特許異議申立
2024-700603
故障診断装置、故障診断システム、及び故障診断プログラム
- 審判番号
- 2024-700603
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-150115
- 登録番号
- 7404197
- 請求日
- 2024年06月25日
- 審決日
- 2024年12月26日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】東京瓦斯株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 【異議申立人】西内 大生
- 審判長/審判官
- 審判長 八木 誠
- 審判官 河端 賢
- 審判官 北村 亮
- 分類
- P1652.121-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7404197号発明「故障診断装置、故障診断システム、及び故障診断プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7404197号の請求項1及び7に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7404197号の請求項1及び7に係る特許についての出願は、令和2年9月7日に出願され、令和5年12月15日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月25日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年6月25日に特許異議申立人西内大生(以下「特許異議申立人」という)は、請求項1及び7に係る特許に対する特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
特許第7404197号の請求項1及び7の特許に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明7」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
燃料電池コージェネレーションシステムが動作の異常を検知した場合に、前記燃料電池コージェネレーションシステムから、前記異常に対応する、前記燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する取得部と、
過去に得られた動作履歴データ群を、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、前記取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部と、
前記選択部により選択された、前記エラーコードに対応する機能部の故障診断モデルに対して、前記取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、前記故障診断モデルから出力される判定結果を用いて、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部と、
を備えた故障診断装置。」
「【請求項7】
燃料電池コージェネレーションシステムと、
前記燃料電池コージェネレーションシステムと接続された故障診断装置と、
を備え、
前記燃料電池コージェネレーションシステムは、
自システムの動作の異常を検知した場合に、前記故障診断装置に対して、前記異常に対応する、自システムの動作履歴に関する動作履歴データを送信し、
前記故障診断装置は、
前記燃料電池コージェネレーションシステムから送信された前記動作履歴データを取得する取得部と、
過去に得られた動作履歴データ群を、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、前記取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部と、
前記選択部により選択された、前記エラーコードに対応する機能部の故障診断モデルに対して、前記取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、前記故障診断モデルから出力される判定結果を用いて、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部と、
を備えた故障診断システム。」
3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として再公表WO2010/082322(甲第1号証。以下「甲1」という。甲第2号証についても同様に「甲2」という。)及び従たる証拠として特許第6647461号公報(「甲2」)を提出し、請求項1及び7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1及び7に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
4 証拠の記載等
(1)甲1には以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、対象とする装置の状態の異常(異常兆候)や正常を監視及び判定する装置異常監視方法に関し、特に、装置状態計測データ(センサデータ)に基づき作成したモデルを用いて監視、判定、診断、及び保守作業指示等を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電併給(コジェネレーション)装置に代表される、燃料を少なくとも運動エネルギー、熱エネルギー、または電気エネルギーに変換する装置(設備)等に対して、状態を計測するための複数のセンサ(計測器)を備え付け、これにより装置の各状態を時々刻々と計測して把握し、そのデータ(装置状態計測データ(状態データ)、センサデータなどと称する)に基づいて装置の状態の正常や異常を判定し、異常状態を捉えて保守を行う、状態基準保全(CBM:Condition Based Maintenance)の技術がある。これは、保守コストの削減に効果がある。」
イ 「【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、装置異常監視方法及びそのシステムに係わり、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0025】
本形態は、基本として、コンピュータの情報処理を用いて、対象となる装置(設備、システム等)の状態を、複数(3つ以上)のセンサで計測したデータ(状態データ項目)を用いて監視し、それらのデータ(状態データ項目)を用いて予め回帰分析に基づくモデル(予測モデル、監視モデルなどと称する)を作成し、所定時間単位で収集したデータ(状態データ項目)と上記モデルに基づき、装置の異常(異常兆候)の検知(判定)を行い、更には異常の内容の診断(特に異常箇所の推定)、及びそれらの結果に基づいた保守作業指示等の処理を行う方法及びシステムである。本形態は、装置の複数の状態データ項目を分類し、それらの関係をモデル化して説明変数毎のモデルを作成し、それら複数のモデル(集団モデル)による複数の予測値及びそれらの集団関係に基づいて、上記監視、判定、診断、及び保守作業指示等を行うことを特徴とする。
【0026】
(1) 本形態は、例えば、コンピュータの情報処理を用いて、対象とする装置の状態を複数のセンサで計測して得られる前記装置の複数の状態データ項目に基づいて、前記装置の状態の異常を監視及び判定する処理を行う装置異常監視方法であって、前記装置の正常時の前記複数の状態データ項目に基づき、前記監視及び判定のためのモデルを作成するモデル作成処理を行う第1のステップと、所定時間単位で、前記装置の複数の状態データ項目を入力し、前記モデルを用いて、前記装置の状態の異常を監視及び判定し、異常を検知した場合には検知情報を出力する監視実行処理を行う第2のステップと、を有する。
【0027】
そして、前記第1のステップでは、前記複数の状態データ項目を、回帰分析における、目的変数データ項目(Y)(1つ以上)と、それ以外の2つ以上の説明変数データ項目(X)とに(統計的に)分類するステップと、前記モデルの集団を構成する2つ以上の個別のモデルとして、前記説明変数データ項目(X)毎に、当該1つの説明変数データ項目(X)から前記目的変数データ項目(Y)を予測する個別のモデルを作成することで前記モデルの集団を構成するステップと、を有する。
【0028】
そして、前記第2のステップでは、新規(最新)の前記複数の状態データ項目の入力に対して、前記モデルの集団を構成する個別のモデル毎に、前記説明変数データ項目(X)を入力として、前記目的変数データ項目(Y)の個別の予測値を計算するステップと、前記個別の予測値毎に、前記目的変数データ項目(Y)の実測値と、当該予測値との間における個別の乖離度(予測乖離度)を計算するステップと、前記説明変数データ項目(X)毎に得られた前記複数の乖離度を組み合わせた集団乖離度を計算するステップと、前記集団乖離度としきい値とを比較することで前記装置の異常を検知するステップと、を有する。
【0029】
特に、前記第1のステップでは、前記2つ以上の説明変数データ項目を、相互相関強度の大きい共線性データ項目と、それ以外の独立性データ項目(任意数)とに分類するステップを有し、前記モデルの集団を構成する2つ以上の個別のモデルを作成するステップでは、前記共線性の説明変数データ項目毎に、当該1つの共線性の説明変数データ項目から前記目的変数データ項目を予測する個別のモデルを作成する。
【0030】
(2) 更なる形態では、前記第2のステップにより前記異常を検知した場合の前記検知情報に基づき、前記装置の異常の内容を診断する処理を行う第3のステップを有し、前記第3のステップでは、前記集団乖離度が前記しきい値を超えた原因となった状態データ項目を順位付けて候補として特定し、当該原因の候補を表す情報を出力する処理を行う。
【0031】
(3) 更なる形態では、前記第3のステップにより得られた前記原因の候補を表す情報に基づいて、前記原因のデータ項目に関連付けられる前記装置の部品の寿命を計算し、当該寿命の情報を出力する処理を行う第4のステップを有する。
【0032】
(4) 更なる形態では、前記第4のステップにより得られる前記部品の寿命の情報を用いて、保守作業者による前記部品に関する前記装置を保守作業するためのスケジュールを含む保守計画情報を作成して保守作業指示として出力する第5のステップを有する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の代表的な実施の形態によれば、装置異常監視方法及び状態基準保全の技術に係わり、(1)精度良い異常検知が可能なモデル及びそれを用いた監視、(2)更に異常原因の部品等の推定による保守の効率化、(3)更に推定された部品等の寿命等の把握による効率的な保守計画、などを実現できる。
【0034】
上記(1)に関しては、特に、装置の異常兆候をセンサデータから検知するためのモデル(予測モデル)を、共線性のデータ項目毎の個別のモデルの集団とすることによって、常に安定に作成することができる。
【0035】
また、上記個別モデルの集団とすることによって、線形モデルと非線形モデルを混在させることもできる。より一般的には、複数の種類のモデルを混在させることができる。
【0036】
また、上記各モデルの予測値における実測値からの乖離度を計算し、その乖離度の集団の分布あるいは統計量を計算することにより、精度良く装置異常兆候を検知することができる。特に、集団平均値と集団最大値を組み合わせることにより、精度良く検知できると共に、異常変動が発生して波及している規模を同時に検知することができる。また集団最大値の代わりに統計分布分位数を用いることによって、異常判定の信頼性を上げることができる場合もある。また、個別の乖離度の規格化を個別に行うことで、装置知識を反映させた集団乖離度を計算し、異常検知の精度を上げることができる。
【0037】
上記(2)に関しては、特に、装置の異常兆候の検知を基点に、因果解析を行うことにより、迅速に異常検知データ項目を順位付けて異常原因現象の候補となる関連部品を特定でき、保守作業を効率化できる。
【0038】
上記(3)に関しては、特に、装置の異常兆候の検知を基点に、異常原因の候補部品の寿命計算を行うことで、過不足の無い最適な保守計画を立てることができ、保守作業を効率化できる。」
ウ 「【0041】
<概要>
まず、本形態の概要は以下である。本形態において、装置の所定の状態を計測する複数のセンサの出力(状態データ項目)を、所定時間単位でサンプリング、収集して、履歴として保存する。センサ毎に所定の状態データ項目(例えば温度、電力など)が対応付けられる。これら複数の状態データ項目を用いて、以下に示すような各手段及び対応ステップの処理を行う。
【0042】
(1) 本形態の方法及びシステムにおいて、下記のようにモデルを作成する処理を行う第1の手段及びステップを有する。所定時間単位(指示されたタイミング、あるいは所定サイクルなど)で、装置の複数の状態データ(履歴)を用いて、それらの各データ項目を軸にとったパラメータ空間における装置正常状態が局在した部分空間モデル(装置正常状態パラメータ部分空間モデル)を作成する。具体的には、まず、各データ項目を、回帰分析(Y=A・X)における、目的変数(Y)と説明変数(X)に分類する。目的変数(Y)には、例えば、装置の出力あるいは効率などを設定すれば良い。次に、複数の説明変数(X)を、共線性(共線性モード)のデータ項目(XAとする)と、独立性(独立性モード)のデータ項目(XBとする)とに分類する。共線性データ項目(共線性説明変数データ項目)(XA)は、相互相関(相互相関強度)が高いデータ項目であり、独立性データ項目(独立性説明変数データ項目)(XB)は、共線性データ項目(XA)以外のデータ項目とする。
【0043】
次に、共線性説明変数データ項目(XA)毎に、当該1つの共線性データ項目(XA)と、1つ以上の独立性データ項目(XB)とを組み合わせて説明変数(X)とし、この説明変数(X:XA,XB)と目的変数(Y)との間における回帰モデルを作成する。即ち、少なくとも共線性説明変数データ項目(XA)の数(2つ以上)の分、個別の回帰モデル(予測モデル)が作成され、これらの回帰モデルの集団(集団回帰モデル)ができる。予め装置正常状態での状態データ項目を用いて上記回帰モデルの集団を作成する。
【0044】
本形態では、上記共線性説明変数データ項目(XA)毎に作成した複数のモデル(集団回帰モデル)を用いて、当該集団回帰モデルに関する特定の計算、例えば集団予測乖離度などの計算を行い、監視及び判定等に用いることを特徴とする。
【0045】
上記回帰モデルについては、汎用性のある線形重回帰モデルを標準とするが、共線性データ項目(XA)の特性に応じて非線形モデルを選択し、線形モデルと非線形モデルとを混在させる形態とすることもできる。1つの共線性データ項目(XA)に対して、線形モデルと非線形モデルの両方を同時に作成して混在させても良い。個々のモデルを自由に組み合わせることができる柔軟性が、集団モデルを使う利点の1つである。
【0046】
(2) 本形態の方法及びシステムにおいて、上記作成したモデル(集団回帰モデル)を監視モデルとして用いて、下記のように装置状態の監視(異常検知)を実行する処理を行う第2の手段及びステップを有する。この監視実行の際、所定時間単位で、前記複数のセンサによる複数のデータ項目を収集する。そして、それらのデータ項目における共線性データ項目(XA)毎に、当該1つの共線性データ項目(XA)と、1つ以上の独立性データ項目(XB)とを組み合わせた説明変数(X)グループを作成し、これらを前記モデルの入力として、目的変数(Y)を予測、即ちY予測値(PY)を出力する。
【0047】
次に、上記監視で収集したデータ項目に含まれる実計測した目的変数値(Y実測値:RY)と、上記モデルにより予測した目的変数値(Y予測値:PY)との差を乖離度(予測乖離度)(EYとする)として計算する。
【0048】
次に、共線性データ項目(XA)毎の乖離度(EY)の大きさを規格化して、基準を揃える(規格化乖離度(EY’)群を得る)。この規格化の係数には、正常時の乖離度の正常変動の大きさの逆数を用いれば良い。あるいは、装置のデータ項目に関する経験知識などから、データ項目毎に重要度の優劣を付けて規格化しても良い。このように、データ項目に対応したモデル毎に装置知識を組み込むことができる点が、個別モデルを組み合わせた集団モデルを採用することの利点である。
【0049】
次に、共線性データ項目(XA)の数に対応して得られた複数の規格化乖離度(EY’)の分布あるいは集団指標を計算する。即ち、共線性データ項目(XA)毎のY予測値(PY)の乖離度(EY)及び規格化乖離度(EY’)をもとに、集団予測乖離度(EGとする)を計算する。具体的には、EGの例として、集団平均値(GAとする)を計算する。その場合、装置の複数のデータ項目に跨る規模の大きな装置異常兆候(大域異常)を検知できる。またEGの別の例として、集団最大値(GBとする)を計算する。その場合、装置の任意の単独のデータ項目に発生した装置異常兆候(局所異常)を精度良く検知できる。
【0050】
また、GAとGBの差をとってもよく、その場合、局所異常か大域異常か等を判定する指標とすることができる。また、GBの代わりに、集団個別乖離度(EY群)の分布の統計的分位数としても良い。なお、統計的q分位数とは、集団個別乖離度(EY群)の分布を、q:(1?q)に分割する値である。また、GAの代わりに、集団個別乖離度(EY群)の二乗平均平方根をとった実効値としても良い。
【0051】
上記のように、装置の複数の状態データ項目に関してすべてのデータ項目を網羅した予測値(PY)と実測値(RY)との乖離度(EY)の集団(集団予測乖離度:EG)を計算する。EGの分布、あるいは個別予測乖離度(EY)を組み合わせた集団指標に基づいて、異常を検知する。また、EGを計算する前に、装置に関する設計知識や故障事例などに基づく経験知識をフィードバックした個々の乖離度(EY)の規格化をデータ項目毎に行うことで、異常検知精度を向上する。
【0052】
(3) 本形態の方法及びシステムにおいて、上記監視(異常検知)の結果を用いて下記のように異常診断の処理を行う第3の手段及びステップを有する。装置異常兆候を検知した後、当該異常兆候を検知した時点(サンプリング点)における前記規格化乖離度(EY’)を、降順に並べることで、異常検知したデータ項目の重要度の優先順位を付け、この情報を異常発生原因現象の候補(異常候補情報)として出力する。
【0053】
各データ項目に対しては、装置の所定の箇所のモジュールや部品等が関連付けられているので、上記異常候補情報は、異常部品候補情報などの形で出力することができる。この処理では、例えば、装置設計データ(装置を構成するモジュールや部品等の情報を含む)を用いて、当該異常検知したデータ項目に関連付けられるモジュールや部品等を特定、抽出し、これを上記異常発生原因現象の候補とする。当該異常部品候補情報を、例えば保守作業用の保守装置に送信することで保守作業に役立てる。
【0054】
また、異常兆候を検知した後の装置データ(状態データ項目)を収集して、前記特許文献3、非特許文献4に記載されたグラフィカルモデリングを用いた因果解析を行うことで、上記異常原因現象の候補(状態データ項目、部品等)を特定する精度を向上することができる。具体的には、グラフィカルモデリングでは、通常の相互相関係数だけでなく、グラフネットワークにおける偏相関係数を計算することにより、交絡変数によって生じた疑似相関を見つけて排除し、原因を特定する。
【0055】
また、時間軸上で目的変数(Y)に明確な変化点がある場合には、変化点の周囲で各説明変数データ項目(X)における変化発生順位を調べることで、最初に変化が発生した原因を特定する因果解析を行うことができる。具体的には、データ(状態データ項目)のサンプリング時間に対する微分値を計算することにより、変化点を見つけると共に、変化点の順番を決める。あるいは、目的変数(Y)と各説明変数(X)の間の相互相関関数を計算しても良い。相互相関関数とは、各説明変数(X)が、目的変数(Y)を時間シフトした信号とどれだけ良く整合するかを測る尺度であり、時間シフトの大きさの関数として表される。時間軸上の目的変数(Y)の変化点の周囲で相互相関関数が最大になる最大値の変化量を調べ、目的変数(Y)の変化点に対応した説明変数(X)の変化点があるかどうかが分かる。また、時間軸上の変化点の周囲で相互相関関数が最大になる時間シフト量を調べ、時間シフト量がプラスかマイナスかで目的変数(Y)の変化点に対して説明変数(X)の変化点が過去か未来かが分かり、時間シフト量の大きさから、目的変数(Y)の変化点から説明変数(X)の変化点がどれだけ離れているかが分かる。説明変数(X)毎に変化点の有無と時間シフト量を調べることで、目的変数(Y)の変化点に対する因果の順番を知ることができる。
【0056】
(4) 本形態の方法及びシステムにおいて、上記異常診断の結果を用いて下記のように部品寿命等の計算及び保守計画(保守作業指示)の処理を行う第4の手段及びステップを有する。上記異常診断により異常原因現象の候補となる箇所の関連部品等を特定することができた場合、その部品等の寿命を計算する。この計算には、例えば、データ項目の履歴から予め作成しておいた、前記非特許文献5に述べられている比例ハザードモデルを使用する。そして、計算した寿命に基づいて、装置の保守対象のモジュールや部品の手配計画、作業計画、実施計画といった、時間的なスケジュールを含んだ保守計画の情報を作成し、当該保守計画を実行する。例えば当該保守計画の情報を保守作業者が使用する保守装置へ送信して表示させる。」
エ 「【0057】
(実施の形態1)
図1?図6、図7?図14、図15?図18、図19等を用いて、本発明の実施の形態1の装置異常監視方法及びそのシステムについて説明する。実施の形態1では、モデルを作成し監視及び判定を実行する処理までを行うものである。なお、図1等に示す構成では、実施の形態1のみでなく、実施の形態2以降で説明する要素を含む構成をまとめて示している。
【0058】
<システム(1)>
図1は、実施の形態1の装置異常監視方法を実現するシステム(装置異常監視システム)の主要部の構成を示している。本システムは、監視等の対象となる装置(設備)1に対し、モデル作成モジュール2、監視実行モジュール3(換言すれば異常検知モジュール)、異常診断モジュール4(換言すれば異常部品推定モジュール)、部品寿命予測モジュール5、保守計画モジュール6、保守作業指示モジュール7、及び保守履歴記録モジュール8を有する構成である。各モジュール・サブモジュール(処理部)は、所定のハードウェア及びソフトウェアを用いて一般的なコンピュータの情報処理により実現される。そのコンピュータシステムとしての構成は図2に示される。
【0059】
対象の装置1は、例えば、燃料を少なくとも運動エネルギー、熱エネルギー、または電気エネルギーに変換するエネルギー変換装置(熱電併給装置、電気装置、動力装置、あるいは熱源装置など)である。なお、装置1は、複数の装置から成るシステム等であっても構わない。装置1に対して、所定の部位や種類の状態を計測する複数のセンサが内蔵または外部近隣に具備される(図2、S)。複数のセンサは、それぞれ、対応するセンサデータ(状態計測データ)DSを出力する。
【0060】
モデル作成モジュール2は、装置1からのセンサデータDSや、保守履歴データD0などを用いて、監視等のためのモデルを作成及び更新等する処理を行う。モデルとしては、監視モデル(予測モデル)DM1と、寿命予測モデルDM2とを含む。
【0061】
監視実行モジュール3は、装置1からのセンサデータDSや、モデル作成モジュール2からの監視モデルDM1のデータを用いて、装置1の監視(異常検知)の処理を行い、その結果、装置1の異常(異常兆候)の検知の場合に、その事を表す検知情報D1などを出力する。また例えば、監視実行モジュール3から装置1へ、必要に応じて、停止信号D5を出力することで、装置1の稼働を停止させることができる。
【0062】
異常診断モジュール4は、監視実行モジュール3の監視による検知情報D1を用いて、異常診断、特に異常部品推定の処理を行い、その結果、異常部品情報(候補情報)D2などを出力する。また例えば、異常診断モジュール4から保守作業指示モジュール7へ異常部品情報(候補情報)D2を直接に出力する。」
オ 「【0069】
センサ情報管理コンピュータ51は、装置1の複数(n)のセンサS(S1?Sn)と接続されており、複数のセンサSを通じて装置1の状態計測データDSのインターフェース(I/F)となって当該データ(DS)をサンプリング、収集する装置状態計測I/F61の機能を備える。
【0070】
装置監視コンピュータ52は、センサ情報管理コンピュータ51及び保守管理コンピュータ53と接続されており、モデル作成モジュール2、監視実行モジュール3、異常診断モジュール4、部品寿命予測モジュール5、及び保守計画モジュール6をプログラムの処理により実現する。例えば、装置監視コンピュータ52は、プロセッサがメモリ上のプログラムやデータを実行することにより、モデル作成モジュール2等の処理機能を実現する。」
カ 「【0074】
<モデル作成モジュール>
図3において、モデル作成モジュール2の詳細構成を示している。モデル作成モジュール2は、各サブモジュール(処理部)として、データ洗浄21、データ項目分類22、予測モデル構築23、集団予測乖離度計算モデル構築24、及び記憶25などを有する。
【0075】
モデル作成モジュール2は、装置1の複数のセンサSからの状態計測データDSを入力し、記憶手段に履歴として格納する(履歴201)。この格納手段は、例えば記憶25のサブモジュールを利用する。
【0076】
データ洗浄21では、保守履歴データ(D0)に基づき、状態計測データDS(履歴201)を洗浄し、データ項目分類22では、各種データ項目に分類する。本例では、状態計測データ項目の分類として、目的変数データ項目(Y)220と、第1の共線性説明変数データ項目(XA1)221と、第2の共線性説明変数データ項目(XA2)222と、独立性説明変数データ項目(XB)223とを有する。これらのデータ項目分類250は、記憶25のサブモジュールに記憶される。
【0077】
データ項目分類22に基づき、予測モデル構築23では、共線性説明変数データ項目(XA)毎に作成される複数の予測モデルが構築される。予測モデルとして、本例では、2つの共線性説明変数データ項目(XA1,XA2)に対応して、第1の予測モデル(M1)、第2の予測モデル(M2)を有する。第1の予測モデル(M1)は、目的変数データ項目(Y)220と、第1の共線性説明変数データ項目(XA1)221と、独立性説明変数データ項目(XB)223とを用いて構築される。第2の予測モデル(M1)は、目的変数データ項目(Y)220と、第2の共線性説明変数データ項目(XA2)222と、独立性説明変数データ項目(XB)223とを用いて構築される。これらの予測モデルのデータは、記憶25のサブモジュールに記憶される。
【0078】
上記構築された予測モデル(M1,M2)を用いて、集団予測乖離度計算モデル構築24では、集団予測モデル群251(集団予測乖離度計算モデルMGを含む)を構築し、記憶25のサブモジュールに記憶する。構築されたモデルは、監視モデル(DM1)等として利用される。
【0079】
なお、予測の対象となる目的変数(Y)220は、システム管理者(U2)等による指定(設定)、またはコンピュータによる自動計算などにより決定される。目的変数(Y)の設定の例は、装置1の出力として例えば電力([W])である。
【0080】
<監視実行モジュール>
図4において、監視実行モジュール3の詳細構成を示している。監視実行モジュール3は、各サブモジュールとして、データ洗浄31、データ項目選択(装置状態監視パラメータ選択)32、及び異常兆候判定33を有する。データ項目選択32及び異常兆候判定33では、モデル作成モジュール2からの監視モデル(DM1)のデータを利用する。
【0081】
監視実行モジュール3は、装置1の複数のセンサSからのデータ(DS)を記憶手段に履歴301として格納する。データ洗浄31では、状態計測データDS(履歴301)を洗浄する。データ項目選択32では、モデル作成モジュール2からの監視モデル(DM1)のデータに基づき、データ項目を選択する。このデータ項目は、目的変数データ項目(Y)320と、第1の共線性説明変数データ項目(XA1)321と、第2の共線性説明変数データ項目(XA2)322と、独立性説明変数データ項目(XB)323とを有する。
【0082】
異常兆候判定33では、第1の予測モデル予測値計算331、第2の予測モデル予測値計算332、第1の予測値乖離度計算333、第2の予測値乖離度計算334、集団予測乖離度計算335、しきい値照合・異常判定336を有する。
【0083】
第1の予測モデル予測値計算331では、XA1(321)とXB(323)から、第1の予測モデル(M1)により第1の予測値(PY1)を計算する。第2の予測モデル予測値計算332では、XA2(322)とXB(323)から、第2の予測モデル(M2)により第2の予測値(PY2)を計算する。
【0084】
第1の予測値乖離度計算333では、Y(320)と第1の予測値(PY1)とから、第1の予測値(PY1)の乖離度(第1の予測乖離度:EY1)を計算する。第2の予測値乖離度計算334では、Y(320)と第2の予測値(PY2)とから、第2の予測値(PY2)の乖離度(第2の予測乖離度:EY2)を計算する。
【0085】
集団予測乖離度計算335では、第1と第2の予測乖離度(EY1,EY2)から、集団予測乖離度(EG)を計算する。
【0086】
しきい値照合・異常判定336では、集団予測乖離度(EG)を、しきい値(H)と比較照合して、異常判定を行う。そして、その異常判定の結果(異常の有無)と、第1及び第2の予測乖離度(EY1,EY2)とを含む情報を、検知情報34(D1)として出力する。
【0087】
<モデル作成処理>
図5において、モデル作成モジュール2によるモデル作成実行の処理フローを示している。各処理ステップの主体は、モデル作成モジュール2(プログラム)である。
【0088】
S101では、装置1の状態計測データDSの履歴201のデータを収集し、また、装置1の保守履歴データ(D0)を収集する。S102では、データ洗浄21により、装置1の正常稼働時の状態計測データDSを洗浄し、抽出する。
【0089】
S103では、データ項目分類22により、装置1の複数の状態計測データDSの中から、目的変数データ項目(Y)と説明変数データ項目(X)を指定する。S104では、データ項目分類22により、複数の状態計測データDSのデータ項目における複数の説明変数データ項目(X)の各々について、説明変数データ項目(X)の目的変数データ項目(Y)に対する共線性モードと独立性モードを分類する。即ち、前述の共線性説明変数データ項目(XA:XA1,XA2)と独立性説明変数データ項目(XB)に分類する。
【0090】
S105では、予測モデル構築23により、共線性説明変数データ項目(XA)と独立性データ説明変数項目(XB)とを組み合わせて、共線性説明変数データ項目(XA)の数(本例では2つ)の分、共線性説明変数データ項目(XA)毎の目的変数データ項目(Y)に対する予測モデルを作成する。即ち例えば、前述のXA1とXBの組み合わせに対応する第1の予測モデル(M1)、及び、XA2とXBの組み合わせに対応する第2の予測モデル(M2)を作成する。
【0091】
S106では、集団予測乖離度計算モデル構築25により、上記複数の予測モデル(M1,M2)の予測値乖離度(予測乖離度:EY)を組み合わせた、集団予測乖離度(EG)を計算するための集団予測乖離度計算モデル(MG)を構築する。構築されたモデルは、記憶25のサブモジュールへ格納される。
【0092】
<監視実行処理>
図6において、監視実行モジュール3による監視実行の処理フローを示している。
【0093】
S111では、装置1の複数の状態計測データDSを収集し、データ洗浄31により、洗浄する。S112では、データ項目選択32により、装置1の複数の状態計測データ項目の中から、目的変数データ項目(Y)と説明変数データ項目(X)を選択する。S113では、データ項目選択32により、複数の説明変数データ項目(X)の中から、共線性説明変数データ項目(XA)と独立性説明変数データ項目(XB)を選択する。
【0094】
S114では、異常兆候判定33により、共線性説明変数データ項目(XA)の数の分の複数の予測モデルを用いて、目的変数データ項目(Y)に対する複数の予測値(PY)を計算する。S115では、各予測値(PY)の乖離度(EY)を計算する。」
キ 「【0190】
(実施の形態3)
次に、図22?図25を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態1(図1)のモデル作成モジュール2及び監視実行モジュール3の処理に加えて、異常診断モジュール4の処理(異常診断による異常部品(候補)推定)を行う。異常部品の推定の処理では、異常原因のセンサS(対応データ項目)が特定されることで、当該センサS(対応データ項目)に対応付けられるモジュールや部品を抽出することができる。
【0191】
<異常診断>
前記実施の形態2では、監視実行モジュール3から、装置1の大域異常や局所異常に関する情報を含む検知情報34(D1)を、保守作業指示モジュール7に送信することで、装置保守対象規模を指示している(図1)。さらに、異常変動した状態データ項目の名称と、その異常変動の大きさの降順のランキングなどの異常候補推定情報を、検知情報34(D1)に含めて送信するようにすれば、保守作業内容が事前に定まる効果がある。そこで、実施の形態3では、そのような処理を行う異常診断モジュール4を含む構成とした。
【0192】
前記実施の形態1において、前記しきい値照合・異常判定336のサブモジュールが集団乖離度(EG)としきい値(H)とを照合して異常判定し(図6、S117)、異常兆候を検知した際には(S118?Y)、前記検知情報34(D1)を保守作業指示モジュール7に送信している(S119)。
【0193】
それに代わり、実施の形態3では、前記図6のS115で計算した複数の各予測値(PY:PY1,PY2)の予測乖離度(EY:EY1,EY2)も全て検知情報34(D1)の中に含めて、異常診断モジュール4に送信するようにする。異常診断モジュール4は、各データ項目に対応した予測乖離度(EY)の大きさを降順にランキングした後に、当該情報(異常と関連のある状態データ項目をランキング付きで列挙した情報)を、保守作業指示モジュール7に送信する。保守作業指示モジュール7は、上記各データ項目の予測乖離度(EY)の降順ランキングなどの異常候補推定情報を、保守装置54を用いる保守作業者(U1)に提示する。例えば保守装置54の表示装置画面に表示する。これにより、保守作業者(U1)が保守作業を行う対象となる装置1の箇所(モジュールや部品など)などを的確に指示することができる効果がある。
【0194】
例えば、熱電併給装置において、異常候補推定情報として発電機側の電流、電圧、電力等の項目が上位のランキングに挙がって来た場合には、保守作業者(U1)が保守作業を行う対象となる装置1の箇所として、発電制御モジュールを指示する。また、異常候補推定情報として回転速度、振動等の項目が上位のランキングに挙がって来た場合には、保守作業者(U1)が保守作業を行う対象となる装置1の箇所として、エンジンモジュールを指示する。また、異常候補推定情報として冷却水温度、潤滑油温度等の項目が上位のランキングに挙がって来た場合には、保守作業者(U1)が保守作業を行う対象となる装置1の箇所として、冷却モジュールを指示する。
【0195】
また、前記特許文献3、非特許文献4に開示されているグラフィカルモデリングによる因果解析を実行する機能を、異常診断モジュール4が備えるようにしてもよい。その場合、上記異常と関連のある状態データ項目をランキング付きで列挙した情報だけでなく、推定した因果関係、すなわち推定根本原因を、異常診断モジュール4から保守作業指示モジュール7へ送り、保守作業者(U1)に提示する。これにより、同様に、保守作業対象となる装置1の箇所を的確に指示できる効果がある。グラフィカルモデリングでは、状態データ項目間の偏相関係数を計算して条件独立を判定し、条件独立が成り立つ場合には、グラフのリンクを切断することで、因果モデルを得る。」
ク 「
[図:0001419362000001.jpg]
」(【図1】)
ケ 「
[図:0001419362000002.jpg]
」(【図2】)
コ 「
[図:0001419362000003.jpg]
」(【図3】)
サ 「
[図:0001419362000004.jpg]
」(【図4】)
シ 「
[図:0001419362000005.jpg]
」(【図5】)
ス 「
[図:0001419362000006.jpg]
」(【図6】)
以上の記載によれば、甲1には以下の発明(以下「引用発明1」という)が記載されていると認められる。
「 エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常兆候を検知した後、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の所定の部位や種類の状態を計測する複数のセンサSからの履歴として格納する状態計測データDS(履歴201、301)を格納する記憶装置25のサブモジュールと、
状態計測データDS(履歴201)を、用いて構築される、複数の予測モデル(M1、M2)に対して、記憶装置25のサブモジュールに格納された状態計測データDS(履歴301)又は状態計測データDS(履歴301を洗浄して分類した共線性説明変数データ項目(XA)から、複数の予測モデル(M1、M2)で計算される複数の各予測値(PY:PY1,PY2)の予測乖離度(EY:EY1,EY2)を含む検知情報34(D1)の大きさを降順にランキングして異常候補推定情報として、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常部品(候補)の推定を行うモデル作成モジュール2、監視実行モジュール3及び異常診断モジュール4と、
を備えた装置異常監視システム。」
(2)甲2には以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械の故障を予測する故障診断システム、故障予測方法、および故障予測プログラムに関する。」
イ 「【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる故障診断システムの構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる故障診断システム100は、故障予測装置1と、複数の産業機械21,22,・・・,2nとを備える。nは例えば3以上の整数である。産業機械21,22,・・・,2nは、例えば、製品を生産するために工場に配置される機械である。これらの産業機械21,22,・・・,2nは、例えば、互いに異なる工場に配置されるが、同一工場に配置されてもよい。以下、産業機械21,22,・・・,2nの各々を区別せずに示す場合、産業機械2と記載する場合がある。
【0012】
故障予測装置1は、複数の産業機械2と不図示の通信ネットワークを介して双方向の通信が可能に接続されている。通信ネットワークは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)またはLAN(Local Area Network)である。故障予測装置1は、産業機械2から送信されるデータに基づいて、産業機械2の故障を予測する。産業機械2の故障には、産業機械2を構成する部品または機器の故障が含まれる。
【0013】
図2は、実施の形態1にかかる産業機械の構成例を示す図である。図2に示すように、産業機械2は、産業機械2を制御する制御部60と、故障予測装置1との間でデータを送受信する通信部61と、データを表示する表示部62とを備える。産業機械2の制御部60は、通信部61から実測データ、イベントデータ、および動作環境データを故障予測装置1に送信することができる。また、産業機械2の制御部60は、故障予測装置1から送信され通信部61で受信されるデータを表示部62に表示することができる。
【0014】
実測データは、産業機械2に取り付けられた計測器から取得されるデータである。かかる計測器は、産業機械2を構成する機器または部品などの状態を計測する。イベントデータは、産業機械2の運転状態または異常状態などを示すイベントのデータである。動作環境データは、産業機械2の運転環境または運転条件などを示すデータである。
【0015】
また、産業機械2の制御部60は、異常状態が発生した場合、故障予測リクエストを通信部61から故障予測装置1に送信することができる。産業機械2の制御部60は、故障予測リクエストに応じて故障予測装置1から送信される予測残寿命情報などの情報を産業機械2の表示部62に表示することができる。故障予測リクエストには、例えば、故障予測の対象である予測対象部位を示す情報を含ませることができる。予測対象部位は、産業機械2全体であってもよく、産業機械2を構成する機器または部品であってもよい。」
ウ 「【0047】
例えば、データ検出部14は、データ受信部12によって故障予測リクエストが受信された場合、産業機械2のイベントデータをイベントデータテーブル21から取得する。そして、データ検出部14は、取得したイベントデータに、対象故障イベントが含まれているか否かを判定する。対象故障イベントは、例えば、故障予測リクエストが受信された時刻から所定時間前までの時刻の故障イベントである。データ検出部14は、対象故障イベントが含まれていると判定した場合、予測ルール生成部15に対して予測ルールの生成または更新を要求する。」
エ 「【0049】
ここで、予測ルールは、産業機械2の故障を予測するアルゴリズムを含む。具体的には、予測ルールは、上述した実測データおよび動作環境データなどに基づいて産業機械2の故障を予測する分析モデルなどを含む。かかる予測ルールは、学習データ記憶部13に記憶されたデータを学習データとして予測ルール生成部15によって生成される。
【0050】
データ検出部14は、学習データ記憶部13に記憶された実測データテーブル20に含まれる複数の実測データを学習データとする機械学習によって、未来の実測データである計測値を予測する分析モデルである計測値予測モデルを生成することができる。例えば、データ検出部14は、実測データテーブル20に含まれる複数の実測データを学習データとしてディープラーニングを行って計測値予測モデルを生成することができる。かかる計測値予測モデルは、例えば、時系列の過去の実測データを学習データとし、未来の実測データを予測するリカレントニューラルネットワークなどである。
【0051】
データ検出部14は、データ受信部12で受信される実測データに含まれる計測値を計測値予測モデルに入力することで、計測値予測モデルから実測データの予測値を得ることができる。データ検出部14は、データ受信部12で新たに受信された実測データと計測値予測モデルによる予測値との差の大きさから突発性故障リスクを判定することができる。例えば、データ検出部14は、データ受信部12で新たに受信された実測データと計測値予測モデルによる予測値との差が予め設定された値以上である場合、突発性故障リスクがあると判定することができる。突発性故障リスクがあるとは、例えば、実測データが学習データによって関連付けられていない新規の故障モードのデータであると判断される場合である。
【0052】
データ検出部14は、突発性故障リスクがあると判定した場合、予測ルール生成部15に対して予測ルールの生成または更新を要求することができる。また、データ検出部14は、突発性故障リスクがあると判定した場合、突発性故障検出部17および故障予測部18に分析リクエストを送信することができる。
【0053】
予測ルール生成部15は、突発性故障が予測対象物である産業機械2に発生した場合、予測ルールにおける分析モデルのパラメータと学習データのパラメータとの調整に基づいて、突発性故障を予測する新たな予測ルールを生成する。
【0054】
予測ルール生成部15は、生成部30と、反映部31とを備える。生成部30は、データ検出部14から予測ルールの生成または更新を要求された場合、データ検出部14で検出された故障イベントを再現できる予測ルールを生成または更新する。
【0055】
生成部30は、対象故障モードに紐付けられた予測ルールが予測ルール記憶部16に記憶されていない場合、突発性故障が予測対象物である産業機械2に発生したと判定する。対象故障モードは、故障予測リクエストがデータ受信部12で受信された場合に、データ検出部14で検出される対象故障イベントで特定される故障モードである。例えば、対象故障イベントが図5に示すコード「1188」のイベントである場合、コード「1188」で特定される故障モードである。
【0056】
生成部30は、突発性故障が予測対象物である産業機械2に発生したと判定した場合、データ検出部14で検出された故障イベントを再現できる予測ルールを探索する。
【0057】
ここで、予測ルールの探索とは、分析モデルのパラメータの調整と学習データのパラメータの調整とを試行することを指す。学習データのパラメータは、例えば、学習データの補正値である。分析モデルのパラメータは、例えば、学習データから産業機械2の故障を予測するための特徴量を算出する近似式の種類、またはかかる近似式の係数などである。学習データの補正値は、例えば、実測データの単位系、予測対象物の稼動環境による実測データの誤差、または学習データの重み付けなどを補正するための値である。
【0058】
生成部30は、学習データ記憶部13に記憶された実測データを学習データとし、かかる学習データを調整する処理と、分析モデルを調整する処理を繰り返し試行する。調整処理に用いられる学習データは、突発性故障が発生に至るまでの実測データを含む。例えば、調整処理に用いられる学習データは、産業機械2に突発性故障が発生した際の実測データ、および産業機械2に突発性故障が発生する前における時系列の実測データを含む。
【0059】
生成部30は、複数回の試行によって、分析モデルのパラメータの調整内容と学習データのパラメータの調整内容との組み合わせのうち、最も有効な組み合わせを故障の原因パラメータとして特定する。学習データの調整内容は、例えば、上述した学習データの補正値および故障の予測に用いる実測データの種別などである。
【0060】
また、最も有効な組み合わせとは、調整後の学習データから分析モデルの近似式が故障の予測に適した時系列推移を再現することになる組み合わせである。故障予測に適した時系列推移の再現をする近似式とは、図7に示すように故障に至るまでの時間との相関関係が強い近似式のことを指す。図7は、実施の形態1にかかる分析モデルの近似式の選定を説明するための図である。」
オ 「【0064】
このように、生成部30は、分析モデルのパラメータに加え、学習データのパラメータを調整することで、新たな予測ルールを生成することから、学習データが少ない場合であっても突発性故障を精度よく予測することができる予測ルールを生成することができる。
【0065】
また、生成部30は、学習データとして、予測対象物から得られる学習データに加えて予測対象物以外の1以上の産業機械2から得られる学習データを用いて、原因パラメータを特定することができる。生成部30は、特定した原因パラメータに基づいて、新たな予測ルールを生成する。これにより、例えば、予測ルールによる予測精度を高めることができ、また、突発性故障を予測するための予測ルールを複数の産業機械2で共通に使用することができる。
【0066】
このように、生成部30は、予測ルールにおける分析モデルのパラメータと学習データのパラメータとの調整に基づいて、突発性故障を予測する新たな予測ルールを生成することができる。反映部31は、新たな予測ルールを故障モードに紐づけて予測ルール記憶部16に記憶する。生成部30によって生成される予測ルールには、分析モデルの情報と、実測データの補正値の情報と、分析モデルの入力データの種別の情報と、クラスタリング情報と、動作環境データと、故障予測閾値とが含まれる。実測データの補正値は、原因パラメータに含まれる学習モデルの補正値に基づく値であり、例えば、学習モデルの補正値と同じ値である。」
カ 「【0070】
予測ルール記憶部16は、予測ルール生成部15によって生成または更新された予測ルールの情報を故障モードに紐付けて記憶する。」
キ 「
[図:0001419362000007.jpg]
」(【図1】)
ク 「
[図:0001419362000008.jpg]
」(【図2】)
5 当審の判断
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1」は本件発明1の「燃料電池コージェネレーションシステム」と「コージェネレーションシステム」の限りにおいて一致する。また、引用発明1の「エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の所定の部位や種類の状態を計測する複数のセンサSからの履歴として格納する状態計測データDS(履歴201、301)」は本件発明1の「燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データ」と「コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データ」の限りにおいて一致する。さらに、引用発明1の「格納する」ことは本件発明1の「取得する」ことに相当する。そして、引用発明1の「エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常兆候を検知した後、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の所定の部位や種類の状態を計測する複数のセンサSからの履歴として格納する状態計測データDS(履歴201、301)を格納する」ことは本件発明1の「燃料電池コージェネレーションシステムから、異常に対応する、燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する」ことと「コージェネレーションシステムから、異常に対応する、コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する」ことの限りで一致する。
そうすると、引用発明1の「エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常兆候を検知した後、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の所定の部位や種類の状態を計測する複数のセンサSからの履歴として格納する状態計測データDS(履歴201、301)を格納する記憶装置25のサブモジュール」は本件発明1の「燃料電池コージェネレーションシステムから、異常に対応する、燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する取得部」と「コージェネレーションシステムから、異常に対応する、コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する取得部」の限りで一致する。
イ-1 引用発明1の「状態計測データDS(履歴201)」は本件発明1の「過去に得られた動作履歴データ群」に相当する。そして、引用発明1の「状態計測データDS(履歴201)を、用いて構築され」ることは本件発明1の「過去に得られた動作履歴データ群を、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され」ることと「過去に得られた動作履歴データ群を、用いて生成され」ることの限りで一致する。
また、引用発明1の「複数の予測モデル(M1、M2)」は本件発明1の「機能部毎の故障診断モデルの中から、前記取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部により選択された、前記エラーコードに対応する機能部の故障診断モデル」と「モデル」の限りで一致する。
そして、引用発明1の「状態計測データDS(履歴201)を、用いて構築される、複数の予測モデル(M1、M2)」は本件発明1の「過去に得られた動作履歴データ群を、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部と、選択部により選択された、エラーコードに対応する機能部の故障診断モデル」と「過去に得られた動作履歴データ群を、用いて生成されるモデル」の限りで一致する。
イ-2 引用発明1の「記憶装置25のサブモジュールに格納された」ことは本件発明1の「取得部により取得された」ことに相当し、引用発明1の「記憶装置25のサブモジュールに格納された状態計測データDS(履歴301)」は本件発明の「取得部により取得された動作履歴データ」に相当する。また、引用発明1の「状態計測データDS(履歴301)を洗浄して分類した共線性説明変数データ項目(XA)」は本件発明の「動作履歴データを加工して得られるデータ」に相当する。
また、引用発明1の「複数の予測モデル(M1、M2)で計算される複数の各予測値(PY:PY1,PY2)」は本件発明1の「故障診断モデルから出力される判定結果」と「モデルから出力される結果」の限りで一致する。
そして、引用発明1の「記憶装置25のサブモジュールに格納された状態計測データDS(履歴301)又は状態計測データDS(履歴301)を洗浄して分類した共線性説明変数データ項目(XA)から、複数の予測モデル(M1、M2)で計算される複数の各予測値(PY:PY1,PY2)の予測乖離度(EY:EY1,EY2)を含む検知情報34(D1)の大きさを降順にランキングして異常候補推定情報として」は本件発明1の「取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、故障診断モデルから出力される判定結果を用いて」と「取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、モデルから出力される結果を用いて」の限りで一致する。
イ-3 引用発明1の「エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常部品(候補)の推定を行う」ことは本件発明1の「燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する」ことと「コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する」ことの限りで一致する。
イ-4 そうすると、引用発明1の「状態計測データDS(履歴201)を、用いて構築される、複数の予測モデル(M1、M2)に対して、記憶装置25のサブモジュールに格納された状態計測データDS(履歴301)又は状態計測データDS(履歴301)を洗浄して分類した共線性説明変数データ項目(XA)から、複数の予測モデル(M1、M2)で計算される複数の各予測値(PY:PY1,PY2)の予測乖離度(EY:EY1,EY2)を含む検知情報34(D1)の大きさを降順にランキングして異常候補推定情報として、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1の異常部品(候補)の推定を行うモデル作成モジュール2、監視実行モジュール3及び異常診断モジュール4」は本件発明1の「過去に得られた動作履歴データ群を、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、前記取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部により選択された、エラーコードに対応する機能部の故障診断モデルに対して、取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、故障診断モデルから出力される判定結果を用いて、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部」と「過去に得られた動作履歴データ群を、用いて生成される、モデルに対して、取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、モデルから出力される結果を用いて、コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部」の限りで一致する。
ウ 以上より、引用発明1の「装置異常監視システム」は、それを構成する各要素の共通する各点の限りにおいて、本件発明1の「故障診断装置」と共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、又、相違するものと認められる。
<一致点>
「 コージェネレーションシステムが動作の異常を検知した場合に、コージェネレーションシステムから、異常に対応する、コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する取得部と、
過去に得られた動作履歴データ群を、用いて生成される、モデルに対して、取得部により取得された動作履歴データ又は当該動作履歴データを加工して得られるデータを入力し、モデルから出力される結果を用いて、コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部と、
を備えた故障診断装置。」
<相違点1-1>
コージェネレーションシステムについて、本件発明1は「燃料電池」コージェネレーションシステムであるのに対し、引用発明1はエネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1(コージェネレーションシステム)ではあるものの、本件発明1のような「燃料電池」コージェネレーションシステムの特定がない点。
<相違点1-2>
取得部について、本件発明1は「燃料電池コージェネレーションシステムが動作の異常を検知した場合に」燃料電池コージェネレーションシステムから、異常に対応する、燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得するものであるのに対し、引用発明1は、そのような特定がない点。
<相違点1-3>
推定部について、本件発明1は「燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部と、選択部により選択された、エラーコードに対応する機能部の故障診断モデル」から出力される「判定結果」を用いて、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定するものであるのに対し、引用発明1は、そのような「モデル」を「生成」し、かつ、その出力される「判定結果」を用いて、エネルギー変換装置(熱電併給装置など)である装置1(コージェネレーションシステム)の異常部品(候補)(機能部毎に故障の有無)の推定を行う(を推定する)ものではない点。
事案に鑑みて、相違点1-3についてまず検討する。
甲2には、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項のうち、「燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて多変量解析又は機械学習することにより生成され、かつ、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する機能部毎の故障診断モデルの中から、取得部により取得された動作履歴データから得られる異常の種別を表すエラーコードに対応する機能部の故障診断モデルを選択する選択部と、選択部により選択された、エラーコードに対応する機能部の故障診断モデル」から出力される「判定結果」を用いて、燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定するものに相当する事項は記載も示唆もされておらず、甲2に記載された事項を引用発明1に組み合わせたとしても、本件発明1の上記相違点1-3に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
したがって、相違点1-1及び相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明7について
本件発明7は、本件発明1と同様な発明特定事項を備えた故障診断システムの発明であるところ、上記(1)のとおり、本件発明1が引用発明1及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないことから、本件発明7についても同様に、引用発明1及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
以上のとおり、請求項1及び7に係る発明は、引用発明1及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700603