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特許異議申立

2024-700897

ジャケット、ジャケット構造物およびジャケット構造物の構築方法

審判番号
2024-700897
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-117779
登録番号
7452745
請求日
2024年09月18日
審決日
2025年10月27日
公報発行日
2026年01月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】JFEエンジニアリング株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人MTS国際特許事務所
  • 【権利者代理人】高矢 諭
  • 【権利者代理人】藤田 崇
  • 【異議申立人】中川 賢治
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1651.113-YAA(E01D) / P1651.121-YAA(E01D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
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特許第7452745号発明「ジャケット、ジャケット構造物およびジャケット構造物の構築方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7452745号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕について訂正することを認める。 特許第7452745号の請求項4、5、7、9ないし16に係る特許を維持する。 特許第7452745号の請求項1ないし3、6、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7452745号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、令和2年3月23日に出願された特願2020-51140号の一部を、令和5年7月19日に新たな特許出願とし、令和6年3月11日にその特許権の設定登録がされ、同月19日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、同年9月18日に、特許異議申立人 中川 賢治(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1ないし16に係る特許について、特許異議の申立てがされた。 その後の経緯は、以下のとおりである。 令和6年11月22日付け: 取消理由通知書 令和7年 1月23日受付: 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年 3月11日受付: 申立人による意見書の提出 同年 4月 7日付け: 取消理由通知書(決定の予告) 同年 6月 3日受付: 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年 7月16日: 申立人による意見書の提出 なお、令和7年1月23日に受付された訂正の請求は、同年6月3日受付で新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 訂正の適否 1 訂正請求の趣旨と訂正の内容 令和7年6月3日受付の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7452745号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~16について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「前記上部鋼板は、前記補強部により、前記杭打ち工程で使用される前記杭打ち機および前記コンクリート打設工程で使用される前記車両のそれぞれを当該上部鋼板の上で使用することが可能なように補強されていることを特徴とする請求項2に記載のジャケット。」 と記載されているのを、 「複数の杭の上方に設置されるジャケットであって、 前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の鋼管レグと、 前記複数の鋼管レグの上端部同士を接続する複数の上部桁と、 前記複数の鋼管レグの上端部の開口を塞ぐ蓋部材と、 前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記鋼管レグの内空部は上方から覆わないように構成されているとともに、前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている上部鋼板と、を備え、 前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部が、フランジ部が上方となるように設けられており、 前記補強部の前記ウェブの下端面であって前記上部桁の上方に位置する部位にはプレートが取り付けられており、 前記ウェブの真下の位置であって、前記上部桁の上フランジの幅方向中央部分にはスタッド部が溶接により取り付けられていて、前記スタッド部は、ネジスタッドと、該ネジスタッドの上端部に取り付けられた高さ位置を調整可能なナット部とで構成されていて、前記ナット部の上端が前記プレートの下面に当接するように調整されており、 前記上部鋼板は、前記補強部により、前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して前記複数の杭のうちの一部の杭の杭打ちをする杭打ち工程で使用される杭打ち機および前記杭打ち工程後のコンクリート打設工程で使用される車両のそれぞれを当該上部鋼板の上で使用することが可能なように補強されていることを特徴とするジャケット。」 に訂正する(請求項4の記載を引用する訂正後の請求項5、7、9~16も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記補強部は前記上部鋼板に一体成形されていることを特徴とする請求項2または4に記載のジャケット。」とあるのを、「前記補強部は前記上部鋼板に一体成形されていることを特徴とする請求項4に記載のジャケット。」に訂正する(請求項5の記載を引用する訂正後の請求項7、9~16も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7の「前記断面T形の鋼材の前記フランジ部の上面には、該フランジ部の幅方向に直線状の突起が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のジャケット。」という記載を、「前記断面T形の鋼材の前記フランジ部の上面には、該フランジ部の幅方向に直線状の突起が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のジャケット。」に訂正する(請求項7の記載を引用する訂正後の請求項9~16も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「前記上部桁の上面に、スタッドジベルが設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のジャケット。」とあるのを、「前記上部桁の上面に、スタッドジベルが設けられていることを特徴とする請求項4、5、7のいずれかに記載のジャケット。」に訂正する(請求項9の記載を引用する訂正後の請求項10~16も同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10に「前記上部桁同士の間の間隔は、4m以上12m以下であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のジャケット。」とあるのを、「前記上部桁同士の間の間隔は、4m以上12m以下であることを特徴とする請求項4、5、7、9のいずれかに記載のジャケット。」に訂正する(請求項10の記載を引用する訂正後の請求項11~16も同様に訂正する)。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に「前記上部桁の部位のうち上面以外の部位の外面および前記上部鋼板の下面に、重防食塗装が施されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のジャケット。」とあるのを、「前記上部桁の部位のうち上面以外の部位の外面および前記上部鋼板の下面に、重防食塗装が施されていることを特徴とする請求項4、5、7、9、10のいずれかに記載のジャケット。」に訂正する(請求項11の記載を引用する訂正後の請求項12~16も同様に訂正する)。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12に「前記上部桁の上面および前記上部鋼板の上面に、有機ジンクリッチプライマーが塗布されていることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のジャケット。」とあるのを、「前記上部桁の上面および前記上部鋼板の上面に、有機ジンクリッチプライマーが塗布されていることを特徴とする請求項4、5、7、9~11のいずれかに記載のジャケット。」に訂正する(請求項12の記載を引用する訂正後の請求項13~16も同様に訂正する)。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に 「請求項1~12のいずれかに記載のジャケットと、 水域の地盤に打設されていて、前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの各々の内空部にそれぞれが挿入可能な複数の杭と、 を備え、 前記複数の鋼管レグの各々の内空部に前記複数の杭のうちの対応するものがそれぞれ挿入されて連結されていることを特徴とするジャケット構造物。」 とあるのを、 「請求項4、5、7、9~12のいずれかに記載のジャケットと、 水域の地盤に打設されていて、前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの各々の内空部にそれぞれが挿入可能な複数の杭と、 を備え、 前記複数の鋼管レグの各々の内空部に前記複数の杭のうちの対応するものがそれぞれ挿入されて連結されていることを特徴とするジャケット構造物。」 に訂正する(請求項13の記載を引用する訂正後の請求項14~16も同様に訂正する)。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に 「前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの内径は、前記複数の杭のうちの対応するものの外径よりも大きく、 前記ジャケットの前記複数の鋼管レグは、前記複数の杭のうちの対応するものの上端部に被さるように配置されており、前記鋼管レグの内周面と前記杭の外周面との間にはグラウトが充填されて一体化されていることを特徴とする請求項13に記載のジャケット構造物。」 とあるのを、 「前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの内径は、前記複数の杭のうちの対応するものの外径よりも大きく、 前記ジャケットの前記複数の鋼管レグは、前記複数の杭のうちの対応するものの上端部に被さるように配置されており、前記鋼管レグの内周面と前記杭の外周面との間は、前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して充填されたグラウトにより一体化されていることを特徴とする請求項13に記載のジャケット構造物。」 に訂正する(請求項14の記載を引用する訂正後の請求項15、16も同様に訂正する)。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について (1)訂正事項1~3、6及び8 ア 訂正の目的について 訂正事項1~3、6及び8は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、6及び8を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アで説示したとおり、訂正事項1~3、6及び8は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、6及び8を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 上記アで説示したとおり、訂正事項1~3、6及び8は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、6及び8を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。 したがって、訂正事項1~3、6及び8に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、 (ア)訂正前の請求項4が請求項2を引用していたところ、引用する請求項2の内容を書き下して請求項2を引用しないものとするとともに、 (イ)訂正前の請求項2と請求項4とで重複する記載を整理し、 (ウ)「前記複数の鋼管レグの上端部を塞ぐ蓋部材」を有することを限定し、 (エ)訂正前の請求項2の記載により特定される「前記複数の上部桁に溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記鋼管レグの内空部は上方から覆わないように構成した上部鋼板」について、「上部桁」への「溶接又は機械的な接合」は「端部」が行われること、及び、「前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている」ことを特定し、 (オ)「前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部が、フランジ部が上方となるように設けられており、前記補強部の前記ウェブの下端面であって前記上部桁の上方に位置する部位にはプレートが取り付けられており、前記ウェブの真下の位置であって、前記上部桁の上フランジの幅方向中央部分にはスタッド部が溶接により取り付けられていて、前記スタッド部は、ネジスタッドと、該ネジスタッドの上端部に取り付けられた高さ位置を調整可能なナット部とで構成されていて、前記ナット部の上端が前記プレートの下面に当接するように調整されて」いることを特定し、 (カ)訂正前の請求項2の記載により特定される「前記複数の鋼管レグに前記複数の杭のうちの一部の杭の杭打ちをする杭打ち工程で使用される杭打ち機」について、「杭打ち工程」が「複数の鋼管レグ」の「上端部の開口を通して」行われることを特定する、 というものである。 訂正事項4のうち、上記(ア)の点は、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものと認められる。 訂正事項4のうち、上記(イ)の点は、上記(ア)の訂正に伴って生じる重複した記載を整理するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。 訂正事項4のうち、上記(ウ)~(カ)の点は、訂正前の請求項4にさらに特定を加えるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アで説示したとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項4について、他の請求項の記載を引用しないものとしたうえで重複した記載を整理し、そのうえでさらに特定を加えたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項4のうち、上記ア(ア)及び(イ)の点は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項2及び請求項4の記載から導出されるものである。 訂正事項4のうち、上記ア(ウ)~(カ)の点は、願書に添付した明細書の段落【0020】、【0044】、【0048】~【0065】、【0073】~【0076】の記載、及び図面の【図4】~【図7】の図示から、導出されるものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)訂正事項5、7、9~13について ア 訂正の目的について 訂正事項5、7、9~13は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5、7、9~13において、引用する請求項の選択肢を一部削除する(請求項7については、訂正前の請求項7が引用する請求項6がさらに引用する請求項2、4または5を考慮して、選択肢を一部削除する)ものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アで説示したとおり、訂正事項5、7、9~13は、請求項5、7、9~13において、引用する請求項の選択肢を一部削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 上記アで説示したとおり、訂正事項5、7、9~13は、請求項5、7、9~13において、引用する請求項の選択肢を一部削除するものであるから、願書に添付した特許請求の範囲の記載から導出されるものである。 したがって、訂正事項5、7、9~13に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (5)訂正事項14について ア 訂正の目的について 訂正事項14は、訂正前の請求項14において、「前記鋼管レグの内周面と前記杭の外周面」との「間」に「グラウト」が「充填」されて「一体化」されているという構成について、「グラウト」が「前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して」充填されることを特定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アで説示したとおり、訂正事項14は、訂正前の請求項14について、さらに特定を加えたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項14により特定される内容は、願書に添付した明細書の段落【0052】の記載から、導出されるものである。 したがって、訂正事項14に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項1~3、6及び8は、訂正後の請求項1~3、6及び8を削除する訂正であるので、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1~3、6及び8に係る発明について、独立特許要件が課されるものではない。 また、本件においては、訂正前の全ての請求項1~16について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項4、5、7、9~14により、請求項4、5、7、9~16について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項4、5、7、9~16に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正の単位について 本件訂正前の請求項1、3及び9~16に関し、請求項3及び9~16は請求項1を引用しており、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるから、請求項1、3及び9~16は「一群の請求項」である。 本件訂正前の請求項2及び4~16に関し、請求項4~16は請求項2を引用しており、訂正事項2により記載が訂正される請求項2に連動して訂正がされるから、請求項2及び4~16は「一群の請求項」である。 上記2つの「一群の請求項」は、請求項9~16を共通して有しているから、組み合わされて、一つの「一群の請求項1~16」となる。 したがって、訂正事項1~14により、特許請求の範囲の請求項1~16について訂正を行うことを求める、本件訂正請求は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項1~16について、一群の請求項ごとに訂正を請求するものである。 (6)申立人の意見における主張について 申立人は、令和7年7月16日提出の意見書において、本件訂正の適否に関して特段の主張をしていない。 3 訂正の適否の結論 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、3号及び4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-16〕について、本件訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし16に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし16に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1ないし16に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 なお、当審において適宜に改行を整え、分説を付した。 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (4A)複数の杭の上方に設置されるジャケットであって、 (4B)前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の鋼管レグと、 (4C)前記複数の鋼管レグの上端部同士を接続する複数の上部桁と、 (4D)前記複数の鋼管レグの上端部の開口を塞ぐ蓋部材と、 (4E)前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記鋼管レグの内空部は上方から覆わないように構成されているとともに、前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている上部鋼板と、を備え、 (4F)前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部が、フランジ部が上方となるように設けられており、 (4G)前記補強部の前記ウェブの下端面であって前記上部桁の上方に位置する部位にはプレートが取り付けられており、 (4H)前記ウェブの真下の位置であって、前記上部桁の上フランジの幅方向中央部分にはスタッド部が溶接により取り付けられていて、前記スタッド部は、ネジスタッドと、該ネジスタッドの上端部に取り付けられた高さ位置を調整可能なナット部とで構成されていて、前記ナット部の上端が前記プレートの下面に当接するように調整されており、 (4I)前記上部鋼板は、前記補強部により、前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して前記複数の杭のうちの一部の杭の杭打ちをする杭打ち工程で使用される杭打ち機および前記杭打ち工程後のコンクリート打設工程で使用される車両のそれぞれを当該上部鋼板の上で使用することが可能なように補強されていることを特徴とする (4J)ジャケット。 【請求項5】 (5A)前記補強部は前記上部鋼板に一体成形されていることを特徴とする (5B)請求項4に記載のジャケット。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 (7A)前記断面T形の鋼材の前記フランジ部の上面には、該フランジ部の幅方向に直線状の突起が設けられていることを特徴とする (7B)請求項4または5に記載のジャケット。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 (9A)前記上部桁の上面に、スタッドジベルが設けられていることを特徴とする (9B)請求項4、5、7のいずれかに記載のジャケット。 【請求項10】 (10A)前記上部桁同士の間の間隔は、4m以上12m以下であることを特徴とする (10B)請求項4、5、7、9のいずれかに記載のジャケット。 【請求項11】 (11A)前記上部桁の部位のうち上面以外の部位の外面および前記上部鋼板の下面に、重防食塗装が施されていることを特徴とする (11B)請求項4、5、7、9、10のいずれかに記載のジャケット。 【請求項12】 (12A)前記上部桁の上面および前記上部鋼板の上面に、有機ジンクリッチプライマーが塗布されていることを特徴とする (12B)請求項4、5、7、9~11のいずれかに記載のジャケット。 【請求項13】 (13A)請求項4、5、7、9~12のいずれかに記載のジャケットと、 (13B)水域の地盤に打設されていて、前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの各々の内空部にそれぞれが挿入可能な複数の杭と、を備え、 (13C)前記複数の鋼管レグの各々の内空部に前記複数の杭のうちの対応するものがそれぞれ挿入されて連結されていることを特徴とする (13D)ジャケット構造物。 【請求項14】 (14A)前記ジャケットの前記複数の鋼管レグの内径は、前記複数の杭のうちの対応するものの外径よりも大きく、 (14B)前記ジャケットの前記複数の鋼管レグは、前記複数の杭のうちの対応するものの上端部に被さるように配置されており、前記鋼管レグの内周面と前記杭の外周面との間は、前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して充填されたグラウトにより一体化されていることを特徴とする (14C)請求項13に記載のジャケット構造物。 【請求項15】 (15A)前記杭は鋼管杭であることを特徴とする (15B)請求項13または14に記載のジャケット構造物。 【請求項16】 (16A)前記ジャケットの前記上部桁の上方および前記上部鋼板の上方にコンクリートが打設されてなる合成床版が形成されていることを特徴とする (16B)請求項13~15のいずれかに記載のジャケット構造物。 第4 証拠方法、特許異議申立理由の要旨、及び先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の要旨 1 証拠方法 申立人が提出した証拠等は、以下のとおりである。 (以下、申立人の提出した甲第1号証を、甲1という。甲第2号証以下についても同様。) (1)申立書に添付して提出 ・甲1: 特開2005-325578号公報 ・甲2: 特開2002-364004号公報 ・甲3: ”I形鋼格子床版設計・施工の手引き(改訂版)”、一般社団法人日本橋梁建設協会、表紙、目次、第1-3、34-45、50頁、奥付、2014年12月 第2版発行 ・甲4: 櫻井信彰ほか1名、”I形鋼合成床版の開発と宮山高架橋への適用”、新日鉄エンジニアリング技報、Vol.2(2011)、第57-64頁、インターネットURL:https://jasbc.or.jp/gihoudb/2011-2013/sinnittetsu/2011-01.pdf ・甲5: 特開2004-124373号公報 ・甲6: ”鋼・コンクリート合成床版橋 リバーブリッジ”、JFEエンジニアリング株式会社、2018年6月 ・甲7: 特開2004-183324号公報 ・甲8: 特開2005-139613号公報 ・甲9: 特許第6335005号公報 (平成30年5月30日発行) ・甲10:高濱光夫ほか5名、”縦置きI形鋼格子床版の設計概要と施工時荷重の検討”、第六回道路橋床版シンポジウム論文報告集、第175-180頁、平成20年6月4日発行 (2)令和7年3月11日受付の意見書に添付して提出 ・参考文献1: 特開昭57-12706号公報 ・参考文献2: ”平成25年度 東京港中央防波堤外側地区岸壁(-16m)施工法検討業務 報告書”、表紙、目次、5-8-15から5-9-7頁、6-1から6-16頁、9-1から9-20頁、一般財団法人港湾空港総合技術センター、平成26年3月 (3)令和7年7月16日提出の意見書に添付して提出 ・参考文献3: ”鋼・コンクリート合成床版の計画資料(設計例と解説)平成24年8月、表紙、目次、56頁、64頁、68頁、70頁、76頁、78頁、一般社団法人日本橋梁建設協会、第2回改訂版2012年8月発行 ・参考文献4: 実願平3-69537号(実開平5-22611号)のCD-ROM ・参考文献5: ”I形鋼格子床版設計・施工の手引き(改訂版)平成26年12月、表紙、裏表紙、目次、1~50頁、一般社団法人日本橋梁建設協会、第2版2014年12月発行 2 特許異議申立理由の要旨 申立人が申立書において主張する申立理由の要旨は、次のとおりである。 (1)甲1を主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「申立理由1」という。) 本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、その出願よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、及び甲2~甲10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲2を主たる証拠とした新規性欠如及び/又は進歩性欠如(以下、「申立理由2」という。) 本件特許の請求項1に係る発明は、その出願よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明である。 また、本件特許の請求項2ないし16に係る発明は、その出願よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明、及び甲1、甲3~甲10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、本件発明4、5、7、9~16に対応する、請求項4及び請求項4に従属する請求項5、7、9~16についての申立理由2は、甲2を主たる証拠とした進歩性欠如である。 3 先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の要旨 (1)甲1を主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「取消理由1」という。) 令和7年1月23日に受付された訂正の請求(当審注:同年6月3日受付で新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなされる。)により訂正された、本件特許の請求項3~16に係る発明は、その出願よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、甲2に記載された発明、甲6に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲2を主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「取消理由2」という。) 令和7年1月23日に受付された訂正の請求(当審注:同年6月3日受付で新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなされる。)により訂正された、本件特許の請求項3及び請求項10~15に係る発明は、その出願よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、本件発明4、5、7、9~16に対応する、請求項4及び請求項4に従属する請求項5、7、9~16については、取消理由2の対象としていない。 第5 当審の判断 1 証拠について (1) 甲1 ア 記載及び図示 甲1には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。 (ア)「【背景技術】 【0002】 合成床版は、一般に上面にジベル筋やジベル孔付き補強リブを溶接した底鋼板の上面にコンクリートを打設して構築され、橋や人工地盤などの床構造として用いられる。本発明に係る合成床版は、簡潔な構造で強度が向上されていて、特に人工地盤などの大規模な合成床版を構築する場合に好適するものである。 【0003】 さらに説明すると、近年海上空間の有効利用のニーズに対して、各種の大規模人工地盤の構想が提案されている。この大規模人工地盤は、一般に桟橋あるいはジャケット方式と浮体方式に大別されるが、本発明は例えば、図10に示すような桟橋方式の人工地盤などに適用される(特許文献1)。図10を説明すると、人工地盤1の平坦ブロック2は、地盤3に打設した多数の鋼管製の基礎杭4と、杭頭部5に設けられたH形鋼製のたて材10とよこ材11からなる鋼製梁6、及び床版7から構成される。 【0004】 人工地盤1の平坦ブロック2の構築は、基礎杭4の打設後、杭頭部5が所定の高さになるように切断した後、杭頭部5に間隙を有してソケット鋼管8を嵌合し、杭頭部5の外周のソケット鋼管8との重なり部に鉄筋を溶接するなどしてずれ止めを設置し、前記間隙にコンクリートを充填する。また、杭頭部5に設けたソケット鋼管8には連結用ダイアフラム12が取付けてあり、この連結用ダイアフラム12に鋼製梁6におけるたて材10とよこ材11の端部が連結されている。ソケット鋼管8と連結用ダイアフラム12は工場で製作し、基礎杭4を地盤3に打設の後取付けられ、その後、杭頭部5に鋼製梁6が構築される。 【0005】 鋼製梁6の上に設置される床版7は、場所打ちコンクリート、プレキャストコンクリートや合成床版、鋼床版等により構成され、床版7の上に表層コンクリート、アスファルトや土砂等の表面仕上材13を設置し人工地盤を完成させる。」 (イ)「【0009】 本発明は、桟橋、あるいはジャケット方式の人工地盤等における大規模な合成床版において、構造を複雑化することなく、かつ加工が容易な構造で、しかもせん断強度を1方向に限定せずに増大できる合成床版を構築できないか種々研究した結果、創案されたものである。すなわち、構造が簡易で、かつ加工が容易であり、しかも方向によらずに強度を向上できる合成床版を提供することを目的とする。」 (ウ)「【0018】 <第一実施形態> 図1、図2において、地盤3に多数の鋼管製の基礎杭4が打設されており、鋼部材からなるジャケット構造物40が支持されており、ジャケット構造物40の上部には鋼製梁24が設けられている。鋼製梁24は、図1に示すように鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26を格子状に組み、杭頭部5において4方部から伸びて交差するたて材25とよこ材26が連結部材27を介して連結して構成されている。 【0019】 鋼製梁24の上面に、本発明に係る合成床版28が配置固定される。図3、図4によって説明すると、この合成床版28は、平面矩形の底鋼板29上面に多数のジベル筋31が溶接されており、さらに、床版コンクリート32が所定の厚みに打設され、ジベル筋31を介して底鋼板29と床版コンクリート32が一体化されている。ジベル筋31は、図5(a)、(b)に示すように、棒状の材料を鋼板上に溶接してズレ止めとしたものである。ジベル筋31に代えてジベル孔51を有する補強鋼材52を底鋼板29の上面に溶接してもよい。ジベル孔51を有する補強鋼材52は、図5(c)、(d)、(e)に示すように,帯状の平鋼47、あるいはI形鋼48,H形鋼49などの形鋼を底鋼板に取り付け、これに開口部ジベル孔51を設けたものである。 【0020】 本発明に係る合成床版28にあっては、図3、4に示すように矩形の底鋼板29の4辺に沿って外周側が下り傾斜した傾斜部30a、30b、30c、30dが構成されている。この4辺の傾斜部30a、30b、30c、30dは、図4(a)、(b)に示すように1枚の矩形の平鋼板を冷間プレスすることにより形成することができる。このように矩形の底鋼板29の4辺に沿って外周側が下り傾斜した傾斜部30a、30b、30c、30dがあるため、合成床版28にたて方向とよこ方向(つまり2方向)の何れの方向にせん断力が作用しても、そのせん断力に対して各辺の傾斜部30a、30b、30c、30dを含む合成床版28が抵抗し、この合成床版28はあらゆる方向のせん断力に対して強度が向上する。」 (エ)「【0023】 図8、図9によって、本発明に係る合成床版を構築する工程を説明する。図8(a)のように、ジャケット構造物40の頭部に構築した鋼製梁24における、鋼製箱形断面のたて材25やよこ材26の上面に、底鋼板29の傾斜部30a~30dの先端の平行フランジ部35を載置し、溶接またはボルト接合36等でたて材25やよこ材26の上面に固定する(図3参照)。次に、図9のように、底鋼板29の上面に床版コンクリート32を所定の高さまで打設し、鋼板とコンクリートを接合一体化する。床版コンクリート32は、図8(b)のように現場での打設で構築する場合と、図8(c)のように工場にてプレキャスト合成床版50として製作する場合がある。工場にてプレキャスト合成床版50として製作する場合は、図8(c)に示すようにたて材25とよこ材26の上面のコンクリート37は現場打設する。この場合、現場で施工するコンクリート37は、工場打設の床版コンクリート32の高さに合わせて打設する。その後、床版コンクリート32の上面にコンクリート舗装等の表面仕上材13が施工されて工事が完了する。」 (オ)「【0025】 〔実施形態の作用〕 本発明の第1の実施形態によると、人工地盤等の合成床版にける矩形の底鋼板の4辺各辺に冷間プレス成形により傾斜部が一体形成されていて、この底鋼板にコンクリートを打設して合成床版を構成しているので、該底鋼板は1方向のせん断強度向上だけでなく、方向によらずにせん断強度が増大し、合成床版全体の強度が簡潔な構成で著しく向上する。また、鋼製梁の上面に底鋼板が固定され、コンクリート打設時の型枠を兼ねるため、コンクリート打設のための型枠、支保工等が不要となるので工期を短縮でき、かつ作業安全性が向上する。」 (カ)「【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】(a)は、合成床版を省略した人工地盤の鋼製架構の平面図、(b)は図(a)のA-A矢視図である。 ・・・・ 【図3】図1(a)における人工地盤の鋼製梁に合成床版を設置した態様を示す拡大平面図である。 ・・・・ 【図5】ズレ止めの例を示し、(a)、(b)は、ジベル筋の例、(c)、(d)、(e)は、ジベル孔つき補強鋼材の例である。 ・・・・ 【図8】(a)、(b)は、人工地盤におけるジャケット構造物頭部に構築した鋼製梁に本発明に係る合成床版を構築する工程を示し、(c)はプレキャスト合成床版の場合の工程を示す断面説明図である。 ・・・・ 【図10】第1従来例として示す人工地盤の破断斜視図である。 ・・・・」 (キ)【図1】 「 [図:0001431120000001.jpg] 」 (ク)【図3】 「 [図:0001431120000002.jpg] 」 (ケ)【図5】 「 [図:0001431120000003.jpg] 」 (コ)【図8】 「 [図:0001431120000004.jpg] 」 (サ)【図10】 「 [図:0001431120000005.jpg] 」 イ 図より看取される事項 (ア)上記【図1】より、連結部材27は、各々の基礎杭4の上方、かつ鋼製梁24をなすたて材25とよこ材26とが交差する位置に配置され、上下方向に延在する部材であることが、看取される。 (イ)上記【図3】より、底鋼板29は、たて材25及びよこ材26の幅方向端部において上面に固定され、たて材25及びよこ材26がなす格子の開口部を覆い、たて材25及びよこ材26の幅方向中央部は、たて材25とよこ材26の交差部においても覆わないことが、看取される。 (ウ)上記【図8】(a)及び(b)より、床版コンクリート32が現場での打設で構築される場合、底鋼板29の上面と同様に、たて材25とよこ材26の上面にもコンクリートが打設されることが、看取される。 (エ)上記【図10】より、人工地盤1が基礎杭4上に支持されることが、看取される。 ウ 記載された発明 上記ア及びイより、甲1には、多数の鋼管製の基礎杭4に支持されるジャケット構造物40に着目して、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、各構成に分説を付し、関連する段落番号または図面を括弧書きで付した。 <甲1発明> 「(甲1A)海上空間を有効利用するジャケット方式の人工地盤のための、地盤に打設される多数の鋼管製の基礎杭4に支持される、鋼部材からなるジャケット構造物40であって、(【0003】、【0009】、【0018】) (甲1B)ジャケット構造物40の上部には鋼製梁24が設けられ、鋼製梁24は、鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26を格子状に組み、杭頭部5において4方部から伸びて交差するたて材25とよこ材26が連結部材27を介して連結して構成されており、(【0018】) (甲1C)鋼製梁24の上面に配置固定される合成床版28は、平面矩形の底鋼板29上面に多数のジベル筋31が溶接され、さらに、床版コンクリート32が所定の厚みに打設され、ジベル筋31を介して底鋼板29と床版コンクリート32が一体化されるものであり、ジベル筋31に代えて補強鋼材52を底鋼板29の上面に溶接してもよく、補強鋼材52は、帯状の平鋼47、あるいはI形鋼48,H形鋼49などの形鋼を底鋼板に取り付けてよく、(【0019】) (甲1D)矩形の底鋼板29は、4辺に沿って外周側が下り傾斜した傾斜部30a、30b、30c、30dが構成され、ジャケット構造物40の頭部に構築した鋼製梁24における、鋼製箱形断面のたて材25やよこ材26の上面に、底鋼板29の傾斜部30a~30dの先端の平行フランジ部35を載置し、溶接またはボルト接合36等でたて材25やよこ材26の上面に固定するものであり、(【0020】、【0023】) (甲1E)底鋼板29の上面への床版コンクリート32の打設は、現場での打設で構築してよく、(【0023】) (甲1F)鋼製梁の上面に底鋼板が固定され、コンクリート打設時の型枠を兼ねるため、コンクリート打設のための型枠、支保工等が不要となるので工期を短縮でき、かつ作業安全性が向上し、(【0025】) (甲1G)連結部材27は、各々の基礎杭4の上方、かつ鋼製梁24をなすたて材25とよこ材26とが交差する位置に配置され、上下方向に延在する部材であり、(【図1】) (甲1H)底鋼板29は、たて材25及びよこ材26の幅方向端部において上面に固定され、たて材25及びよこ材26がなす格子の開口部を覆い、たて材25及びよこ材26の幅方向中央部は、たて材25とよこ材26の交差部においても覆わず、(【図3】) (甲1I)床版コンクリート32が現場での打設で構築される場合、底鋼板29の上面と同様に、たて材25とよこ材26の上面にもコンクリートが打設される、(【図8】(a)及び(b)) (甲1J)ジャケット構造物40。(【0018】)」 また甲1には、ジャケット方式の人工地盤に着目して、次の発明(以下「甲1人工地盤発明」という。)が記載されている。 <甲1人工地盤発明> 「甲1発明に係るジャケット構造物40を、 (甲1K)地盤に打設される多数の鋼管製の基礎杭4で支持した、(【0018】) (甲1L)海上空間を有効利用するジャケット方式の人工地盤。(【0003】、【0009】)」 また甲1には、人工地盤における基礎杭4による支持に着目して、次の事項(以下「甲1技術的事項」という。)が記載されている。 <甲1技術的事項> 「基礎杭4の杭頭部5に間隙を有してソケット鋼管8を嵌合し、杭頭部5の外周のソケット鋼管8との重なり部をずれ止めし、間隙を充填して、人工地盤1が基礎杭4上に支持されること。(【0004】、【図10】)」 (2)甲2 ア 記載及び図示 甲2には、次の記載及び図示がある。 (ア)「【0005】従来のジャケット式基礎によって建設された橋脚において、図11に示すように、海底の支持地盤001に対して、多数のガイドパイプ002が連結部材003によって連結されて構成されたジャケット構造体004を設置し、図示しない杭打ち機によって各ガイドパイプ002を用いて複数本の杭005が支持地盤001に打ち込まれている。そして、このジャケット構造体004上に鉄筋コンクリートによってフーチング006が構築されている。このフーチング006内には予めアンカーボルト007とアンカーフレーム008が埋め込まれており、このフーチング006の 上に橋脚009が立設して接合されている。 ・・・・ 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このようなジャケット式基礎にあっては、その上部に建設された橋脚から入力する荷重をフーチング006から多数の杭005に均等に分散させて受け止める必要がある。そのため、上述した従来のジャケット式基礎では、ジャケット構造体004の上にコンクリート製のフーチング006を構築することで、このフーチング006の剛性を上げて各杭005の反力を均等化させている。ところが、フーチング006の剛性を上げることは大重量化につながり、支持地盤001に打ち込む杭005を増やす必要があり、ジャケット構造体004が大型化、高コスト化してしまう。そして、フーチング006が大型化すると、地震発生時など橋脚などの構造物が振動した場合、フーチング006に働く慣性力が大きくなり、杭005に多大な力が作用して構造物が不安定なものとなってしまう。 【0008】本発明はこのような問題を解決するものであって、水中基礎の小型軽量化及び低コスト化を図ると共に建設物からの荷重を効率良く受け止めることで水中基礎の安定性の向上を図った水中基礎の設置方法を提供することを目的とする。」 (イ)「【0021】本実施形態の水中基礎の設置方法において、図1に示すように、ジャケット構造体11は、上部の軟弱地盤と下部の支持地盤とから構成される水底地盤G(図5参照)上に設置して構造物としての橋桁31の橋脚32を建設するためのものである。即ち、このジャケット構造体11は、連結部材12によって連結された複数の杭ガイド部材(レグ)13,14と、この各杭ガイド部材13,14の上端集合部に装着された中空形状をなすフーチング15とから構成されている。 【0022】このジャケット構造体11について詳細に説明すると、図1乃至図3に示すように、フーチング15は上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状に形成されており、中央部寄りに直杭用の4つの杭ガイド部材13の上端部が貫入し、外側に斜杭用の4つの杭ガイド部材14の上端部が貫入している。この杭ガイド部材13,14は所定長さの円筒形状をなし、杭ガイド部材13に対して杭ガイド部材14は下部が外方に広がっており、各杭ガイド部材13,14同志が複数の連結部材12によって一体に連結されている。このガイド部材13,14は、ジャケット構造体11が水底地盤G上に設置されたときに、ガイドとして直杭19及び斜杭20をこの水底地盤Gに打ち込むためのものである。 【0023】各杭ガイド部材13,14の上端部はフーチング15の上鋼板16及び下鋼板17に貫入して上方に開口しているが、このフーチング15の内部には複数の縦梁部材21が格子状に配設され、杭ガイド部材13,14がフーチング15の内面に連結支持されている。また、フーチング15内には橋脚32の下部が貫入し、複数の縦梁部材22,23に連結支持されており、これによってフーチング15から上方に向けて橋脚32が立設されることとなる。なお、図3にて、33は橋脚32の内側に上下方向に沿って固定された縦リブ、34は橋脚32の内側角部に上下方向に沿って固定された角補強部材である。 【0024】また、このジャケット構造体11が水底地盤Gに設置されたとき、フーチング15が飛沫帯に位置するように構成され、このフーチング15の外周部に防食処理が施されており、この防食処理としては、例えば、表面にチタン合金などの高耐食性金属を固定したり、被覆コンクリートを介して犠牲鋼板を固定するようにしている。」 (ウ)「【0026】ここで、上述したジャケット構造体11を用いた橋桁31及び橋脚32の建設工法について、図4乃至図8を用いて説明する。 【0027】図4(a)に示すように、ジャケット構造体11は所定の工場のドック41にて製作されており、製作が完了するとドック41内に海水を入れてこのジャケット構造体11を浮上させる。この場合、図4(b)に示すように、ジャケット構造体11は中空形状をなすフーチング15により浮力を得ると共に、各杭ガイド部材13,14内に上端部から圧力空気を供給(圧気)することで浮力を得て、ジャケット構造体11を海上42に浮かべて全体のバランスをとっている。そして、前後一対の曵船43によって海上42に浮かんだジャケット構造体11を牽引し、設置場所まで運搬する。 【0028】そして、ジャケット構造体11が設置場所まで曳航されると、図5(a)に示すように、杭ガイド部材13,14内へ注水を行うことで、ジャケット構造体11のバランスをとりながら沈めていき、水底地盤Gに位置決め載置する。このようにジャケット構造体11が水底地盤Gの所定の位置に位置決めされると、まず、このジャケット構造体11の上部に搭載した杭打ちハンマ44を用いてジャケット構造体11の杭ガイド部材13内に直杭19を挿入し、この杭打ちハンマ44により直杭19を水底地盤Gへ打ち込んでいく。次に、図5(b)に示すように、杭打ちハンマ44を用いてジャケット構造体11の杭ガイド部材14内に斜杭20を挿入し、この杭打ちハンマ44により斜杭20を水底地盤G(支持地盤)へ打ち込んでいく。 【0029】この杭打ち作業により各杭ガイド部材13,14を介して全ての直杭19及び斜杭20が水底地盤Gへ所定深さまで打ち込まれると、ここで各杭19,20の反力調整作業を行う。まず、図6(a)に示すように、水底地盤G上に固定されたジャケット構造体11では、各杭19,20の上端部がフーチング15に位置している。反力導入ビーム51はフーチング15とほぼ同じ大きさの平板ブロックであって、このフーチング15の上方に配設する。そして、ジャケット構造体11の内側に位置する4つの直杭19の上端部に連結部材としての仮杭52を接続し、各仮杭52をそれぞれ連結ピン53により反力導入ビーム51に連結する。一方、ジャケット構造体11の外側に位置する4つの斜杭20の上端部をそれぞれ油圧ジャッキ54を介して反力導入ビーム51に連結する。 【0030】次に、この状態で、図6(b)に示すように、各油圧ジャッキ54を微小ストローク伸長駆動し、外側の各斜杭20に対して圧縮荷重C1 を付与すると共に、内側の各直杭19に対して引張荷重T1 を付与する。そして、この荷重C1 ,T1の付与状態で、各杭ガイド部材13,14及び各杭19,20内の海水及び土砂を排出してから、杭ガイド部材13と直杭19及び杭ガイド部材14と斜杭20を結合する。この結合方法としては、グラウト剤を用いた方法とプラグを用いた方法などがある。 【0031】例えば、図6(c)及び図7(a)に示すように、各杭ガイド部材13,14の下端部に各杭19,20の外周面に密着するリングシール55を装着した後、杭ガイド部材13,14と杭19,20との間にグラウト剤56を充填し、上端部にリングシール57を装着する。そして、グラウト剤56が固化して仮結合したら、杭ガイド部材13,14と杭19,20との結合領域Lを残して各杭19,20の上端余剰部を切断する。また、図6(c)及び図7(b)に示すように、各杭ガイド部材13,14の下端部の内周面に上下一対の複数組のリブ58,59を予め固定しておき、杭ガイド部材13,14と各杭19,20との間にリングシール60を装着した後、外周面に複数の突起61が固定された円筒形状をなすプラグ62を杭ガイド部材13,14内にリブ58,59の間まで降下してから所定角度回動して係止した状態で、杭ガイド部材13,14と杭19,20との間にグラウト剤63を充填する。そして、グラウト剤63が固化して仮結合したら、杭ガイド部材13,14と杭19,20との結合領域Lを残して各杭19,20の上端余剰部を切断する。なお、杭ガイド部材13,14と杭19,20との結合方法は、これらの方法以外に、例えば、溶接等を用いてもよい。 【0032】このように各杭19,20の反力調整作業が完了して杭ガイド部材13,14と各杭19,20とが結合されたら、ジャケット構造体11から反力導入ビーム51及び各油圧ジャッキ54を取り外して撤去すると共に、杭ガイド部材13,14から仮杭52と共に各杭19,20の上端余剰部を引き抜いて回収する。」 (エ)「【0039】また、このようにジャケット構造体11を設置した後の反力を調整することで、フーチング15を中空形状をなす鋼板製などとして軽量化することができると共に、フーチング15の軽量化により転倒モーメントが減少し、構造物を安定して支持できる。更に、水中にコンクリートを打設する必要がなくなって作業が簡素化されると共に作業期間も短くなり、作業性が向上する。 」 (オ)【図1】 「 [図:0001431120000006.jpg] 」 (カ)【図2】 「 [図:0001431120000007.jpg] 」 (キ)【図3】 「 [図:0001431120000008.jpg] 」 (ク)【図4】 「 [図:0001431120000009.jpg] 」 (ケ)【図5】 「 [図:0001431120000010.jpg] 」 (コ)【図7】 「 [図:0001431120000011.jpg] 」 (サ)【図11】 「 [図:0001431120000012.jpg] 」 イ 図より看取される事項 (ア)上記【図1】、【図5】(b)及び(c)より、ジャケット構造体11は、直杭19及び斜杭20の上方に設置されることが、看取される。 (イ)上記【図3】より、フーチング15の内部の縦梁部材21が、杭ガイド部材14間、及び、杭ガイド部材13間を接続している様子が、看取される。 (ウ)上記【図4】(b)、【図5】(a)及び(b)より、杭打ちハンマ44はフーチング15の上に搭載可能である様子が、看取される。 ウ 記載された発明 上記ア及びイより、甲2には、ジャケット構造体11に着目して、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。なお、各構成に分説を付し、関連する段落番号または図面を括弧書きで付した。 <甲2発明> 「(甲2A)水底地盤G上に設置して構造物を建設するためのジャケット構造体11であって、(【0021】) (甲2B)連結部材12によって連結された複数の杭ガイド部材(レグ)13,14と、この各杭ガイド部材13,14の上端集合部に装着された中空形状をなすフーチング15とから構成されており、(【0021】) (甲2C)フーチング15は上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状に形成されており、直杭用の杭ガイド部材13の上端部及び斜杭用の杭ガイド部材14の上端部が貫入し、(【0022】) (甲2D)各杭ガイド部材13,14の上端部はフーチング15の上鋼板16及び下鋼板17に貫入して上方に開口しており、フーチング15の内部には複数の縦梁部材21が格子状に配設され、杭ガイド部材13,14がフーチング15の内面に連結支持されており、(【0023】) (甲2E)フーチング15の外周部に防食処理が施されており、(【0024】) (甲2F)ジャケット構造体11が水底地盤Gの所定の位置に位置決めされると、ジャケット構造体11の上部に搭載した杭打ちハンマ44を用いてジャケット構造体11の杭ガイド部材13内に直杭19を挿入し、この杭打ちハンマ44により直杭19を水底地盤Gへ打ち込んでいき、杭打ちハンマ44を用いてジャケット構造体11の杭ガイド部材14内に斜杭20を挿入し、この杭打ちハンマ44により斜杭20を水底地盤Gへ打ち込んでいき、(【0028】) (甲2G)各杭ガイド部材13,14及び各杭19,20内の海水及び土砂を排出してから、杭ガイド部材13と直杭19及び杭ガイド部材14と斜杭20を結合し、この結合方法としては、グラウト剤を用い、杭ガイド部材13,14と杭19,20との間にグラウト剤56を充填して固化させ、(【0030】、【0031】) (甲2H)ジャケット構造体11は、直杭19及び斜杭20の上方に設置され、(【図1】、【図5】(b)及び(c)) (甲2I)フーチング15の内部の縦梁部材21が、杭ガイド部材14間、及び、杭ガイド部材13間を接続しており、(【図3】) (甲2J)杭打ちハンマ44はフーチング15の上に搭載可能であり、(【図4】(b)、【図5】(a)及び(b))) (甲2K)ジャケット構造体11。(【0021】)」 また甲2には、ジャケット構造体11を用いた水中基礎に着目して、次の発明(以下「甲2水中基礎発明」という。)が記載されている。 <甲2水中基礎発明> 「(甲2L)甲2発明に係るジャケット構造体11を用いて設置した水中基礎であって、(【0021】) (甲2M)水底地盤Gへ所定深さまでへ打ち込まれた各杭19、20が挿入された杭ガイド部材13、14について、(【0028】、【0029】) (甲2N)杭ガイド部材13と直杭19及び杭ガイド部材14と斜杭20を結合し、この結合方法としては、グラウト剤を用い、杭ガイド部材13,14と杭19,20との間にグラウト剤56を充填して固化させた、(【0030】、【0031】) (甲2O)水中基礎。(【0021】)」 (3)甲3 甲3には、次の記載がある。 ・第1頁第2行~第15行 「1. 1 概要 (1)I形鋼格子床版は,鉄筋コンクリート床版の主筋の代わりに特殊断面の小型I形鋼を用い,そのウェブに設けたパンチ孔とI形鋼上面に配力筋を格子状に配置したコンクリート系床版である。I形鋼の下フランジ下面に点付溶接した型枠代りの高耐食性めっき鋼板を配置している。 (2)工場でパネルとして製作し,現場でパネルを鋼桁上に架設し,パネル相互の継手筋をセットした後にコンクリートの打込みを行う。 この床版には以下の特徴がある。 1)現場での型枠・支保工が不用で配筋作業が省力化されるため,鉄筋コンクリート床版に比較して工期の短縮が図れる。 2)型枠工,鉄筋工などの特殊技能工が不必要で,橋梁特殊工と普通作業員の組合せで作業ができる。 3)コンクリートを打込まない状態で剛性を有しているので,事前に架設重機等の施工時荷重で照査確認することを前提として,コンクリート打込み時に敷鉄板等で養生を行い,パネルの搬入車両,架設用の重機などを載荷することができる。」 (4)甲4 甲4には、次の記載がある。なお、○数字は、○の中に数字があることを示す。 ・第57頁左欄下から9行~第58頁左上欄11行 「鋼・コンクリート合成床版(以下、合成床版)は、道路橋示方書1)(以下、道示)に仕様規定が明記されていないことから、要求性能を満足する検証が必要であるが、国土交通省・関東地方整備局の「設計のガイドライン(案)」2)などが制定され、合成床版に要求される性能・品質が明示されたことから、急速に採用が増えつつある背景がある。 そこで、平成19年度に開発を開始し、1年程度で市場投入することを目途として、I形鋼合成床版「NSスラブ」を商品化した。その概念図を図1に示す。NSスラブは、以下のような特徴をもった構造である。 ○1すみ肉溶接されたI形鋼のみを有するため、疲労耐久性の問題となる個所が少ない。 ○2床版用I形鋼は上フランジ突出長が小さく、下側に30%程度の勾配があり、どんな縦断勾配でもコンクリートの充填不良の可能性が少ない。 ○3一般部の継手は、HTB引張接合で床版下面の作業がなく、配筋作業もスペーサー不要で、施工性が良く、品質が安定している。 ○4パネルの剛性が高く平坦なため、パネル架設後鉄板養生などで重機を載せての施工も可能である。」 (5)甲5 甲5には、次の記載がある。 ・【0004】 「また、鋼板や形鋼の板厚を適切に設定することで、鋼部材のみでも床版として必要な強度を確保することができるので、工事中など比較的短期間であれば、鋼殻のみでも仮供用の形で車両の重量を支えることができる。」 (6)甲6 ア 記載事項 甲6には、次の記載及び図示がある。 (ア) 1頁1~5行 「 [図:0001431120000013.jpg] 」 (イ) 3頁「2」 「 [図:0001431120000014.jpg] 」 (ウ)3頁「3」 「 [図:0001431120000015.jpg] 」 (エ)上記(イ)の左図の拡大 「 [図:0001431120000016.jpg] 」 (オ)4頁「5」の文章 「 [図:0001431120000017.jpg] 」 (カ)4頁「5」の左図 「 [図:0001431120000018.jpg] 」 イ 認定事項及び看取される事項 (ア)上記ア(ア)~(ウ)より、突起付きT形鋼(DFT)は、コンクリート系床版において、コンクリートとの付着性能が考慮され、鋼・コンクリート合成床版に用いられるものであると、認定できる。 (イ)上記ア(エ)の図より、突起付きT形鋼(DFT)の突起は、フランジ部の上面に、フランジの幅方向に、直線状に設けられている様子が、看取される。 (ウ)上記ア(ア)及び(オ)の記載を踏まえると、上記ア(カ)の図より、突起付きT形鋼(DFT)は、フランジ部が上となるように底板上に配置されて、底板上のコンクリートに埋設され、鋼・コンクリート合成床版の一部をなすことが、看取される。 ウ 技術的事項 上記ア及びイより、甲6には、次の技術的事項(以下「甲6技術的事項」という。)が記載されている。 <甲6技術的事項> 「突起付きT形鋼(DFT)は、コンクリート系床版において、コンクリートとの付着性能が考慮され、鋼・コンクリート合成床版に用いられ、 突起付きT形鋼(DFT)の突起は、フランジ部の上面に、フランジの幅方向に、直線状に設けられ 突起付きT形鋼(DFT)は、フランジ部が上となるように底板上に配置されて、底板上のコンクリートに埋設され、鋼・コンクリート合成床版の一部をなすこと。」 (7)甲7 甲7には、次の記載及び図示がある。 ア「【0030】 図1は本発明に係る既設杭桟橋の改修後の横断面図である。 【0031】 本発明の改修桟橋は、海底地盤9に打設した多数の鉛直杭(以下、杭という)1で上部工を支持した既設杭桟橋において、上部工の直下にて杭1を切断し、老朽化した上部工を撤去した後に残された杭上にジャケット2を設置したものである。既設上部工に替わるジャケット2は陸上ヤードや工場にて製作組立られたものを台船等で海上輸送され、現地にてクレーン船等によって吊り上げ杭上に固定されたものであって、その構造はH型鋼等の型鋼を用いた縦梁3と横梁4からなる格子状のデッキ5の格点6下方に所定長さの鋼管レグ(以下、レグという)7を突出したジャケット2とし、前記レグ7を杭1に嵌挿してレグ7内周と杭外周の隙間にモルタル等のグラウト材8を注入して結合したものである。図の右端側は護岸26を示す。」 イ「【0039】 本発明では、図4に示すように床版ユニット15の端部を斜め状端面(イ)に形成し、且つU字形の結合鉄筋16を突出しておき、この床版の端部を縦横梁3、4のフランジ17上面に配設して隣接する床版の端部同士が略V字状(逆台形)になるようにしてコンクリートを打設して連続化結合することとした。また、梁のフランジ17にはスタッドジベル18を溶接しており、連続化した床版ユニット15を縦横梁3、4にも結合している。」 ウ 【図1】 「 [図:0001431120000019.jpg] 」 エ 【図4】 「 [図:0001431120000020.jpg] 」 (8)甲8 甲8には、次の記載がある。 「【0015】 本発明は、図1に示すように、上面に床版28を備える鈑桁や箱桁等の主桁からなる2径間以上の多径間(図示の形態では3径間)連続桁1を、ジャケット形式の橋脚基礎8上から橋軸方向に間隔をおいて立ち上げた複数本の脚体9で連続桁1の橋桁支持部10を支持した構造の連続桁橋梁である。 ・・・・ 【0022】 例えば、橋軸方向の脚体9の間隔は、連続桁1の支間長や橋脚2の設置水深や地盤等の条件にもよるが、支間長の約1割程度を目安にする。例えば、50m~200mの支間長の連続桁1において、脚体9の間隔は5mから20m程度、望ましくは約10m程度にするのがよい。」 (9)甲9 甲9には、次の記載がある。 ア 「【0048】 重防食塗装4は、主に鋼材などの腐食防止を目的とした塗装であり、従来、例えば海岸沿いなど過酷な腐食性環境に建設される鋼構造物や鋼管杭などに用いられている。また、重防食塗装は、上塗塗膜、中塗塗膜、下塗塗膜、防食下地から構成されており、重防食塗装5に用いられる塗料および材料の例を表1に示した。」 イ 【表1】 「 [図:0001431120000021.jpg] 」 (10)甲10 甲10には、次の記載がある。 ・第176頁左欄下から12行~右欄下から4行 「以下に抑える縦置きタイプの少数桁形式(図-1(b))がある.これまでの実績では標準部の主桁間隔の最大は10mであるが,バチ桁でも橋桁の全長にわたり床版厚を変えずに2主桁で構成でき,部分的には主桁間隔が12mのものもある.この他,床版の主鋼材が橋軸方向を向くので,連続合成桁で床版鋼材が主桁作用に有効に働くなどの利点が多く,既に14橋(内,連続合成桁8橋)の実績がある. これらでは,I形鋼を骨とする幅2.4m前後×長さ15m程度以下の鋼材パネルを工場製作して現場に搬入し,桁上に敷設してから配筋作業とコンクリート打設を行う.その際に,通常の横置きIB床版では曲げ剛性のあるI形鋼の特性を利用して,パネル上にクレーン車等を載せた施工実績が多数あるが,クレーンの作業半径が長くなる縦置き形式では未だその仕様が確立されていない.写真-1は隣接するI期線の橋上からの鋼材パネルの吊り込み作業であるが,写真-2のように鋼材パネル上にクレーン車やコンクリートミキサー車などの重量車両を載せることが可能であれば,施工上の利便性が増す.そこで,縦置きIB床版について載荷実験を実施して施工上の問題などを検討し整理したので,構造概要と併せてここに報告を行う.」 (11)参考文献1 参考文献1には、次の記載及び図示がある。 ア 第2頁左上欄第5行~同頁右上欄3行 「図において、(1)は鋼管杭、(2)は鋼管杭(1)の外径より所定寸法だけ大きい内径を有する所定長さの鋼管製外管(3)と各外管(3)を鋼管杭の設計上の打ち込み間隔と同一の所定間隔に連結せしめる消波板(4)形成用の連結パネルとから一体に構成されたパネル構造の鋼製溶接構造体、(5)は外周側所定位置にモルタル注入口(図示せず)を備えた外管上蓋、(6)は杭(1)の周面に外嵌可能で、かつ外管嵌合状態において外管(3)下面を閉塞可能に設けられた環状のモルタル受板で、該受板(6)はその上面に設けた係止金具(7)及び吊金具(8)を介して外管(3)の下端側周面に設けた係止金具(9)に係止することにより外管下面に密着状に保持されている。 (10)は外管(3)を杭(1)にかぶせた後、杭(1)、外管(3)及びモルタル受板(6)によつて形成された環状の間隙にモルタル注入口から充填されたモルタルで、これによりパネル構造体(2)は杭(1)と一体に接合される。 (11)は該外管(3)上面に打設された上部波返し工である。」 イ 第3図 「 [図:0001431120000022.jpg] 」 (12)参考文献2 参考文献2には、第6-4頁に次の図示がある(四角囲いは申立人による。)。 「 [図:0001431120000023.jpg] 」 (13)参考文献3 ア 記載及び図示 参考文献3には、次の記載及び図示がある(図中の丸囲いは申立人による。)。 (ア)第56頁「パワースラブ」 a 左側下の「構造概要図」 「 [図:0001431120000024.jpg] 」 b 右側左上の「標準部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000025.jpg] 」 c 右側右上「支点(主桁)上取合部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000026.jpg] 」 d 右側左下「支点部支持ボルト(橋軸方向断面)」の図 「 [図:0001431120000027.jpg] 」 (イ)第64頁「QS Slab」 a 左側下の「構造概要図」 「 [図:0001431120000028.jpg] b 右側左上の「標準部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000029.jpg] 」 c 右側右上「支点(主桁)上取合部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000030.jpg] 」 d 右側左下「高さ固定ボルト(橋軸方向断面)」の図 「 [図:0001431120000031.jpg] 」 (ウ)第68頁「パイプスラブ」 a 左側下の「構造概要図」 「 [図:0001431120000032.jpg] 」 b 右側左上の「標準部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000033.jpg] 」 c 右側左中「支点(主桁)上取合部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000034.jpg] 」 (エ)第76頁「Hit スラブ」 a 左側下の「構造概要図」 「 [図:0001431120000035.jpg] 」 b 右側左上の「標準部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000036.jpg] 」 c 右側右上「支点(主桁)上取合部(橋軸直角方向断面)」の図 「 [図:0001431120000037.jpg] 」 d 右側左下「支点部支持ボルト(橋軸方向断面)」の図 「 [図:0001431120000038.jpg] 」 イ 看取される事項・記載された技術的事項 (ア)第56頁「パワースラブ」 ・上記ア(ア)aの「構造概要図」で左下に延びる部材、上記ア(ア)cの図の中央下に視認されるT字形の部材、上記ア(ア)dの図の「主桁上フランジ」及びそれより下の部分は、上フランジを有する主桁であることが、看取される。 ・参考文献3のタイトルが「鋼・コンクリート合成床版の計画資料」であることを踏まえると、上記ア(ア)aの図より、「パワースラブ」は、主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置される孔明き鋼板リブを有する合成床版であることが、看取される。 ・上記ア(ア)dの図より、孔明き鋼板リブは逆L字状であることが、看取される。 ・上記ア(ア)a~cの図より、底鋼板は、標準部では孔明き鋼板リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されていることが、看取される。 ・上記ア(ア)a、c及びdの図より、主桁上フランジの上面は、孔明き鋼板リブの下端と、上下方向に離間していることが、看取される。 ・上記ア(ア)c及びdの図より、主桁上フランジの幅方向中央には、2つの孔明き鋼板リブの中間位置に高さ調整用ボルトが設けられ、高さ調整用ボルトは、2つの孔明き鋼板リブの下端に接続されたリブ支持用アングルを支持することが、看取される。 以上より、参考文献3には、次の技術的事項1が記載されている。 <参考文献3技術的事項1> 主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置される孔明き鋼板リブを有する合成床版において、 主桁は上フランジを有し、 底鋼板は、標準部では孔明き鋼板リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されており、 孔明き鋼板リブは逆L字状であり、 主桁上フランジの上面は、孔明き鋼板リブの下端と、上下方向に離間しており、 主桁上フランジの幅方向中央には、2つの孔明き鋼板リブの中間位置に高さ調整用ボルトが設けられ、高さ調整用ボルトは、2つの孔明き鋼板リブの下端に接続されたリブ支持用アングルを支持すること。 (イ)第64頁「QS Slab」 ・上記ア(イ)aの「構造概要図」で左から右に斜め下方に延びる部材は、上記ア(イ)cの図のタイトル中に「主桁」の語があること、及び技術常識を踏まえると、上フランジを有する主桁であることが、看取される。上記ア(イ)cの図の中央下に視認されるT字形の部材は、主桁の上フランジ及びその下の主桁のウェブ部分であると看取され、上記ア(イ)dの下の横方向の2本線で示される部材は、主桁の上フランジであると看取される。 ・参考文献3のタイトルが「鋼・コンクリート合成床版の計画資料」であることを踏まえると、上記ア(イ)aの図より、「QS Slab」は、主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、ハンチプレート、及び底鋼板の上にウェブが下側となるように配置されたT形リブを有する合成床版であることが、看取される。 ・上記ア(イ)a~cの図より、底鋼板は、標準部ではT形リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降するハンチプレートに接続されていることが、看取される。 ・上記ア(イ)a、c及びdの図より、主桁上フランジの上面は、T形リブの下端と、上下方向に離間していることが、看取される。 ・上記ア(イ)c及びdの図より、主桁上フランジの幅方向中央には、T形リブのウェブからずれた位置に高さ固定ボルトが設けられ、主桁上フランジの幅方向中央からずれた位置には、逆L字状の受台が設けられ、T形リブのウェブの下端には板状の部材が設けられ、当該板状の部材と受台とがT形リブのウェブからずれた位置で高さ固定ボルトに接続されることが、看取される。 以上より、参考文献3には、次の技術的事項2が記載されている。 <参考文献3技術的事項2> 主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、ハンチプレート、及び底鋼板の上にウェブが下側となるように配置されたT形リブを有する合成床版において、 主桁は上フランジを有し、 底鋼板は、標準部ではT形リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降するハンチプレートに接続されており、 主桁上フランジの上面は、T形リブの下端と、上下方向に離間しており、 主桁上フランジの幅方向中央には、T形リブのウェブからずれた位置に高さ固定ボルトが設けられ、主桁上フランジの幅方向中央からずれた位置には、逆L字状の受台が設けられ、T形リブのウェブの下端には板状の部材が設けられ、当該板状の部材と受台とがT形リブのウェブからずれた位置で高さ固定ボルトに接続されること。 (ウ)第68頁「パイプスラブ」 ・参考文献3のタイトルが「鋼・コンクリート合成床版の計画資料」であることを踏まえると、上記ア(ウ)aの図より、「パイプスラブ」は、主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置される鋼板リブを有する合成床版であることが、看取される。 ・上記ア(ウ)cの上図の中央下に視認されるT字形の部材は、上フランジを有する主桁であることが、看取される。 ・上記ア(ウ)a、b及びcの上図より、底鋼板は、標準部では鋼板リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されていることが、看取される。 ・上記ア(ウ)a及びcの上図より、主桁上フランジの上面は、鋼板リブの下端と、上下方向に離間していることが、看取される。 ・上記ア(ウ)cの下図において、左右方向に延びる近接した2本の直線で示される2つの部材は、同上図との対応から、鋼板リブであることが看取される。上記ア(ウ)cの上図の支持材(スタッドボルト)は、同下図において、鋼板リブを示す2つの横方向の部材から上下方向にずれた位置にある、4つの丸印で示されることが看取される。上記ア(ウ)cの下図の支持材(スタッドボルト)を示す4つの丸印を囲む上下に細長い長方形は、同上図において支持材(スタッドボルト)に接続され鋼板リブの下端に接する断面逆L字状の部材であることが看取される。 ・上記ア(ウ)cの上図及び下図より、主桁上フランジの幅方向中央には、鋼板リブとずれた位置に支持材(スタッドボルト)が設けられ、支持材(スタッドボルト)が断面逆L字状の部材を介して2つの鋼板リブを支持することが、看取される。 以上より、参考文献3には、次の技術的事項3が記載されている。 <参考文献3技術的事項3> 主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置される鋼板リブを有する合成床版において、 主桁は上フランジを有し、 底鋼板は、標準部では鋼板リブの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されており、 主桁上フランジの上面は、鋼板リブの下端と、上下方向に離間しており、 主桁上フランジの幅方向中央には、鋼板リブとずれた位置に支持材(スタッドボルト)が設けられ、支持材(スタッドボルト)が断面逆L字状の部材を介して2つの鋼板リブを支持すること。 (エ)第76頁「Hit スラブ」 ・上記ア(エ)aの「構造概要図」で左下に延びる部材、上記ア(エ)cの図の中央下に視認されるT字形の部材は、上フランジを有する主桁であることが、看取される。 ・参考文献3のタイトルが「鋼・コンクリート合成床版の計画資料」であることを踏まえると、上記ア(エ)aの図より、「Hit スラブ」は、主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置されるバルブプレートを有する合成床版であることが、看取される。 ・上記ア(エ)c及びdの図より、バルブプレートは、上下方向の板状部、板状部の上端から側方に突出する部分、板状部の中程から突出するスタッドジベルを有し、支点(主桁)上取合部ではバルブプレートの上下方向の板状部から側方に突出する支点上補強材を有することが、看取される。 ・上記ア(エ)a~cの図より、底鋼板は、標準部ではバルブプレートの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されていることが、看取される。 ・上記ア(エ)a、c及びdの図より、主桁上フランジの上面は、バルブプレートの下端と、上下方向に離間していることが、看取される。 ・上記ア(エ)c及びdの図より、主桁上フランジの幅方向中央には、バルブプレートの上下方向の板状部から側方にずれた箇所に高さ調整用ボルトが設けられ、高さ調整用ボルトは、バルブプレートの上下方向の板状部から側方に突出する支点上補強材に接続されることが、看取される。 以上より、参考文献3には、次の技術的事項4が記載されている。 <参考文献3技術的事項4> 主桁と、主桁より上に配置される底鋼板、及び底鋼板の上に配置されるバルブプレートを有する合成床版において、 主桁は上フランジを有し、 バルブプレートは、上下方向の板状部、板状部の上端から側方に突出する部分、板状部の中程から突出するスタッドジベルを有し、支点(主桁)上取合部ではバルブプレートの上下方向の板状部から側方に突出する支点上補強材を有し、 底鋼板は、標準部ではバルブプレートの下端に接しており、支点(主桁)上取合部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降する板状の部材に接続されており、 主桁上フランジの上面は、バルブプレートの下端と、上下方向に離間しており、 主桁上フランジの幅方向中央には、バルブプレートの上下方向の板状部から側方にずれた箇所に高さ調整用ボルトが設けられ、高さ調整用ボルトは、バルブプレートの上下方向の板状部から側方に突出する支点上補強材に接続されること。 (14)参考文献4 ア 記載及び図示 参考文献4には、次の記載及び図示がある。 [図:0001431120000039.jpg] [図:0001431120000040.jpg] 【0011】 図1において、1は鋼製の桁で、ウエブ1aと上下のフランジ1bから構成されている(下フランジは図示省略)。そして、桁1の上フランジ1b上にはプレキャストコンクリート合成床版(以下、単にプレキャスト床版という。)2が載置されている。このプレキャスト床版2は鋼板3上にジベル4を設けると共に鉄筋5を配設してコンクリート6を打設してなるもので、鋼板5を有する点で単なるプレキャストコンクリート床版とは異なる。 【0012】 上記プレキャスト床版2には桁1からの高さを調節するための高さ調節ボルト7が桁1の長手方向に沿って適宜間隔で設けられている。この高さ調節ボルト7は図2に示すように該ボルト7が螺合されるナット部8を有し、このナット部8には支持片9が取付けられている。この高さ調節ボルト7のナット部8および支持片9は上記プレキャスト床版2の鋼板3上に載置され、コンクリート6で固定されている。 【0013】 高さ調節ボルト7の先端はプレキャスト床版2の鋼板3を貫通して下面から突出しており、その先端が桁1の上フランジ1b上面に当接してプレキャスト床版2を所望の高さに支持するようになっている。また、プレキャスト床版2の上面にはその高さ調節ボルト7を回転して高さ調節を行うための開口部10が設けられている。 イ 記載された技術的事項 上記アより、参考文献4には、次の技術的事項が記載されている。 <参考文献4技術的事項> プレキャスト床版2の桁1からの高さを調節するため、高さ調整ボルト7を桁1の長手方向に沿って設け、高さ調整ボルト7が螺合されるナット部8、及びナット部8に取付けた支持片9をプレキャスト床版2の鋼板3上に載置し、高さ調節ボルト7の先端はプレキャスト床版2の鋼板3を貫通して桁1の上フランジ1b上面に当接させること。 (15)参考文献5 ア 記載及び図示 参考文献5には、次の記載及び図示がある(マーカは申立人による。)。 (ア)第1頁「1.2 用語の定義」の一部 「 [図:0001431120000041.jpg] 」 (イ)第2頁「図解1.2.1 I形鋼格子床版構造図」 「 [図:0001431120000042.jpg] 」 (ウ)第19頁「2.10.3 ハンチ及びフィラー」及び同頁「フィラーを用いる場合の例」の図 「 [図:0001431120000043.jpg] 」 (エ)第20頁「ボルトを用いる場合の例」の図 「 [図:0001431120000044.jpg] 」 イ 看取される事項・記載された技術的事項 ・上記ア(ア)用語の定義を踏まえると、上記ア(イ)の図より、I形鋼格子床版は、主桁上フランジを有する主桁と、主桁より上に配置されるめっき鋼板の底型枠、及び底型枠の上に配置されるI形鋼の主部材を有することが、看取される。 ・上記ア(ウ)及び上記ア(エ)の図において、図の下方に示されるT字状の部材は、主桁上フランジを有する主桁であることが、看取される。 ・上記ア(イ)~(エ)の図より、主桁上フランジの上面は、I形鋼の主部材の下端と、上下方向に離間していることが、看取される。 ・上記ア(イ)~(エ)の図より、底型枠は、主桁の上部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降するハンチプレートに接続されていることが、看取される。 ・上記ア(ウ)及び(エ)の図より、ハンチ部の高さを確保するためにフィラー(角鋼)を用いる場合には、主桁上フランジの幅方向中央とI形鋼の主部材の下端との間にフィラー(角鋼)を配置し、ハンチ部の高さを確保するためにボルトを用いる場合には、2つのI形鋼の主部材の下端に接続した板状の部材を設けるとともに、主桁上フランジの上面上かつ2つのI形鋼の主部材の間にボルトを設け、2つのI形鋼の主部材の間のボルト上の、2つのI形鋼の主部材の下端に接続した板状の部材の上に、ナットを配置することが、看取される。 以上より、参考文献5には、次の技術的事項が記載されている。 <参考文献5技術的事項> 主桁上フランジを有する主桁と、主桁より上に配置されるめっき鋼板の底型枠、及び底型枠の上に配置されるI形鋼の主部材を有するI形鋼格子床版において、 主桁上フランジの上面は、I形鋼の主部材の下端と、上下方向に離間しており、 底型枠は、主桁の上部では主桁上フランジの幅方向端部に向かって傾斜して下降するハンチプレートに接続されており、 ハンチ部の高さを確保するためにフィラー(角鋼)を用いる場合には、主桁上フランジの幅方向中央とI形鋼の主部材の下端との間にフィラー(角鋼)を配置し、 ハンチ部の高さを確保するためにボルトを用いる場合には、2つのI形鋼の主部材の下端に接続した板状の部材を設けるとともに、主桁上フランジの上面上かつ2つのI形鋼の主部材の間にボルトを設け、2つのI形鋼の主部材の間のボルト上の、2つのI形鋼の主部材の下端に接続した板状の部材の上に、ナットを配置すること。 2 先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について 先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由1及び取消理由2のうち、本件発明4、5、7、9~16に対応する、請求項4及び請求項4に従属する請求項5、7、9~16を対象として記載した取消理由は、取消理由1である。 したがって、ここでは取消理由1、すなわち甲1を主たる証拠とした進歩性の有無について、判断する。 なお、甲2を主たる証拠とした進歩性の有無については、後記3の「先の取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由」において、申立理由2として、別途判断する。 (1)本件発明4について ア 対比 本件発明4と甲1発明とを対比する。 (ア) 構成4Aについて 甲1発明の甲1Aにおける「地盤に打設される多数の鋼管製の基礎杭4」は、本件発明4の構成4Aにおける「複数の杭」に、相当する。 甲1発明の甲1Aにおける「ジャケット構造物40」は、本件発明4の構成4Aにおける「ジャケット」に、相当する。 甲1発明の甲1Aにおいて、「海上空間を有効利用するジャケット方式の人工地盤のための」「ジャケット構造物40」が、「地盤に打設される多数の鋼管製の基礎杭4に支持」される構成は、「海」の「地盤」に打設される「基礎杭4」の上方に「海上空間」を利用するための「ジャケット構造物40」が支持されることが明らかであることを踏まえると、本件発明4の構成4Aにおいて、「複数の杭」の「上方」に「ジャケット」が「設置される」構成に、相当する。 したがって、甲1発明の構成甲1Aは、本件発明4の構成4Aに、相当する。 (イ) 構成4Bについて 甲1発明において、甲1Gより「各々の基礎杭4の上方」に「配置」される「連結部材27」は、甲1Aより「鋼部材からなるジャケット構造物40」の一部として「鋼部材」からなることが明らかであり、また「ジャケット構造物40」において「基礎杭4の上方」で「上下方向に延在」するから、脚部材の一部と言い得ることが明らかである。 以上を踏まえると、本件発明4の構成4Bにおける「前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の鋼管レグ」と、甲1発明において甲1Gより「各々の基礎杭4の上方」に「配置」される「連結部材27」とは、「杭」を「挿入可能な内空部を備える」「管」であるか否かは措くとして、「前記複数の杭それぞれに対応する複数の鋼製のレグ」の点で、共通する。 (ウ)構成4Cについて 甲1発明において、甲1Bより「連結部材27を介して連結」される「4方部から伸びて交差するたて材25とよこ材26」は、甲1Gより「鋼製梁24をなすたて材25とよこ材26とが交差する位置」で「上下方向に延在する部材」である「連結部材27」と「連結」されていることが明らかであり、また甲1Bより「ジャケット構造物40の上部」に設けられた「鋼製梁24」の一部として「上下方向に延在する部材」である「連結部材27」の上端部同士を連結していることが明らかである。 以上を踏まえると、本件発明4の構成4Cにおける「前記複数の鋼管レグの上端部同士を接続する複数の上部桁」と、甲1発明において甲1Bより「連結部材27を介して連結」される「4方部から伸びて交差するたて材25とよこ材26」とは、「レグ」が「管」であるか否かは措くとして、「前記複数の鋼製のレグの上端部同士を接続する複数の上部桁」の点で、共通する。 (エ)構成4Eについて 甲1発明において、甲1Dより「矩形の底鋼板29」が有する「4辺に沿って外周側が下り傾斜した傾斜部30a、30b、30c、30d」の「先端の平行フランジ部35」は、本件発明4の構成4Eにおける「上部鋼板」の「端部」に相当する。 甲1発明において、甲1Dより「底鋼板29の傾斜部30a~30dの先端の平行フランジ部35」が「溶接またはボルト接合36等でたて材25やよこ材26の上面に固定」される構成は、本件発明4の構成4Eにおいて、「前記複数の上部桁」に「上部鋼板」の「端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ」る構成に、相当する。 甲1発明において、甲1Hより「矩形の底鋼板29」が「たて材25及びよこ材26がなす格子の開口部を覆」う構成は、本件発明4の構成4Eにおいて、「上部鋼板」が「前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う」構成に、相当する。 甲1発明において、甲1Dより「底鋼板29」が有する「4辺に沿って外周側が下り傾斜した傾斜部30a、30b、30c、30d」について、「傾斜部30a~30dの先端の平行フランジ部35」から見れば「傾斜部30a、30b、30c、30d」が「下り傾斜」の逆の上り傾斜をしていることが明らかである構成は、本件発明4の構成4Eにおいて、「上部鋼板」に「前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている」構成に、相当する。 以上より、甲1発明において甲1D及び甲1Hより有する「矩形の底鋼板29」は、本件発明4の構成4Eのうち、「前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う」「とともに、前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている上部鋼板」に相当する構成を有する。 (オ)構成4Fについて 甲1発明において、甲1Cより「底鋼板29上面に多数のジベル筋31が溶接され・・・ジベル筋31に代えて補強鋼材52を底鋼板29の上面に溶接してもよく、補強鋼材52は、帯状の平鋼47、あるいはI形鋼48,H形鋼49などの形鋼を底鋼板に取り付けてよ」い構成は、本件発明4の構成4Fのうち、「前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する」「補強部が設けられて」いる構成に、相当する。 (カ)構成4Iについて 甲1発明において、「ジベル筋31」または「補強鋼材52」によって「底鋼板29」が補強されていることが明らかであることは、本件発明4の構成4Iのうち、「前記上部鋼板は、前記補強部により、」「補強されている」構成に、相当する。 (キ)構成4Jについて 甲1発明の甲1Jにおける「ジャケット構造物40」は、本件発明4の構成4Jにおける「ジャケット」に、相当する。 以上を整理すると、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「(4A)複数の杭の上方に設置されるジャケットであって、 (4b)前記複数の杭それぞれに対応する複数の鋼製のレグと、 (4c)前記複数の鋼製のレグの上端部同士を接続する複数の上部桁と、 (4e)前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆うとともに、前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている上部鋼板と、を備え (4f)前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、補強部が、設けられており、 (4i)前記上部鋼板は、前記補強部により、補強されている、 (4J)ジャケット。」 そして、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で相違する。 <相違点1a> 「ジャケット」が備える「複数の杭それぞれ」に対応する複数の鋼製のレグに関し、 本件発明4においては、構成4Bで「杭」を「挿入可能な内空部を備える」「鋼管レグ」と特定され、構成4C~4E及び4Iでも「鋼管レグ」と特定されているのに対し、 甲1発明においては、「鋼部材からなるジャケット構造物40」の一部をなし「上下方向に延在」する「連結部材27」について、「杭」を「挿入可能な内空部を備える」「管」状の部材であるとは特定されていない点。 <相違点2a> 本件発明4においては、構成4Dで「前記複数の鋼管レグの上端部の開口を塞ぐ蓋部材」を備えることが特定されているのに対し、 甲1発明においては、そのように特定されていない点。 <相違点3a> 「上部鋼板」が覆う範囲に関し、 本件発明4においては、構成4Eで「前記鋼管レグの内空部は上方から覆わないように構成されている」ことが特定されているのに対し、 甲1発明においては、そのように特定されていない点。 <相違点4a> 「補強部」の構造、及び「補強部」と周辺の部材との接続構造に関し、 本件発明4においては、構成4F~4Hより、 「(4F)前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部が、フランジ部が上方となるように設けられており、 (4G)前記補強部の前記ウェブの下端面であって前記上部桁の上方に位置する部位にはプレートが取り付けられており、 (4H)前記ウェブの真下の位置であって、前記上部桁の上フランジの幅方向中央部分にはスタッド部が溶接により取り付けられていて、前記スタッド部は、ネジスタッドと、該ネジスタッドの上端部に取り付けられた高さ位置を調整可能なナット部とで構成されていて、前記ナット部の上端が前記プレートの下面に当接するように調整されて」 いると特定されているのに対し、 甲1発明においては、甲1Cより、「ジベル筋31」または「帯状の平鋼47、あるいはI形鋼48,H形鋼49などの形鋼」である「補強鋼材52」が「底鋼板29上面」に設けられるものの、本件発明4の構成4Fのような「ウェブを有する断面T形の鋼材」が「フランジ部が上方となるように設けられ」るものではなく、また、本件発明4の構成4G及び4Hに特定される周辺の部材との接続構造を有さない点。 <相違点5a> 「補強部」により「補強」された「上部鋼板」の強度に関し、 本件発明4においては、構成4Iより、「前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して前記複数の杭のうちの一部の杭の杭打ちをする杭打ち工程で使用される杭打ち機および前記杭打ち工程後のコンクリート打設工程で使用される車両のそれぞれを当該上部鋼板の上で使用することが可能」と特定されているのに対し、 甲1発明においては、そのように特定されていない点。 イ 相違点についての判断 (ア) 相違点4aについて 事案に鑑み、まず上記相違点4aについて、判断する。 a 甲6技術的事項を考慮して 甲6には、上記1(6)ウに認定した甲6技術的事項が記載されている。 甲6技術的事項が有する、「鋼・コンクリート合成床版」に用いられる「突起付きT形鋼(DFT)」が、「フランジ部が上となるように底板上に配置され」る構成は、上記相違点4aに係る本件発明4の構成のうち、「補強部」が「ウェブを有する断面T形の鋼材」であって「フランジ部が上方となるように設けられ」る構成(構成4F)に、相当する。 しかしながら、甲6技術的事項は、補強部材として「突起付きT形鋼(DFT)」が用いられ得ることを示すにとどまり、上部桁の上方に設けた補強部の高さを調整する、上記相違点4aに係る構成のうち構成4G及び構成4Hに係る構成を開示するものではない。 また、甲1発明においては、甲1B、甲1C及び甲1Hより、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26を格子状に組」んだ「格子の開口部」を「矩形の底鋼板29」で覆い、「平面矩形の底鋼板29上面」に「ジベル筋31」等の「補強鋼材52」を設けているところ、甲1発明を出発点として、「補強鋼材52」として甲6技術的事項に係る「突起付きT形鋼(DFT)」を採用したうえで、さらに「たて材25」及び「よこ材26」の上にも補強部材を配置するとともに、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26」を「上フランジ」を有するものに変更し、「たて材25とよこ材26」に対する補強部材の高さ調節機構として、本件発明4の構成4G及び構成4Hに係る具体的な構成に相当する構成とすることは、甲1及び甲6のその余の記載を考慮しても、示唆されているとはいえない。 したがって、甲1発明において、甲6技術的事項を考慮したとしても、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、当業者にとって容易であったとはいえない。 b 参考文献3技術的事項1~4を考慮して 参考文献3には、上記1(13)に認定した参考文献3技術的事項1~4が記載されている。 参考文献3技術的事項1~4は、合成床版において、主桁より上に配置する底鋼板の上にリブを配置するとともに、主桁の上フランジにボルトを設けて、リブの高さ位置を固定または調整する構成を有しており、当該構成は、上記相違点4aに係る本件発明4の構成のうち、構成4Hと、一部類似する。 しかしながら、参考文献3技術的事項1~4は、「ボルト」の位置を「補強部」の「ウェブ」の「真下の位置」から、いずれもずらした位置としており、本件発明4の構成4Hに相当する構成を開示するものではない。 また、甲1発明においては、甲1B、甲1C及び甲1Hより、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26を格子状に組」んだ「格子の開口部」を「矩形の底鋼板29」で覆い、「平面矩形の底鋼板29上面」に「ジベル筋31」等の「補強鋼材52」を設けているところ、甲1発明を出発点として、「たて材25」及び「よこ材26」の上にも補強部材を配置するとともに、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26」を「上フランジ」を有するものに変更し、さらに補強部材の高さ調整機構として参考文献3技術的事項1~4の構成を採用したうえで、「ボルト」の位置を「補強部」の「ウェブ」の「真下の位置」に変更することは、甲1及び参考文献3のその余の記載を考慮しても、示唆されているとはいえない。 したがって、甲1発明において、参考文献3技術的事項1~4を考慮したとしても、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、当業者にとって容易であったとはいえない。 c 参考文献4技術的事項を考慮して 参考文献4には、上記1(14)に認定した参考文献4技術的事項が記載されている。 参考文献4技術的事項は、プレキャスト床版2の桁1からの高さを調節するため、高さ調整ボルト7を設ける構成を有しており、当該構成は、上記相違点4aに係る本件発明4の構成のうち、構成4Hと、一部類似する。 しかしながら、参考文献4技術的事項は、プレキャスト床版2の鋼板3の上に「補強部」を設けて、「補強部」の高さを調節するものではなく、また「高さ調整ボルト7」に螺合する「ナット部8」を「プレキャスト床版2の鋼板3上に載置」するものであるから、高さの調整にボルトを用いるという点を別として、構成4Hを含め、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に相当する構成を開示するものではない。 また、甲1及び参考文献4のその余の記載を考慮しても、甲1発明を出発点として、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、示唆されているとはいえない。 したがって、甲1発明において、参考文献4技術的事項を考慮したとしても、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、当業者にとって容易であったとはいえない。 d 参考文献5技術的事項を考慮して 参考文献5には、上記1(15)に認定した参考文献5技術的事項が記載されている。 参考文献5技術的事項は、「主桁上フランジの上面」と「I形鋼の主部材の下端」とを「上下方向に離間」させた「離間」の程度(当審注;「ハンチ部の高さ」)を確保するために、「フィラー(角鋼)」または「ボルト」を用いる構成を有しており、当該構成は、上記相違点4aに係る本件発明4の構成のうち、構成4Hと、一部類似する。 しかしながら、参考文献5技術的事項は、「ボルト」を用いる場合には、「ボルト」の位置を「2つのI形鋼の主部材の間」としており、「補強部」の「ウェブ」の「真下の位置」からはずらした位置としているから、本件発明4の構成4Hに相当する構成を開示するものではない。 また、甲1発明においては、甲1B、甲1C及び甲1Hより、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26を格子状に組」んだ「格子の開口部」を「矩形の底鋼板29」で覆い、「平面矩形の底鋼板29上面」に「ジベル筋31」等の「補強鋼材52」を設けているところ、甲1発明を出発点として、「たて材25」及び「よこ材26」の上にも補強部材を配置するとともに、「鋼製の箱形断面等からなるたて材25とよこ材26」を「上フランジ」を有するものに変更し、さらに補強部材の高さ調整機構として参考文献5技術的事項の「ボルト」を用いる構成を採用したうえで、「ボルト」の位置を「補強部」の「ウェブ」の「真下の位置」に変更することは、甲1及び参考文献5のその余の記載を考慮しても、示唆されているとはいえない。 したがって、甲1発明において、参考文献5技術的事項を考慮したとしても、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、当業者にとって容易であったとはいえない。 e 甲2~甲5、甲7~甲10、参考文献1及び参考文献2を考慮して 甲2~甲5、甲7~甲10、参考文献1及び参考文献2には、上記1(2)~(5)及び(7)~(12)に摘記または認定した事項が、記載されている。 しかしながら、これらの事項は、上記相違点4aに係る本件発明4の構成を開示するものではなく、また甲1発明を出発点として、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることを示唆するものではない。 したがって、甲1発明において、甲2~甲5、甲7~甲10、参考文献1及び参考文献2に記載された事項を考慮したとしても、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることが、当業者にとって容易であったとはいえない。 f 相違点4aの小括 上記a~eのとおりであるから、甲1発明において、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることは、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者にとって容易であったとはいえない。 (イ)相違点1a~相違点3a及び相違点5aについて 上記(ア)のとおり、甲1発明において、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることは当業者にとって容易でないから、その余の相違点1a~相違点3a及び相違点5aについて検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明を出発点として、当業者が容易に発明できたものではない。 ウ 申立人の意見書における主張について 申立人は、令和7年7月16日提出の意見書において、上記相違点4aに係る本件発明4の構成のうち、本件訂正によって特定された構成4G及び構成4Hに係る構成は、参考文献3~参考文献5に記載される公知の設計・施工例であるから、甲1発明を出発点として、本件発明4は当業者が容易に発明をすることができた旨を主張している。 しかしながら、上記イ(ア)b~dに指摘したとおり、本件発明4の構成4Hに相当する構成は、参考文献3~5に開示されていない。また、上記イ(ア)に判断したとおり、甲1発明を出発点として、上記相違点4aに係る本件発明4の構成に至ることは、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者にとって容易であったとはいえない。 したがって、上記申立人の主張を考慮しても、甲1発明を出発点とした本件発明4の進歩性について、上記ア及びイの対比・判断を変更すべき事情はない。 エ 小括 以上のとおり、本件発明4は、甲1発明を主たる引用発明として、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 (2)本件発明5、7、及び9~16について 本件発明5、7、及び9~16は、本件発明4の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)に判断したとおり、本件発明5、7、及び9~16が有する本件発明4の構成は、甲1発明を主たる引用発明として、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、本件発明5、7、及び9~16において付加された構成について対比・判断するまでもなく、本件発明5、7、及び9~16は、甲1発明を主たる引用発明として、または甲1発明に杭を付加して人工地盤の発明とした甲1人工地盤発明を主たる引用発明として、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明4、5、7、及び9~16に係る特許は、甲1を主たる証拠とした進歩性欠如の取消理由1によって、取り消されるべきものではない。 3 先の取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立理由のうち、申立理由1(甲1を主たる証拠とした進歩性欠如)は、先の取消理由通知書(決定の予告)において採用した取消理由1であり、その判断は上記2に示したとおりである。 申立理由2(甲2を主たる証拠とした新規性欠如及び/又は進歩性欠如)のうち、本件発明4、5、7、9~16に対応する、請求項4及び請求項4に従属する請求項5、7、9~16についての申立理由2は、甲2を主たる証拠とした進歩性欠如である。 したがって、以下では、本件発明4、5、7、9~16に関し、甲2を主たる証拠とした進歩性の有無について、判断する。 (1)本件発明4について ア 対比 本件発明4と甲2発明とを対比する。 (ア)構成4Aについて 甲2発明において、甲2Hより「ジャケット構造体11は、直杭19及び斜杭20の上方に設置され」る構成は、本件発明4において、「ジャケット」が「複数の杭の上方に設置される」、構成4Aに、相当する。 (イ)構成4Bについて 甲2発明において、甲2Bより「複数の杭ガイド部材(レグ)13,14」を有し、甲2Fより「杭ガイド部材13内に直杭19を挿入」及び「杭ガイド部材14内に斜杭20を挿入」できる構成は、杭を挿入してガイドする部材が管状であり、内空部を備えることが明らかである。 以上を踏まえると、本件発明4における構成4Bの「前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の鋼管レグ」と、甲2発明における甲2Bの「複数の杭ガイド部材(レグ)13,14」とは、「鋼」製であるか否かは措くとして、「前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の管状のレグ」という点で、共通する。 (ウ)構成4Cについて 甲2発明において、甲2Bより「フーチング15」が「各杭ガイド部材13,14の上端集合部に装着された」ものであり、甲2Iより「フーチング15の内部の縦梁部材21が、杭ガイド部材14間、及び、杭ガイド部材13間を接続して」いることから、甲2Dの「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」は、「フーチング15」が「装着」される「各杭ガイド部材13,14の上端集合部」において、「杭ガイド部材14間、及び、杭ガイド部材13間を接続して」いることが明らかである。 以上を踏まえ、また構成4Cの「鋼管レグ」に関し上記(イ)の対比を踏まえると、本件発明4における構成4Cの「前記複数の鋼管レグの上端部同士を接続する複数の上部桁」と、甲2発明の甲2Dにおける「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」とは、接続対象の「レグ」が「鋼」製か否かを措くとして、「前記複数の管状のレグの上端部同士を接続する複数の上部桁」という点で、共通する。 (エ)構成4Eについて 甲2発明において、甲2Cより「フーチング15は上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状に形成されて」おり、甲2Dより「各杭ガイド部材13,14の上端部はフーチング15の上鋼板16及び下鋼板17に貫入して上方に開口しており、フーチング15の内部には複数の縦梁部材21が格子状に配設され」ている構成は、「上鋼板16」が「フーチング15の内部には複数の縦梁部材21が格子状に配設され」た格子間の上方を覆っていることが明らかであり、また「上鋼板16」は「各杭ガイド部材13,14の上端部」が「貫入して上方に開口」している箇所の上方を覆っていないことが明らかである。 以上を踏まえ、また構成4Eの「鋼管レグ」に関し上記(イ)の対比を踏まえると、本件発明4における構成4Eの「前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ、前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記鋼管レグの内空部は上方から覆わないように構成されているとともに、前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている上部鋼板」と、甲2発明の甲2Cにおける「フーチング15」の「上鋼板16」とは、「上部桁」への「端部」での取り付けや「ハンチ部」の有無を措くとして、「前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記管状のレグの内空部は上方から覆わないように構成した上部鋼板」という点で、共通する。 (オ)構成4Jについて 甲2発明において、「ジャケット構造体11」である構成甲2Kは、本件発明4において、「ジャケット」である構成4Jに、相当する。 以上を整理すると、本件発明4と甲2発明とは、以下の点で一致する。 「(4A)複数の杭の上方に設置されるジャケットであって、 (4b’)前記複数の杭それぞれを挿入可能な内空部を備える複数の管状のレグと、 (4c’)前記複数の管状のレグの上端部同士を接続する複数の上部桁と、 (4e’)前記複数の上部桁の間の空間を上方から覆う一方、前記管状のレグの内空部は上方から覆わないように構成した上部鋼板と、を備える、 (4J)ジャケット。」 そして、本件発明4と甲2発明とは、以下の点で相違する。 <相違点1b> 「管状のレグ」に関し、 本件発明4においては、構成4B~4E及び4Iで「鋼管レグ」と特定されているのに対し、 甲2発明においては、「杭ガイド部材(レグ)13,14」について「鋼」製であるか否かが不明である点。 <相違点2b> 本件発明4においては、構成4Dで「前記複数の鋼管レグの上端部の開口を塞ぐ蓋部材」を備えると特定されているのに対し、 甲2発明においては、そのように特定されていない点。 <相違点3b> 「上部鋼板」の構造及び取り付けに関し、 本件発明4においては、構成4Eで、「前記複数の上部桁に端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ」ているとともに、「上部鋼板」に「前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されている」と特定されているのに対し、 甲2発明においては、甲2C及び甲2Dより、「上鋼板16」は「上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状」に形成する「フーチング15」の一部であり、「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」に対して「端部が溶接又は機械的な接合で取り付けられ」るものではなく、また「前記端部から斜め上方に傾斜して延びるハンチ部が形成されて」はいない点。 <相違点4b> 本件発明4においては、「補強部」の有無及び周辺部材との接続構造に関し、構成4F~構成4Hより、 「(4F)前記上部鋼板の上面には、該上部鋼板を補強する、ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部が、フランジ部が上方となるように設けられており、 (4G)前記補強部の前記ウェブの下端面であって前記上部桁の上方に位置する部位にはプレートが取り付けられており、 (4H)前記ウェブの真下の位置であって、前記上部桁の上フランジの幅方向中央部分にはスタッド部が溶接により取り付けられていて、前記スタッド部は、ネジスタッドと、該ネジスタッドの上端部に取り付けられた高さ位置を調整可能なナット部とで構成されていて、前記ナット部の上端が前記プレートの下面に当接するように調整されて」 いると特定されているのに対し、 甲2発明においては、「フーチング15」の「上鋼板16」の上面に「補強部」を有しておらず、また「補強部」と周辺部材との接続について構成4G及び構成4Hのような構造も有さない点。 <相違点5b> 本件発明4においては、構成4Iより「前記上部鋼板は、前記補強部により、前記複数の鋼管レグの上端部の開口を通して前記複数の杭のうちの一部の杭の杭打ちをする杭打ち工程で使用される杭打ち機および前記杭打ち工程後のコンクリート打設工程で使用される車両のそれぞれを当該上部鋼板の上で使用することが可能なように補強されている」のに対し、 甲2発明においては、「上鋼板16」に「補強部」を有さない点。 イ 相違点についての判断 (ア)相違点3bについて 事案に鑑み、まず上記相違点3bについて判断する。 甲2発明において、甲2C及び甲2Dより、「上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状」に形成する「フーチング15」の一部である「上鋼板16」について、「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」との接続を、「斜め上方に傾斜して延びるハンチ部」を有して「ハンチ部」の「端部」が「複数の上部桁」に取り付けられるものとして、構造を複雑化する動機付けがあるとはいえない。 甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5の記載を考慮しても、甲2発明における「矩形箱型形状」の「フーチング15」の一部である「上鋼板16」について、「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」との接続を、「斜め上方に傾斜して延びるハンチ部」を有して「ハンチ部」の「端部」が「複数の上部桁」に取り付けられるものとすることが、示唆されているとはいえない。 したがって、甲2発明において、上記相違点3bに係る本件発明4の構成とすることは、甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5の記載を考慮しても、当業者にとって容易であったとはいえない。 (イ)相違点4bについて 事案に鑑み、次に、上記相違点4bについて判断する。 甲2発明において、甲2C及び甲2Dより、「上鋼板16と下鋼板17と4枚の外周鋼板18により矩形箱型形状」に形成する「フーチング15」の一部である「上鋼板16」について、「上鋼板16」の上に「ウェブを有する断面T形の鋼材である補強部」を設けて、本件発明4の構成4Fに相当する構成とする動機付けがあるとはいえない。 また甲2発明において、上述のように新たに設ける「補強部」と、「フーチング15の内部」の「複数の縦梁部材21」との間に、高さ位置を調整可能とするボルト等の構造を設けて、本件発明4の構成4G及び構成4Hに相当する構成とする動機付けがあるとはいえない。 そして、甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5の記載を考慮しても、本件発明4の構成4G及び構成4Hに相当する構成は開示されておらず、また甲2発明を出発点として、上記相違点4bに係る本件発明4の構成とすることが示唆されているとはいえない。 したがって、甲2発明において、上記相違点4bに係る本件発明4の構成とすることは、甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5の記載を考慮しても、当業者にとって容易であったとはいえない。 (ウ)相違点1b、相違点2b及び相違点5bについて 上記(ア)及び(イ)のとおり、甲2発明において、上記相違点3b及び上記相違点4bに係る本件発明4の構成に至ることは当業者にとって容易でないから、その余の相違点1b、相違点2b及び相違点5bについて検討するまでもなく、本件発明4は、甲2発明を出発点として、当業者が容易に発明できたものではない。 ウ 申立人の意見書における主張について 申立人は、令和7年7月16日提出の意見書において、上記相違点4bに係る本件発明4の構成のうち、本件訂正によって特定された構成4G及び構成4Hに係る構成は、参考文献3~参考文献5に記載される公知の設計・施工例であるから、甲2発明を出発点として、本件発明4は当業者が容易に発明をすることができた旨を主張している。 しかしながら、上記イ(ア)及び(イ)に指摘したとおり、甲2発明において、上記相違点3b及び上記相違点4bに係る本件発明4の構成をとる動機付けはないから、上記申立人の主張を考慮しても、甲2発明を出発点とした本件発明4の進歩性について、上記ア及びイの対比・判断を変更すべき事情はない。 エ 小括 以上のとおり、本件発明4は、甲2発明を主たる引用発明として、甲1、甲2~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 (2)本件発明5、7、及び9~16について 本件発明5、7、及び9~16は、本件発明4の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)に判断したとおり、本件発明5、7、及び9~16が有する本件発明4の構成は、甲2発明を主たる引用発明として、甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、本件発明5、7、及び9~16において付加された構成について対比・判断するまでもなく、本件発明5、7、及び9~16は、甲2発明を主たる引用発明として、または甲2発明に杭等を付加して水中基礎の発明とした甲2水中基礎発明を主たる引用発明として、甲1、甲3~甲10及び参考文献1~5に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明4、5、7、及び9~16に係る特許は、甲2を主たる証拠とした進歩性欠如の申立理由2によって、取り消されるべきものではない。 第6 結び 以上のとおり、請求項4、5、7、及び9ないし16に係る特許は、特許異議申立理由、及び先の取消理由通知書(決定の予告)において通知した取消理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項4、5、7、及び9ないし16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項1ないし3、6及び8に係る特許は、上記第2のとおり、本件訂正により削除された。 これにより、請求項1ないし3、6及び8に係る特許についての特許異議申立は、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により、却下されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700897

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