特許訂正審判
2025-390031
改良されたコロナウイルスワクチン
- 審判番号
- 2025-390031
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-502656
- 登録番号
- 7580568
- 請求日
- 2025年03月19日
- 審決日
- 2025年06月09日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アカデミア シニカ
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 冨永 みどり
- 審判官 小堀 麻子
- 審判官 福山 則明
- 分類
- P141 .852-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条、特許法第184条の19
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7580568号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7580568号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7580568号(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2023-502656号)は、2022年(令和4年)4月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2021年4月12日 米国(US)、2021年5月18日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和6年10月31日に特許権の設定登録(請求項の数21)がなされ、その後、令和7年3月19日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7580568号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
願書に添付した明細書の段落【0103】において、配列番号1として記載された配列番号4~8を説明した画像(【化4】)を、配列番号1を表示した画像に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0105】において、配列番号2として記載された配列番号1を表示した画像(【化5】)を、配列番号2を表示した画像に訂正する。
(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0108】において、配列番号3として記載された配列番号2を表示した画像(【化6】)を、配列番号3を表示した画像に訂正する。
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0116】において、高度に保存されたエピトープとして記載された配列番号3を表示した画像(【化7】)を、高度に保存されたエピトープである配列番号41~52を表示した画像に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1~4の訂正の内容
(1)訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0103】において、配列番号1として記載された配列番号4~8を説明した画像
「
[図:0001427890000001.jpg]
」
を、
「
[図:0001427890000002.jpg]
」
に訂正するものである。
(2)訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0105】において、配列番号2として記載された配列番号1を表示した画像
「
[図:0001427890000003.jpg]
」
を、
「
[図:0001427890000004.jpg]
」
に訂正するものである。
(3)訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0108】において、配列番号3として記載された配列番号2を表示した画像
「
[図:0001427890000005.jpg]
」
を、
「
[図:0001427890000006.jpg]
」
に訂正するものである。
(4)訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0116】において、高度に保存されたエピトープとして記載された配列番号3を表示した画像
「
[図:0001427890000007.jpg]
」
を、
高度に保存されたエピトープである配列番号41~52を表示した画像
「
[図:0001427890000008.jpg]
」
に訂正するものである。
2 訂正の目的について
特許法126条1項ただし書2号にいう「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうと解される。そして、誤記の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書の記載に誤記が存在することが必要である。
以下、これを本件について検討する。
(1)訂正事項1について
設定登録時の明細書には【0102】に
「配列
配列番号1」と記載されているが、それに続く【0103】には、配列番号4~8のアミノ酸配列とそれらに対応する部位の名称が表示された画像が記載されているのみであり、その他にアミノ酸配列は記載されていない。配列番号が示されている段落の直後の段落には、当該配列番号に該当するアミノ酸配列が示されてしかるべきであるから、【0103】には、【0102】に記載された「配列番号1」に対応するアミノ酸配列が示されるべきであるが、上述のとおり【0103】には、配列番号1とは別異のアミノ酸配列である配列番号4~8のアミノ酸配列が示されるのみであって、配列番号1に対応すると認識できるアミノ酸配列が一切記載されていないことから、【0103】の記載には誤記が存在することは明らかである。
一方、設定登録時の明細書の【0050】には、「配列番号1」なる記載とともに一文字表記のアミノ酸配列が示されているところ、当該アミノ酸配列は、本願の配列表において配列番号1の配列として示された三文字表記のアミノ酸配列に対応するものであることから、【0050】のアミノ酸配列は配列番号1の正しいアミノ酸配列であると理解できる。
そして、上記したように、【0103】には、【0102】に記載された「配列番号1」に対応するアミノ酸配列が示されるべきところ、訂正後の【0103】に示されたアミノ酸配列は、【0050】に示された配列番号1の正しいアミノ酸配列と一致するものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、本来その意であることが、明細書の記載から明らかな内容の字句、語句に正すものであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものである。
(2)訂正事項2について
設定登録時の明細書には【0104】に「配列番号2」と記載され、それに続く【0105】には、アミノ酸配列の画像が示されている。配列番号が示されている段落の直後の段落には、当該配列番号に該当するアミノ酸配列が示されてしかるべきであるから、【0105】には、【0104】に記載された「配列番号2」に対応するアミノ酸配列が示されるべきである。しかしながら、【0105】に示されたアミノ酸配列は、【0050】に示されたアミノ酸配列と同じ配列であるところ、上記(1)で説示したとおり、【0050】のアミノ酸配列は、「配列番号1」のアミノ酸配列であることを考慮すると、【0104】の記載から「配列番号2」のアミノ酸配列が示されるものと想定される【0105】において、「配列番号2」とは別異の「配列番号1」のアミノ酸配列が示されているという誤記が存在することは明らかである。
一方、設定登録時の明細書の【0052】には、「配列番号2」なる記載とともに一文字表記のアミノ酸配列が示されているところ、当該アミノ酸配列は、本願の配列表において配列番号2の配列として示された三文字表記のアミノ酸配列に対応するものであることから、【0052】のアミノ酸配列は配列番号2の正しいアミノ酸配列であると理解できる。
そして、上記したように、【0105】には、【0104】に記載された「配列番号2」に対応するアミノ酸配列が示されるべきところ、訂正後の【0105】に示されたアミノ酸配列は、【0052】に示された配列番号2の正しいアミノ酸配列と一致するものである。
よって、訂正事項2に係る訂正は、本来その意であることが、明細書の記載から明らかな内容の字句、語句に正すものであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものである。
(3)訂正事項3について
設定登録時の明細書には【0107】に「配列番号:3」と記載され、それに続く【0108】には、アミノ酸配列の画像が示されている。配列番号が示されている段落の直後の段落には、当該配列番号に該当するアミノ酸配列が示されてしかるべきであるから、【0108】には、【0107】に記載された「配列番号:3」(当審合議体注:「配列番号3」に相当)に対応するアミノ酸配列が示されるべきである。しかしながら、【0108】に示されたアミノ酸配列は、【0052】に示されたアミノ酸配列と同じ配列であるところ、上記(2)で説示したとおり、【0052】のアミノ酸配列は、「配列番号2」のアミノ酸配列であることを考慮すると、【0107】の記載から「配列番号3」のアミノ酸配列が示されるものと理解される【0108】において、「配列番号3」とは別異の「配列番号2」のアミノ酸配列が示されているという誤記が存在することは明らかである。
一方、設定登録時の明細書の【0096】には「配列番号3」と記載され、その直後の段落である【0097】には一文字表記のアミノ酸配列が示されているところ、当該アミノ酸配列は、本願の配列表において配列番号3の配列として示された三文字表記のアミノ酸配列に対応するものであることから、【0097】のアミノ酸配列は配列番号3の正しいアミノ酸配列であると理解できる。
そして、上記したように、【0108】には、【0107】に記載された「配列番号3」に対応するアミノ酸配列が示されるべきところ、訂正後の【0108】に示されたアミノ酸配列は、【0097】に示された配列番号3の正しいアミノ酸配列と一致するものである。
よって、訂正事項3に係る訂正は、本来その意であることが、明細書の記載から明らかな内容の字句、語句に正すものであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものである。
(4)訂正事項4について
設定登録時の明細書には【0115】に「高度に保存されたエピトープ」と記載され、それに続く【0116】には、1271のアミノ酸からなるアミノ酸配列の画像が示されている。通常、直前の段落に記載された事項に対応する記載が次の段落において説明されてしかるべきであるから、【0116】には「エピトープ」に関する記述がされるべきである。しかしながら、一般に、「エピトープ」とは抗原タンパク質のうち、抗体が特異的に結合する部位を示す用語であり、通常、数個~十数個程度のアミノ酸からなるものであることは技術常識であるから、1271のアミノ酸からなるアミノ酸配列が「エピトープ」を示すものとは解することができず、上記技術常識を考慮すれば【0116】の記載は誤記であることが明らかである。また、【0116】に示されたアミノ酸配列は、上記(3)で説示した、【0097】に記載の配列番号3のアミノ酸配列に一致するものであるところ、配列番号3のアミノ酸配列は「SARS-CoV-2デルタバリアントのSMGタンパク質発現構築物」のアミノ酸配列であることからも(【0095】~【0097】、【0106】、【0107】等)、「高度に保存されたエピトープ」を示すものでないと考えられる。
一方、設定登録時の明細書の【0005】、【0006】には、「高度に保存されたエピトープ」の配列として、配列番号41~52のアミノ酸配列が示されている。
そして、訂正後の【0116】には、配列番号41~52の記載とともに、それぞれのアミノ酸配列が記載されているところ、これらは【0005】、【0006】に「高度に保存されたエピトープ」として記載された配列番号41~52及びそれらのアミノ酸配列に一致するものであり、【0115】に記載の「高度に保存されたエピトープ」として、正しい配列番号及びそれらの配列に訂正されたものといえる。
よって、訂正事項4に係る訂正は、本来その意であることが、明細書の記載から明らかな内容の字句、語句に正すものであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものである。
(5)小括
したがって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものである。
3 国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許は外国語特許出願に係るものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正を行う場合には、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「本件国際出願当初明細書」という。)の範囲内においてしなければならないところ、本件国際出願当初明細書の[00108]、[00109]、[00110]、[00116]には、訂正後の【0103】、【0105】、【0108】、【0116】と同じ内容の記載があり、訂正事項1~4に係る訂正は当該記載に基づいて誤記を訂正するものであるから、本件国際出願当初明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法184条の19の規定によって読み替えて適用する特許法126条5項の規定に適合するものである。
4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
上記2で述べたとおり、訂正事項1~4に係る訂正は、本来その意であることが、明細書の記載から明らかな内容の字句、語句に正すものであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものであり、また、明細書の記載の訂正が、請求項1~21に記載された事項の解釈に影響を与えるものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法126条6項の規定に適合する。
5 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正後の請求項1~21に係る発明には、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法126条7項に規定の独立特許要件を満たすものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条5項、6項及び7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-390031