特許異議申立
2024-700881
化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器
- 審判番号
- 2024-700881
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-527918
- 登録番号
- 7449452
- 請求日
- 2024年09月13日
- 審決日
- 2025年05月23日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】出光興産株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人樹之下知的財産事務所
- 【異議申立人】鯨田 雅信
- 審判長/審判官
- 審判長 阪野 誠司
- 審判官 冨永 保
- 審判官 野田 定文
- 分類
- P1651.113-YAA(C07D) / P1651.121-YAA(C07D) / P1651.536-YAA(C07D) / P1651.537-YAA(C07D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7449452号発明「化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7449452号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
特許第7449452号の請求項1、3~15に係る特許を維持する。
特許第7449452号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7449452号(以下「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、2022年(令和4年)6月9日(優先権主張 令和3年6月10日、同年9月15日、令和4年4月15日)を国際出願日とする出願であって、令和6年3月5日にその特許権の設定登録がされ、同年同月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~15に係る特許について、同年9月13日に、特許異議申立人 鯨田 雅信(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、申立人は同年10月9日に上申書を提出した。
その後、当審合議体は、特許権者に対し、同年11月12日付けで取消理由を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である令和7年1月10日に訂正請求書及び意見書を提出した。当審合議体は、申立人に対し、同年同月28日付けで訂正の請求があった旨の通知をしたが、申立人からは指定期間内に何らの応答もなかった。
第2 訂正の請求について
1 訂正の請求の趣旨及び訂正の内容
令和7年1月10日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は、
「特許第7449452号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを求める。」
というものであり、本件訂正の内容は、本件訂正請求書の記載並びに本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、以下の訂正事項1~5のとおりのものと認める。なお、下線は訂正による記載の変更箇所を示す。
(1) 訂正事項1
(1-1) 訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記一般式(126D)において、
CNは、シアノ基であり、
D11は、下記一般式(132)で表される基であり、
D12は、下記一般式(11)で表される基であり、
R131~R140は、それぞれ独立して、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。」
と記載されているのを、
「前記一般式(126D)において、
CNは、シアノ基であり、
D11は、下記一般式(132)で表される基であり、
D12は、下記一般式(11)で表される基であり、
R131~R140は、それぞれ独立して、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~15も同様に訂正する。
(1-2) 訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記一般式(11)におけるR1~R8並びに前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
X11及びX12は、それぞれ独立に、硫黄原子又は酸素原子であり、*は、ベンゼン環との結合位置を示す。)
(一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、」
と記載されているのを、
「前記一般式(11)におけるR1~R8並びに前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
X11及びX12は、それぞれ独立に、硫黄原子又は酸素原子であり、*は、ベンゼン環との結合位置を示す。)
(一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~15も同様に訂正する。
(1-3) 訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1に、
「(前記一般式(132)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組が、」
と記載されているのを、
「(前記一般式(11)におけるR1~R8のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合せず、
前記一般式(132)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組が、」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~15も同様に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
前記一般式(11)におけるR1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
R131~R140は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である、
請求項1に記載の化合物。」
と記載されているのを、
「前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、水素原子、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
前記一般式(11)におけるR1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
R131~R140は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である、
請求項1に記載の化合物。」
に訂正する。
請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~15も同様に訂正する。
(4) 訂正事項4
(4-1) 訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1から請求項4のいずれか一項」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項」
に訂正する。
(4-2) 訂正事項4-2
特許請求の範囲の請求項6に、
「請求項1から請求項4のいずれか一項」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項」
に訂正する。
(4-3) 訂正事項4-3
特許請求の範囲の請求項7に、
「請求項1から請求項4のいずれか一項」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項」
に訂正する。
(4-4) 訂正事項4-4
特許請求の範囲の請求項8に、
「請求項1から請求項4のいずれか一項」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項」
に訂正する。
(4-5) 訂正事項4-5
特許請求の範囲の請求項9に、
「請求項1から請求項4のいずれか一項」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項」
に訂正する。
請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10~15も同様に訂正する。
(5) 訂正事項5
(5-1) 訂正事項5-1
明細書の【0564】~【0607】に、
「【0564】
<化合物>
実施例1-1~1-5、実施例2-1~2-11、実施例3-1~3-24、並びに実施例4-1~4-25に係る有機EL素子の製造に用いた一般式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
【0565】
【化232】
[図:0001426830000001.jpg]
【0566】
【化233】
[図:0001426830000002.jpg]
【0567】
【化234】
[図:0001426830000003.jpg]
【0568】
【化235】
[図:0001426830000004.jpg]
【0569】
【化236】
[図:0001426830000005.jpg]
【0570】
【化237】
[図:0001426830000006.jpg]
【0571】
【化238】
[図:0001426830000007.jpg]
【0572】
【化239】
[図:0001426830000008.jpg]
【0573】
比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1及び比較例4-1に係る有機EL素子の製造に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0574】
【化240】
[図:0001426830000009.jpg]
【0575】
実施例1-1~1-5、実施例2-1~2-11、実施例3-1~3-24、実施例4-1~4-25、比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1並びに比較例4-1に係る有機EL素子の製造に用いたその他の化合物の構造を以下に示す。
【0576】
【化241】
[図:0001426830000010.jpg]
【0577】
【化242】
[図:0001426830000011.jpg]
【0578】
【化243】
[図:0001426830000012.jpg]
【0579】
<有機EL素子の作製(1)>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
【0580】
(実施例1-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-1と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-1の濃度を97質量%とし、化合物HAの濃度を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-1を蒸着し、膜厚110nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層上に、化合物HT-2を蒸着し、膜厚5nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層上に、化合物CBPを蒸着し、膜厚5nmの電子障壁層を形成した。
次に、この電子障壁層上に、化合物M3としての化合物M3-1と、化合物M2としての化合物A-1と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-1の濃度を75質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET-1を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層上に、化合物ET-2を蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。
次に、この電子輸送層上に、LiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例1-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(110)/HT-2(5)/CBP(5)/M3-1:A-1(25,75%:25%)/ET-1(5)/ET-2(50)/LiF(1)/Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT-1及び化合物HAの割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(75%:25%)は、発光層における化合物M3-1及び化合物A-1の割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
【0581】
(実施例1-2~実施例1-5)
実施例1-2~実施例1-5の有機EL素子は、それぞれ、実施例1-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表1に記載の化合物M2に変更した以外、実施例1-1と同様にして作製した。
【0582】
(比較例1-1)
比較例1-1の有機EL素子は、実施例1-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表1に記載の化合物M2に変更した以外、実施例1-1と同様にして作製した。
【0583】
(実施例2-1)
実施例2-1の有機EL素子は、実施例1-1の発光層に代えて、化合物M3としての化合物M3-1と、化合物M2としての化合物A-1と、化合物M1としての化合物GDとを、共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成し、当該発光層における化合物M3-1の濃度を74質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とし、化合物GDの濃度を1質量%とした以外、実施例1-1と同様にして作製した。
実施例2-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(110)/HT-2(5)/CBP(5)/M3-1:A-1:GD(25,74%:25%:1%)/ET-1(5)/ET-2(50)/LiF(1)/Al(80)
【0584】
(実施例2-2~実施例2-11)
実施例2-2~実施例2-11の有機EL素子は、それぞれ、実施例2-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表2に記載の化合物M2に変更した以外、実施例2-1と同様にして作製した。
【0585】
(比較例2-1)
比較例2-1の有機EL素子は、実施例2-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表2に記載の化合物M2に変更した以外、実施例2-1と同様にして作製した。
【0586】
<有機EL素子の評価(1)>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。なお、比較例1-1及び2-1で使用した比較化合物Ref-1は、化合物M2に該当しないが、便宜的に化合物M2と同じ列に表記する。また、各実施例の発光層で使用した化合物の評価結果も表1及び表2に示す。
【0587】
(寿命LT95)
作製した有機EL素子に、電流密度が50mA/cm2となるように電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95(単位:時間))を寿命として測定した。輝度は、分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。表1に「LT95(相対値)」(単位:%)を示す。
表1に示す「LT95(相対値)」は、各例(実施例1-1~実施例1-5及び比較例1-1)のLT95の測定値、並びに下記数式(数1X)に基づいて算出した。
LT95(相対値)=(各例のLT95/比較例1-1のLT95)×100…(数1X)
【0588】
(外部量子効率EQE)
作製した有機EL素子に、電流密度が10.00mA/cm2となるように電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。表2に「EQE(相対値)」(単位:%)を示す。
表2に示す「EQE(相対値)」は、各例(実施例2-1~実施例2-11及び比較例2-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数2X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例2-1のEQE)×100…(数2X)
【0589】
(最大ピーク波長λp及び発光半値幅FWHM)
有機EL素子の電流密度が10.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、最大ピーク波長λp(単位:nm)及び発光半値幅FWHM(単位:nm)を求めた。FWHMは、Full Width at Half Maximumの略称である。
【0590】
(CIE1931色度)
有機EL素子の電流密度が10.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時のCIE1931色度座標(x、y)を分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。
【0591】
【表1】
[図:0001426830000013.jpg]
【0592】
【表2】
[図:0001426830000014.jpg]
【0593】
<有機EL素子の作製(2)>
(実施例3-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-3と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-3の濃度を97質量%とし、化合物HAの濃度を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-3を蒸着し、膜厚90nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層上に、化合物HT-4を蒸着し、膜厚30nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層上に、化合物M3としての化合物M3-2と、化合物M2としての化合物A-1と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-2の濃度を75質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET-3を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層上に、化合物ET-4と、化合物Liqと、を共蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。電子輸送層における化合物ET-4の濃度を50質量%とし、化合物Liqの濃度を50質量%とした。なお、Liqは、(8-キノリノラト)リチウム((8-Quinolinolato)lithium)の略称である。
次に、この電子輸送層上に、イッテルビウム(Yb)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例3-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-3:HA(10,97%:3%)/HT-3(90)/HT-4(30)/M3-2:A-1(25,75%:25%)/ET-3(5)/ET-4:Liq(50,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
【0594】
(実施例3-2~実施例3-20)
実施例3-2~実施例3-20の有機EL素子は、それぞれ、実施例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表3に記載の化合物M2に変更した以外、実施例3-1と同様にして作製した。
【0595】
(実施例3-21~実施例3-24)
実施例3-21~実施例3-24の有機EL素子は、それぞれ、実施例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表4に記載の化合物M2に変更した以外、実施例3-1と同様にして作製した。
【0596】
(比較例3-1)
比較例3-1の有機EL素子は、実施例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表3に記載の化合物M2に変更した以外、実施例3-1と同様にして作製した。
【0597】
(実施例4-1)
実施例4-1の有機EL素子は、実施例3-1の発光層に代えて、化合物M3としての化合物M3-2と、化合物M2としての化合物A-40と、化合物M1としての化合物GD2とを、共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成し、当該発光層における化合物M3-2の濃度を74.4質量%とし、化合物A-40の濃度を25質量%とし、化合物GD2の濃度を0.6質量%とした以外、実施例3-1と同様にして作製した。
実施例4-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-3:HA(10,97%:3%)/HT-3(90)/HT-4(30)/M3-2:A-40:GD2(25,74.4%:25%:0.6%)/ET-3(5)/ET-4:Liq(50,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
【0598】
(実施例4-2)
実施例4-2の有機EL素子は、実施例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表5に記載の化合物M2に変更した以外、実施例4-1と同様にして作製した。
【0599】
(実施例4-3~実施例4-25)
実施例4-3~実施例4-25の有機EL素子は、それぞれ、実施例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表6及び表7に記載の化合物M2に変更した以外、実施例4-1と同様にして作製した。
【0600】
(比較例4-1)
比較例4-1の有機EL素子は、実施例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表5に記載の化合物M2に変更した以外、実施例4-1と同様にして作製した。
【0601】
<有機EL素子の評価(2)>
実施例3-1~3-24、実施例4-1~4-25、比較例3-1並びに比較例4-1において作製した有機EL素子について、<有機EL素子の評価(1)>に記載の方法で、表3、表4、表5、表6及び表7に示す項目の評価を行った。評価結果を表3、表4、表5、表6及び表7に示す。
【0602】
表3及び表4に示す「EQE(相対値)」は、各例(実施例3-1~3-24並びに比較例3-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数3X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例3-1のEQE)×100…(数3X)
【0603】
表5、表6及び表7に示す「EQE(相対値)」は、各例(実施例4-1~4-25並びに比較例4-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数4X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例4-1のEQE)×100…(数4X)
【0604】
【表3】
[図:0001426830000015.jpg]
【0605】
【表4】
[図:0001426830000016.jpg]
【0606】
【表5】
[図:0001426830000017.jpg]
【0607】
【表6】
[図:0001426830000018.jpg]
」
と記載されているのを、
「【0564】
<化合物>
参考例1-1~1-5、参考例2-1~参考例2-5、実施例2-6、参考例2-7~参考例2-11、参考例3-1、実施例3-2~実施例3-20、参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24、並びに参考例4-1、参考例4-2、実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25に係る有機EL素子の製造に用いた一般式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
【0565】
【化232】
[図:0001426830000019.jpg]
【0566】
【化233】
[図:0001426830000020.jpg]
【0567】
【化234】
[図:0001426830000021.jpg]
【0568】
【化235】
[図:0001426830000022.jpg]
【0569】
【化236】
[図:0001426830000023.jpg]
【0570】
【化237】
[図:0001426830000024.jpg]
【0571】
【化238】
[図:0001426830000025.jpg]
【0572】
【化239】
[図:0001426830000026.jpg]
【0573】
比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1及び比較例4-1に係る有機EL素子の製造に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0574】
【化240】
[図:0001426830000027.jpg]
【0575】
参考例1-1~1-5、参考例2-1~参考例2-5、実施例2-6、参考例2-7~参考例2-11、参考例3-1、実施例3-2~実施例3-20、参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24、参考例4-1、参考例4-2、実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25、比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1並びに比較例4-1に係る有機EL素子の製造に用いたその他の化合物の構造を以下に示す。
【0576】
【化241】
[図:0001426830000028.jpg]
【0577】
【化242】
[図:0001426830000029.jpg]
【0578】
【化243】
[図:0001426830000030.jpg]
【0579】
<有機EL素子の作製(1)>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
【0580】
(参考例1-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-1と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-1の濃度を97質量%とし、化合物HAの濃度を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-1を蒸着し、膜厚110nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層上に、化合物HT-2を蒸着し、膜厚5nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層上に、化合物CBPを蒸着し、膜厚5nmの電子障壁層を形成した。
次に、この電子障壁層上に、化合物M3としての化合物M3-1と、化合物M2としての化合物A-1と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-1の濃度を75質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET-1を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層上に、化合物ET-2を蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。
次に、この電子輸送層上に、LiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
参考例1-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(110)/HT-2(5)/CBP(5)/M3-1:A-1(25,75%:25%)/ET-1(5)/ET-2(50)/LiF(1)/Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT-1及び化合物HAの割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(75%:25%)は、発光層における化合物M3-1及び化合物A-1の割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
【0581】
(参考例1-2~参考例1-5)
参考例1-2~参考例1-5の有機EL素子は、それぞれ、参考例1-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表1に記載の化合物M2に変更した以外、参考例1-1と同様にして作製した。
【0582】
(比較例1-1)
比較例1-1の有機EL素子は、参考例1-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表1に記載の化合物M2に変更した以外、参考例1-1と同様にして作製した。
【0583】
(参考例2-1)
参考例2-1の有機EL素子は、参考例1-1の発光層に代えて、化合物M3としての化合物M3-1と、化合物M2としての化合物A-1と、化合物M1としての化合物GDとを、共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成し、当該発光層における化合物M3-1の濃度を74質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とし、化合物GDの濃度を1質量%とした以外、参考例1-1と同様にして作製した。
参考例2-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-1:HA(10,97%:3%)/HT-1(110)/HT-2(5)/CBP(5)/M3-1:A-1:GD(25,74%:25%:1%)/ET-1(5)/ET-2(50)/LiF(1)/Al(80)
【0584】
(参考例2-2~参考例2-5、実施例2-6、参考例2-7~参考例2-11)
参考例2-2~参考例2-5、実施例2-6、参考例2-7~参考例2-11の有機EL素子は、それぞれ、参考例2-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表2に記載の化合物M2に変更した以外、参考例2-1と同様にして作製した。
【0585】
(比較例2-1)
比較例2-1の有機EL素子は、参考例2-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表2に記載の化合物M2に変更した以外、参考例2-1と同様にして作製した。
【0586】
<有機EL素子の評価(1)>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。なお、比較例1-1及び2-1で使用した比較化合物Ref-1は、化合物M2に該当しないが、便宜的に化合物M2と同じ列に表記する。また、各実施例の発光層で使用した化合物の評価結果も表1及び表2に示す。
【0587】
(寿命LT95)
作製した有機EL素子に、電流密度が50mA/cm2となるように電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95(単位:時間))を寿命として測定した。輝度は、分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。表1に「LT95(相対値)」(単位:%)を示す。
表1に示す「LT95(相対値)」は、各例(参考例1-1~参考例1-5及び比較例1-1)のLT95の測定値、並びに下記数式(数1X)に基づいて算出した。
LT95(相対値)=(各例のLT95/比較例1-1のLT95)×100…(数1X)
【0588】
(外部量子効率EQE)
作製した有機EL素子に、電流密度が10.00mA/cm2となるように電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。表2に「EQE(相対値)」(単位:%)を示す。
表2に示す「EQE(相対値)」は、各例(参考例2-1~参考例2-5、実施例2-6、参考例2-7~参考例2-11及び比較例2-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数2X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例2-1のEQE)×100…(数2X)
【0589】
(最大ピーク波長λp及び発光半値幅FWHM)
有機EL素子の電流密度が10.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、最大ピーク波長λp(単位:nm)及び発光半値幅FWHM(単位:nm)を求めた。FWHMは、Full Width at Half Maximumの略称である。
【0590】
(CIE1931色度)
有機EL素子の電流密度が10.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時のCIE1931色度座標(x、y)を分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。
【0591】
【表1】
[図:0001426830000031.jpg]
【0592】
【表2】
[図:0001426830000032.jpg]
【0593】
<有機EL素子の作製(2)>
(参考例3-1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を1分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT-3と化合物HAとを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層における化合物HT-3の濃度を97質量%とし、化合物HAの濃度を3質量%とした。
次に、この正孔注入層上に、化合物HT-3を蒸着し、膜厚90nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層上に、化合物HT-4を蒸着し、膜厚30nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層上に、化合物M3としての化合物M3-2と、化合物M2としての化合物A-1と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物M3-2の濃度を75質量%とし、化合物A-1の濃度を25質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET-3を蒸着し、膜厚5nmの正孔障壁層を形成した。
次に、この正孔障壁層上に、化合物ET-4と、化合物Liqと、を共蒸着し、膜厚50nmの電子輸送層を形成した。電子輸送層における化合物ET-4の濃度を50質量%とし、化合物Liqの濃度を50質量%とした。なお、Liqは、(8-キノリノラト)リチウム((8-Quinolinolato)lithium)の略称である。
次に、この電子輸送層上に、イッテルビウム(Yb)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
そして、この電子注入層上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
参考例3-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-3:HA(10,97%:3%)/HT-3(90)/HT-4(30)/M3-2:A-1(25,75%:25%)/ET-3(5)/ET-4:Liq(50,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
【0594】
(実施例3-2~実施例3-20)
実施例3-2~実施例3-20の有機EL素子は、それぞれ、参考例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表3に記載の化合物M2に変更した以外、参考例3-1と同様にして作製した。
【0595】
(参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24)
参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24の有機EL素子は、それぞれ、参考例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表4に記載の化合物M2に変更した以外、参考例3-1と同様にして作製した。
【0596】
(比較例3-1)
比較例3-1の有機EL素子は、参考例3-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-1を表3に記載の化合物M2に変更した以外、参考例3-1と同様にして作製した。
【0597】
(参考例4-1)
参考例4-1の有機EL素子は、参考例3-1の発光層に代えて、化合物M3としての化合物M3-2と、化合物M2としての化合物A-40と、化合物M1としての化合物GD2とを、共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成し、当該発光層における化合物M3-2の濃度を74.4質量%とし、化合物A-40の濃度を25質量%とし、化合物GD2の濃度を0.6質量%とした以外、参考例3-1と同様にして作製した。
参考例4-1に係る有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HT-3:HA(10,97%:3%)/HT-3(90)/HT-4(30)/M3-2:A-40:GD2(25,74.4%:25%:0.6%)/ET-3(5)/ET-4:Liq(50,50%:50%)/Yb(1)/Al(80)
【0598】
(参考例4-2)
参考例4-2の有機EL素子は、参考例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表5に記載の化合物M2に変更した以外、参考例4-1と同様にして作製した。
【0599】
(実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25)
実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25の有機EL素子は、それぞれ、参考例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表6及び表7に記載の化合物M2に変更した以外、参考例4-1と同様にして作製した。
【0600】
(比較例4-1)
比較例4-1の有機EL素子は、参考例4-1の発光層に用いた化合物M2としての化合物A-40を表5に記載の化合物M2に変更した以外参考例4-1と同様にして作製した。
【0601】
<有機EL素子の評価(2)>
参考例3-1、実施例3-2~実施例3-20、参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24、参考例4-1、参考例4-2、実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25、比較例3-1並びに比較例4-1において作製した有機EL素子について、<有機EL素子の評価(1)>に記載の方法で、表3、表4、表5、表6及び表7に示す項目の評価を行った。評価結果を表3、表4、表5、表6及び表7に示す。
【0602】
表3及び表4に示す「EQE(相対値)」は、各例(参考例3-1、実施例3-2~実施例3-20、参考例3-21、実施例3-22~実施例3-24並びに比較例3-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数3X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例3-1のEQE)×100…(数3X)
【0603】
表5、表6及び表7に示す「EQE(相対値)」は、各例(参考例4-1、参考例4-2、実施例4-3~実施例4-6、参考例4-7、実施例4-8~実施例4-25並びに比較例4-1)のEQEの測定値、並びに下記数式(数4X)に基づいて算出した。
EQE(相対値)=(各例のEQE/比較例4-1のEQE)×100…(数4X)
【0604】
【表3】
[図:0001426830000033.jpg]
【0605】
【表4】
[図:0001426830000034.jpg]
【0606】
【表5】
[図:0001426830000035.jpg]
【0607】
【表6】
[図:0001426830000036.jpg]
」
に訂正する。
(5-2) 訂正事項5-2
明細書の【0609】に、
「【0609】
一般式(1)で表される化合物を用いた実施例に係る有機EL素子によれば、比較例に係る有機EL素子に比べて、素子性能が向上した。」
と記載されているのを、
「【0609】
一般式(1)で表される化合物を用いた実施例又は参考例に係る有機EL素子によれば、比較例に係る有機EL素子に比べて、素子性能が向上した。」
に訂正する。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~15において、請求項2~15は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~15に対応する訂正後の請求項1~15は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する「一群の請求項」であり、本件訂正は当該「一群の請求項」について請求されたものである。
3 訂正要件の判断
訂正事項1~5についての訂正要件の判断は、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1について
ア 訂正事項1-1及び訂正事項1-2について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」における「R131~R140」、「一般式(132)で表される基」の「R111~R118」及び「R195~R198」並びに「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」の取り得る基として記載の「炭素数1~50のアルキル基」、「炭素数1~50のハロアルキル基」、「炭素数2~50のアルケニル基」、「炭素数2~50のアルキニル基」、「環形成炭素数3~50のシクロアルキル基」、「炭素数7~50のアラルキル基」、「環形成炭素数6~50のアリール基」及び「環形成原子数5~50の複素環基」が、全て「無置換」であることを限定し、また、同取り得る基として記載の「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」、「-O-(R904)で表される基」、「-S-(R905)で表される基」、「-N(R906)(R907)で表される基」、「-C(=O)R908で表される基」、「-COOR909で表される基」、「-P(=O)(R931)(R932)で表される基」、「-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基」及び「-B(R936)(R937)で表される基」についても、「R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937」が、取り得る基として記載の「炭素数1~50のアルキル基」、「環形成炭素数3~50のシクロアルキル基」、「環形成炭素数6~50のアリール基」及び「環形成原子数5~50の複素環基」が、全て「無置換」であることを限定することで、任意の「置換基」を有する場合が削除されたものである。
したがって、訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」の各基が任意の「置換基」を有する場合を削除したものであるから、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)又は特許請求の範囲(以下、合わせて「本件明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」の各基が任意の「置換基」を有する場合を削除したものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1-1及び訂正事項1-2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
イ 訂正事項1-3について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項1-3による訂正は、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(11)で表される基」の「R1~R8のうちの隣接する2つ以上からなる組」が、「いずれも互いに結合」しないことを明確化するものである。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項1-3による訂正は、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」について明確化したものであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、訂正事項1-3による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、請求項1に記載の「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」について明確化したものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1-3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
ウ 訂正事項1についてのまとめ
訂正事項1-1~訂正事項1-3からなる訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、請求項2を削除するものにすぎないから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3) 訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3による訂正は、請求項4に記載の「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(132)で表される基」の「R111~R118」及び「R195~R198」、「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」並びに「R131~R140」の取り得る基として記載の「環形成炭素数6~50のアリール基」及び「炭素数1~50のアルキル基」が、いずれも「無置換」であることに限定されたものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
訂正事項3による訂正は、請求項4に記載の「一般式(126D)で表される化合物」の各基が任意の「置換基」を有する場合を削除したものであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記ア及びイで検討したとおり、訂正事項3による訂正は、請求項4に記載の「一般式(126D)で表される化合物」の各基が任意の「置換基」を有する場合を削除したものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4-1~4-5からなる訂正事項4による訂正は、いずれも、訂正事項2による請求項2の削除によって請求項2の記載の引用ができなくなったことに伴い、請求項2の記載の引用を削除することを目的とするものである。
したがって、訂正事項4(訂正事項4-1~4-5)による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
訂正事項4-1~4-5からなる訂正事項4による訂正は、いずれも、請求項間の引用関係を一部削除しただけのものであるから、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項4(訂正事項4-1~4-5)による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記ア及びイで検討したとおり、訂正事項4-1~4-5からなる訂正事項4による訂正は、いずれも、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、請求項間の引用関係を一部削除しただけのものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4(訂正事項4-1~4-5)による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
(5) 訂正事項5について
ア 訂正事項5-1について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項5-1による訂正は、本件訂正による訂正特許請求の範囲の請求項1に記載の化合物に該当しない化合物を用いた実施例である「実施例1-1~1-5」、「実施例2-1~2-5」、「実施例2-7~2-11」、「実施例3-1」、「実施例3-21」、「実施例4-1~4-2」及び「実施例4-7」の記載について、それぞれ、「参考例1-1~1-5」、「参考例2-1~2-5」、「参考例2-7~2-11」、「参考例3-1」、「参考例3-21」、「参考例4-1~4-2」及び「参考例4-7」の記載に変更することで、当該具体例が本件訂正による訂正特許請求の範囲の請求項1及び3~15に係る発明に該当しないことを明確化したものである。
したがって、訂正事項5-1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項5-1による訂正は、本件訂正による訂正特許請求の範囲の請求項1及び3~15に係る発明に該当しない具体例を明確化しただけであり、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項5-1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、訂正事項5-1による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、本件訂正による訂正特許請求の範囲の請求項1及び3~15に係る発明に該当しない具体例を明確化したものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5-1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
イ 訂正事項5-2について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項5-2による訂正は、訂正事項5-1により、本件訂正後の請求項1~15に係る発明の実施例に該当しないものとなった例を「参考例」に変更し、明確化したことに伴い、対応する「有機EL素子」の説明を変更し、明確化するものである。
したがって、訂正事項5-2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項5-2による訂正は、対応する「有機EL素子」の説明を変更し、明確化しただけであり、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項5-2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、訂正事項5-2による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、対応する「有機EL素子」の説明を変更し、明確化したものであって、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5-2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
ウ 訂正事項5についてのまとめ
訂正事項5-1及び訂正事項5-2からなる訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
4 訂正の請求についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の本件特許に係る発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の請求項1~15(以下、請求項の番号順に「本件訂正請求項1」等ということがある。)の記載は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~15に記載されたとおりのものであり、本件訂正請求項1及び3~15に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び3~15に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める(以下、請求項の番号順に「本件訂正発明1」等といい、これらを総称して「本件訂正発明」いうことがある。)。
「【請求項1】
下記一般式(126D)で表される化合物。
【化1】
[図:0001426830000037.jpg]
(前記一般式(126D)において、
CNは、シアノ基であり、
D11は、下記一般式(132)で表される基であり、
D12は、下記一般式(11)で表される基であり、
R131~R140は、それぞれ独立して、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。)
【化2】
[図:0001426830000038.jpg]
【化12】
[図:0001426830000039.jpg]
(前記一般式(11)におけるR1~R8のうちの隣接する2つ以上からなる組は、いずれも互いに結合せず、
前記一般式(132)におけるR111~R118のうちの隣接する2つ以上からなる組が、互いに結合せず、R195~R198のうちの隣接する2つ以上からなる組が、互いに結合せず、
前記一般式(11)におけるR1~R8並びに前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R908で表される基、
-COOR909で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
-P(=O)(R931)(R932)で表される基、
-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基、
-B(R936)(R937)で表される基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
X11及びX12は、それぞれ独立に、硫黄原子又は酸素原子であり、*は、ベンゼン環との結合位置を示す。)
(一般式中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
R908が複数存在する場合、複数のR908は、互いに同一であるか又は異なり、
R909が複数存在する場合、複数のR909は、互いに同一であるか又は異なり、
R931が複数存在する場合、複数のR931は、互いに同一であるか又は異なり、
R932が複数存在する場合、複数のR932は、互いに同一であるか又は異なり、
R933が複数存在する場合、複数のR933は、互いに同一であるか又は異なり、
R934が複数存在する場合、複数のR934は、互いに同一であるか又は異なり、
R935が複数存在する場合、複数のR935は、互いに同一であるか又は異なり、
R936が複数存在する場合、複数のR936は、互いに同一であるか又は異なり、
R937が複数存在する場合、複数のR937は、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項3】
前記一般式(11)におけるR1~R8、並びに前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(132)におけるR111~R118及びR195~R198は、それぞれ独立に、水素原子、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
前記一般式(11)におけるR1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
R131~R140は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
X11が硫黄原子である、
請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
X11及びX12は、硫黄原子である、
請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
重水素原子を含む、
請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の化合物を含有する、
有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項9】
陽極と、陰極と、有機層と、を有し、
前記有機層は、請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の化合物を化合物M2として含む、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記有機層は、少なくとも1つの発光層を有し、
前記発光層が前記化合物M2を含む、
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記発光層は、前記化合物M2と、さらに化合物M1とを含み、
前記化合物M1は、蛍光発光性の化合物であり、
前記化合物M1の最低励起一重項エネルギーS1(M1)と、前記化合物M2の最低励起一重項エネルギーS1(M2)とが、下記数式(数1)の関係を満たす、
請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
S1(M2)>S1(M1) …(数1)
【請求項12】
前記化合物M1は、下記一般式(D1)で表される化合物である、
請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化21】
[図:0001426830000040.jpg]
(前記一般式(D1)において、
環A、環B、環D、環E及び環Fは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環からなる群から選択される環構造であり、
環B及び環Dの一方が存在するか、又は環B及び環Dの両方が存在し、
環B及び環Dの両方が存在する場合、環B及び環Dは、ZcとZhとを繋ぐ結合を共有し、
環E及び環Fの一方が存在するか、又は環E及び環Fの両方が存在し、
環E及び環Fの両方が存在する場合、環E及び環Fは、ZfとZiとを繋ぐ結合を共有し、
Zaは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zbは、
環Bが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Bが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子、NRb、C(Rb1)(Rb2)又はSi(Rb3)(Rb4)であり、
Zcは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zdは、
環Dが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Dが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子又はNRdであり、
Zeは、
環Eが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Eが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子又はNReであり、
Zfは、窒素原子又は炭素原子であり、
Zgは、
環Fが存在する場合、窒素原子又は炭素原子であり、
環Fが存在しない場合、酸素原子、硫黄原子、NRg、C(Rg1)(Rg2)又はSi(Rg3)(Rg4)であり、
Zhは、窒素原子又は炭素原子であり、
Ziは、窒素原子又は炭素原子であり、
Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRh、P=O又はP=Sであり、
Rb、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、Rd、Re、Rg、Rg1、Rg2、Rg3、Rg4及びRhは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのRb、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、Rd、Re、Rg、Rg1、Rg2、Rg3、Rg4及びRhは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~30のシクロアルキル基、
-Si(R911)(R912)(R913)で表される基、
-O-(R914)で表される基、
-S-(R915)で表される基、又は
-N(R916)(R917)で表される基であり、
ただし、YとZaとの結合、YとZdとの結合、並びにYとZeとの結合は、いずれも単結合である。)
(前記化合物M1において、R911~R917は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
R911が複数存在する場合、複数のR911は、互いに同一であるか又は異なり、
R912が複数存在する場合、複数のR912は、互いに同一であるか又は異なり、
R913が複数存在する場合、複数のR913は、互いに同一であるか又は異なり、
R914が複数存在する場合、複数のR914は、互いに同一であるか又は異なり、
R915が複数存在する場合、複数のR915は、互いに同一であるか又は異なり、
R916が複数存在する場合、複数のR916は、互いに同一であるか又は異なり、
R917が複数存在する場合、複数のR917は、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項13】
前記化合物M1は、下記一般式(20)で表される化合物である、
請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化22】
[図:0001426830000041.jpg]
(前記一般式(20)において、
Xは、窒素原子、又はYと結合する炭素原子であり、
Yは、水素原子又は置換基であり、
R21~R26は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR21及びR22の組、R22及びR23の組、R24及びR25の組、並びにR25及びR26の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのY、及びR21~R26は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数7~30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
置換もしくは無置換のエステル基、
置換もしくは無置換のカルバモイル基、
置換もしくは無置換のアミノ基、
ニトロ基、
シアノ基、
置換もしくは無置換のシリル基、及び
置換もしくは無置換のシロキサニル基からなる群から選択され、
Z21及びZ22は、それぞれ独立に、置換基であるか、又はZ21及びZ22が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのZ21及びZ22は、それぞれ独立に、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のハロゲン化アルコキシ基、及び
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群から選択される。)
【請求項14】
前記発光層は、前記化合物M2と、さらに化合物M3とを含み、
前記化合物M2の最低励起一重項エネルギーS1(M2)と、前記化合物M3の最低励起一重項エネルギーS1(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たす、
請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
S1(M3)>S1(M2) …(数2)
【請求項15】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した、電子機器。」
第4 特許異議の申立ての理由及び当審において通知した取消理由の概要
1 特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、証拠方法として、下記(5)に示す甲第1号証~甲第4号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等という。)を添付して提出し、本件特許の請求項1~15に係る特許を取り消すべきとの特許異議の申し立てをしており、その理由(以下「申立理由」という。)の概要は、下記(1)~(4)に示すとおりである。
なお、ここでいう「請求項1」及び「本件発明1」等の表記は、本件訂正前の本件特許の請求項1及び当該請求項1に係る発明等を意味するものである。
(1) 申立理由1(特許法第29条第1項第3号:新規性)
(1-1) 申立理由1-1
請求項1~11及び13~15に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~11及び13~15に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(1-2) 申立理由1-2
請求項1~10に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~10に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2) 申立理由2(特許法第29条第2項:進歩性)
(2-1) 申立理由2-1
請求項1~15に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~15に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2-2) 申立理由2-2
請求項1~15に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明並びに甲3及び甲4に記載された事項に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~15に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3) 申立理由3(特許法第36条第4項第1号:実施可能要件)
請求項1~15に係る発明は、以下に示すアの点で、発明の課題を解決できない手段を含んでおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、請求項1~15に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
ア
[図:0001426830000042.jpg]
(4) 申立理由4(特許法第36条第6項第1号:サポート要件)
請求項1~15に係る発明は、上記(3)アの点で、発明の課題を解決できない手段を含んでおり、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、請求項1~15に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(5) 甲号証一覧
甲1:国際公開第2021/066059号
甲2:特開2022-8106号公報
甲3:国際公開第2014/208698号
甲4:国際公開第2021/215446号
2 当審において通知した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~15に係る特許について、当審合議体が令和6年11月12日付け取消理由通知により特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
取消理由(明確性)
請求項1~15に係る特許は、その特許請求の範囲の記載について、一般式(132)のR114とR195及びR115とR198という隣接する基同士、並びに、一般式(11)の「R1~R8」の隣接する基同士が、互いに結合してよいのかどうか明確ではない点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
第5 取消理由についての当審合議体の判断
当審合議体は、上記第4の2の取消理由によっては、本件訂正請求項1及び3~15に係る特許を取り消すことはできないないと判断する。
その理由の詳細は、以下のとおりである。
(以下、下線は当審合議体が付与したものである。)
1 本件訂正請求項1では、「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(132)で表される基」の「R111~R118」及び「R195~R198」並びに「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」の取り得る基として記載の「炭素数1~50のアルキル基」、「炭素数1~50のハロアルキル基」、「炭素数2~50のアルケニル基」、「炭素数2~50のアルキニル基」、「環形成炭素数3~50のシクロアルキル基」、「炭素数7~50のアラルキル基」及び「環形成炭素数6~50のアリール基」が、全て「無置換」であり、また、同取り得る基として記載の「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」、「-O-(R904)で表される基」、「-S-(R905)で表される基」、「-N(R906)(R907)で表される基」、「-C(=O)R908で表される基」、「-COOR909で表される基」、「-P(=O)(R931)(R932)で表される基」、「-Ge(R933)(R934)(R935)で表される基」及び「-B(R936)(R937)で表される基」についても、「R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R908、R909、R931、R932、R933、R934、R935、R936及びR937」が、取り得る基として記載の「炭素数1~50のアルキル基」、「環形成炭素数3~50のシクロアルキル基」、「環形成炭素数6~50のアリール基」及び「環形成原子数5~50の複素環基」が、全て「無置換」であることが特定されている。
すなわち、「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(132)で表される基」の「R111~R118」及び「R195~R198」並びに「一般式(11)で表される基」の「R1~R8」は、いずれも「任意の置換基」を有するものではない。
2 ここで、本件明細書【0119】及び【0123】には、それぞれ、
「・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び無置換の環形成原子数5~50の複素環基からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
R904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
R905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
R906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
R907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。」及び
「本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。」
と記載されているところ、本件訂正請求項1の「一般式(126D)で表される化合物」における「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」は、そもそも「任意の置換基」を有していないから、それらが結合して新たに「飽和の環」又は「不飽和の環」を形成することはない。
3 そうすると、本件訂正請求項1及び3~15に係る特許は、その特許請求の範囲の記載について、一般式(132)のR114とR195及びR115とR198という隣接する基同士、並びに、一般式(11)の「R1~R8」の隣接する基同士が、互いに結合しないことが明確であるから、本件訂正請求項1及び3~15の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。
4 したがって、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1及び3~15に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知で採用しなかった申立理由(全申立理由)についての当審合議体の判断
1 申立理由1-1及び申立理由2-1について
(1) 甲1に記載された発明
甲1には、「化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器」に関し、
「下記一般式(1)で表される化合物。
【化1】
[図:0001426830000043.jpg]
(前記一般式(1)において、
Dは、下記一般式(11)、一般式(12)又は一般式(13)で表される基であり、
但し、少なくとも1つのDは、下記一般式(12)又は一般式(13)で表される基であり、
mは、1、2又は3であり、
mが2又は3のとき、複数のDは、互いに同一であるか、又は異なり、
Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換基であり、
置換基としてのRは、それぞれ独立して、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~14のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~14のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~6のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数3~6のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数3~6のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~14のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数2~12のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルチオ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~14のアリールチオ基であり、
但し、少なくとも1つのRは、置換基であり、
少なくとも1つの置換基としてのRは、前記一般式(1)中のベンゼン環との炭素-炭素結合により結合し、
nは、1、2又は3であり、
nが2又は3のとき、複数のRは、互いに同一であるか、又は異なり、
置換基であるRの数と、下記一般式(12)又は一般式(13)で表される基の数との和が、3又は4である。)
【化2】
[図:0001426830000044.jpg]
【化3】
[図:0001426830000045.jpg]
【化4】
[図:0001426830000046.jpg]
(前記一般式(11)におけるR1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換基であり、
前記一般式(12)におけるR11~R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子もしくは置換基であるか、又はR11及びR12の組、R12及びR13の組、R13及びR14の組、R15及びR16の組、R16及びR17の組、並びにR17及びR18の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(13)におけるR111~R118は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子もしくは置換基であるか、又はR111及びR112の組、R112及びR113の組、R113及びR114の組、R115及びR116の組、R116及びR117の組、並びにR117及びR118の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR1~R8、置換基としてのR11~R18、並びに置換基としてのR111~R118は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数3~30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~60のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数2~30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~60のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキルチオ基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリールチオ基であり、
前記一般式(12)及び前記一般式(13)において、
A、B及びCは、それぞれ独立に、下記一般式(14)、一般式(15)及び一般式(16)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造であり、
この環構造A、環構造B及び環構造Cは、隣接する環構造と任意の位置で縮合し、
p、px及びpyは、それぞれ独立に、1、2、3又は4であり、
pが2、3又は4の場合、複数の環構造Aは、互いに同一であるか、又は異なり、
pxが2、3又は4の場合、複数の環構造Bは、互いに同一であるか、又は異なり、
pyが2、3又は4の場合、複数の環構造Cは、互いに同一であるか、又は異なり、
ただし、少なくとも1つのDは、pが2、3又は4であって、環構造Aとして、下記一般式(15)及び一般式(16)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造を含んだ前記一般式(12)で表される基であるか、又はpx及びpyの少なくとも一方が2、3又は4であって、環構造B又は環構造Cとして、下記一般式(15)及び一般式(16)で表される環構造からなる群から選択されるいずれかの環構造を含んだ前記一般式(13)で表される基であり、
前記一般式(11)~(13)中の*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。)
【化5】
[図:0001426830000047.jpg]
(前記一般式(14)において、
R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子もしくは置換基であるか、又はR19及びR20の組が互いに結合して環を形成し、
前記一般式(15)及び一般式(16)において、
X1及びX2は、それぞれ独立して、NR120、硫黄原子、又は酸素原子であり、
R120は、水素原子、ハロゲン原子もしくは置換であり、
置換基としてのR19、R20及びR120は、それぞれ独立に、置換基としてのR1~R8と同義である。)」(請求項1)として、
「
[図:0001426830000048.jpg]
」である化合物を用いた具体例(実施例8:化学構造は【0350】)が記載されていることから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
<甲1発明>
次の構造を有する化合物。
[図:0001426830000049.jpg]
(以下、「A8化合物」という。)
(2) 本件訂正発明と甲1に記載された発明との対比・判断
ア 本件訂正発明1について
(ア) 本件訂正発明1と甲1発明との対比
甲1発明におけるA8化合物は、本件訂正発明1における一般式(126D)において、「R131~R140」が全て「水素原子」であり、また、「D11」及び「D12」がいずれも「一般式(132)で表される基」であって、「一般式(132)」中の「R111~R118」及び「R195~R198」が全て「水素原子」であり、かつ、「X11」及び「X12」がともに「硫黄原子」である
「
[図:0001426830000050.jpg]
」の化学構造式を有する基(以下「環7基」という。)である化合物といえる(本件訂正発明1の化合物は、「D11」が「一般式(132)で表される基」であり、「D12」が「一般式(11)で表される基」である。)。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」
である点で一致し、以下の相違点1で相違する。
相違点1:
本件訂正発明1は、「一般式(126D)で表される化合物」(以下、一般式(126D)の化学構造を省略する。)であるのに対し、甲1発明は、「A8化合物」である点
(イ) 相違点についての検討
a 新規性について
相違点1は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲1に記載された発明ではない。
b 進歩性について
甲1の請求項1には、「A8化合物」の上位概念として、「一般式(1)で表される化合物」が記載されているものの、甲1には、具体的に本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」をともに有する化合物の記載も、「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」の構造を有した上で、その4位と6位に、7つの環が縮合した縮合環基と3つの環が縮合した縮合環基を有する化合物の記載もなく([0114]~[0170])、それら化合物を示唆する記載もない。
そうすると、甲1発明において、特に一方の「環7基」のみについて、本件訂正発明1の3つの環が縮合した縮合環基である「一般式(11)で表される基」に変更する動機付けは見いだせない。
また、甲2~甲4のいずれにも、本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」をともに有する化合物の具体的な製造を伴う記載や、「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」の構造を有した上で、その4位と6位に、7つの環が縮合した縮合環基と3つの環が縮合した縮合環基を有する化合物の記載はなく(甲2:【0084】~【0114】、甲3:「0319」~「0378」、甲4:[0197]、[0222])、甲1発明の「環7基」の一方のみを変更することを示唆する記載はない。
そうすると、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件訂正発明3~15について
本件訂正発明3~15は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件訂正発明3~11及び13~15は、甲1に記載された発明ではなく、また、本件訂正発明3~15は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 申立理由1-2及び申立理由2-2について
(1) 甲2に記載された発明
甲2には、「発光材料として有用な化合物とそれを用いた発光素子」に関し、
「下記一般式(1)で表される化合物。
【化1】
[図:0001426830000051.jpg]
[一般式(1)において、
Rは、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、または炭素原子で結合する置換もしくは無置換のヘテロアリール基であり、
Arは、置換もしくは無置換のアリール基、または炭素原子で結合する置換もしくは無置換のヘテロアリール基であり、
D1およびD2は、各々独立にドナー性基を表すが、そのうちの少なくとも1つはヘテロ環縮合カルバゾール-9-イル基(前記ヘテロ環と前記カルバゾールは置換されていてもよい)である。]」(請求項1)として、
「
[図:0001426830000052.jpg]
」である化合物を用いた具体例(合成例2:化学構造は【0087】)が記載されていることから、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
<甲2発明>
次の構造を有する化合物。
[図:0001426830000053.jpg]
(以下、「C2化合物」という。)
(2) 本件訂正発明と甲2に記載された発明との対比・判断
ア 本件訂正発明1について
(ア) 本件訂正発明1と甲2発明との対比
甲2発明におけるC2化合物は、本件訂正発明1における一般式(126D)において、「R131、R132及びR140~R140」が全て「水素原子」で、「R133」が「シアノ基」であり、「D11」及び「D12」が、「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」のいずれにも該当しない
「
[図:0001426830000054.jpg]
」の化学構造を有する基(以下「環5基」という。)という同一の5つの環が縮合した縮合環基を有する化合物である。
そうすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、
「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」
である点で一致し、以下の相違点2で相違する。
相違点2:
本件訂正発明1は、「一般式(126D)で表される化合物」であるのに対し、甲2発明は、「C2化合物」である点
(イ) 相違点についての検討
a 新規性について
相違点2は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲2に記載された発明ではない。
b 進歩性について
甲2の請求項1には、「C2化合物」の上位概念として、「一般式(1)で表される化合物」が記載され、「一般式(1)で表される化合物」の「D1及びD2」が取り得るとして示された324個の基(【0025】)の中には、本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」に該当する「D150」、「D156」、「D252」及び「D258」や、本件訂正発明1の「一般式(11)で表される基」に該当する「D1」~「D6」が存在するものの、甲2には、具体的に本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」をともに有する化合物の記載も、「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」の構造を有した上で、その4位と6位に、7つの環が縮合した縮合環基と3つの環が縮合した縮合環基を有する化合物の記載はなく(【0034】、【0085】~【0114】)、それらの化合物を示唆する記載もない。
また、詳細な化合物の合成手法が示されていない多数の例示(【0034】)においても、たとえば、
[図:0001426830000055.jpg]
[図:0001426830000056.jpg]
のような、4位と6位に7つの環が縮合した縮合環基が結合する「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」が記載されているものの、本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」をともに有する化合物の記載はなく、かつ、「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」の構造を有した上で、その4位と6位に、7つの環が縮合した縮合環基と3つの環が縮合した縮合環基を有する化合物でもない化合物が示されているにすぎない。
そうすると、甲2発明において、2つの「環5基」について、一方を本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」にするとともに、他方を本件訂正発明1の「一般式(11)で表される基」に変更する動機付けは見いだせない。
また、甲3及び甲4のいずれにも、本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」をともに有する化合物の具体的な製造を伴う記載や、「1,3-ジシアノ-2,5-ジフェニル-ベンゼン構造を有する化合物」の構造を有した上で、その4位と6位に、7つの環が縮合した縮合環基と3つの環が縮合した縮合環基を有する化合物の記載はなく(甲3:「0319」~「0378」、甲4:[0197]、[0222])、甲2発明の2つの「環5基」を、本件訂正発明1の「一般式(132)で表される基」及び「一般式(11)で表される基」に変更することを示唆する記載はない。
そうすると、甲2発明において、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明並びに甲3及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件訂正発明3~15について
本件訂正発明3~15は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件訂正発明3~10は、甲2に記載された発明ではなく、また、本件訂正発明3~15は、甲2に記載された発明並びに甲3及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 申立理由3について
本件の明細書に記載の比較例(「Ref-1」を使用)及び参考例は本件訂正発明1及び3~15に該当するものではなく、本件訂正発明1及び3~15に該当する実施例が、本件の明細書には具体的に記載されているから(例えば、化合物A-9を用いた実施例2-6等)、本件訂正請求項1及び3~15は、過度の試行錯誤を要することなく、当該発明に係る物を作り、使用することができ、比較例で使用した化合物である「Ref-1」より優れた効果を示すことは明らかである。
したがって、本件の明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものである。
4 申立理由4について
(1) 本件訂正発明の課題
本件訂正請求項1及び3~15の記載、並びに、本件明細書の【0006】及び【0007】を含む本件の明細書全体の記載からみて、本件訂正発明1及び3~7の課題は、「フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)の高い化合物又は有機エレクトロルミネッセンス素子の高性能化を実現できる化合物を提供すること」であり、本件訂正発明8~15の課題は、「PLQYの高い化合物又は有機エレクトロルミネッセンス素子の高性能化を実現できる化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供すること」であると認められる。
(2) 検討
本件訂正発明1及び3~15に該当する多数の実施例が、本件の明細書には具体的に記載されているところ、例えば、「実施例2-6」で使用している「化合物A-9」は、「比較例1-1」で使用している「Ref-1」と比較して、「0.90」という高い「PLQY」を有し、「122」という高い「EQE」を示していることから、本件訂正発明の課題を解決しているものといえる。
したがって、本件訂正発明1及び3~15は、発明の詳細な説明に記載された発明で、かつ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
5 申立人の主張について
申立人は、申立書において、
「D12は、3環縮合基と「R1~R8のうちの隣接する2つ以上からなる組が、互いに結合」した環構造(4環以上の縮合基)を含む。」ことを前提とした申立理由1、3及び4を主張しているところ(申立書26、39頁)、本件訂正発明1及び3~15では、「D12」は、「4環以上の縮合基」ではない「3環縮合基」であることが明らかであり、また、本件の明細書に記載の比較例で使用している化合物(「Ref-1」:甲1発明の「A8化合物」に同じ。)等は本件訂正発明1及び3~15に該当するものではないから、当該前提に基づいた申立理由1、3及び4についての主張は、いずれも採用できない。
また、申立理由2に関し、化合物の置換基を置き換える事項についての主張(申立書31~33頁)については、上記1(2)ア(イ)b及び2(2)ア(イ)bで説示したとおり、変更する動機付けがないから、当該主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、並びに、申立人の申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正請求項1及び3~15に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、ほかに本件訂正請求項1及び3~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2は、本件訂正により削除され、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700881