実用新案無効審判
2024-400005
ウィッグ型エクステンション
- 審判番号
- 2024-400005
- 法域
- 実用新案
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 実願2024-002437
- 登録番号
- 3248379
- 請求日
- 2024年12月04日
- 審決日
- 2025年06月06日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】マスターズプランナー 株式会社
- 【請求人代理人】内島 裕
- 【請求人】株式会社 ペスカインターナショナル
- 【請求人代理人】内島 裕
- 【被請求人】ちょいぷらす 株式会社
- 【被請求人代理人】日高 賢治
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 北村 英隆
- 審判官 永冨 宏之
- 分類
- U1114.121-Z (A41G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 実用新案法3条2項実用新案法37条1項2号実用新案法41条特許法169条2項民事訴訟法61条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 実用新案法第3条第2項、実用新案法第37条第1項第2号、実用新案法第41条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3248379号実用新案「ウィッグ型エクステンション」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
実用新案登録第3248379号の請求項1~4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
実用新案登録第3248379号の請求項1~4に係る考案(以下、請求項の番号に従って、「本件考案1」などといい、これらを合わせたものを「本件考案」という。)についての出願は、令和6年7月22日に実用新案登録出願され、同年9月11日にその実用新案権の設定登録がされたものである。
これに対して、令和6年12月4日に請求人であるマスターズプランナー株式会社及び株式会社ペスカインターナショナルにより、本件考案の実用新案登録について実用新案登録無効審判の請求がされ、令和7年1月10日付けで請求書副本を送達するとともに期間を指定して答弁書提出の機会を与えたが、被請求人からは応答がなかった。
その後、令和7年4月25日付け書面審理通知書により、被請求人及び請求人らに対して、審理を書面審理によるものとすることを通知した。
第2 本件考案
本件考案1~4は、それぞれ、その実用新案登録請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 毛髪及び/又は人工毛髪が表面に植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に固定され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記植毛ネット及び前記装着部材は、縦横比率が1:3以上の細長い長方形で、かつ柔軟性を有する素材で構成され、
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起であり、
前記毛髪及び/又は前記人工毛髪は、メッシュ加工されている、
ことを特徴とするウィッグ型エクステンション。
【請求項2】
前記植毛ネットの長さ方向の先端側及び/又は後端側の裏面には前記装着部材との間に隙間を有し、前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が、前記植毛ネットの裏面に使用者が装着した際の頭側に向かって植毛されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項3】
前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して2分割され、前記植毛ネットの長さ方向の前後側に対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項4】
前記足の密度は62~68本/cm2である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のウィッグ型エクステンション。」
第3 請求人らの主張及び証拠方法
1 請求人らの主張の概要
請求人らは、実用新案登録第3248379号の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、証拠方法として次の甲第1号証~甲第2号証(以下、証拠の番号に従って「甲1」などという。)を提出している。
そして、請求人らは、審判請求書の「7(3)」において、実用新案登録無効審判請求の根拠として、本件考案1~4は、甲1及び甲2に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである(以下、「無効理由」という。)と主張する。
2 証拠方法
甲1:特許第7457269号公報
甲2:実願昭60-157691号(実開昭62-67502号)のマイクロフィルム
第4 被請求人の主張
被請求人は、上記第1で述べたとおり、答弁書を提出しなかった。
第5 当審の判断
1 各甲号証の記載
(1)甲1
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
ア
「【0007】
本願発明は、上記した従来のエクステやウィッグとは相違する毛髪への固定手段を用い、使用者自身によって、使用者の頭髪に対し簡単・容易に取り付け/取り外しが可能で、イメージしたものと実際との間にギャップが生じることがなく、かつ取り付けている際に植毛ネットの先端側又は後端側がめくれ上がった場合であっても、エクステを取り付けていることが第三者から判別できないエクステンションを提供することを目的とする。」
イ
「【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本願発明に係るウィッグ型エクステンション(以下、エクステという)を裏側から見た図であり、エクステは、様々な色にカラーリングされた毛髪及び/又は人工毛髪1(以下、毛髪1という)が、表面の全長に渡って上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネット2と、植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3から構成されている。毛髪1は、毛髪のみ、人工毛髪のみ、或いはこれらの混合物であっても良い。また植毛ネット2に植毛される毛髪1の密度は、従来と同様の密度であれば良く、特に限定されない。なお以下、植毛ネットの長さ方向を前後方向、長さ方向において使用者が頭部に装着した際の顔面側を先端側及び後頭部側を後端側、使用者の頭皮側を下向き、とそれぞれ定義して説明する。
【0024】
図2-1は、植毛ネット2及び装着部材3を拡大した模式図であり、装着部材3は、植毛ネット2の長さ方向の中心から所定間隔L2(4~6mm程度)を有して前後方向に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された装着部材3は、それぞれ植毛ネット2に対して少なくとも前後方向に所定幅の隙間を有して接着されている。
【0025】
エクステを外して保管する際、植毛ネット2を2つの装着部材3の中心位置で折り畳むと、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触し、両者は固定される。これにより、エクステの収納保管時に毛髪1が装着部材3に絡みつくことを防止でき、かつコンパクトに収納することができる。
【0026】
図2-1、図3に示すとおり、植毛ネット2の先端側と装着部材3との間には隙間L1(3~5mm程度)が形成されており、この隙間L1には、毛髪1が植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている。この構成によって、エクステを取り付けている際に、何らかの原因で植毛ネット2の先端側がめくれ上がった場合であっても、植毛ネット2のめくれ上がりは外見上分からず、第三者は使用者がエクステを取り付けているか否かを見分けることができないようになっている。なお、図2-1の実施形態では、植毛ネット2の先端側にのみ毛髪1を下向きに植毛した例を示しているが、図2-2に示すように、植毛ネット2の後端側にも毛髪1を下向きに植毛しても良く、或いは後端側にのみ毛髪1を下向きに植毛しても良い。
【0027】
図4は、装着部材3を横方向から見た拡大図(実物写真)であり、装着部材3は土台部4と、土台部3(当審注 「土台部4」の誤記である。)から突出する複数の足4(当審注 「足5」の誤記である。以下、同様。)から構成されている。足4はキノコ型の突起であり、細線の先端にキノコの傘のような膨出部(マッシュ部)が形成されており、この膨出部と使用者の髪とが絡まることで、使用者の頭髪に対し、エクステを取り付け/取り外し自在とすることができる。
【0028】
足4の細線の径は220Tex、長さは2.3~3mm、膨出部の径は0.5~0.6mm、足4の密度は62~68本/cm2とすることが好ましいが、これらに限定されない。装着部材3は、使用者の毛髪に対し容易に外れない程度の取り付け強度を有し、かつ所定の力で簡単に取り外すことができれば良い。また、膨出部の形状は、キノコの傘に似た形状以外にも、半球体や球体等であっても良い。
【0029】
なお前述した植毛ネット2を中央で折り畳んだ際に、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触して固定されるのは、上記構成を有する足4によって2つの装着部材3が面ファスナーとしての機能を発揮するからである。
【0030】
図5は、エクステのラインアップの一例であり、図5(a)は分け目エクステ、(b)は前髪エクステ、(c)はつむじエクステ、(d)はメッシュエクステ、(e)はエアーエクステであるが、エクステの種類はこれらの例に限定されない。
【0031】
植毛ネット2の長さ及び幅は、上記した各種のラインナップの形状、大きさ等に応じて適宜に決定することができるが、その長さは30~110mm程度、幅は10~30mm程度であることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0032】
また、2分割された装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0033】
また、植毛ネット2はナイロン製、装着部材3の土台部4はナイロン製、足5はポリプロピレン製とすることが好ましいが、これらに限定されない。」
ウ 図2-1
[図:0001425825000001.jpg]
エ 上記ウの図示事項より、植毛ネット2及び装着部材は、細長い長方形であることが看取できる。
(2)甲2
甲2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア
「(1)化学繊維又は地毛等から成る複数本の毛髪を任意の色に染色すると共にその基部を結束し、且つその結束部位にヘアピン或いはくし又は止め金若しくは水溶性接着剤で装着したことを特徴とする髪飾り用付けメッシュ。
(2)単一色又は複数色を混ぜ合わせた複数本の毛髪を10~20mm位の幅に結束した実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の髪飾り用付けメッシュ。
(3)複数の毛髪を一定の間隔をあけて基部を結束した実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の髪飾り用付けメッシュ。
(4)単一色又は複数色の毛髪を三つ編みしたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の髪飾り用付けメッシュ。」(実用新案登録請求の範囲)
イ
「本考案は、男女を問わず現代の若者の間で一つのファッションとして流行している髪飾り用メッシュに関するもので、地毛(もとから生えている自分の毛髪)にメッシュ(頭髪の部分染め)する代わりに、ごく少量か又は比較的少量の付け毛髪を好みの色に染色し、これを頭髪に飾り付けることによって、染める時間を要さずに而も取り外し自在に装着でき、且つ地毛を痛めずに好みのメッシュを体裁良く、而も安価に得られるようにすることを目的とする。」(明細書第2ページ第1~10行)
ウ
「以下、本考案の実施例を図面を以て説明する。1は化学繊維又は人の頭髪から成る自毛の毛髪で、長さ5cm~50cm位の範囲で設定し、これにベンジンアルコール・香料を主成分を可とする着色料で設定の色彩で染色し、これを数本から百本前後(場合によっては百数十本もある)の範囲で目的に応じた数量で毛髪基部を接着剤等で固めて結束し、さらにその基部に部屋ピン21或いは細い金属線状体で成形したくし22又はバネ性を利用した止め金23若しくは水溶性接着剤等の止め具2を装着してある。
この場合、毛髪を染色する着色料は、レッド、イェロー、ブルーをはじめ、マリンブルー、パープルブルー等任意の色彩を選択することができる。」(明細書第5ページ第11行~第6ページ第4行)
エ
「第5図は十数本ないし数十本の長い毛髪を単一色又は複数色に配色をして三つ編みしたもので、同図(A)は、三つ編み部は地毛に合った単一色にし、先端部位12に地毛以外の色彩に染色したものを示す。また同図(B)は色とりどりの色彩を施した毛髪を予め混ぜ合わせて三つ編みにしたものを示す。」(明細書第6ページ第19行~第7ページ第5行)
オ
第5図
[図:0001425825000002.jpg]
2 引用考案及び甲2技術的事項について
(1)引用考案について
上記1の(1)ア~エより、甲1には、以下の考案(以下、「引用考案1」等という。)が記載されていると認められる。
(引用考案1)
「様々な色にカラーリングされた毛髪及び/又は人工毛髪1が、表面の全長に渡って上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネット2と、
前記植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3から構成され、
前記植毛ネット2の長さは30~110mm程度、幅は10~30mm程度であり、2分割された前記装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであり、
前記装着部材3は土台部4と、前記土台部4から突出する複数の足5から構成され、前記足5はキノコ型の突起であり、
前記植毛ネット2はナイロン製、前記装着部材3の土台部4はナイロン製、前記足5はポリプロピレン製である、ウィッグ型エクステンション。」
(引用考案2)
「前記植毛ネット2の先端側と前記装着部材3との間には隙間L1が形成されており、この隙間L1には、毛髪1が前記植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている引用考案1のウィッグ型エクステンション。」
(引用考案3)
「前記装着部材3は、前記植毛ネット2の長さ方向の中心から所定間隔L2を有して前後方向に2分割されて対称に配置されている引用考案1又は2のウィッグ型エクステンション。」
(引用考案4)
「前記足5の密度は62~68本/cm2である引用考案1又は2のウィッグ型エクステンション。」
(2)甲2技術的事項について
上記2の(2)ア~オより、甲2には、以下の技術的事項が記載されている。
(甲2技術的事項)
「化学繊維又は人の頭髪から成る地毛の毛髪を、複数色に染色し、これを頭髪に飾り付けることによって、染める時間を要さずに而も取り外し自在に装着でき、且つ地毛を痛めずに好みのメッシュを体裁良く、而も安価に得られるようにする髪飾り用付けメッシュ」
第6 無効理由についての対比・判断
1 本件考案1について
本件考案1と引用考案1とを対比する。
引用考案1の「様々な色にカラーリングされた毛髪及び/又は人工毛髪1が、表面の全長に渡って上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネット2」は、本件考案1の「毛髪及び/又は人工毛髪が表面に植毛された細長いテープ状の植毛ネット」に相当する。
引用考案1の「前記植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3」は、本件考案1の「前記植毛ネットの裏面に固定され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材」に相当する。
引用考案1の「前記植毛ネット2の長さは30~110mm、幅は10~30mmであり、2分割された前記装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであ」る構成は、図2-1(前記第5 1(1)ウ及びエ)より、本件考案1の「前記植毛ネット及び前記装着部材は、縦横比率が1:3以上の細長い長方形」である構成と、「前記植毛ネット及び前記装着部材は、細長い長方形」である点で共通する。
引用考案1の「前記装着部材3は土台部4と、前記土台部3から突出する複数の足5から構成され、前記足5はキノコ型の突起であ」る構成は、本件考案1の「前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起であ」る構成に相当する。
そうすると、本件考案1と引用考案1は、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「毛髪及び/又は人工毛髪が表面に植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に固定され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記植毛ネット及び前記装着部材は、細長い長方形で構成され、
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起である、
ウィッグ型エクステンション。」
(相違点1)
植毛ネット及び装着部材について、本件考案1は、「縦横比率が、1:3以上」であるのに対し、引用考案1は、植毛ネット2の長さは30~110mm程度、幅は10~30mm程度であり、2分割された装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであるものの、縦横比率がそのような比率であるのか不明な点。
(相違点2)
本件考案1は、植毛ネット及び前記装着部材が、「柔軟性を有する素材で構成され」ているのに対し、引用考案1は、植毛ネット2がナイロン製であり、装着部材3の土台部4がナイロン製、足5がポリプロピレン製であるものの、柔軟性を有するか不明な点。
(相違点3)
本件考案1は、「前記毛髪及び/又は前記人工毛髪は、メッシュ加工されている」のに対し、引用考案1の毛髪及び/又は人工毛髪1は、メッシュ加工されているのか否か不明な点。
上記相違点1について検討する。
引用考案1は、植毛ネット2及び装着部材3の縦横比率が明らかではないものの、植毛ネット2の長さは30~110mm、幅は10~30mmであり、2分割された装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであり、その具体的な寸法として縦横比率が1:3以上のものが含まれている。また、図2-1には、植毛ネット2及び装着部材3が細長い長方形であることが示されていることから(前記第5 1(1)ウ及びエ)、引用考案1の前記縦横比率を1:3以上とすることは、当業者にとってきわめて容易である。
上記相違点2について検討する。
本件考案1において「柔軟性」の程度が特定されていないため、本件明細書の記載も参酌して検討する。本件明細書には、段落0028に「植毛ネット2はナイロン製、装着部材3の土台部4はナイロン製、足5はポリプロピレン製とする」ことが記載されており、引用考案1の植毛ネット2及び装着部材3と同じ素材が挙げられている。
また、本件明細書の段落0027には、「植毛ネット2のめくれ上がり」について言及されている一方で、甲1においても同様に植毛ネット2のめくれ上がりが言及されており(前記第5 1(1)イ段落0026)、植毛ネット2の柔軟性については、本件考案1と引用考案1との間で、実質的な相違は認められない。
そして、ウィッグのような美容器具は、頭皮に沿うように配置できない場合、違和感を与えることから、装着部材3にも柔軟性が求められることは例示するまでもない周知技術であり、引用考案1の装着部材3が本件考案1と同程度の柔軟性を有するようにすることは、当業者にとってきわめて容易である。
上記相違点3について検討する。
甲1の前記第5 1(1)イの段落0030には、「メッシュエクステ」と記載されており、語義から植毛された毛髪及び/又は人工毛髪1がメッシュ加工されたエクステが示唆されていると認められる。
そして、甲2技術的事項によると、「化学繊維又は人の頭髪から成る地毛の毛髪を、複数色に染色し、これを頭髪に飾り付けることによって、染める時間を要さずに而も取り外し自在に装着でき、且つ地毛を痛めずに好みのメッシュを体裁良く、而も安価に得られるようにする髪飾り用付けメッシュ」が公知である。
してみると、甲1のメッシュエクステとの記載から、当業者であれば、毛髪及び/又は人工毛髪1がメッシュ加工されたエクステを想起できるといえ、引用考案1の植毛された毛髪及び/又は人工毛髪1において、その具体的な態様として、甲2技術的事項を採用し、複数色に配色をした構成とすることは、当業者にとってきわめて容易に想到し得たものである。
そして、上記相違点1~3による効果は、引用考案1、甲2技術的事項及び技術常識から、当業者が予測し得る程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本件考案1は、引用考案1及び甲2技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
2 本件考案2について
本件考案2と引用考案2とを対比する。
引用考案2の「前記植毛ネット2の先端側と前記装着部材3との間には隙間L1が形成されて」いる構成は、前記第5 1(1)ウの図示事項を考慮すると、本件考案2の「前記植毛ネットの長さ方向の先端側及び/又は後端側の裏面には前記装着部材との間に隙間を有」する構成に相当する。
また、引用考案2の「毛髪1が前記植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている」は、前記第5 1(1)イの段落0023の「植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3から構成されている」との記載を考慮すると、植毛ネット2の裏面から下向きが、使用者の頭側に向かう向きであるといえる。
してみると、引用考案2の「前記植毛ネット2の先端側と前記装着部材3との間には隙間L1が形成されており、この隙間L1には、毛髪1が前記植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている」は、本件考案2の「前記植毛ネットの長さ方向の先端側及び/又は後端側の裏面には前記装着部材との間に隙間を有し、前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が、前記植毛ネットの裏面に使用者が装着した際の頭側に向かって植毛されている」に相当する。
そうすると、本件考案2と引用考案2とは、前記相違点1~3で相違し、その余の点で一致する。そして、前記相違点1~3についての判断は、「1 本件考案1について」で前述したとおりである。
したがって、本件考案2は、引用考案2及び甲2技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
3 本件考案3について
本件考案3と引用考案3とを対比する。
引用考案3の「前後方向に2分割されて対称に配置されている」構成における「前後方向」は、甲1の図2-1(前記第5 1(1)ウ)の図示事項によると、本件考案3の「前記植毛ネットの長さ方向」と同じ方向である。そうすると、引用考案3の「前後方向に2分割されて対称に配置されている」構成は、本件考案3の「前記植毛ネットの長さ方向の前後側に対称に配置されている」構成に相当する。
つまり、引用考案3の「前記装着部材3は、植毛ネット2の長さ方向の中心から所定間隔L2を有して前後方向に2分割されて対称に配置されている」構成は、本件考案3の「前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して2分割され、前記植毛ネットの長さ方向の前後側に対称に配置されている」構成に相当する。
そうすると、本件考案3と引用考案3とは、前記相違点1~3で相違し、その余の点で一致する。そして、前記相違点1~3についての判断は、「1 本件考案1について」で前述したとおりである。
したがって、本件考案3は、引用考案3及び甲2技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
4 本件考案4について
本件考案4と引用考案4とを対比する。
引用考案4の「前記足5の密度は62~68本/cm2である」構成は、本件考案4の「前記足の密度は62~68本/cm2である」構成に相当する。
そうすると、本件考案4と引用考案4とは、前記相違点1~3で相違し、その余の点で一致する。そして、前記相違点1~3についての判断は、「1 本件考案1について」で前述したとおりである。
したがって、本件考案4は、引用考案4及び甲2技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本件考案1~4は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案1~4についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定が準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-400005