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特許拒絶査定不服審判

2014-019932

アナログからデジタルへの変換ステージおよび2つ以上のアナログ信号をデジタル化するための位相同期方法

審判番号
2014-019932
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-527044外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2014年10月03日
審決日
2017年01月26日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G01F) / P18 .537-WZ (G01F) / P18 .536-WZ (G01F) / P18 .161-WZ (G01F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-527044「アナログからデジタルへの変換ステージおよび2つ以上のアナログ信号をデジタル化するための位相同期方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 1日国際公開、WO2012/026941、平成25年 9月19日国内公表、特表2013-536446〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許出願: 平成22年8月27日(国際出願) 拒絶理由通知: 平成26年1月22日(発送日:同年同月28日) 手続補正: 平成26年4月24日 意見書:  平成26年4月24日 拒絶査定: 平成26年5月30日(送達日:同年6月3日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成26年10月3日 手続補正: 平成26年10月3日 拒絶理由通知: 平成27年5月19日(発送日:同年同月26日) 手続補正: 平成27年8月24日 意見書:  平成27年8月24日 拒絶理由通知: 平成27年11月30日(発送日:同年12月1日) 手続補正: 平成28年3月1日 意見書:  平成28年3月1日 拒絶理由通知: 平成28年7月28日 (発送日:同年8月2日、以下、「当審拒絶理由」という。) 手続補正: 平成28年10月25日(以下、「本件補正」という。) 意見書:  平成28年10月25日(以下、「本件意見書」という。) 第2 当審拒絶理由 当審拒絶理由の理由3の内容は、概略、以下のとおりである。 「3 本件出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 上記「理由1について」において述べたとおり、4つ以上のADCを有する本願の請求項1ないし10に係る発明は、どのようにして実施されるのかが不明ではあるが、仮に、これらが3つのADCを有するものと同様の動作を行うものとして以下検討する。 記 引用文献1:特表平10-503017号公報 引用文献2:米国特許出願公開第2008/0156108号明細書 請求項1-10 ・備考 測定に用いられるADCに加えて3つ目のADCを切り替えて用いることにより位相ドリフト値を生成し、位相差測定の補償を行うようにしたADCステージは、引用文献1(特に図2及びその説明を参照のこと。レベル検知器から出力を行うチャンネルA,B,Cの各々が、本願発明のADCに相当する構成を含むものと認められる。)や引用文献2(特にFig.3、Fig.4及びその説明を参照のこと。)にも記載されているように周知技術である。 (略) また、請求項1に係る発明(物の発明)を方法発明とする請求項6に係る発明についても同様である。さらに、引用例1に記載のものもコリオリ流量計用のものであって、請求項2ないし5、及び請求項7ないし10に係る発明のようにすることは、格別なことではない。」 第3 本願発明 本願の請求項1ないし22に係る発明は、本件補正によって補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するADCステージ(300)であって、 2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上のADCであって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上のADC(303、305、307)と、 前記3つ以上のADC(303、305、307)と結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイス(330)とを備えた、ADCステージ(300)。」(以下「本願発明」という。) 第4 引用文献記載の事項・引用発明 (引用文献1・引用発明1) 当審拒絶理由において引用された、特表平10-503017号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「コリオリ流量計用ノイズ低減フィルタ・システム」(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(g)が図面とともに記載されている。 (a) 「 発明の分野 本発明は、フィルタ・システムに関し、更に特定すれば、コリオリ流量計用ノイズ低減フィルタ・システムに関するものである。」(第8頁第3行~同第5行) (b) 「第2図の説明 第2図は、第1図の流量計電子回路20を含む回路を開示する。・・・ また、流量計電子回路20は流量測定回路23を含み、その左側で、経路165L、165Rを通じてセンサ170L、170Rに接続され、センサ出力信号を受信する。測定回路23が受信し処理してプロセス物質に関する精度の高い情報を得るのは、入力情報となるこれら2つのセンサ出力信号間の位相差である。入力信号165L、165Rはマルチプレクサ31に印加され、その出力は経路45、55、65によってチャンネル44、54、64(チャンネルA、C、B)の入力にそれぞれ接続される。チャンネルは、以下に記載するように動作しセンサ信号を処理して、カウンタ74、76の動作を制御する。カウンタ74、76の出力はセンサ出力信号間の位相差を表わす。 カウンタ74、76の出力は経路87を通じてマイクロプロセッサ80に印加され、以下に記載するように機能して、プロセス物質についての所望の情報が得られる。得られた情報は経路91を通じて出力回路90に印加される。出力回路90は、導体263および262を通じて、所望のプロセス物質出力情報を導体26に印加する。カウンタ74、76ならびにマルチプレクサ31の動作は、以下に記載するように、制御論理72によって制御される。 チャンネルA、B、Cの各々は、多極フィルタ、積分増幅器および少なくとも1つのレベル検知器を内蔵する。各チャンネル内の多極フィルタの出力は、当該チャンネルの積分増幅器に印加され、一方、その出力はレベル検知器に印加される。レベル検知器の出力はカウンタ74、76に印加され、カウンタ74、76は、検知器出力における対応する変化の間に生じるクロック・パルスによりタイミング間隔を測定する。カウンタの出力はΔt値であり、処理流体の質量流量と共に変動する。得られたΔt値およびカウント値は経路87を通じてマイクロプロセッサ80に印加され、マイクロプロセッサ80はこの情報に応答して質量、体積流量ならびに密度を計算し、プロセス物質に関する所望の出力情報を発生する。 チャンネル44、54、64に内蔵されている回路は、プロセッサ80によって発生される質量情報に位相誤差を注入する可能性がある。各チャンネルの回路は、多極フィルタの入力からレベル検知器までにおいて測定される異なる量の内部位相遅れを有するだけでなく、この位相遅れには温度依存性があり、温度、経年等によってチャンネル毎にばらつく場合が多い。このばらつきが制御不能のチャンネル間位相差となり、それ自体が、入力信号165L、165RのΔt測定値に誤差成分として現れる可能性がある。これらの信号のΔt値は比較的小さいので、チャンネル回路によって混入される位相誤差は重大である。」(第18頁第2行~第19頁第19行) (c) 「第2図の回路は、3つのチャンネルA、B、Cにおける固有の位相ずれを測定し、効果的に相殺する。マルチプレクサ31は経路165L、165R上の流量計の2つの出力を接続し、3つのチャンネルの内の2つのチャンネルの入力に1度に印加する。・・・」(第20頁第8行~同第11行) (d) 「・・・カウンタ74、76がそれらに関連するチャンネルAまたはBが校正状態にあるときに測定した位相差は、経路87を通じてマイクロプロセッサ80のRAM83に送られる。この校正情報は当面はRAM83に記憶される。 このように各不活性チャンネルの位相は、そ出力をチャンネルCの出力と比較することによって測定される。続いて、不活性チャンネルが次の時間間隔において続いて活性状態に切り替えられると、今はRAM83に記憶されているその固有位相遅れが、それに対応するカウンタ74、76の出力情報と代数的に結合され、2つの入力信号165L、165R間の真の位相遅れを決定する。」(第21頁第9行~同第16行) (e) 「2つのカウンタ74、76は、毎分1回のように、ある時間間隔毎に1回チャンネルと共に状態を切り替える。したがって、チャンネルAが活性状態にあり経路165Rと接続されている時間間隔では、カウンタ74が活性カウンタとなり、その入力はチャンネルA、Cの出力に接続される。このとき、チャンネルBは校正チャンネルであり、カウンタは校正カウンタである。何故なら、その入力はチャンネルB、Cの出力に接続され、これら2つのチャンネル間の固有位相差が測定されるからである。続いて、チャンネルA、Bの状態が切り替わってチャンネルBが活性チャンネルとなる次の時間間隔の間、カウンタ76が活性カウンタとなる。何故なら、その入力がチャンネルB、Cの出力に接続され、経路165L、165R上の信号間の位相差が測定されるからである。次に、カウンタ74は、その入力がチャンネルA、Cの出力に接続され、それらのチャンネルの入力はそのときマルチプレクサ31を通じて経路165Lに接続されるので、校正カウンタとなる。このときのカウンタ74の出力は、チャンネルA、C間の固有位相差を表わし、一方、カウンタ76の出力は流量計の信号165L、165間の位相差を、そのとき活性チャンネルであるチャンネルB、C間の固有位相差に起因するあらゆる位相差誤差と共に表す。しかしながら、このチャンネル間位相差は、前の時間間隔において既に測定され、この誤差情報はマイクロプロセッサ80のRAM83に記憶されている。マイクロプロセッサ80は、カウンタ74から位相差情報を受信すると、測定された位相差情報をRAM83に記憶されている校正位相差を用いて代数的に補償し、チャンネル間位相差によるあらゆる誤差を除去する。これによって、マイクロプロセッサは、流量計から受信した信号165L、165R間の位相差のみに基づいて、処理される物質の情報を得ることができる。」(第23頁第10行~第24頁第4行) (f) 「レベル検知器48は、実際には、積分増幅器によって生成される出力信号が固定の正電圧以上に増大するか、または固定の負電圧以下に減少するときはいつでも、その出力上にレベル変化を与えるウィンドウ形比較器である。 チャンネルA、B、Cの各々は本質的には同一機能を備えている。しかしながら、チャンネルCに関しては、そのレベル検知器58はウィンドウ形比較器ではなく、単一のレベル検知器を含み、積分増幅器56からの出力信号がゼロ電圧レベルを交差したときを検出する。」(第24頁第20行~同第26行) (g)図2の記載から、チャンネルA(44)、C(54)、B(64)が、マルチプレクサ31内の2つのスイッチ(可動スイッチ接点a,b,cからなるスイッチと、可動スイッチ接点d,e,fからなるスイッチ(以下、それぞれ「スイッチ1」及び「スイッチ2」という。))からセンサ170L、170Rのセンサ出力信号を受け取っていることが読み取れる。 上記記載(a)ないし(g)から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。(根拠とした記載を(記載a)のように示す。) 「各々が多極フィルタ、積分増幅器および少なくとも1つのレベル検知器を内蔵するチャンネル44、54、64(チャンネルA、C、B)を含み、経路165L、165Rを通じてセンサ170L、170Rに接続され、センサ出力信号を受信する流量測定回路23であって、(記載b) スイッチ1及びスイッチ2からセンサ170L、170Rのセンサ出力信号を受け取り(記載g)、センサ信号を処理して、カウンタ74、76の動作を制御し、カウンタ74、76の出力はセンサ出力信号間の位相差を表わし(記載b)、マルチプレクサ31は経路165L、165R上の流量計の2つの出力を接続し、3つのチャンネルの内の2つのチャンネルの入力に1度に印加する(記載c)、チャンネルA、C、Bと、 経路87を通じてカウンタ74、76の出力が印加されるマイクロプロセッサ80であって(記載b)、カウンタ74、76がそれらに関連するチャンネルAまたはBが校正状態にあるときに測定した位相差は、経路87を通じてマイクロプロセッサ80のRAM83に送られ、この校正情報は当面はRAM83に記憶されて(記載d)、カウンタ74から位相差情報を受信すると、測定された位相差情報をRAM83に記憶されている校正位相差を用いて代数的に補償し、チャンネル間位相差によるあらゆる誤差を除去する、マイクロプロセッサ80とを備えた(記載e)、流量測定回路23。」(以下「引用発明1」という。) (引用文献2・引用発明2) 当審拒絶理由において引用された、米国特許出願公開第2008/0156108号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項(a)ないし(c)が図面とともに記載されている。 (a) 「[0001]The invention relates to a measuring and operating circuit for a Coriolis mass-flow meter with three measuring channels.」 (当審訳:[0001]本発明は、3つの測定チャンネルを含むコリオリ質量流量計のための測定および演算回路に関する。) (b) 「[0047]FIG. 3 presents, in greater detail, a block diagram of a measuring and operating circuit of the invention. This measuring and operating circuit has three measuring channels K 1 , K 2 , K 3 , but, otherwise, corresponds essentially to the circuit shown in FIG. 2 . The two sensor signals X 17 and X 18 are delivered, respectively, from the two coils 172 and 182 . The two sensor signals are amplified in the pre-amplifiers VV 1 and VV 2 and each is then fed to the three switches SR 1 , SR 2 , SR 2(当審注:SR3の誤記) . Each of these switches is associated, respectively, with a measuring channel K 1 , K 2 , K 3 . In each of the measuring channels K 1 , K 2 , K 3 , there is, besides the switches SR 1 , SR 2 , SR 3 , in each case, an amplifier V 2 , V 2 , V 3 , with analog/digital converters AW 1 , AW 2 , AW 3 , respectively, following thereon. The outputs of the three analogue/digital converters AW 1 , AW 2 , AW 3 deliver signals referenced, respectively, by one of the primes, single-prime, double-prime, triple-prime, i.e. ’,’’,’’’, to a digital signal processor DSP. The digital signal processor DSP calculates, from the frequency f of the measuring tube oscillation and the particular phase shift between two input signals, e.g. X17' and X18'', the mass-flow {dot over (m)}, which is output on output A 1 . The switches SR 1 , SR 2 , SR 3 are controlled by three control signals S 1 , S 2 , S 3 delivered from the digital signal processor. [0048]An output A 2 delivers a signal which controls the exciter current Iex for the oscillation excitement of the measuring tubes. [0049]The table of FIG. 4 explains how the two sensor signals are switched to the three channels K 1 , K 2 , K 3 . In a first step, the sensor signal X 17 is switched to the channel K 1 and the sensor signal X 18 is switched to the two channels K 2 and K 3 . In the first cycle step, the phase error ΔΦ023=Φ2-Φ3 between the channels K 2 and K 3 can be ascertained. In the cycle step 2 , there is no new distribution of the signals. In the cycle step 3 , the signal X 17 is switched to the channel 1 and to the channel 2 . The signal X 18 remains on the channel 3 . In this cycle step, the phase error ΔΦ012=Φ1-Φ2 between the channels K 1 and K 2 can be determined. In cycle step 4 , there is again no change of the channel assignments. In cycle step 5 , the sensor signal X 18 is switched to the channels K 1 and K 2 . The sensor signal X 17 remains on the channel K 2 . In this cycle step, the phase error Δ013=Φ1-Φ3 between the two channels K 1 and K 3 can be determined. Other channel assignments are thinkable, but are not necessary, since all possible phase errors have already been ascertained.」 (当審訳:[0047]図3は、本発明の測定および演算回路の分解組立図を、大いに詳細に示す。この測定および演算回路は、3つの測定チャンネルK1、K2、K3を有するが、さもなくば、図2において示される回路に本質的に対応する。2つのセンサー信号X17とX18は、2つのコイル172と182からそれぞれ送達される。2つのセンサー信号は、前置増幅器VV1とVV2において増幅され、各々はその後、3つのスイッチSR1、SR2、SR2(当審注:SR3の誤記)に与えられる。これらのスイッチの各々は、測定チャンネルK1、K2、K3とそれぞれ関連する。測定チャンネルK1、K2、K3の各々において、それに続いて、スイッチSR1、SR2、SR3に加えて、各場合において、アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3と共に、増幅器V1、V2、V3がある。3つのアナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3の出力は、シングル・プライム、ダブル・プライム、トリプル・プライム、つまり’、’’、’’’のプライムの1つでそれぞれ参照される信号を、デジタル信号プロセッサに送達する。デジタル信号プロセッサDSPは、出力A1において出力される質量流量m(当審注:m上のドットは省略した。)を、2つの入力信号、例えばX17'とX18''の間の特定の位相変位、測定チューブ振動の周波数fから計算する。スイッチSR1、SR2、SR3は、デジタル信号プロセッサから送達される3つの制御信号S1、S2、S3によって制御される。 [0048]出力A2は、測定チューブの振動エキサイタについてのエキサイタ電流Iexを制御する信号を送達する。 [0049]図4の表は、2つのセンサー信号が、3つのチャンネルK1、K2、K3にどのように切り替わるのかを説明する。第1ステップにおいて、センサー信号X17は、チャンネルK1にスイッチされ、センサー信号X18は、2つのチャンネルK2とK3に切り替わる。第1サイクルのステップにおいて、チャンネルK2とK3の間の位相誤差ΔΦ023=Φ2-Φ3は、確認されうる。サイクル・ステップ2において、信号の新たな分配はない。サイクル・ステップ3において、信号X17は、チャンネル1とチャンネル2に切り替わる。信号X18は、チャンネル3に残る。このサイクル・ステップにおいて、チャンネルK1とK2の間の位相誤差ΔΦ012=Φ1-Φ2が、決定されうる。サイクル・ステップ4において再び、チャンネル割り当ての変化は無い。サイクル・ステップ5において、センサー信号X18は、チャンネルK1とチャンネルK2に切り替わる。センサー信号X17は、チャンネルK2に残る。このサイクル・ステップにおいて、2つのチャンネルK1とK3の間の位相誤差Δ013=Φ1-Φ3が決定されうる。他のチャンネル割り当ては、考えられるが、不要である。全ての可能性のある位相誤差が既に確認されているからである。) (c) 「[0051]In the digital signal processor DSP, the phase error ΔΦ0 of the two channels with identical signals is measured and stored. In determining the phase difference ΔΦ of the two sensor signals X 17 and X 18 , the phase error ΔΦ0, which is caused by the different measuring channels, is appropriately taken into consideration (see table of FIG. 4 ). In the calculation of the mass-flow {dot over (m)} the phase error is likewise taken into consideration. In this way the measuring accuracy of a Coriolis mass-flow meter can be significantly increased. The method of the invention also inherently catches time-varying influences, e.g. the temperature dependency of the phase error.」 (当審訳:[0051]デジタル信号プロセッサDSPにおいて、同一信号を備えた2つのチャンネルの位相誤差ΔΦ0は、測定および保存される。2つのセンサー信号X17とX18の位相差異ΔΦの決定において、異なる測定チャンネルによって引き起こされる位相誤差ΔΦ0は、適切に考慮される(図4の表参照)。質量流量m(当審注:m上のドットは省略した。)の計算において、位相誤差は、同様に考慮される。このように、コリオリ質量流量計の測定精度は、顕著に増加しうる。本発明の方法は更に、時間的に変化する影響、例えば、位相誤差の温度依存性を本質的に捕らえる。) 上記記載(a)ないし(c)、及び図面のFig.3、Fig4の記載から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。(根拠とした記載の段落を[0001]のように示す。) 「2つのセンサー信号X17とX18は、3つのスイッチSR1、SR2、SR3に与えられ、これらのスイッチの各々は、測定チャンネルK1、K2、K3とそれぞれ関連し、測定チャンネルK1、K2、K3の各々において、アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3がある測定および演算回路であって、[0047] 出力がデジタル信号プロセッサに送達される、3つのアナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3と、[0047] デジタル信号プロセッサDSPにおいて、同一信号を備えた2つのチャンネルの位相誤差ΔΦ0は、測定および保存され、2つのセンサー信号X17とX18の位相差異ΔΦの決定において、異なる測定チャンネルによって引き起こされる位相誤差ΔΦ0は、適切に考慮される[0051]、測定および演算回路。」(以下「引用発明2」という。) 第5 対比・判断 (引用発明1について) 1 対比 本願発明と引用発明1とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。 まず、引用発明1における「センサ170L、170R」は流量測定用のセンサであって、その「センサ出力信号」がいずれもアナログ信号であることは明らかである。また、引用発明1の「チャンネルA、C、B」からの出力は「レベル検知器」の出力となり、デジタル信号であることも明らかといえる。そうすると、引用発明1における「各々が多極フィルタ、積分増幅器および少なくとも1つのレベル検知器を内蔵するチャンネル44、54、64(チャンネルA、C、B)を含み、経路165L、165Rを通じてセンサ170L、170Rに接続され、センサ出力信号を受信する流量測定回路23」と、本願発明における「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するADCステージ(300)」とは、「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するステージ」である点で共通する。 また、引用発明1において「スイッチ1及びスイッチ2からセンサ170L、170Rのセンサ出力信号を受け取」ることは、本願発明において「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取」ることに相当し、引用発明1における「チャンネルA」及び「チャンネルB」の出力(レベル検知器の出力)が、本願発明における「2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号」及び「第二のアナログ信号」から生成される「2つ以上のデジタル信号」に相当し、引用発明1における「チャンネルC」の出力(レベル検知器の出力)は、本願発明における「前記2つ以上のアナログ信号から」生成される「1つ以上の冗長デジタル信号」に相当するものであり、引用発明1の「チャンネルA」及び「チャンネルB」の出力と「チャンネルC」の出力とが実質的に並列に生成されることも明らかである。そうすると、引用発明1における「センサ信号を処理して、カウンタ74、76の動作を制御し、カウンタ74、76の出力はセンサ出力信号間の位相差を表わし、マルチプレクサ31は経路165L、165R上の流量計の2つの出力を接続し、3つのチャンネルの内の2つのチャンネルの入力に1度に印加する、チャンネルA、C、B」と、本願発明における「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上のADCであって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上のADC(303、305、307)」とは、「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上の回路であって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上の回路」である点で共通する。 次に、引用発明1において、「マイクロプロセッサ80」は「経路87を通じてカウンタ74、76の出力が印加される」ものであり、間接的に「チャンネルA、C、B」と結合されているといえる。また、引用発明1における「カウンタ74、76がそれらに関連するチャンネルAまたはBが校正状態にあるときに測定した位相差」は、本願発明における「前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から」生成される「位相ドリフト値」に相当し、引用発明1において「測定された位相差情報をRAM83に記憶されている校正位相差を用いて代数的に補償し、チャンネル間位相差によるあらゆる誤差を除去する」ことは、本願発明において「前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償する」ことに相当する。そうすると、引用発明1の「経路87を通じてカウンタ74、76の出力が印加されるマイクロプロセッサ80であって、カウンタ74、76がそれらに関連するチャンネルAまたはBが校正状態にあるときに測定した位相差は、経路87を通じてマイクロプロセッサ80のRAM83に送られ、この校正情報は当面はRAM83に記憶されて、カウンタ74から位相差情報を受信すると、測定された位相差情報をRAM83に記憶されている校正位相差を用いて代数的に補償し、チャンネル間位相差によるあらゆる誤差を除去する、マイクロプロセッサ80とを備えた、流量測定回路23。」と、本願発明の「前記3つ以上のADC(303、305、307)と結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイス(330)とを備えた、ADCステージ(300)。」とは、「前記3つ以上の回路と結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイス(330)とを備えた、ステージ。」である点で共通する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するステージ(300)であって、 2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上の回路であって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上の回路と、 前記3つ以上の回路と結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイス(330)とを備えた、ステージ(300)。」 (相違点) 本願発明は、「ADC」を有する「ADCステージ」とされているのに対し、引用発明1の「チャンネルA、C、B」はADCであるとは明示されていない点。 2 判断 上記相違点について検討する。 引用発明1の「チャンネルA、C、B」が内蔵する「レベル検知器」について、引用文献1には以下のように記載されている。(上記「第4」「(引用文献1・引用発明1)」「(f)」) 「レベル検知器48は、実際には、積分増幅器によって生成される出力信号が固定の正電圧以上に増大するか、または固定の負電圧以下に減少するときはいつでも、その出力上にレベル変化を与えるウィンドウ形比較器である。 チャンネルA、B、Cの各々は本質的には同一機能を備えている。しかしながら、チャンネルCに関しては、そのレベル検知器58はウィンドウ形比較器ではなく、単一のレベル検知器を含み、積分増幅器56からの出力信号がゼロ電圧レベルを交差したときを検出する。」 上記記載から、引用発明1の「チャンネルA、C、B」が比較器(コンパレータ)を内蔵するものを含むことは明らかである。一方、比較器としてADCを用いる回路構成は下記周知例にあるように周知技術に過ぎず、これを引用発明1に適用して上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 したがって、本願発明は引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 周知例1:特表平10-511233号公報 「変調器50は、入力信号Vinをサンプルしてこのサンプルされた入力信号を加算回路54へ与える入力回路51を含む。加算回路54は、サンプルされた入力信号から線65で受取ったフィードバック信号(以下に述べる)を差引き、この出力信号の差を線55で積分器56へ与える。積分器56は、加算回路55からの出力信号差を従来通り「積分」して、出力信号Aをクロックされラッチされるクロック・ラッチ・コンパレータ58へ与える。加算回路54は、積分器の入力部と一般に見なすことができる。コンパレータ58は、線58Aへ印加されるクロック信号によって従来とおり速度Kfsでクロックされる。各クロック・パルスごとに、コンパレータ58が信号Aを接地と「比較」して、1ビット出力を生じる。一連のクロック・パルスに対する一連の出力は、線57に変調器の1ビット・データ・ストリーム出力Xを形成する。このように、コンパレータ58は、有効的な1ビットADCである。」(第6頁第7行~同第18行) 周知例2:特開2002-163894号公報 「【0003】各A/D変換セルSkの構成を機能ブロックで示すと、1ビットADC(Analog to Digital Converter)をなすコンパレータCOと、コンパレータCOの判定結果“1”、“0”に対応した電圧分を入力から減算する減算器d0と、減算器d0の出力電圧をサンプルしてその2倍値を出力するサンプル・ホールド回路sh0とからなっている。・・・」 周知例3:特表2010-507945号公報 「【0011】 ・・・積分器出力信号は、1ビットADCとして動作する下流コンパレータにおいて、非常に高い周波数のディジタルパルス列に変換され、このパルス列が、1ビットADCとして動作する基準信号スイッチに供給される。この基準信号スイッチは、基準信号の極性を変化させ、この基準信号は、シグマ・デルタ変換の特徴であるアナログフィルタの入力信号を用いてディジタル1ビット信号の負のフィードバックを達成するために、1ビット信号のHIGHレベルおよび/またはLOWレベルに応じて、積分器にも加えられる。」 (引用発明2について) 1 対比 本願発明と引用発明2とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。 まず、引用発明2における「2つのセンサー信号X17とX18」は、「3つのスイッチSR1、SR2、SR3」を介して「アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3」へ送られているから、アナログ信号であることは明らかであり、引用発明2の「2つのセンサー信号X17とX18は、3つのスイッチSR1、SR2、SR3に与えられ、これらのスイッチの各々は、測定チャンネルK1、K2、K3とそれぞれ関連し、測定チャンネルK1、K2、K3の各々において、アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3がある測定および演算回路」は、本願発明の「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するADCステージ(300)」に相当する。 また、引用発明2の「アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3」の3つの出力信号が、本願発明における「第一のデジタル信号」、「第二のデジタル信号」、及び「冗長デジタル信号」に相当し、これらが「実質的に並列に生成され」ることも明らかといえる。そうすると、引用発明2における「3つのスイッチSR1、SR2、SR2」を介して送られた「2つのセンサー信号X17とX18」から3つの出力信号をデジタル信号プロセッサに送達する「3つのアナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3」と、本願発明における「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上のADCであって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上のADC(303、305、307)」とは、下記の相違点を除き、「スイッチから前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上のADCであって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上のADC」である点で共通する。 次に、引用発明2における「同一信号を備えた2つのチャンネルの位相誤差ΔΦ0は、測定および保存され、2つのセンサー信号X17とX18の位相差異ΔΦの決定において、異なる測定チャンネルによって引き起こされる位相誤差ΔΦ0は、適切に考慮される」「デジタル信号プロセッサDSP」は、本願発明における「前記3つ以上のADC(303、305、307)と結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイス(330)」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「2つ以上のアナログ信号をデジタル化するためにアナログからデジタルへ変換するADCステージであって、 スイッチから前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、前記2つ以上のアナログ信号のうちの第一のアナログ信号から第一のデジタル信号を生成するとともに前記2つ以上のアナログ信号のうちの少なくとも第二のアナログ信号から少なくとも第二のデジタル信号を生成して2つ以上のデジタル信号を生成し、前記2つ以上のアナログ信号から1つ以上の冗長デジタル信号を生成するように構成されている3つ以上のADCであって、前記1つ以上の冗長デジタル信号が前記2つ以上のデジタル信号と実質的に並列に生成される3つ以上のADCと、 前記3つ以上のADCと結合されている処理デバイスであって、該処理デバイスが、前記1つ以上の冗長デジタル信号と前記2つ以上のデジタル信号のうちの対応するデジタル信号との間の位相差から位相ドリフト値を生成し、前記位相ドリフト値を用いて前記対応するデジタル信号を補償するように構成されている処理デバイスとを備えた、ADCステージ。」 (相違点) 本願発明は「2つのスイッチ」を備えているのに対し、引用発明2においては、「3つのスイッチSR1、SR2、SR3」が設けられている点。 2 判断 上記相違点について検討する。 引用発明2において、「3つのスイッチSR1、SR2、SR3」は、「2つのセンサー信号X17とX18」を(増幅器V1、V2、V3を介して)「アナログ/デジタル変換器AW1、AW2、AW3」のうち任意のいずれかに接続するものであるが、そのような機能を実現するに際し、スイッチの分岐側を上流下流のどちら側にしても良いことは、当業者にとって自明の範ちゅうのものといえる。そして、スイッチの個数とその分岐数とは、それぞれの側の接続対象の数と同一となる(そうでなければ、接続できない対象が生じる)のであるから、スイッチの分岐側を下流に向ける場合、スイッチの個数が2となることは明らかであって、引用発明2を「2つのスイッチ」を備えるものとするか否かは設計事項に過ぎず、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。またそのようにすることにより、新たな作用効果が奏されるものでもない。 したがって、本願発明は引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 請求人の主張について 審判請求人は、本件意見書において、概略、以下のように主張しているので、検討する。 1 請求人の主張の概要 「2.2 理由2(進歩性)について 補正後の請求項1に係る発明(以下、本願発明1)は、上記補正により、3つ以上のADCが2つのスイッチから2つ以上のアナログ信号を受け取ることを発明特定事項として含んでいます。これにより、3つ以上のADCに実質的に並列に入力されるアナログ信号の組み合わせをすべて実現することができるという特有の効果を奏します。・・・これにより、出力間の位相補償を様々な組み合わせで有効に行うことができます。 本願発明1における上記発明特定事項は、何れの引用文献にも開示も示唆もありません。 ・・・特に、引用文献1には、チャンネルCが経路165Lに常に接続されていることが開示されています。他の2つのチャンネルA,Bの入力は、図2に示すように、二者択一的に接続され、連続する時間間隔の一方において、経路165Rに接続されます。 したがって、引用文献1は、2つのチャンネルが2以上のアナログ信号を受信することを教示するのみであり、3つ以上のADCが2つのスイッチから2つ以上のアナログ信号を受け取ることは、開示も示唆もありません。 また、・・・引用文献2においては、2つのセンサ信号がプリアンプVV1,VV2において増幅され、それぞれが3つのスイッチSR1,SR2,SR3に入力されます。これらのスイッチのそれぞれは、計測チャンネルK1,K2,K3にそれぞれ対応しています。 したがって、引用文献2は、スイッチが各チャンネルに対応して設けられることを教示するのみであり、引用文献2には、3つ以上のADCが2つのスイッチから2つ以上のアナログ信号を受け取ることは、開示も示唆もありません。 したがって、本願発明1は、上記発明特定事項を少なくとも有することにより、引用文献1,2に対して特有の効果を奏します。 以上より、本願発明1は、進歩性を有すると思料致します。また、補正後の請求項12に係る発明は、本願発明1と同様の上記発明特定事項を有しています。また、補正後のその他の請求項は、補正後の請求項1または12に、直接または間接的に従属するものであります。したがいまして、本願発明1が進歩性を有する以上、補正後の請求項2-22に係る発明も進歩性を有するものと思料致します。」 2 検討 本願発明は、「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取り、・・・するように構成されている3つ以上のADCであって、」とされているが、1つのADCが同時に受け取ることのできる信号は1つだけであるから、上記記載は、「3つ以上のADC」が全体として「2つのスイッチ(321,322)から前記2つ以上のアナログ信号を受け取」るように構成されているものと理解せざるを得ないのであって、この点において引用発明1との間に相違点は見いだせない。審判請求人の「これにより、3つ以上のADCに実質的に並列に入力されるアナログ信号の組み合わせをすべて実現することができるという特有の効果を奏します。」との主張は本願請求項の記載に基づかないものである。 また、引用発明2が「スイッチが各チャンネルに対応して設けられる」ものである(スイッチが3つである)点に関しては、上記「第5 対比・判断」「(引用発明1について)」「2 判断」において述べたとおりである。 したがって、審判請求人の主張は採用できない。 第7 むすび したがって、本願発明は、引用発明1または引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2014-019932

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