実用新案無効審判
2025-400001
マイクロ波鍋
- 審判番号
- 2025-400001
- 法域
- 実用新案
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 実願2023-002065外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 3243229
- 請求日
- 2024年12月20日
- 審決日
- 2025年07月31日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】株式会社トレードワン
- 【請求人代理人】高橋 雄一郎
- 【被請求人】佛山市順徳区漢蒲電器科技有限公司
- 【被請求人代理人】王 雪
- 分類
- U1114.09 -Z (A47J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 実用新案法14条の2第2項実用新案法37条1項7号実用新案法41条特許法169条2項民事訴訟法61条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 実用新案法第14条の2第1項、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3243229号実用新案「マイクロ波鍋」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
実用新案登録第3243229号の請求項1ないし10に係る考案についての実用新案登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件は、請求人が、被請求人が実用新案登録権者である実用新案登録第3243229号(以下「本件実用新案登録」という。請求項の数は10である。)の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし10に係る実用新案登録を無効とすることを求める事案であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 5年 6月14日 :出願(実願2023-2065号)
同年 8月 2日 :設定登録
令和 6年 4月19日 :実用新案技術評価請求
同年 5月21日 :実用新案技術評価書(作成日)
同年 7月24日 :実用新案法第14条の2第1項の訂正に
係る訂正書提出
同年10月25日 :実用新案技術評価請求
同年11月 6日 :実用新案技術評価書(作成日)
同年12月20日 :審判請求書提出(差出日)
令和 7年 2月 6日 :請求書副本の送達通知(答弁指令)(起案
日)
同年 6月18日 :書面審理通知(起案日)
審判長は、上記請求書副本の送達通知(答弁指令)において、審判請求書の副本を被請求人に送達し、この副本発送の日から60日以内を指定して、答弁書を提出する機会を被請求人に与えたが、答弁書は提出されなかった。
第2 本件考案
本件実用新案登録の請求項1ないし10に係る考案(以下「本件考案」という。)は、それぞれ令和6年7月24日に提出された実用新案法第14条の2第1項の訂正に係る訂正書によって行われた本件実用新案登録の願書に添付した実用新案登録請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)後の本件実用新案登録の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1ないし10の記載は、次のとおりである(下線は、本件訂正により訂正された箇所を示す。)。
【請求項1】
金属製の上蓋及び鍋体を含み、前記鍋体の底壁外面にマイクロ波吸収層を設け、前記マイクロ波吸収層が電子レンジの発する電磁波を吸収して熱に変換するために用いられるマイクロ波鍋において、前記上蓋の開口及び/又は鍋体の開口には第1縁取りが設けられ、前記第1縁取りにはいくつかの第1貫通孔が設けられ、前記第1縁取りの上下面を包むようにシリコーン部材が設けられ、シリコーン部材が、成形後に第1縁取りから分離できないように、第1縁取りと一体的に成形されて第1貫通孔を充填することを特徴とするマイクロ波鍋。
【請求項2】
前記鍋体の開口には、前記第1縁取りが設けられ、前記シリコーン部材が、第1ハンドルと、第1本体と、第1本体に沿って上向きに突出するスカート縁とを含み、前記上カバーがスカート縁の内側に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波鍋。
【請求項3】
前記第1ハンドルが、内から外へ下に湾曲することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波鍋。
【請求項4】
前記第1ハンドル表面に滑り止め突起を設けたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波鍋。
【請求項5】
前記上カバーの開口には前記第1縁取りが設けられ、前記鍋体の開口には第2縁取りが設けられ、前記第2縁取りには少なくとも一対の第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔には第2ハンドルが取り付けられ、前記第2ハンドルがハンドルカバー及びハンドルベースを含み、前記ハンドルカバーがハンドルベースと係合されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波鍋。
【請求項6】
前記ハンドルカバーには、前記第2通孔を挿入して滑り止めベースと密接するための第2固定柱が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波鍋。
【請求項7】
前記上カバーの頂部はマイクロ波吸収層を被覆し、前記シリコーン部材が上カバーの外表面を包むようにマイクロ波吸収層の上に被覆し、前記シリコーン部材が、前記ハンドルカバーに対応して空避けを設け、前記シリコーン部材の底部が第2ハンドル外の第2縁取りに密接する請求項5に記載のマイクロ波鍋。
【請求項8】
前記上蓋の開口及び鍋体の開口にはそれぞれ前記第1縁取りを設け、前記シリコーン部材が、上蓋と一体成形された第1環状縁取りハンドルと、鍋体と一体成形された第2環状縁取りハンドルとを、含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波鍋。
【請求項9】
前記第2環状縁取りハンドルが、上方に延びるリミットエッジを設けたことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ波鍋。
【請求項10】
前記上カバーの開口には前記第1縁取りが設けられ、前記鍋体の開口には第2縁取りが設けられ、前記第2縁取りには少なくとも一対の第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔には第3ハンドルが取り付けられ、前記上カバーの頂部はマイクロ波吸収層を被覆し、前記シリコーン部材は上カバーの外面を包むようにマイクロ波吸収層の上に被覆し、前記シリコーン部材が、前記第3ハンドルに対応してオフスペースを設け、前記シリコーン部材の底部が、第3ハンドルの外の第2縁取りに貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波鍋。
第3 請求人の主張
1 請求人の請求の趣旨
本件実用新案登録の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし10に係る考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 無効理由の概要
本件実用新案登録は、本件訂正が実用新案法(以下、別途言及しない限り、「法」とは、実用新案法を意味する。)第14条の2第2項ないし第4項の規定に違反するものであるから、法第37条第1項第7号に該当し、無効にすべきである。
3 具体的な理由
本件訂正により、「シリカゲル」という文言を、「シリコーン」と訂正したことは、訂正の目的違反であり、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、いわゆる新規事項の追加にあたり、かつ実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。
第4 当審の判断
1 訂正の目的
本件訂正は、本件実用新案登録の願書に添付した明細書及び実用新案登録請求の範囲において、「シリカゲル」部材との記載を、「シリコーン」部材と訂正することを含むものである。
ここで、「シリカゲル」とは「乾燥剤などとして広く利用」される「ケイ酸を部分脱水したゲル。」(広辞苑第七版)を意味し、「シリコーン」とは「シロキサン結合(-Si-O-Si-O-)を骨格とし、ケイ素原子にアルキル基などが結合した有機ケイ素化合物の総称。」(広辞苑第七版)を意味するものであるから、「シリカゲル」からなる部材であるシリカゲル部材と「シリコーン」からなる部材であるシリコーン部材が異なるものであって、互いに上位下位の関係でないことは明らかである。
そして、訂正前の「シリカゲル」なる記載自体は明瞭であって、訂正前の「シリカゲル」なる記載が、「シリコーン」の誤記であると認めるに足る記載を、訂正前の明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面から見いだせないから、これを「シリコーン」の誤記であるとすべき理由も認められない。
したがって、本件訂正の目的は、法第14条の2第2項各号に掲げるいずれの事項にも該当しないので、本件訂正は、法第14条の2第2項の規定に違反してされたものである。
2 新規事項の有無
本件実用新案登録の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲の段落【0004】、【0005】、【0010】、【0011】、【0013】、【0014】、【0017】、【0018】、【0020】、【0021】、【0023】、【0027】、【請求項1】、【請求項2】、【請求項7】、【請求項8】及び【請求項10】には、「シリカゲル」との文言が記載されている。
しかしながら、本件訂正において訂正された、「シリカゲル」部材を「シリコーン」部材とする点は、本件実用新案登録の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、記載されているに相当する事項であるとも認められない。
したがって、本件訂正は、法第14条の2第3項の規定に違反してされたものである。
3 実用新案請求の範囲の拡張、変更の存否
本件訂正は、上記のように、「シリカゲル」部材を「シリコーン」部材に変更するものであるから、本件訂正は実質上実用新案登録請求の範囲を変更するものである。
したがって、本件訂正は、法第14条の2第4項の規定に違反してされたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件考案に係る実用新案登録は、法第14条の2第2項ないし第4項の規定に違反してされたものであるから、本件実用新案登録は法第37条第1項第7号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定で更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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