特許異議申立
2024-700873
熱処理システム
- 審判番号
- 2024-700873
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-192487
- 登録番号
- 7498841
- 請求日
- 2024年09月11日
- 審決日
- 2025年02月21日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日本碍子株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人 快友国際特許事務所
- 【異議申立人】山口 真知子
- 審判長/審判官
- 審判長 粟野 正明
- 審判官 井上 猛
- 審判官 佐藤 陽一
- 分類
- P1651.121-Y (F27B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7498841号発明「熱処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7498841号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7498841号(請求項の数5。以下、「本件特許」という。)は、令和5年11月10日を出願日とする特許出願(特願2023-192487号)に係るものであって、令和6年6月4日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和6年6月12日である。)。
その後、令和6年9月11日に、本件特許の請求項1~5に係る特許に対して、特許異議申立人である山口真知子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。
【請求項1】
搬入口と搬出口を有しており、複数の匣鉢が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、
前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の匣鉢を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンラインと、
前記リターンラインに配置されており、前記リターンライン上の前記匣鉢を処理する処理部と、を備えており、
前記リターンラインは、
前記匣鉢が送られる第1処理ラインと、
前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記匣鉢が送られる第2処理ラインと、
前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの上流に配置されている入口ラインと、
前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの下流に配置されている出口ラインと、を備えており、
前記処理部は、
前記第1処理ライン上の前記匣鉢を処理する第1処理装置と、
前記第2処理ライン上の前記匣鉢を処理する第2処理装置と、を備えている、熱処理システム。
【請求項2】
前記第1処理ラインは、前記第2処理ラインに対して略平行に配置されている、請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記第1処理ラインは、前記入口ラインと前記出口ラインのそれぞれに対して略直交して配置されており、
前記第2処理ラインは、前記入口ラインと前記出口ラインのそれぞれに対して略直交して配置されている、請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項4】
前記第1処理ラインの長さは、前記第2処理ラインの長さと略同一である、請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項5】
前記第1処理装置と前記第2処理装置のそれぞれは、前記匣鉢を反転させて前記匣鉢内の被処理物を回収する回収装置と、前記匣鉢を清掃する清掃装置と、前記匣鉢内に前記被処理物を充填する充填装置と、前記匣鉢内の前記被処理物の表面を均す表面均し装置と、を含む群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱処理システム。
第3 特許異議の申立ての理由の概要
本件特許の請求項1~5に係る特許は、下記1のとおり、特許法113条2号に該当する(証拠方法は下記2を参照。以下、甲第1号証等を単に「甲1」等という。)。
1 申立理由1(進歩性)
本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、同法113条2号に該当する。
2 証拠方法
・甲1 特表2021-504912号公報
・甲2 特開平8-94254号公報
・甲3 特開2002-350051号公報
・甲4 新村出、「広辞苑 第7版」、株式会社岩波書店、2018年1月12日、2626-2627、2630-2631頁
第4 当審の判断
以下に述べるように、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
1 申立理由1(進歩性)
(1)甲1に記載された発明
甲1の記載(請求項1~8、【0001】、【0004】~【0006】、【0020】、【0026】~【0047】、図1~3)によれば、特に、請求項1~6に記載される二次電池正極材の焼成装置に着目し、【0028】、【0030】、【0036】の記載も考慮すると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「二次電池正極材の原料が連続して移送される移送ラインと、
移送ラインに連結され、移送ラインと連結される入口と出口を備え、外部と遮断された内部空間を形成して、移送ラインを介して連続して供給される原料が通りながら連続して焼成が行われる焼成炉と、
移送ラインに沿って焼成炉の入側に配置されて焼成炉に原料を圧搾して供給する供給部と、
移送ラインに沿って焼成炉の出側に配置されて焼成炉から排出されるプレートで焼成完了した正極材を分離する分離部と、
移送ラインに沿って分離部の出側に配置されてプレートを洗浄する洗浄部と、
を含み、
前記供給部は、移送ラインに間隔を置いて置かれるプレートと、プレート上に置かれる型枠を供給する型枠供給機と、型枠内部に原料を装入する原料装入機と、型枠に満たされた原料を加圧して圧搾するプレスとを含み、移送ラインの原料の移動方向に沿って型枠供給機、原料装入機およびプレスが順次配置されており、
前記移送ラインは、焼成炉の入側と出側を連結する単一閉曲線をなし、プレートが移送ラインに沿って焼成炉を連続して循環する、二次電池正極材の焼成装置。」(以下、「甲1発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明における「入口」、「出口」、「内部空間」、「焼成炉」は、それぞれ、本件発明1における「搬入口」、「搬出口」、「内部空間」、「熱処理炉」に相当する。
(イ)a 甲1発明においては、「二次電池正極材の原料」は、「焼成炉」の「内部空間」を「通」るものであるところ、甲1の記載(【0030】、【0032】、図1)によれば、「二次電池正極材の原料」は、「焼成炉」の「内部空間」を「入口」から「出口」に向けて搬送されるものと解される。
また、甲1発明においては、「二次電池正極材の原料」は、「移送ラインに間隔を置いて置かれるプレート」(プレートが複数存在することは明らかである。)の「上に置かれる型枠」の「内部に」「装入」されるものである。
そうすると、甲1発明においては、「二次電池正極材の原料」は、「プレート」の上に保持された状態で、「プレート」とともに、「焼成炉」の「内部空間」を「入口」から「出口」に向けて搬送されるといえる。そして、甲1発明における「プレート」は、「二次電池正極材の原料」を保持するためのものといえる。
b 一方、本件発明1における「匣鉢」は、本件明細書の記載(【0015】)によれば、その内部に被処理物を充填するためのものと解される。そして、本件発明1においては、「複数の匣鉢」は、その内部に被処理物が充填された状態で、その被処理物を熱処理炉で焼成するために、「前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される」ものと解される。
c 以上によれば、甲1発明における「プレート」と、本件発明1における「匣鉢」とは、「被処理物保持手段」である限りで共通する。
d また、甲1発明において、「二次電池正極材の原料」が、「プレート」の上に保持された状態で、「プレート」とともに、「焼成炉」の「内部空間」を「入口」から「出口」に向けて搬送されることと、本件発明1において、「複数の匣鉢が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される」こととは、上記cを踏まえると、「複数の被処理物保持手段が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される」限りで共通する。
(ウ)甲1発明における「移送ライン」は、「二次電池正極材の原料が連続して移送される」ものであって、「焼成炉」に連結され、「焼成炉の入側と出側を連結する単一閉曲線をなし、プレートが移送ラインに沿って焼成炉を連続して循環する」ものであるから、プレートの搬送方向を考慮すれば、「プレート」を「焼成炉」の「出口」から「入口」まで送るものであることは、明らかである。そして、甲1発明における「移送ライン」が、「焼成炉」の外部に配置されていることは、図1からも明らかである。
以上によれば、甲1発明における上記のような「移送ライン」と、本件発明1における「前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の匣鉢を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンライン」とは、上記(イ)を踏まえると、「前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の被処理物保持手段を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンライン」である限りで共通する。
(エ)甲1発明における「移送ラインに沿って焼成炉の入側に配置されて焼成炉に原料を圧搾して供給する供給部」、「移送ラインに沿って焼成炉の出側に配置されて焼成炉から排出されるプレートで焼成完了した正極材を分離する分離部」、「移送ラインに沿って分離部の出側に配置されてプレートを洗浄する洗浄部」と、本件発明1における「前記リターンラインに配置されており、前記リターンライン上の前記匣鉢を処理する処理部」とは、上記(イ)、(ウ)を踏まえると、いずれも、「前記リターンラインに配置されており、前記リターンライン上の前記被処理物保持手段を処理する処理部」である限りで共通する。
(オ)上記(ア)~(エ)を踏まえると、甲1発明における「二次電池正極材の焼成装置」は、本件発明1における「熱処理システム」に相当する。
(カ)以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、
「搬入口と搬出口を有しており、複数の被処理物保持手段が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、
前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の被処理物保持手段を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンラインと、
前記リターンラインに配置されており、前記リターンライン上の前記被処理物保持手段を処理する処理部と、を備えている、熱処理システム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1
被処理物保持手段が、本件発明1では、「匣鉢」であるのに対して、甲1発明では、「プレート」である点。
・相違点2
リターンラインが、本件発明1では、「前記匣鉢が送られる第1処理ライン」と、「前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記匣鉢が送られる第2処理ライン」とを備えているとともに、「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの上流に配置されている入口ライン」と、「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの下流に配置されている出口ライン」とを備えているのに対して、甲1発明では、プレート「が送られる第1処理ライン」と、「前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記」プレート「が送られる第2処理ライン」とを備えておらず、また、上記のような「入口ライン」と、「出口ライン」とを備えていない点。
・相違点3
処理部が、本件発明1では、「前記第1処理ライン上の前記匣鉢を処理する第1処理装置」と、「前記第2処理ライン上の前記匣鉢を処理する第2処理装置」とを備えているのに対して、甲1発明では、「前記第1処理ライン上の前記」プレート「を処理する第1処理装置」と、「前記第2処理ライン上の前記」プレート「を処理する第2処理装置」とを備えていない点。
イ 相違点2、3の検討
事案に鑑み、相違点2、3をまとめて検討する。
(ア)まず、相違点2、3が実質的な相違点であるか否かについて検討する。
甲1には、甲1発明の移送ラインが、プレートが送られる第1処理ラインと、当該第1処理ラインと並列に配置されたプレートが送られる第2処理ラインとを備えていることについては、何ら記載されていない。
また、そうである以上、甲1には、甲1発明の移送ラインが、上記第1処理ラインと上記第2処理ラインに接続された、上流側の入口ラインと下流側の出口ラインとを備えていることについても記載されているとはいえず、さらには、上記第1処理ライン上のプレートを処理する第1処理装置と、上記第2処理ライン上のプレートを処理する第2処理装置とを備えていることについても記載されているとはいえない。
以上によれば、相違点2、3はいずれも実質的な相違点である。
(イ)次に、相違点2、3の容易想到性について検討する。
a(a)甲1発明の移送ラインは、焼成炉の入側と出側を連結する単一閉曲線をなし、プレートが移送ラインに沿って焼成炉を連続して循環するものである。
甲1には、移送ラインは、間隔を置いて配置された複数のローラを含み、ローラが回転駆動することで、その上に置かれた対象物を移動できること(【0029】、図3)、焼成炉は、内部通路に沿って設けられた原料を移動させる移送ロールを含み、移送ロールは移送ラインと連結されていること(【0033】、【0034】、図2)、移送ラインは、焼成炉の入側と出側を連結する単一閉曲線をなしているため、プレートが移送ラインに沿って焼成炉を連続して循環すること(【0036】、図1)が記載されている。
また、甲1の図1~3によれば、複数のプレートが所定の間隔で順に一方向に搬送されることが理解できる。
さらに、甲1には、焼成完了した正極材を分離部でプレートから分離し、プレートを洗浄部で洗浄し、プレートは再び供給部に移動して再使用されること(請求項12、13、【0045】)が記載されている。
(b)甲1の上記(a)の記載によれば、上記ア(イ)で述べたことも踏まえると、甲1発明においては、複数のプレートが、供給部で供給された原料を保持した状態で、複数のローラを含む入側の移送ライン、移送ロールを含む焼成炉の内部通路、複数のローラを含む出側の移送ラインに沿って、所定の間隔で順に一方向に搬送されることで、原料が焼成されるものであり、焼成された正極材は分離部でプレートから分離され、プレートは洗浄部で洗浄され、プレートは再び供給部で原料が供給されるものと解される。
(c)甲1発明についての上記(b)のような理解を前提とすると、甲1発明に係る二次電池正極材の焼成装置は、複数のプレートが所定の間隔で順に一方向に滞りなく搬送され処理されるように、その装置全体の搬送条件や処理条件が最適化されて設計されているものといえる。
そうすると、このような甲1発明に係る二次電池正極材の焼成装置においては、本件発明1と同様の問題(本件明細書【0004】)、すなわち、移送ラインが単一のラインであるため、移送ライン上の処理装置(供給部、分離部、洗浄部)によるプレートの処理がボトルネックとなり、二次電池正極材の焼成装置でのプレートの処理量を増やすことが困難であるとの問題が生じるとはいえないから、本件発明1と同様の課題(本件明細書【0004】)、すなわち、プレートの処理量を増やすことができる二次電池正極材の焼成装置を提供するとの課題が存在するとはいえない。
(d)以上によれば、仮に上記(c)のような課題を解決するための手段が甲2~4に記載されていたとしても、甲1発明において、当該手段を適用する動機付けがあるとはいえない。
b(a)また、そもそも、甲2~4には、相違点2、3に係る発明特定事項に相当する事項が記載されているとはいえない。
(b)この点、申立人は、甲2の【0013】、【0022】、【0023】、図1の記載を根拠として、
(b-1)経路10aに続く分岐経路10bと平行する「経路10c」は、本件発明1の「前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記匣鉢が送られる第2処理ライン」に相当する(当審注:「分岐経路10b」が、本件発明1の「前記匣鉢が送られる第1処理ライン」に相当することを前提とするものと解される。)、
と主張し、当該(b-1)の主張を前提として、
(b-2)経路10aには、分岐経路10bと、(経路10d及び分岐経路10bを介して)経路10cとが接続されているから、分岐経路10bと経路10cよりも上流側の「経路10a」は、本件発明1の「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの上流に配置されている入口ライン」に相当し、同様に、分岐経路10bと経路10cよりも下流側の「経路10a」は、本件発明1の「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの下流に配置されている出口ライン」に相当する、
(b-3)経路10cの一側に配設されている「台車積みステーション15」は、本件発明1の「前記第2処理ライン上の前記匣鉢を処理する第2処理装置」に相当する(当審注:分岐経路10bの一側に配設されている「台車卸しステーション14」が、本件発明1の「前記第1処理ライン上の前記匣鉢を処理する第1処理装置」に相当することを前提とするものと解される。)、
と主張する。
しかしながら、上記(b-1)の主張について、甲2には、台車をトンネルキルンの出口側から入口側へ回送するための経路としては、経路10a(台車冷却棚12、冷却済台車ストック棚13A)、分岐経路10b(台車卸しステーション14)、経路10d(台車整備室16内)、経路10c(台車積みステーション15)、経路10d(未処理物台車ストック棚13B)を順に経由するものが記載されるのみである(【0010】、【0013】、【0020】~【0023】)。そして、当該記載によれば、分岐経路10bと経路10cは、台車をトンネルキルンの出口側から入口側へ回送するための経路において、直列に接続されるものであり、「並列に配置され」るものとはいえないから、「分岐経路10b」が本件発明1の「前記匣鉢が送られる第1処理ライン」に相当するとはいえず、また、「経路10c」が本件発明1の「前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記匣鉢が送られる第2処理ライン」に相当するとはいえない。
よって、申立人の主張は、前提において誤りであり、採用できない。
(c)また、申立人は、甲3の【0013】、【0016】、【0023】、図1、3、6の記載を根拠として、
(c-1)搬送装置4が乾燥装置5から空コンテナ19を投入ステーション18に搬送する経路は、搬送装置4が乾燥装置5から空コンテナ19を投入ステーション17に搬送する経路に対して、並列に配置されているから、前者の経路は、本件発明1の「前記第1処理ラインと並列に配置されており、前記匣鉢が送られる第2処理ライン」に相当する(当審注:後者の経路が、本件発明1の「前記匣鉢が送られる第1処理ライン」に相当することを前提とするものと解される。)、
(c-2)搬送装置4が乾燥装置5から空コンテナ19を投入ステーション18に搬送する経路上には、穀物投入装置3の穀物投入用流下樋35の排出口に、穀粒の分散を均一にする分散機38が配置されているから、穀物投入装置3の「穀物投入用流下樋35の排出口」及び「穀粒の分散を均一にする分散機38」は、本件発明1の「前記第2処理ライン上の前記匣鉢を処理する第2処理装置」に相当する(当審注:搬送装置4が乾燥装置5から空コンテナ19を投入ステーション17に搬送する経路上の、穀物投入装置3の「穀物投入用流下樋34の排出口」及び「穀粒の分散を均一にする分散機39」が、本件発明1の「前記第1処理ライン上の前記匣鉢を処理する第1処理装置」に相当することを前提とするものと解される。)、
と主張する。
しかしながら、申立人の上記主張を前提としても、搬送装置4が乾燥装置5から空コンテナ19を投入ステーション17、18に搬送する経路の詳細は不明であり、特に、「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの上流に配置されている入口ライン」と、「前記第1処理ラインと前記第2処理ラインに接続されており、前記第1処理ラインと前記第2処理ラインよりも前記リターンラインの下流に配置されている出口ライン」の有無については、不明というほかない。
よって、申立人の主張は採用できない。
c 以上によれば、甲1発明において、相違点2、3に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
ウ 小括
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1を引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件発明2~5についても同様に、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、申立理由1(進歩性)によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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