正事項1は,発明特定事項である「前記SDPサービス応答」に,「前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」の限定を加えることを目的とするものであり,
また,補正事項2,3は,発明特定事項である「前記SDPサービス応答」に,「前記第2のデバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」の限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。
(4)したがって,上記補正事項1乃至3は限定的減縮を目的とするものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると言えることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件
以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする上記補正事項1乃至3を含むものである。そこで,限定的減縮を目的として補正された補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記平成28年2月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「 第1の無線ネットワークを通してデバイスと通信するように構成された第1の無線インターフェースと,
第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するように構成された第2の無線インターフェースであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,第2の無線インターフェースと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信することと,
前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成されたコントローラと,
を備え,
前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,
前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す,無線通信デバイス。」
(2)引用例
(2-1)引用例1に記載されている技術的事項および引用発明
ア 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年3月9日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2006-31337号公報(平成18年2月2日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
A 「【0015】
1.第1の実施の形態
1-1.システムの概要
図1は,本発明における第1の実施の形態としてのコンテンツダウンロードシステム1の概要を示した図である。
図1において,第1の実施の形態のコンテンツダウンロードシステム1としては,記録再生装置2,パーソナルコンピュータ3,サーバ装置4,ネットワーク5を少なくとも含んで構成される。
先ず,記録再生装置2としては,ポータブル用途のものを想定している。また,記憶媒体として,例えばMD(Mini Disc:光磁気ディスク)についての記録再生が可能な構成が採られる。
また,パーソナルコンピュータ3は,本発明で言う情報処理装置であり,例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介して記録再生装置2との間でのデータ通信を行うことが可能とされる。また,ネットワーク5を介してサーバ装置4との間でもデータ通信を行うことが可能とされる。
そして,第1の実施の形態の場合では,サーバ装置4に対してコンテンツデータが格納されている。つまり,このような第1の実施の形態のコンテンツダウンロードシステム1としては,サーバ装置4に格納されるコンテンツデータを,パーソナルコンピュータ3を経由して記録再生装置2にダウンロードして,これを装填されたMDに対して記録,再生するという使用形態を想定している。」
B 「【0025】
USBインタフェイス18は,USBケーブルを介して接続された外部機器との間でデータ通信を行うために備えられる。特に,この場合のUSBインタフェイス18を介しては,CPU6の制御に基づいて,図1に示したパーソナルコンピュータ3との間で各種のデータ,例えばオーディオデータ等の送受信が行われる。
【0026】
なお,外部機器との間の通信インタフェイスとしては,例えばIEEE1394インタフェイス等の他のインタフェイスを採用することもできる。さらには,有線によるものに限らず,例えば無線LAN(Local Area Network)やBluetooth等の無線による通信インタフェイスも採用できる。
…(後略)…」
C 「【0027】
1-3.情報処理装置の構成
図3は,図1に示したパーソナルコンピュータ3の内部構成例を示すブロック図である。
図3において,先ずCPU21は,起動されたプログラムに基づいてパーソナルコンピュータ3全体の制御,演算処理を行う。例えばユーザに対する入出力動作,HDD30へのデータファイルの格納や管理情報の作成・更新等を行う。
この場合のCPU21としても,図示するバス35を介して各部との間で制御信号やデータのやりとりを行うようにされる。
…(中略)…
【0029】
USBインタフェイス23は,USBケーブルを介して接続された外部機器との間でデータ通信を行うために備えられる。上記もしたように,特にこの場合のUSBインタフェイス23を介しては,図2に示した記録再生装置2との間でオーディオデータ等の各種データの送受信が行われる。
…(中略)…
【0035】
通信処理部31は,CPU21の制御に基づいて送信データのエンコード処理,受信データのデコード処理を行う。
ネットワークインタフェイス32は,上記通信処理部31でエンコードされた送信データを,図1に示したネットワーク5を介して所定の機器,例えばサーバ装置4に送信する。またネットワーク5を介してサーバ装置4などの外部機器から送信されてきた信号を通信処理部31に受け渡す。
通信処理部31は受信した情報をCPU21に転送する。」
D 「【0044】
1-5.動作概要
これまでで説明した第1の実施の形態としてのコンテンツダウンロードシステム1の構成により実現しようとする動作を,次の図5を参照して説明する。
なお,図5では,第1の実施の形態としてのコンテンツダウンロードシステム1において行われる動作の概要を模式的に示している。
先ず,第1の実施の形態の場合は,サーバ装置4において格納されるコンテンツデータをパーソナルコンピュータ3を介して記録再生装置2にダウンロードする使用形態を想定したものである。
…(中略)…
【0046】
ここで,このリソース情報7bの情報内容について,次の図6を参照して説明しておく。
このリソース情報7bとは,先にも述べたように記録再生装置2におけるデコード処理に係るリソースについて示す情報となる。
具体的には,図6に示される各種の情報を含むのもとなる。
図6において,先ず「DSPの種類」は,図2に示したDSP12の種類(例えば製造メーカーの情報等)を示す情報である。また,「動作周波数」は,DSP12の動作周波数を表す。
また,「再生に割り当てられる最大処理能力値」は,DSP12がデコード処理に割くことのできる最大処理能力を示す値である。具体的には,MIPS(Million Instructions Per Second)の値等とされればよい。
【0047】
また,「再生に割り当てられる最大メモリ容量」は,DSP12が備えるメモリにデコード処理時に割り当てることができる最大容量を示す。この場合は,DSP12が備えるフラッシュメモリ16と内蔵RAMの双方の容量が示される。
また,「コプロセッサの情報」としては,DSP12が備えるコプロセッサについての情報を示す。例えば,DSP12がハフマン復号器等のコプロセッサを備える場合はその情報が示される。
【0048】
さらに,「対応するコーデックの情報」としては,DSP12がデコード処理可能なコーデックの種類を示す情報となる。例えば,図2に示したフラッシュメモリ16に格納されるデコード処理プログラム16aとして,ATRACとATRAC3とのコーデックに対応したデコードプログラムが格納されて,これらATRAC及びATRAC3のコーデックにより圧縮処理されたオーディオデータについてのデコード処理が可能な場合は,その旨を示す情報が格納される。
なお,この図6にて示したリソース情報7bの情報内容はあくまで一例であり,記録再生装置2におけるデコード処理に係るリソースについて示す情報であればこれらに限定されるものではない。」
E 「【0049】
図5において,先の(2)の動作によってリソース情報7bを要求されたパーソナルコンピュータ3は,(3)として示すように,記録再生装置2からリソース情報7bを取得する動作を行う。つまり,USBケーブルを介して接続された記録再生装置2に対する制御を行って,図2に示したフラッシュメモリ16に格納されているリソース情報7bをパーソナルコンピュータ3側に送信させるものである。
そして,このようにリソース情報7bを取得すると,パーソナルコンピュータ3は,(4)として示すようにこのリソース情報7bをサーバ装置4に対して送信する。
【0050】
パーソナルコンピュータ3からリソース情報7bを受信したサーバ装置4では,(5)と示すように,リソース情報・最適コーデック対応情報48b参照してリソース情報7bに応じた最適なコーデックを割り出すようにされる。
【0051】
ここで,このようなリソース情報・最適コーデック対応情報48bとしては,受信されたリソース情報7bから,記録再生装置2が対応可能な最適なコーデックを割り出すための情報となる。
具体的には,例えば各コーデックごとに,リソース情報7bとしての先の図6に示したそれぞれの項目について必要最低限のスペックを示した情報となる。すなわち,この場合ではATRAC,ATRAC3,ATRAC3plusの各コーデック対応に,図6に示した各項目について必要となる最低限のスペックを示したものとなる。
【0052】
サーバ装置4では,このようにリソース情報・最適コーデック対応情報48bに示される各項目の必要最低限スペックの情報と,受信されたリソース情報7bの各項目の情報とについて比較を行って,記録再生装置2が対応可能な最適なコーデックを割り出すようにされる。…(後略)…」
F 「【0055】
図5において,サーバ装置4は,上記した(6)の動作として,先の(1)によりパーソナルコンピュータ3側から指定されたタイトルによるコンテンツデータのうち,上述にようにして割り出された最適コーデックによりエンコードされたコンテンツデータを認識するようにされる。
【0056】
さらに,サーバ装置4では,(7)として示すようにパーソナルコンピュータ3側から受信されたリソース情報7bに基づき,記録再生装置2が最適コーデックに対応しているか否かの判別処理を行うようにされる。すなわち,先の図6に示したリソース情報7b中の「対応するコーデックの情報」として,割り出された最適コーデックの情報が含まれているか否かについての判別処理を行うようにされる。
【0057】
その上でサーバ装置4では,(8)の動作として,先の(6)により認識されたコンテンツデータの送信を行うと共に,上記した(7)による判別結果に応じては,最適コーデックのデコードプログラムを送信するようにされる。
つまり,(7)による判別処理によって,記録再生装置2が最適コーデックに対応しているとされた場合は,認識された最適コーデックによるコンテンツデータのみをパーソナルコンピュータ3側に送信するようにされる。
また,(7)の判別処理の結果,記録再生装置2が最適コーデックに対応していないとされた場合は,コンテンツデータと共に,最適コーデックによりエンコードされたコンテンツデータについてのデコード処理を可能とするためのデコードプログラムを,パーソナルコンピュータ3側に送信するものである。
【0058】
パーソナルコンピュータ3では,(9)の動作として,サーバ装置4より受信されたコンテンツデータについての記録と,また,受信の有無に応じてはデコードプログラムについての記録を記録再生装置2に実行させる。
つまり,受信されたコンテンツデータについては,図2に示したメディアドライブ11に装填されたMDに対する記録を実行させ,デコードプログラムについてはフラッシュメモリ16に対する記録動作を実行させる。」
G 「【0059】
このような第1の実施の形態としての動作によれば,記録再生装置2のリソース情報7bに応じた,最適な(最新の)コーデックによるコンテンツデータを記録再生装置2に対してダウンロードすることができる。つまり,記録再生装置2ごとに,それぞれが対応するとされるコーデックによるコンテンツデータをダウンロードすることが可能となる。
そして,これによれば,例えばすべての記録再生装置2にて対応可能な旧バージョンによるコーデックのコンテンツデータを一義的にダウンロードするとした場合のように,新バージョンに対応する記録再生装置2の能力を活かしきれなくなるといった事態を防止できる。
【0060】
また,上記実施の形態の動作によれば,記録再生装置2が割り出された最適コーデックについてのデコード処理機能を有していない場合は,これに対応させるためのデコードプログラムも記録再生装置2側にダウンロードされるものとなる。
これによれば,記録再生装置2のデコード処理に係るリソース(つまりデコード処理能力)は割り出された最適コーデックに対応可能なスペック(能力)を有するが,デコードプログラムが対応していないがためにその再生が不能とされる場合にも,割り出された最適コーデックによるコンテンツデータについての再生を行わせることができる。
つまり,これによって記録再生装置2の有するデコード処理能力を最大限に発揮させることができるものである。」
H 「【0104】
さらに,第1の実施の形態では,サーバ装置4側においてリソース情報7bに応じた最適コーデックを割り出すようにしたが,パーソナルコンピュータ3にリソース情報・最適コーデック対応情報48bを備えさせてパーソナルコンピュータ3側が最適コーデックを割り出すようにし,サーバ装置4側はパーソナルコンピュータ3側からの要求に応じたコンテンツデータを送信するのみとされる構成が採られてもよい。」
イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。
(ア)上記Aの段落【0015】の「図1において,第1の実施の形態のコンテンツダウンロードシステム1としては,記録再生装置2,パーソナルコンピュータ3,サーバ装置4,ネットワーク5を少なくとも含んで構成される。」,「また,パーソナルコンピュータ3は,本発明で言う情報処理装置であり,例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介して記録再生装置2との間でのデータ通信を行うことが可能とされる。また,ネットワーク5を介してサーバ装置4との間でもデータ通信を行うことが可能とされる。」,「そして,第1の実施の形態の場合では,サーバ装置4に対してコンテンツデータが格納されている。」との記載からすると,「コンテンツダウンロードシステム」は「記録再生装置」,「情報処理装置」,「サーバ装置」から構成され,「情報処理装置」は,「記録再生装置」との間でデータ通信を行うための「USBケーブル」と,コンテンツデータが格納されている「サーバ装置」との間でデータ通信を行うための「ネットワーク」とに接続されていることが読み取れる。
また,上記Bの段落【0026】の「さらには,有線によるものに限らず,例えば無線LAN(Local Area Network)やBluetooth等の無線による通信インタフェイスも採用できる。」,上記Cの段落【0029】の「USBインタフェイス23は,USBケーブルを介して接続された外部機器との間でデータ通信を行うために備えられる。上記もしたように,特にこの場合のUSBインタフェイス23を介しては,図2に示した記録再生装置2との間でオーディオデータ等の各種データの送受信が行われる。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」と「記録再生装置」との間で,Bluetooth等の無線の無線通信インタフェイスを介してデータを通信する態様が読み取れ,上記Cの段落【0035】の「ネットワークインタフェイス32は,上記通信処理部31でエンコードされた送信データを,図1に示したネットワーク5を介して所定の機器,例えばサーバ装置4に送信する。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」と「サーバ装置」との間の「ネットワーク」で「ネットワークインタフェイス」を介してデータを通信する態様が読み取れる。
そうすると,引用例1には,
“記録再生装置との間のBluetooth等の無線でデータ通信を行うための無線通信インタフェイスと,コンテンツデータが格納されているサーバ装置との間のネットワークでデータ通信を行うためのネットワークインタフェイスと”を備えた“パーソナルコンピュータ。”
が記載されていると解される。
(イ)上記Eの段落【0049】の「図5において,先の(2)の動作によってリソース情報7bを要求されたパーソナルコンピュータ3は,(3)として示すように,記録再生装置2からリソース情報7bを取得する動作を行う。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」は,「記録再生装置」から「リソース情報」を取得することが読み取れる。
また,上記Dの段落【0046】~【0048】の「このリソース情報7bとは,先にも述べたように記録再生装置2におけるデコード処理に係るリソースについて示す情報となる。具体的には,図6に示される各種の情報を含むのもとなる。図6において,先ず「DSPの種類」は,図2に示したDSP12の種類(例えば製造メーカーの情報等)を示す情報である。また,「動作周波数」は,DSP12の動作周波数を表す。また,「再生に割り当てられる最大処理能力値」は,DSP12がデコード処理に割くことのできる最大処理能力を示す値である。具体的には,MIPS(Million Instructions Per Second)の値等とされればよい。…(中略)…さらに,「対応するコーデックの情報」としては,DSP12がデコード処理可能なコーデックの種類を示す情報となる。例えば,図2に示したフラッシュメモリ16に格納されるデコード処理プログラム16aとして,ATRACとATRAC3とのコーデックに対応したデコードプログラムが格納されて,これらATRAC及びATRAC3のコーデックにより圧縮処理されたオーディオデータについてのデコード処理が可能な場合は,その旨を示す情報が格納される。」との記載からすると,「リソース情報」は,Bluetooth等の無線通信インタフェイスを介して,「記録再生装置」のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むことが読み取れるから,引用例1には,
“記録再生装置から,Bluetooth等の無線通信インタフェイスを介して,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得”する“パーソナルコンピュータ。”
が記載されていると解される。
(ウ)上記Eの段落【0049】の「そして,このようにリソース情報7bを取得すると,パーソナルコンピュータ3は,(4)として示すようにこのリソース情報7bをサーバ装置4に対して送信する。」,段落【0050】の「パーソナルコンピュータ3からリソース情報7bを受信したサーバ装置4では,(5)と示すように,リソース情報・最適コーデック対応情報48b参照してリソース情報7bに応じた最適なコーデックを割り出すようにされる。」,段落【0052】の「サーバ装置4では,このようにリソース情報・最適コーデック対応情報48bに示される各項目の必要最低限スペックの情報と,受信されたリソース情報7bの各項目の情報とについて比較を行って,記録再生装置2が対応可能な最適なコーデックを割り出すようにされる。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」は,「記録再生装置」から受信した「リソース情報」を「サーバ装置」に送信し,「サーバ装置」は,「リソース情報」に応じた「記録再生装置」に最適な「コーデック」を割り出すことが読み取れる。
ここで,上記Hの段落【0104】の「さらに,第1の実施の形態では,サーバ装置4側においてリソース情報7bに応じた最適コーデックを割り出すようにしたが,パーソナルコンピュータ3にリソース情報・最適コーデック対応情報48bを備えさせてパーソナルコンピュータ3側が最適コーデックを割り出すようにし,サーバ装置4側はパーソナルコンピュータ3側からの要求に応じたコンテンツデータを送信するのみとされる構成が採られてもよい。」との記載からすると,「サーバ装置」側で「リソース情報」に応じた最適な「コーデック」を割り出す態様に代わるものとして,「パーソナルコンピュータ」側で「リソース情報」に応じた最適な「コーデック」を割り出す態様が読み取れる。
また,上記Fの段落【0056】の「さらに,サーバ装置4では,(7)として示すようにパーソナルコンピュータ3側から受信されたリソース情報7bに基づき,記録再生装置2が最適コーデックに対応しているか否かの判別処理を行うようにされる。」,段落【0057】の「また,(7)の判別処理の結果,記録再生装置2が最適コーデックに対応していないとされた場合は,コンテンツデータと共に,最適コーデックによりエンコードされたコンテンツデータについてのデコード処理を可能とするためのデコードプログラムを,パーソナルコンピュータ3側に送信するものである。」との記載からすると,最適「コーデック」に係る「デコードプログラム」に「記録再生装置」が対応していない場合には,「パーソナルコンピュータ」は「サーバ装置」からコンテンツデータと共に,当該「デコードプログラム」を受信することが読み取れるから,引用例1には,
“リソース情報に応じた記録再生装置に最適なコーデックを割り出し,最適なコーデックに係るデコードプログラムに記録再生装置が対応していない場合には,サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信”する“パーソナルコンピュータ。”
が記載されていると解される。
(エ)上記Fの段落【0058】の「パーソナルコンピュータ3では,(9)の動作として,サーバ装置4より受信されたコンテンツデータについての記録と,また,受信の有無に応じてはデコードプログラムについての記録を記録再生装置2に実行させる。」との記載,上記Gの段落【0059】の「このような第1の実施の形態としての動作によれば,記録再生装置2のリソース情報7bに応じた,最適な(最新の)コーデックによるコンテンツデータを記録再生装置2に対してダウンロードすることができる。」,段落【0060】の「また,上記実施の形態の動作によれば,記録再生装置2が割り出された最適コーデックについてのデコード処理機能を有していない場合は,これに対応させるためのデコードプログラムも記録再生装置2側にダウンロードされるものとなる。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」は,「サーバ装置」からコンテンツデータと共に,「リソース情報」に応じた最適な「コーデック」に係る「デコードプログラム」を受信し,それらを「記録再生装置」にダウンロードすることが読み取れるから,引用例1には,
“コンテンツデータと共に,最適なコーデックに係るデコードプログラムを記録再生装置に対してダウンロード”する“パーソナルコンピュータ。”
が記載されていると解される。
(オ)上記Cの段落【0027】の「図3において,先ずCPU21は,起動されたプログラムに基づいてパーソナルコンピュータ3全体の制御,演算処理を行う。例えばユーザに対する入出力動作,HDD30へのデータファイルの格納や管理情報の作成・更新等を行う。」との記載からすると,「パーソナルコンピュータ」が備える「CPU」が,上記(イ)乃至(エ)で検討した「パーソナルコンピュータ」の動作の制御を行っていることが読み取れる。
ウ 以上,(ア)乃至(オ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「記録再生装置との間のBluetooth等の無線でデータ通信を行うための無線通信インタフェイスと,
コンテンツデータが格納されているサーバ装置との間のネットワークでデータ通信を行うためのネットワークインタフェイスと,
前記記録再生装置から,Bluetooth等の前記無線通信インタフェイスを介して,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得し,
前記リソース情報に応じた前記記録再生装置に最適なコーデックを割り出し,前記最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信し,
前記コンテンツデータと共に,前記最適なコーデックに係る前記デコードプログラムを前記記録再生装置に対してダウンロードする,ことを制御するCPUと,
を備えたパーソナルコンピュータ。」
(2-2)引用例2に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年3月9日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2000-134237号公報(平成12年5月12日出願公開,以下,「引用例2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
J 「【0039】(第3実施形態)図8は,本発明の第3実施形態に係るシステム構成である。ここでは,第1実施形態との違いについてのみ説明する。
【0040】本第3実施形態では,前述のDLB17が外部ネットワーク20と電話回線などで接続されており,外部のネットワークからソフトウェアデコーダをダウンロードできるように構成されている。外部のネットワークとしては,インターネットなどが考えられる。DLB17の動作手順の一例を図9に示す。
【0041】すなわち,DLB17は,TV12あるいはPC11の制御機器によりダウンロード要求が行われると,そのダウンロード要求されたソフトウェアデコーダを保持しているか否かを調べ(ステップS501),保持してない場合には,インターネットなどの外部ネットワークを介して予め決められた所定のサーバからソフトウェアデコーダをダウンロードし,それを保持する(ステップS502)。そして,TV12あるいはPC11の制御機器によりダウンロード要求されたソフトウェアデコーダを制御機器に送出する(ステップS503)。」
(2-3)引用例3に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の平成27年10月28日付けの拒絶査定において引用された,特開2003-209782号公報(平成15年7月25日出願公開,以下,「引用例3」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
K 「【0025】 ブルートゥース対応機器間の通信仕様として,送受信機器の用途ごとのプロファイル(Profile)が策定されているほか,機器の接続,認証,暗号化などを行うためのGAP(Generic Access Profile)や,他の機器に登録されているサービスを発見するためのSDP(Service Discovery Profile)など,他のプロファイルの下層に位置し,共通した仕様を定めているプロファイルを備えている。ブルートゥース機器間で通信を行うためには,双方が同じプロファイルに対応している必要がある。
…(中略)…
【0031】サービスディスカバリプロトコルSDPでは,それぞれ上位層でのクライアントサーバ間の機器間で,通信可能な範囲にあるブルートゥース機器が提供可能なサービスやその特徴を知るために,互いに照会している。」
(2-4)引用例4に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の平成27年10月28日付けの拒絶査定において引用された,特開2008-305415号公報(平成20年12月18日出願公開,以下,「引用例4」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
L 「【0059】
図4において,まず,携帯端末701から,近傍にBluetoothデバイスが存在するか探索(Inquiry)が行われる(矢印a)。探索に対して,近傍のBluetoothデバイス702,703は応答を返す(矢印b1,b2)。この時,非Bluetoothデバイス704は応答を返さない。携帯端末701は,Bluetoothデバイス702,703と順番に接続(Page)を行い,サービスディスカバリプロトコル(SDP)を利用して,各Bluetoothデバイスの種類やサポートするプロファイルを取得する(矢印c1,d1,e1,c2,d2,e2)。」
(2-5)参考文献5に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2003-309541号公報(平成15年10月31日出願公開,以下,「参考文献5」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
M 「【0055】ここで,オーディオ・ビジュアル(AV)機器の分野においてBluetooth通信を導入した場合,図1に示すように,ステレオ・コンポやメディア・プレイヤなどのオーディオ・データ・ストリームの出力源となるSource装置11をマスタとして定義する一方で,ヘッドフォン12やパーソナル・コンピュータ(PC)13などのオーディオ出力ターゲットとなるSink装置をスレーブ機器として定義することができる。
【0056】図2には,図1に示したBluetoothピコネット10を構成するSource装置としてのオーディオ・プレーヤ(マスタ)11と,Sink装置としてのヘッドフォン(スレーブ)12の構成を模式的に示している。」
N 「【0101】図8には,Source装置11とSink装置12間でのGAVDPに従ってストリーミングのセットアップと解放を行うためのSource装置とSink装置間での処理の流れを詳細に示している。但し,同図中で"*"が付されたものは"Generic Access Profile"(GAP)で規定されている処理手続であり,また,"**"が付されたものは"Service Discovery Protocol"(SDP)で定義されている処理手続であると理解されたい。GAP及びSDPは,Bluetoothの共通基本機能である。
…(中略)…
【0107】次いで,サービス・ディスカバリ(Service Discovery),すなわち,スレーブが備える機能又はサービスを検出するために,SDP用のL2CAPチャンネル(論理リンク・チャンネル)を張り,SDPプロトコルによりSink装置12がどのようなサービスに対応しているか(すなわち,Sink装置12が対応しているプロトコル,プロファイルなどの情報)を知る。そして,SDP用のL2CAPチャンネルを解放してから,AVDTPシグナリングのためのL2CAPチャンネルを張る。
【0108】このようにして,GAVDPで定義されているストリーミング開始(Start Streaming)処理手続を経て,オーディオ・ストリームの伝送が行われる。」
(2-6)参考文献6に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2001-103067号公報(平成13年4月13日出願公開,以下,「参考文献6」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
P 「【0046】図3に,図1の構成でAVデータ(BT端末111のVTR_SubUnit112内に記憶されているデータ)をBT端末101がBluetooth経由で読み出して,鑑賞等する場合の処理シーケンスの一例を示す。
【0047】(1)BT端末101とBT端末111とが接近し,各々がお互いの通信可能領域に存在することを認識する(Baseband処理による)。
【0048】(2)BT端末101とBT端末111との間でのAV/Cメッセージ転送のための論理コネクションを設定する(L2CAP処理による)。
【0049】(3)BT端末101およびBT端末111が,それぞれ,無線リンクの状態情報をBluetooth上のプロトコル(HCI)を用いて収集し,それをSDPプロトコルで用いられるディスクリプタ(Descriptor)内に記憶する。なお,この場合,図1中のSDP情報(103,113)が,SDPプロトコルで用いられるDescriptor情報に対応する。
…(中略)…
【0053】(7)BT端末101およびBT端末111が,それぞれ,無線リンクの状態情報をBluetooth上のプロトコル(HCI)を用いて収集し,それをSDPプロトコルで用いられるDescriptor(103,113)内に記憶する。
【0054】(8)BT端末101上のAVアプリケーションが,自端末のSDPプロトコルにおけるDescriptor情報を読み取り,Bluetoothのリンク状態情報を入手する。
…(中略)…
【0061】ここで,上記処理シーケンス中の処理(3),(7)で収集されるBluetoothリンクの状態情報としては,例えば,その時点でBluetooth上で利用可能な転送方式の種類(例えばACLやSCO)と,それら転送方式の状態(例えば帯域情報やチャネル情報)などが考えられる。また,Bluetoothのバージョン情報(例えばVer.1もしくはVer.2)や,Bluetoothの動作している電力モード(例えば高電力モードもしくは低電力モード)などの状態情報を通知することも考えられる。さらには,L2CAP上の論理コネクション設定数などの,データリンクレイヤ情報を通知することも考えられる。また,可能であれば,BT端末のハードウェア情報(例えば,無線処理部の機能情報や,従っているプロトコルのバージョン情報など)も,無線のリンク状態情報の一部として取り込んでいくことも考えられる。
…(中略)…
【0063】図4に,本実施形態で実行されているSDPプロトコルが保持するDescriptor情報の一例を示す。
…(中略)…
【0065】図4には示していないが,このDescriptor情報には,Bluetoothの状態情報として,ACLやSCOといった転送方式の種類別の情報以外にも,Bluetoothのバージョン情報や電力モードやハードウェア情報などの他の状態情報も記述可能である。このようなDescriptorを用いることにより,SDPプロトコル26を用いることで,他のBT端末から読み出すことが可能となる。」
(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「パーソナルコンピュータ」は,「記録再生装置」との間の「Bluetooth等の無線」でデータ通信を行うための「無線通信インタフェイス」と,コンテンツデータが格納されている「サーバ装置」との間の「ネットワーク」でデータ通信を行うための「ネットワークインタフェイス」とを備えていることから,引用発明の「パーソナルコンピュータ」,「記録再生装置」,「サーバ装置」はそれぞれ,本件補正発明の「無線通信デバイス」,「デバイス」,「リモートサーバ」に相当する。
そうすると,「パーソナルコンピュータ」と「サーバ装置」の間を無線ネットワークを介して通信することは周知慣用であることから,引用発明の「Bluetooth等の無線」,「無線通信インタフェイス」はそれぞれ,本件補正発明の「第1の無線ネットワーク」,「第1の無線インターフェース」に相当し,引用発明の「ネットワーク」,「ネットワークインタフェイス」はそれぞれ,本件補正発明の「第2の無線ネットワーク」,「第2の無線インターフェース」に相当すると言える。
(イ)引用発明の「CPU」は,「記録再生装置から,Bluetooth等の前記無線通信インタフェイスを介して,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得」するところ,上記(ア)での検討から,引用発明の「記録再生装置」は本件補正発明の「デバイス」に相当し,「リソース情報」は「記録再生装置」内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別するためのものであると言えるから,引用発明の「リソース情報」は本件補正発明の「デバイス構成情報」に相当すると言える。
そして,引用発明の「リソース情報」は,「パーソナルコンピュータ」がBluetooth等の前記無線通信インタフェイスを介して「記録再生装置」から取得するものの,「記録再生装置」が生成した「SDPサービス応答」を受信することについて言及されていないことから,本件補正発明は,「SDPサービス応答」を受信する点で引用発明と相違する。
また,引用発明の「CPU」は,「パーソナルコンピュータ」内で処理動作の制御を行っていることから,本件補正発明の「コントローラ」に対応する。
そうすると,引用発明の「CPU」が「記録再生装置から,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得」することと,本件補正発明の「コントローラ」が「第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信すること」,「前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」とは,後記する点で相違するものの,“コントローラ”が“第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信すること”である点で共通していると言える。
(ウ)引用発明の「CPU」は,「リソース情報に応じた前記記録再生装置に最適なコーデックを割り出し,前記最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信」するところ,「コーデックに係るデコードプログラム」は,特定のコーデックの形式でデータを処理するように「記録再生装置」を構成するためのものであると言えるから,引用発明の「コーデックに係るデコードプログラム」は本件補正発明の「実行ファイル」に相当すると言え,引用発明では,「リソース情報に応じた前記記録再生装置に最適なコーデックを割り出し」ているが,実質的に,「リソース情報」に基づいて「コーデックに係るデコードプログラム」を選択するとみることができる。
また,引用発明では,「最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信」するところ,必要があれば「サーバ装置」から「デコードプログラム」を検索するとみることができるから,本件補正発明における「選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索すること」とは,“必要があれば,第2の無線ネットワークを通してリモートサーバから選択された実行ファイルを検索する”点で一致すると言える。
そうすると,引用発明の「CPU」が「リソース情報に応じた前記記録再生装置に最適なコーデックを割り出し,前記最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信」することと,本件補正発明の「コントローラ」が「前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,前記選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索すること」とは,後記する点で相違するものの,“コントローラ”が“デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,必要があれば前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索すること”である点で共通していると言える。
(エ)引用発明の「CPU」は,「コンテンツデータと共に,前記最適なコーデックに係る前記デコードプログラムを前記記録再生装置に対してダウンロードする」ところ,最適なコーデックに係る「デコードプログラム」は,すなわち,選択された「デコードプログラム」であるから,「Bluetooth等の無線」を通して,「記録再生装置」に選択された「デコードプログラム」をダウンロードすると言える。
そうすると,引用発明の「CPU」が「前記最適なコーデックに係る前記デコードプログラムを前記記録再生装置に対してダウンロードする」ことは,本件補正発明の「コントローラ」が「第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすること」に相当すると言える。
イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。
<一致点>
「第1の無線ネットワークを通してデバイスと通信するように構成された第1の無線インターフェースと,
第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するように構成された第2の無線インターフェースであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,第2の無線インターフェースと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信することと,
前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,
必要があれば,前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成されたコントローラと,
を備えた,無線通信デバイス。」
<相違点1>
リモートサーバからの実行ファイルの検索に関し,本件補正発明では,「選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ」「リモートサーバ」から検索するのに対して,引用発明では,「最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,」「サーバ装置」から最適なコーデックに係る「デコードプログラム」を受信する点。
<相違点2>
デバイス構成情報の受信に関し,本件補正発明では,「デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」のに対して,引用発明では,「記録再生装置から,Bluetooth等の前記無線通信インタフェイスを介して,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得」するものの,「SDPサービス応答」を受信することについて言及されていない点。
(4)当審の判断
上記相違点1,2について検討する。
ア 相違点1について
引用発明では,「最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信」するところ,必要があれば「サーバ装置」から「デコードプログラム」を検索するとみることができる。
一方,デジタルAVデータ再生技術に関し,必要なデコーダを自身で保持しているか否かを判断し,保持していなければ,外部のサーバからデコーダをダウンロードすることは,例えば,引用例2(上記Jを参照)に記載されるように,本願の優先日前には当該技術分野における周知技術であった。
そして,引用発明と上記周知技術とは,デジタルAVデータ再生技術であって,デコードプログラムを装置に提供することを課題とする点で一致している。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,最適なコーデックに係る選択されたデコードプログラムがパーソナルコンピュータ内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ,サーバ装置からデコードプログラムを受信すること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明では,「記録再生装置から,Bluetooth等の前記無線通信インタフェイスを介して,前記記録再生装置のデコード処理に係るDSP等ハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類の情報を含むリソース情報を取得し」,「最適なコーデックに係るデコードプログラムに前記記録再生装置が対応していない場合には,前記サーバ装置からコンテンツデータと共に,前記デコードプログラムを受信」するところ,「パーソナルコンピュータ」は「記録再生装置」と無線通信を行うに先立ち,「記録再生装置」のハードウェアの情報や,デコード処理可能なコーデック種類,すなわち符号化形式の情報を受信し,「記録再生装置」がコーデックに係るデコードプログラム,すなわち復号器実行ファイルを受信し得,かつ様々な符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示すと言える。
また,Bluetoothを使用した無線通信において,サービスディスカバリプロトコル(SDP)を利用して,通信に先立ち,通信相手のデバイスのサービス属性等のプロファイルをSDPのサービス応答で受信することは,例えば,引用例3(上記Kを参照),引用例4(上記Lを参照),参考文献5(上記M,Nを参照),参考文献6(上記Pを参照)に記載されるように,本願の優先日前には当該技術分野において普通に実施されていた技術であった。特に,オーディオ情報の復号処理に係る情報や,無線通信に係るハードウェアの情報をプロファイルとして,Bluetoothのサービスディスカバリプロトコル(SDP)を利用して,通信相手のデバイスからSDPのサービス応答で受信することは,例えば,参考文献5(上記M,Nを参照),参考文献6(上記Pを参照)に記載されるように,本願の優先日前には既に周知技術であった。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,記録再生装置の構成を示すSDPサービス応答を受信し,SDPサービス応答は,記録再生装置によってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および記録再生装置の構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含むものとし,さらにSDPサービス応答は,記録再生装置がオーディオ復号器実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示すこと,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 小括
上記で検討したごとく,相違点1,2に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び,引用例2乃至4,参考文献5乃至6に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定のむすび
上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年2月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年6月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「 第1の無線ネットワークを通してデバイスと通信するように構成された第1の無線インターフェースと,
第2の無線ネットワークを通してリモートサーバと通信するように構成された第2の無線インターフェースであって,前記リモートサーバは1つまたは複数の実行ファイルを記憶する,第2の無線インターフェースと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスからデバイス構成情報を受信することであって,前記デバイス構成情報は前記デバイス内の少なくとも処理ハードウェアリソースを識別する,受信することと,
前記デバイス構成情報に基づいて実行ファイルを選択することであって,前記実行ファイルは特定の形式でデータを処理するように前記デバイスを構成するためのものである,選択することと,
前記選択された実行ファイルが無線通信デバイス内に記憶されているかどうかを判断し,もし記憶されていなければ前記第2の無線ネットワークを通して前記リモートサーバから前記選択された実行ファイルを検索することと,
前記第1の無線ネットワークを通して前記デバイスに前記選択された実行ファイルをダウンロードすることと,
を行うように構成されたコントローラと,
を備え,
前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含む,無線通信デバイス。」
2 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成28年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は,前記「第2 平成28年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項である「前記デバイス構成情報を受信することは,前記デバイスが生成した,前記デバイスの構成を示すSDPサービス応答を受信することを備え,前記SDPサービス応答は,前記デバイスによってサポートされているオーディオ復号器,復号器実行ファイルを受信するための能力,および前記デバイス構成情報を示す属性を含むSDPサービス記録を含み,前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」から「前記SDPサービス応答は,前記デバイスが,前記実行ファイルを受信し得,かつ様々なオーディオ符号化形式をサポートするように再構成され得ることを示す」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成28年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」乃至「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明及び引用例2乃至4に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-001742