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特許拒絶査定不服審判

2014-026632

ネットワークにおいて通信するための方法

審判番号
2014-026632
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-507863外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2014年12月26日
審決日
2016年11月08日
公報発行日
2017年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (H04J) / P18 .537-WZ (H04J) / P18 .121-WZ (H04J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-507863「ネットワークにおいて通信するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月 4日国際公開,WO2010/125503,平成24年10月22日国内公表,特表2012-525757〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2010年4月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年4月30日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,平成26年8月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月26日に拒絶査定不服審判が請求され,その後,当審より,平成28年4月13日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,これに対し,同年10月7日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし11に係る発明は,平成28年10月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものと認められる。 そして,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「 プライマリ局及び少なくとも1つのセカンダリ局を有するネットワークにおいてセカンダリ局を動作させる方法であって,前記プライマリ局は複数の送信アンテナを有し,前記セカンダリ局は複数の受信アンテナを有し,当該方法は, 前記プライマリ局から第1通信スキームの特性を受信し, 前記第1通信スキームの特性が用いられるという仮定及び前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間のチャネルに基づいて受信ベクトルを得て, 前記チャネル及び前記受信ベクトルを用いた後処理の結果に基づいて結合チャネルを推定し, 第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定し, 前記CSI情報を前記プライマリ局に送信する,方法。」 第3 当審拒絶理由 当審拒絶理由の概要は,次のとおりである。 「                理 由 1.(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(サポート要件)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 3.(実施可能要件)この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(明確性)について (1)請求項1,5,7,9,12及び14の記載において,「第1通信スキームの特性」及び「第2通信スキームの特性」の定義,すなわち,各「通信スキームの特性」が,「通信スキーム」に関するどのような事物であるのかについて,明細書及び図面の記載を参酌しても不明である。 なお,「特性」という語は,明細書の段落【0034】に「無線チャネルの特性」,段落【0035】に「受信機特性」とあるが,いずれも「通信スキーム」との関係について記載も示唆もない。 また,出願時の技術常識を考慮しても,「通信スキームの特性」は, ア 「通信スキーム」として「第1の通信スキーム」を用いているか「第2の通信スキーム」を用いているかといった,「通信スキーム」の種類を意味する, イ 各「通信スキーム」に用いられるパラメータ,又は, ウ 各「通信スキーム」を用いた場合に得られる効果, のいずれであるのか不明である。 また,上記イである場合には,「プライマリ局」又は「セカンダリ局」のいずれが用いるいかなるパラメータであるのか不明である。(パラメータによって技術的な性質が異なるため,明確でなければならない。) (…中略…) (5)請求項1,5,7,9,12及び14の記載において,「第2通信スキームの特性」を「仮定」するとは,どのような処理または状態であるのか不明である。 また,「第2通信スキームの特性を仮定」して,かつ,「第1通信スキームの特性」に基づいて推定された「結合チャネル」に応じて,「CSI情報」を「決定」するとは,どのような処理であるのか不明である。 これらについて,明細書及び図面には明確性を裏付ける記載はなく,また,出願時の技術常識から自明ともいえない。 (…中略…) よって,従属項も含め,請求項1ないし16に係る発明は,明確でない。 ●理由2(サポート要件)について (…中略…) (3)請求項1,5,7,9,12及び14の記載において,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することは,明細書及び図面には記載も示唆もなく,出願時の技術常識から自明ともいえないか,あるいは,明細書及び図面に記載したどの事物に対応するのか不明である。 よって,従属項も含め,請求項1ないし16に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものではない。 ●理由3(実施可能要件)について (…中略…) (3)請求項1,5,7,9,12及び14に関し,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することが,どのような処理であるのか,及び,どのように実現するのかについて,明細書及び図面には,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載していない。 (…中略…) よって,発明の詳細な説明は,当業者が従属項も含めた請求項1ないし16に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (以下省略)」 そうすると,当審拒絶理由の趣旨は,次のとおりである。 ・[理由A](当審拒絶理由の理由1(1)に相当。) 本願発明は,「第1通信スキームの特性」及び「第2通信スキームの特性」の定義,すなわち,各「通信スキームの特性」が,「通信スキーム」に関するどのような事物であるのか不明であるので,発明が明確ではなく,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 ・[理由B](当審拒絶理由の理由1(5)に相当。) 本願発明は,「第2通信スキームの特性」を「仮定」するとは,どのような処理または状態であるのか不明であるとともに,「第2通信スキームの特性を仮定」して,かつ,「第1通信スキームの特性」に基づいて推定された「結合チャネル」に応じて,「CSI情報」を「決定」するとは,どのような処理であるのか不明であるので,発明が明確ではなく,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 ・[理由C](当審拒絶理由の理由2(3)に相当。) 本願発明において,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することは,明細書及び図面には記載されておらず,本願発明は,発明の詳細な説明に記載したものではないから,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 ・[理由D](当審拒絶理由の理由3(3)に相当。) 本願発明において,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することが,どのような処理であるのか,及び,どのように実現するのかについて,明細書及び図面には,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載していないから,発明の詳細な説明は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 当審拒絶理由についての当審の判断 以下,当審拒絶理由の判断の妥当性について検討する。 1 [理由A]について 本願発明において,「第1通信スキームの特性」は,「プライマリ局」から「セカンダリ局」に送信され,その「仮定」の下で,「受信ベクトル」が得られ(決定され)る情報であり,「第2通信スキームの特性」は,その「仮定」の下で,「CSI情報」が決定される情報であることまでは把握できる。しかしながら,各「通信スキームの特性」が,「通信スキーム」に関するどのような事物であるのか,すなわち,具体的にはどのような情報であるのか,文言上明確ではないので,明細書及び図面の記載を参酌することとする。 しかしながら,明細書及び図面には「通信スキームの特性」の定義のみならず,「通信スキームの特性」という語句自体が存在しない。なお,「特性」という語句は,明細書の段落【0034】に「無線チャネルの特性」との記載があり,段落【0035】に「受信器特性」との記載があるが,前記「無線チャネルの特性」は,セカンダリ局からプライマリ局に送信されるチャネル状態情報(CSI)レポートに記述する情報として記載されており,また,前記「受信器特性」は,受信器すなわちセカンダリ局の特性を意味するものであるから,いずれも,本願発明の「通信スキームの特性」に相当しないことが明らかである。 また,「通信スキーム」の種類が複数存在すること,「通信スキーム」が種々のパラメータを使用して実現されること,及び,「通信スキーム」の種類及びパラメータの組み合わせにより種々の効果(性能)が得られることは,いずれも本願の出願時における技術常識であるところ,本願発明の「通信スキームの特性」としては, ア 「通信スキーム」として「第1の通信スキーム」を用いているか「第2の通信スキーム」を用いているかといった,「通信スキーム」の種類を意味する, イ 各「通信スキーム」に用いられるパラメータ,又は, ウ 各「通信スキーム」を用いた場合に得られる効果, が想定され得るが,このいずれであるのか不明である。 仮に,前記イである場合には,どのようなパラメータであるのかも不明である。 請求人は,平成28年10月7日付けの意見書において, 「(1)通信スキームの幾つかの考えられる特性は,(ア)または(イ)であり,プリコーディング・ベクトル,MIMOモード(例えば,マルチ・ユーザMIMO),使用されるアンテナの数(段落0032),データ速度,変調及び符号化スキーム(MCS)値(段落0035)が明細書中で言及されております。 無線チャネルの特性及び受信機特性と通信スキームとの間の関係は,(例えばCQIの形で)達成可能なデータ速度を決定するために,それらに関する何らかの情報または仮定が必要とされることであり,これは技術常識であると考えられます。」 と主張している。 この主張のうち「通信スキームの幾つかの考えられる特性は,(ア)または(イ)であり,」は,「通信スキームの特性」が,前記したア(「通信スキーム」の種類)またはイ(各「通信スキーム」に用いられるパラメータ)のいずれかであるとの趣旨であるが,「通信スキーム」の種類と,「通信スキーム」に用いられるパラメータとは,技術的に概念が異なるから,その両者を択一的に含む本願発明は,明確とはいえない。 また,請求人は,「プリコーディング・ベクトル,MIMOモード(例えば,マルチ・ユーザMIMO),使用されるアンテナの数(段落0032),データ速度,変調及び符号化スキーム(MCS)値(段落0035)が明細書中で言及されております。」と主張することにより,上記イの各「通信スキーム」に用いられるパラメータが,プリコーディング・ベクトル,MIMOモード,アンテナの数,データ速度,変調および符号化スキーム(MSC)値といったものであることを示唆しているが,明細書及び図面には,これらのパラメータが,プライマリ局からセカンダリ局へ送信されるもの(「第1の通信スキームの特性」)であること,及び,「受信ベクトル」または「CSI情報」を取得ないし決定するために「仮定」されるものであることは,記載も示唆もされておらず,かつ,そのことが,本願の出願時における技術常識であるともいえない。 すなわち,請求人による当該主張(示唆)は,明細書及び図面の記載並びに本願の出願時における技術常識にサポートされるものではないから,妥当ではない。 なお,無線チャネルの特性または受信機特性が,本願発明の「通信スキームの特性」に相当しないことは,前述したとおりであり,また,請求人の主張「無線チャネルの特性及び受信機特性と通信スキームとの間の関係は,(例えばCQIの形で)達成可能なデータ速度を決定するために,それらに関する何らかの情報または仮定が必要とされることであり,これは技術常識であると考えられます。」は,「通信スキームの特性」を具体的に明らかとするものではないから,採用することができない。 よって,[理由A]に関する請求人の主張は,いずれも採用することができない。 したがって,本願発明は,「第1通信スキームの特性」及び「第2通信スキームの特性」の定義,すなわち,各「通信スキームの特性」が,「通信スキーム」に関するどのような事物であるのか不明であるので,発明が明確ではなく,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2 [理由B]ないし[理由D]について [理由B]ないし[理由D]はいずれも,本願発明の構成のうち,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することに関する拒絶の理由であるから,まとめて判断する。 事案に鑑みて,まず,[理由C](特許法第36条第6項第1号要件違反)について判断する。 本願発明は,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」するものであり,「前記推定された結合チャネル」は,「前記第1通信スキームの特性が用いられるという仮定及び前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間のチャネルに基づいて受信ベクトルを得て,前記チャネル及び前記受信ベクトルを用いた後処理の結果に基づいて」推定されるものである。そうすると,「CSI情報」は,「第1の通信スキームの特性」を仮定して推定された「結合チャネル」に応じて,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されるものといえる。 ここで,「CSI」に関して,明細書には,次のような記載がある。 (1)「【0004】 マルチ・ユーザMIMO(MU-MIMO)は先進のMIMOであり,局が同じ帯域において同時に複数のユーザと通信することを可能にする。本発明の例示的な実施の形態において,移動通信ネットワークは,複数のプライマリ局アンテナ及び複数のセカンダリ局アンテナを用いることにより,MIMOストリームを有する複数のセカンダリ局(移動局,又はユーザ機器すなわちUE)と同時に通信することができるプライマリ局(基地局又はNodeB若しくはeNodeB)を有する。ストリームを形成するために,セカンダリ局は,プライマリ局にCSI(チャネル状態情報)フィードバックを送信することによって,チャネルの状態に関連する情報をプライマリ局に提供する。そのようなCSIは,プライマリ局によって送信される対応する空間的に分離可能なデータ・ストリームの達成可能なデータ速度を最大にするために用いられる最適な又は少なくとも好ましいプリコーディング・ベクトルを示す。このプリコーディング・ベクトルは,セカンダリ局アンテナに向けてデータ・ストリームを導くために送信の間プライマリ局の各々のアンテナ・ポートに適用される1セットの複素数値であることができる。」 (2)「【0033】 この例において,推定は,後処理又は後符号化(post coding)係数及び実際のチャネル利得(すなわち送信の間のチャネル送信条件)に基づいて計算されることができる。本発明の特別な例では,これらの推定は,実際のチャネル条件と後処理係数との積に基づく。これらの推定は,チャネル品質インジケータ(CQI)をさらに含むことができるチャネル状態情報(CSI)レポートにおいてプライマリ局に送信されることができる。 【0034】 チャネル状態情報(CSI)レポートは,無線チャネルの特性を記述する情報を有し,一般的に,1つ以上の送信アンテナと1つ以上の受信アンテナとの間の複素伝達関数行列を示す。」 (3)「【0036】 この例の変形例において,後処理係数は,空間ストリームの各々のためのリファレンス・シンボルの推定から,セカンダリ局において得られる。これは,プライマリ局からの必要とされるシグナリング量を低減することを可能にする。しかしながら,この例の変形例において,セカンダリ局によって用いられる後処理係数は,プライマリ局によって明示的に通知される。実際に,プライマリ局は,これらの係数の推定を担当する。これは,全ての計算がプライマリ局によって行われる必要があるので,セカンダリ局の複雑度を低減することを可能にする。そのような例において,セカンダリ局は,係数の特別なセットで達成される受信の品質をフィードバックすることができる。Vベクトルは,プライマリ局が送信モードを調整して又は選択された送信スキームを変更さえすることを可能にするために,CSI中でプライマリ局にフィードバックされることができることに留意する必要がある。」 前記記載(1)には,「CSI」は,セカンダリ局からプライマリ局にフィードバックされる情報であって,複素数値であるプリコーディング・ベクトルを示すものであることが記載されているものの,「CSI」が,どのように決定されるのか,特に,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されることは記載していない。 前記記載(2)は,実際のチャネル条件と後処理係数との積に基づいて,「推定」を計算し,当該「推定」が,「チャネル状態情報(CSI)レポート」においてプライマリ局に送信されること,「チャネル状態情報(CSI)レポート」が,無線チャネルの特性を記述する情報(複素伝達関数行列)を有することが記載されているものの,「CSI情報」又は「推定」が,「第1の通信スキームの特性」を仮定して推定された「結合チャネル」に応じて,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されることは,記載していない。 前記記載(3)は,「後処理係数」が,プライマリ局から明示的にセカンダリ局に通知される例において,セカンダリ局が,CSI中で,Vベクトルをフィードバックすることが記載されているものの,「CSI」または「Vベクトル」が,どのように決定されるのか,特に,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されることは記載していない。 よって,本願発明において,「CSI情報」が,「第1の通信スキームの特性」を仮定して推定された「結合チャネル」に応じて,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されることは,発明の詳細な説明には記載されていない。 請求人は,前記意見書において, 「3)段落0034には「チャネル状態情報(CSI)レポートは,無線チャネルの特性を記述する情報を有し,1つ以上の送信アンテナと1つ以上の受信アンテナとの間の複素伝達関数行列を示す」と記載されており,複数の送受信アンテナ間の複素伝達関数により示される無線チャネルが結合チャネルを表すことは当業者にとって自明であると思料いたしますので,推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定することは明細書の記載されております。」 と主張するものの,当該段落【0034】の記載から,「CSI情報」が,「第1の通信スキームの特性」を仮定して推定された「結合チャネル」に応じて,「第2通信スキームの特性」を仮定して決定されることを導き出し得ることの根拠については何ら述べていない。 よって,当該主張は,採用することができない。 次に,[理由B](特許法第36条第6項第2号要件違反)及び[理由D](特許法第36条第4項第1号)について判断する。 本願発明において,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することは,[理由C]に関して述べたように,そもそも,発明の詳細な説明には記載されていない。そして,「第2通信スキームの特定」を仮定して,「CSI情報を決定」すること,及び,「前記推定された結合チャネル」すなわち,「第1通信スキームの特性を仮定」して推定された「結合チャネル」に応じて「CSI情報を決定」することは,いずれも,どのような処理であるのか,本願の出願時の技術常識を考慮しても明確ではない。 請求人は,前記意見書において, 「(5)CQIおよび他のチャネル状態情報を決定するための適切な手順および定義は,通信規格,例えば3GGP TS36.213のセクション7.2.3から周知です。」 と主張している(当該主張において,「3GGP」は「3GPP」の誤記と認める。)が,本願の出願日の直近(2010年3月)に公知となっている3GPP TS36.213のバージョンV.9.1.0(以下,「TS36.213文書」という。)のセクション7.2.3には,「Channel quality indicator (CQI) definition」(当審仮訳:チャネル品質インジケータ(CQI)定義」のタイトルが付されているように,「CQI」に関して記載するものであって,「CSI情報」に関して記載するものではない。仮に,当該「CQI」が,本願の明細書の段落【0033】に記載のように,「チャネル状態情報(CSI)レポート」において送信されるものであることを前提とし,「CQI」が「CSI情報」に含まれる概念であるとしても,TS36213文書には,セクション7.2.3以外の記載箇所を参酌しても,「第2通信スキームの特定」を仮定して,「CSI情報を決定」すること,及び,「CQI」又は「チャネル状態情報(CSI)レポート」が,「第1通信スキームの特性を仮定」して推定された「結合チャネル」に応じて「CSI情報を決定」することが,どのような処理であるのかを明らかとする記載はない。 よって,請求人の主張は,採用することができない。 そして,本願の明細書及び図面には,「第2通信スキームの特性を仮定して,前記推定された結合チャネルに応じて,CSI情報を決定」することは記載されておらず,かつ,そのことが本願の出願時の技術常識を考慮してもどのような処理であるのか明確とはいえないことから,発明の詳細な説明は,当業者が本願発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載していないことが明らかである。特に,「仮定」する「第2通信スキームの特性」として,どの「通信スキームの特性」を選択するのか,及び,「第1の通信スキームの特性」を「仮定」して推定された「結合チャネル」に応じて,異なる「第2通信スキームの特性」を「仮定」して,「CSI情報」を決定するための原理(アルゴリズム,計算式等)は,明細書及び図面には記載も示唆もなく,本願の出願時における技術常識から自明ということもできない。 請求人は,前記意見書において,「(3)上記拒絶理由2の(3)の意見の内容をご参照ください。」と述べるに留まっており,具体的な主張をしていないから,当該主張は,採用することができない。 3 小括 よって,[理由A]ないし[理由D]は,いずれも解消していない。 第5 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。 また,本願は,本願発明に関し,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。 したがって,本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2014-026632

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