特許拒絶査定不服審判
2023-020535
深層学習による超音波イメージング、並びに関連デバイス、システム、及び方法
- 審判番号
- 2023-020535
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-502524
- 請求日
- 2023年12月04日
- 審決日
- 2024年11月19日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】弁理士法人M&Sパートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 里村 利光
- 審判官 宮澤 浩
- 審判官 河原 正
- 分類
- P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B) / P18 .572-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-502524「深層学習による超音波イメージング、並びに関連デバイス、システム、及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月23日国際公開、WO2020/016449、令和 3年11月11日国内公表、特表2021-530303〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)7月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年7月20日、米国 2018年9月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和4年7月15日に手続補正がされ、さらに、令和5年1月20日付けの拒絶理由の通知に対し、同年4月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年7月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年12月4日に拒絶査定審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の請求項1に係る発明
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「 プロセッサを含む、超音波イメージングシステムであって、前記プロセッサは、
超音波トランスデューサから生成された被検者の解剖学的構造を表す超音波チャネルデータを受信し、
前記超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して前記被検者の解剖学的構造の画像を生成し、
前記被検者の解剖学的構造の前記画像を、プロセッサと通信するディスプレイに出力し、前記ディスプレイに示される前記画像は、前記予測ネットワークの出力画像に対応する、
超音波イメージングシステム。」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
「 深層学習エンジンを含む、超音波イメージングシステムであって、前記深層学習エンジンは、
超音波トランスデューサから生成された被検者の解剖学的構造を表す超音波チャネルデータを受信し、
前記超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して前記被検者の解剖学的構造の画像を生成し、
前記被検者の解剖学的構造の前記画像を、前記深層学習エンジンと通信するディスプレイに出力し、前記ディスプレイに示される前記画像は、前記予測ネットワークの出力画像に対応する、
超音波イメージングシステム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「プロセッサ」を「深層学習エンジン」に変更するものである。
ここで、上記「プロセッサ」について、本願明細書の段落【0005】には、「一実施形態では、超音波イメージングシステムは、超音波トランスデューサから生成された被検者の解剖学的構造を表す超音波チャネルデータを受信し、超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して、被検者の解剖学的構造の画像を生成し、プロセッサと通信するディスプレイに、被検者の解剖学的構造の画像を出力するプロセッサを含む。」と記載されている。他方、上記「深層学習エンジン」について、本願明細書の段落【0033】には、「深層学習エンジン220は、従来の超音波画像再構成演算に取って代わる、超音波エコー応答に深層学習ネットワーク222(例えば、機械学習ネットワーク142)を適用して、超音波画像を生成するハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含む。」と記載されている。
これらの記載に基づけば、本件補正は、超音波チャネルデータを受信し、超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して、被検者の解剖学的構造の画像を生成し、被検者の解剖学的構造の画像を出力するという機能を有する「プロセッサ」が、上記機能を実現するために「深層学習ネットワーク」を適用するという構成を有するものであるとの限定を付加するものと理解できる。そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
3 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。
4 引用文献
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、国際公開第2018/127498号(2018年7月12日発行。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、括弧内に翻訳文を記載した。また、下線部は、合議体が引用発明の認定等に用いた箇所を示す。
(ア)技術分野
「[001] The present disclosure pertains to ultrasound systems and methods for obtaining ultrasonic images and/or tissue information using a neural network.」
(本発明は、ニューラルネットワークを使用して超音波画像および/または組織情報を取得するための超音波システムおよび方法に関する。)
(イ)背景
「[002] Ultrasound is a widely used imaging modality in medical imaging as it can provide realtime non-invasive imaging of organs and tissue for diagnosis, pre-operative care and planning, and post-operative patient monitoring.…」
(超音波は、診断、術前ケアと計画、術後の患者モニタリングのために臓器や組織のリアルタイムの非侵襲的画像を提供できるため、医療用画像診断で広く使用されている画像診断法である。…)
「[004] Conventional ultrasound system, while providing a significant advancement in medical imaging, may still benefit from further improvements. For example, conventional signal processing components (e.g., beamformers and other signal and image processors) rely on and implement our understanding of ultrasound into hard-wired circuitry or preprogrammed general purpose processors. Thus, these conventional signal processing components are not particularly adaptive and may be limited by hardware limitations or the imperfections in the physical models implemented thereon. Therefore, improvements in this area may be desirable. Also, current ultrasound systems generally require the user to carefully watch the ultrasound system display, coordinate transducer movements and manipulate user controls to precisely record the desired anatomy or pathology of interest. After capturing the desired images the user will typically review the images and manually annotate specific anatomy or pathology. Techniques for simplifying operation of an ultrasound imaging system without sacrificing image and/ or diagnostic information quality may thus also be desirable.」
(従来の超音波システムは、医療用画像診断に大きな進歩をもたらしているが、さらなる改良によってさらに恩恵を受ける可能性がある。たとえば、従来の信号処理コンポーネント(ビームフォーマーやその他の信号および画像プロセッサなど)は、超音波に関する知識に依存しており、それをハードワイヤード回路または事前にプログラムされた汎用プロセッサに実装している。したがって、これらの従来の信号処理コンポーネントは特に適応性が高くなく、ハードウェアの制限やそこに実装された物理モデルの不完全性によって制限される可能性がある。したがって、この分野での改善が望まれる。また、現在の超音波システムでは、通常、ユーザーは超音波システムのディスプレイを注意深く観察し、トランスデューサの動きを調整し、ユーザーコントロールを操作して、目的の解剖学的構造または病理を正確に記録する必要がある。必要な画像をキャプチャした後、ユーザーは通常、画像を確認し、特定の解剖学的構造または病理に手動で注釈を付ける。したがって、画像および/または診断情報の品質を犠牲にすることなく、超音波画像システムの操作を簡素化する技術も望ましい場合がある。)
(ウ)発明の要約
「[005] The present disclosure describes a system which utilizes a machine-trained neural networks (e.g., a machine-trained algorithm) developed through one or more machine learning algorithms to output image data and/or a variety of tissue information. In some embodiments, the neural network may be a deep neural network capable of analyzing patterns using a with a multi-dimensional (2-or more dimensional) data set, which may also be thought of as localized data sets, and where the location of data within the data set and the data values may both contribute to the analyzed result.」
(本開示は、画像データおよび/またはさまざまな組織情報を出力するために1つ以上の機械学習アルゴリズムを通じて開発された、機械訓練されたニューラルネットワーク(例えば、機械訓練アルゴリズム)を利用するシステムを説明する。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、多次元(2次元以上)のデータセットを使用してパターンを分析できるディープニューラルネットワークである可能性があり、このデータセットはローカライズされたデータセットとも考えられ、データセット内のデータの場所とデータ値の両方が分析結果に寄与する可能性がある。)
「[006] An ultrasound imaging system according to the present disclosure may include or be operatively associated with an ultrasound transducer configured to acquire echo signals responsive to ultrasound pulses transmitted toward a medium. The system may include a channel memory configured to store the acquired echo signals, a neural network coupled to the channel memory and configured to receive one or more samples of the acquired echo signals, one or more samples of beamformed signals based on the acquired echo signals, or both, and to provide imaging data based on the one or more samples of the acquired echo signals, the one or more samples of beamformed signals, or both, and may further include a display processor configured to generate an ultrasound image using the imaging data provided by the neural network. The system may further include a user interface configured to display the ultrasound image produced by the display processor.」
(本開示による超音波画像システムは、媒体に向けて送信された超音波パルスに応答するエコー信号を取得するように構成された超音波トランスデューサを含むか、または超音波トランスデューサと動作的に関連付けられ得る。システムには、取得されたエコー信号を格納するように構成されたチャネルメモリ、チャネルメモリに接続され、取得されたエコー信号の1つ以上のサンプル、取得されたエコー信号に基づくビーム形成された信号の1つ以上のサンプル、またはその両方を受信し、取得されたエコー信号の1つ以上のサンプル、ビーム形成された信号の1つ以上のサンプル、またはその両方に基づいてイメージングデータを提供するように構成されたニューラルネットワークが含まれ、さらに、ニューラルネットワークによって提供されるイメージングデータを使用して超音波画像を生成するように構成された表示プロセッサが含まれる場合がある。システムには、表示プロセッサによって生成された超音波画像を表示するように構成されたユーザーインターフェイスがさらに含まれる場合がある。)
(エ)詳細な説明
「[028] FIG. 1 shows an example ultrasound system according to principles of the present disclosure.The ultrasound system 100 includes channel memory 110, a neural network 160, an optional display processor 140, and a user interface 124. The example in FIG. 1 also shows an ultrasound transducer 113, a transmit/receive controller 120, beamformer 122, beamformer memory 123, signal processor 126, imaging data processor 121, scan converter and multiplaner reformatter 133, input data selector 162, and a storage component 150. The components and arrangement thereof shown in FIG. 1 is exemplary only, and modifications such as the addition, omission, or rearrangement of one or more of the illustrated components is contemplated without departing from the scope of the present disclosure.」
(図1は、本開示の原理に従った超音波システムの一例を示す。超音波システム100には、チャネルメモリ110、ニューラルネットワーク160、オプションの表示プロセッサ140、およびユーザーインターフェイス124が含まれる。図1の例には、超音波トランスデューサ113、送受信コントローラ120、ビームフォーマ122、ビームフォーマメモリ123、信号プロセッサ126、イメージングデータプロセッサ121、スキャンコンバータおよびマルチプレーナリフォーマッタ133、入力データセレクタ162、およびストレージコンポーネント150も示されている。図1に示す構成要素およびその配置は例示に過ぎず、本開示の範囲から逸脱することなく、図示した構成要素の1つ以上を追加、省略、または再配置するなどの変更が考えられる。)
合議体注:図1は次のものである。
[図:0001422029000001.jpg]
「[029] As described, the ultrasound transducer 113 may acquire echo signals responsive to ultrasound signals transmitted toward a medium to be imaged (e.g., tissue). The ultrasound transducer 113 may include an array of elements capable, under control from a transmit/receive controller 120, to transmit pulses of ultrasound toward the medium and detect echoes responsive to the transmit pulses. The transmit/receive controller 120 controls the transmission of ultrasound signals by the transducer 113 and the reception of ultrasound echo signals by individual elements or groups of elements (e.g., in the case of a transducer including a microbeamformer (μBF)) of the array. The ultrasound transducer 113 is communicatively coupled to channel memory 110, which receives and stores the echo signals acquired by the ultrasound transducer 113. The channel memory 110 may be configured to store per-element or group (in the case of microbeamformed signals) echo signals (also referred to as raw RF signals or simply RF signals, or per-channel data). The pre-channel data may be accumulated in memory over multiple transmit/receive cycles.」
(説明したように、超音波トランスデューサ113は、画像化される媒体(例えば、組織)に向けて送信された超音波信号に応答するエコー信号を取得することができる。超音波トランスデューサ113には、送受信コントローラ120からの制御下で、媒体に向けて超音波パルスを送信し、送信パルスに応答するエコーを検出できる要素のアレイが含まれる場合がある。送受信コントローラ120は、トランスデューサ113による超音波信号の送信と、アレイの個々の要素または要素のグループ(たとえば、マイクロビームフォーマ(μBF)を含むトランスデューサの場合)による超音波エコー信号の受信を制御する。超音波トランスデューサ113は、チャネルメモリ110に通信接続され、チャネルメモリ110は、超音波トランスデューサ113によって取得されたエコー信号を受信して保存する。チャネルメモリ110は、要素ごとまたはグループごと(マイクロビーム形成された信号の場合)のエコー信号(生のRF信号または単にRF信号、またはチャネルごとのデータとも呼ばれる)を格納するように構成できる。プレチャネルデータは、複数の送信/受信サイクルにわたってメモリに蓄積される場合がある。)
「[030] The channel memory 110 may couple the RF signals to a neural network 160, which is trained to produce imaging data, extract tissue information, or any combinations thereof, directly from the RF signals, e.g.. without the need for conventional beamforming or downstream signal processing. In some embodiments, the RF signals from the channel memory 110 are coupled to the neural network 160 via an input data selector 162. The input data selector 162 may be configured to select, for each point or region of interest (ROI) in an imaging field of view, a corresponding array of m echo signal samples from each or a subset of elements of the transducer array. … After selection of the appropriate input data set, imaging and other tissue data extraction would be performed implicitly by the neural network 160 without the reliance on conventional beamforming.」
(チャネルメモリ110は、RF信号をニューラルネットワーク160に結合することができ、ニューラルネットワーク160は、従来のビーム形成や下流の信号処理を必要とせずに、RF信号から直接、画像データを生成したり、組織情報を抽出したり、またはそれらの任意の組み合わせを実行したりするようにトレーニングされている。いくつかの実施形態では、チャネルメモリ110からのRF信号は、入力データセレクタ162を介してニューラルネットワーク160に結合される。入力データセレクタ162は、画像化視野内の各点または関心領域(ROI)に対して、トランスデューサアレイの各要素またはそのサブセットから、m個のエコー信号サンプルの対応するアレイを選択するように構成することができる。…適切な入力データセットを選択した後、従来のビームフォーミングに依存せずに、ニューラルネットワーク160によって暗黙的にイメージングおよびその他の組織データの抽出が実行される。)
「[033] The output of the training process may be a set of weights (also referred to as connection or node weights) which may be used by the neural network 160 during operation (e.g., to adjust the threshold or limiting functions controlling propagation through the layers of the neural net). Once trained, the neural network 160 may be configured to operate on any input array, Xk, to produce one or more output values that can be interpreted loosely as a probability or confidence estimate that Xk is a member of the output set Yn (e.g. that the sample of echo signals correspond to a set of pixel image data). The output sets, Yn, can also represent numerical value ranges. In this manner, a set of RF signals may be provided as input to the neural network 160, the set of RF signals corresponding to a subset of a given spatial locations (e.g., a region of interest in the imaged tissue) within the medium and the neural network may provide as output a set of corresponding pixel data for producing a portion of the image at the given spatial location. In some examples, by changing the weights of the neural network, this system can be dynamically reconfigured to produce images of a wide variety of different characteristics. In some embodiments, the neural network 160 may be a deep-learning or simply deep neural network (DNN) and/or an adaptive neural network. In some embodiments, a deep neural network (DNN), such as a deep convolutional neural networks (deep CNN) also referred to as fully convolutional network (FCN), may be used to localize objects within an image on a pixel by pixel basis. In examples, the input training arrays, Xi, may be formed from the image data surrounding each point in an image. Each training array may be classified into one or more output sets or values based on the set membership of the output point or pixel in question. As such, the ultrasound system 100 may be configured to output ultrasound images, for example, without performing any of the conventional steps of RF filtering, demodulations, compression, etc. Rather, the image data formation would be accomplished implicitly within the neural network.」
(トレーニングプロセスの出力は、ニューラルネットワーク160が動作中に使用できる重みのセット(接続重みまたはノード重みとも呼ばれる)である場合がある(たとえば、ニューラルネットワークのレイヤーを介した伝播を制御するしきい値または制限機能を調整するため)。ニューラルネットワーク160は、トレーニングが完了すると、任意の入力配列Xkに対して動作するように構成され、Xkが出力セットYnのメンバーである確率または信頼度の推定値として大まかに解釈できる1つ以上の出力値を生成する(たとえば、エコー信号のサンプルがピクセル画像データのセットに対応しているかどうか)。出力セットYnは数値の範囲を表すこともできる。このように、RF信号のセットがニューラルネットワーク160への入力として提供され、RF信号のセットは媒体内の特定の空間位置(たとえば、画像化された組織内の関心領域)のサブセットに対応し、ニューラルネットワークは、特定の空間位置での画像の一部を生成するための対応するピクセルデータのセットを出力として提供できる。いくつかの例では、ニューラルネットワークの重みを変更することで、このシステムを動的に再構成し、さまざまな特性を持つ画像を生成することができる。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク160は、ディープラーニングまたは単にディープニューラルネットワーク(DNN)および/または適応型ニューラルネットワークである可能性がある。いくつかの実施形態では、完全畳み込みネットワーク(FCN)とも呼ばれる深層畳み込みニューラルネットワーク(深層CNN)などの深層ニューラルネットワーク(CNN)を使用して、画像内のオブジェクトをピクセル単位で特定することができる。例えば、入力トレーニング配列Xiは、画像内の各点を囲む画像データから形成される場合がある。各トレーニング配列は、問題の出力ポイントまたはピクセルのセットのメンバーシップに基づいて、1つ以上の出力セットまたは値に分類される場合がある。したがって、超音波システム100は、たとえば、RFフィルタリング、復調、圧縮などの従来のステップを実行せずに超音波画像を出力するように構成できる。むしろ、画像データの形成はニューラルネットワーク内で暗黙的に実行される。)
「[034] The output of the neural network 160 may be coupled to a display processor 140, which may arrange the subsets of pixel data based on their spatial attributes to construct an ultrasound image of the field of view. In some examples, the display processor 140 may temporarily buffer, if needed, the subsets of pixel data until pixel data for the entire image has been output by the neural network. In some examples, prior to passing the output data to the display processor 140, the output of the neural network may be passed through a data conditioner (not shown), which may be configured to spatially and temporally process the output data to highlight certain spatial and/or temporal characteristics thereof. In some examples, the data conditioner may perform multi- resolution image processing. In further examples, the functionality of arranging the subsets of pixel data into a desired format for display (e.g., into a 2D or 3D image) may be performed by a scan converter and multiplanar reformatter 133, following which the ultrasound image may be passed to the display processor 140 for additional image enhancement, annotations and/or combination with other imaging data (e.g., graphical representations of tissue, blood flow, and/or strain/stress information). The ultrasound imaging data (e.g., after formatting for display) may be processed in the same manner as image data on a conventional ultrasound system.For example, it may be displayed in real-time, e.g., on a display unit of the user interface 124, buffered into a cineloop memory for displaying temporal sequences of images, and/or exported to a storage device 150 or a printing system. Stored ultrasound images (or pre-formatted/preannotated image data) may be retrieved for subsequent analysis and diagnosis, inclusion in a report and/or for use as training data. The ultrasound image data may be further processed using conventional techniques to extract additional quantitative and/or qualitative information about the anatomy or characteristics of the tissue being scanned.」
(ニューラルネットワーク160の出力は表示プロセッサ140に結合され、表示プロセッサ140は、ピクセルデータのサブセットをその空間属性に基づいて配置し、視野の超音波画像を構築する。いくつかの例では、表示プロセッサ140は、必要に応じて、ニューラルネットワークによって画像全体のピクセルデータが出力されるまで、ピクセルデータのサブセットを一時的にバッファリングする場合がある。いくつかの例では、出力データを表示プロセッサ140に渡す前に、ニューラルネットワークの出力をデータコンディショナー(図示せず)に渡すことができる。データコンディショナーは、出力データを空間的および時間的に処理して、その特定の空間的および/または時間的特性を強調するように構成できる。いくつかの例では、データコンディショナーは、マルチ解像度画像処理を実行する場合がある。さらなる例では、ピクセルデータのサブセットを表示用の所望の形式(例えば、2Dまたは3D画像)に配置する機能は、スキャンコンバータおよびマルチプレーンリフォーマッタ133によって実行され、その後、超音波画像は、追加の画像強調、注釈、および/または他の画像データ(例えば、組織、血流、および/または歪み/ストレス情報のグラフィカル表現)との組み合わせのために表示プロセッサ140に渡される。超音波画像データ(例えば、表示用にフォーマットされた後)は、従来の超音波システム上の画像データと同じ方法で処理することができる。例えば、ユーザーインターフェース124のディスプレイユニット上にリアルタイムで表示したり、画像の時間的シーケンスを表示するためにシネループメモリにバッファリングしたり、記憶装置150または印刷システムにエクスポートしたりすることができる。保存された超音波画像(または事前にフォーマットされた/事前に注釈が付けられた画像データ)は、その後の分析や診断、レポートへの組み込み、および/またはトレーニングデータとして使用するために取得できます。超音波画像データは、従来の技術を使用してさらに処理され、スキャン対象の組織の解剖学的構造または特性に関する追加の定量的および/または定性的情報を抽出することができる。)
イ 引用文献1に記載された発明(引用発明)
上記アの記載事項(特に、上記(エ))に基づけば、引用文献1には、図1に例示される実施形態の超音波システム100として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「超音波トランスデューサ113が、画像化される媒体に向けて送信された超音波信号に応答するエコー信号を取得し、チャネルメモリ110に通信接続され、
チャネルメモリ110が、超音波トランスデューサ113によって取得されたRF信号とも呼ばれるエコー信号を受信して保存し、
チャネルメモリ110からのRF信号は、入力データセレクタ162を介してニューラルネットワーク160に結合され、
ニューラルネットワーク160が、ディープラーニングであって、従来のビーム形成や下流の信号処理を必要とせずに、RF信号から直接、画像データを生成したり、組織情報を抽出したり、またはそれらの任意の組み合わせを実行したりするようにトレーニングされ、
ニューラルネットワーク160の出力は表示プロセッサ140に結合され、表示プロセッサ140は、ピクセルデータのサブセットをその空間属性に基づいて配置し、視野の超音波画像を構築し、超音波画像データは、ユーザーインターフェース124のディスプレイユニット上にリアルタイムで表示したり、画像の時間的シーケンスを表示するためにシネループメモリにバッファリングしたり、記憶装置150または印刷システムにエクスポートしたりすることができる、超音波システム100であって、
超音波システム100は、RFフィルタリング、復調、圧縮などの従来のステップを実行せずに超音波画像を出力するように構成され、画像データの形成はニューラルネットワーク内で暗黙的に実行される、超音波システム100。」
5 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(1)超音波チャネルデータ
引用発明の「RF信号」は、「超音波トランスデューサ113によって取得」された、「画像化される媒体に向けて送信された超音波信号に応答するエコー信号」である。
そうすると、引用発明の「RF信号」は、本件補正発明の「超音波チャネルデータ」に相当し、「超音波トランスデューサから生成された」とされる要件を満たしている。
(2)解剖学的構造の画像
本件補正発明の「被検者の解剖学的構造の画像」と引用発明の「超音波画像」は、「画像」である点で共通する。
また、引用発明は、「ニューラルネットワーク160」が、「RF信号から直接、画像データを生成」し、ニューラルネットワーク160の出力が結合された「表示プロセッサ140」が、「視野の超音波画像」を構築し、その「超音波画像データ」は、「ユーザーインターフェース124のディスプレイユニット」上に表示されるように構成されている。
そうすると、引用発明のディスプレイユニット上に表示される「超音波画像」は、「ニューラルネットワーク160」の「出力画像に対応する」ものといえる。
(3)深層学習エンジン
引用発明の「ニューラルネットワーク160」は、「ディープラーニング」であって、「従来のビーム形成や下流の信号処理を必要とせずに、RF信号から直接、画像データを生成したり、組織情報を抽出したり、またはそれらの任意の組み合わせを実行したりするようにトレーニング」されたものである。
一方、本件補正発明では、「前記超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して前記被検者の解剖学的構造の画像を生成」するよう構成されている。
引用発明の「ニューラルネットワーク160」と、本件補正発明の「予測ネットワーク」の上記各機能に照らせば、引用発明の「ニューラルネットワーク160」は、本件補正発明の「予測ネットワーク」に相当する。
そして、引用発明は、「入力データセレクタ162」がRF信号を「ディープラーニング」である「ニューラルネットワーク160」に結合し、ニューラルネットワーク160の出力が結合された「表示プロセッサ140」が「視野の超音波画像」を構築し、「ディスプレイユニット」上に表示するように構成されている。
そうすると、引用発明は、「入力データセレクタ162」、「ニューラルネットワーク160」及び「表示プロセッサ140」によって、RF信号を受信し、当該RF信号に「ニューラルネットワーク160」を適用し、超音波画像を生成し、ディスプレイに出力する構成を有しているといえる。また、引用発明の「入力データセレクタ162」、「ニューラルネットワーク160」及び「表示プロセッサ140」を含む構成は、前記RF信号に深層学習されたニューラルネットワークを適用し、超音波画像を出力する機能を有するものであるから、深層学習エンジンとして機能するものといえる。
そうすると、引用発明の、「入力データセレクタ162」、「ニューラルネットワーク160」及び「表示プロセッサ140」を含む構成が、本件補正発明の「深層学習エンジン」として機能する構成に相当し、その機能からみて、本件補正発明の「超音波チャネルデータを受信」し、「超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用」して「画像を生成し」、「ディスプレイに出力」するとの要件を満たしている。
(4)超音波イメージングシステム
引用発明の「超音波システム100」は、「入力データセレクタ162」、「ニューラルネットワーク160」及び「表示プロセッサ140」を有し、「超音波画像」データをディスプレイユニットに表示する機能を有するものである。そうすると、引用発明の「超音波システム100」は、本件補正発明の「超音波イメージングシステム」に相当する。
(5)一致点及び相違点
以上より、本件補正発明と引用発明とは、
「 深層学習エンジンとして機能する構成を含む、超音波イメージングシステムであって、前記深層学習エンジンとして機能する構成は、
超音波トランスデューサから生成された超音波チャネルデータを受信し、
前記超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して画像を生成し、
前記画像を、前記深層学習エンジンとして機能する構成と通信するディスプレイに出力し、前記ディスプレイに示される前記画像は、前記予測ネットワークの出力画像に対応する、
超音波イメージングシステム。」
である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。
[相違点1]
本件補正発明では、超音波チャネルデータが「被検者の解剖学的構造を表す」とされており、画像が「(被検者の)解剖学的構造」の画像であるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点。
[相違点2]
本件補正発明では、「深層学習エンジン」が「画像」を「深層学習エンジンと通信するディスプレイに出力」するのに対し、引用発明では、「表示プロセッサ140」によって構築された「視野の超音波画像」が「ディスプレイユニット」上に表示されており、「表示プロセッサ140」が「ニューラルネットワーク160」及び「入力データセレクタ162」と共に「深層学習エンジン」を構成するとまでは特定されていない点。
6 判断
(1)[相違点1]について
引用文献1に、背景技術として、「超音波は、診断、術前ケアと計画、術後の患者モニタリングのために臓器や組織のリアルタイムの非侵襲的画像を提供できる」と記載されているように、超音波は、診断等のために、患者の臓器の画像を得るために使用されるものである。引用発明の超音波システム100も同様に使用されるものであるから、引用発明の超音波トランスデューサ113が取得するRF信号は、患者、つまり被検者の「解剖学的構造」を表すデータであり、引用発明において形成される画像データは、被検者の「解剖学的構造」を示す画像のデータであるといえる。
したがって、上記[相違点1]は、実質的な相違点ではない。
また、仮に実質的な相違点であったとしても、引用発明を、診断等のための臓器や組織の非侵襲的画像を得るという、想定された一般的な用途に用い、上記[相違点1]に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が適宜なし得ることである。
(2)[相違点2]について
ア 本件補正発明の「深層学習エンジン」
本願明細書の段落【0033】には、「深層学習エンジン220は、従来の超音波画像再構成演算に取って代わる、超音波エコー応答に深層学習ネットワーク222(例えば、機械学習ネットワーク142)を適用して、超音波画像を生成するハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含む。従来の超音波画像再構成演算は、受信ビーム形成演算240及びバックエンド処理演算242を含む。深層学習ネットワーク222は、関数近似及びパラメータ最適化によって、従来の超音波画像再構成演算に取って代わる。」と記載されている。
当該記載に基づけば、本件補正発明における「深層学習エンジン」は、「深層学習ネットワーク」を適用して、超音波画像を生成する機能を有するものであれば足りるものである。当該記載からは、「深層学習エンジン」を構成するハードウェア及び/又はソフトウェアが、単一の制御部により構成されるものに限定されていると理解することはできないし、深層学習ネットワークを適用する機能以外を排除するものと理解することもできない。
そして、本件補正発明の記載を間接的に引用する請求項4では、「深層学習エンジン」がさらに、「前記予測ネットワークを適用する前に、前記RFデータを同相直交位相(IQ)データに変換する」(下線は合議体が付した。)という機能を有することが特定されており、同様に本件補正発明の記載を間接的に引用する請求項5では、「深層学習エンジン」がさらに、「前記予測ネットワークを適用する前に、前記超音波エコーチャネルデータストリームに対してビーム形成処理を行う」(下線は合議体が付した。)ことが特定されている。このことからみても、本件補正発明における「深層学習エンジン」は、「予測ネットワークを適用」する機能以外の機能を有することを排除していない。
イ 引用発明の「表示プロセッサ140」
引用発明の「表示プロセッサ140」は、「ニューラルネットワーク160」の出力と結合され、視野の超音波画像を構築するものである。そうすると、引用発明の「表示プロセッサ140」と「ニューラルネットワーク160」とは、共同して視野の超音波画像を構築するものであるから、これらが組み合わされることにより、視野の超音波画像を構築するエンジンを構成しているといえる。そして、「入力データセレクタ162」と「表示プロセッサ140」と「ニューラルネットワーク160」とが組み合わされたエンジンは、前記5(3)において検討したとおり、RF信号に予測ネットワークを適用して画像を生成するとともに、当該画像をディスプレイに出力するものであるから、本件補正発明の「深層学習エンジン」における「画像」を「深層学習エンジンと通信するディスプレイに出力」するとの要件を満たしている。
したがって、上記[相違点2]は、実質的な相違点ではない。
ウ 容易想到性
仮に、本件補正発明の「深層学習エンジン」が、引用発明の「表示プロセッサ140」を含まないと解釈できるとしても、引用文献1には、「超音波システム100には、チャネルメモリ110、ニューラルネットワーク160、オプションの表示プロセッサ140、およびユーザーインターフェイス124が含まれる。」、「図1に示す構成要素およびその配置は例示に過ぎず、本開示の範囲から逸脱することなく、図示した構成要素の1つ以上を追加、省略、または再配置するなどの変更が考えられる。」(いずれも、段落[028]の記載であり、下線は合議体が付した。)と記載されている。また、引用発明の「ニューラルネットワーク160」は、「RF信号から直接、画像データを生成」するようにトレーニングできるものである。
そうすると、引用発明において、オプションとされる「表示プロセッサ140」を省略し、ニューラルネットワーク160が直接生成した画像データをユーザーインターフェース124のディスプレイユニットに出力するように構成し、上記[相違点2]に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
エ 請求人の主張
審判請求人は、審判請求書の請求の理由において、「深層学習エンジンは、プロセッサのような複数の制御部の集合体の呼称ではない」とし、引用文献1では、「各プロセッサが各動作を行っている」のに対し、本件補正発明では、同じ「深層学習エンジンが各動作を行っている。」と主張している。
しかし、請求人による上記主張の根拠を見いだすことができない。そして、前記アにおいて検討したとおり、「深層学習エンジン」が、単一の制御部により構成されるものに限定されていると理解することはできないし、深層学習ネットワークを適用する機能以外の機能を含む態様を排除するものと理解することもできないから、請求人の上記主張を採用することができない。また、仮に上記「深層学習エンジン」が、請求人が主張するとおり、深層学習ネットワークを適用する機能以外の態様を排除するものであったとしても、上記ウに示した理由により、上記ウの判断は変わらない。
また、審判請求人は、審判請求書の請求の理由において、本件補正発明の効果について、「計算の複雑さ及びシステムの複雑さを低減できるという顕著な効果がある。」と主張している。
しかしながら、上記ウで述べたとおり、上記相違点2は実質的な相違点ではないから、上記主張は採用できない。
また、仮に、実質的な相違点であったとしても、本件補正発明の効果は、深層学習エンジンを適用したことによる効果(従来のステップを実行するのに要していた計算の複雑さ及びシステムの複雑さが低減できるという効果)であって、本件補正発明の構成が奏する効果として、例えば、引用文献1の[033]等の記載に基づいて、当業者が予測できたものであって、格別顕著なものでもない。
いずれにしても、上記主張は採用できない。
7 むすび
以上のとおり、本件補正発明と引用発明との相違点は、いずれも、実質的な相違点ではないから、本件補正発明は、特許法29条1項3号の規定により、独立して特許を受けることができない。また、仮に相違点が、実質的な相違点であったとしても、本件補正発明は、引用文献1の記載に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、同法29条2項の規定により独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件発明
1 本件発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~20に係る発明は、令和5年4月28日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった引用文献1を引用し、この出願の請求項1~20に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、又は、引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:国際公開第2018/127498号
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の4に記載したとおりである。
4 対比・判断
本件発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「深層学習エンジン」を「プロセッサ」に変更したものであり、超音波チャネルデータを受信し、超音波チャネルデータに予測ネットワークを適用して、被検者の解剖学的構造の画像を生成し、被検者の解剖学的構造の画像を出力するという機能を有する「プロセッサ」について、「深層学習ネットワーク」を適用するという構成を省いたものであるといえる。
そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに「深層学習ネットワーク」を適用するという事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]5~7に記載したとおり、引用発明との間において実質的な相違点を有さないものであるから、本件発明も、引用発明との間に実質的な相違点を有さないものである。仮に、相違点が実質的な相違点であったとしても、本件発明は、本件補正発明と同じ理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明は、特許法29条1項3号又は同条2項の規定により、特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、特許法29条1項3号又は同条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-020535