特許拒絶査定不服審判
2015-014785
単一チャンバの二重電極放電チャンバ及びエキシマレーザー
- 審判番号
- 2015-014785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-501423外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年08月06日
- 審決日
- 2016年10月19日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】北京科益虹源光電技術有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01S)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-501423「単一チャンバの二重電極放電チャンバ及びエキシマレーザー」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/127111、平成26年 5月 1日国内公表、特表2014-511036〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯明
本願は、2012年3月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月2日、中国)を国際出願日とする出願であって、平成26年7月29日付けで拒絶理由が通知され、同年11月5日に特許請求の範囲の補正がなされたが、平成27年4月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲の補正がなされ、当審において、平成28年2月17日付けで拒絶理由が通知され、同年5月23日に特許請求の範囲の補正がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成28年5月23日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「単一チャンバの二重電極放電チャンバであって、
筐体であって、対称の2室構成のチャンバになるように配置された左チャンバと右チャンバとを含み、それらチャンバの各々は、上部が小さく下部が大きな梨の断面形状を有しており、前記左右のチャンバの前記各下部は放電チャンバ全体の対称面において隣接して連通しており、前記左右のチャンバの前記各上部は独立した対称構造として配置されている、該筐体と、
2セットの主放電電極であって、各主放電電極は前記左右のチャンバの前記各上部内にそれぞれ配置されており、かつ、放電領域がそれぞれ前記左右のチャンバの各上部内の前記梨の頂点に対応した領域に位置する、該2セットの主放電電極と
を具えたことを特徴する単一チャンバの二重電極放電チャンバ。」
3.引用例
一方、当審において平成28年2月17日付けで通知された拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である実願昭59-4247号(実開昭60-118261号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、図とともに以下の記載がある(下線は当審による)。
ア 「レーザ媒体を封入した密封容器1内には陰極12、陽極13からなるグロー放電部4、熱交換器11、送風器10から成り電極間を循環通過するガス流路6が配設され、密封容器1の両端に設けられた半透過鏡7、全反射鏡8により放電方向およびガス流方向に相直交するジグザグ状の共振光路5が形成され、半透過鏡7からレーザ光が出力される。」(第2頁第2~9行)
イ 「以下本考案の実施例を第3図、第4図により説明する。第3図は本考案の一実施例を示すガス循環形3軸直交ガスレーザ発生装置の平面図、第4図はII-II断面図で、レーザ媒体を封入した気密容器1内には2組のグロー放電部4a、4bが対称に配設され、ガス流路6は前記グロー放電部を各々外側から内側に向かつて循環通過するように構成され、気密容器1の両端に設けられたミラーにより2組のグロー放電部を循環貫通する矩形渦巻状の共振光路が形成される。2組のグロー放電部へ各々外側から流入し加熱された高温ガスは熱交換器11により冷却され、送風機10により再び放電部へ循環する。」(第4頁第5~17行)
ウ 第4図は以下のものである。
「
」
エ 上記ウの第4図によれば、グロー放電部4a、4bは、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の上部に左右対称に配設され、送風機10は、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の下部に左右対称に2組設けられ、左側のグロー放電部4aを外側から内側に向かって通過するガス流路6は、左側の送風機10により、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分においてガスが循環するように構成され、また、右側のグロー放電部4bを外側から内側に向かって通過するガス流路6は、右側の送風機10により、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分においてガスが循環するように構成され、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分と右側の部分は、左右対称であり、両ガス流路6は、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の中心部において接するように構成されていると認められる。
上記イ、エによれば、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「レーザ媒体を封入した気密容器1であって、
気密容器1内に2組のグロー放電部4a、4bが対称に配設され、ガス流路6が前記グロー放電部を各々外側から内側に向かつて循環通過するように構成され、2組のグロー放電部へ各々外側から流入し加熱された高温ガスは、熱交換器11により冷却され、送風機10により再び放電部へ循環するようになっており、
前記グロー放電部4a、4bは、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の上部に左右対称に配設され、前記送風機10は、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の下部に左右対称に2組設けられ、左側のグロー放電部4aを外側から内側に向かって通過するガス流路6は、左側の送風機10により、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分においてガスが循環するように構成され、また、右側のグロー放電部4bを外側から内側に向かって通過するガス流路6は、右側の送風機10により、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分においてガスが循環するように構成され、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分と右側の部分は、左右対称であり、両ガス流路6は、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の中心部において接するように構成されているレーザ媒体を封入した気密容器1。」
4.対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間」は、「左側のグロー放電部4aを外側から内側に向かって通過するガス流路6」と「右側のグロー放電部4bを外側から内側に向かって通過するガス流路6」が接するようにされており、「レーザ媒体が封入される空間」としては1つの空間であると認められるから、本願発明の「単一チャンバ」に相当する。
また、引用発明において、「2組のグロー放電部4a、4b」が配設されており、「グロー放電部」は、引用例に上記3.アのごとく記載されるように「陰極12、陽極13からなる」から、引用発明の「2組のグロー放電部4a、4b」が配設された「レーザ媒体を封入した気密容器1」は、本願発明と同様に「単一チャンバの二重電極放電チャンバ」といえる。
(2)引用発明の「密封容器1」は、内部にレーザ媒体を封入しているから「筐体」であるといえる。そして、引用発明の「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分」及び「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分」がそれぞれ、本願発明の「左チャンバ」及び「右チャンバ」に相当するところであり、引用発明において、「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分と右側の部分は、左右対称であり」、「両ガス流路6は、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の中心部において接するように構成されている」から、本願発明と引用発明は、「筐体であって、対称の2室構成のチャンバになるように配置された左チャンバと右チャンバとを含み、それらチャンバは、放電チャンバ全体の対称面において隣接して連通している、該筐体」を具える点で一致する。
(3)引用発明は、「気密容器1内に2組のグロー放電部4a、4bが対称に配設され」たものであり、「グロー放電部」は、上記(1)で指摘したように「陰極12、陽極13からなる」ものであり、これらの電極は、本願発明の「主放電電極」に相当するから、引用発明は、本願発明と同様に「2セットの主放電電極」を具えるものといえる。
また、引用発明において、「前記グロー放電部4a、4bは、密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の上部に左右対称に配設され」、グロー放電部4a及び4bは、それぞれ、「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分においてガスが循環」する「ガス流路6」及び「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分においてガスが循環」する「ガス流路6」に配設されているから、本願発明と引用発明は、「2セットの主放電電極であって、各主放電電極は前記左右のチャンバの前記各上部内にそれぞれ配置されており、かつ、放電領域がそれぞれ前記左右のチャンバの各上部内に位置する、該2セットの主放電電極」を具える点で一致する。
(4)以上のことから、両者は、
「単一チャンバの二重電極放電チャンバであって、
筐体であって、対称の2室構成のチャンバになるように配置された左チャンバと右チャンバとを含み、それらチャンバは、放電チャンバ全体の対称面において隣接して連通している、該筐体と、
2セットの主放電電極であって、各主放電電極は前記左右のチャンバの前記各上部内にそれぞれ配置されており、かつ、放電領域がそれぞれ前記左右のチャンバの各上部内に位置する、該2セットの主放電電極と
を具えた単一チャンバの二重電極放電チャンバ。」の点で一致する。
(5)一方、両者は、次の点で相違する。
本願発明は、「チャンバの各々は、上部が小さく下部が大きな梨の断面形状を有しており、前記左右のチャンバの前記各下部は放電チャンバ全体の対称面において隣接して連通しており、前記左右のチャンバの前記各上部は独立した対称構造として配置されて」おり、「放電領域が前記梨の頂点に対応した領域」に位置するというものであるのに対し、引用発明は、このようなものでない点(以下「相違点」という)。
5.判断
上記相違点について検討する。
引用発明の「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分」及び「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分」の断面形状は、当業者が適宜に設定し得る設計的事項である。
そして、ガス流路を構成するレーザ媒体が封入される空間の断面形状を「上部が小さく下部が大きな梨の断面形状」とすることは、例えば、当審拒絶理由で引用された本願優先日前に頒布された刊行物である特開昭61-90485号公報(第9図参照)、同じく実願昭62-51044号(実開昭63-157965号)のマイクロフィルム(第2図及び第4図参照)及び同じく特開2000-315831号公報(図13参照)に見られるように周知の事項であるから、引用発明において、「ガス流路6」を形成する「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分」及び「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分」を本願発明のごとく「上部が小さく下部が大きな梨の断面形状を有」するものとすることに格別の困難性は認められない。
ここで、引用発明において、「ガス流路6」を形成する「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の左側の部分」及び「密封容器1内のレーザ媒体が封入される空間の右側の部分」の断面形状を上記周知のものとすれば、隣接して連通する部分が空間の下部となること、また、その上部が独立した対称構造となること、また、放電領域が梨の頂点に対応した領域に位置することになることは明らかであって、結局、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、引用発明において、ガス流路6を形成する空間の形状を上記周知の形状とすることにより当業者が容易になし得たものと認められる。
したがって、上記相違点に係る本願発明の構成は、周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明によって当業者が予期し得ない格別顕著な効果が奏されるとは認められない。
以上のことから、本願発明は引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6.むすび
以上のとおりであって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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