特許異議申立
2024-700874
投光器
- 審判番号
- 2024-700874
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-060036
- 登録番号
- 7447618
- 請求日
- 2024年09月12日
- 審決日
- 2025年02月28日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】岩崎電気株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
- 【異議申立人】芦塚 和昭
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.121-Y (F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7447618号発明「投光器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7447618号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7447618号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和2年3月30日に出願され、令和6年3月4日にその特許権の設定登録がされ、同年3月12日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~5に係る特許に対し、令和6年9月12日に特許異議申立人芦塚和昭(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、本件特許の特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のものである。
「【請求項1】
複数の発光部を備え、前記発光部のそれぞれの光によって投光照明する投光器において、
前記発光部は複数のLED素子を樹脂で覆って構成され、
前記発光部の光を制御する全反射放物面を有するレンズを、前記発光部の一つ一つに対応させて、前記発光部ごとに備え、
前記発光部の発光中心から前記発光部の縁部までの距離が最大の箇所を最大外径部として、前記最大外径部と前記レンズの出射端縁部とを結び、かつ、前記発光部の光軸を通る直線と、前記発光部の光軸とが成す角度が10度から35度の間である
ことを特徴とする投光器。
【請求項2】
前記レンズは、
前記発光部の光が入射する凹状の入射面が、単一の球面形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の投光器。
【請求項3】
前記レンズの出射端の出射面は、単一の平面形状、又は単一の曲面形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の投光器。
【請求項4】
設置時に水平方向に並ぶそれぞれの前記レンズの間に遮光部を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の投光器。
【請求項5】
前記レンズの焦点距離FLと、前記最大外径部の大きさLMとが、
LM/7.2<FL
の関係を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の投光器。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、次の証拠を提示し、以下の特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
1 提示された証拠
甲第1号証:特開2015-144041号公報
甲第2号証:特開2016-162486号公報
甲第3号証:特開2011-238497号公報
甲第4号証:特開2012-243531号公報
甲第5号証:特開2015-90772号公報
甲第6号証:特開2006-295914号公報
甲第7号証:国際公開第2016/039130号
甲第8号証:特開2011-60472号公報
甲第9号証:特開2016-58329号公報
甲第10号証:特開2018-45847号公報
以下、甲第○号証を甲○という。
2 申立理由
甲1を主たる証拠としての本件発明1~5の進歩性の欠如[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]
本件発明1~5は、甲1に記載された発明と、甲2~甲10に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明することができたものである。
第4 当審の判断
1 甲1について
(1)甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線については、当審で付与したものである(甲2~甲10の記載についても同様)。
ア 「【0020】
[投光照明装置の全体構成]
本実施形態の投光照明装置100は、筐体10と、光学ユニット20と、放熱器5と、端子ユニット6と、ガード部材7と、ベース9とを有する。」
イ 「【0026】
(光学ユニット)
図8は、光学ユニット20の平面図である。光学ユニット20は、筐体10の第1の面111に配置された複数の発光デバイス21の集合体で構成される。」
ウ 「【0028】
複数の発光デバイス21は、それぞれ同一の構成を有する。発光デバイス21は、複数のLEDを搭載したLED基板22と、複数のLEDから出射した光を集光する複数のレンズ部を有するレンズ基板23との積層構造を有する。」
エ 「【0033】
複数のLED221は、典型的には、LEDランプやLEDチップで構成され、本実施形態では、光出射部がドーム状(凸状)のレンズ部で被覆されたLEDチップで構成される。複数のLED221は、各々の発光面を正面方向(+Y方向)に向けて配線基板222上に所定の間隔をあけて実装されている。」
オ 「【0035】
レンズ基板23は、LED基板22上の複数のLED221各々に対向して配置された複数のレンズ部231を有し、透光性樹脂材料の成形体で構成される。」
カ 「【0039】
複数のレンズ部231は、頂部231aと、光出射面231bと、側周面231cとをそれぞれ有する。頂部231aは、複数のLED221各々と対向する。光出射面231bは、主板部232の表面と面一に形成され、頂部231aを通る軸心231y方向に沿った有底孔231dを有する。側周面231cは、頂部231aと光出射面231bとの間に設けられ、上記軸心まわりの回転体形状を有する。
【0040】
レンズ部231の頂部231aに対向するLED221は、図11Cに示すように頂部231aに向かって凸なる形状の発光面221pを有する。発光面221pは、例えば、LED221の発光部に形成されたレンズ面で構成される。一方、頂部231aは、発光面221pに対向し発光面221pに対応する形状の凹面部P1を有する。これにより、LED221からレンズ部231への光の取り込み効率が高まり、光出射面231bからの出射光量を高めることが可能となる。
【0041】
有底孔231dは、光出射面231bから頂部231aに向かって所定の深さで形成された丸孔で構成される。本実施形態では、有底孔231dの底部に光出射面231b側に凸なる形状の凸面部P2が設けられている。有底孔231dの底部に凸面部P2が設けられることで、有底孔231dの底部に入射する光の集光作用が得られる。これにより、正面方向(+Y方向)の出射光量が高まるため、例えば狭角用の投光照明装置を構成することができる。」
キ 「【0043】
側周面231cの形状は、特に限定されず、目的とする出射光の照射範囲に応じて適宜設定可能である。本実施形態では、側周面231cは、軸心231yを中心とする回転曲線からなる曲面体形状(典型的には、放物面等の二次曲面)を有する。この構成により、例えば、ビームの開きが30°未満の狭角配光照明に適用可能となる。」
ク 「【0060】
図11Cに示すように、各々のLED221から出射した光は、それぞれ、レンズ部231の頂部231a(凹面部P1)からレンズ部231の内部に進入し、光出射面231bから外気へ出射する。光出射面231bからの出射光Lは、正面方向(+Y方向)へ向かう出射光L1と、正面方向に対してやや斜め方向に向かう出射光L2とを含む。出射光L1は、主として、側周面231cで全反射した光と、有底孔231dの底部(凸面部P2)を透過した光とを含む。一方、出射光L2は、主として、頂部231aからから直線的に光出射面231bに到達した光で構成される。
【0061】
光出射面231bから出射される光の配光分布は、主に側周面231cの断面形状で調整され、これにより所望とする配光制御を実現する。本実施形態では、出射光L2の光量よりも出射光L1の光量が多く、かつ、光出射面231bからの出射光L2の出射角(光出射面231bの法線と出射光L2とのなす角)が所定以下となるようにレンズ部231の形状が最適化される。これにより正面方向への出射光量を高めつつ、所定の狭角範囲に十分な光量の光を出射することが可能となる。」
ケ 図11は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000001.jpg]
」
(2)甲1の認定事項
前記(1)カ、ケから、光出射面231bは、単一の平面部分と、有底孔231dを有していると認められる。
(3)甲1発明
前記(1)、(2)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。なお、括弧内に主な参照箇所を示した。
「光学ユニット20を有し(段落【0020】)、
前記光学ユニット20は、複数の発光デバイス21の集合体で構成され(段落【0026】)、
前記発光デバイス21は、複数のLED221を搭載したLED基板22と、複数の前記LED221から出射した光を集光する複数のレンズ部231を有するレンズ基板23とを有し(段落【0028】、【0035】、【0039】、【0040】)、
複数の前記レンズ部231は、前記LED基板22上の複数のLED221各々に対向して配置され、頂部231aと、光出射面231bと、側周面231cとをそれぞれ有し(段落【0035】、【0039】)、
前記光出射面231bは、単一の平面部分と有底孔231dを有し(前記(2)ア)、
前記有底孔231dの底部に前記光出射面231b側に凸なる形状の凸面部P2が設けられ(段落【0041】)、
複数の前記LED221は、ドーム状のレンズ部で被覆されたLEDチップで構成され、前記頂部231aに向かって凸なる形状の発光面221pを有し(段落【0033】、【0040】)、
前記頂部231aは、前記発光面221pに対向し前記発光面221pに対応する形状の凹面部P1を有し(段落【0040】)、
前記側周面231cの形状は、軸心231yを中心とする放物面であり(段落【0043】)、
前記光出射面231bからの出射光Lは、正面方向へ向かう出射光L1と、正面方向に対してやや斜め方向に向かう出射光L2とを含み、前記出射光L1は、前記側周面231cで全反射した光と前記凸面部P2を透過した光とを含み、前記出射光L2は、頂部231aからから直線的に光出射面231bに到達した光で構成され(段落【0060】、図11)、
前記光出射面231bからの前記出射光L2の出射角が所定以下となるように前記レンズ部231の形状が最適化され、ビームの開きが30°未満の狭角配光照明に適用可能となる(段落【0061】、【0043】)
投光照明装置100」
2 甲2、甲3、甲7について
(1)甲2について
ア 甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0013】
照明器具100は、光源モジュールであるLED10と、表面に複数のLED10が並べて実装された基板20と、基板20の裏面に接続する筐体30と、基板20の外周部に配置されてレンズ50を支持する反射板80と、枠40とを備える。なお、照明器具100は電源、電源端子台、取付ばね(図示せず)なども備える。」
(イ)「【0015】
・・・レンズ50は、LED10の出射面側を覆うように配設されており、好ましくは透明のPMMA材である。枠40は、レンズ50を反射板80とサンドイッチするように筐体30にねじ止めされている。枠40は水平方向に近い方向からレンズ50への視線を遮るために設けられている。反射板80は、好ましくは90%以上の反射率を有する白色のポリカーボネイト製である。」
(ウ)「【0019】
また、出射面51bの任意の地点をP2とし、モジュール発光部の端部をP0とし、P0からレンズ50の中心軸(光軸11)をまたいで進みP2に至る光路でレンズ50の第一入射面51aとの交点をP1とする。点P2と中心軸(光軸11)の距離をDh、点P1と中心軸(光軸11)の距離をDnと表記する。枠40の略すり鉢形状をした内面の最外径部をP3とする。」
(エ)図4は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000002.jpg]
」
イ 甲2に記載された技術事項
前記アから、甲2には、以下の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているといえる。
「光源モジュールであるLED10と、表面に複数のLED10が並べて実装された基板20と、前記LED10の出射面側を覆うように配設されたレンズ50と、枠40とを備えた照明器具100において、モジュール発光部の端部P0から、前記レンズ50の中心軸(光軸11)をまたいで進み、前記レンズ50の第一入射面51aとの交点P1、前記レンズ50の出射面51bとの交点P2を通り、前記交点P2から枠40の略すり鉢形状をした内面の最外径部P3に向かう光を放射する」こと。
(2)甲3について
ア 甲3の記載事項
(ア)「【0039】
<第3の実施の形態>
図7は本発明の第3の実施態様に係る灯具400の構成の一例を示す概略断面図である。本実施形態の灯具400は、例えば車両用のすれ違いヘッドランプであり、図8に示すような配光パターンを照射する。光源ユニット410、反射面440(合議体注:「反射面420」の誤記と認める。)等を備えた反射方式の灯具である。本実施の形態においては反射面440が本発明の光学部材に該当する。」
(イ)「【0040】
光源ユニット410は、半導体発光装置411を有する。・・・半導体発光装置411は、セラミック基板415の一方の表面上にLEDチップ413が搭載される。・・・
【0041】
反射面420は、本発明における光学部材である。反射面420は前記光軸Xと交差する位置に設けられ、反射面420と光源ユニット410の間には空気層450が存在する。また、前記反射面420は、LEDチップ413の発光面上、より具体的には前記LEDチップの反射面420と反対側のLEDチップ表面端部もしくはその近傍に焦点Fを有する回転放物面系の反射面もしくは回転放物面を基礎とした所謂自由曲面またはこれらの複合反射面とされている。これにより半導体発光装置411の焦点Fから放射された光線L2(図8において実線にて示す)は、水平方向に向かって照射する。また、焦点より反射面420寄りに位置するLEDチップ表面端部から出射した光線L3(図面上にて点線にて示す)は、下向き光となって灯具投影方向に向かって反射される。・・・」
(ウ)図7は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000003.jpg]
」
イ 甲3に記載された技術事項
前記アから、甲3には、以下の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているといえる。
「光源ユニット410、反射面420を備えた反射方式の灯具400において、前記光源ユニット410は、半導体発光装置411を有し、前記半導体発光装置411は、セラミック基板415の一方の表面上にLEDチップ413が搭載され、前記反射面420は、前記LEDチップ413の前記反射面420と反対側のLEDチップ表面端部に焦点Fを有する回転放物面系の反射面を有し、前記半導体発光装置411の焦点Fから放射された光線L2は、前記LEDチップ413の光軸を通り、前記反射面により水平方向に向かって照射する」こと。
(3)甲7について
ア 甲7の記載事項
甲7には、以下の事項が記載されている。
(ア)「[0016] 以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るスポーツ照明器具1の正面図、図2はスポーツ照明器具1の側面図、図3はスポーツ照明器具1を斜め上方から見た斜視図である。
このスポーツ照明器具1は、屋外球技場や屋外競技場を観客席側から照明する照明器具であり、投光器とも称する。・・・
[0017] 器具本体2は、前面が開放する有底筒状の筐体10と、この筐体10に設けられる複数(本構成では6個)の光源モジュール12(後述する図5)と、筐体10の前面を覆う前面カバー14とを備えている。光源モジュール12は、それぞれ面状光源の一例たるCOB型LED51を備え、各COB型LED51の光が前面カバー14を介して前方に照射される。・・・」
(イ)「[0023] 図4に示すように、筐体10内の中心には、一つの反射鏡40Aが配置され、この反射鏡40Aの周りに等角度間隔で複数(5個)の反射鏡40B、40C、40D、40E、40Fが配置される。・・・
これら反射鏡40は、後段に詳述するが、光源モジュール12毎に一個ずつ設けられており、各光源モジュール12からの光を後述するフレネルレンズ61に向けて反射する光反射部材として機能する。
筐体10の前面から見た場合に、反射鏡40の位置は各光源モジュール12の光源位置と一致している。・・・
[0024]・・・光源モジュール12は、上述のとおり、COB型LED51を光源に備えたモジュールであり、COB型LED51と、このCOB型LED51が取り付けられるベースプレート53と、放熱部55とを備えている。
COB型LED51は、多数のLEDをLED基板51Aの上に密集配置して平面視略円形(四角形も有り得る)の面状光を放射する面状の発光面51Bを形成したチップオンボード(Chip On Board:COB)構造の発光デバイスであり、その配光はランベルト配光(コサイン配光)である。・・・
[0025]・・・このCOB型LED51は、多数のLED素子と、これらLED素子を覆って封止する蛍光体樹脂とを備え、・・・
[0026]・・・各光源モジュール12のCOB型LED51は、反射鏡40の光軸Lと垂直な同一平面上に並べて配置されており、中央に配置されるCOB型LED51と周囲に配置される各COB型LED51との距離は同一距離に保たれている。・・・」
(ウ)「[0030] 図5及び図6に示すように、各反射鏡40は、一対一で対応するCOB型LED51とフレネルレンズ61との間にそれぞれ設けられており、各COB型LED51の光を、対応するフレネルレンズ61に入射する光反射部材として機能する。
各反射鏡40は、回転放物体や回転楕円体などの回転体形状であり、その内面に回転放物面形状の反射面41が形成されている。・・・
各反射鏡40の反射面41は、回転放物面の中心軸が光軸Lに設定され、COB型LED51から入射した光をフレネルレンズ61に向けて光軸Lと略平行方向に反射する。」
(エ)「[0037] また、このスポーツ照明器具1では、グレアの低減効果を更に高めるために、光源モジュール12が次のように構成されている。
・・・
中央のフレネルレンズ61Aを例に説明すると、隣接するフレネルレンズ61B~61F(図6参照)に対応するCOB型LED51からの直接光L3(図7(A)中、破線で示す)が中央のフレネルレンズ61Aに入射する。なお、図7では、フレネルレンズ61B、61Eに対応する2つのCOB型LED51からの直接光L3が中央のフレネルレンズ61Aに入射することを示している。」
(オ)図7は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000004.jpg]
」
イ 甲7に記載された技術事項
前記アから、甲7には、以下の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されているといえる。
「複数の光源モジュール12を備えた投光器であるスポーツ照明器具1において、前記光源モジュール12は、それぞれ面状光源のCOB型LED51を備え、前記COB型LED51は、多数のLEDをLED基板51Aの上に密集配置して平面視略円形の面状光を放射する面状の発光面51Bを形成した発光デバイスであり、LED素子を覆って封止する蛍光体樹脂を備え、反射鏡40は、前記光源モジュール12毎に一個ずつ設けられており、その内面に回転放物面形状の反射面41が形成され、前記COB型LED51は、前記発光面51Bの最大外径部から、前記反射面41の出射側の端部を結び、かつ前記COB型LED51の光軸と交差する直線に沿う直接光L3を放射する」こと。
3 甲9、甲10について
(1)甲9について
ア 甲9の記載事項
甲9には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0012】
図1に示すように、照明器具1は、複数の光源ユニット2と、これら光源ユニット2を一体に保持する保持枠3と、を備える。光源ユニット2の各々は、一面に発光面2A(図1参照)を有する矩形平板状の光源20と、光源20が搭載される器具本体4と、光源20の配光を制御する光学部材5と、を備える。・・・」
(イ)「【0014】
光源20は、発光面2A側に設けられた配線基板21と、配線基板21にマトリクス状に実装された複数のLED22(後述する図2(b)も参照)と、を有する。・・・LED22は、・・・LEDチップを封止する封止材と、この封止材中に分散され青色光を黄色光に変換する蛍光体と、を有し、・・・白色光を出射する。」
(ウ)「【0017】
図2(c)に示すように、光学部材5は、別体として構成された第1部材5a及び第2部材5bを有する。第1部材5a及び第2部材5bは、後述するように、同一の配光特性を有し、LED22から出射された白色光を透過させる透光性材料・・・より構成される。」
(エ)「【0019】
図3(a)(b)及び図4(a)乃至(f)に示すように、第1部材5aは、複数のLED22の配光を列毎に制御する複数列のレンズ部51,52,53と、それらのレンズ部51~53を連結する一対の連結部54,55と、を有する。・・・」
(オ)「【0022】
レンズ部51は、LED22から出射された光が入射する凹溝状の入射部51aと、入射部51aと対峙する長尺状の平坦な出射部51bと、入射部51a及び出射部51bを接続し且つ入射部51aから入射した光を全反射する一対の反射部51c,51dと、を有する(図4(a)参照)。レンズ部52,53もまた、レンズ部51と同様の入射部、出射部、及び反射部を有する(対応する符号は不図示、後述する説明においても同様)。」
(カ)「【0027】
図8に示すように、第1部材5aのレンズ部51を例に挙げると、一方の反射部51dは、反射部51cに比べて平面的な形状なので、入射部51aの側面からレンズ部51に入射した光を、LED22の光軸Axよりもよりレンズ中心方向へ反射させる。その結果、光軸Axよりも所定角度傾斜した方向において、照明器具1(光源ユニット2)の最大光度を得られる器具光軸Lx方向の光束を増やすことができる。また、他方の反射部51cは、LED22の光軸Ax方向と平行に光を反射させるので、器具上方へのグレア規制角度Gx(器具光軸Lxから上方10°)方向への光束を少なくすることができる。」
(キ)図8は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000005.jpg]
」
イ 甲9に記載された技術事項
前記アから、甲9には、以下の技術事項(以下「甲9技術事項」という。)が記載されているといえる。
「複数のLED22を有する光源20と、前記光源20の配光を制御する光学部材5とを備えた光源ユニット2を複数有する照明器具1において、前記光学部材5は複数の前記LED22の配光を列毎に制御する複数列のレンズ部51~53を有し、レンズ部51~53は入射部と、出射部と、入射部及び出射部を接続し且つ入射部から入射した光を全反射する一対の反射部と、を有し、一方の反射部は、入射部51aの側面からレンズ部51に入射した光を前記LED22の光軸Axよりもよりレンズ中心方向へ反射させ、他方の反射部は、前記LED22の光軸Ax方向と平行に光を反射させ、器具光軸Lxから上方10°上方へのグレア規制角度Gx方向への光束を少なくする」こと。
(2)甲10について
ア 甲10の記載事項
甲10には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0016】
以下、本発明に係るスポットライトの実施形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るスポットライト1の構成図である。このスポットライト1は、劇場などで観客の注目を集めるため舞台出演者や舞台の特定部分にだけ光を照射する照明器具である。スポットライト1は複数のLEDを取り付けたLED基板2、反射鏡3、拡散板4、投影レンズ5を備えて構成されている。」
(イ)「【0018】
LED基板2の発光方向前面には反射鏡3が配置されている。本実施形態のスポットライト1は、この反射鏡3として複合型放物面集光器(Compound Parabolic Concentrator;略してCPC)と呼ばれる集光器を使用している点に特徴がある。複合型放物面集光器は、光軸に対してある範囲の角度を以て入射してきた光束を放物面状の側面で反射させながら出射端面に集光する光学素子である。集光率が高いことで知られ、太陽光など遠方にある光源の発する光を効率的に集光する用途に使用されている。」
(ウ)「【0027】
反射鏡3を設けた場合、LED基板2から発せられた光はその殆ど100%が反射鏡3に入射する。そのようになるように反射鏡3である複合型放物面集光器の入射光側開口の径、LED基板2との間隔が調整してある。反射鏡3に入射した光は複合型放物面集光器の放物面で反射して出側開口から放射される。放射される光が光軸となす角度は25°以下になるように放物面が設計してある。図中の12は、光軸から25°傾いて放射される光の仮想的経路を表している。反射鏡3を出た光は、直後に配置された拡散板4により拡散されて反対面から出る。拡散により光は曲がる。光軸から25°傾いて反射鏡3から出た光は外側には約最大2°傾き、光軸とは最大27°傾いて放射される。図中の13は27°傾いて放射される光の経路を表している。この27°傾いて放射される光が投影レンズ5に入射するように投影レンズ5の径と取り付け位置が調整されている。こうしたことからLED基板2から発せられた光は、そのほぼ100%が投影レンズ5に入射するため極めて効率がよい。」
(エ)図4は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000006.jpg]
」
イ 甲10に記載された技術事項
前記アから、甲10には、以下の技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されているといえる。
「複数のLEDを取り付けたLED基板2、反射鏡3、拡散板4、投影レンズ5を備えて構成されているスポットライト1において、前記LED基板2の発光方向前面には前記反射鏡3が配置され、前記LED基板2から発せられた光は前記反射鏡3に入射し、入射した光は放物面で反射して出側開口から放射され、放射される光が光軸となす角度は25°以下になるように前記放物面が設計してある」こと。
4 甲4について
(1)甲4の記載事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0012】
図1及び図2に示されるように、照明器具1は、発光部2と、発光部2の発光面側に被せられたキャップ状の配光制御部3と、発光部2と配光制御部3との間隔を調整する位置調整部4と、を備える。位置調整部4は、発光部2に設けられた位置調整部4aと、配光制御部3に設けられた位置調整部4bと、から成る。
【0013】
発光部2は、配線基板21と、配線基板21上に実装された光源となる複数のLED22と、を有する。これらLED22は、それぞれ白色光を発する白色LEDから構成される。各々のLED22の光軸は、それぞれ照明器具1の軸線と平行になっている。なお、配線基板21上に実装されるLED22の数及び配線基板21上におけるLED22の配置は、図例のものに限定されない。」
イ 「【0015】
配光制御部3は、LED22から出射された光が入射する面にレンズアレイ31を有する。レンズアレイ31は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、又はガラス等の透光性材料から構成される。レンズアレイ31は、各々のLED22に対向して設けられた複数のレンズ32と、レンズ32間に位置する平坦部33と、から成る。平坦部33は、その光出射面側に光を拡散透過する光学処理部34を有する(図2(a)参照)。光学処理部34は、本実施形態においては、粗面化された光出射面を有する(図2(b)参照)。なお、レンズ32は、本実施形態においてはLED22からの光が入射する面に凹部を有したレンズとされるが、これに限定されず、例えば、一般的な凸レンズから構成されてもよい。」
ウ 「【0022】
次に、本実施形態の第2の変形例に係る照明器具を図4を参照して説明する。本変形例の照明器具1は、平坦部33の光出射面側に直進光Lを遮光する光学処理部37を有する。光学処理部37は、平坦部33の光出射面に顔料等の遮光性塗料が塗布されたものである。直進光Lは、光学処理部37により遮光されるので、照明器具1の外部に照射されない。」
エ 図4は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000007.jpg]
」
(2)甲4に記載された技術事項
前記(1)から、甲4には、以下の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているといえる。
「発光部2と、発光部2の発光面側に被せられたキャップ状の配光制御部3とを備える照明器具1において、前記配光制御部3は、レンズアレイ31を有し、前記レンズアレイ31は、各々のLED22に対向して設けられた複数のレンズ32と、前記レンズ32間に位置する平坦部33とから成り、前記平坦部33の光出射面側に直進光Lを遮光する光学処理部37を有する」こと。
5 甲5について
(1)甲5の記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0020】
照明装置1は、複数のLED2と、複数のレンズ3を有するレンズアレイ4と、を備える。レンズアレイ4は、複数のレンズ3が複数のLED2それぞれを覆うように配置される。複数のレンズ3は、複数のLED2それぞれからの光が入射する第一レンズ面31と、複数のLED2それぞれからの光が出射する第二レンズ面32と、を備え、複数のLED2それぞれからの光を拡散して出射するように構成されている。複数のレンズ3は、複数のレンズ3それぞれの光軸L1を基準として非対称な形状である。複数のレンズ3のうち第1方向に並んで配置されているレンズ3の一群は、互いの光軸L1が交差するように互いの形状を異ならせてある。よって、照明装置1は、被照射面における色むらを抑制することが可能となる。照明装置1は、レンズアレイ4によって配光を制御することができ且つ被照射面における色むらを抑制することが可能となる。したがって、照明装置1は、複数のレンズ3それぞれが個別部品である場合に比べて、配光特性のばらつきや被照射面における色むらのばらつきを低減することが可能となる。
【0021】
複数のレンズ3は、複数のLED2それぞれからの光が入射する第一レンズ面31が凹曲面状であり、複数のLED2それぞれからの光が出射する第二レンズ面32が凸曲面状である。・・・」
イ 「【0046】
・・・各レンズ3は、第一レンズ面31が凹曲面状であり、第二レンズ面32が凸曲面状であるが、第一レンズ面31及び第二レンズ面32のいずれも非球面としてある。第二レンズ面32は、曲率が連続的に変化する非球面であるのが好ましい。・・・」
ウ 図1は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000008.jpg]
」
(2)甲5に記載された技術事項
前記(1)から、甲5には、以下の技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されているといえる。
「複数のLED2と、複数のレンズ3を有するレンズアレイ4とを備える照明装置1において、前記レンズアレイ4は、複数のレンズ3が複数のLED2それぞれを覆うように配置され、前記複数のLED2それぞれからの光が出射する第二レンズ面32は曲率が連続的に変化する非球面である」こと。
6 甲6について
(1)甲6の記載事項
甲6には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0209】
また、図20及び図21に示す実施例5において、その光源として、放電灯に替えて、LEDを用いることもできる。LEDの配置については、図25Bに示すように、リフレクタとして、回転放物面鏡を用いる場合には、回転放物面鏡の焦点の位置に(図示していないが、回転楕円面鏡を用いる場合には、回転楕円面鏡の第1焦点の位置に)LEDペレットの発光面を置く。この場合には、比較的大きいLEDペレットを用いても、照明装置全体の小型化が可能となる。LEDの発光量は、ペレットの面積に比例する。よって、ペレットの一辺が、2倍、3倍になると、LEDの発光量は、ペレットの一辺の長さの二乗に比例して増加し、それぞれ、4倍、9倍になる。一方、図20に示すような回転放物面鏡の平行光化の性能は、その放物面のF値が一定である場合には、概略、LEDペレットの一辺の長さに比例する。また、図21に示すような回転楕円面鏡の集光の能力は、その楕円面の楕円率が、一定であるならば、概略、LEDペレットの一辺の長さに比例する。例えば、リフレクタとして回転放物面鏡を用いる場合には、一辺が0.3mmのLEDペレット及びF=1.8の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合における、得られる平行光の平行度及び照明効率は、一辺が1.0mmのLEDペレット及びF=6の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合におけるものと同じである。図20(b)においてDとして表される、回転放物面の焦点における回転放物面鏡の直径は、F値の4倍であるので、先に述べた回転放物面の直径は、それぞれ、7.2mm及び24mmであり、それらの回転放物面の直径の比は、LEDペレットの一辺の長さの比と一致し、約3.3倍であるが、それらの照明系で得られる光量は、約11倍である。」
イ 「【0222】
図25Aは、直線状に配置された複数のLED及びLEDから発散された光を平行光に変換する反射鏡を有する光源を説明する図である。ここで、図25A(a)は、その光源の側面図であり、図25A(b)は、その光源の上面図である。図25Bは、回転放物面鏡に対するLEDペレットの配置及びLEDペレットから放出される光束の放射ベクトルを説明する図である。」
ウ 図25Aは、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000009.jpg]
」
エ 図25Bは、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000010.jpg]
」
(2)甲6に記載された技術事項
前記(1)から、甲6には、以下の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているといえる。
「回転放物面鏡の焦点の位置にLEDペレットの発光面を置いた照明装置において、一辺が0.3mmのLEDペレット及びF=1.8の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合における、得られる平行光の平行度及び照明効率は、一辺が1.0mmのLEDペレット及びF=6の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合におけるものと同じである」こと。
7 甲8について
(1)甲8の記載事項
甲8には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る発光素子は、第1電極層と、発光層と、第2電極層と、1又は複数のレンズからなる光学系が設けられた光学層とがこの順で積層されてなる積層構造を備え、前記積層構造における積層方向に垂直な一の方向の幅をw、前記光学系の物体側焦点距離をf、前記光学系の光軸と前記発光層とが交わる点から前記光学系の物体側主点までの距離をdとするとき、下記の式1~式5を満足することを特徴とする。
【0007】
[図:0001421372000011.jpg]
」
イ 「【0042】
図6に示すように、照明装置200は、ベース201と、当該ベース201の上に配列された本発明の一態様に係る複数の発光素子10と、反射部材202と、から構成されている。各発光素子10は、ベース201上に形成された導電パターンに電気的に接続されており、前記導電パターンにより供給された駆動電力によって発光する。各発光素子10から出射された光の一部は、反射部材202によって配光が制御される。」
ウ 図2は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000012.jpg]
」
エ 図6は、以下に示すとおりである。
「
[図:0001421372000013.jpg]
」
(2)甲8に記載された技術事項
前記(1)から、甲8には、以下の技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されているといえる。
「複数の発光素子10と、反射部材202と、から構成されている照明装置200において、前記発光素子10は、第1電極層と、発光層と、第2電極層と、1又は複数のレンズからなる光学系が設けられた光学層とがこの順で積層されてなる積層構造を備え、前記積層構造における積層方向に垂直な一の方向の幅をw、前記光学系の物体側焦点距離をfとするとき、f/w≧0.28の関係を満たす」こと。
8 本件発明1の進歩性について
(1)本件発明1と甲1発明との対比
ア 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「LED221」が前者の「発光部」に相当し、以下同様に、後者の「LEDチップ」が前者の「LED素子」に、後者の「レンズ部231」が前者の「レンズ」に、後者の「全反射」が前者の「全反射」に、後者の「放物面」が前者の「放物面」に、後者の「投光照明装置100」が前者の「投光器」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から以下のことがいえる。
イ 後者の「光学ユニット20を有し、前記光学ユニット20は、複数の発光デバイス21の集合体で構成され、前記発光デバイス21は、複数のLED221を搭載したLED基板22」「を有」する「投光照明装置100」は、「投光照明装置100」が「複数のLED221」を備え、「複数のLED221」の光によって「光学ユニット20」の各「発光デバイス21」が発光して投光照明するといえるので、前者の「複数の発光部を備え、前記発光部のそれぞれの光によって投光照明する投光器」に相当する。
ウ 後者の「複数の前記LED221は、ドーム状のレンズ部で被覆されたLEDチップで構成され」ることと、前者の「前記発光部は複数のLED素子を樹脂で覆って構成され」ることは、「前記発光部はLED素子を被覆部材で覆って構成され」ることにおいて、共通する。
エ 後者の「複数の前記レンズ部231は、前記LED基板22上の複数のLED221各々に対向して配置され」ることは、前者の「レンズを、前記発光部の一つ一つに対応させて、前記発光部ごとに備え」ることに相当する。
オ 後者の「前記発光デバイス21は、」「複数の前記LED221から出射した光を集光する複数のレンズ部231を有するレンズ基板23とを有し、複数の前記レンズ部231は、」「光出射面231bと、側周面231cとをそれぞれ有し、」「前記側周面231cの形状は、軸心231yを中心とする放物面であり、前記光出射面231bからの出射光Lは、正面方向へ向かう出射光L1」「を含み、」「前記出射光L1は、前記側周面231cで全反射した光」「を含」むことは、「前記側周面231cの」「放物面」が全反射放物面であり、「複数の前記LED221から出射した光を」「前記側周面231cの」「放物面」で「全反射」により制御して「出射光L1」に「含」ませているので、前者の「前記発光部の光を制御する全反射放物面を有するレンズを」「備え」ることに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「複数の発光部を備え、前記発光部のそれぞれの光によって投光照明する投光器において、
前記発光部はLED素子を被覆部材で覆って構成され、
前記発光部の光を制御する全反射放物面を有するレンズを、前記発光部の一つ一つに対応させて、前記発光部ごとに備える
投光器」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
LED素子及びLED素子を覆うものに関して、本件発明1は、発光部は「複数の」LED素子を「樹脂」で覆って構成されるのに対して、甲1発明は、LED221は、「ドーム状のレンズ部」で被覆されたLEDチップで構成されるものであり、「ドーム状のレンズ部」が樹脂であるのかが不明であるとともに、「ドーム状のレンズ部」によって被覆されるLEDチップの数も不明である点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記発光部の発光中心から前記発光部の縁部までの距離が最大の箇所を最大外径部として、前記最大外径部と前記レンズの出射端縁部とを結び、かつ、前記発光部の光軸を通る直線と、前記発光部の光軸とが成す角度が10度から35度の間である」のに対して、甲1発明は、「ビームの開きが30°未満」ではあるものの、かかる角度が不明である点。
(2)相違点についての検討
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。
甲1発明は、レンズ部231の出射面231bから出た光の角度である「ビームの開き」を調整することで「ビームの開きが30°未満の狭角配光照明に適用可能となる」ものであり(段落【0043】)、相違点2に係る「前記発光部の発光中心から前記発光部の縁部までの距離が最大の箇所を最大外径部として、前記最大外径部と前記レンズの出射端縁部とを結び、かつ、前記発光部の光軸を通る直線と、前記発光部の光軸とが成す角度」を調整することは、記載も示唆もされていない。
そして、前記2における甲2、甲3、甲7に記載された甲2、甲3、甲7技術事項、及び前記3における甲9、甲10に記載された甲9、甲10記載事項を踏まえると、甲2~甲3、甲7、甲9、甲10のいずれにも、前記相違点2に係る本件発明1の構成であるところの「発光部の発光中心から前記発光部の縁部までの距離が最大の箇所を最大外径部として、前記最大外径部とレンズの出射端縁部とを結び、かつ、前記発光部の光軸を通る直線と、前記発光部の光軸とが成す角度が10度から35度の間である」ことについては、記載も示唆もされていない。
すなわち、甲2、甲7には、発光部の外縁部と光学素子の出射口の端縁部とを結び、かつ発光部の光軸を通る直線に沿う光が発光部の外縁部から放射されることが記載され、甲3には、反射面の焦点に配置された発光部の外縁部から放射された光が発光部の光軸を通り、反射面に反射されて水平方向に放射されることが記載されている。
しかしながら、甲2、甲7においては、発光部の外縁部と光学素子の出射口の端縁部とを結び、かつ発光部の光軸を通る直線に沿って放射される発光部の外縁部からの光と、発光部の光軸とが成す角度の値について記載されておらず、また、甲3においても、反射面の焦点に配置された発光部の外縁部から放射された光が発光部の光軸と成す角度の値について記載されていない。
一方、甲9、甲10には、照明器具において、発光部から放射される光が入射される光学素子からの放射光と発光部の光軸とがなす角度を所定角度以下にすることが記載され、甲10には、その角度として25°以下であることが記載されている。
しかしながら、甲9、甲10に記載された角度は、光学素子から放射される光の発光部の光軸からの広がり角度であり、前記相違点2に係る本件発明1の構成における「発光部の発光中心から前記発光部の縁部までの距離が最大の箇所を最大外径部として、前記最大外径部とレンズの出射端縁部とを結び、かつ、前記発光部の光軸を通る直線と、前記発光部の光軸とが成す角度」ではなく、異なる角度である。
そして、申立人が提出した他の甲号証においても、前記相違点2に係る本件発明1の構成における角度は、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明において、甲2~甲10に記載された事項を踏まえ、前記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
9 本件発明2~5の進歩性について
本件発明2~5は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記8(2)と同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。
10 小括
以上のとおりであるから、本件発明1~5は、甲1発明及び甲2~甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、申立理由は、理由がない。
第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700874