特許異議申立
2024-701098
ロック装置およびロック装置を備える処理装置
- 審判番号
- 2024-701098
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-115104
- 登録番号
- 7491558
- 請求日
- 2024年11月12日
- 審決日
- 2025年09月12日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】高砂工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 【異議申立人】藤井 正剛
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 猛
- 審判官 粟野 正明
- 審判官 阿川 寛樹
- 分類
- P1652.113-ZC (F27D) / P1652.121-ZC (F27D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7491558号発明「ロック装置およびロック装置を備える処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7491558号の請求項1~4、9に係る特許を取り消す。
特許第7491558号の請求項5、6、8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件の特許第7491558号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願(特願2020-115104号。以下「本願」という。)は、令和 2年 7月 2日の出願であって、令和 6年 5月20日にその特許権の設定登録がされ、同年 5月28日に特許掲載公報が発行され、その後、令和 6年11月12日に、その請求項1~6、8、9に係る特許について、特許異議申立人である藤井 正剛(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和 7年 2月21日付けで取消理由が通知されたものである。
なお、上記取消理由の通知に対して、特許権者から意見書は提出されなかった。
第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、本願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、以下において、本願の請求項1~9に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明9」といい、総称して、「本件特許発明」という。また、本願の願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。
「【請求項1】
壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。
【請求項2】
前記支持手段と前記可動部材は、前記壁面方向に平行に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記可動部材に連結するロッドを備え、
前記ロッドは、保持手段によって保持されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項5】
前記支持手段は、前記可動部材と前記壁部との間に配置される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
前記可動部材は、傾斜部を有し、
前記可動部材の進退によって、前記傾斜部を前記変換手段が移動し、前記可動部材の前記壁面方向の運動の力が前記押圧部材の押圧方向の力に変換される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
前記変換手段は、前記壁部に固定された支持部と、前記支持部により前記壁面方向における略中心を支持される本体部と、を有し、前記変換手段は、シーソ運動可能に構成される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
ロック装置は、さらにリンクを有し、
前記変換手段は、前記可動部材と前記リンクを介して連結される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項9】
壁部と、前記壁部に形成された開口部を開閉する扉と、を有する処理装置であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のロック装置を備える、ことを特徴とする処理装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第3号証(以下「甲1」等という。下記4参照。)を提出し、以下の理由により、本件特許の請求項1~6、8、9に係る特許を取り消すべきである旨主張している。
1 申立理由1(新規性)
(1)申立理由1-1(甲1を主たる引用文献とするもの。取消理由として一部採用。)
本件特許発明1~5、8、9は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由1-2(甲2を主たる引用文献とするもの。取消理由として一部採用。)
本件特許発明1~4、6、9は、甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由2(進歩性)
(1)申立理由2-1(甲1を主たる引用文献とするもの。取消理由として一部採用。)
本件特許発明1~6、8、9は、甲1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2-2(甲2を主たる引用文献とするもの。取消理由として一部採用。)
本件特許発明1~4、6、8、9は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)申立理由2-3(甲3を主たる引用文献とするもの。取消理由として不採用。)
本件特許発明1、2、4、9は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 証拠方法
甲1:実願昭60-38236号(実開昭61-155359号)のマイクロフィルム
甲2:特開2006-328911号公報
甲3:実願平3-66514号(実開平5-12842号)のCD-ROM
第4 令和 7年 2月21日付け取消理由通知書により通知した取消理由の概要
当合議体は、上記第3の申立理由1-1、1-2、2-1、2-2の一部を採用し、また、職権により発見した理由を追加して、令和 7年 2月21日付けで、以下の取消理由を通知した。
1 取消理由1-1(新規性)及び取消理由2-1(進歩性)
本件特許発明1~4、9は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるか、または、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 取消理由1-2(新規性)及び取消理由2-2(進歩性)
本件特許発明1~4、9は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるか、または、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当合議体の判断
以下に述べるとおり、当合議体は、上記第4の取消理由1-1、2-1、1-2、及び2-2によって、本件特許の請求項1~4、9に係る特許を取り消すべきであると判断する。
また、当合議体は、上記第4の取消理由1-1、2-1、1-2、及び2-2、並びに上記第3の申立理由1-1、1-2、2-1、2-2、2-3のいずれによっても、本件特許の請求項5、6、8に係る特許を取り消すことはできないと判断する。
1 取消理由1-1(新規性)及び取消理由2-1(進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
ア 本願の出願前に公知となった甲1には、その実用新案登録請求の範囲、第1頁下から1行~第2頁第1行、第4頁第1行~第9頁第11行及び第1図、第2図に記載された「ロック手段」、及び当該「ロック手段」を備えた「真空炉」に着目すると、次の各発明が記載されていると認められる。
「開口部5を開閉すべく長尺に形成された平板状の扉板7を閉じた位置で気密性を高めるべく更に閉方向に押圧付勢するロック手段であって、
上記開口部5は、真空炉1内に設けられた熱処理室2、3間の仕切壁4に形成された比較的長尺のものであって、上記扉板7がその周縁部を形成する仕切壁4上に圧着されることにより密閉されるものであり、
上記扉板7の背面部には、その長手方向に沿って分割された補強部材8がそれぞれ独立して固定されており、
上記扉板7を転回自在に支持するために、上記開口部5の一側近傍にはその長手方向に沿う回転駆動軸9が上記真空炉1の底壁10と上壁11との間に掛渡されて垂直に支持されるとともに、上記回転駆動軸9に一端が支持され他端が上記補強部材8のそれぞれに枢支され、上記扉板7を転回させて開閉させるための支持アーム12が複数本設けられ、
上記補強部材8は、隣合う上下の補強部材8相互間に垂直に個々に挿通されたピン17を介して上記支持アーム12に揺動自在に取付けられており、
上記回転駆動軸9の反対側に位置する真空炉1の側壁22にはこれより上記支持アーム12上に水平に出没するロッド23を有するロック用シリンダ24が各支持アーム12に位置させてそれぞれ取付けられており、
上記支持アーム12の自由端側背面部には傾斜面25が形成され、上記ロック用シリンダ24の上記ロッド23には、上記傾斜面25を転動するローラ26が取付けられており、
上記ロッド23に対して上記支持アーム12とは反対側の位置に配置され、当該ロッド23の側部を支承する支承ローラ27が設けられ、
上記ロック用シリンダ24の上記ロッド23を突出作動させると、ロッド先端部の上記ローラ26が上記支持アーム12の上記傾斜面25を移動して上記支持アーム12を上記扉板7の閉方向に押圧付勢し、その押圧力が上記支持アーム12から上記ピン17及び上記補強部材8を介して上記扉板7上に伝わり上記扉板7を上記仕切壁4に密着させるように作用する、
ロック手段。」(以下「甲1実施例発明」という。)
「熱処理室2、3間の仕切壁4に形成された比較的長尺の開口部5を開閉すべく長尺に形成された平板状の扉板7を有する真空炉1であって、甲1実施例発明に係るロック手段を備えた真空炉1。」(以下「甲1実施例炉発明」という。)
イ また、同じく甲1には、その第1頁下から1行~第3頁下から1行及び第3図に記載された中間扉の構造に着目すると、次の発明が記載されていると認められる。なお、甲1の第3図において、スライドフレームdは、シリンダeによって保持される細長い部材によって扉板bの延在する方向の平行な方向にスライドさせるものであること、及びスライドフレームdに対して平行リンクcとは反対側に当該スライドフレームdをその両端付近で支持する2つの略半楕円状の部材が配置されていることが見て取れるので、以下のように認定した。
「多室型の真空炉において各室を連絡する開口部に設けられた中間扉の構造であって、
開口部aを開閉する扉板bをその長手方向に連続した補強部材fと平行リンクcとを介してスライドフレームdに取付け、このスライドフレームdをシリンダeによって保持される細長い部材によって上記扉板bが延在する方向と平行な方向にスライドさせることにより上記扉板bを開閉するスライド式のものを採用し、特に上記扉板bを閉じたときに上記補強部材fと平行リンクcとを介して上記扉板bを上記開口部aに押圧させて気密性を得るようにでき、
上記スライドフレームdに対して上記平行リンクcとは反対側に上記スライドフレームdをその両端付近で支持する2つの略半楕円状の部材が配置されている、
中間扉の構造。」(以下「甲1従来例発明」という。)
「各室を連絡する開口部に設けられた中間扉を有する多室型の真空炉において、甲1従来例発明に係る中間扉の構造を備えた、真空炉。」(以下「甲1従来例炉発明」という。)
(2)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲1実施例発明との対比・判断
(ア)対比・判断
a 甲1実施例発明の「ロック手段」は、「真空炉1内に設けられた熱処理室2、3間の仕切壁4に形成された比較的長尺の」「開口部5を開閉すべく長尺に形成された平板状の扉板7を閉じた位置で気密性を高めるべく更に閉方向に押圧付勢する」ものであるから、本件特許発明1の「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置」に相当する。
b 甲1実施例発明の「補強部材8」は、支持アーム12からの押圧力を扉板7上に伝えて上記扉板7を仕切壁4に密着させるようにするものであるから、本件特許発明1の「前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材」に相当する。
c 甲1の第1図、第2図を参照すると、甲1実施例発明において、「ロッド23」が出没する「水平方向」は、「開口部6」が形成された「仕切壁4」が延在する方向と一致しているから、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向」に相当し、甲1実施例発明の、先端部に「ローラ26」が取り付けられた上記「ロッド23」は、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材」に相当する。
d 上記b、cを踏まえると、甲1実施例発明の「回転駆動軸9」、「自由端側背面部には傾斜面25が形成され」た「支持アーム12」及び「ピン17」は、「ロッド23を突出作動させると、ロッド先端部の上記ローラ26が上記支持アーム12の上記傾斜面25を移動して上記支持アーム12を上記扉板7の閉方向に押圧付勢し、その押圧力が上記支持アーム12から上記ピン17及び上記補強部材8を介して上記扉板7上に伝わり上記扉板7を上記仕切壁4に密着させるように作用する」ものであって、全体として、本件特許発明1の「前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段」に相当する。
e 上記c、dを踏まえると、甲1実施例発明の、先端部に「ローラ26」が取り付けられた「ロッド23」及び「ロック用シリンダ24」は、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段」に相当する。
f 甲1実施例発明の「上記ロッド23に対して上記支持アーム12とは反対側の位置に配置され、当該ロッド23の側部を支承する支承ローラ27」は、本件特許発明1の「前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段」に相当する。
g そうすると、本件特許発明1と甲1実施例発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、相違しない。
(イ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲1実施例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明1は、甲1実施例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件特許発明1と甲1従来例発明との対比・判断
(ア)対比・判断
a 甲1従来例発明の「中間扉の構造」は、「多室型の真空炉において各室を連絡する開口部に設けられた中間扉」に係るものであって、「特に上記扉板bを閉じたときに上記補強部材fと平行リンクcとを介して上記扉板bを上記開口部aに押圧させて気密性を得るようにでき」るものであるから、本件特許発明1の「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置」に相当する。
b 甲1従来例発明の「補強部材f」は、「扉板bを閉じたときに」「扉板bを上記開口部aに押圧させ」るように機能する部材であるから、本件特許発明1の「前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材」に相当する。
c 甲1従来例発明の「シリンダeによって保持される細長い部材によって上記扉板bが延在する方向と平行な方向にスライドさせる」「スライドフレームd」は、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材」に相当する。
d 上記b、cを踏まえると、甲1従来例発明の「平行リンクc」は、「補強部材f」と「スライドフレームd」との間に介在して、「スライドフレームd」が「シリンダeによって保持される細長い部材」によって「扉板bが延在する方向と平行な方向にスライドさせ」られることに起因する押圧力を「補強部材d」に作用するものであるから、本件特許発明1の「前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段」に相当する。
e 上記c、dを踏まえると、甲1従来例発明の「スライドフレームd」、「シリンダeによって保持される細長い部材」及び「シリンダe」は、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段」に相当する。
f 甲1従来例発明の「スライドフレームdに対して上記平行リンクcとは反対側に」配置された「上記スライドフレームdをその両端付近で支持する2つの略半楕円状の部材」は、本件特許発明1の「前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段」に相当する。
g そうすると、本件特許発明1と甲1従来例発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、相違しない。
(イ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲1従来例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明1は、甲1従来例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件特許発明2について
ア 本件特許発明2と甲1従来例発明との対比・判断
(ア)甲1従来例発明の「上記スライドフレームdをその両端付近で支持する2つの略半楕円状の部材」が「上記スライドフレームdに対して上記平行リンクcとは反対側に」「配置され」ていることは、甲1の第3図によれば、上記「2つの略半楕円状の部材」が、「シリンダeによって保持される細長い部材」により「スライドフレームd」がスライドする「扉板bが延在する方向と平行な方向」、すなわち「壁面方向」に平行に配置されていると認められることから、本件特許発明2の「前記支持手段」が「前記壁面方向に平行に配置されている」ことに相当する。
(イ)上記(2)イ(ア)c及び甲1の第3図の記載を踏まえると、甲1従来例発明の「スライドフレームdをシリンダeによって保持される細長い部材によって上記扉板bが延在する方向と平行な方向にスライドさせること」は、本件特許発明2の「前記可動手段」が「前記壁面方向に平行に配置されている」ことに相当する。
(ウ)ここで、本件特許発明2は、本件特許発明1において、「前記支持手段と前記可動部材は、前記壁面方向に平行に配置されている」点をさらに限定するものであるところ、上記(ア)、(イ)及び上記(2)イの検討を踏まえると、本件特許発明2と甲1従来例発明とは相違しない。
イ 小括
したがって、本件特許発明2は、甲1従来例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明2は、甲1従来例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件特許発明3について
ア 本件特許発明3と甲1実施例発明との対比・判断
(ア)甲1の第2図を参照すれば、甲1実施例発明において、「上記ロッド23に対して上記支持アーム12とは反対側の位置に配置され、当該ロッド23の側部を支承する支承ローラ27」と、先端部に「ローラ26」が取り付けられた「ロッド23」と、「回転駆動軸9」、「自由端側背面部には傾斜面25が形成され」た「支持アーム12」及び「ピン17」とは、「押圧付勢」された状態で「上記扉板7の閉方向」にこの順番で並び配置されていると認められるから、上記(2)ア(ア)c~fの検討も踏まえると、この点は、本件特許発明3の「前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点に相当する。
(イ)ここで、本件特許発明3は、本件特許発明1又は本件特許発明2において、「前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点をさらに限定するものであるところ、上記(ア)及び上記(2)アの検討を踏まえると、本件特許発明3と甲1実施例発明とは相違しない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明3は、甲1実施例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明3は、甲1実施例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件特許発明3と甲1従来例発明との対比・判断
(ア)甲1の第3図を参照すれば、甲1従来例発明において、「スライドフレームdに対して上記平行リンクcとは反対側に」「配置されている」「上記スライドフレームdをその両端付近で支持する2つの略半楕円状の部材」と、「平行リンクc」と、「補強部材f」とは、「扉板bを上記開口部aに押圧させ」た状態で、その押圧される方向にこの順で並び配置されていると認められるから、上記(2)イ(ア)b~d、fの検討も踏まえると、この点は、本件特許発明3の「前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点に相当する。
(イ)ここで、本件特許発明3は、本件特許発明1又は本件特許発明2において、「前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点をさらに限定するものであるところ、上記(ア)、上記(2)イ及び上記(3)の検討を踏まえると、本件特許発明3と甲1従来例発明とは相違しない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明3は、甲1従来例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明3は、甲1従来例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件特許発明4について
ア 本件特許発明4と甲1実施例発明との対比・判断
(ア)上記(2)ア(ア)eの検討を踏まえると、甲1実施例発明の、先端部に「ローラ26」が取り付けられた「ロッド23」は、本件特許発明4の「駆動手段」が備える「可動部材に連結するロッド」に相当し、また、甲1実施例発明の「ロック用シリンダ24」は、本件特許発明4の「ロッド」を「保持」する「保持手段」に相当する。
(イ)ここで、本件特許発明4は、本件特許発明1~3において、「前記駆動手段は、前記可動部材に連結するロッドを備え、前記ロッドは、保持手段によって保持されている」点をさらに限定するものであるところ、上記(ア)、上記(2)ア及び上記(4)アの検討を踏まえると、本件特許発明4と甲1実施例発明とは相違しない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明4は、甲1実施例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明4は、甲1実施例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件特許発明4と甲1従来例発明との対比・判断
(ア)上記(2)イ(ア)cの検討を踏まえると、甲1従来例発明の「シリンダeによって保持される細長い部材」は、本件特許発明4の「駆動手段」が備える「可動部材に連結するロッド」に相当し、また、甲1従来例発明の「シリンダe」は、本件特許発明4の「ロッド」を「保持」する「保持手段」に相当する。
(イ)ここで、本件特許発明4は、本件特許発明1~3において、「前記駆動手段は、前記可動部材に連結するロッドを備え、前記ロッドは、保持手段によって保持されている」点をさらに限定するものであるところ、上記(ア)、上記(2)イ、上記(3)及び上記(4)イの検討を踏まえると、本件特許発明4と甲1従来例発明とは相違しない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明4は、甲1従来例発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明4は、甲1従来例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件特許発明9について
ア 本件特許発明9と甲1実施例炉発明との対比・判断
(ア)甲1実施例炉発明の「熱処理室2、3間の仕切壁4に形成された比較的長尺の開口部5を開閉すべく長尺に形成された平板状の扉板7を有する真空炉1」は、本件特許発明9の「壁部と、前記壁部に形成された開口部を開閉する扉と、を有する処理装置」に相当する。
(イ)上記(ア)、上記(2)ア、上記(4)ア及び上記(5)アの検討を踏まえると、甲1実施例炉発明が備える「甲1実施例発明に係るロック手段」は、本件特許発明9に係る「処理装置」が備える「請求項1から8のいずれか一項に記載のロック装置」に相当する。
(ウ)そうすると、本件特許発明9と甲1実施例炉発明とは相違しない。
(エ)小括
したがって、本件特許発明9は、甲1実施例炉発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明9は、甲1実施例炉発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件特許発明9と甲1従来例炉発明との対比・判断
(ア)甲1従来例炉発明の「各室を連絡する開口部に設けられた中間扉を有する多室型の真空炉」は、上記開口部が壁部に形成されたものであることが自明であることからすると、本件特許発明9の「壁部と、前記壁部に形成された開口部を開閉する扉と、を有する処理装置」に相当する。
(イ)上記(ア)、上記(2)イ、上記(3)、上記(4)イ及び上記(5)イの検討を踏まえると、甲1従来例炉発明が備える「甲1従来例発明に係る中間扉の構造」は、本件特許発明9に係る「処理装置」が備える「請求項1から8のいずれか一項に記載のロック装置」に相当する。
(ウ)そうすると、本件特許発明9と甲1従来例炉発明とは相違しない。
(エ)小括
したがって、本件特許発明9は、甲1従来例炉発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明9は、甲1従来例炉発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)取消理由1-1(新規性)及び取消理由2-1(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~4、9は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるか、または、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 取消理由1-2(新規性)及び取消理由2-2(進歩性)について
(1)甲2に記載された発明
本願の出願前に公知となった甲2には、その【請求項1】、【0002】、【0004】、【0011】、【0012】、【0031】~【0044】及び図12~図16の記載、特に【実施例2】の「シャッタユニット200」、及び当該「シャッタユニット200」を備えた「熱処理装置」に着目すると、次の各発明が記載されていると認められる。
「開口204aを塞ぐシャッタプレート210を移動させて前記開口204aを開閉するシャッタユニット200であって、
前記シャッタプレート210のうち前記開口204aとは反対側の面に固定された、傾斜面226aが形成された傾斜ブロック226と、
該傾斜ブロック226の前記傾斜面226aを摺動し、傾斜面216aを有する楔状部材216と、を備え、
所定の差込方向に前記楔状部材216の前記傾斜面216aが前記傾斜面226aを摺動しながら移動させることにより前記シャッタプレート210を前記開口204aに押し付ける一方、前記差込方向とは反対の抜出方向に前記楔状部材216を移動させることにより前記シャッタプレート210を前記開口204aから離して前記開口204aを開閉するシャッタユニット200において、
前記シャッタユニット200は、熱処理装置の真空室202のワーク出し入れ口である開口204aを開閉するものであり、
前記楔状部材216は、前記差込方向及び前記抜出方向に延びるアーム218と一体的に形成され、前記アーム218の上端部は、サポート208を介してシリンダ12の軸14に固定されており、
前記楔状部材216の平面側は側壁206で規制されている、
シャッタユニット200。」(以下「甲2発明」という。)
「真空室202を備えた熱処理装置であって、前記真空室202のワーク出し入れ口である開口204aを開閉するシャッタユニットとして、甲2発明に係るシャッタユニット200を備えた熱処理装置。」(以下「甲2熱処理装置発明」という。)
(2)本件特許発明1について
ア 対比・判断
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「シャッタプレート210」は、本件特許発明1の「扉」に相当する。
(イ)甲2発明の「シャッタユニット200」は、「熱処理装置の真空室202のワーク出し入れ口である開口204aを開閉するものであ」り、「シャッタプレート210を前記開口204aに押し付ける」ものであるところ、上記「開口204a」が上記「真空室202」の壁部に形成されたものであることは自明であるから、本件特許発明1の「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置」に相当する。
(ウ)甲2発明の「前記シャッタプレート210のうち前記開口204aとは反対側の面に固定された、傾斜面226aが形成された傾斜ブロック226」は、「所定の差込方向に前記楔状部材216の前記傾斜面216aが前記傾斜面226aを摺動しながら移動させることにより前記シャッタプレート210を前記開口204aに押し付ける」ように機能するものであるから、本件特許発明1の「前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材」に相当する。
(エ)甲2発明の「楔状部材216」は、「所定の差込方向に」そ「の前記傾斜面216aが前記傾斜面226aを摺動しながら移動させ」、また、「前記差込方向とは反対の抜出方向に」「移動させ」るものであって、甲2の図12~図15を参照すれば、上記「差込方向」及び上記「抜出方向」は、真空室202の開口204aが形成される壁面の方向に沿った方向、すなわち「壁面方向」であるから、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材」に相当する。
(オ)甲2発明の「傾斜ブロック226」に形成された「傾斜面226a」は、「所定の差込方向に前記楔状部材216の前記傾斜面216aが前記傾斜面226aを摺動しながら移動させることにより前記シャッタプレート210を前記開口204aに押し付ける」ように機能するものであるから、上記(ウ)、(エ)を踏まえると、本件特許発明1の「前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段」に相当する。
(カ)甲2発明の「楔状部材216」と一体的に形成される「前記差込方向及び前記抜出方向に延びるアーム218」及び「前記アーム218の上端部」に「サポート208を介して」固定されている「シリンダ12の軸14」は、上記(ウ)、(エ)を踏まえると、全体として、本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段」に相当する。
(キ)甲2発明の「楔状部材216」「の平面側」を規制する「側壁206」は、上記(エ)、(オ)を踏まえると、本件特許発明1の「前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段」に相当する。
(ク)そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
の点で一致し、相違しない。
イ 小括
したがって、本件特許発明1は、甲2発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件特許発明2について
ア 上記(2)ア(エ)、(キ)の検討を踏まえると、甲2発明の「側壁206」及び「楔状部材216」は、壁面方向に平行に配置されている点で、本件特許発明2の「支持手段」及び「可動部材」と相違しない。
イ ここで、本件特許発明2は、本件特許発明1において、「前記支持手段と前記可動部材は、前記壁面方向に平行に配置されている」点をさらに限定するものであるところ、上記ア及び上記(2)の検討を踏まえると、本件特許発明2と甲2発明とは相違しない。
ウ 小括
したがって、本件特許発明2は、甲2発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明2は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件特許発明3について
ア 甲2の図12~図14を参照すれば、甲2発明の「側壁206」、「楔状部材216」及び「傾斜ブロック226」は、「シャッタプレート210を前記開口204aに押し付ける」方向にこの順で並び配置されているから、本件特許発明3の「前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、」「前記扉のロック状態において」「前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点と相違しない。
イ ここで、本件特許発明3は、本件特許発明1又は本件特許発明2において、「前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される」点をさらに限定するものであるところ、上記ア、上記(2)及び上記(3)の検討を踏まえると、本件特許発明3と甲2発明とは相違しない。
ウ 小括
したがって、本件特許発明3は、甲2発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明3は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件特許発明4について
ア 上記(2)ア(カ)の検討を踏まえると、甲2発明の「前記アーム218の上端部」が「サポート208を介して」固定される「シリンダ12の軸14」は、本件特許発明4の「ロッド」に相当する。
イ そして、甲2発明の上記「シリンダ12の軸14」が保持手段によって保持されていることは自明であるから、本件特許発明2と甲2発明とは、「前記ロッドは、保持手段によって保持されている」点で相違しない。
ウ ここで、本件特許発明4は、本件特許発明1~3において、「前記駆動手段は、前記可動部材に連結するロッドを備え、前記ロッドは、保持手段によって保持されている」点をさらに限定するものであるところ、上記ア、イ、上記(2)、上記(3)及び上記(4)の検討を踏まえると、本件特許発明4と甲2発明とは相違しない。
エ 小括
したがって、本件特許発明4は、甲2発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明4は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件特許発明9について
ア 上記(2)ア(イ)の検討を踏まえると、甲2熱処理装置発明の「真空室202のワーク出し入れ口である開口204aを開閉するシャッタユニット」を備えた「真空室202を備えた熱処理装置」は、本件特許発明9の「壁部と、前記壁部に形成された開口部を開閉する扉と、を有する処理装置」に相当する。
イ そして、上記ア、上記(2)、上記(3)、上記(4)及び上記(5)の検討を踏まえると、甲2熱処理装置発明が備える「甲2発明に係るシャッタユニット200」は、本件特許発明9に係る「処理装置」が備える「請求項1から8のいずれか一項に記載のロック装置」に相当する。
ウ そうすると、本件特許発明9と甲2熱処理装置発明とは相違しない。
エ 小括
したがって、本件特許発明9は、甲2熱処理装置発明である。また、仮にそうでないとしても、本件特許発明9は、甲2熱処理装置発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)取消理由1-2(新規性)及び取消理由2-2(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~4、9は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるか、または、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 申立理由1-1(新規性)及び申立理由2-1(進歩性)について(ただし、取消理由1-1及び取消理由2-1として採用したものを除く。)
(1)本件特許発明5について
ア 本件特許発明5と甲1実施例発明との対比・判断
(ア)上記1(2)ア(ア)の検討を踏まえると、本件特許発明5と甲1実施例発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明5は、「支持手段」が「前記可動部材と前記壁部との間に配置される」のに対して、甲1実施例発明は、「上記ロッド23に対して上記支持アーム12とは反対側の位置に配置され、当該ロッド23の側部を支承する支承ローラ27」(本件特許発明5の「支持手段」に相当)が、先端部に「ローラ26」が取り付けられた上記「ロッド23」(本件特許発明5の「可動部材」に相当)と「開口部6」が形成された「仕切壁4」(本件特許発明5の「壁部」に相当)との間に配置されていない点。
(イ)そこで、上記相違点1について検討する。
a まず、上記相違点1が実質的な相違点であることは、明らかである。
b 次に、上記相違点1の容易想到性について検討する。
(a)甲1実施例発明において、「上記ロッド23に対して上記支持アーム12とは反対側の位置に配置され、当該ロッド23の側部を支承する支承ローラ27」を、ロッド23に対して支持アーム12と同じ側である「仕切壁4」の側に配置すれば、ロッド23の側部を支承する支承ローラとして機能しなくなることは、明らかであるから、そのように変更することには、阻害事由があると言わざるを得ない。
(b)したがって、甲1実施例発明において、上記相違点1に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)よって、本件特許発明5は、甲1実施例発明であるとはいえず、また、甲1実施例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-1及び申立理由2-1によっては、本件特許発明5に係る特許を取り消すことはできない。
(2)本件特許発明6について
ア 本件特許発明6と甲1実施例発明との対比・判断
(ア)上記1(2)ア(ア)の検討を踏まえると、本件特許発明6と甲1実施例発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点2>
本件特許発明6は、「可動部材」が、「傾斜部を有し、前記可動部材の進退によって、前記傾斜部を前記変換手段が移動し、前記可動部材の前記壁面方向の運動の力が前記押圧部材の押圧方向の力に変換される」のに対して、甲1実施例発明は、先端部に「ローラ26」が取り付けられた「ロッド23」(本件特許発明6の「可動部材」に相当)が、傾斜部を有しておらず、「前記可動部材の進退によって、前記傾斜部を前記変換手段が移動し、前記可動部材の前記壁面方向の運動の力が前記押圧部材の押圧方向の力に変換される」ものではない点。
(イ)そこで、上記相違点2について検討する。
a 甲1実施例発明において、先端部に「ローラ26」が取り付けられた「ロッド23」は、「上記ロック用シリンダ24の上記ロッド23を突出作動させると、ロッド先端部の上記ローラ26が上記支持アーム12の上記傾斜面25を移動して上記支持アーム12を上記扉板7の閉方向に押圧付勢し、その押圧力が上記支持アーム12から上記ピン17及び上記補強部材8を介して上記扉板7上に伝わり上記扉板7を上記仕切壁4に密着させるように作用する」ものであるから、上記ロッド23に対して、「回転駆動軸9」、「自由端側背面部には傾斜面25が形成され」た「支持アーム12」及び「ピン17」(本件特許発明6の「変換手段」に相当)が移動するような傾斜部を有するようにする動機付けがあるとはいえない。
b したがって、甲1実施例発明において、上記相違点2に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)よって、本件特許発明6は、甲1実施例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 小括
以上のとおりであるから、申立理由2-1によっては、本件特許発明6に係る特許を取り消すことはできない。
(3)本件特許発明8について
ア 本件特許発明8と甲1従来例発明との対比・判断
(ア)上記1(2)イ(ア)の検討を踏まえると、本件特許発明8と甲1従来例発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点3>
本件特許発明8の「ロック装置」は、「さらにリンクを有し、前記変換手段は、前記可動部材と前記リンクを介して連結される」ものであるのに対して、甲1従来例発明の「中間扉の構造」は、「平行リンクc」(本件特許発明8の「変換手段」に相当)が「スライドフレームd」(本件特許発明8の「可動部材」に相当)に取付けられているものの、その間にさらにリンクを介して連結されてはいない点。
(イ)そこで、上記相違点3について検討する。
a まず、上記相違点3が実質的な相違点であることは、明らかである。
b 次に、上記相違点3の容易想到性について検討する。
(a)甲1従来例発明において、「開口部aを開閉する扉板bをその長手方向に連続した補強部材fと平行リンクcとを介してスライドフレームdに取付け、このスライドフレームdをシリンダeによって保持される細長い部材によって上記扉板bが延在する方向と平行な方向にスライドさせることにより上記扉板bを開閉するスライド式のものを採用し、特に上記扉板bを閉じたときに上記補強部材fと平行リンクcとを介して上記扉板bを上記開口部aに押圧させて気密性を得るように」機能する構造として、上記スライドフレームdに上記平行リンクcが直接取付けられているところ、この間に別のリンクとなる部材を挿入して、上記スライドフレームdと上記平行リンクcとが間接的に連結する構造に変更する動機付けがあるとはいえない。
(b)したがって、甲1従来例発明において、上記相違点3に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)よって、本件特許発明8は、甲1従来例発明であるとはいえず、また、甲1従来例発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-1及び申立理由2-1によっては、本件特許発明8に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立理由1-1及び申立理由2-1についてのまとめ
以上のとおり、申立理由1-1及び申立理由2-1によっては、本件特許発明5、6、8に係る特許を取り消すことはできない。
4 申立理由1-2(新規性)及び申立理由2-2(進歩性)について(ただし、取消理由1-2及び取消理由2-2として採用したものを除く。)
(1)本件特許発明6について
ア 本件特許発明6と甲2発明との対比・判断
(ア)上記2(2)アの検討を踏まえ、さらに、甲2発明の「楔状部材216」の「傾斜面216a」が、本件特許発明6の「可動部材」が有する「傾斜部」に相当することを考慮すると、本件特許発明6と甲2発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置において、
前記可動部材は、傾斜部を有し、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力が前記押圧部材の押圧方向の力に変換される、
ロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点4>
本件特許発明6は、「前記可動部材の進退によって、前記傾斜部を前記変換手段が移動」するのに対して、甲2発明は、「楔状部材216」(本件特許発明6の「可動部材」に相当)の進退によって、その「傾斜面216a」を、「傾斜ブロック226」に形成された「傾斜面226a」(本件特許発明6の「変換手段」に相当)が移動するものではない点。
(イ)そこで、上記相違点4について検討する。
a 甲2発明において、「傾斜ブロック226」に形成された「傾斜面226a」自体が「楔状部材216」の「傾斜面216a」を移動しているわけではないから、上記相違点4は実質的な相違点であるし、甲2の記載事項を参照しても、これを移動させるように変更する動機付けがあるとはいえない。
b したがって、甲2発明において、上記相違点4に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)よって、本件特許発明6は、甲2発明であるとはいえず、また、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-2及び申立理由2-2によっては、本件特許発明6に係る特許を取り消すことはできない。
(2)本件特許発明8について
ア 本件特許発明8と甲2発明との対比・判断
(ア)上記2(2)アの検討を踏まえると、本件特許発明8と甲2発明とは、
「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点5>
本件特許発明8の「ロック装置」は、「さらにリンクを有し、前記変換手段は、前記可動部材と前記リンクを介して連結される」ものであるのに対して、甲2発明の「シャッタユニット200」は、「傾斜ブロック226」に形成された「傾斜面226a」と、「楔状部材216」とを連結するリンクを有していない点。
(イ)そこで、上記相違点5について検討する。
a 甲2の【0033】、【0035】には、図12~図15を参照しつつ、「シャッタプレート210はリンク212、214、楔状部材216、サポート208、軸14等を介してシリンダ12に連結されている。」、「傾斜ブロック226は、リンク212、214と同様に、シャッタプレート210の、矢印A、B方向に直交する矢印C方向(幅方向)の両端部にそれぞれ固定されている。」との記載はあるものの、これらの記載によっても、甲2発明において、「傾斜ブロック226」に形成された「傾斜面226a」と、「楔状部材216」とを連結するリンクを設ける動機付けがあるとはいえない。
b したがって、甲2発明において、上記相違点5に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)よって、本件特許発明8は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1-2及び申立理由2-2によっては、本件特許発明8に係る特許を取り消すことはできない。
(3)申立理由1-2及び申立理由2-2についてのまとめ
以上のとおり、申立理由1-2及び申立理由2-2によっては、本件特許発明6、8に係る特許を取り消すことはできない。
5 申立理由2-3(進歩性)について
(1)甲3に記載された発明
本願の出願前に公知となった甲3には、その【請求項1】、【請求項2】、【0001】、【0007】、【0008】、【0011】~【0013】、【0017】、【0020】、【0021】及び図1、図2の記載を総合勘案すると、次の発明が記載されていると認められる。
「密閉容器(10)の開口部に蓋(12)を着脱自在に被着し、該容器(10)に周設したフランジ(10a)と該蓋(12)に周設したフランジ(12a)とを相互に締付けて、密閉容器(10)に対し蓋(12)を解除自在に固定する蓋固定装置であって、
前記蓋(12)の上面に半径方向に所要間隔で設けられ、該蓋(12)の外方に延出する複数のブラケット(20)と、
これらのブラケット(20)に略水平姿勢を保つよう支持され、前記密閉容器(10)および蓋(12)の各フランジ(10a,12a)に向けて自在に進退するピストンロッド(26)を備える流体圧シリンダ(24)と、
前記ピストンロッド(26)の先端に配設され、前記流体圧シリンダ(24)の付勢により前記両フランジ(10a,12a)の締付け固定を行なうクランパ(28)とから構成し、
前記両フランジまたは何れか一方のフランジ(10a,12a)にテーパ部材(30,30)を設けると共に、前記クランパ(28)の開口部に、前記テーパ部材(30,30)と対応しかつ逆方向に傾斜するテーパ面(28a,28a)を形成し、
基台(38)とブラケット(20)のフォーク(22)側の端部との間に、ガイド棒(32)が水平に配設されており、このガイド棒(32)に前記クランパ(28)の上部が挿通されて、摺動自在に保持されている、
密閉容器の蓋固定装置。」(以下「甲3発明」という。)
(2)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲3発明との対比・判断
(ア)本件特許発明1の「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置」と、甲3発明の「密閉容器(10)の開口部に蓋(12)を着脱自在に被着し、該容器(10)に周設したフランジ(10a)と該蓋(12)に周設したフランジ(12a)とを相互に締付けて、密閉容器(10)に対し蓋(12)を解除自在に固定する蓋固定装置」とは、所定の部材に形成された開口部を別の部材で閉状態とする際に、当該別の部材を閉位置にロックするロック装置である点で共通する。
(イ)本件特許発明1の「前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材」と、甲3発明の「クランパ(28)」とは、前記閉位置において開口部を閉状態とする別の部材を前記開口部側に押圧する押圧部材である点で共通する。
(ウ)本件特許発明1の「前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段」と、甲3発明の「ピストンロッド(26)の先端に配設され」た「クランパ(28)」を備えた「密閉容器(10)および蓋(12)の各フランジ(10a,12a)に向けて自在に進退するピストンロッド(26)を備える流体圧シリンダ(24)」とは、所定の部材に形成された開口部が延在する方向に進退する可動部材を備え、押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段である点で共通する。
(エ)本件特許発明1の「前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段」と、甲3発明の「前記両フランジまたは何れか一方のフランジ(10a,12a)に」設けられた「テーパ部材(30,30)」、及び「前記クランパ(28)の開口部に、前記テーパ部材(30,30)と対応しかつ逆方向に傾斜する」ように形成された「テーパ面(28a,28a)」とは、開口部が延在する方向の可動部材の運動の力を押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段である点で共通する。
(オ)甲3発明の「基台(38)とブラケット(20)のフォーク(22)側の端部との間に、」「水平に配設されており、」「前記クランパ(28)の上部が挿通されて、摺動自在に保持されている」「ガイド棒(32)」は、本件特許発明1の「前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段」に相当する。
(カ)そうすると、本件特許発明1と甲3発明とは、
「所定の部材に形成された開口部を別の部材で閉状態とする際に、当該別の部材を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において開口部を閉状態とする別の部材を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
所定の部材に形成された開口部が延在する方向に進退する可動部材を備え、押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
開口部が延在する方向の可動部材の運動の力を押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点6>
所定の部材に形成された開口部を別の部材で閉状態とする際に、当該別の部材を閉位置にロックするロック装置について、本件特許発明1は、「壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックする」ものであるのに対して、甲3発明は、「密閉容器(10)の開口部に蓋(12)を着脱自在に被着し、該容器(10)に周設したフランジ(10a)と該蓋(12)に周設したフランジ(12a)とを相互に締付けて、密閉容器(10)に対し蓋(12)を解除自在に固定する」ものである点。
<相違点7>
押圧部材が開口部側に押圧する部材について、本件特許発明1は、「扉」であるのに対して、甲3発明は、開口部が形成された所定の部材とは別の部材ではあるものの、扉であるか否かは不明である点。
<相違点8>
可動部材が進退し、開口部が延在する方向について、本件特許発明1は、「前記壁部の壁面方向」であるのに対して、甲3発明は、壁部の壁面方向ではない点。
(キ)事案に鑑み、まず、上記相違点6について検討する。
a 甲3発明の「密閉容器(10)の開口部に蓋(12)を着脱自在に被着し、該容器(10)に周設したフランジ(10a)と該蓋(12)に周設したフランジ(12a)とを相互に締付けて、密閉容器(10)に対し蓋(12)を解除自在に固定する蓋固定装置」は、密閉容器の開口部に蓋を固定するための装置であるから、これを壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックする装置に変更する動機付けがあるとはいえない。
b したがって、甲3発明において、上記相違点6に係る特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
イ 小括
よって、上記相違点7、8及び本件特許発明8によって奏される効果について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明2、4、9について
本件特許発明2、4、9は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えたものであるから、上記(2)イのとおり、本件特許発明1が甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、同様に、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)申立理由2-3についてのまとめ
以上のとおりであるから、申立理由2-3によっては、本件特許発明1、2、4、9に係る特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1~4、9に係る特許は、令和 7年 2月21日付け取消理由通知により通知した取消理由1-1、2-1、1-2及び2-2によって、取り消すべきである。
一方、本件特許の請求項5、6、8に係る特許は、令和 7年 2月21日付け取消理由通知書により通知した取消理由、及び申立人による特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項5、6、8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701098