実用新案無効審判
2024-400001
ベッド
- 審判番号
- 2024-400001
- 法域
- 実用新案
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 実願2017-003739
- 登録番号
- 3213233
- 請求日
- 2024年01月23日
- 審決日
- 2026年03月31日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】kakeruIP弁理士法人
- 【被請求人】株式会社 山善
- 【被請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【被請求人代理人】新田 研太
- 【被請求人代理人】木村 豊
- 【被請求人代理人】白木 裕一
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 草野 顕子
- 分類
- U1114.112-Y (A47C) / U1114.113-Y (A47C) / U1114.121-Y (A47C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 実用新案法第3条第2項、実用新案法第3条第1項第3号、実用新案法第3条第1項第2号、実用新案法第41条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の実用新案登録第3213233号「ベッド」の実用新案登録無効審判事件についてされた令和6年12月9日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和7年(行ケ)第10003号、令和7年9月30日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
実用新案登録第3213233号の請求項1~10に係る考案についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 審決までの手続
実用新案登録第3213233号(以下「本件実用新案登録」という。)に係る出願は、平成29年8月14日(パリ条約による優先権主張2017年7月31日、中国)の出願(実願2017-3739号)であって、平成29年10月4日に実用新案権の設定登録がされたものである。
本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和 6年 1月23日 :審判請求書の提出
同年 4月 5日 :被請求人より審判事件答弁書の提出
同年 6月27日付け:審理事項通知書
同年 7月17日 :被請求人より口頭審理陳述要領書の提出
同月20日 :請求人より口頭審理陳述要領書の提出
同年 8月19日 :口頭審理
2 審決
令和6年12月9日付けで審決がされ、その結論は、以下のとおりである。
「実用新案登録第3213233号の請求項1~10に係る考案についての実用新案登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。」
3 訴えの提起、判決
令和7年1月14日に被請求人を原告として訴えの提起(令和7年(行ケ)第10003号)がなされたところ、令和7年9月30日に以下の判決言渡がされた。
「1 特許庁が無効2024-400001号事件について令和6年12月9日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。」
4 判決後の手続
本件無効審判請求に係る判決後の手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 8年 1月13日付け:審理再開通知
第2 本件考案
本件実用新案登録の請求項1~10に係る考案(以下、請求項の番号に従って「本件考案1」などという。また、これらを総称して「本件考案」という。)は、本件実用新案登録の実用新案登録請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
マットレス本体及び前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレスと、
前記支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚と、
を備えるベッドであって、
複数の前記支持板が、前記マットレスを前記支持板の配列方向に沿って巻き取ることができるように前記マットレス本体の一方の面に間隔を隔てて配列されていることを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記マットレス本体は直方体構造であり、複数の前記支持板は前記マットレス本体の長手方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記支持板は長尺状構造となっており、前記支持板の長手方向はマットレス本体の幅方向と一致していることを特徴とする請求項2に記載のベッド。
【請求項4】
前記マットレスはさらに連結帯を備え、前記連結帯の延伸方向は、前記支持板の配列方向と平行し、又は前記支持板の配列方向と非ゼロ角をなしており、前記支持板は前記連結帯により前記マットレス本体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項5】
前記支持板に着脱可能に接続されている補強板をさらに備え、前記補強板は長尺状構造となっており、前記補強板の長手方向は前記支持板の配列方向と平行し、又は前記支持板の配列方向と非ゼロ角をなしており、前記支持脚は前記補強板により前記支持板に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項6】
前記補強板はその長手方向に順次に着脱可能に接続されている複数のサブ板を備えることを特徴とする請求項5に記載のベッド。
【請求項7】
前記補強板は複数設置されており、複数の前記補強板は第一の方向に沿って配列されており、前記第一の方向は、前記支持板の配列方向と非ゼロ角をなしていることを特徴とする請求項5に記載のベッド。
【請求項8】
前記支持脚は前記補強板により前記支持板に接続されていることを特徴とする請求項5に記載のベッド。
【請求項9】
前記支持脚は複数設けられており、複数の前記支持脚は行列型に配列されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項10】
前記マットレス本体は圧縮可能な構造であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のベッド。」
第3 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人は、「実用新案登録第3213233号の実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至10に係る考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、甲第1号証~甲第8号証の4(枝番を含む)を添付した令和6年1月23日付けの審判請求書、甲第8号証の5を添付した令和6年7月20日付けの口頭審理陳述要領書を提出し、以下の無効理由1~4により、本件考案1~10に係る実用新案登録は、無効とすべきものであると主張する(以下、甲第1号証~甲第8号証の5をそれぞれ「甲1」~「甲8の5」という。)。
(1)無効理由1(甲1を主たる証拠とする実用新案法第3条第1項第3号)
本件考案1~5、7、8、10は、甲1に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当するので実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(2)無効理由2(甲1を主たる証拠とする実用新案法第3条第2項)
本件考案6、9は、甲1に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3)無効理由3(甲8及び甲8の2を主たる証拠とする実用新案法第3条第1項第2号)
本件考案1~3、5~9は、甲8及び甲8の2で示された公然実施をされた考案であるから、実用新案法第3条第1項第2号に該当するので実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(4)無効理由4(甲8及び甲8の2を主たる証拠とする実用新案法第3条第2項)
本件考案4、10は、甲8及び甲8の2で示された公然実施をされた考案及び甲1に記載された技術的事項に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
2 証拠方法
請求人が証拠方法として提出した甲1~甲8の5は、以下のとおりである。
甲1 :国際公開第2014/075789号
甲2 :実願平5-51295号(実開平7-20904号)のCD-ROM
甲3 :実願平4-43289号(実開平5-93303号)のCD-ROM
甲4 :仏国特許出願公開第2854314号明細書
甲5 :実願昭59-59786号(実開昭60-172570号)のマイクロフィルム
甲6 :楽天グループ株式会社のWebページ
「【ポイント10倍★16 日1:59まで】 脚付きマットレス ベッド セミダブル 省スペースシンプルベッド 脚付マットレス 簡単組立 一人暮らし 送料込み 脚付マットレス 足付きマットレス マットレスベッド セミダブルベッド セミダブルベット 送料無料」
(https://item.rakuten.co.jp/ioo-neruco/3708802/)
甲7 :アマゾンジャパン株式会社のWebページ
「家具の基 すのこベッド イース シングルサイズ 横幅100×長さ200×高さ28(cm) 組立簡単 国産ひのき材使用」
(https://www.amazon.co.jp/dp/B015CE018Y/)
甲8 : 楽天グループ株式会社のWebページ
「ベッド ベッドフレーム セミダブル すのこベッド ロータイプ ローベッド フロアベッド ベッド 木製 セミダブルベッド ベット ベットフレーム ベッド下収納 北欧 パイン材 シンプル ソリッドSD ドリス」
(https://item.rakuten.co.jp/grazia-doris/solid_sd/)
甲8の2:取扱・組立説明書【HF-059 S】【HF-059 SD】 SOLID/S・SD
甲8の3:楽天グループ株式会社のWebページ
「みんなのレビュー「ベッド ベッドフレーム セミダブル すのこベッド ロータイプ ローベッド フロアベッド ベッド 木製 セミダブルベッド ベット ベットフレーム ベッド下収納 北欧 パイン材 シンプル ソリッドSD ドリス」」
(https://review.rakuten.co.jp/item/1/261646_10005922/3.0/sort6/)
甲8の4:アマゾンジャパン株式会社のWebページ
「DORIS ドリス ベッド ベッドフレーム すのこベッド セミダブル フィンランド産天然木使用 ロータイプ可 組立式 ナチュラル ソリッド【12601】」
(https://www.amazon.co.jp/DORIS-%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0-%E3%81%99%E3%81%AE%E3%81%93%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%89-%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97%E5%8F%AF/dp/B06XPCRTNL?th=1)
甲8の5:「甲第8号証(第4頁)における、フレームに固定されたすのこの上面に、マットレス本体が接している状態を示す画像」と題する請求人作成の文書
第4 被請求人の主張及び証拠方法
1 被請求人の主張の概要
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、令和6年4月5日付けの審判事件答弁書、乙第1号証~乙第1号証の5(枝番を含む)を添付した令和6年7月17日付けの口頭審理陳述要領書を提出した(以下、乙第1号証~乙第1号証の5をそれぞれ「乙1」~「乙1の5」という。)。
2 証拠方法
被請求人が証拠方法として提出した乙1~乙1の5は、以下のとおりである。
乙1 :「広辞苑 第六版」の1878~1879ページ
乙1の2:「広辞苑 第六版」の2366~2367ページ
乙1の3:「広辞苑 第六版」の2700~2701ページ
乙1の4:「広辞苑 第六版」の2462~2463ページ
乙1の5:「広辞苑 第六版」の806~807ページ
第5 各証拠の記載事項等
1 甲号証の記載事項等
(1)甲1
ア 記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている(以下の翻訳文は、請求人が提出した翻訳文について用語の不統一や明らかな誤訳を当審において修正したものである。甲4も同じ。また、下線は当審において付した。以下同じ。)。
(ア)明細書第1ページ第2行~第7行
「The subject of the invention is a bed mattress with an integrated slat base comprised of individual slats that are fixed to the bottom part of the bed mattress and together with the mattress form a bed. The bed mattress under the invention thus represents an integral solution where the slat base is part of the bed mattress. All the user needs to do is to open the mattress and place it in the bed frame without having to buy an additional slat base. The invention is classified in class AC47C 23/06 of the International Patent Classification.」
(本発明の主題は、ベッドマットレスの底部に固定され、マットレスとともにベッドを形成する個々のスラットからなるスラットベース一体型ベッドマットレスである。したがって、本発明のベッドマットレスは、スラットベースがベッドマットレスの一部である一体型ソリューションを表す。使用者は、スラットベースを追加購入することなく、マットレスを開いてベッドフレームに置くだけでよい。本発明は、国際特許分類のクラスA47C23/06に分類される。)
(イ)明細書第2ページ第19行~第23行
「The bed mattress with integrated slat base being the subject of the invention, in which the slat base is comprised of individual slats inserted on the bottom side, primarily into pockets on bands sewn into the mattress, thereby forming a slab base ensuring sufficient firmness of the mattress itself. In addition, because the slats are inserted individually, the bed mattress may be folded and vacuum packed, thus taking up minimum transport space.」
(本発明の対象であるスラットベース一体型ベッドマットレスは、スラットベースが、下側の、主にマットレスに縫い付けられたバンドのポケットに、挿入された個々のスラットから構成されており、それにより、マットレス自体の十分な硬さを確保するスラブベースを形成している。また、スラットが個別に挿入されているため、ベッドマットレスを折り畳んで真空包装することができ、輸送スペースを最小限に抑えることができる。)
(ウ)明細書第3ページ第3行
「Slat base 2 is attached to the bottom side of the bed mattress.」
(スラットベース2はベッドマットレスの下側に取り付けられている。)
(エ)明細書第3ページ第4行~第14行
「Slat base 2 is comprised of individual slats 3, which are inserted into pockets 4 on the bottom side 1a of bed mattress 1. The pockets 4 form part of two bands 5 that are attached along the length of both longer sides of bed mattress 1. On the bottom side 1a, primarily in the center of bottom side 1a of bed mattress 1, a band 6 with openings 7 is sewn into the mattress, and individual slats 3 are inserted into the openings 7. The bands 5,6 ensure the stable position of individual slats 3 and/or of the entire slat base 2 on the bottom side 1a of bed mattress 1. The ends of each slat 3 that is inserted into pocket 4 on band 5 do not come into contact with bed mattress 1, because the slat is enclosed by pocket 4 on all sides. Likewise the wooden slats 3 do not come into contact with the frame 8 during the insertion of bed mattress 1 into the bed frame 8. The protection of slats 3 with pockets 4 and band 6 prevents any squeaking that could be caused by the slat base 2 rubbing against the bed frame 8.」
(スラットベース2は、ベッドマットレス1の下側1aにあるポケット4に挿入される個々のスラット3で構成されている。ポケット4は、ベッドマットレス1の両方の長辺の長さに沿って取り付けられた2つのバンド5の一部を形成する。ベッドマットレス1の下側1aの、主に中央には、開口部7を有するバンド6がマットレスに縫い付けられ、個々のスラット3が開口部7に挿入される。バンド5、6により、ベッドマットレス1の下側1aにおける個々のスラット3および/またはスラットベース2全体の安定した位置が確保される。バンド5のポケット4に挿入された各スラット3の端部は、ベッドマットレス1に接触しない。同様に、ベッドマットレス1をベッドフレーム8に挿入する際に、木製スラット3がフレーム8に接触することはない。スラット3がポケット4とバンド6で保護されているため、スラットベース2がベッドフレーム8と擦れることによって生じる可能性のあるきしみが防止される。)
(オ)明細書第3ページ第15行~第19行
「The bed mattress 1 with integrated slat base being the subject of the invention is, for transport purposes, folded as shown in Figure 3. It may also be vacuumed in order to reduce its size. The slats 3 of the slat base 2 may be adjusted to suit any type of mattress to which they are attached. The slat base may be adapted to every mattress, as the number of slats, thickness and material of slats may be changed according to the type of bed.」
(本発明の対象となるスラットベース一体型ベッドマットレス1は、運搬のために図3に示すように折り畳まれる。また、サイズを小さくするために真空圧縮することもできる。スラットベース2のスラット3は、取り付けるマットレスの種類に合わせて調整することができる。スラットの数、厚さ及び材質はベッドの種類によって変えることができるので、スラットベースはどのマットレスにも適合させることができる。)
(カ)図1には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000001.jpg]
」
(キ)図2には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000002.jpg]
」
(ク)図3には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000003.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)図1及び記載事項(ア)の「本発明の主題は、ベッドマットレスの底部に固定され、マットレスとともにベッドを形成する個々のスラットからなるスラットベース一体型ベッドマットレスである。」との記載を踏まえると、「スラットベース一体型ベッドマットレス」は、「ベッドマットレス1」と「ベッドマットレス1の底部に固定された複数のスラット3」からなるものと認められる。
(イ)図1から、「ベッドマットレス1」は「直方体構造」であることが看取できる。
(ウ)図2(以下の参考図を参照。)から、「ベッドフレーム8」の「長手方向の両端部に」「ヘッドボード」及び「フットボード」が「備えられている」ことが看取できる。
参考図:図2に当審で認定した「ヘッドボード」、「フットボード」、「側板」及び「マットレス支持板」を付記
[図:0001436236000004.jpg]
(エ)図2(上記参考図を参照。)から、「ベッドフレーム8」は、ベッドマットレス1を支持するリブ状のマットレス支持板が設けられた側板を備え、側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致していることが看取できる。
また、記載事項(エ)の「ベッドマットレス1をベッドフレーム8に挿入する」との記載及び技術常識に照らすと、「側板」(上記参考図を参照。)は、図2におけるベッドフレーム8の手前側にも設けられているものと認められるので、「ベッドフレーム8」は、2つの側板を備え、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置しているものと認められる。
以上のことから、「ベッドフレーム8は、リブ状のマットレス支持板が設けられた2つの側板を備え、側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致し、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置し」ているものといえる。
(オ)上記(エ)及び図2(上記参考図を参照。)を踏まえると、「ベッドマットレス1は、ベッドフレーム8に挿入された状態において、「ヘッドボード」及び「フットボード」、「2つの側板」で「四方を囲まれて」いるものと認められる。
(カ)上記(エ)及び記載事項(エ)の「バンド5のポケット4に挿入された各スラット3の端部は、ベッドマットレス1に接触しない。同様に、ベッドマットレス1をベッドフレーム8に挿入する際に、木製スラット3がフレーム8に接触することはない。スラット3がポケット4とバンド6で保護されているため、スラットベース2がベッドフレーム8と擦れることによって生じる可能性のあるきしみが防止される。」との記載を踏まえると、「個々のスラット3」は、その端部がバンド5のポケット4に挿入され、バンド5を介して、側板に設けられたマットレス支持板で支持されることは明らかである。
また、図1から、「個々のスラット3」は、ベッドマットレス1の長手方向に沿って、取り付けられていることが看取できる。
また、図1、図3及び記載事項(イ)の「スラットが個別に挿入されているため、ベッドマットレスを折り畳んで真空包装することができ、輸送スペースを最小限に抑えることができる」との記載を踏まえると、「個々のスラット3」は、スラットベース一体型ベッドマットレスを長手方向に沿って丸めて折り畳むことができるように、ベッドマットレス1の下側1aに間隔を隔てて取り付けられているものと認められる。
また、スラット(slat)とは、通常、細長い薄板を意味するものと認められるところ、図1から、各スラット3は長尺状構造となっており、各スラット3の長手方向はベッドマットレス1の短手方向と一致していることが看取できる。
以上のことから、「個々のスラット3は、端部がバンド5のポケット4に挿入され、バンド5を介して、側板に設けられたマットレス支持板で支持され、スラットベース一体型ベッドマットレスを長手方向に沿って丸めて折り畳むことができるように、ベッドマットレス1の長手方向に沿って、ベッドマットレス1の下側1aに間隔を隔てて取り付けられ、各スラット3は長尺状構造となっており、各スラット3の長手方向はベッドマットレス1の短手方向と一致し」ているものと認められる。
ウ 甲1考案
甲1の記載事項及び認定事項を総合すると、甲1には以下の考案(以下「甲1考案」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内には、主な参照箇所を示す。
「直方体構造のベッドマットレス1とベッドマットレス1の底部に固定された複数のスラット3からなるスラットベース一体型ベッドマットレスと(認定事項(ア)、(イ))、
ベッドマットレス1を挿入するベッドフレーム8の長手方向の両端部に備えられたヘッドボード及びフットボードと(記載事項(エ)及び認定事項(ウ))、
を備えるベッドであって(記載事項(オ))、
ベッドフレーム8は、リブ状のマットレス支持板が設けられた2つの側板を備え、側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致し、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置し(認定事項(エ))、
ベッドマットレス1は、ベッドフレーム8に挿入された状態において、ヘッドボード及びフットボード、2つの側板で四方を囲まれており(認定事項(オ))、
ベッドマットレス1の両方の長辺の長さに沿って2つのバンド5が取り付けられ(記載事項(ウ))、
個々のスラット3は、端部がバンド5のポケット4に挿入され、バンド5を介して、側板に設けられたマットレス支持板で支持され、スラットベース一体型ベッドマットレスを長手方向に沿って丸めて折り畳むことができるように、ベッドマットレス1の長手方向に沿って、ベッドマットレス1の下側1aに間隔を隔てて取り付けられ、各スラット3は長尺状構造となっており、各スラット3の長手方向はベッドマットレス1の短手方向と一致し(認定事項(カ))、
ベッドマットレス1は、サイズを小さくするために真空圧縮することもできる(記載事項(オ))、ベッド。」
(2)甲2
ア 記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0012】
【実施例】
以下、この考案の実施例を図面を参照して説明する。
図1乃至図5はこの考案の一実施例を示し、図1に示すベッド装置はベッドフレ-ム1を備えている。このベッドフレ-ム1は平行に離間対向した一対のサイドメンバ2を有する。各サイドメンバ2は長さ方向中途部で2つに分断されていて、各部分2aの両端部にはそれぞれL字状の連結具3の一辺がねじ止め固定されている。各連結具3の他辺には一対の鉤溝状の係合部3aが上下方向に形成されている。」
(イ)「【0015】
上記サイドメンバ2の分断箇所には、ベッドフレ-ム1の幅方向に沿ってセンタメンバ9が配設されている。このセンタメンバ9の両端部の両面には、各ボ-ド4、5と同様にそれぞれボルト6aが貫通して設けられ、これらボルト6aに上記サイドメンバ2の各部分2aに設けられた連結具3の他辺の係合部3aが係合されている。そして、上記ボルト6aにナット6bが螺合されることで、上記センタメンバ9の両端部に連結具3の他辺が分割自在に結合され、それによってサイドメンバ2の2つの部分2aが結合されている。」
(ウ)図1には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000005.jpg]
」
(エ)図2には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000006.jpg]
」
イ 甲2記載事項
甲2の記載事項を総合すると、甲2には以下の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「サイドメンバ2は、長さ方向中途部で2つに分断され、2つの部分2aが分割自在に結合されているベッドフレーム1。」
(3)甲3
ア 記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ベッドフレーム、特に分割されたベッド用フレームに関する。」
(イ)「【0006】
【作用】
ヘッドボードとフットボードとをサイドレールで連接するとき、サイドレールは適宜長さに分割されているので、その分割されたサイドレールを連結しなければならない。そのとき連結するサイドレールに端部を付き合わせると共に、中束の端部に前記つき合わせたサイドレールをジョイントで固定することにより中束と両サイドレールを一体化している。サイドレールが2分割されているときは片側1箇所で、また、3分割されているときは片側2箇所でそれが実施される。そして一体に連結されたサイドレールの最端は、ヘッドボード及びフットボードに、同じくジョイントを用いて一体に接続される。上記中束は、その最下端縁が床面に接触するように、ヘッドボードとフットボードの接床部分と同一の仮想面上に位置する高さとされているので、前記サイドレールと中束の連結部分においてサイドレールが下方向に歪み、見た目を悪くし、或いはきしみ音を発すると言う事態を生ずることはない。
【0007】
【実施例】
本考案の実施の一例を図面と共に次に説明する。
図1において、1はヘッドボード、2はフットボードで、それぞれ両側端に設けたサイドレール3,3により平面形状が口字状に一体化される。サイドレール3は配送時の荷姿を小さくするためにできれば等長に適宜数に分割されており(図示の例では2分割)、その両端部にL字状に屈曲したジョイント4,5を設けている。ジョイント4,4は、分割したサイドレールの分割位置に、ジョイント5,5はヘッドボード1或いはフットボード2にサイドレール3を固定するのに用いる。ジョイント4,4は、分割したサイドレール3,3を図1のBに示めすように付き合わせたとき、付き合わせ部に中束6の端部7を位置させて、三者を固定するため、サイドレール3の端部より後退させている。そして、ジョイント4,前記中束の端子端部7,ジョイント4を通して螺子8をかん挿しセット9で締め付け固定する。サイドレール3の他端に設けたジョイント5は曲折面がサイドレール3の端面と揃う位置にあり、ヘッドボード1或いはフッドボード2の面に螺子10で固定される。11は埋め込みナットである。」
(ウ)図1には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000007.jpg]
」
イ 甲3記載事項
甲3の記載事項を総合すると、甲3には以下の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「サイドレールは適宜長さに分割され、連結するサイドレールに端部を付き合わせて螺子8をかん挿しセット9で締め付け固定するベッドフレーム。」
(4)甲4
ア 記載事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
(ア)明細書第2ページ第33行~第36行
「
[図:0001436236000008.jpg]
」
(図1~3に示すように、本発明によるスラットベース1は、脚3を介して地面に置かれ、横方向に取り付けられた複数の平行なスラット4を支持する長方形のフレーム2からなる。)
(イ)図1には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000009.jpg]
」
イ 甲4記載事項
甲4の記載事項を総合すると、甲4には以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「4つの脚3が設けられているスラットベース1。」
(5)甲5
ア 記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
(ア)明細書第1ページ第17行~第2ページ第5行
「以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明すると、図中(A)はベット本体であり、断面L形の左右両側杆(4)(4)の両端部間にそれぞれ横通杆(7)(7)を架設して長方形状の枠体を形成せしめ、その枠体の四角下部に脚(8)を立設して構成する。そして、上記左右両側杆(4)(4)間へ多数の板バネ(2)を等間隔にて架設固定し、床面(3)を形設する。」
(イ)第1図には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001436236000010.jpg]
」
イ 甲5記載事項
甲5の記載事項を総合すると、甲5には以下の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「四角下部に脚(8)を立設したベット本体。」
(6)甲6
ア 記載事項
甲6には、以下の事項が記載されている。
(ア)第1ページには、以下の画像が掲載されている。
「
[図:0001436236000011.jpg]
」
(イ)第2ページには、以下の画像が掲載されている。
[図:0001436236000012.jpg]
」
(ウ)第3ページには、「投稿日2015年4月14日」に、「この商品を購入された方のレビュー」がなされていることが看取される。
イ 認定事項
(ア)前記アから、甲6の「脚付きマットレスベッド」は、「マットレス」を有するものであり、「脚」に板状部材が固定され、さらに板状部材の長手方向に複数の板が設けられており(以下、「板状部材」、「複数の板」からなる部材を「すのこ状フレーム」という。)、「マットレス」と複数の「脚」、「すのこ状フレーム」とを備えるものであることが看取できる。
(イ)前記アから、「脚」と「すのこ状フレーム」とは固定されているものであると看取できる。
(ウ)前記ア(ウ)から、甲6の「脚付きマットレスベッド」は、本件実用新案登録に係る出願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)である2017年7月31日より前の、遅くとも2015年4月14日には、その販売がなされたものと認められるから、優先日前に公然実施されたものといえる。
ウ 甲6記載事項
前記ア、イから、甲6から把握される以下の甲6記載事項が、優先日前に公然実施されたものと認められる。
「マットレスと、複数の脚と、すのこ状フレームと、
を備える脚付きマットレスベッドであって、
複数の脚とすのこ状フレームとは固定されている脚付きマットレスベッド。」
(7)甲7
ア 記載事項
甲7には、以下の事項が記載されている。
(ア)第1ページには、「家具の基 すのこベッド」との商品名とともに、以下の画像が掲載されている。
「
[図:0001436236000013.jpg]
」
(イ)第2ページには、「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」が「2015/9/13」であることが看取される。
イ 認定事項
前記ア(イ)から、甲7の「すのこベッド」は、優先日である2017年7月31日より前の、遅くとも2015年9月13日には、その販売のための取り扱いが開始されたものと認められるから、優先日前に公然実施されたものといえる。
ウ 甲7記載事項
前記アから、甲7から把握される以下の甲7記載事項が、優先日前に公然実施されたものと認められる。
「すのこと、複数の脚と、
を備えるすのこベッドであって、
複数の脚とすのことはネジで固定されているすのこベッド。」
(8)甲8~甲8の5
ア 甲8と甲8の2の関係
(ア)甲8の第3ページ下方の画像(下記ウ(イ)を参照)に、「SoliD(ソリッド)」という表示があり、同ページ中央の画像(下記ウ(ア)を参照)には「S」、「SD」との表示が認められる。これらの表示は、甲8の2の第1ページ左上(下記ウ(コ)参照)の「SOLID/S・SD」の記載と対応する。
(イ)甲8の第13ページの中央の画像(下記ウ(カ)を参照)の「組み立て手順はシンプル&かんたん」との記載の右に組立説明図が掲載されていると認められるところ、当該組立説明図には、甲8の2と同様(下記ウ(コ)を参照)の「SOLID/S・SD」という表示が看取でき、また、当該組立説明図の概略も同じである(全3枚であり、1枚目の左側に部品図、右側上部に二本の棒、右側下部に四角形を2つつなげた枠体が掲載されていること、2枚目の左側下部の画像の一部や右側下部の画像の一部、3枚目の右側の画像の一部も共通していると認められること等)。
(ウ)以上の事項を踏まえると、甲8の2は甲8に示された商品の組立説明図であると認められる。そこで、甲8及び甲8の2の両方から把握される考案(以下「甲8考案」という。)について、以下、検討する。
イ 甲8考案の公然実施性
(ア)甲8の3の第1ページには、以下の画像が掲載された上で、「ベッド ベッドフレーム セミダブル すのこベッド ロータイプ ローベッド フロアベッド ベッド 木製 セミダブルベッド ベット ベットフレーム ベッド下収納 北欧 パイン材 シンプル ソリッドSD ドリス」と、第2ページには、「2017-06-18」に投稿されたレビューが、記載されている。
甲8の3に掲載されている画像
「
[図:0001436236000014.jpg]
」
(イ)甲8の第19ページ上方の左側の画像(下記ウ(ク)を参照)と甲8の3に掲載されている画像は同じものと認められ、また、同画像の右側の「ベッド ベッドフレーム セミダブル すのこベッド ロータイプ ローベッド フロアベッド ベッド 木製 セミダブルベッド ベット ベットフレーム ベッド下収納 北欧 パイン材 シンプル ソリッドSD ドリス」との記載も甲8の3の第1ページの記載と同じであることから、甲8考案に係る商品は、遅くとも甲8の3でレビューが投稿されていた2017年6月18日の時点で公然実施されていたものと認められる。
(ウ)一方、甲8の4の第1ページには、以下の画像が掲載された上で、「DORIS ドリス ベッド ベッドフレーム すのこベッド セミダブル フィンランド産天然木使用 ロータイプ可 組立式 ナチュラル ソリッド【12601】」と、第2ページには、ASINが「B06XPP2KFK」の「取り扱い開始日」として「2017/3/16」と記載されている。
甲8の4に掲載されている画像
「
[図:0001436236000015.jpg]
」
(エ)ただし、甲8に掲載されている画像と甲8の4に掲載されている画像とは同一のものということはできず(例えば、甲8の第3ページ中央の画像(下記ウ(ア)を参照)と甲8の4の画像の下側に7枚並んでいる画像の左から二番目、甲8の第19ページ左側下方の画像(下記ウ(ケ)を参照)と甲8の4の画像の下側に7枚並んでいる画像の左から4番目が同じかどうかは判別不能である。)、また、甲8や甲8の2には、甲8の4に記載された商品識別コードであるASIN「B06XPP2KFK」に関する記載もない。そうすると、甲8考案に係る商品の取り扱い開始日が甲8の4に記載された2017年3月16日であるとまではいえない。
(オ)したがって、甲8考案に係る商品は、本件実用新案登録に係る出願の優先日である2017年7月31日より前の、遅くとも2017年6月18日の時点で公然実施されていたものと認められる。
(カ)なお、甲8及び甲8の2で示された商品の公然実施性については、被請求人も争っていない(被請求人による陳述要領書の第6ページを参照。)。
ウ 甲8及び甲8の2の記載事項
甲8及び甲8の2には、以下の事項が記載されている。
(ア)甲8の第3ページ中央の画像
「
[図:0001436236000016.jpg]
」
(イ)甲8の第3ページ下方の画像
「
[図:0001436236000017.jpg]
」
(ウ)甲8の第4ページ下方の画像
「
[図:0001436236000018.jpg]
」
(エ)甲8の第8ページ中央の画像
「
[図:0001436236000019.jpg]
」
(オ)甲8の第10ページ中央の画像
「
[図:0001436236000020.jpg]
」
(カ)甲8の第13ページ中央の画像
「
[図:0001436236000021.jpg]
」
(キ)甲8の第14ページ上方の画像
「
[図:0001436236000022.jpg]
」
(ク)甲8の第19ページ上方の画像
「
[図:0001436236000023.jpg]
」
(ケ)甲8の第19ページ左側下方の画像
「
[図:0001436236000024.jpg]
」
(コ)甲8の2の第1ページ左上の記載
「
[図:0001436236000025.jpg]
」
(サ)甲8の2の第2ページ右上の画像
「
[図:0001436236000026.jpg]
」
(シ)甲8の2の第2ページ右下の画像
「
[図:0001436236000027.jpg]
」
エ 認定事項
(ア)記載事項(ア)、(ウ)、(キ)及び(シ)から、甲8及び甲8の2の「ベッド」は、完成した「フレーム」の上に「マットレス」を載せて使用するものであり、「マットレス」と「フレーム」とを備えるものであることが看取できる。
(イ)記載事項(エ)、(キ)及び(シ)から、甲8及び甲8の2の「フレーム」には、「複数の板が連結されたすのこ」が「ネジにより取り付けられている」ことが看取できる。
(ウ)記載事項(オ)及び(サ)から、甲8及び甲8の2の「フレーム」には、「計6本の丸脚」が「付いている」ものと認められる。
(エ)記載事項(エ)、(キ)及び(シ)から、甲8及び甲8の2の「複数の板が連結されたすのこ」の「複数の板」は、「間隔を隔てて連結されている」ことが看取できる。
オ 甲8考案
上記ア~エから、甲8及び甲8の2から把握される以下の甲8考案が、本件実用新案登録に係る出願の優先日前に公然実施されたものと認められる。
「マットレスと、複数の板が連結されたすのこと、
すのこがネジにより取り付けられるフレームに付いている計6本の丸脚と、
を備えるベッドであって、
複数の板が、間隔を隔てて連結されているベッド。」
2 乙号証の記載事項
(1)乙1
乙1には、「つな・ぐ〔繋ぐ〕」の意味として、「○1(丸数字の1は○1と代用表記する。他の丸数字も同様。以下同様。)糸・網などで一カ所に物を結びとめて離れないようにする。・・・○2切れたり離れたりしているものを続け合わせる・・・・○3長く続くようにする。絶えないようにする。・・・○4とらえる。束縛する。わが方へ引きとめる。・・・○5ひく。ほだす。・・・○6血痕・足跡などをたよりに、逃げた獣のあとをつける。たどる。・・・」と記載されている。
(2)乙1の2
乙1の2には、「ぴったり」の意味として、「○1接合部に隙間やずれがなく密着しているさま。・・・○2二つの物事が完全に合致しているさま。・・・○3物事がふさわしかったり的中したりしているさま。・・・○4続いていた状態が急に完全に停止するさま。・・・」と記載されている。
(3)乙1の3
乙1の3には、「みっ-ちゃく〔密着〕」の意味として、「○1ぴったりと付着すること。・・・○2密着印画の略。・・・」と記載されている。
(4)乙1の4
乙1の4には、「ふ-ちゃく〔付着・附着〕」の意味として、「○1他の物について離れないこと。くっつくこと。・・・○2(adhesion)異種の物質が接触したとき相互の分子間力によって互いにくっつくこと。凝着。・・・」と記載されている。
(5)乙1の5
乙1の5には、「くっ-つ・く」の意味として、「○1ぴったりとつく。接着する。○2つき従う。属する。・・・○3男女が親しくなり、夫婦となる。」と、「くっ-つ・ける」の意味として、「○1くっつくようにする。くっつかせる。○2従わせる。味方とする。○3男女を親しくさせて夫婦とする。」と記載されている。
第6 当審の判断
1 無効理由1(甲1を主たる証拠とする実用新案法第3条第1項第3号)
(1)本件考案1について
ア 対比
本件考案1と甲1考案とを対比する。
(ア)甲1考案の「ベッドマットレス1」は本件考案1の「マットレス本体」に相当し、以下同様に、「複数のスラット3」は「複数の支持板」に、「スラットベース一体型ベッドマットレス」は「マットレス」に、「ベッド」は「ベッド」に、「下側1a」は「一方の面」に、それぞれ相当する。
そして、上記相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
(イ)甲1考案の「ベッドマットレス1とベッドマットレス1の底部に固定された複数のスラット3からなるスラットベース一体型ベッドマットレス」「を備える」態様は、本件考案1の「マットレス本体及び前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレス」「を備える」態様に相当する。
(ウ)甲1考案の「ベッドフレーム8」は、「リブ状のマットレス支持板が設けられた2つの側板」と、「ベッドフレーム8の長手方向の両端部に備えられたヘッドボード及びフットボード」を備え、「側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致し、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置し」ていると認められる。
また、「ベッドマットレス1」は「ベッドフレーム8」に「挿入」されるものであり、「ベッドフレーム8に挿入された状態において、「ヘッドボード」及び「フットボード」、2つの側板で四方を囲まれ」るものであるから、ベッドマットレス1(及びこれに取り付けられたスラット3)は、「ヘッドボード」及び「フットボード」、2つの側板からなるベッドフレーム8で位置ずれが生じないようにベッドフレーム8に保持されるとともに、挿入されたベッドマットレス1(及びこれに取り付けられたスラット3)は、ベッドフレーム8から取り外すことも可能と認められる。
さらに、前記(イ)を踏まえると、ベッドマットレス1はスラット3を備えているから、甲1考案は、スラット3と着脱可能に支持するベッドフレーム8を備えているものと認められ、甲1考案の「ベッドフレーム8」と本件考案1の「支持脚」は、いずれもマットレスを支持する「支持部」である限りにおいて共通している。
そうすると、甲1考案の「ベッドマットレス1を挿入するベッドフレーム8の長手方向の両端部に備えられたヘッドボード及びフットボード」を「備え」、「ベッドフレーム8は、リブ状のマットレス支持板が設けられた2つの側板を備え、側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致し、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置し」、「ベッドマットレス1は、ベッドフレーム8に挿入された状態において、ヘッドボード及びフットボード、2つの側板で四方を囲まれて」いる態様と、本件考案1の「支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚」「を備える」態様は、「支持板と着脱可能に支持する支持部」「を備える」態様の限りにおいて、共通する。
(エ)甲1考案の「個々のスラット3」は、「ベッドマットレス1の長手方向に沿って」「取り付けられ」るものであるので、「ベッドマットレス1の長手方向」、すなわち、「スラットベース一体型ベッドマットレス」の「長手方向」は、「個々のスラット3の配列方向」と同じ方向であると認められる。
また、甲1考案の「スラットベース一体型ベッドマットレスを」「丸めて折り畳む」ことは、本件考案1の「マットレスを」「巻き取る」ことに相当する。
さらに、甲1考案の「個々のスラット3」が、「ベッドマットレス1の下側1aに間隔を隔てて取り付けられ」る態様は、本件考案1の「複数の前記支持板が、」「前記マットレス本体の一方の面に間隔を隔てて配列されている」態様に相当する。
したがって、甲1考案の「個々のスラット3は、」「スラットベース一体型ベッドマットレスを長手方向に沿って丸めて折り畳むことができるように、ベッドマットレス1の長手方向に沿って、ベッドマットレス1の下側1aに間隔を隔てて取り付けられ」る態様は、本件考案1の「複数の前記支持板が、前記マットレスを前記支持板の配列方向に沿って巻き取ることができるように前記マットレス本体の一方の面に間隔を隔てて配列されている」態様に相当する。
(オ)そうすると、両者は、
「マットレス本体及び前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレスと、
支持板と着脱可能に支持する支持部と、
を備えるベッドであって、
複数の前記支持板が、前記マットレスを前記支持板の配列方向に沿って巻き取ることができるように前記マットレス本体の一方の面に間隔を隔てて配列されているベッド。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
支持部について、本件考案1は「支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚」を備えているのに対し、甲1考案は、「スラット3と着脱可能に支持するベットフレーム8」を備えている点。
イ 判断
相違点1は実質的な相違点であるので、本件考案1は、甲1考案ではない。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張
請求人は、令和6年7月20日付けの口頭審理陳述要領書(以下、「陳述要領書」という。)において、以下の旨を主張する。
主張1(陳述要領書の第2~4ページ):
「接続」は、離れている物が単に接することも含む語である。
請求項1の「前記支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚」という事項は、「支持板と、くっつけたりはずしたりできように(直接的又は間接的に)続け合わせられている複数の支持脚」を意味すると解する余地があり、必ずしも、支持脚が支持板と離れない状態になることを意味するとは限られないと考えている。
主張2(陳述要領書の第4~5ページ):
被請求人は、「本件考案1では、ベッドが複数の支持脚を備えるが、甲1考案では、ベッドがbedframe8を備えており、複数の支持脚を備えていない。」と主張しているが、実用新案登録請求の範囲には、ベッドフレームとは全く構造が異なることは一切記載されていないし、従来の課題としてベッドフレームの課題が書いてあるからといって、その解決手段が、必ずしもベッドフレームの構成を除くものとなるとも限らない。
(イ)請求人の主張1についての判断
「接続」とは、一般的に「つなぐこと。つながること」を意味し、「つなぐ」とは、一般的に「糸・網などで一か所に物を結びとめて離れないようにすること。」、「切れたり離れたりしているものを続け合わせる。」ことを意味する(乙1)。また、本件各考案がマットレスやこれを支持する部材等を持って構成されるベッドの考案であることに鑑みれば、本件考案1における「接続されている」とは、マットレスと部材、あるいは部材同士が、離れないように続け合わされている状態を意味すると解するのが相当である。
そうすると、支持板を有するマットレスとこれを支持する支持脚が単に接しているだけで離れないように対処されていない状態を含むと解釈することは困難である。
したがって、請求人の主張1は採用できない。
(ウ)請求人の主張2についての判断
「脚」とは、一般的に「物の下部にあり支えの用に供するもの」を意味し(広辞苑第六版)、住宅用普通ベッドに係る日本工業規格(JIS)において、ベッドの床面に接する柱状の部材の名称を「脚」と表示していることが認められる(JIS S 1102:2017)。そうすると、本件考案1における「支持脚」とは、マットレスの下部にあり、マットレスを支える柱状のもの、と解するのが相当であり、一方、日本工業規格(JIS)において、床面に接する板状の部材の名称は、「脚」ではなく「ヘッドボード」、「フットボード」と表示されていることが認められることから、住宅用ベッドに係る技術分野において、「脚」とは柱状の部材を指し、ヘッドボードやフットボードのような板状の部材はこれに含まれないといえる。
したがって、請求人の主張2は採用できない。
(2)本件考案2~5、7、8、10について
本件考案2~5、7、8、10は、本件考案1の全ての構成を含み、更なる限定を付加したものであるから、前記(1)イで説示したのと同様の理由により、甲1考案ではない。
(3)小括
以上のとおり、本件考案1~5、7、8及び10は甲1考案ではないから、無効理由1は成り立たない。
2 無効理由2(甲1を主たる証拠とする実用新案法第3条第2項)
(1)本件考案6について
ア 対比
本件考案6と甲1考案とを対比する。
本件考案1に係る前記1(1)アの対比を踏まえると、本件考案6と甲1考案とは、既に検討した相違点1に加え、以下の点において相違すると認められる。
[相違点2]
本件考案6では、「前記補強板はその長手方向に順次に着脱可能に接続されている複数のサブ板を備える」のに対し、甲1考案では、そのような事項を有しない点。
イ 判断
まず、前記1(1)ア(オ)に記載した相違点1について検討する。
(ア)前記1(1)ウ(ウ)に説示したように、ベットフレーム8に含まれる「ヘッドボード」及び「フットボード」は、板状の部材であり、柱状の「脚」ではないため、甲1考案は支持脚を有するものとは認められない。
(イ)また、前記1(1)ウ(イ)に説示したように、甲1考案におけるベッドフレーム8は、スラット3と単に接しているだけで、離れないように対処されていないものであるから、両者が「接続」されているものとは認められない。
(ウ)ここで、前記第5の1(6)、(7)に示したように、甲6、7には、すのこ状のベッドフレームにおいて、複数の脚を有する点が記載されているが、ベッドの幅方向に延伸し、長手方向に配列された複数の板状部材は脚に直接的または間接的に固定されたフレームの一部をなす部材であり、仮に当該「脚」及び「板状部材」が本件考案6における「支持脚」及び「支持板」にそれぞれ相当するものであるとしても、本件考案6のように、「マットレス本体に接続されている」「支持板」と「支持脚」が「着脱可能に接続されている」ものとは認められない。
(エ)また、甲6、7記載事項を甲1考案のベッドフレーム8の代わりに採用したとしても、甲1考案の「ベッドマットレス1」は「スラット3」を備えたものであり、甲6、7記載事項のすのこ状のベッドフレームの上にさらにスラット3を備えたベッドマットレス1を載置することになるから、甲1考案において、甲6、7記載事項を適用する動機付けは見いだせない。
(オ)さらに、甲6記載事項は、すのこ状フレームの上にマットレスが載置される構造の脚付きマットレスベッドであることから、当該製品においてマットレスを載置するにあたり、すのこ状フレームは必要不可欠である。また、甲7記載事項は、複数の脚とすのことがネジで固定されているすのこベッドであることから、甲6記載事項同様、すのこは必要不可欠である。
そうすると、甲1考案に甲6、7記載事項を仮に適用しようとしても、甲6、7記載事項における複数の脚のみを適用することに、阻害要因があるといえる。
(カ)したがって、相違点1に係る本件考案6の事項は、甲6、7記載事項を参照しても、甲1考案から当業者がきわめて容易になし得たものとはいえない。
また、相違点1に係る本件考案6の事項については、周知技術として示された甲2、3にも記載されていない。
(キ)よって、本件考案6は、相違点2を検討するまでもなく、甲1考案及び周知技術に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張
請求人は、令和6年1月23日付けの審判請求書(以下「審判請求書」という。)において、以下の旨を主張する。
主張(第22ページe):
甲1考案における「マットレス支持板」、「脚パネル」の形状、配置、そして、甲第4号証や甲第5号証に示される周知技術における「長手方向部材」、「脚」の形状、配置は、本件実用新案登録の図1で示される実施形態の「補強板30」、「支持脚20」と異なるものである。
しかしながら、本件実用新案登録の図1で示される実施形態の「補強板30」、「支持脚20」のような形状、配置は、例えば、甲第6号証(例えば、第2頁最上段右側の画像等参照)や甲第7号証(例えば、第1頁左上の「組み立て方」と記載された画像等参照)に示されるように周知技術である。
そして、「身体の重みに応じて変形する部材を支持する」という課題を解決するために、甲1考案のbed frame 8に代えて、甲第6号証や甲第7号証に示される周知技術を採用することも、均等物による置換に過ぎない。
してみれば、仮に、本件実用新案登録において、請求項の構成が、図1で示される実施形態の「補強板30」、「支持脚20」の形状、配置に限定されているものと解釈したとしても、その形状、配置は、実用新案登録出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(イ)請求人の主張についての判断
前記イ(ウ)~(キ)において説示したように、例え甲6及び甲7に開示されるように、支持脚の形状が周知技術であるとしても、これを甲1考案に適用する動機付けはなく、また、支持脚のみを甲1考案に採用することに、阻害要因がある。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(2)本件考案9について
ア 対比
本件考案1に係る前記1(1)アの対比及び本件考案6に係る前記(1)アの対比を踏まえると、本件考案9と甲1考案とは、既に検討した一致点において一致し、前記した相違点に加えて、以下の相違点において相違すると認められる。
[相違点3]
本件考案9では、「前記支持脚は複数設けられており、複数の前記支持脚は行列型に配列されている」のに対し、甲1考案では、「ベッドフレーム8の長手方向の両端部に」「ヘッドボード及びフットボード」「を備え」、さらに「リブ状のマットレス支持板が設けられた2つの側板を備え、側板は長尺状構造となっており、側板の長手方向はベッドマットレス1の長手方向と一致し、2つの側板はベッドマットレス1の短手方向の両端部に位置」している点。
イ 判断
(ア)本件考案9は、本件考案1の全ての構成を含み、更なる限定を付加したものであるから、本件考案9と甲1考案との対比において、前記1(1)アで示した相違点1を含むものであり、当該相違点1に係る本件考案9の事項については、前記(1)イで説示したとおり、甲1考案及び甲2、3で示される周知技術、甲6、7記載事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(イ)また、別の周知技術として示された甲4にも、当該相違点1に係る事項は開示されておらず、さらに、甲5には「四角下部に脚(8)を立設したベット本体」が開示されているものの、前記(1)イ(ウ)~(オ)での説示と同様、甲5記載事項を参照しても、甲1考案から当業者がきわめて容易になし得たものとはいえない。
(ウ)したがって、本件考案9は、相違点3を検討するまでもなく、当該相違点1に係る本件考案6の事項における同様の理由により、甲1考案及び周知技術に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(3)小括
以上のとおり、本件考案6、9は、甲1考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではないから、本件考案6、9についての実用新案登録は、無効理由2によって無効とすべきものではない。
3 無効理由3(甲8及び甲8の2を主たる証拠とする実用新案法第3条第1項第2号)
(1)本件考案1について
ア 対比
本件考案1と甲8考案とを対比する。
(ア)甲8考案の「マットレス」は本件考案1の「マットレス本体」に相当し、以下同様に、「複数の板」は「複数の支持板」に、「計6本の丸脚」は「複数の支持脚」に、「ベッド」は「ベッド」に、それぞれ相当する。
そして、上記相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
(イ)甲8考案の「複数の板が連結されたすのこ」は、「フレーム」に「ネジにより取り付けられる」ものであるので、「フレーム」と「着脱可能に接続されている」ものと認められる。
そうすると、「フレームに付いている計6本の丸脚」もまた、「複数の板が連結されたすのこ」に、フレームを介して間接的に「着脱可能に接続されている」ものといえる。
一方で、甲8考案において、「複数の板が連結されたすのこ」は、「フレーム」に「ネジにより取り付けられる」ものであるので、「フレーム」側に取り付けられた部材であって、「マットレス」が「有する」部材ではないと認められる。
したがって、甲8考案の「マットレスと、複数の板が連結されたすのこと、すのこがネジにより取り付けられるフレームに付いている計6本の丸脚と、を備えるベッド」と、本件考案1の「マットレス本体及び前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレスと、前記支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚と、を備えるベッド」とは、「マットレス本体及び複数の支持板と、前記支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚と、を備えるベッド」という点において共通する。
(ウ)甲8考案の「複数の板が、間隔を隔てて連結されている」構成と、本件考案1の「複数の前記支持板が、前記マットレスを前記支持板の配列方向に沿って巻き取ることができるように前記マットレス本体の一方の面に間隔を隔てて配列されている」構成とは、「複数の前記支持板が、間隔を隔てて配列されている」構成において共通する。
(エ)そうすると、両者は、
「マットレス本体及び複数の支持板と、
前記支持板と着脱可能に接続されている複数の支持脚と、
を備えるベッドであって、
複数の前記支持板が、間隔を隔てて配列されているベッド。」
において一致し、以下の点で相違する。
[相違点4]
マットレスの構成に関し、本件考案1では、「マットレス本体に接続されている複数の支持板を有」し、「複数の前記支持板が、前記マットレスを前記支持板の配列方向に沿って巻き取ることができるように前記マットレス本体の一方の面に」「配列されている」のに対し、甲8考案では、「複数の板が連結されたすのこ」がフレームに取り付けられている点。
イ 判断
相違点4は実質的な相違点であるから、本件考案1は、甲8考案ではない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、以下の旨を主張する。
主張(第25~26ページ):
本件考案1において、マットレス本体と複数の支持板とを具体的にどのように接続しているのかは限定されていない。そのため、マットレス本体と複数のすのことが接しているのみの構成も含まれるものと解される。
甲5考案(当審注:「甲8考案」の明らかな誤記と認める。次の文にある「甲5考案」も同様。)におけるすのこは、マットレス本体と接触しているため、マットレス本体に接続されているものと認められる。してみれば、甲5考案には、「マットレス本体及び前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレス」が記載されているものと認められる。
イ 請求人の主張についての判断
請求人が主張するように、マットレス本体とすのことが接している構成をもって、本件考案1の「前記マットレス本体に接続されている複数の支持板」「を備える」構成に相当するといえるか否かという点について、前記1(1)ウ(イ)で説示したとおり、「接続されている」とは「マットレスと部材、あるいは部材同士が、離れないように続け合わされている状態」を意味すると解するのが相当であり、単に接しているだけで離れないように対処されていない状態を含むと解釈することは困難である。
また、前記(1)ア(イ)に説示したとおり、甲8考案において、「複数の板が連結されたすのこ」は、「フレーム」側に取り付けられた部材であって、「マットレス」が「有する」部材ではないので、甲8及び甲8の2には、「前記マットレス本体に接続されている複数の支持板を有するマットレス」(下線は当審において付した。)について開示されているとは認められず、請求人の当該主張は採用できない。
(3)本件考案2、3、5~9について
本件考案2、3、5~9は、本件考案1の特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件考案1と同様の理由により、本件考案2、3、5~9は、甲8考案ではない。
(4)小括
以上のとおり、本件考案1~3、5~9は甲8考案ではないから、本件考案1~3、5~9についての実用新案登録は、無効理由3によっては無効とすることはできない。
4 無効理由4(甲8及び甲8の2を主たる証拠とする実用新案法第3条第2項)
(1)本件考案4について
ア 対比
本件考案1に係る前記3(1)アの対比を踏まえると、本件考案4と甲8考案とは、前記3(1)ア(エ)に記載した一致点において一致し、同節に記載した相違点4に加えて、以下の相違点において相違すると認められる。
[相違点5]
マットレスの構成に関し、本件考案4では、「前記マットレスはさらに連結帯を備え、前記連結帯の延伸方向は、前記支持板の配列方向と平行し、又は前記支持板の配列方向と非ゼロ角をなしており、前記支持板は前記連結帯により前記マットレス本体に接続されている」のに対し、甲8考案では、マットレスが連結帯を備えていない点。
イ 判断
まず、前記3(1)ア(エ)に記載した相違点4について検討する。
(ア)前記3(1)ア(イ)に説示したとおり、甲8考案において、「すのこ」は「フレーム」に「取り付けられる」ものである。
そうすると、甲1考案のように、「ベッドマットレス1の底部に固定され、ベッドマットレス1とともにベッドを形成する複数のスラット3からなるスラットベース一体型ベッドマットレス」が公知であるとしても、このようなマットレスを用いると、「複数の板が連結されたすのこ」の上にさらに「複数のスラット3からなるスラットベース」を載置することになるから、甲8考案において、甲1考案のスラットベース一体型ベッドマットレスを適用する動機づけは見いだせない。
(イ)また、甲8考案は、「すのこ」の上に、(複数の支持板を有しない)通常のマットレスを載置して使用するベッドフレームに関する製品であると認められるところ、当該製品において、通常のマットレスを使用するために、すのこは必要不可欠である。そうすると、甲8考案において、「すのこ」を有しないものとして、甲1考案の「スラットベース一体型ベッドマットレス」を適用することにも阻害要因があるといえる。
(ウ)したがって、相違点4に係る本件考案4の構成は、甲8考案から当業者がきわめて容易になし得たものとはいえない。
(エ)よって、本件考案4は、相違点5を検討するまでもなく、甲8考案及び甲1に記載された技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(2)本件考案10について
ア 対比
本件考案1に係る前記3(1)アの対比及び本件考案4に係る前記(1)アの対比を踏まえると、本件考案10と甲8考案とは、既に検討した一致点において一致し、前記した相違点に加えて、以下の相違点において相違すると認められる。
[相違点6]
マットレスの構造に関し、本件考案10では、「前記マットレス本体は圧縮可能な構造である」のに対し、甲8考案では、マットレスが圧縮可能な構造であるか否か特定されていない点。
イ 判断
(ア)前記(1)イで判断したとおり、甲8考案において、相違点4に係る本件考案10の構成とすることは、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
(イ)したがって、本件考案10は、相違点6を検討するまでもなく、甲8考案及び甲1に記載された技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(3)小括
以上のとおり、本件考案4、10は、甲8考案及び甲1に記載された技術的事項に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではないから、本件考案4、10についての実用新案登録は、無効理由4によっては無効とすることはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件考案1~10についての実用新案登録は、無効理由1~4によって、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-400001