特許異議申立
2026-700115
道路照明装置および道路照明システム
- 審判番号
- 2026-700115
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-039580
- 登録番号
- 7733039
- 請求日
- 2026年02月06日
- 審決日
- 2026年05月28日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】星和電機株式会社
- 【権利者】西日本高速道路株式会社
- 【異議申立人】藤本 拓也
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 藤崎 詔夫
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1651.121-Y (F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7733039号発明「道路照明装置および道路照明システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7733039号の請求項1~10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7733039号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和5年3月14日にされ、令和7年8月25日にその特許権の設定登録がされ、同年9月2日に特許掲載公報が発行され、令和8年2月6日に特許異議申立人藤本拓也(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~10に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
なお、本件特許の請求項1~10に係る発明を、以下、それぞれ「本件発明1」等という。
「【請求項1】
道路の横断方向の一方側または両側に複数台設置され、筐体と、前記筐体の内部に収容された光源とを備え、前記光源から発せられた光を前記道路に向けて照射する道路照明装置において、
前記光源は、前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源と、前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源との両方を有しており、
前記筐体の内部には、前記第1光源を発光させるための第1光源制御装置と、前記第2光源を発光させるための第2光源制御装置とがそれぞれ独立した電気回路として収容されており、
前記筐体には前記道路に面して開放された開口部が設けられており、
前記開口部は、前記第1光源から発せられた光を前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第1透光カバー、および、前記第2光源から発せられた光を前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第2透光カバーによって覆われていて、
前記第1透光カバーと前記第2透光カバーとは水平方向において隣接して配設されており、
前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分に金具が配設され、
該金具において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれに対応する位置に設けられた境界パッキン取付部の表面には、境界パッキンが取り付けられており、
前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれが前記境界パッキンに当接されていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記第2光源から発光された照射光の主たる照射方向は、前記道路の横断方向に対して前記道路を走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられた方向であることを特徴とする道路照明装置。
【請求項3】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記筐体には、前記第1透光カバーの外縁部および前記第2透光カバーの外縁部に亘って連続するパッキンが設けられており、
前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーの外縁部と前記筐体との間および前記第2透光カバーの外縁部と前記筐体との間それぞれが前記パッキンによってシールされていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項4】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットが収容されており、
前記第1光源ユニットには、前記第1光源から発せられた光が前記道路に照射される際の照射範囲の上端位置を規制するシャッタ部材が上下方向の位置調整が可能に設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項5】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、
前記第2光源ユニットは、少なくとも3軸方向の取付姿勢が可変となっていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項6】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットおよび前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、これら第1光源ユニットおよび第2光源ユニットのうち少なくとも一方には前記照射光の配光範囲を拡大または限定させるための光学レンズが設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項7】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記第2透光カバーの外周囲には、該第2透光カバーの端面よりも外側に突出した庇部が設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項8】
請求項1記載の道路照明装置の複数台を制御する道路照明システムであって、
前記各道路照明装置との間で相互通信が可能な制御監視装置には、
前記各道路照明装置に対して監視情報要求信号を発する信号送信部と、
前記各道路照明装置から受信した応答信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した応答信号に応じた通知情報を生成する通知情報生成部とが設けられていることを特徴とする道路照明システム。
【請求項9】
請求項8記載の道路照明システムにおいて、
前記道路照明装置の前記各光源の発光時間を累積する発光時間累積部と、
前記発光時間累積部によって累積された前記発光時間が所定時間に達した前記道路照明装置が存在する場合に、当該道路照明装置の個体情報と寿命警告情報とを関連付けた通知情報を生成する寿命通知情報生成部とを備えていることを特徴とする道路照明システム。
【請求項10】
請求項8または9記載の道路照明システムにおいて、
前記複数台の道路照明装置は前記道路の縦断方向に沿う方向において所定間隔を存して設置されており、
前記複数台の道路照明装置のうち何れかの道路照明装置において前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光が不能となった際、前記道路の縦断方向に沿う方向において当該道路照明装置に隣り合う他の道路照明装置における前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光量を増大させるための指令情報を生成する光量指令情報生成部を備えていることを特徴とする道路照明システム。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書で主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。また、申立人は、特許異議申立書とともに、甲第1号証~甲第9号証を提出した(以下、「甲第1号証」等を「甲1」等と略記する。)。
なお、ここでいう「甲1発明」等は、申立人が主張する「甲1に記載された発明」等を意味する。
理由(特許法第29条第2項:甲1を主引例とした進歩性)
本件発明1~10は、甲1発明及び甲2~甲8に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明することができたものである。
<証拠一覧>
甲1:特開2018-37141号公報
甲2:特開2008-305768号公報
甲3:特開2006-201718号公報
甲4:特開2020-140905号公報
甲5:特開2001-351405号公報
甲6:特開2015-162420号公報
甲7:特開2022-57360号公報
甲8:特開2012-113940号公報
甲9:特願2023-39580号(本件特許)に対する令和7年1月23日提出の意見書
第4 当審の判断
1 証拠について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項・認定事項
本件特許の出願日前の平成30年3月8日に公開された甲1には、その記載から、以下の事項が認定できる。
なお、括弧内に主な参照箇所を示す(以下同様)。
(ア)【0049】~【0050】、【図14】に記載されたプロビーム照明方式の道路照明システムの一例における各道路照明装置100aは、同じ構造であって、第1の実施形態で説明した光源ユニット1を有する(【0049】)とあるから、光源ユニット1の構造については、【0011】~【0030】、【図1】~【図8】に記載された第1の実施形態を参照する。
(イ)3個以上が高欄800に取り付けられ、2車線の道路の路面を照明する道路照明装置100aである。(【0023】、【0049】、【0050】、【図14】)
(ウ)道路照明装置100aは、上段101、下段102それぞれに2個の光源ユニット1が配置固定される筐体120を有している。(【0023】、【0049】)
(エ)第2車線の路面900bを照明する上段101後方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102後方側の光源ユニット1は、パン角が小さく設定されている(【0050】)ことを踏まえ、【図14】をみると、上段101後方側の光源ユニット1と下段102後方側の光源ユニット1は、道路照明装置100aからみて、車線横断方向を照明するものであるといえる。
(オ)第2車線の路面900bを照明する上段101前方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102前方側の光源ユニット1は、パン角が大きくされている(【0050】)ことを踏まえ、【図14】をみると、上段101前方側の光源ユニット1と下段102前方側の光源ユニット1は、上段101後方側の光源ユニット1と下段102後方側の光源ユニット1の照明方向とは相対的に車線縦断方向を照明するものであるといえる。
(カ)筐体120は、筐体フレーム125に固定され、パン角が小さい光源ユニット1の出射方向には透明板510が設けられており、パン角が大きい光源ユニット1の出射方向には別の透明板510が設けられている。(【0023】、【0025】、【図6】)
(キ)【図6】から、透明板510と別の透明板510は、水平方向で隣接して筐体フレーム125に固定されていることが看取される。
(ク)【0023】の記載を踏まえ、【図6】をみると、筐体120と透明板510で囲まれた空間内に、全ての光源ユニット1が収容されていることが看取される。
イ 甲1に記載された発明
前記アを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「3個以上が高欄800に取り付けられ、上段101、下段102それぞれに2個の光源ユニット1が配置固定される筐体120を有し、2車線の道路の路面を照明する道路照明装置100aにおいて、(前記ア(イ)(ウ))
第2車線の路面900bを照明する上段101後方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102後方側の光源ユニット1は、パン角が小さく、車線横断方向を照明するものであり、(前記ア(エ))
第2車線の路面900bを照明する上段101前方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102前方側の光源ユニット1は、パン角が大きく、上段101後方側の光源ユニット1と下段102後方側の光源ユニット1の照明方向とは相対的に車線縦断方向を照明するものであり、(前記ア(オ))
筐体120は、筐体フレーム125に固定され、パン角が小さい光源ユニット1の出射方向には透明板510が設けられており、パン角が大きい光源ユニット1の出射方向には別の透明板510が設けられており、(前記ア(カ))
透明板510と別の透明板510は、水平方向で隣接して筐体フレーム125に固定されており、(前記ア(キ))
筐体120と透明板510で囲まれた空間内に、全ての光源ユニット1が収容されている(前記ア(ク))
道路照明装置100a。」
(2)甲2について
甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されている。
「第1のLED13は、点灯装置15を構成する第1の点灯装置16に電気的に接続され、第2のLED14は、点灯装置15を構成する第2の点灯装置17に電気的に接続されていること。(【0039】)」
(3)甲3について
甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。
「マスキング部材80を上下表示パネル3a,3bの表面の境界部分を覆う覆い部81と、この覆い部81からパネルの厚み方向に突出して上下表示パネル3a,3bの境界側面部に位置する突出部82とから構成してその全体を略T字状の板状に形成し、突出部82に光を反射する反射体を設けるようにすること。(【0042】、【図18】)」
(4)甲4について
甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されている。
「第一分割カバー41と第二分割カバー42は、弾性を有する連結部材5を介して、一直線状に連結されており、連結部材5は、第一分割カバー41の長手方向の端縁部と、第二分割カバー42の端縁部の間に跨って貼り付けられた可撓性のシート部材51であること。(【0029】、【図4】)」
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 後者の「道路照明装置100a」は、前者の「道路照明装置」に相当する。
そして、後者の「3個以上が高欄800に取り付けられ」る態様は、高欄800が道路の横断方向の一方側または両側に設けられているものであるから、前者の「道路の横断方向の一方側または両側に複数台設置され」る態様に相当する。
イ 後者の「筐体120」は、前者の「筐体」に相当し、後者の「光源ユニット1」は、前者の「光源」に相当する。
そうすると、後者の「筐体120」に「上段101、下段102それぞれに2個の光源ユニット1が配置固定される」態様は、前者の「前記筐体の内部に収容された光源」に相当する。
ウ 後者の「2車線の道路の路面を照明する」態様は、前者の「前記光源から発せられた光を前記道路に向けて照射する」態様に相当する。
エ 後者の「第2車線の路面900bを照明する上段101後方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102後方側の光源ユニット1」が、「パン角が小さく、車線横断方向を照明するものであ」ることは、前者の「第1光源」が、「前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための」ものであることに相当する。
そうすると、後者の「上段101後方側の光源ユニット1」と「下段102後方側の光源ユニット1」は、前者の「第1光源」に相当する。
オ 後者の「第2車線の路面900bを照明する上段101前方側の光源ユニット1と、第1車線の路面900aを照明する下段102前方側の光源ユニット1」が、「パン角が大きく、上段101後方側の光源ユニット1と下段102後方側の光源ユニット1の照明方向とは相対的に車線縦断方向を照明するものであ」ることは、前者の「第2光源」が「前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための」ものであることに相当する。
そうすると、後者の「上段101前方側の光源ユニット1」と「下段102前方側の光源ユニット1」は、前者の「第2光源」に相当する。
カ 前記エ及びオを踏まえると、後者が「上段101後方側の光源ユニット1」と「下段102後方側の光源ユニット1」及び「上段101前方側の光源ユニット1」と「下段102後方側の光源ユニット1」を有していることは、前者の「前記光源は」「第1光源と」「第2光源との両方を有して」いることに相当する。
キ 後者の「透明板510と別の透明板510」が「筐体フレーム125に固定されて」、「出射方向に」「設けられて」いることは、筐体フレーム125に透明板510と別の透明板510を固定するための開口があることが明らかであるから、前者の「前記筐体には前記道路に面して開放された開口部が設けられて」いることに相当する。
ク 後者の「パン角が小さい光源ユニット1の出射方向に」「透明板510が設けられて」いる態様は、前記エ及びキを踏まえると、前者の「前記開口部は、前記第1光源から発せられた光を前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第1透光カバー」「によって覆われてい」る態様に相当する。
そうすると、後者の「透明板510」は、前者の「第1透光カバー」に相当する。
ケ 後者の「パン角が大きい光源ユニット1の出射方向に」「別の透明板510が設けられて」いる態様は、前記オ及びキを踏まえると、前者の「前記開口部は、」「前記第2光源から発せられた光を前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第2透光カバーによって覆われてい」る態様に相当する。
そうすると、後者の「別の透明板510」は、前者の「第2透光カバー」に相当する。
コ 後者の「透明板510と別の透明板510は、水平方向で隣接して筐体フレーム125に固定されて」いる態様は、前記ク及びケを踏まえると、前者の「前記第1透光カバーと前記第2透光カバーとは水平方向において隣接して配設されて」いる態様に相当する。
サ そうすると両者は、
「道路の横断方向の一方側または両側に複数台設置され、筐体と、前記筐体の内部に収容された光源とを備え、前記光源から発せられた光を前記道路に向けて照射する道路照明装置において、
前記光源は、前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源と、前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源との両方を有しており、
前記筐体には前記道路に面して開放された開口部が設けられており、
前記開口部は、前記第1光源から発せられた光を前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第1透光カバー、および、前記第2光源から発せられた光を前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第2透光カバーによって覆われていて、
前記第1透光カバーと前記第2透光カバーとは水平方向において隣接して配設されている、
道路照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1〕
本件発明1は、「前記筐体の内部には、前記第1光源を発光させるための第1光源制御装置と、前記第2光源を発光させるための第2光源制御装置とがそれぞれ独立した電気回路として収容されて」いるのに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点2〕
本件発明1は、「前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分に金具が配設され、該金具において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれに対応する位置に設けられた境界パッキン取付部の表面には、境界パッキンが取り付けられており、前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれが前記境界パッキンに当接されている」のに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点2から検討する。
甲1発明は、「筐体120と透明板510で囲まれた空間内に、全ての光源ユニット1が収容されている」ものであり、甲1の【0025】~【0028】、【0050】等に記載されているように、1つの空間に複数の光源ユニット1を配置して、複数の光源ユニット1それぞれのチルト角、捻れ角、パン角を設定することで、様々な照明方向、照明範囲を設定できるようにしたものであるから、光源ユニット毎に収容空間を分けると設定範囲が制限されるため、本件発明1の「前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間」のように、収容空間を分けることの阻害要因があるといえる。
また、甲1発明は、「透明板510と別の透明板510は、」「筐体フレーム125に固定されて」いるものであるから、本件発明1の「前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分に金具」を「配設」することを必要としないものであり、金具を配設する動機付けもない。
さらに、甲1発明の「透明板510と別の透明板510」が「水平方向で隣接して筐体フレーム125に固定されて」いる箇所は、甲1の【図6】を見ると、光源ユニット1と重複しているから、当該箇所に「金具」を配設することはできないし、仮に配設しても、本件発明1の「前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分」ではないから、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に到達しない。
以上のとおりであるから、甲2~4記載事項、及びその他の証拠について検討するまでもなく、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
(3)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(20~33ページ)本件発明1の構成要件G、H、I(相違点2)に係る構成は、甲3及び甲4に開示もしくは示唆があり、甲1発明と甲3記載事項、甲4記載事項は課題・作用機能に共通性がある。
上記主張について検討する。
前記(2)で説示したとおり、甲1発明には、相違点2に係る本件発明1の「前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間」のように、収容空間を分けることの阻害要因があり、相違点2に係る本件発明1の「前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分に金具」を「配設」することを必要としないものであって金具を配設する動機付けもない。
さらに、甲1発明の「透明板510と別の透明板510」が「水平方向で隣接して筐体フレーム125に固定されて」いる箇所には、「金具」を配設することはできないし、仮に配設しても、相違点2に係る本件発明1の「前記筐体には、前記第1光源を収容する空間と前記第2光源を収容する空間との境界部分」に到達しない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
3 本件発明2~10について
本件発明2~10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明2~10についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700115