特許拒絶査定不服審判
2023-013362
蒸煮装置
- 審判番号
- 2023-013362
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-055336外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年08月08日
- 審決日
- 2024年09月10日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日清食品ホールディングス株式会社
- 分類
- P18 .121-Z (A47J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-55336号「蒸煮装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年9月24日出願公開、特開2020-151377号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月22日の出願であって、令和4年11月10日付けで拒絶理由通知(発送日:同年11月22日)がされ、令和5年3月17日に意見書が提出されるとともに手続補正書が提出されたが、同年4月21日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。発送日:同年5月9日)がされ、これに対して、同年8月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正書が提出されたものである。
第2 本件補正について
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
令和5年8月8日の手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所であり、当審が付与した。)。
「【請求項1】
麺線群を蒸煮するための蒸煮装置を使用した、蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法
であって、
両端に入口部及び出口部を有するトンネル型蒸気庫と、
前記入口部及び出口部からの蒸気を廃棄する蒸気廃棄機構と、
前記蒸気庫の入口部より麺線群を搬入し、搬入された麺線群が蒸気庫内で一往復を経て蒸気庫の下段まで搬送された後、前記蒸気庫の出口部より麺線群が排出されるように、麺線群が三段に搬送されるように設けられた2台のコンベアと、
上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第一蒸気供給機構と、
当該第一蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第一蒸気供給後に麺線群に水分を供給する第一水分供給機構と、
中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第二蒸気供給機構と、
当該第二蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第二蒸気供給後に水分を供給する第二水分供給機構と、
下段で搬送される麺線群に蒸気を供給するための第三蒸気供給機構と、
前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構と、
当該蒸気回収機構による回収蒸気を再加熱する回収蒸気再加熱機構と、
当該回収蒸気再加熱機構により再加熱された蒸気を前記第三蒸気供給機構に供給する供給機構を備えた三段式蒸煮装置、を使用した蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。
【請求項2】
前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構を前記トンネル型蒸気庫の出口部に備えた請求項1に記載の蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。
【請求項3】
前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構を前記トンネル型蒸気庫の側面部に備えた請求項1又は2に記載の蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲は、次のとおりである。
「【請求項1】
麺線群を蒸煮するための蒸煮装置を使用した、蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法であって、
両端に入口部及び出口部を有するトンネル型の蒸気庫と、
前記入口部及び出口部からの蒸気を廃棄する蒸気廃棄機構と、
前記蒸気庫の入口部より麺線群を搬入し、搬入された麺線群が蒸気庫内で一往復を経て蒸気庫の下段まで搬送された後、前記蒸気庫の出口部より麺線群が排出されるように、麺線群が三段に搬送されるように設けられた2台のコンベアと、
上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第一蒸気供給機構と、
当該第一蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第一蒸気供給後に麺線群に水分を供給する第一水分供給機構と、
中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第二蒸気供給機構と、
当該第二蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第二蒸気供給後に水分を供給する第二水分供給機構と、
下段で搬送される麺線群に蒸気を供給するための第三蒸気供給機構と、
前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構と、
当該蒸気回収機構による回収蒸気を再加熱する回収蒸気再加熱機構と、
当該回収蒸気再加熱機構により再加熱された蒸気を前記第三蒸気供給機構に供給する供給機構と、を備えた三段式蒸煮装置、
を使用した、蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。
【請求項2】
前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構を前記トンネル型蒸気庫の出口部に備えた請求項1に記載の蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。
【請求項3】
前記前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構を前記トンネル型蒸気庫の側面部に備えた請求項1又は2に記載の蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1の「トンネル型の蒸気庫」との事項を、同項を引用する請求項2、3の「前記トンネル型蒸気庫」との事項に整合させて、「トンネル型蒸気庫」に補正し、本件補正前の請求項1の「供給機構と、を備えた三段式蒸煮装置、を使用した、蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法」との事項を、「と」と「、」を削除して、「供給機構を備えた三段式蒸煮装置、を使用した蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法」に補正し、本件補正前の請求項3の「前記前記蒸気庫」との事項を、「前記蒸気庫」に補正するものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は適法にされたものである。
第3 本願発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、上記「第2 1(1)」に記載したとおりのものである。
第4 原査定の拒絶の理由
原査定における拒絶の理由の概要は、以下の理由を含むものである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1
・引用文献 1、2
引用文献1:特開2015-186468号公報
引用文献2:特開2018-198934号公報
第5 引用文献の記載事項等
1 引用文献1について
(1)記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(「○」で始まる行以外の下線は当審が付与。以下同様。)。
「【請求項1】
1)麺線群を搬入する入口部と過熱蒸気処理後の麺線群が排出される出口部を有するトンネル型の過熱蒸気処理庫と、
2)前記過熱蒸気処理庫の入口部より麺線群が搬入され、搬入された麺線群が過熱蒸気処理庫の長手方向において複数回の略水平方向の往復を伴い過熱蒸気処理庫内の上段から下段まで搬送された後に前記出口部より排出されるよう、多段に設置された1又は複数のコンベアと、
3)少なくとも前記過熱蒸気処理庫内の上段で搬送されている麺線群に対して過熱蒸気を付与するように1又は複数の過熱蒸気管が設けられた過熱蒸気処理領域と、
を有する多段式過熱蒸気処理装置。」
「【0015】
<全体の構成>
図1に示すように、本願第一実施態様の多段式過熱蒸気処理装置は、コンベア上に載置された麺線が過熱蒸気処理庫に搬入される麺導入部1、当該麺導入部とその入口部において接続し内部に多段の過熱蒸気処理装備を有する過熱蒸気処理庫3、内部で過熱蒸気処理された麺線群が排出される当該過熱蒸気処理庫の出口部に接続した麺排出部5、前記麺導入部1から過熱蒸気処理庫3にまで麺線を搬送し、さらに麺排出部5まで麺線群を搬送する第1コンベア7、過熱蒸気処理庫3内において麺線を第1コンベア7より受け取った後に、過熱蒸気処理庫本体部の入口部側に搬送した後再度第1コンベアに麺線を受け渡しする第2コンベア9を有している。
尚、本明細書において、過熱蒸気処理庫内において、以下、麺導入部側から麺排出部側への搬送を“順方向”、麺排出部側から麺導入部側への搬送を“逆方向”と記載する。」
「【0017】
○過熱蒸気処理庫
(1) 全体
本発明の多段式過熱蒸気処理装置の過熱蒸気処理庫3は、その入口側の上部が前記トンネル型の麺導入部1の端部と接続されている。前記麺導入部1より搬入された麺線群が続いて本過熱蒸気処理庫3に搬送せしめられる。尚、図1に示す第1の実施態様においては、多段式のうち、特に三段の場合を示している。
本第一の実施態様においては、過熱蒸気処理庫3内において、その入口側の上部から麺線群が搬入され、まず、コンベア上で“順方向”に搬送される。搬入された麺線は過熱蒸気処理庫3の長手方向の出口側付近まで搬送せしめられ、該他端側で第1コンベア7が反転する際、麺線群は次の第2コンベア9に受け渡される。第2コンベア9に受け渡された麺線は“逆方向”に搬送され、入口側付近で反転する際に、第1コンベア7に受け戻される。該受け渡された麺線群は、再度“順方向”に搬送され過熱蒸気処理庫3の側面部に接続された麺排出部を通過して外部に運ばれる。」
「【0020】
(2) 第1過熱蒸気処理領域
麺導入部より導入された麺線群はまず、第1過熱蒸気処理領域11に移送される。当該第1過熱蒸気処理領域11に移送された麺線群に過熱蒸気が付与される。第1過熱蒸気処理領域11は、次の水分付与領域との間で過熱蒸気処理領域11での過熱蒸気処理を効率的に行う観点から仕切り部材13が設けられている。当該仕切り部材13の隙間部分を、コンベアとこれに搭載された麺線群が通過できるように配置されている。
第1過熱蒸気処理領域11においては、麺線群に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気供給管15がコンベアの上部からと下部からの両方に複数本が設けられている。尚、上部からの過熱蒸気供給管15は、図1の+矢印で示されているが、第1過熱蒸気処理領域のコンベアによる麺線の移送の方向とは直角に複数本が設けられている。
次に、コンベアの下部からの過熱蒸気供給管15については、コンベアの進行方向と並行に複数が設けられている。これらの過熱蒸気供給管15の向き等は適宜変更できる。
尚、本第1の実施態様の図には明示していないが、上述の過熱蒸気供給管にはボイラー、ヒーター等の過熱蒸気発生装置が適宜連結される。
過熱蒸気を麺線群に供与する態様としては、雰囲気とする方法や直接に吹きつける方法のいずれも可能であるが、直接に過熱蒸気を吹き付ける態様が、効果が大きく好ましい。
使用する過熱蒸気気流としては、高温のものを使用するのが好ましい。すなわち、麺線にごく近くでの温度が110℃~250℃の範囲程度のものを使用すると好適である。さらに好ましくは、140℃~180℃の範囲である。
また、過熱蒸気流を供給する時間は、概ね5秒~60秒程度である。
【0021】
(3) 第1水分付与領域
前記第1過熱蒸気処理領域11に続いて第1水分付与領域17が設けられている。当該第1水分付与領域においては、過熱蒸気処理された麺線群に、水又はお湯を用いることで麺線に水分を補給する。本実施態様では水又はお湯を麺線にシャワー18するタイプを示している。尚、麺線にシャワーをするタイプのみならず、例えば、水又はお湯に麺線を浸漬する態様であってもよいことはもちろんである。水分付与の時間は特に限定されないが、概ね5秒~20秒程度であれば好ましい。また、製造される麺の食感及び風味が向上するので、シャワー又は浸漬する水又はお湯の温度はより高いものであることが好ましく、具体的には40℃以上が好ましく、特に、50℃以上が最も好ましい。これにより、過熱蒸気によって水分が失われて行くのを補うだけでなく、食感や風味を生麺により近づけることができる。この水分補給工程により、第1過熱蒸気処理工程で過熱蒸気流の吹き付けにより減少した麺線の水分を補うことができる。得られる食感や風味に応じて加水量は調整することができる。
また、本実施態様では、第1水分付与領域17は第一段目に記載されているが、二段目に在してもよいことはもちろんである。
【0022】
(4) 第2過熱蒸気処理領域
本第一の実施態様においては、第1水分付与領域によってシャワーした後、麺線群は、麺線群は次の第2コンベア9に受け渡される。第2コンベア9に受け渡された麺線は“逆方向”に搬送される。当該逆方向に搬送時において第2過熱蒸気処理領域19において、二回目の過熱蒸気処理を付与する。これによって第1過熱蒸気処理工程における効果をさらに増強することができる。当該第2過熱蒸気処理領域19への入口部においては、過熱蒸気処理を効率的に行う観点から仕切り部材13が設けられており、当該仕切り部材の隙間部分をコンベアを搭載した麺線群が通過するように構成されている。また、第2過熱蒸気処理領域19の出口部においても次の第2水分付与領域21との間で仕切り部材が設けられている。当該仕切り部材の隙間部分を、コンベアに搭載された麺線群が通過できる態様となっている。
【0023】
第2過熱蒸気処理領域19における過熱蒸気の温度や時間は、第1過熱蒸気処理領域11での場合と同様である。このような第1過熱蒸気処理工程→温水シャワー→第二過熱蒸気処理工程の工程を経ることで麺線群に過熱蒸気よる太麺の湯戻し時の復元効果等を付与することできる。
使用する過熱蒸気気流の温度、処理時間については第1過熱蒸気処理領域の場合と同様である。
【0024】
(5) 第2水分付与領域
前記第2過熱蒸気処理領域19に続いて第2水分付与領域21が設けられている。当該第2水分付与領域21においては、過熱蒸気処理された麺線群にさらに、水又はお湯を用いることで麺線に水分を補給する。本領域においても第1水分付与領域の場合と同様に水分をシャワー又は浸漬等により付与する。
水分付与の時間と温度等については、第1水分付与領域17の場合と同様である。
【0025】
(6) 飽和蒸気処理領域
本第一の実施態様においては、第2水分付与領域に続いて飽和蒸気処理領域23が設けられている。当該飽和蒸気処理領域23において蒸気を付与することにより麺の食感の調整が可能となる。本実施態様ではコンベアの下部に蒸気供給管25が設けられている。蒸気供給時間については特に限定されないが、概ね20秒~50秒程度である。
尚、本飽和蒸気処理工程を設けなくてもよいことは勿論である。さらに本飽和蒸気処理工程の代わりに第3過熱蒸気処理工程として過熱蒸気処理をさらに繰り返す態様であってもよい。
次に、本第一の実施態様では、前記飽和蒸気処理領域での処理の後、続いて飽和蒸気の供給がない状態で麺線群をコンベア上で搬送する。次いで、麺排出部5より麺線群は排出される。
尚、飽和蒸気処理後の搬送領域において、空隙スペースを減らす観点から空部材85が設けられている。」
「【0027】
○ 排気装置
本第一の実施態様においては、第1~第5の排気装置(33、35、37、39、41)が設けられている。本発明にいう排気装置とは、ダクト、フード、排気ファン等を含む排気システムをいうものとする。
本発明においては排気装置が重要な役割を有する。すなわち、過熱蒸気処理は高温のかわき蒸気による処理であるが、麺線群を加熱した後、温度が低下して通常の蒸気に変化する。当該通常の蒸気を過熱蒸気処理領域内に残存させておくと、領域内の湿度がアップし、当該領域内に過熱蒸気をさらに追加しても容易に熱を奪われて、良好な過熱蒸気処理を継続することが困難となる。
【0028】
このため、排気装置によって過熱蒸気処理後の余分な蒸気を排気することが大切になる。本発明おいては過熱蒸気処理庫3内のそれぞれの過熱蒸気処理領域(11、23)に対して少なくとも一つの排気装置が設けられていることが好ましい。さらに、過熱蒸気処理領域の入口部と出口部のそれぞれ二箇所に設けられているとより好ましい。加えて、過熱蒸気処理領域が長かったり、大きい場合には、過熱蒸気処理領域の中間付近にも排気装置を設けてもよい。
【0029】
本第一の実施態様において第1排気装置33については、麺導入部前にフードが設置され排気ファンに接続されており、入口側の余分な蒸気を排気することができる。また、過熱蒸気処理庫の入口側の前面付近にダクトが接続されており、当該ダクトは第2過熱蒸気処理領域19で過熱蒸気処理が終了した後に発生した余分な蒸気の回収経路となっており、先のフードから同様に排気される。
第2排気装置35については、第2過熱蒸気処理領域19で発生する余分な蒸気を回収するために設置されている。ダクトが第2過熱蒸気処理領域19の仕切り部の前面付近から過熱蒸気処理庫3の上方に出ており、余分な蒸気の回収経路となっている。また、上部にフードが設けられており排気ファンが接続されている。
【0030】
第3排気装置37については、第1過熱蒸気処理領域11で発生する余分な蒸気を回収するために設置されている。ダクトが過熱蒸気処理庫3の上面から設けられており、第1過熱蒸気処理領域11の出口側の仕切り部前付近から余分な蒸気の回収経路となっている。また、前記と同様にフードと排気ファンが設けられている。
第4排気装置39については、第2過熱蒸気処理領域19で発生する余分な蒸気を回収するために設置されている。ダクトが過熱蒸気処理庫3の出口側の背面に設けられており、第2過熱蒸気処理領域の入口側の仕切り部の前付近から余分な蒸気の回収経路となっている。また、前記と同様にフードと排気ファンが設けられている。
第5排気装置41については、麺排出部5の前に設けられており、麺排出部5から余分な蒸気を排出する。また、前記と同様にフードと排気ファンが設けられている。」
「【0031】
○ 過熱蒸気管
先にも述べたが、前記過熱蒸気処理庫内には、過熱蒸気を供給するための1又は複数の過熱蒸気管15が設けられている。また、飽和蒸気を供給するための飽和蒸気管25も設けられている。
本第1の実施態様において、過熱蒸気管15は、コンベアの上段部及び中段部において搬送されている麺線を過熱蒸気処理するために用いられる。すなわち、麺導入部1から搬入された麺線群が順方向に搬送されている間に第1過熱蒸気処理領域11で麺線群を過熱蒸気処理することができるように過熱蒸気管が各過熱蒸気処理領域(11、19)においてコンベア上部と第1コンベア7下部に配置されている。さらに、中段においても同様に過熱蒸気処理が可能となるように過熱蒸気管15が第2コンベア9の上部と第2コンベア9の内部に配置されている。
飽和蒸気管は、過熱蒸気処理・水分付与の後、下段部における順方向への搬送中に蒸気を付与できるように、第2コンベアの下部に配置されている。」
「【図1】
[図:0001416069000001.jpg]
」
(2)認定事項
ア 請求項1及び【0015】の記載並びに図1の図示内容によれば、麺線群を過熱蒸気処理するための多段式過熱蒸気処理装置を使用した、麺線群の過熱蒸気処理方法が開示されていると認められ、多段式過熱蒸気処理装置は、トンネル型の過熱蒸気処理庫3と、第1コンベア7及び第2コンベア9を有すること、及び、過熱蒸気処理庫3は、両端に入口部及び出口部を有することが認められる。
イ 【0027】~【0030】の記載及び図1の図示内容によれば、多段式過熱蒸気処理装置は、入口部からの蒸気を排気する第1排気装置33と出口部からの蒸気を排気する第5排気装置41とを有することが認められる。
ウ 【0017】の記載及び図1の図示内容によれば、多段式過熱蒸気処理装置は、過熱蒸気処理庫3内において、第1コンベア7及び第2コンベア9によって、三段に構成されていることが認められ、請求項1も参照すると、第1コンベア7及び第2コンベア9は、過熱蒸気処理庫3の入口部から麺線群を搬入し、搬入された麺線群が過熱蒸気処理庫3の長手方向で一往復を伴い過熱蒸気処理庫3内の上段から下段まで搬送された後に、出口部より麺線群が排出されるよう、三段に設置されたことが認められ、更に【0031】も参照すると、三段は、上から、上段、中段、下段ということが認められる。
エ 【0020】及び【0021】の記載及び図1の図示内容によれば、上記ウも参照すると、多段式過熱蒸気処理装置は、過熱蒸気処理庫3内において、上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第1過熱蒸気処理領域11に設けられた複数の過熱蒸気供給管15と、第1過熱蒸気処理領域11と次の第1水分付与領域17との間に設けられた仕切り部材13と、第1過熱蒸気処理領域11に続く第1水分付与領域17に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18とを有することが認められる。
オ 【0022】~【0024】及び【0031】の記載並びに図1の図示内容によれば、上記ウも参照すると、多段式過熱蒸気処理装置は、過熱蒸気処理庫3内において、中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第2過熱蒸気処理領域19に設けられた複数の過熱蒸気供給管15と、第2過熱蒸気処理領域19と次の第2水分付与領域21との間に設けられた仕切り部材13と、第2過熱蒸気処理領域19に続く第2水分付与領域21に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18とを有することが認められる。
カ 【0025】及び【0031】の記載並びに図1の図示内容によれば、上記ウも参照すると、多段式過熱蒸気処理装置は、過熱蒸気処理庫3内において、下段で搬送される麺線群に飽和蒸気を付与するための、飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25を有することが認められる。
(3)引用発明
上記(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「麺線群を過熱蒸気処理するための多段式過熱蒸気処理装置を使用した、麺線群の過熱蒸気処理方法であって、
両端に入口部及び出口部を有するトンネル型の過熱蒸気処理庫3と、
入口部からの蒸気を排気する第1排気装置33と出口部からの蒸気を排気する第5排気装置41と、
過熱蒸気処理庫3の入口部から麺線群を搬入し、搬入された麺線群が過熱蒸気処理庫3の長手方向で一往復を伴い過熱蒸気処理庫3内の上段から下段まで搬送された後に、出口部より麺線群が排出されるよう、三段に設置された第1コンベア7及び第2コンベア9と、
上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第1過熱蒸気処理領域11に設けられた複数の過熱蒸気供給管15と、
第1過熱蒸気処理領域11と次の第1水分付与領域17との間に設けられた仕切り部材13と、
第1過熱蒸気処理領域11に続く第1水分付与領域17に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18と、
中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第2過熱蒸気処理領域19に設けられた複数の過熱蒸気供給管15と、
第2過熱蒸気処理領域19と次の第2水分付与領域21との間に設けられた仕切り部材13と、
第2過熱蒸気処理領域19に続く第2水分付与領域21に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18と
下段で搬送される麺線群に飽和蒸気を付与するための、飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25とを有する多段式過熱蒸気処理装置、を使用した麺線群の過熱蒸気処理方法。」
2 引用文献2について
(1)記載事項
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは蒸し麺や即席麺の生産における蒸煮の工程において効率的に蒸煮をする方法を開発することを目的とした。」
「【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の第一の実施態様について図面を参照しつつ説明する。
図1は本願発明の麺線蒸煮装置の第一の実施態様の全体模式図を示したものである。図1に示すように、本発明の麺線蒸煮装置の第一の実施態様は、入口部3と出口部5を備えたトンネル型の蒸気庫1と、当該蒸気庫1内を麺線群Mが搬送される搬送機構として、多段に設けられたコンベア(第一コンベア7、第二コンベア9)による搬送装置が備えられている。
【0019】
また、蒸気庫1内には麺線群Mの蒸煮のための一次蒸気噴射管11が上方側に設置されている。当該一次蒸気は順次、新規に外部供給される水分より調製される蒸気を利用しており、当該一次蒸気噴射管11に供給される蒸気を加熱・供給するための一次加熱装置13が設けられている。
【0020】
次に、二次蒸気噴射管15が下方側に設置されている。当該二次蒸気噴射管15は、蒸気庫から突出する出口部5に設けられた孔部から排出される蒸気を回収し、ドレイン化等した回収水分等の高温の水分を加熱して、二次加熱装置によって再度蒸気化した後に、第二蒸気噴射管15より蒸気庫1内にに再度供給するように設けられている。
さらに、蒸気庫1の入口部3と出口部5付近には、余分な蒸気を回収して排気する排気ダクトが設けられている。以下に上記各構成について説明する。」
「【0043】
─蒸気回収機構─
本発明の第一の実施態様においては、前述の二次蒸気噴射管15に蒸気を供給するための蒸気回収機構を設けている。当該蒸気回収機構によって蒸気庫内より排気される蒸気を有効利用することができる。これによって、省エネルギー化を実現することができる。また、排気する蒸気を減らすことも可能である。」
「【図1】
[図:0001416069000002.jpg]
」
(2)引用文献2技術
上記(1)を総合すると、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
「入口部3と出口部5を備えたトンネル型の蒸気庫1と、多段に設けられた第一コンベア7、第二コンベア9による搬送装置が備えられ、蒸気庫1内には麺線群Mの蒸煮のための一次蒸気噴射管11が上方側に設置され、次に、二次蒸気噴射管15が下方側に設置されている麺線蒸煮装置において、
蒸気庫から突出する出口部5に設けられた孔部から排出される蒸気を回収し、ドレイン化等した回収水分等の高温の水分を加熱して、二次加熱装置によって再度蒸気化した後に、第二蒸気噴射管15より蒸気庫1内に再度供給する蒸気回収機構を設けること。」
第6 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「過熱蒸気処理する」ことは、その構造や機能からみて、前者の「蒸煮する」ことに相当し、以下同様に、「多段式過熱蒸気処理装置」は「蒸煮装置」及び「三段式蒸煮装置」に、「過熱蒸気処理方法」は「蒸煮方法」に、「入口部」は「入口部」に、「出口部」は「出口部」に、「トンネル型の過熱蒸気処理庫3」は「トンネル型蒸気庫」に、「排気する」ことは「廃棄する」ことに、「第1排気装置33」及び「第5排気装置41」は「蒸気廃棄機構」に、「第1コンベア7及び第2コンベア9」は「2台のコンベア」に、「第1過熱蒸気処理領域11に設けられた複数の過熱蒸気供給管15」は「第一蒸気供給機構」に、「第1過熱蒸気処理領域11」は「第一蒸気供給機構を有する領域」に、「第1水分付与領域17」は「その他の領域」に、「仕切り部材13」は「仕切り部」に、「シャワー18」は「第一水分供給機構」及び「第二水分供給機構」に、「第2過熱蒸気処理領域19に設けられた複数の過熱蒸気供給管15」は「第二蒸気供給機構」に、「第2過熱蒸気処理領域19」は「第二蒸気供給機構を有する領域」に、「第2水分付与領域21」は「その他の領域」に、「飽和蒸気」は「蒸気」に、「付与する」ことは「供給する」ことに、「飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25」は「第三蒸気供給機構」に、「有する」ことは「備えた」ことに、それぞれ相当する。
(2)上記(1)を踏まえると、後者の「両端に入口部及び出口部を有するトンネル型の過熱蒸気処理庫3」は前者の「両端に入口部及び出口部を有するトンネル型蒸気庫」に相当し、以下同様に、「入口部からの蒸気を排気する第1排気装置33と出口部からの蒸気を排気する第5排気装置41」は「前記入口部及び出口部からの蒸気を廃棄する蒸気廃棄機構」に、「過熱蒸気処理庫3の入口部から麺線群を搬入し、搬入された麺線群が過熱蒸気処理庫3の長手方向で一往復を伴い過熱蒸気処理庫3内の上段から下段まで搬送された後に、出口部より麺線群が排出されるよう、三段に設置された第1コンベア7及び第2コンベア9」は「前記蒸気庫の入口部より麺線群を搬入し、搬入された麺線群が蒸気庫内で一往復を経て蒸気庫の下段まで搬送された後、前記蒸気庫の出口部より麺線群が排出されるように、麺線群が三段に搬送されるように設けられた2台のコンベア」に、「上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第1過熱蒸気処理領域11に設けられた複数の過熱蒸気供給管15」は「上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第一蒸気供給機構」に、「第1過熱蒸気処理領域11と次の第1水分付与領域17との間に設けられた仕切り部材13」は「当該第一蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部」に、「第1過熱蒸気処理領域11に続く第1水分付与領域17に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18」は「前記第一蒸気供給後に麺線群に水分を供給する第一水分供給機構」に、「中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための、第2過熱蒸気処理領域19に設けられた複数の過熱蒸気供給管15」は「中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第二蒸気供給機構」に、「第2過熱蒸気処理領域19と次の第2水分付与領域21との間に設けられた仕切り部材13」は「当該第二蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部」に、「第2過熱蒸気処理領域19に続く第2水分付与領域21に設けられ、麺線群に水分を補給するシャワー18」は「前記第二蒸気供給後に水分を供給する第二水分供給機構」に、「下段で搬送される麺線群に飽和蒸気を付与するための、飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25」は「下段で搬送される麺線群に蒸気を供給するための第三蒸気供給機構」に、それぞれ相当する。
(3)後者の「麺線群を過熱蒸気処理するための多段式過熱蒸気処理装置を使用した、麺線群の過熱蒸気処理方法」は、前者の「麺線群を蒸煮するための蒸煮装置を使用した、蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法」と、「麺線群を蒸煮するための蒸煮装置を使用した、麺線群の蒸煮方法」という点で共通し、後者の「多段式過熱蒸気処理装置、を使用した麺線群の過熱蒸気処理方法」は、前者の「三段式蒸煮装置、を使用した蒸気について効率的な麺線群の蒸煮方法」と、「三段式蒸煮装置、を使用した麺線群の蒸煮方法」という点で共通する。
(4)そうすると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「麺線群を蒸煮するための蒸煮装置を使用した、麺線群の蒸煮方法であって、
両端に入口部及び出口部を有するトンネル型蒸気庫と、
前記入口部及び出口部からの蒸気を廃棄する蒸気廃棄機構と、
前記蒸気庫の入口部より麺線群を搬入し、搬入された麺線群が蒸気庫内で一往復を経て蒸気庫の下段まで搬送された後、前記蒸気庫の出口部より麺線群が排出されるように、麺線群が三段に搬送されるように設けられた2台のコンベアと、
上段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第一蒸気供給機構と、
当該第一蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第一蒸気供給後に麺線群に水分を供給する第一水分供給機構と、
中段で搬送される麺線群に過熱蒸気を供給するための第二蒸気供給機構と、
当該第二蒸気供給機構を有する領域をその他の領域と区切る仕切り部と、
前記第二蒸気供給後に水分を供給する第二水分供給機構と、
下段で搬送される麺線群に蒸気を供給するための第三蒸気供給機構を備えた三段式蒸煮装置、を使用した麺線群の蒸煮方法。」
<相違点>
本願発明では、三段式蒸煮装置は「前記蒸気庫内より庫内蒸気を回収する蒸気回収機構と、当該蒸気回収機構による回収蒸気を再加熱する回収蒸気再加熱機構と、当該回収蒸気再加熱機構により再加熱された蒸気を前記第三蒸気供給機構に供給する供給機構」を備え、麺線群の蒸煮方法は「蒸気について効率的」であるのに対し、引用発明では、多段式過熱蒸気処理装置はそのような特定はなく、麺線群の過熱蒸気処理方法はそのような特定はない点。
2 相違点についての判断
引用文献2の【0008】等によれば、引用文献2技術は、効率的に蒸煮をすることを課題にしているところ、例えば、引用文献1の【0020】にも示されるように、引用発明においても、同様の課題を内在していると認められる。
そうすると、引用発明と引用文献2技術は、麺線群の蒸煮という同一の技術分野に属するものであり、課題も共通することから、引用発明において、引用文献2技術を適用する動機付けは十分にあるといえる。
そして、引用発明において、引用文献2技術を適用する場合、引用文献2技術の「蒸気回収機構」によって回収され、再度蒸気化されたものをどこに戻すかについて、その候補は、「第2過熱蒸気処理領域19に設けられた複数の過熱蒸気供給管15」と「飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25」の2つがあり、そのいずれに戻しても、再度蒸気化されたものを再利用するという点で差異はないといえるから、そのうちの後者を選択することは二者択一の事項にすぎず、当業者であれば適宜なし得る程度のことである。
また、引用発明において、引用文献2技術を適用すれば、引用文献2の【0043】に示されるように、蒸気を有効活用でき、省エネルギー化も実現できるのは明らかである。
したがって、引用発明において、引用文献2技術を適用し、引用文献2技術の「蒸気回収機構」によって回収され、再度蒸気化されたものを「飽和蒸気処理領域23に設けられた蒸気供給管25」に戻すことで、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
以上によれば、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-013362