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特許拒絶査定不服審判

2015-018705

攪拌器組立体および攪拌器組立体を持つ台所用品

審判番号
2015-018705
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-545498外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年10月16日
審決日
2016年10月11日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (A47J) / P18 .121-Z (A47J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-545498号「攪拌器組立体および攪拌器組立体を持つ台所用品」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月 7日国際公開,WO2011/080646,平成25年 5月 9日国内公表,特表2013-515549号〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2010年(平成22年)12月16日(パリ条約による優先権主張2009年12月28日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,平成27年8月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月16日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。 第2 平成27年10月16日にされた手続補正の却下の決定 1 結論 平成27年10月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 2 理由 (1) 補正の概要 本件補正は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1である 「攪拌器組立体および容器を有する台所用品であって、 前記容器は底部を有し; -前記攪拌器組立体は、前記容器内に配置可能であるとともに: -駆動部材に連結され得る遠位端を有し、上方部分と下方部分とを有し、前記攪拌器組立体が前記駆動部材によりその周りを回転して駆動可能である前記攪拌器組立体の長手方向軸を規定する、駆動軸と; -前記駆動軸の前記上方部分の近くで前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有する、第1の部材と; -前記駆動軸の前記下方部分の近くで前記第1の部材から長手方向に離間して前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有す る、第2の部材と; -前記第1の部材の前記アーム部に連結される第1の遠位端を有し、前記第1の部材の前記アーム部と前記第2の部材の前記アーム部との間に延び る、攪拌器部材と;を有し、 使用中、前記底部に面している前記第2の部材のアーム部の側面が、最大20mm前記底部から離れ、前記第2の部材の前記アーム部が前記容器の底に置かれた食材を前記攪拌器部材に向かって付勢するように構成され、 前記容器はさらに、前記底部から前記第2の部材の前記アーム部の端部に対向するとともに前記アーム部の前記端部に沿って延びる第1の壁部と、前記底部から離れる方向に向かって拡径しながら前記第1の壁部から延びる第2の壁部とを有する、 台所用品。」を, 「攪拌器組立体および容器を有する台所用品であって、 前記容器は底部を有し; -前記攪拌器組立体は、前記容器内に配置可能であるとともに: -駆動部材に連結され得る遠位端を有し、上方部分と下方部分とを有し、前記攪拌器組立体が前記駆動部材によりその周りを回転して駆動可能である前記攪拌器組立体の長手方向軸を規定する、駆動軸と; -前記駆動軸の前記上方部分の近くで前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有する、第1の部材と; -前記駆動軸の前記下方部分の近くで前記第1の部材から長手方向に離間して前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有す る、第2の部材と; -前記第1の部材の前記アーム部に連結される第1の遠位端を有し、前記第1の部材の前記アーム部と前記第2の部材の前記アーム部との間に延び る、攪拌器部材と;を有し、 使用中、前記底部に面している前記第2の部材のアーム部の側面が、最大20mm前記底部から離れ、前記第2の部材の前記アーム部が前記容器の底に置かれた食材を前記攪拌器部材に向かって付勢するように構成され、 前記容器はさらに、前記底部から前記第2の部材の前記アーム部の端部に対向するとともに前記アーム部の前記端部に沿って延びる第1の壁部と、前記底部から離れる方向に向かって拡径しながら前記アーム部の端部に対向する前記第1の壁部から延びる第2の壁部とを有する、 台所用品。」と補正することを含むものである。 (2) 補正の目的 上記補正は,本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第2の壁部」について,その配置を,「前記アーム部の端部に対向する」態様に限定する補正であって,本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。 (3)引用例 原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先日前に頒布された刊行物である実願昭54-47790号(実開昭55-148534号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。 ア 「ボール内に配設したビータ支持片と、該支持片を回転駆動させる電動機と、支持片の回転軸と平行な軸を以てビータ支持片に回転自在に枢着した複数個のビータとを備え、ビータ支持片の回転によつて被攪拌物から受けるビータの内外側の抵抗の差でビータが自転するように構成したことを特徴とする攪拌器。」(明細書1頁5~11行) イ「本考案は、液体及び卵等の泡立て又は攪拌に用いる攪拌器に係り、攪拌性能及び取扱い性のすぐれた攪拌器を構造簡単かつ安価に提供することを目的とする。」(明細書1頁20行~2頁3行) ウ 「16は前記基台1の上部に着脱自在に取り付けられるアタツチメントであつて、ボウル17とこのボウル17の下端に当接した連結具18とを軸受19とナツト20とで締付けて一体化している。」(明細書2頁18行~3頁1行) エ 「21は軸受19に回転自在に挿着した軸であつて、その下端には前記出力カツプリング14と係脱自在に係合する従動カツプリング22を固着している。23はビータ支持片であつて、正面略工字状形成され、その継軸部24には前記ボウル17の底部から突出した軸21の上端に挿入係合される係合孔25を穿設している。又、ビータ支持片23の上下片26、27の先端にはそれぞれ上下方向に貫通する軸支孔28、29を対向させて穿設すると共に、下片27の上面を支持片23の回転方向前方に向つて傾斜させてすくい上げ傾斜面30を形成し、更には、この傾斜面30に軸支孔29に至る案内壁31を形成してある。」(明細書3頁3~16行) オ 「32はビータであつて、直交した2個の攪拌片33、34と、その上下面に突設したピン35、36とで構成され、上部のピン35を前記上片26に穿設した軸支孔28に遊着させると共に下部のピン36を前記下片27に穿設した軸支孔29に遊着させることにより、ビータ支持片23にビータ32を回転自在に装着している。」(明細書3頁17行~4頁3行) カ 「このように、ビータ支持片23を回転させると、ビータ32は公転しつつ自転するのであるが、この回転が進むにともなつて材料に遠心力が加えられる。すると、材料はボウル17の内壁近傍に多く集まり、前記ビータ32が受ける抵抗差がますます大きくなるため、ビータ32はより高速で自転し、材料を充分に攪拌又は泡立てするのである。尚、実施例のように、ビータ支持片23の下片27にすくい上げ傾斜面30を形成した場合は、ボウル17の底部に留まろうとする材料を上方にすくい上げてビータ32と接触させ得るため、攪拌むらをなくすことができる。」(明細書5頁3~15行) キ 第1図を参照すると,ビータ32及びビータ支持片23がボウル17内に配置可能であり,ビータ支持片23が継軸部24と上下片26,27からなること,ビータ32が長手方向に離間する上片26と下片27との間に延びること,継軸部24が規定するビータ支持片23の回転軸の回りを軸21によりビータ32及びビータ支持片23が回転して駆動可能であること,上下片26,27が,それぞれ継軸部24の上方部分,下方部分の近くで継軸部24に連結され,継軸部24から離れて延びること,及び,使用中,ボウル17の底部に面している下片27の側面が,底部から離れていることが見てとれる。 ク 前記ア~キに記載の事項を総合すると,引用例1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「ビータ32,ビータ支持片23及びボウル17を有する攪拌器であって, ボウル17は底部を有し; -ビータ32及びビータ支持片23は,ボウル17内に配置可能であるとともに: -軸21に挿入係合され得る係合孔25が穿設され,上方部分と下方部分とを有し,ビータ32及びビータ支持片23が軸21によりその周りを回転して駆動可能であるビータ支持片23の長手方向軸を規定する,継軸部24と; -継軸部24の上方部分の近くで継軸部24に連結され,継軸部24から離れて延びる上片26と; -継軸部24の下方部分の近くで上片26から長手方向に離間して継軸部24に連結され,継軸部24から離れて延びる下片27と; -上片26に遊着されるピン35を有し,上片26と下片27との間に延びる,ビータ32と;を有し, 使用中,底部に面している下片27の側面が,底部から離れ,下片27にボウル17の底部に留まろうとする材料をビータ32と接触させ得るよう上方にすくい上げるすくい上げ傾斜面30を形成する, 攪拌器。」 (4)対比 ア 本願補正発明と引用発明1との対比 本願補正発明と引用発明1を対比すると,引用発明1の「ビータ32」及び「ビータ支持片23」,「ボウル17」,「軸21」,「ビータ支持片23の回転軸」,「継軸部24」,「上片26」,「下片27」,「遊着」,「ピン35」,「ビータ32」は,本願補正発明の「攪拌器組立体」,「容器」,「駆動部材」,「攪拌器組立体の長手方向軸」,「駆動軸」,「第1の部材」及びその「アーム部」,「第2の部材」及びその「アーム部」, 「連結」,「第1の遠位端」,「攪拌器部材」にそれぞれ相当する。 また,引用発明1の「攪拌器」は,「卵等の泡立て又は攪拌に用いる」もので,「構造簡単かつ安価に提供」されるものであることから(前記(3)イ),主として家庭で調理に用いられると認められ,本願補正発明の「台所用品」に相当する。そして,引用発明1の「下片27にボウル17の底部に留まろうとする材料をビータ32と接触させ得るよう上方にすくい上げるすくい上げ傾斜面30を形成する」ことは,本願補正発明の「前記第2の部材の前記アーム部が前記容器の底に置かれた食材を前記攪拌器部材に向かって付勢するように構成され」ることに相当する。さらに,引用発明1の「継軸部24」に「軸21に挿入係合され得る係合孔25が穿設され」ることは,本願補正発明の「駆動軸」が「駆動部材に連結され得る遠位端を有」することに相当する。 イ 一致点 したがって,本願補正発明と引用発明1とは,以下の点で一致している。 「攪拌器組立体及び容器を有する台所用品であって, 前記容器は底部を有し; -前記攪拌器組立体は,前記容器内に配置可能であるとともに: -駆動部材に連結され得る遠位端を有し,上方部分と下方部分とを有し,前記攪拌器組立体が前記駆動部材によりその周りを回転して駆動可能である前記攪拌器組立体の長手方向軸を規定する,駆動軸と; -前記駆動軸の前記上方部分の近くで前記駆動軸に連結され,前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有する,第1の部材と; -前記駆動軸の前記下方部分の近くで前記第1の部材から長手方向に離間して前記駆動軸に連結され,前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有す る,第2の部材と; -前記第1の部材の前記アーム部に連結される第1の遠位端を有し,前記第1の部材の前記アーム部と前記第2の部材の前記アーム部との間に延び る,攪拌器部材と;を有し, 使用中,前記底部に面している前記第2の部材のアーム部の側面が前記底部から離れ,前記第2の部材の前記アーム部が前記容器の底に置かれた食材を前記攪拌器部材に向かって付勢するように構成された, 台所用品。」 ウ 相違点 そして,本願補正発明と引用発明1とは,以下の点で相違している。 (ア)相違点1 本願補正発明は,使用中,底部に面している第2の部材のアーム部の側面が,最大20mm底部から離れるのに対し,引用発明1は,底部に面している下片27の側面が,底部からどの程度離れるか不明な点 (イ)相違点2 本願補正発明は,容器がさらに,底部から第2の部材のアーム部の端部に対向するとともに前記アーム部の前記端部に沿って延びる第1の壁部と,前記底部から離れる方向に向かって拡径しながら前記アーム部の端部に対向する前記第1の壁部から延びる第2の壁部とを有するのに対し,引用発明1はそのような構成を有していない点 (5)判断 ア 相違点1についての検討 引用発明1では,下片27にボウル17の底部に留まろうとする材料をビータ32と接触させ得るよう上方にすくい上げるすくい上げ傾斜面30を形成している(前記(3)カ)ことから,ボウル17の底部付近の材料を攪拌できるように,下片27をボウル17の底部に近接させるという技術思想を把握できる。そうすると,底部付近の材料を攪拌できるように,回転に支障を生じない程度に下片27をボウル17底部に近づけて,その間隔を20mm以下に設定することは,当業者が普通になし得た設計事項にすぎない。 イ 相違点2についての検討 上記アで検討したように,引用発明1は,ボウル17の底部付近の材料をも攪拌しようとするものである。また,引用例1には,攪拌器の使用によって,材料に遠心力が加えられ,ボウル17の内壁近傍に集まる旨の記載がある(前記(3)カ)から,ボウル17の底部外周付近においても,攪拌むらが生じないように配慮することは普通である。そうすると,引用発明1において,ボウル17底部外周付近の形状を,下片27にできるだけ沿うように近接させることとして,本願補正発明の第1の壁部と第2の壁部を有する形状とすることは,単なる設計事項である。 そして,本願補正発明の第1の壁部及び第2の壁部については,当初明細書等で具体的に説明されておらず,単にそのような形状が図示されていたというにすぎないものであって,格別の技術的意義を意図して設けられた構成ともいえない。よって,相違点2に係る本願補正発明の構成は,引用発明1に基いて当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 本願補正発明の奏する効果について 本願補正発明の全体構成によって奏される作用効果についてみても,引用発明1から当業者が予測し得る範囲内のものである。 エ まとめ したがって,本願補正発明は,引用発明1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)小括 以上のとおり,本願補正発明は,本願優先日前に頒布された刊行物である引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので,本願請求項1~14に係る発明は,平成27年2月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものである。そして,その請求項1に係る発明は, 「攪拌器組立体および容器を有する台所用品であって、 前記容器は底部を有し; -前記攪拌器組立体は、前記容器内に配置可能であるとともに: -駆動部材に連結され得る遠位端を有し、上方部分と下方部分とを有し、前記攪拌器組立体が前記駆動部材によりその周りを回転して駆動可能である前記攪拌器組立体の長手方向軸を規定する、駆動軸と; -前記駆動軸の前記上方部分の近くで前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有する、第1の部材と; -前記駆動軸の前記下方部分の近くで前記第1の部材から長手方向に離間して前記駆動軸に連結され、前記駆動軸から離れて延びるアーム部を有す る、第2の部材と; -前記第1の部材の前記アーム部に連結される第1の遠位端を有し、前記第1の部材の前記アーム部と前記第2の部材の前記アーム部との間に延び る、攪拌器部材と;を有し、 使用中、前記底部に面している前記第2の部材のアーム部の側面が、最大20mm前記底部から離れ、前記第2の部材の前記アーム部が前記容器の底に置かれた食材を前記攪拌器部材に向かって付勢するように構成され、 前記容器はさらに、前記底部から前記第2の部材の前記アーム部の端部に対向するとともに前記アーム部の前記端部に沿って延びる第1の壁部と、前記底部から離れる方向に向かって拡径しながら前記第1の壁部から延びる第2の壁部とを有する、 台所用品。」(以下「本願発明」という。) であるものと認める。 2 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1,及びその記載事項は,前記第2 2(3)に記載した引用例1,及びその記載事項のとおりである。 3 対比・判断 本願発明は,前記第2で検討した本願補正発明から,「第2の壁部」について「前記アーム部の端部に対向する」との限定事項を省いたものである。そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらなる限定を付加したものに相当する本願補正発明が,前記第2 2(5)に記載したとおり,引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり,本願発明は,本願優先日前に頒布された刊行物である引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることはできない。 よって,本願は,その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 したがって,結論のとおり審決する。

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2015-018705

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