特許拒絶査定不服審判
2023-020084
多目的保持装置およびその使用方法
- 審判番号
- 2023-020084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-517542
- 請求日
- 2023年11月28日
- 審決日
- 2025年02月19日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クリーングリップ エイエス
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】高倉 みゆき
- 審判長/審判官
- 審判長 河端 賢
- 審判官 八木 誠
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P18 .121-Z (A47J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-517542号「多目的保持装置およびその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月5日国際公開、WO2020/09231、令和3年9月30日特許出願公表、特表2021-526073号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)5月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年5月30日 ノルウェー王国)を国際出願日とする出願であって、令和4年5月11日に手続補正書が提出され、令和5年3月31日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月7日に意見書が提出されるとともに、手続補正書が提出されたが、同年7月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年11月28日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明は、令和5年7月7日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
人が製品を保持するために輪郭付けられる装置(1)であって、輪郭付けられる前記装置は、中間部によって離間され且つ前記中間部に接続される2つの対向する側面部(3)を備え、
前記装置(1)は、少なくとも長手方向に長手方向プロファイルの形状を有し、
前記装置(1)は、前記中間部とモノリシックまたは単一の本体を形成し、柔軟で可撓性であり、前記装置(1)の内部に置かれた製品または物体に、保持すべき前記物体の周囲に置かれた前記人の手によって、押し付けることができる2つの脚部またはフランジ(3)を有し、
前記装置(1)は、抗菌性シリコンゴムで形成される、
ことを特徴とする、装置(1)。」
第3 原査定の拒絶理由
原査定における拒絶の理由の概要は、以下の理由を含むものである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1
・引用文献 1、2
<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2005/0160512号明細書
2.特開平2-20559号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1について
(1)記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。また、訳文は当審による訳である。)。
「[0017] The reference number 10 (FIG. 1) generally designates a food holder. The food holder 10 comprises a substantially symmetrical U-shaped body 12 having a pair of opposite digit pockets 14 for accepting fingers or a thumb of a user of the food holder 10 therein and a food pocket 16 located between the digit pockets 14. The digit pockets 14 taper to accept the fingers or thumb placed therein and to frictionally connect the food holder 10 to a hand of the user.・・・」
(訳文:[0017] 参照番号10(図1)は食品ホルダーを示す。食品ホルダー10は、使用者の親指かその他の指を受け入れる一対の向かい合った指ポケット14を有する、実質的に対称的なU字形の本体12と、指ポケット14の間に配置された食品ポケット16を構成する。指ポケット14は、親指やその他の指をその中に受け入れ、食品ホルダー10と使用者の手とを摩擦で接続するように先細である。・・・)
「[0018] The illustrated food holder 10 is made of a flexible material to allow the digit pockets 14 to be moved towards each other to thereby hold food within the food pocket 16. The food holder 10 is preferably molded as a unitary piece of silicone. The food holder 10 is preferably safe to use in a dishwasher daily having temperatures up to at least 180°F. Furthermore, the food holder 10 preferably provides a thermal barrier between food placed in the food pocket 16 and the fingers and thumb placed in the digit pockets 14. Preferably, the food holder 10 provides a thermal barrier of up to 140°F.」
(訳文:[0018] 図で示される食品ホルダー10は、指ポケット14を互いに近づけるようにして、それによって食品ポケット16の中に食品を持てるように柔軟な材料で作られる。食品ホルダー10は、好ましくはシリコーンの単一部材として成形される。食品ホルダー10は、少なくとも180°Fまでの温度となる食器洗浄機で毎日使用するのに安全である。その上、食品ホルダー10は、好ましくは食品ポケット16内の食品と指ポケット14内の指との間の熱バリアを提供する。好ましくは、食品ホルダー10は、140°Fまでの熱バリアを提供する。)
「[0019] ・・・The digit pockets 14 preferably include a bridge section 24 extending therebetween and located behind the food pocket 16. An enlarged lip 26 extends around the opening of the digit pockets 14 and the bridge section 24. The bridge section 24 preferably includes an opening 28 for allowing the food holder 10 to be hung from a hook (not shown).」
(訳文:[0019] ・・・指ポケット14は、好ましくはそれらの間に延びて食品ポケット16の裏に配置されたブリッジ部24を含む。拡大されたリップ26は指ポケット14とブリッジ部24の開口の周りに延びる。好ましくは、ブリッジ部24は食品ホルダー10をフック(図示せず)からつるすための開口28を有する。)
「[0021] As illustrated in FIG. 7, the food holder 10 is used to grab food. Preferably, the food holder 10 is used to grab and cut bread 50. However, the food holder 10 can be used to hold any type of food (e.g., meat).・・・」
(訳文:[0021] 図7に示すように、食品ホルダー10は食品をつかむために使用される。食品ホルダー10は、好ましくは食パン50をつかんで切るために使用される。しかしながら、食品ホルダー10は任意のタイプの食品(例えば肉)をつかむのに利用できる。・・・)
「
[図:0001425192000001.jpg]
」
「
[図:0001425192000002.jpg]
」
(2)認定事項
ア [0017]及び[0021]の記載によれば、食品ホルダー10は、使用者が食品をつかむためのものであることが認められる。
イ [0017]及び[0019]の記載並びに図1の図示内容によれば、食品ホルダー10は、使用者の親指かその他の指を受け入れる一対の向かい合った指ポケット14とこれら指ポケット14の間に延びるブリッジ部24を有する、実質的に対称的なU字形の本体12と、指ポケット14の間に配置された食品ポケット16を構成することが認められる。
ウ [0018]の記載によれば、食品ホルダー10は、指ポケット14を互いに近づけるようにして食品ポケット16の中に食品を持てるように柔軟な材料である、シリコーンの単一部材として成形されることが認められる。
(3)引用発明
上記(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者が食品をつかむための食品ホルダー10であって、
食品ホルダー10は、使用者の親指かその他の指を受け入れる一対の向かい合った指ポケット14とこれら指ポケット14の間に延びるブリッジ部24を有する、実質的に対称的なU字形の本体12と、指ポケット14の間に配置された食品ポケット16を構成し、
指ポケット14を互いに近づけるようにして食品ポケット16の中に食品を持てるように柔軟な材料である、シリコーンの単一部材として成形される、食品ホルダー10。」
2 引用文献2について
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(1)「本発明は、抗菌性シリコーン組成物に関するものであり、さらに詳しくは、・・・食品製造機器又は備品などの製造、加工に好適な抗菌性シリコーン組成物に関するものである。」(1ページ左欄9~14行)
(2)「シリコーンを大別すると、オイル、ゴム、レジンの3つの形態に分けられるが、本発明においては、これらのいずれを用いてもよい。」(3ページ左上欄13~15行)
(3)「本発明においては、これらの中で部分的に橋かけ結合を有するシリコーンゴム(ミラブル型シリコーンゴム及び液状ゴム)又は三次元網目構造をもつシリコーンレジンが好適に用いられる。」(4ページ左上欄6~9行)
(4)「次に、本発明の抗菌性シリコーン組成物における抗菌剤としては、プロテイン銀が用いられる。」(4ページ左上欄18~19行)
3 追加文献1について
当審が追加する特許第3499945号公報(平成16年2月23日発行、以下「追加文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0014】 また、吸着用パッドが食品に触れた場合でも、前記吸着用パッドが抗菌性を有する材料により形成されているため、細菌等の繁殖を抑制することができると共に、前記吸着用パッドが耐熱性を有する材料によって形成されているため、長時間加熱し、又は高温過熱殺菌を行った際においても、前記吸着パッドが熱変形することを防止することができる。」
「【0016】 図1において、参照符号10は、本実施例に係る吸着装置を示す。この吸着装置10は、基本的には、吸着用パッド12およびそれを保持するアダプタ14からなり、吸着用パッド12は、例えば、金、銀、銅、亜鉛またはこれらの化合物の如き抗菌性を有し、且つ、耐熱性のある物質をシリコーンゴム等の耐熱性のある可撓性材料に混入して形成される。この一例として、特公平6-55892号公報に開示された抗菌性シリコーン組成物がある。」
「【図1】
[図:0001425192000003.jpg]
」
4 追加文献2について
当審が追加する特開2011-25984号公報(以下「追加文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0019】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。先ず、図1において、1は防水性及び柔軟性を有する内容器、2は内容器1よりも硬質の外容器である。
【0020】
本例において、内容器1は0.5~1mmの肉厚を有するシリコーンゴム製であり、これには抗菌物質として全重量当たり1~5重量%の銀が含有されている。尚、内容器1は抗菌物質を混合したシリコーンゴム原料を図示せぬ金型に入れて成型後、その成型品を90℃程度でアニーリングして製造されるもので、その硬度(JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ硬度)は60~70である。」
「【0023】
尚、シリコーンゴム製にして箱形に一体成型される内容器1では、高含水量の食品類を収納して水漏れせず、耐油性や耐熱性にも優れるので、天ぷらなどを高温状態のまま収納しても劣化、塑性変形することがなく、しかも冬期などにおいては収納食品類の保温効果も得られる。又、食品類を取り出した内容器1は表裏反転して隅々まで綺麗に洗浄し、繰返して利用することができる。」
「【図1】
[図:0001425192000004.jpg]
」
5 追加文献3について
当審が追加する特開平8-239577号公報(以下「追加文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術とその問題点】シリコーンゴムは食器容器とか各種衛生機器類のチューブ,パッキング、また、各種グリップ,キャップ,ゴム引き布等として多用されている。近年、これらの用途において抗菌特性を付与したシリコーンゴムが要求されており、数多くの抗菌性シリコーンゴム組成物が提案されている。(特開平2-250499号公報,特開平4-239058号公報,特開平5-1226号公報参照)。これら抗菌性シリコーンゴム組成物はシリコーンゴム組成物に各種の抗菌剤を添加配合してその抗菌特性を高めたものである。」
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「使用者」は前者の「人」に相当し、以下同様に、「食品」は「製品」及び「製品または物体」に、「つかむ」ことは「保持する」ことに、「食品ホルダー10」は「輪郭付けられる装置(1)」に、「一対」は「2つ」に、「向かい合った」ことは「対向する」ことに、「指ポケット14」は「側面部(3)」及び「脚部またはフランジ(3)」に、「延びる」ことは「離間され且つ」「接続される」ことに、「ブリッジ部24」は「中間部」に、「本体12」は「本体」に、それぞれ相当する。
また、本願明細書の「保持装置は、装置および保持すべき物体の長手方向と直交する方向に延びる補強リブを備えてもよい。」(【0061】)との記載を参照すると、前者の「長手方向」は保持すべき物体の長手方向でもあると認められ、前者の「長手方向プロファイル」については、本願明細書に、「このプロファイルド装置は、・・・細長く長手方向に伸びる長手方向プロファイルを有するほぼ細長いU字形またはV字形の本体を形成する。」(【0024】)と記載されているところ、後者の「実質的対称的なU字形」は、引用文献1の図7等を参照すると、食パン50等の食品の長手方向に垂直な断面が実質的に対称的なU字形の形状であるから、前者の「長手方向に長手方向プロファイルの形状」に相当する。
(2)上記(1)を踏まえると、後者の「使用者が食品をつかむための食品ホルダー10」は、前者の「人が製品を保持するために輪郭付けられる装置(1)」に相当し、後者の「食品ホルダー10は、」「一対の向かい合った指ポケット14とこれら指ポケット14の間に延びるブリッジ部24を有する」「本体12」「を構成」することは、前者の「輪郭付けられる前記装置は、中間部によって離間され且つ前記中間部に接続される2つの対向する側面部(3)を備え」ることに相当し、後者の「実質的に対称的なU字形の本体12」「を構成」することは、前者の「前記装置(1)は、少なくとも長手方向に長手方向プロファイルの形状を有」することに相当する。
(3)上記(1)を踏まえると、後者の「食品ホルダー10は、」「ブリッジ部24を有する」「本体12」「を構成」すること及び「単一部材として成形される」ことは、前者の「前記装置(1)は、前記中間部とモノリシックまたは単一の本体を形成」することに相当する。
また、後者の「食品を持てるように柔軟な材料である」ことは前者の「柔軟で可撓性であ」ることに相当するから、後者の「食品ホルダー10は、」「一対の」「指ポケット14」「を有する」「本体12」「を構成」すること及び「指ポケット14を互いに近づけるようにして食品ポケット16の中に食品を持てるように柔軟な材料である」ことは、前者の「前記装置(1)は、」「柔軟で可撓性であり、前記装置(1)の内部に置かれた製品または物体に、保持すべき前記物体の周囲に置かれた前記人の手によって、押し付けることができる2つの脚部またはフランジ(3)を有」することに相当する。
(4)後者の「シリコーンの単一部材として成形される」ことは、前者の「抗菌性シリコンゴムで形成される」ことと、シリコーン材料で形成されるという点で共通する。
(なお、シリコンは主に半導体として使用される材料であり、通常ゴムを形成するものではないから、本願発明の「シリコンゴム」は、「シリコーンゴム」の誤記であると認められる。)
そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「人が製品を保持するために輪郭付けられる装置であって、輪郭付けられる前記装置は、中間部によって離間され且つ前記中間部に接続される2つの対向する側面部を備え、
前記装置は、少なくとも長手方向に長手方向プロファイルの形状を有し、
前記装置は、前記中間部とモノリシックまたは単一の本体を形成し、柔軟で可撓性であり、前記装置の内部に置かれた製品または物体に、保持すべき前記物体の周囲に置かれた前記人の手によって、押し付けることができる2つの脚部またはフランジを有し、
前記装置は、シリコーン材料で形成される、装置。」
<相違点1>
シリコーン材料について、本願発明では、「抗菌性シリコンゴム」であるのに対し、引用発明は、そのような特定はない点。
2 相違点についての判断
食品を扱う装置や道具等に抗菌性シリコーンゴムを使用することは、本願の優先日前の周知技術(例えば、引用文献2(上記「第4 2」)、追加文献1(上記「第4 3」)、追加文献2(上記「第4 4」)及び追加文献3(上記「第4 5」)等参照。)にすぎず、シリコーンゴムが優れた耐熱性を有することは技術常識(例えば、追加文献1の【0016】、追加文献2の【0023】等参照。)である。
そして、引用発明は食品をつかむためのものであることから、抗菌性は考慮すべき内在する課題の1つであることは明らかであり、引用文献1には、「食品ホルダー10は、少なくとも180°Fまでの温度となる食器洗浄機で毎日使用するのに安全である。・・・好ましくは、食品ホルダー10は、140°Fまでの熱バリアを提供する。」([0018])と記載され、高温での使用が示唆されていることから、引用発明において、上記周知技術を適用して、シリコーンを抗菌性シリコーンゴムとすることで、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願発明の奏する効果は、引用発明、上記周知技術及び上記技術常識から、当業者が予想し得る程度のものであり、格別なものとは認められない。
3 請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、引用文献1、2には、抗菌性シリコーンゴムについて記載されていないから、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用しても本願発明(請求項1に係る発明)とはならず(以下「主張1」という。)、また、本願発明はフライパンやオーブンで加熱された肉やパンのような熱い物体を取り扱うことが課題であるところ、引用文献1には、少なくとも180°F(約82℃)までの温度となる食器洗浄機で毎日使用するのに安全であり、好ましくは140°F(約60℃)までの熱バリアを提供すると記載されており、フライパンやオーブンで加熱された肉やパンのような熱い物体を取り扱うことは示唆されておらず、むしろ、82℃程度までの高温に耐えられれば十分であるとも考えられ、引用発明のシリコーンをあえて耐熱性が高いシリコーンゴムにすることは困難であるから(以下「主張2」という。)、原査定は取り消されるべきである旨主張する。
(2)請求人の主張についての検討
まず、主張1について検討する。
上記「第4 2」で示したように、引用文献2には、抗菌性シリコーンゴムが記載されている。
また、原査定では、拒絶理由について、本願発明は、引用発明及び周知技術(引用文献2参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨判断しているところ、上記2で説示したように、該判断に誤りは見いだせない。
よって、請求人の主張1は当を得たものとはいえない。
次に、主張2について検討すると、請求人の主張の根拠となるのは、引用文献1の「食品ホルダー10は、少なくとも180°Fまでの温度となる食器洗浄機で毎日使用するのに安全である。・・・好ましくは、食品ホルダー10は、140°Fまでの熱バリアを提供する。」([0018])との記載であると認められるところ、該記載では、「少なくとも」という語句を使用していることから、むしろ180°Fより高い温度で使用することも想定していると認められる。そして、そもそも、引用文献1の図7のようにカットされる食品は、必ずしも加熱されたものだけではないところ、[0018]では、わざわざ加熱されたものについて言及していることから、引用文献1では、食品ホルダー10はある程度以上の耐熱性をすることが好ましいことが示唆されていると解するのが相当である。
また、そもそも、本願発明は、その構成として、耐熱性や耐熱温度について何ら特定されていないから、請求人の主張2は、本願発明の構成に基づくものとは認められない。
よって、請求人の主張2も当を得たものとはいえない。
以上によれば、請求人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術(引用文献2及び追加文献1~3等参照。)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-020084