審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2025-002575

画像診断装置

審判番号
2025-002575
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-514135
請求日
2025年02月19日
審決日
2025年09月29日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】公益財団法人がん研究会
  • 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
  • 【請求人】株式会社AIメディカルサービス
  • 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 浩
  • 審判官 萩田 裕介
  • 審判官 加々美 一恵
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .572-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-514135「画像診断装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月14日国際公開、WO2021/206170〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」という。)は、2021年(平成3年)4月9日(優先権主張 2020年(令和2年)4月10日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年5月16日付け:拒絶理由通知書 令和6年9月13日 :意見書、手続補正書 令和6年11月13日付け:拒絶査定 令和7年2月19日 :審判請求書、手続補正書 第2 令和7年2月19日になされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年2月19日になされた手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正について 令和7年2月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)による補正は、令和6年9月13日の手続補正による特許請求の範囲の請求項2を以下のように補正し、請求項1とする補正事項を含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (1)補正前の請求項2 「 狭帯域光の照射により被験者の胃を拡大観察した状態で撮像された内視鏡動画像を取得する内視鏡動画像取得部と、 胃癌画像および非胃癌画像を教師データとして学習させた畳み込みニューラルネットワークを用いて、取得された前記内視鏡動画像内における胃癌の存在、前記内視鏡動画像内に存在する前記胃癌の位置、および前記胃癌の位置の確信度を推定し、推定結果を出力する推定部と、 を備え、 前記推定部は、前記内視鏡動画像内において前記確信度が前記所定値以上である内視鏡 画像が所定数連続して存在する場合、前記内視鏡動画像内に胃癌が存在すると推定する、 画像診断装置。」において、 「 推定された胃癌の位置を、前記内視鏡動画像上に重畳表示させる表示制御部をさらに備える、」 画像診断装置。 (2)補正後の請求項1 「 狭帯域光の照射により被験者の胃を拡大観察した状態で撮像された内視鏡動画像を取得する内視鏡動画像取得部と、 胃癌画像および非胃癌画像を教師データとして学習させた畳み込みニューラルネットワークを用いて、取得された前記内視鏡動画像内における胃癌の存在、前記内視鏡動画像内に存在する前記胃癌の位置、および前記胃癌の位置の確信度を推定し、推定結果を出力する推定部と、 推定された胃癌の位置を、前記内視鏡動画像上に重畳表示させる表示制御部と、 を備え、 前記推定部は、前記内視鏡動画像内において前記確信度が前記所定値以上である内視鏡画像が所定数連続して存在する場合、前記内視鏡動画像内に胃癌が存在すると推定し、 前記表示制御部は、前記確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する、 画像診断装置。」 2.補正の適否 (1)補正の目的 本件補正は、補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である表示制御部に「前記確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する」という限定を付加するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2)独立特許要件 補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 ア 本件補正発明 本件補正発明は、前記1.(2)に記載したとおりのものである。 イ 引用文献の記載事項 (ア)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で主引用発明が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2018/0253839号明細書(平成30年9月6日出願公開)(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、引用文献2に記載された技術的事項の認定に用いた箇所に下線を追加するとともに、括弧内に合議体が作成した翻訳文を付した。 a「【0026】 In some embodiments, 3 conventional detectors and 2 models of machine learning-based detectors are applied and the location of suspicious areas is identified in said one or more video frames. 【0027】 In some embodiments, the boundaries of suspicious areas are identified. 【0028】 In some embodiments, the method further comprises the step of marking the suspicious area using an overlay marking on a dedicated display area.」 (【0026】 いくつかの実施形態において、機械学習ベースの検出器3が従来の検知器及び2個のモデルが適用され、疑わしい領域の位置は、前記1つ以上のビデオフレーム内で識別される。 【0027】 いくつかの実施形態では、疑いのある領域の境界が識別される。 【0028】 いくつかの実施形態では、本方法はさらに、専用表示エリア上のオーバーレイマークを使用して疑いのある領域をマーキングするステップを含む。) b「【0066】 In some embodiments, the suspicious regions are polyps or cancerous regions.」 (【0066】いくつかの実施形態において、疑わしい領域は、ポリープまたは癌性領域である。) c「【0091】 The system of the invention is an image processing system typically connected to the video output of an endoscopy device during a colonoscopy procedure, though the system can also process off-line a video output of a previously recorded endoscopic procedure.」 (【0091】 本発明のシステムは、典型的には大腸内視鏡検査中に内視鏡装置のビデオ出力に接続される画像処理システムであるが、システムは、以前に記録された内視鏡検査のビデオ出力をオフラインで処理することもできる。) d「【0093】 The system comprises at least one processor and at least one memory communicatively coupled to the at least one processor comprising computer-readable instructions that when executed by the at least one processor cause the image processing and machine learning system to implement a method of detecting in real-time suspicious regions in endoscopic video images produced by the endoscopy device.The method comprising performing the following steps on a plurality of successive video frames. It is not necessary to process each and every video frame, and the system can be configured to skip some frames, for example, process one frame out of three, one frame out of two, process two frames and skip four frames, or any other order. Thus the term “successive frames” as defined herein means frames that are processed in chronological order, but not necessarily frames that immediately follow each other in the video stream.」 (【0093】このシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信接続された少なくとも1つのメモリとを備え、これらのメモリは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、画像処理および機械学習システムに、内視鏡装置によって生成された内視鏡ビデオ画像内の疑わしい領域をリアルタイムで検出する方法を実行させるコンピュータ可読命令を含む。この方法は、複数の連続するビデオフレームに対して以下のステップを実行することを含む。すべてのビデオフレームを全て処理する必要はなく、システムは、例えば3フレームのうち1フレーム、2フレームのうち1フレーム、2フレームのうち1フレーム、2フレームを処理して4フレームをスキップするなど、いくつかのフレームをスキップするように構成することも、その他の順序で構成することもできる。したがって、本明細書で定義される「連続するフレーム」という用語は、時系列順に処理されるフレームを意味し、必ずしもビデオストリーム内で互いに直後に続くフレームを意味するわけではない。) e「【0094】 Reference is made to FIG. 2 showing an embodiment of a process/algorithmic system of the invention.In step 201, a new input video frame is received (from the Endoscope camera). In step 202, frames are filtered if they are unfocused or with low Signal to Noise Ratio (SNR). Step 203 enhances the color and contrast of the input image (frame) by expanding its dynamic range. Step 204 filters out the Lumen part (the darks areas) and peripheral part (out of the endoscope camera field of view) part from the image. Step 205 calculates special image transformations such as color transformation, edge detection, 1st derivative transform, for the use of the algorithms to follow. Step 207 applies the supervised machine learning algorithms which classify if a frame or patch (a patch is a portion of a frame; a frame can be divided to a plurality of patches, each patch processed on its own and in consideration of other patches in the frame) contains or is included in a polyp.Step 208 analyzes the shading and the 3D structures in the image to find regions which are suspicious as polyps. Step 209 uses texture features (such as those based on co-occurrence matrix calculation) and additional features that were extracted by special purpose image transformations to detect regions which are suspicious as polyps. Step 210 clusters and analyzes the colors in the image to detect regions which are suspicious as polyps. Step 211 takes the final decision whether there is a suspicious region in the processed frame or patch, when the algorithms in steps 207 to 211 produce also a confidence level (usually between 0 and 1) for their detection or classification results.Step 212 is the system memory (over time) checking and validating the continuity of the polyp detection in successive frames. Step 213 includes satellite algorithms such as tracking, navigation, polyp size calculation, and polyp type classification and step 214 denotes the software application that runs all those algorithms together.」 (【0094】図2は、本発明のプロセス/アルゴリズムシステムの一実施形態を示す。ステップ201では、(内視鏡カメラから)新しい入力ビデオフレームを受信する。ステップ202では、焦点が合っていない、または信号対雑音比(SNR)が低いフレームをフィルタリングする。ステップ203では、入力画像(フレーム)のダイナミックレンジを拡大することにより、その色とコントラストを強調する。ステップ204では、画像から内腔部分(暗部)と周辺部分(内視鏡カメラの視野外)をフィルタリングする。ステップ205では、後述のアルゴリズムで使用するために、色変換、エッジ検出、1次微分変換などの特殊な画像変換を計算する。ステップ207では、フレームまたはパッチ(パッチはフレームの一部であり、フレームは複数のパッチに分割することができ、各パッチは個別に、かつフレーム内の他のパッチを考慮して処理される)がポリープを含むか、またはポリープに含まれるかを分類する教師あり機械学習アルゴリズムを適用する。ステップ208では、画像内の陰影と3D構造を分析し、ポリープの疑いのある領域を検出する。ステップ209では、テクスチャ特徴(共起行列計算に基づくものなど)と、特殊な画像変換によって抽出された追加特徴を用いて、ポリープの疑いのある領域を検出する。ステップ210では、画像内の色をクラスタリングして分析し、ポリープの疑いのある領域を検出する。ステップ211では、処理済みのフレームまたはパッチに疑わしい領域があるかどうかを最終的に判断する。このとき、ステップ207~211のアルゴリズムによって、検出結果または分類結果の信頼度(通常は0~1)も生成する。ステップ212では、システムメモリ(経時的)が、連続するフレームにおけるポリープ検出の連続性をチェックし、検証する。ステップ213には、追跡、ナビゲーション、ポリープサイズの計算、ポリープの種類の分類などの衛星アルゴリズムが含まれ、ステップ214は、これらすべてのアルゴリズムを同時に実行するソフトウェアアプリケーションを示す。) 「Fig.2 [図:0001429880000001.jpg] 」 (図2 [図:0001429880000002.jpg] ) f「【0106】 (x) Applying on each of the video frames or portions of the frames one of the following models of supervised machine learning-based detectors in order to classify which features and image regions are related to suspicious regions: applying a Support Vector Machine (SVM) based process; applying a Decision Trees-based process; applying a deep machine-learning-based networks process comprising models of Convolutional Neural Network (CNN), Regional CNN (RCNN), and Long-Short Term Memory Recurrent CNN (LSTM Recurrent CNN), with combination of pre-extracted features fed either into the fully connected layers of said deep machine-learning-based networks as additional feature, or into the input conventional layer as additional image channel; or any combination thereof, wherein the determination to identify an area as a suspicious region takes into account morphological criteria and the identification of that region in a predetermined number of successive frames.」 (【0106】(x)各ビデオフレームまたはフレームの一部に、教師あり機械学習ベースの検出器の以下のモデルのうち 1 つを適用して、どの特徴および画像領域が疑わしい領域に関連しているかを分類する: サポート ベクター マシン (SVM) ベースのプロセスを適用する; 決定木ベースのプロセスを適用する; 畳み込みニューラル ネットワーク (CNN)、地域 CNN (RCNN)、および長短期記憶再帰型 CNN (LSTM 再帰型 CNN) のモデルを含むディープ 機械学習ベースのネットワーク プロセスを適用する (事前抽出された特徴の組み合わせが、追加の特徴としてディープ 機械学習ベースのネットワークの完全接続層に、または追加画像チャネルとして入力従来層に入力される; またはそれらの任意の組み合わせ)。ある領域を疑わしい領域として識別する決定は、形態学的基準と、所定数の連続するフレームにおけるその領域の識別とを考慮に入れる。) g「【0114】 The system also uses a channel in which the color dominancy in the video frames is changed in order to make the polyp region more prominent both for subsequent processing and for alternative video display on a colonoscopy device watched by the colonoscopy procedure's operator or physician. This is achieved by changing the histogram of each color channel, for example, by a applying different historgram equalization (equalizing to different histogram pattern) to each of the color channels or by applying a shift to the hue channel in the Hue Saturation Value (HSV) format of the color image in order to change the color dominancy of the image, andthus imitating the effect of enlighting the scene by specific Narrow Band Imaging (NBI), namely buy only part of the white light frequencies. The above described techniques are preferred over just digitally filter specific colors (color frequencies) from the image, since such filtering attenuates the overal intensity of the image.」 (【0114】このシステムはまた、後続の処理と、大腸内視鏡検査手順のオペレータまたは医師が観察する大腸内視鏡検査装置上の代替ビデオ表示の両方のために、ポリープ領域をより目立たせるために、ビデオフレーム内の色の優位性を変更するチャネルを使用する。これは、各色チャネルのヒストグラムを変更することによって実現される。たとえば、各色チャネルに異なるヒストグラム均等化 (異なるヒストグラム パターンへの均等化) を適用するか、色画像の色相彩度値 (HSV) 形式の色相チャネルにシフトを適用して画像の色優位性を変更し、特定の狭帯域画像 (NBI) によってシーンを照らす効果を模倣する、つまり、白色光周波数の一部のみを使用する。上記の手法は、画像から特定の色 (色周波数) をデジタル的にフィルタリングするだけよりも好まれる。なぜなら、このようなフィルタリングは画像の全体的な強度を減衰させるからである。) h「【0152】 All the supervised algorithm supply, by inheritance from the way they work, a confidence level (either for the whole frame or for the patch) which represent the probability of this frame or patch to include or to be included in a polyp or suspicious region. A tuned threshold level actually decides which frames or patches (with what confidence level) would be transfer for the further process of the post processing as candidates for polyp or suspicious regions (a typical value might be 0.85 when confidence value changes between 0 to 1).」 (【0152】すべての教師ありアルゴリズムは、その動作原理から継承され、フレーム全体またはパッチごとに、そのフレームまたはパッチがポリープまたは疑わしい領域を含む、あるいは含まれる確率を表す信頼度レベル(フレーム全体またはパッチ全体)を提供します。調整された閾値レベルによって、どのフレームまたはパッチ(どの信頼度レベル)がポリープまたは疑わしい領域の候補として後処理の次のプロセスに渡されるかが決定される(信頼度が0から1の間で変化する場合は、典型的な値は0.85)。) i「13. Postprocessing: … 【0156】 If the system is set just to notify if a polyp or suspicious region exist in the frame, then once at list acceptable polyp or suspicious region was detected the system would give a notification on it. If the system is set and tuned to give also the location and borders (segmentation) of the polyp or suspicious regions, then a more accurate process is needed, and therefore more conventional (unsupervised) and supervised detectors and classifiers are needed to be integrated together (as mentioned above) and system will give also indication on the polyp or suspicious region location and borders.」 (13. 後処理: … 【0156】 このシステムは、フレーム内に存在するポリープまたは不審な領域がある場合に通知するように設定されている場合、リストで許容されるポリープまたは疑わしい領域を検出した後、システムはそれに通知を与える。システムは、ポリープ又は疑わしい領域の位置および境界(セグメント化)を与えるように設定され、調整されると、より高精度の処理が不要となり、従って、より従来型の(教師なし)および教師ありの検出器と分類器を(前述のように)統合する必要があり、システムはポリープまたは疑わしい領域の位置と境界も表示する。) j「【0165】 The computerized device receives the video output from the endoscopy/colonoscopy main device either via the main channel or via a secondary channel, processes it, and presents it either on the main screen or on a secondary screen. The computerized device has a control unit, preferably a remote control unit to control, which controls its functionality. An example of the device functionality is whether to process the video or just to convey it to the screen, whether to present the process results or not, what level of confidence shall be the minimum for presentation, controlling the sensitivity and specificity of detection of the detection, operating specific functions such as polyp size calculation, complete polyp removal verification, whether to record the video with the detection results with it, creating a recorded video with indexing, or a shortened recorded essence of the whole real-time video, which includes only the frames with suspicious colon tissue regions, and so on. The warning of the detected suspicious regions can appear as overlay over the original video, or/and in other ways such as warning sounds, flashing light and etc. The device has also a mode of self-contained working (independent mode or offline mode) in which it can be fed by a recorded video from the colonoscopy procedure and operate on it in as a similar way as it operates on real-time video. In this mode, the time constraints on the running algorithms can be somewhat released since the recorded video can be fed more slowly and a more exhaustive version of the different algorithms can be used in order to achieve better detection results. Also, the minimum threshold, or the minimum confidence, for presenting a region as suspicious, can be decreased (to get a lower minimum threshold) since those suspicious regions can be reviewed later by the expert in order to decide whether it is a polyp or not, and this is in contrast to the real time warning on suspicious regions for which the physician shall react immediately during the procedure.」 (【0165】コンピュータ化された装置は、内視鏡/大腸内視鏡メイン装置からメインチャネルまたはセカンダリチャネル経由でビデオ出力を受信し、それを処理し、メイン画面またはセカンダリ画面に表示する。コンピュータ化された装置には、好ましくは制御用のリモートコントロールユニットである制御ユニットがあり、装置の機能を制御します。装置の機能の例としては、ビデオを処理するか、単に画面に表示するか、処理結果を表示するかどうか、表示の最低信頼度はどの程度にするか、検出の感度と特異度を制御する、ポリープのサイズ計算、ポリープの完全除去検証などの特定の機能を操作する、検出結果と一緒にビデオを記録するかどうか、インデックス付きの記録ビデオを作成するか、または疑わしい大腸組織領域のフレームだけを含むリアルタイムビデオ全体の短縮された記録エッセンスを作成する、などがある。検出された疑わしい領域の警告は、元のビデオにオーバーレイして表示したり、警告音や点滅ライトなどの他の方法で表示したりできる。デバイスには、大腸内視鏡検査の録画ビデオを取り込み、リアルタイムビデオと同様に操作できる自己完結型の動作モード(独立モードまたはオフラインモード)もある。このモードでは、録画ビデオの取り込み速度が遅いため、実行中のアルゴリズムの時間制約がいくらか緩和され、より包括的なさまざまなアルゴリズムを使用して、より優れた検出結果を得ることができる。また、疑わしい領域を専門家が後で確認してポリープかどうかを判断できるため、領域を疑わしいと提示するための最小閾値、または最小信頼度を下げる(最小閾値を下げる)こともできる。これは、医師が検査中に即座に反応しなければならない疑わしい領域に関するリアルタイム警告とは対照的である。) (イ) 引用文献2に記載された発明 上記a~jから、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。 (a)大腸内視鏡のビデオ出力に接続される画像処理システムであって(上記c)、 内視鏡カメラから新しい入力ビデオフレームを受信し(上記e)、 ビデオフォームは、ポリープ領域をより目立たせるために、画像の色相チャネルをシフトすることにより狭帯域光を照射した効果を模倣したものであり(上記g)、 (b)プロセッサであって、 連続するビデオフレームに対して(上記d)、 ポリープを含むか、またはポリープに含まれるかを分類する教師あり機械学習アルゴリズムを適用し(上記e)、 教師あり機械学習ベースの検出器は、畳み込みニューラルネットワークであり(上記f)、 ポリープの疑いのある領域を検出し(上記e)、 検出結果または分類結果の信頼度も生成し(上記e)、 ポリープ検出の連続性もチェックして検証し(上記e、f)、 所定数の連続するフレームにおいて疑わしい領域を識別できるかを考慮して、疑わしい領域として識別することを決定するものであって(上記f)、 疑わしい領域はポリープまたは癌性領域である(上記b)、 ことを実行するプロセッサを有し(上記e)、 (c)調整された閾値レベルによって、どのフレームまたはパッチがポリープまたは疑わしい領域の候補として後処理の次のプロセスに渡されるかが決定され(上記h)、 後処理にはポリープや異常陰影の位置や境界を表示することも含み(上記i)、 検出された疑わしい領域をビデオ上にオーバーレイして表示する(上記a、j)、 画像処理システム ウ 引用文献6、7に記載された事項及び周知技術1の認定 (ア)引用文献6の記載事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第2019/088121号(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。 a「【0048】 [学習装置] 学習装置40は、病変推定部20の畳み込みニューラルネットワークが内視鏡画像データD1から病変位置、病変名および確率スコアを推定し得るように、図示しない外部記憶装置に記憶されている教師データD4を入力し、学習装置40の畳み込みニューラルネットワークに対して学習処理を行う。 【0049】 本実施の形態では、学習装置40は、被験者の消化器について内視鏡撮像装置200により撮像された内視鏡画像(本発明の「消化器腫瘍内視鏡画像」に対応)と、医師により萎縮、腸上皮化生、粘膜の隆起または陥凹、粘膜色調の状況の特徴抽出によってあらかじめ判定された、当該内視鏡画像内に存在する病変の病変名および病変位置と、を教師データD4として用いて学習処理を行う。具体的には、学習装置40は、畳み込みニューラルネットワークに内視鏡画像を入力した際の正解値(病変名および病変位置)に対する出力データの誤差(損失とも称される)が小さくなるように、畳み込みニューラルネットワークの学習処理を行う。 【0050】 本実施の形態では、教師データD4としての内視鏡画像には、被験者の消化器内に対して白色光を照射して撮像された内視鏡画像、被験者の消化器内に対して色素(例えば、インジゴカルミン、ヨード液)を散布して撮像された内視鏡画像、および、被験者の消化器内に対して狭帯域光(例えば、NBI(Narrow Band Imaging)用狭帯域光、BLI(Blue Laser Imaging)用狭帯域光)を照射して撮像された内視鏡画像が含まれる。学習処理における教師データD4としての内視鏡画像は、日本トップクラスのがん治療専門病院のデータベースを主に使用し、豊富な診断・治療経験を有する日本消化器内視鏡学会指導医がすべての画像を詳細に検討、選別し、精密な手動処理で病変の病変位置に対するマーキングを行った。レファレンスデータとなる教師データD4(内視鏡画像データ)の精度管理は、そのまま画像診断支援装置100の解析精度に直結するために、豊富な経験を有するエキスパート内視鏡医による画像選別と病変同定、特徴抽出のマーキングは極めて重要な工程である。」 b「【0057】 [学習用データセットの準備] 2004年4月~2016年12月にかけて行われたEGDの内視鏡画像を、画像診断支援装置における畳み込みニューラルネットワークの学習に使用する学習用データセット(教師データ)として用意した。EGDは、日常診療におけるスクリーニングまたは術前検査のために実施され、内視鏡画像は、標準的な内視鏡(GIF-H290Z、GIF-H290、GIF-XP290N、GIF-H260Z、GIF-Q260J、GIF-XP260、GIF-XP260NS、GIF-N260等、オリンパスメディカルシステムズ社、東京)および標準的な内視鏡ビデオシステム(EVIS LUCERA CV-260/CLV-260、EVIS LUCERA ELITE CV-290/CLV-290SL、オリンパスメディカルシステムズ社)を用いて収集した。 【0058】 学習用データセットとしての内視鏡画像には、被験者の消化器内に対して白色光を照射して撮像された内視鏡画像、被験者の消化器内に対して色相(例えば、インジゴカルミン、ヨード液)を散布して撮像された内視鏡画像、および、被験者の消化器内に対して狭帯域光(例えば、NBI用狭帯域光、BLI用狭帯域光)を照射して撮像された内視鏡画像を含めた。また、送気不足による胃の伸展不良、生検後の出血、ハレーション、レンズのくもり、焦点外れまたは粘液等のために、画像品質が悪い内視鏡画像は、学習用データセットから除外した。 【0059】 最終的に、学習用データセットとして、組織学的に証明された2,639の胃がんについて、13,584の内視鏡画像を収集した。胃がんの専門家であり、日本消化器内視鏡学会指導医(がん専門病院で10年以上の経験を有し、胃がんの6,000症例以上の胃がんを診断した実績を有する)は、収集された内視鏡画像において、全ての胃がん(早期がんまたは進行がん)の病変名および病変位置を精密に手動で特徴抽出のマーキング設定し、学習用データセットを用意した。」 c「【0063】 [評価試験の方法] 本評価試験では、学習用データセットを用いて学習処理が行われた畳み込みニューラルネットワークベースの画像診断支援装置に対して評価試験用データセットを入力し、当該評価試験用データセットを構成する各内視鏡画像から胃がんを正しく検出できるか否かについて評価した。胃がんを正しく検出できた場合を「正解」とみなした。畳み込みニューラルネットワークは、内視鏡画像から胃がん(病変)を検出すると、その病変名(早期胃がんまたは進行胃がん)、病変位置および確率スコアを出力する。」 (イ)引用文献7の記載事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である中国特許出願公開第108852268号明細書(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。なお、本文献は中国語のため、合議体が作成した翻訳文を記載する。 a「【要約】 本発明は消化内鏡画像異常特徴リアルタイム標識系および方法を開示して、このシステムは画像取得モジュール、画像前処理モジュール、モデル訓練モジュール、異常検知モジュールの与マーク表示モジュールを含む;モデル訓練モジュールは画像データセット、分類モデルトレーニング部および検出モデルトレーニング部を含み、深層学習CNNの分類モデルで疑わしい胃部のがん前疾患分類情報を取得し、深層学習CNNで回帰法に基づく標的検出モデルは素早く正確に病巣位置を取得する。本発明で、内鏡下胃部異常特徴を消化することに対して有効的分類および検出を行うことに役立ち、医者長時間、主観が診断した見落としの率に基づくことを減少することができ、且つ医者を支持して内視鏡検査を実施する時リアルタイム分析、リアルタイム表示内視鏡下の疑わしい病巣、医者作業負担を低下させ、医療診断動作の効率を向上する。」 b「【0013】モデルトレーニングモジュールは、早期胃前癌病変の内視鏡画像と病変位置情報に基づいてモデルをトレーニングし、検出モデルを取得するために使用される;」 c「【0053】画像データセットは、消化器内視鏡検査に基づく画像データセットを保存するために使用される。データセットには、分類データセットと検出データセットが含まれる。分類データセットには、様々な早期胃癌前疾患の内視鏡画像が含まれており、検出データセットには病変の位置情報が含まれている。画像データセットを用いてCNNモデルを学習させる際には、平行移動、ミラー反転、ランダムクロッピングなどの手法を用いてデータ増幅を行うことで、CNNの汎化能力をさらに高め、モデルの学習効果を向上させる。 【0054】モデルトレーニングモジュールには、分類モデルトレーニングユニットと検出モデルトレーニングユニットが含まれており、画像データセット内の早期胃前癌疾患の内視鏡画像と病変位置情報に対してモデルトレーニングを実行し、検出モデルを取得するために使用される。」 (ウ)周知技術1の認定 前記(ア)~(イ)に示した引用文献6、7の摘記事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) 「胃の内視鏡画像を取得し、胃癌に関する教師データを使用して学習させた畳み込みニューラルネットワークを用いて胃癌を推定すること。」 エ 引用文献1、8に記載された事項及び周知技術2の認定 (ア)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開2018/225448号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。 a「【0088】 [データセットについて] 2014年1月~2016年12月にかけて行われた1768例のEGDの画像を遡及的にレビューすることにより、AIベースの診断システムの訓練及び構築に使用するデータ(「訓練/検証用データ」という。)のセットを用意した。胃癌、潰瘍、又は粘膜下腫瘍の存在又は病歴を有する患者のデータは、訓練/検証用データセットから除外した。H.ピロリ感染陽性又はH.ピロリ感染陰性と診断された胃の画像から、胃の食物残渣、生検後の出血、ハレーション又はその他の理由により、内視鏡専門医によって除外された画像もあった。また、評価対象となる内視鏡画像データ(「テストデータ」という。)のセットも用意した。なお、この「訓練/検証用データ」が本発明の「第1の内視鏡画像」に対応し、「テストデータ」が本発明の「第2の内視鏡画像」に対応する。これらの患者の人口統計学的特徴及び画像の特徴を表2に示した。 【0089】 【表2】 [図:0001429880000003.jpg] 【0090】 表2に示したように、H.ピロリ陽性と判定された753人の患者及び陰性と分類された1,015人の患者からの画像を用いて、32,208枚の訓練/検証用データセットを作成した。このデータセットは、全ての画像のRGBの各信号について、同じ比率でコントラスト調整を行っている。RGBの各色は、それぞれ8ビット、すなわち0~255までの範囲の値を取るが、RGBの全色が255,255,255となる点(白色)が必ず1点は存在するようにコントラスト調整を行った。通常、内視鏡画像の画質は、良好であるので、実際にはコントラスト調整を行わない場合も多かった。また、内視鏡の画面には黒い枠が入っているが、自動でトリミングして拡大・縮小を行い、全ての画像が同一のサイズとなるようにした。」 b「【0197】[実施形態5] 実施形態5のニューラルネットワークを用いた消化器官の内視鏡画像による疾患の診断支援方法について、図23を用いて説明する。実施形態5では、実施形態1~4のニューラルネットワークを用いた消化器官の内視鏡画像による疾患の診断支援方法を使用することができる。S1では、消化器官の第1の内視鏡画像と、第1の内視鏡画像に対応する、消化器官の前記疾患の陽性若しくは陰性、過去の疾患、重症度のレベル、又は、撮像された部位に対応する情報の少なくとも1つの確定診断結果と、を用いてニューラルネットワークを訓練する。S2では、S1において訓練されたニューラルネットワークは、消化器官の第2の内視鏡画像に基いて、当該消化器官の疾患の陽性及び/又は陰性の確率、過去の疾患の確率、疾患の重症度のレベル、又は、撮像された部位に対応する情報の少なくとも1つを出力する。」 (イ)引用文献8の記載事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2009-300131号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の記載がある。 a「【0001】本発明は、赤外スペクトル情報により生体組織(in vivo、in vitro)が正常組織であるか異常組織(腫瘍等)であるかを識別する生体組織識別装置及び方法に関する。」 b「【0035】次に、赤外のスペクトル特徴を、正常サンプルおよび腫瘍サンプルを教師データとした多層パーセプトロン等のニューラルネットワークあるいはサポートベクタマシン(SVM)等の学習型分類器で画素ごとに分類した結果を示す。SVMの追実験では、波長をこの範囲に限定すると、ウェーブレット法よりも悪い結果となった。 図7(a)は、胃がん内壁のハイパースペクトル画像を、教師付分類で腫瘍領域(灰色の島状部)と正常組織に分類した結果を示す画像であり、図7(b)に示す通常のカラー画像に比べて、腫瘍領域(緑色)と正常組織とが明瞭に区別されている。また、以上の処理結果を、病理検査結果と比較した。」 (ウ)周知技術2の認定 前記(ア)~(イ)に示した引用文献1、8の摘記事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術2」という。) 「ニューラルネットワークを癌画像および非癌画像を教師データとして学習させること。」 オ 本件補正発明と引用発明2との対比 (ア)本件補正発明の「内視鏡動画像取得部」について 引用発明2は(a)で「内視鏡カメラから新しい入力ビデオフレームを受信」するものであり、引用発明2の「画像処理システム」は入力ビデオフレームの受信部を有することは明らかであるから、引用発明2が本件補正発明の「内視鏡動画像取得部」に相当する構成を有することは明らかである。 また、通常、内視鏡は必要に応じて対象を拡大して観察することができるものであるから、内視鏡のビデオ出力は対象を拡大観察することが可能であると認められる。そうすると、引用発明2の(a)の「大腸内視鏡のビデオ出力」は、本件補正発明の「被験者の胃を拡大観察した状態で撮像された内視鏡動画像」と、「被験者の臓器を拡大観察した状態で撮像された内視鏡動画像」である点で共通する。 (イ)本件補正発明の「推定部」について 本件補正発明の「取得された前記内視鏡動画像内における胃癌の存在、前記内視鏡動画像内に存在する前記胃癌の位置、および前記胃癌の位置の確信度を推定し、推定結果を出力する」の「癌の位置の確信度」について検討するに、例えば本願の図4Aを参酌すると、病変位置を示す矩形枠と、病変名および確率スコアを重畳表示させているから、本件補正発明の「癌の位置の確信度」とは当該枠内に存在する病変が癌である確信度のことを示すと認められる。 そして、引用発明2の(b)の「ポリープを含むか、またはポリープに含まれるかを分類する教師あり機械学習アルゴリズムを適用」することは、引用発明2の(b)の「疑わしい領域はポリープまたは癌性領域」であり、「教師あり機械学習ベースの検出器は、畳み込みニューラルネットワーク」であるから、本件補正発明の「癌画像」を「教師データとして学習させた畳み込みニューラルネットワークを用い」ることに相当する。 また引用発明2の(b)の「ポリープの疑いのある領域を検出」することについて、「領域を検出」するとは、画像中の領域の存在とその位置を検出することであるから、本件補正発明の「癌の存在」、「癌の位置」「を推定」することに相当する。 引用発明2の(b)の「検出結果または分類結果の信頼度も生成」することは、「検出結果」は「ポリープの疑いのある領域を検出」した結果であり、「信頼度」は本件補正発明の「確信度」に相当し、また、一般にポリープは癌である恐れや癌化の恐れがあるため、本件補正発明の「癌の位置の確信度を推定」することに相当する。 またさらに引用発明2の(b)の「ポリープ検出の連続性もチェックして検証」すること、および「所定数の連続するフレームにおいて疑わしい領域を識別できるかを考慮して、疑わしい領域として識別することを決定」することは、本件補正発明の「確信度が前記所定値以上である内視鏡画像が所定数連続して存在する場合、前記内視鏡動画像内に」「癌が存在すると推定」することに相当する。 また、引用発明2では(b)の「プロセッサ」の処理結果を(c)の処理に使用していることは明らかであるから、本件補正発明の「推定結果を出力する推定部」に相当する構成を有することは明らかである。 (ウ)本件補正発明の「表示制御部」について 引用発明2の(c)の「調整された閾値レベルによって、どのフレームまたはパッチがポリープまたは疑わしい領域の候補として後処理の次のプロセスに渡されるかが決定され」ることについて、引用発明2は、後処理としてポリープや異常陰影の位置や境界を表示することも含むから、調整された閾値レベルによってポリープまたは疑わしい領域の信頼度に依存して表示するか否かが決まることとなり、本件補正発明の「確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における表示態様を変更する」ことに相当する。 また引用発明2の(c)の「検出された疑わしい領域をビデオ上にオーバーレイして表示する」ことは、本件補正発明の「推定された癌の位置を、前記内視鏡動画像上に重畳表示させ」ることに相当する。 そして、引用発明2の画像処理システムは、引用発明2の(c)に記載の表示の制御を行う制御部を有することは明らかであるから、これが本件補正発明の「表示制御部」に相当する。 また、引用発明2の(a)の「画像処理システム」は内視鏡画像から癌性領域を検出するから、本件補正発明の「画像診断装置」に相当する。 カ 一致点・相違点 そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。 (ア)一致点 被験者の臓器を拡大観察した状態で撮像された内視鏡動画像を取得する内視鏡動画像取得部と、 癌画像を教師データとして学習させた畳み込みニューラルネットワークを用いて、取得された前記内視鏡動画像内における癌の存在、前記内視鏡動画像内に存在する前記癌の位置、および前記癌の位置の確信度を推定し、推定結果を出力する推定部と、 推定された癌の位置を、前記内視鏡動画像上に重畳表示させる表示制御部と、 を備え、 前記推定部は、前記内視鏡動画像内において前記確信度が前記所定値以上である内視鏡画像が所定数連続して存在する場合、前記内視鏡動画像内に癌が存在すると推定し、 前記表示制御部は、前記確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する、 画像診断装置。 (イ)相違点 a 相違点1 本件補正発明では「狭帯域光の照射により」内視鏡動画像を取得するのに対して、引用発明2では照明光の種類の特定がなく、ビデオ画像の色相チャネルをシフトして狭帯域光を照射した効果を模倣したビデオフォームを受信する点。 b 相違点2 本件補正発明は「胃」癌を対象とするのに対して、引用発明2は「大腸」の癌を対象とする点。 c 相違点3 畳み込みニューラルネットワークが、本件補正発明では、「癌画像および非癌画像」を教師データとして学習させたものであるのに対し、引用発明では、非癌画像を教師データとして学習させたものでない点。 キ 判断 (ア)相違点1について 胃や大腸内の癌の粘膜表層では毛細血管が増えるため、内視鏡画像の取得装置において、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域光で照射することで、癌をより明確に画像表示することは、既によく行われている従来技術であるから、引用発明2の内視鏡のビデオ出力に対し「画像の色相チャネルをシフトすることにより狭帯域光を照射した効果を模倣」することとは、当該従来技術を模倣し、それと同様の効果を、実際には狭帯域光を照射せずに、「画像の色相チャネルをシフトすることにより」得ることを意味することは、明らかである。 ここで、画像診断装置において、実際に狭帯域光の照射を行うか、狭帯域光の照射を行わずに「画像の色相チャネルをシフトすることにより狭帯域光を照射した効果を模倣」するかは、より精度の高い狭帯域光画像を得ること、あるいは、装置構成を単純化し、コストを削減すること等に関して、内視鏡装置に求められる性能等を総合的に考慮して当業者が適宜選択することであり、また、引用発明2には内視鏡動画像を取得する際の照明光の種類の記載がなく、照明光を特定することに阻害要因はないから、引用発明2の「画像の色相チャネルをシフトすることにより狭帯域光を照射した効果を模倣」することに変えて、狭帯域光自体を照射して内視鏡のビデオ画像を取得するようにすることは当業者が容易に想到しうることである。 (イ)相違点2について 「胃の内視鏡画像を取得し、胃癌に関する教師データを使用して学習させた畳み込みニューラルネットワークを用いて胃癌を推定すること。」は周知技術(前記2.(2)ウに記載の周知技術1参照)であるから、引用発明2において、周知技術1を踏まえ、対象を大腸に変えて胃とし、それに応じて胃の画像を取得し胃癌を推定するようにすることは、当業者が容易に想到できることである。 (ウ)相違点3について 癌を推定するニューラルネットワークを癌に関する教師データを使用して学習させる際、癌サンプルばかりでなく、非癌のサンプルも使用することは、周知技術(前記2.(2)エに記載の周知技術2参照)であるから、引用発明2において、教師データとして癌画像と非癌画像を用いることは、当然容易になし得ることである。 ク 本件補正発明の奏する作用効果 本願の発明の詳細な説明の段落【0015】には「本発明によれば、NBI併用拡大内視鏡を用いて行われる胃の内視鏡検査において、胃癌の診断をリアルタイムに行うことができる。」との効果が記載されているが、引用発明2においても大腸の癌をリアルタイムに行うことができることは明らかであり、本件補正発明の奏する効果が、引用文献2に記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとは認められない。 ケ 総合評価 前記ア~クにおいて検討したとおり、引用発明2において、前記相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、周知技術1~2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 コ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書の3.(1)において、本件補正発明の「確信度に応じて、内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する」とは、出願当初明細書の段落0049などによれば、確率スコア(確信度)が閾値以上である場合に重畳表示を行う一方で、確率スコア(確信度)が閾値未満である場合には重畳表示を行わないことを指し、例えば表示態様を変更するための「閾値」を、病変部を推定するための「所定値」よりも小さい値とした場合、病変部が存在すると推定部が推定していない内視鏡動画像上に、表示制御部が重畳表示を行うことができる旨を主張している。 しかしながら、引用文献2の段落【0152】には、信頼性レベルが閾値レベル以上である場合に疑わしい領域とし、動画像上に重畳表示することが記載されており、前記2.(2)オ(ウ)において述べたとおり、当該記載が本件補正発明の前記「確信度に応じて、内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する」ことに相当する。 また本件補正発明には「表示態様を変更するための「閾値」を、病変部を推定するための「所定値」よりも小さい値」とするとの記載はなく、上記主張は本件補正発明に基づく主張ではないから採用できない。 またさらに請求人は、審判請求書の3.(4)において、「引用文献1-3のいずれにも、確信度に応じて、内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する、という特徴については開示も示唆もありません。引用文献2には、「焦点が合っていない画像が連続してシステムに供給される場合、オーバーレイ表示が停止される(If a series of successive unfocused images are being fed to the system (more than 10 frames, for example), then the overlay presentation (based on the former decisions) would be stpped)」(段落0113)との記載があります。この記載は、焦点の合い方に応じて表示態様を変更する技術を示しており、確信度に応じて表示態様を変更する技術を示すものではありません。」と述べている。 これについて検討するに、引用文献2の段落【0152】には、「A tuned threshold level actually decides which frames or patches (with what confidence level) would be transfer for the further process of the post processing as candidates for polyp or suspicious regions(調整された閾値レベルによって、どのフレームまたはパッチ(どの信頼度レベル)がポリープまたは疑わしい領域の候補として後処理の次のプロセスに渡されるかが決定される)」ことの記載があり、前記2.(2)オ(ウ)において述べたとおり、これが本件補正発明の「確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する」に相当するから、当該主張も採用できない。 サ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明2と周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.補正の却下の決定のむすび 前記2.(2)ケのとおり、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和7年2月19日になされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和6年9月13日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」)という。)は、その請求項2に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(1)に記載のとおりのものである。 2.原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項2に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献2.米国特許出願公開第2018/0253839号明細書 3.引用文献について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2の記載事項、引用文献2に記載の発明(引用発明2)は、前記第2[理由]2.(2)イ(ア)~(イ)に記載したとおりである。 4.対比・判断 (1)本願発明は、前記第2[理由]2.(2)アで検討した本件補正発明から、「前記表示制御部は、前記確信度に応じて、前記内視鏡動画像上における重畳表示の表示態様を変更する」という限定事項を削除したものである。 (2)そして本願発明と引用発明2とは、前記第2[理由]2.(2)カ(イ)に記載の相違点1~3において相違するものである。 また、前記第2[理由]2.(2)カ(イ)に記載の相違点1~3に対する判断は前記第2[理由]2.(2)キに記載したとおりである。 してみれば、本願発明は、引用発明2と周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび(結論) 上記のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-002575

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決5件(公益財団法人がん研究会、株式会社AIメディカルサービス)
  • 2024-006610拒絶査定不服審判 / 2026-06-02 / 原査定取消(特許/登録すべき)抗ポドプラニン抗体
    同じ当事者: 公益財団法人がん研究会
  • 2024-020967拒絶査定不服審判 / 2025-11-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)検査支援装置、検査支援方法および検査支援プログラム
    同じ当事者: 株式会社AIメディカルサービス
  • 2016-013239拒絶査定不服審判 / 2017-08-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)マウス抗Aggrusモノクローナル抗体
    同じ当事者: 公益財団法人がん研究会
  • 2015-015064拒絶査定不服審判 / 2017-05-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)CD20認識モノクローナル抗体、ハイブリドーマ、CD20の検出方法および判定方法
    同じ当事者: 公益財団法人がん研究会
  • 2022-700792異議申立 / 2024-02-19 / 訂正認容AIを用いた病理診断支援方法、及び支援装置
    同じ当事者: 公益財団法人がん研究会
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,966件(121・A61B、572・A61B、575・A61B)
  • 2024-008090拒絶査定不服審判 / 2025-05-26 / 請求不成立軟質検体センサ
    共通の審決分類: 121・A61B、572・A61B、575・A61B
  • 2023-022084拒絶査定不服審判 / 2025-04-21 / 請求不成立腹腔鏡検査における血流及び組織灌流を無染料で視覚化するための方法及びシステム
    共通の審決分類: 121・A61B、572・A61B、575・A61B
  • 2024-011603拒絶査定不服審判 / 2025-03-25 / 請求不成立電子患者介護用のシステム、方法および装置
    共通の審決分類: 121・A61B、572・A61B、575・A61B
  • 2023-020535拒絶査定不服審判 / 2024-11-19 / 請求不成立深層学習による超音波イメージング、並びに関連デバイス、システム、及び方法
    共通の審決分類: 121・A61B、572・A61B、575・A61B
  • 2023-010863拒絶査定不服審判 / 2024-11-11 / 請求不成立健康モニタリングデバイスのシステムおよび方法
    共通の審決分類: 121・A61B、572・A61B、575・A61B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存