2024-700562
光学素子および光偏向装置
- 審判番号
- 2024-700562
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-195917外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7397954
- 請求日
- 2024年06月12日
- 審決日
- 2025年03月28日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】富士フイルム株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 【異議申立人】大久保 直樹
- 分類
- P1651.121-YAA(G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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特許第7397954号の請求項1~14に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和元年8月27日(先の出願に基づく優先権主張 平成30年9月28日)を国際出願日とする出願の一部を、令和4年12月7日に出願したものであって、令和5年12月5日にその特許権の設定登録がされたものである。
本件特許について、令和5年12月13日に特許掲載公報が発行されたところ、その発行の日から6月以内である令和6年6月12日に、特許異議申立人 大久保 直樹(以下「特許異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
第2 本件訂正請求について
1 訂正の趣旨及び訂正の内容
(1)訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第7397954号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~15のとおりについて訂正することを求める、というものである。
(2)訂正の内容
本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、請求項1に記載の光学素子。」
とあるのを、「液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、
前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、
前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、
前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項4~14についても、同様に訂正する。)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、請求項1又は2に記載の光学素子。」とあるのを、「液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、
前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、
前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、
前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項4~14についても、同様に訂正する。)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1から3のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2又は3に記載の光学素子。」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項5~14についても、同様に訂正する。)。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から4のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から4のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項6~14についても、同様に訂正する。)。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から5のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項7~14についても、同様に訂正する。)。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から6のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項10~14についても、同様に訂正する。)。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から5のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から5のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項9~14についても、同様に訂正する。)。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から9のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から9のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項10の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項11~14についても、同様に訂正する。)
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から10のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から10のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項11の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項12~14についても、同様に訂正する。)。
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1から11のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から11のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項12の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項13~14についても、同様に訂正する。)。
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から12のいずれか1項に記載の光学素子。」とあるのを、「請求項2から12のいずれか1項に記載の光学素子。」に訂正する(請求項13の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項14についても、同様に訂正する。)。
ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から13のいずれか1項に記載の光学素子とを備えた光偏向装置。」とあるのを、「請求項2から13のいずれか1項に記載の光学素子とを備えた光偏向装置。」に訂正する。
セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項3に「前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、請求項1又は2に記載の光学素子。」とあるのを、「液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、
前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、
前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、
前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、
前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なり、
前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。」に訂正し、新たな請求項15とする。
(3)一群の請求項
本件訂正請求は、訂正後の一群の請求項である請求項〔1~15〕に対して請求されたものである。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、請求項1を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項1に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2が引用する請求項1の記載を独立請求項の形式に記載する訂正である。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項2に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項2の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項4~14についても、同様である。
(3)訂正事項3について
訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項3が引用する請求項1の記載を独立請求項の形式に記載するとともに、訂正前の請求項2との引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び同条同項ただし書き4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項3に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項3の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項4~14についても、同様である。
(4)訂正事項4について
訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項4において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項4に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項4の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項5~14についても、同様である。
(5)訂正事項5について
訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項5において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項5に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項5の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項6~14についても、同様である。
(6)訂正事項6について
訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項6において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項6に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項6の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項7及び10~14についても、同様である。
(7)訂正事項7について
訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項7において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項7に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項7の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項10~14についても、同様である。
(8)訂正事項8について
訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項8において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項8に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項8に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項8の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項9~14についても、同様である。
(9)訂正事項9について
訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項10において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項9に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項9に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項10の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項11~14についても、同様である。
(10)訂正事項10について
訂正事項10に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項11において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項10に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項11の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項12~14についても、同様である。
(11)訂正事項11について
訂正事項11に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項12において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項11に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項11に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項12の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項13~14についても、同様である。
(12)訂正事項12について
訂正事項12に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項13において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項12に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項12に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
請求項13の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項14についても、同様である。
(13)訂正事項13について
訂正事項13に係る訂正は、訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項14において、請求項間の引用関係を解消する訂正である。
したがって、訂正事項13に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項13に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(14)訂正事項14について
訂正事項14に係る訂正は、訂正前の請求項3が引用する請求項2がさらに引用する請求項1の記載を独立請求項の形式に記載するとともに、訂正前の請求項3が請求項2を引用しないで請求項1を引用する引用関係を解消して、新に請求項15とする訂正である。
したがって、訂正事項14に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び同条同項ただし書き4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項14に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(15)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~15に係る発明(以下、項番に従って「本件特許発明2」などという。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される、次のものである。
「【請求項1】(削除)【請求項2】液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、続きを表示(全49行)前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる傾き角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。【請求項3】液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる傾き角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。【請求項4】前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記傾き角度が互いに異なっている、請求項2又は3に記載の光学素子。【請求項5】前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記傾き角度が互いに異なっている、請求項2から4のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項6】前記傾斜光学異方性層は、前記光学軸が厚さ方向に捩れ配向した領域を有する請求項2から5のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項7】入射した光を回折して透過する機能を有する請求項2から6のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項8】前記傾斜光学異方性層において、前記液晶化合物がコレステリック配向している請求項2から5のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項9】入射した光を回折して反射する機能を有する請求項8に記載の光学素子。【請求項10】前記複数の光学異方性層のそれぞれの前記面内配向パターンが、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが、該一方向において徐々に変化するパターンである請求項2から9のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項11】前記複数の光学異方性層のそれぞれの前記面内配向パターンが、前記一方向を、内側から外側に向かう放射状に有するパターンである請求項2から10のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項12】前記複数の光学異方性層のそれぞれの前記面内配向パターンにおいて、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが10μm以下である領域を有する請求項2から11のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項13】前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さを周期とした場合、前記複数の光学異方性層間において、対向する領域における前記周期は、±10%以内の範囲で一致している、請求項2から12のいずれか1項に記載の光学素子。【請求項14】入射された光を偏向して出射する光偏向素子と、前記光偏向素子を駆動する駆動手段と、前記光偏向素子の光出射側に配置された、請求項2から13のいずれか1項に記載の光学素子とを備えた光偏向装置。【請求項15】液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有し、前記複数の光学異方性層はそれぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有し、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み、前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層はそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる傾き角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であり、前記第1光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なり、前記第2光学異方性層と前記第3光学異方性層とは、前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる、光学素子。」
第4 取消しの理由の概要及び証拠方法
1 取消しの理由の概要
本件訂正により訂正される前の特許請求の範囲の請求項1~14に係る特許に対して、当合議体が令和6年8月30日付けの取消理由通知書において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
理由1:(進歩性)本件特許の請求項1及び4~14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
2 特許異議申立人が提示した証拠方法
甲第6号証:矢田部力,外4名,“回折光学素子のFDTDシミュレーション”,[online],2005年11月25日、26日,第1回横幹連合コンファレンス,[2024年5月14日検索],インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/oukan/2005/0/2005_0_83/_article/-char/ja>(以下「甲6」という。)
(当合議体注:甲1は、主引用例であり、甲2~9は、副引用例、周知技術又は技術常識を示す文献である。)
第5 当合議体の判断
1 甲号証の記載及び引用発明
(1)甲1の記載
令和6年8月30日付け取消理由通知書で引用した甲1には、以下の事項が記載されている。なお、甲1のパテントファミリーである特表2019-536101号公報を参考にして当合議体が仮訳した。訳文の下線は当合議体が付与したものであって、甲1に記載された発明の認定等に用いた箇所を示す。
ア 「BACKGROUNDField[0003] The present disclosure relates to optical devices, including virtual reality and augmented reality imaging and visualization systems.」
訳「背景技術
技術分野
本開示は、仮想現実および拡張現実結像および可視化システムを含む、光学デバイスに関する。」
イ 「DETAILED DESCRIPTION[0084] In some embodiments, diffractive optical elements such as polarization gratings include liquid crystal grating structures (e.g., liquid crystal polarization gratings) that are configured to diffract light at high efficiencies (e.g., diffraction efficiencies greater than or equal to about 40%) for a wide range of incident angles. The liquid crystal grating structure comprises a plurality of sublayers of liquid crystal material comprising liquid crystal molecules. The orientations of the liquid crystal molecules vary at regular intervals along a lateral axis across a sublayer, thereby forming repeating units of spaced-apart elongated liquid crystal molecules along the lateral axis. The repeating liquid crystal units are laterally offset relative to similar repeating units in an immediately adjacent sublayer of liquid crystal material, such that the offset repeating units of different sublayers (e.g.immediately neighboring sublayers) define a tilt angle (Θ) with respect to a normal to the lateral axis, with the normal extending parallel to the thickness dimension of the liquid crystal grating structure. Multiple liquid crystal grating structures, each formed by a plurality of sublayers of liquid crystal material, may form a stack of liquid crystal grating structures. The tilt angle of the sublayers forming each liquid crystal grating structure may have a different magnitude than the tilt angle of the sublayers forming a neighboring liquid crystal grating structure of the stack, in some embodiments, the liquid crystal grating structures may have different compositions and/or thicknesses from one another. For example, different liquid crystal grating structures may have different concentrations and/or types of chiral dopants. In some embodiments, at least some of the liquid crystal grating structures may- include different liquid crystal material than other liquid crystal grating structures, and the material for each structure may be selected to facilitate providing a desired tilt angle.[0085] In some embodiments, the liquid crystal material of each sublayer includes liquid crystal molecules that are rotated relative to liquid crystal molecules in other sublayers of the grating structure by a twist angle (Φ). In some embodiments, the twist angle is the relative azimuthal angular rotation between a liquid crystal molecule on an uppermost sublayer and an underlying (e.g., directly underlying) liquid crystal molecule on a lowermost sublayer of the plurality of sublayers. In some embodiments, the twist angles of the liquid crystal molecules in different ones of the liquid crystal grating structures may be different, causing different tilt angles for the different grating structures. For a given type of liquid crystal molecules, it will be appreciated that the twist angle may be varied based upon chiral dopants present in the sublayers, and the thickness of the liquid crystal material forming the liquid crystal grating structure (e.g., the aggregate thickness of the sublayers forming a particular liquid crystal grating structure). Consequently, the different twist angle magnitudes for different liquid crystal grating structures may be achieved using different compositions and/or different thicknesses for the liquid crystal material forming each of the liquid crystal grating structures, as discussed herein.続きを表示(全23行)・・・省略・・・[0090] In addition, it will be appreciated that changing the grating period (e.g., the periodicity of individual liquid crystal molecules) may change the wavelengths of light that are most efficiently diffracted by a liquid crystal grating structure. In some embodiments, multiple grating structures, having different grating periods, may be used to diffract light of different wavelengths. Such grating structures may be stacked vertically and/or disposed on the same vertical level (e.g., laterally spaced-apart from one another).・・・省略・・・[0134] Accordingly, with reference to Figures 9A and 9B, in some embodiments, the set 660 of waveguides includes waveguides 670, 680, 690; in-coupling optical elements 700, 710, 720; light distributing elements (e.g., OPE's) 730, 740, 750; and out-coupling optical elements (e.g., EP's) 800, 810, 820 for each component color. The waveguides 670, 680, 690 may be stacked with an air gap/cladding layer between each one. The in-coupling optical elements 700, 710, 720 redirect or deflect incident light (with different in-coupling optical elements receiving light of different wavelengths) into its waveguide. The light then propagates at an angle which will result in TXR within the respective waveguide 670, 680, 690. In the example shown, light ray 770 (e.g., blue light) is deflected by the first in- coupling optical element 700, and then continues to bounce down the waveguide, interacting with the light distributing element (e.g., OPE's) 730 and then the out-coupling optical element (e.g., EPs) 800, in a manner described earlier. The light rays 780 and 790 (e.g., green and red light, respectively) will pass through the waveguide 670, with light ray 780 impinging on and being deflected by in-coupling optical element 710. The light ray 780 then bounces down the waveguide 680 via TIR, proceeding on to its light distributing element (e.g., OPEs) 740 and then the out-coupling optical element (e.g., EP's) 810. Finally, light ray 790 (e.g., red light) passes through the waveguide 690 to impinge on the light in-coupling optical elements 720 of the waveguide 690. The light in-coupling optical elements 720 deflect the light ray 790 such that the light ray propagates to light distributing element (e.g., OPEs) 750 by TIR, and then to the out-coupling optical element (e.g., EPs) 820 by TIR. The out-coupling optical element 820 then finally out-couples the light ray 790 to the viewer, who also receives the out-coupled light from the other waveguides 670, 680.・・・省略・・・[0141] With continued reference to Figure 10A, the grating structure 1001 has a surface normal 1003 intersecting the first and the second surfaces 1002a and 1002b. As noted above, in some embodiments, the liquid crystal material may have a twist angle Φ defined by the angular rotation between a liquid crystal molecule (e.g., 1005b) of an uppermost sublayer 1004a of the grating structure 1001, and an underlying liquid crystal molecule (e.g., 1005b') of a lowermost sublayer 1004d of the grating structure 1001. Without being limited by theory, interactions between neighboring liquid crystal molecules may cause the orientations of the molecules to vary in a regular progression across the grating structure 1001, along the lateral axis (X). Thus, the liquid crystal molecules may form repeating units, each of which has a similar progression of liquid crystal orientations along the X-axis. As a result, groups of liquid crystal molecules for the repeating units in each of the sublayers 1004a-1004d may have a periodicity (A) equal to the lateral distance 1006' between two consecutive liquid crystal molecules having the same orientation, as seen in a side and/or top-down view.[0142] With reference again to Figures 10A and 10B, the grating structure 1001 can comprise a chiral nematic liquid crystal material in some embodiments. For example, the plurality of sublayers of liquid crystal material may comprise a cholesteric liquid crystal material. Preferably, the liquid crystal material is polymerizable. As discussed herein, the liquid crystal material may comprise a reactive mesogen (RM), such as, for example, liquid crystalline di-acrylate. As also discussed herein, the grating structure 1001 preferably also includes chiral dopants, which may be utilized to influence the twist angle Φ of the liquid crystal molecules. Examples of chiral dopants include cholesteryl benzoate, cholesteryl nonanoate, cholesteryl chloride, and cholesteryl oley carbonate.[0143] With reference to Figure 10B, a single repeating unit of each sublayer 1004a, 1004b, 1004c, and 1004d is illustrated. The repeating units 1006 have a periodicity of length 1006'. While the repeating units are illustrated completely directly vertically aligned for ease of discussion, it will be appreciated that the twisting the liquid crystal molecules over the thickness of the grating structure 1001 may cause the repeating units of different sublayers to be laterally shifted relative to one another.[0144] With reference to Figure 11, in some embodiments, the sublayers 1004a, 1004b, 1004c, and 1004d of liquid crystal material may be laterally offset with respect to each other. The offset may be such that a grating optic axis that passes through corresponding liquid crystal molecules (that is, liquid crystal molecules having the same orientation) in each of the plurality of sublayers 1004a, 004b, 1004c, and 1004d is tilted at an angle θ with respect to a normal to the lateral axis X, and this normal may also be the normal to a major surface of the polarization grating structure. Accordingly, the sublayers 1004a, 1004b, 1004c, and 1004d form a tilted grating pattern having a grating optic axis that is tilted at an angle θ with respect to the normal to a major surface of the polarization grating structure 1001. In some embodiments, without being limited by theory, such a tilted grating pattern may diffract normally incident light at a high efficiency when the grating period satisfies the following condition with the wavelength λ, the average refractive index n, the grating period Λ (corresponding to the length 1006') and the tilt angle θ of the grating optic axis of the grating structure in equation (1) below.sinλ≒2nΛsimθ (1)・・・省略・・・[0153] Various embodiments of the liquid crystal polarization grating structures described herein may be configured to diffract a variety of wavelengths in the ultraviolet, visible and infra-red spectral ranges. For example, the grating structures can be configured to diffract incident light having a wavelength in a range between about 300 nm and about 10 μm. In some embodiments, to achieve high diffraction angles, it may be desirable for the periodicity A of the grating structure to be approximately equal to or even smaller than the wavelength of the incident light. Accordingly, the periodicity Λ of the grating structure may be between about 200 nm and about 100 μm depending on the wavelength range that the grating structure is configured to operate on. For example, the periodicity A of the grating structure may be between about 200 nm and about 350 nm; between about 330 nm and about 410 nm; between about 370 nm and about 480 nm; between about 450 nm and about 510 nm; between about 500 nm and about 570 nm; between about 550 nm and about 700 nm; between about 650 nm and about 1 μm; between about 980 nm and about 3 μm; between about 1.3 μm and about 3.2 μm; between about 2,3 μm and about 5 μm; between about 5 μm and about 10 μm; between about 5 μm and about 100 μm; or any value in these ranges or sub-ranges. Preferably, in display applications, the grating structure is configured to diffract visible light so that the light propagates away from the grating structure at wide diffraction angles, e.g., angles suitable for TIR within a waveguide on which the grating structure may be formed.・・・省略・・・[0155] In some embodiments, the tilt angle θ (e.g., θ1, θ2 and θ3) of the grating optic axis may be in a range between -85 degrees and about 85 degrees. For example, the tilt angle θ may be in a range between -10 degrees and about 10 degrees; between -20 degrees and about 20 degrees; between -35 degrees and about 35 degrees; between -45 degrees and about 45 degrees; between -50 degrees and about 50 degrees; between -65 degrees and about 65 degrees; between -75 degrees and about 75 degrees; or any value in these ranges or subranges. Preferably, tilt angles between the gratings structures forming a stack differ by about 0 to ±90 degrees, including about 0 to ±10 degrees; about ±10 degrees to ±20 degrees; about ±20 degrees to ±30 degrees; about ±30 degrees to ±40 degrees; about ±40 degrees to ±50 degrees; about ±50 degrees to ±60 degrees; about ±60 degrees to ±70 degrees; about ±70 degrees to ±80 degrees; or about ±80 degrees to ±90 degrees.・・・省略・・・[0157] In some embodiments, all sublayers of all of the grating structures of a grating structure stack may be shifted in the same direction as depicted in Figures 10A, 10B, 1 1 , 12A and 12B-1. For examples, the repeating liquid crystal molecules units of each sublayer may be shifted to the same side, e.g., to the left or to the right. For example, as depicted in Figures 2A and 12B-1 the grating optic axis of the different polarization grating stacks are all tilted to the right of the surface normal. Tilting the grating optical axis of the different sublayers to the same side can be advantageous in increasing diffraction efficiencies over a wider range of input angles as explained below with reference to Figures 12C-1, 12C- 2, 12D-1, and 12D-2.[0158] Reference will now be made to Figures 12C-1, 12C-2, 12D-1 and 12D-2, which illustrate the advantageous diffraction efficiency of a stack of grating structures having different tilt angles, as disclosed herein. Figure 12C-2 illustrates the diffraction efficiency in the first order of a single liquid crystal polarization grating structure 1148 depicted in Figure 12C-1. The diffraction efficiency has a peak for light incident on the grating structure at an angle parallel to the normal to the major surface of the grating structure (that is, at an angle of 0 degrees relative to the normal). The peak efficiency drops off rapidly, however, as the angle of incidence changes. It has been found, however, that the peak diffraction efficiency may be shifted by varying the tilt angle. Notably, as seen in Figure 12D-2, a stack of two liquid crystal polarization grating structures 1150 and 1 52 depicted in Figure 12D-1 having different magnitude tilt angles may provide multiple diffraction peaks, thereby effectively expanding the window over which high diffraction efficiency is achieved. In addition, the stacked grating structure may increase the diffraction efficiency for light incident at angles away from these peaks. For example, as shown in Figures 12D-1 and 12D-2, the grating structure of the layer 1 150 is tilted by a first tilt angle configured to provide high diffraction efficiency for light of incident angles of about -20 degrees to 0 degree and the grating structure of the layer 1152 is tilted on the same side by a second tilt angle configured to provide high diffraction efficiency for tight of incident angles of 0 degree to about 20 degrees. Accordingly, diffraction efficiency of light incident in the angular range between ±20 degrees is increased to about 40% as compared to the about 20% diffraction efficiency that was achieved by the single grating structure 1148 shown in Figures 12C-1 and 12C-2.・・・省略・・・[0168] Advantageously, each underlying liquid crystal layer may act as an alignment layer for an overlying liquid crystal layer in direct contact with that underlying layer. This can provide for a simplified fabrication process flow, and may also reduce Fresnel reflections at the interfaces between liquid crystal layers.」
訳「発明の詳細な説明
[0084] いくつかの実施形態では、偏光格子等の回折光学要素は、広範囲の入射角にわたって高効率(例えば、約40%以上の回折効率)で光を回折するように構成される、液晶格子構造(例えば、液晶偏光格子)を含む。液晶格子構造は、液晶分子を備える、液晶材料の複数のサブ層を備える。液晶分子の配向は、サブ層を横断して側方軸に沿って規則的インターバルで変動し、それによって、側方軸に沿って離間された伸長液晶分子の反復ユニットを形成する。反復液晶ユニットは、異なるサブ層(例えば、直近傍のサブ層)のオフセットされた反復ユニットが側方軸に対する法線に対して傾斜角度(θ)を画定するように(法線は、液晶格子構造の厚さ寸法と平行に延在する)、液晶材料のサブ層に直ぐ隣接する類似反復ユニットに対して側方にオフセットされる。それぞれ、液晶材料の複数のサブ層によって形成される、複数の液晶格子構造は、液晶格子構造のスタックを形成してもよい。各液晶格子構造を形成する、サブ層の傾斜角度は、スタックの近傍液晶格子構造を形成するサブ層の傾斜角度と異なる大きさを有してもよい。いくつかの実施形態では、液晶格子構造は、相互と異なる組成および/または厚さを有してもよい。例えば、異なる液晶格子構造は、異なる濃度および/またはタイプのキラルドーパントを有してもよい。いくつかの実施形態では、液晶格子構造のうちの少なくともいくつかは、他の液晶格子構造と異なる液晶材料を含んでもよく、構造毎の材料は、所望の傾斜角度の提供を促進するように選択されてもよい。
[0085] いくつかの実施形態では、各サブ層の液晶材料は、格子構造の他のサブ層内の液晶分子に対してある捻転角度(Φ)だけ回転される、液晶分子を含む。いくつかの実施形態では、捻転角度は、複数のサブ層の最上サブ層上の液晶分子と最下サブ層上の下層(例えば、真下層)液晶分子との間の相対的方位角角度回転である。いくつかの実施形態では、液晶格子構造の異なるもの内の液晶分子の捻転角度は、異なり、異なる格子構造に関する異なる傾斜角度を生じさせることができる。所与のタイプの液晶分子に関して、捻転角度は、サブ層内に存在するキラルドーパントおよび液晶格子構造を形成する液晶材料の厚さ(例えば、特定の液晶格子構造を形成するサブ層の厚さの合計)に基づいて変動され得ることを理解されたい。その結果、異なる液晶格子構造に関する異なる捻転角度の大きさは、本明細書に議論されるように、液晶格子構造のそれぞれを形成する液晶材料のための異なる組成および/または異なる厚さを使用して達成されてもよい。
・・・省略・・・
[0090] 加えて、格子周期(例えば、個々の液晶分子の周期性)を変化させることは、液晶格子構造によって最も効率的に回折される、光の波長を変化させ得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、異なる格子周期を有する、複数の格子構造は、異なる波長の光を回折するために使用されてもよい。そのような格子構造は、垂直にスタックされ、および/または同一垂直レベル上に配置されてもよい(例えば、相互から側方に離間される)。
・・・省略・・・
[0134] 故に、図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管のセット660は、原色毎に、導波管670、680、690と、内部結合光学要素700、710、720と、光分散要素(例えば、OPE)730、740、750と、外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820とを含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされてもよい。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受信する異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる。光は、次いで、個別の導波管670、680、690内にTIRをもたらすであろう角度で伝搬する。示される実施例では、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって偏光され、次いで、導波管を辿ってバウンスし続け、光分散要素(例えば、OPE)730、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)800と相互作用する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管670を通して通過し、光線780は、内部結合光学要素710上に入射し、それによって偏向される。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680を辿ってバウンスし、その光分散要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)810に進むであろう。最後に、光線790(例えば、赤色光)は、導波管690を通して通過し、導波管690の内部結合光学要素720に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって、光分散要素(例えば、OPE)750、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EP)820に伝搬するように、光線790を偏向させる。外部結合光学要素820は、次いで、最後に、光線790を視認者に外部結合し、視認者はまた、他の導波管670、680からの外部結合された光も受信する。
・・・省略・・・
[0141] 図10Aを継続して参照すると、格子構造1001は、第1および第2の表面1002aおよび1002bと交差する、面法線1003を有する。上記に述べられたように、いくつかの実施形態では、液晶材料は、格子構造1001の最上サブ層1004aの液晶分子(例えば、1005b)と、格子構造1001の最下サブ層1004dの下層液晶分子(例えば、1005b’)との間の角度回転によって画定される、捻転角度Φを有してもよい。理論によって限定されるわけではないが、近傍液晶分子間の相互作用は、分子の配向に、側方軸(X)に沿って格子構造1001を横断した規則的進行性を変動させ得る。したがって、液晶分子は、それぞれ、X-軸に沿って液晶配向の類似進行性を有する、反復ユニットを形成し得る。その結果、サブ層1004a-1004dのそれぞれ内の反復ユニットのための液晶分子の群は、側面図および/または上下図に見られるように、同一配向を有する2つの連続液晶分子間の側方距離1006’と等しい周期性(Λ)を有してもよい。
[0142] 再び図10Aおよび10Bを参照すると、格子構造1001は、いくつかの実施形態では、キラルネマチック液晶材料を備えることができる。例えば、液晶材料の複数のサブ層は、コレステリック液晶材料を備えてもよい。好ましくは、液晶材料は、重合化可能である。本明細書に議論されるように、液晶材料は、例えば、液晶性ジアクリレート等の反応性メソゲン(RM)を備えてもよい。また、本明細書で議論されるように、格子構造1001はまた、好ましくは、キラルドーパントを含み、これは、液晶分子の捻転角度Φに影響を及ぼすために利用されてもよい。キラルドーパントの実施例は、安息香酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、塩化コレステリル、および炭酸コレステリルオレイルを含む。
[0143] 図10Bを参照すると、各サブ層1004a、1004b、1004c、および1004dの単一反復ユニットが、図示される。反復ユニット1006は、長さ1006’の周期性を有する。反復ユニットは、議論を容易にするために、完全に直接垂直に整合されて図示されるが、格子構造1001の厚さにわたって液晶分子を捻転させることは、異なるサブ層の反復ユニットを相互に対して側方に偏移させ得ることを理解されたい。
[0144] 図11を参照すると、いくつかの実施形態では、液晶材料のサブ層1004a、1004b、1004c、および1004dは、相互に対して側方にオフセットされてもよい。オフセットは、複数のサブ層1004a、1004b、1004c、および1004dがそれぞれ内の対応する液晶分子(すなわち、同一配向を有する液晶分子)を通して通過する、格子光学軸が、側方軸Xに対する法線に対して角度θ傾斜され、本法線がまた、偏光格子構造の主表面に対して法線であり得るようなものである。故に、サブ層1004a、1004b、1004c、および1004dは、偏光格子構造1001の主表面に対する法線に対して角度θで傾斜される格子光学軸を有する、傾斜された格子パターンを形成する。いくつかの実施形態では、理論によって限定されるわけではないが、そのような傾斜された格子パターンは、格子周期が、下記の方程式(1)における、波長λ、平均屈折率n、格子周期Λ(長さ1006’に対応する)、および格子構造の格子光学軸の傾斜角度θを伴う条件を満たすとき、法線入射光を高効率で回折し得る。
【化1】
sinλ≒2nΛsimθ (1)
・・・省略・・・
[0153] 本明細書に説明される液晶偏光格子構造の種々の実施形態は、紫外線、可視、および赤外線スペクトル範囲内の種々の波長を回折するように構成されてもよい。例えば、格子構造は、約300nm~約10μmの範囲内の波長を有する入射光を回折するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、高回折角度を達成するために、格子構造の周期性Λは、入射光の波長とほぼ等しいまたはさらにそれより小さいことが望ましくあり得る。故に、格子構造の周期性Λは、格子構造が作用するように構成される波長範囲に応じて、約200nm~約100μmであってもよい。例えば、格子構造の周期性Λは、約200nm~約350nm、約330nm~約410nm、約370nm~約480nm、約450nm~約510nm、約500nm~約570nm、約550nm~約700nm、約650nm~約1μm、約980nm~約3μm、約1.3μm~約3.2μm、約2.3μm~約5μm、約5μm~約10μm、約5μm~約100μm、またはこれらの範囲または下位範囲内の任意の値であってもよい。好ましくは、ディスプレイ用途では、格子構造は、光が、広回折角度、例えば、その上に格子構造が形成され得る導波管内のTIRのために好適な角度で、格子構造から伝搬するように、可視光を回折するように構成される。
・・・省略・・・
[0155] いくつかの実施形態では、格子光学軸の傾斜角度θ(例えば、θ1、θ2、およびθ3)は、-85度~約85度の範囲内であってもよい。例えば、傾斜角度θは、-10度~約10度、-20度~約20度、-35度~約35度、-45度~約45度、-50度~約50度、-65度~約65度、-75度~約75度、またはこれらの範囲または下位範囲内の任意の値の範囲内であってもよい。好ましくは、スタックを形成する格子構造間の傾斜角度は、約0~±90度だけ異なり、約0~±10度、約±10度~±20度、約±20度~±30度、約±30度~±40度、約±40度~±50度、約±50度~±60度、約±60度~±70度、約±70度~±80度、または約±80度~±90度を含む。
・・・省略・・・
[0157] いくつかの実施形態では、格子構造スタックの格子構造の全ての全サブ層は、図10A、10B、11、12A、および12B-1に描写されるように、同一方向に偏移されてもよい。例えば、各サブ層の反復液晶分子ユニットは、同一側、例えば、左または右に偏移されてもよい。例えば、図12Aおよび12B-1に描写されるように、異なる偏光格子スタックの格子光学軸は全て、面法線の右に傾斜される。異なるサブ層の格子光学軸を同一側に傾斜させることは、図12C-1、12C-2、12D-1、および12D-2を参照して下記に説明されるように、より広範囲の入力角度にわたって回折効率を増加させることに有利であり得る。
[0158] ここで、本明細書に開示されるように、異なる傾斜角度を有する格子構造のスタックの有利な回折効率を図示する、図12C-1、12C-2、12D-1および12D-2を参照する。図12C-2は、図12C-1に描写される単一液晶偏光格子構造1148の一次における回折効率を図示する。回折効率は、格子構造の主表面に対する法線と平行な角度(すなわち、法線に対して0度の角度)で格子構造上に入射する光に対してピークを有する。しかしながら、ピーク効率は、入射角が変化するにつれて急降下する。しかしながら、ピーク回折効率は、傾斜角度を変動させることによって偏移され得ることが見出されている。着目すべきこととして、図12D-2に見られるように、異なる大きさの傾斜角度を有する、図12D-1に描写される2つの液晶偏光格子構造1150および1152のスタックは、複数の回折ピークを提供し、それによって、高回折効率が達成される窓を効果的に拡張させ得る。加えて、スタックされた格子構造は、これらのピークから離れた角度における光入射に関する回折効率も増加させ得る。例えば、図12D-1および12D-2に示されるように、層1150の格子構造は、入射角約-20度~0度の光に対して高回折効率を提供するように構成される、第1の傾斜角度だけ傾斜され、層1152の格子構造は、入射角0度~約20度の光に対して高回折効率を提供するように構成される、第2の傾斜角度だけ同一側で傾斜される。故に、±20度の角度範囲内の光入射の回折効率は、図12C-1および12C-2に示される単一格子構造1148によって達成された約20%回折効率と比較して、約40%まで増加される。
・・・省略・・・
[0168] 有利には、各下層液晶層は、その下層と直接接触する上層液晶層のための整合層として作用してもよい。これは、簡略化された加工プロセスフローを提供することができ、また、液晶層間の界面におけるフレネル反射を低減させ得る。」
ウ 「WHAT IS CLAIMED IS1. An optical device comprising:a first polarization grating structure comprising:a first plurality of liquid crystal sublayers comprising liquid crystal molecules, wherein the liquid crystal molecules form repeating units having a first periodicity along a lateral axis, and続きを表示(全23行)wherein the repeating units are laterally shifted by a first shift distance in comparison to similar repeating units of an immediately adjacent one of the first plurality of sublayers, wherein the repeating units shifted by the first shift distance define a first tilt angle with respect to a normal to the lateral axis, the normal extending along a thickness axis of the first polarization grating structure; anda second polarization grating structure over the first polarization grating structure, the second polarization grating structure comprising:a second plurality of liquid crystal sublayers comprising liquid crystal molecules, wherein the liquid crystal molecules form repeating units having a second periodicity along the lateral axis, andwherein the repeating units are laterally shifted by a second shift distance in comparison to similar repeating units of an immediately adjacent one of the plurality of sublayers, wherein the repeating units shifted by the second shift distance define a second tilt angle with respect to the normal to the lateral axis,wherein magnitudes of the first and second tilt angles are different.・・・省略・・・10. The device of Claim 1, further comprising a third polarization grating structure over the second polarization grating structure, the third polarization grating structure including a plurality of liquid crystal sublayers comprising liquid crystal molecules,wherein the liquid crystal molecules form repeating units having a third periodicity,wherein the repeating units are laterally shifted by a third shift distance in comparison to similar repeating units of an immediately adjacent one of the plurality of sublayers, wherein the repeating units shifted by the third shift distance define a third tilt angle with respect to the normal to the lateral axis,wherein magnitudes of the first, second, and third tilt angles are different.・・・省略・・・22. A method for fabricating an optical device, the method comprising:providing an alignment layer over a substrate;patterning the alignment layer;depositing a first liquid crystal layer on the alignment layer;aligning liquid crystal molecules of the first liquid crystal layer with the alignment layer, thereby forming a first plurality of levels of repeating liquid crystal molecules defining a first tilt angle;depositing a second liquid crystal layer on the first liquid crystal layers;aligning liquid crystal molecules of the second liquid crystal layer with the liquid crystal molecules of an immediately underlying first liquid crystal layer, thereby forming a second plurality of levels of repeating liquid crystal molecules defining a second tilt angle;wherein magnitudes of the first and second tilt angles differ.」
訳「特許請求の範囲
1. 光学デバイスであって、
第1の偏光格子構造であって、
液晶分子を備える第1の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、側方軸に沿って第1の周期性を有する反復ユニットを形成する第1の複数の液晶サブ層
を備え、前記反復ユニットは、前記第1の複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第1の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第1の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第1の傾斜角度を画定し、前記法線は、前記第1の偏光格子構造の厚さ軸に沿って延在する、第1の偏光格子構造と、
前記第1の偏光格子構造にわたる第2の偏光格子構造であって、前記第2の偏光格子構造は、
液晶分子を備える第2の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、前記側方軸に沿って第2の周期性を有する反復ユニットを形成する、第2の複数の液晶サブ層
を備え、前記反復ユニットは、前記複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第2の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第2の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第2の傾斜角度を画定する、第2の偏光格子構造と
を備え、
前記第1の傾斜角度および第2の傾斜角度の大きさは、異なる、デバイス。
・・・省略・・・
10. 前記第2の偏光格子構造にわたる第3の偏光格子構造をさらに備え、前記第3の偏光格子構造は、液晶分子を備える複数の液晶サブ層を含み、
前記液晶分子は、第3の周期性を有する反復ユニットを形成し、
前記反復ユニットは、前記複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第3の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第3の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第3の傾斜角度を画定し、
前記第1、第2、および第3の傾斜角度の大きさは、異なる、
請求項1に記載のデバイス。
・・・省略・・・
22. 光学デバイスを加工するための方法であって、前記方法は、
整合層を基板にわたって提供することと、
前記整合層をパターン化することと、
第1の液晶層を前記整合層上に堆積させることと、
前記第1の液晶層の液晶分子と前記整合層を整合させ、それによって、第1の複数のレベルの反復液晶分子を形成し、第1の傾斜角度を画定することと、
第2の液晶層を前記第1の液晶層上に堆積させることと、
前記第2の液晶層の液晶分子と第1の液晶層の直下の液晶分子を整合させ、それによって、第2の複数のレベルの反復液晶分子を形成し、第2の傾斜角度を画定することと
を含み、
前記第1の傾斜角度および第2の傾斜角度の大きさは、異なる、方法。」
エ 図10A
[図:0001423503000001.jpg]
オ 図10B
[図:0001423503000002.jpg]
カ 図11
[図:0001423503000003.jpg]
キ 図12A
[図:0001423503000004.jpg]
ク 図12B-1
[図:0001423503000005.jpg]
ケ 図12C-1
[図:0001423503000006.jpg]
コ 図12D-1
[図:0001423503000007.jpg]
サ 図13E
[図:0001423503000008.jpg]
シ 図14
[図:0001423503000009.jpg]
(2)引用発明
甲1には、請求項1に係る発明を引用する請求項10に係る発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「光学デバイスであって、第1の偏光格子構造であって、液晶分子を備える第1の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、側方軸に沿って第1の周期性を有する反復ユニットを形成する第1の複数の液晶サブ層を備え、前記反復ユニットは、前記第1の複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第1の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第1の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第1の傾斜角度を画定し、前記法線は、前記第1の偏光格子構造の厚さ軸に沿って延在する、第1の偏光格子構造と、続きを表示(全12行)前記第1の偏光格子構造にわたる第2の偏光格子構造であって、前記第2の偏光格子構造は、液晶分子を備える第2の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、前記側方軸に沿って第2の周期性を有する反復ユニットを形成する、第2の複数の液晶サブ層を備え、前記反復ユニットは、前記複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第2の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第2の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第2の傾斜角度を画定する、第2の偏光格子構造とを備え、前記第2の偏光格子構造にわたる第3の偏光格子構造をさらに備え、前記第3の偏光格子構造は、液晶分子を備える複数の液晶サブ層を含み、前記液晶分子は、第3の周期性を有する反復ユニットを形成し、前記反復ユニットは、前記複数のサブ層のうちの1つに直ぐ隣接する類似反復ユニットと比較して、第3の偏移距離だけ側方に偏移され、前記第3の偏移距離だけ偏移される前記反復ユニットは、前記側方軸に対する法線に対して第3の傾斜角度を画定し、前記第1、第2、および第3の傾斜角度の大きさは、異なる、デバイス。」
(3)甲5の記載
ア 「【0002】[発明の分野]本発明は、偏光回折格子に関するものであり、さらに詳細には、液晶偏光回折格子および関連する作製方法に関するものである。・・・省略・・・続きを表示(全30行)【0006】本発明のいくつかの実施形態によれば、偏光回折格子は、基板と、基板上の第1の偏光回折格子層と、を備えている。第1の偏光回折格子層は、第1の偏光回折格子層の両面間に定められる第1の厚みにわたって第1の捩じれ性に従って捩じられている分子構造を含んでいる。・・・省略・・・【0008】他の実施形態では、偏光回折格子は、第1の偏光回折格子層上に第2の偏光回折格子層をさらに備えていてもよい。第2の偏光回折格子層は、第2の偏光回折格子層の両面間に定められる第2の厚みにわたって、第1の捩じれ性と逆の第2の捩じれ性に従って捩じられている分子構造を含んでいてもよい。特に、第1の偏光回折格子層の分子のそれぞれの相対的配向は、第1の厚みにわたって第1の捩じれ角だけ回転し、第2の偏光回折格子層の分子のそれぞれの相対的配向は、第2の厚みにわたって第2の捩じれ角だけ回転しているようになっていてもよい。・・・省略・・・【0010】他の実施形態では、第1の偏光回折格子層および第2の偏光回折格子層の分子のそれぞれの配向は、第1の偏光回折格子層と第2の偏光回折格子層との間の界面に沿って整合されていてもよい。基板は、透過基板であってもよい。・・・省略・・・【0055】本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子(PG)は、異方性周期的構造を備えており、特異な回折特性(例えば、特別の偏光および100%にいたる回折効率をもたらす3つの可能な回折次数(0,±1))を発揮することができ、幅広い用途に適用され得るものである。従来のPGは、中心波長の約7%のスペクトル域の全体にわたって、比較的高効率で回折することができる。対照的に、本発明のいくつかの実施形態によるアクロマチックPGは、この帯域幅を約5倍拡げることができ、可視スペクトル域の大半にわたって、例えば、広帯域照明(たとえば白色光)の場合であっても、約100%の効率で回折することができる。具体的には、本発明のいくつかの実施形態によるPGは、少なくとも2つのキラル液晶層を備えているとよく、各々が比較的穏やかな捩じれ角(例えば、70°)および互いに逆の捩じれ性を有しているとよい。・・・省略・・・【0060】図1B,1Cを再び参照すると、本発明のいくつかの実施形態による2層ツイスト構造を備えるPGのアクロマチック性能は、比較的広いスペクトル幅、例えば、中心波長の約34.3%におよぶスペクトル幅にわたって、100%におよぶ回折効率をもたらすことができる。これは、中心波長の約6.8%のスペクトル幅をもたらす従来のPGと比較して、約5倍広がっていることを示している。従って、互いに逆の捩じれ性を有する2つのツイストPGを組み合わせることによって、PG回折の広帯域性(achromacity)を達成することができる。【0061】ツイストPGの広帯域回折のいくつかの設計パラメータとして、各PG層の厚みdおよび捩じれ角θtwistが挙げられる。これらのパラメータの影響は、有限差分時間-ドメイン(FDTD)法および周期的異方性媒体用に特別に開発されたオープンソースのソフトウエハパッケージを用いて、明らかにされている。従って、偏光ホログラフィおよび光配向技術を用いて重合性液晶フィルムとして形成されたアクロマチックPGの予備実験結果について、図2~6を参照して説明する。【0062】図2は、前述したFDTDシミュレーション空間の基本的な幾何学的配置を示している。フレネル損失を低減させ、および/または最小限に抑えるために、屈折率を連続的に変化させる反射防止(AR)膜206が、偏光回折格子PG201の両側の空気-偏光回折格子界面に施されているとよい。周期的境界207および単軸完全整合層(UPML)技術による整合層境界208を用いて、シミュレーション空間を終端させ、および/またはシミュレーション時間を低減させるようになっているとよい。入力/入射平面波209は、回折格子構造の直前に位置する垂直方向の直線偏光をもたらすガウスパルス平面波(すなわち、広帯域源)であるとよく、出力回折効率が、回折格子の直後に位置するライン211の電場から計算されるようになっているとよい。近傍-遠方光学変換および時間的フーリエ変換を用いて、遠距離場におけるスペクトル回折を解析することができる。【0063】ここに用いられる高PG効率をもたらすスペクトル域Δλ(単位:波長)は、全一次回折Ση±1が約99.5%よりも大きい波長域として定義されている。正規化帯域幅Δλ/λcenter(単位:%)は、その中心波長λcenterに対するスペクトル域の比率として定義されている。【0064】図3は、0°から90°の範囲内の種々の捩じれ角に対する単層ツイストPGの回折特性を示すシミュレーション結果を示している。従って、データは、右旋回性および左旋回性に対して同一である。さらに具体的には、図3は、波形301,302,303,304,305によって、それぞれ、表わされている種々の捩じれ角(θtwist)0°、30°、60°、70°、90°に対する一次回折効率の合計(Ση±1)対正規化リタデーション(Δnd/λ)を示している。図3に示されているように、高効率帯域幅の最大値は、従来のPG(すなわち、θtwist=0°の波形301によって示されているPG)の場合に生じており、そのΔλ/λcenterは、6.8%である。すなわち、(導波路としても知られている)導波現象は、極めて小さい捩じれ角以外は適応しないので、捩じれ角の増加と共に回折効率の著しい低下が生じることになる。にもかかわらず、出力には、0次光および±1次光しか存在せず、一次の偏光は、(円偏光ではなく)、少しずつ楕円偏光になっている。【0065】しかし、本発明のいくつかの実施形態によれば、互いに逆の捩じれ性を有する2つのツイストPGを積層することによって、高回折効率(すなわち、約100%におよぶ回折効率)を得ることができる。両PG層の光学的特性は、(捩じれの方向を除けば)、実質的に同様または同一であるとよい。これによって、第2の層は、第1のツイスト構造の偏光効果を補償することができる。それ故、アクロマチック(広帯域)効果は、局部的リタデーションの補償として定性的に記述されてもよい。【0066】図4Aは、約0°から約90°の範囲の全体にわたって捩じれ角を変化させて、本発明のいくつかの実施形態による互いに逆の捩じれ性を有する2層ツイスト構造の回折特性を示すシミュレーション結果を示している。さらに具体的には、図4Aは、波形401,402,403,404,405によって、それぞれ、表わされているθtwistの種々の値0°、30°、60°、70°、90°に対して、正規化リタデーション(Δnd/λ)の関数として一次回折効率(Ση±1)を示している。最大帯域幅Δλ/λmax=34.3%は、図4Bにさらに示されているように、θtwist=70°のときに、得られている。さらに具体的には、図4Bのグレースケールレベルは、シミュレーションされた回折効率を示し、帯域幅Δλ/λcenterは、図示されている領域における最大値である。従って、従来のPGと比較して、最大回折帯域幅が約5倍に拡大されている。なお、回折帯域幅は、捩じれ角に対して鋭敏なので、帯域幅の性能を改良するには、θtwistの注意深い制御が重要である。」
イ 図1C
[図:0001423503000010.jpg]
ウ 図3
[図:0001423503000011.jpg]
エ 図4
[図:0001423503000012.jpg]
(4)甲9の記載
ア 「【0058】特に、本明細書に記載する本発明の実施形態は、広帯域偏光変換の効率的制御を可能にする、本明細書においてマルチツイストリターダ(MTR)と称する2つ以上の複屈折層を含む光学素子を提供する。たとえば、MTRは、単一の実質的に均一な配向面上の少なくとも2つの一般ネマティック液晶層から成る配列を含んでもよく、それらの層のうちの少なくとも1つは、層の厚さにわたってねじられているネマティックディレクタ(すなわち、ローカル光軸)を有し、後続の層は先行する層の露出面によって直接整列される。これによって、製造をより単純にすることが可能になり、自動的な層間位置合わせが達成され、結果として、その厚さにわたって連続的に変化するローカル光軸を有する一体的なフィルムがもたらされる。対照的に、多くの従来の手法において、層は一般的に別個に形成されてその後組み立てられ、1つの層の端部におけるねじれ角は一般的に、次のねじれ層の開始角と整列されていないか、またはそれに平行である。・・・省略・・・【0060】続きを表示(全29行)関連の米国特許出願第60/912,044号も、配向面上の単一のフィルムまたは一体型素子を画定する2つのねじれ層を使用した無彩色偏光変換を記載している。当該特許文献に記載されているいくつかの実施形態において、配向面は、空間的に不均一な周期的パターンが存在するよう、偏光ホログラムによってパターン化され得る。それゆえ、それらの実施形態において達成される、入射光に対する光学的効果は、本明細書に記載する本発明の実施形態によって達成されるような遅延(すなわち、偏光の変化)ではなく、回折(すなわち、伝播方向の変化)である。・・・省略・・・【0064】図1は、本発明のいくつかの実施形態による光学素子またはフィルム(本明細書においてはMTRと称する)を、断面において示す。図1に示すように、第2の光学リターダ層102が、第1の光学リターダ層101上に形成されて多層構造を形成している。第1の層101および第2の層102は、同じまたは互いに対して反対のねじれ方向に従って、それぞれの厚さd1およびd2にわたって回転されている分子構造を有し得る。たとえば、第1の層101および第2の層102は、同じまたは反対の掌性のキラル分子(すなわち、異なる左形および右形(left-handed and right-handed forms)を有する非対称分子)を含むことができる。そのため、いくつかの実施形態において、第2の層102は、厚さd1にわたる第1の層101のものと異なる、および/または反対である、厚さd2にわたってそのローカル異方性パターンの位相シフトを有し得る。図1において、第1の層101および第2の層102は、キラル液晶(LC)層として示されている。厚さd1およびd2はそれぞれ、第1の光学層101および第2の光学層102の対向する面の間で規定され、厚さd1およびd2は、いくつかの実施形態において異なってもよい。より一般的には、本明細書に記載する実施形態において、光学フィルムは、2つ以上の層を含んでもよく、これらの層のうちの少なくとも2つは、異なるねじれ角(異なるねじれ方向を含む)および/または異なる厚さを有する。【0065】特に、図1に示すように、第2の層102の分子は、第1の層101の分子(たとえば、左)と比較して掌性が反対(たとえば、右)である。たとえば、第1の層101は、その中の分子の配向が層101の厚さd1にわたってねじれ角φ1で回転され、または「ねじれ」得るように、キラル分子でドープされてもよく、第2の層102は、その中の分子の配向が層102の厚さd2にわたってねじれ角φ2で回転され、または「ねじれ」得るように、別のキラル分子でドープされてもよい。第1のねじれ角φ1または第2のねじれ角φ2は、いくつかの実施形態においては0°であってもよい。第1の層101および第2の層102の製造において、ネマティックLC混合物が、実質的に欠陥のないそれぞれのねじれ角をその中に生じさせるように構成されているキラルLC分子でドープされ得る。それぞれのねじれ角φ1およびφ2は、キラルドーパントの量を変えること、および/または光学リターダ層の厚さを変えることによって変更されてもよい。各光学層101、102内の分子の「ねじれ」によって、そのそれぞれの厚さd1、d2にわたるローカル異方性パターンにおける連続した位相シフトがもたらされ得る。【0066】図1にさらに示すように、第1の光学層101および第2の光学層102の分子は、それらの間の界面109において整列され、または同相にある。特に、第1の光学層101および第2の光学層102のそれぞれの分子的分子は、界面109の平面または方向に沿った方向において実質的に均一な(たとえば、空間的に変化しない)配向を有している。そのため、第1の光学層101および第2の光学層102は、そのそれぞれの厚さに沿った方向において連続的に変化する分子配向を有し、それらの間の界面に沿った方向において変化しないまたは実質的に均一な分子配向を有する、一体型光学素子またはフィルム100を規定する。【0067】図1に示す実施例において、第1の光学層101および第2の光学層102は配向面115上に設けられ、配向面は、配向面115の平面内で、ある方位角(本明細書においては開始角φ0とも称する)における実質的に均一な左から右への配向方向を有する。第1の層101内のネマティックディレクタ配向は、配向面115との界面におけるこの方位角φ0から開始し、その後、その厚さd1全体にわたって、第1の層101内に利用されているねじれネマティック液晶材料の対掌性によって生じるねじれ角φ1でねじれ、何らかの最終方位角φ0+φ1に至り、これによって、第2の層102に対する整列がもたらされる。第1の層101との界面109における第2の層102内のネマティックディレクタ配向は、φ1の値に応じて、配向面115上の配向状態に対応する場合もあるし、または対応しない場合もある。第2の層102のネマティックディレクタ配向は、第1の層101との界面109における角度φ0+φ1から開始し、その厚さd2全体を通じてねじれ角φ2でねじれ、何らかの最終的φ0+φ1+φ2に至る。これは第2の層102上に形成される場合がある後続のねじれネマティック層について同様に継続しており、これは以下の概括的な原理、すなわち、第1の層101が配向面115によって整列され、すべての後続の層が先行する表面によって整列されて、単一の分割できない薄膜が形成されるという原理を採用している。・・・省略・・・【0076】図5Bおよび図5Cは、それぞれ、図5Aに示し本明細書においては実施形態2と称する、本発明の実施形態による3つの積層複屈折層501、502、503を含む光学リターダ構成500についての出力S3パラメータおよび楕円率を示すグラフである。実施形態2は、実施形態1よりもさらにより広い広帯域4分の1波長遅延を達成する多層ねじれリターダ500を提供する。特に、表1に示すようなねじれ角(φ1、φ2、φ3)および厚さ(d1、d2、d3)を有する3つのねじれ層501、502、503が配向面515上に形成されている。図5Bおよび図5Cに示すように、実施形態2(実線)は、400~800nm範囲全体について+1に近い出力ストークスパラメータS3および楕円率e>0.95を明示しており、これは、実施例1(一点鎖線)および実施例2(点線)にまさる実質的な改善をもたらす。・・・省略・・・【0097】4分の1波長(QW)リターダは、直線偏光(たとえば、Si=(1,1,0,0)T)および円偏光(たとえば、St=(1,0,0,1)T)への入力光/からの入力光を変換する。したがって、本明細書において説明するように、特定の波長について正確にTMTR[2,2]=0、TMTR[3,2]=0、およびTMTR[4,2]=1であるか、または所与の帯域幅についてほぼこのようになる。下記に説明する例は、2つの事例、すなわち、約200nmの帯域幅範囲(たとえば、450~650nm)にわたるM=2層を有するアクロマティックQW MTR、および、約400nmの帯域幅範囲(たとえば、400~800nm)にわたるM=3層を有するスーパーアクロマティックQW MTRをカバーしている。便宜上、これらの設計をそれぞれ2TR設計および3TR設計と称し、表2に要約する。・・・省略・・・【0109】本発明の実施形態によって提供される別の偏光素子が、1つの直線偏光を別の(回転した)直線偏光に/別の(回転した)直線偏光を1つの直線偏光に変換(lin-lin)する2分の1波長(HW)リターダであり、旋光を達成するのに使用することができる。同様に、HWリターダは、円偏光を直交する円偏光に変換(cir-cir)するのに使用することができる。下記に説明する例は、両方の変換を達成する2つのHW MTR設計をカバーしている。それぞれ450~650nmおよび400~800nmの帯域幅のための特定の2TRおよび3TR設計を表3に示す。以下の結果は、2TR HW設計および3TR HW設計の帯域幅が、上述の類似のQW MTRと同様である(すなわち、アクロマティック2TRおよびスーパーアクロマティック3TRについて、それぞれ37%および75%である)ことを示している。このHWの事例において、類似の帯域幅の定義は、|S(1or3)|≧0.99に対する波長範囲を中心波長で除算したものである。【0110】【表3】[図:0001423503000013.jpg]・・・省略・・・【0129】本明細書に記載するように、光学デバイスに使用される複屈折素子の説明において、「板(plate)」という用語は、フィルム、スラブ、シート、または層と同義である。また、偏光変換効果は2つのカテゴリ(リターダおよび回転子)を参照して説明され得るが、「リターダ(retarder)」という用語は、本明細書においては概して、たとえば、旋光および複屈折遅延の両方を包含する、何らかの方法で偏光を変化させる複屈折素子を記載するために使用されている。本明細書に記載する場合、「複屈折リターダ(birefringent retarder)」、「リターダ」、「遅延板(retardation plate)」、および「補償フィルム(compensation film)」という用語は、均質な位相差板を含む、任意の複屈折板を指すために交換可能に使用され得る。そのような複屈折板はまた、一軸、二軸、または不均質であってもよい。本明細書に記載のリターダは、広帯域(すなわち、アクロマティック)または狭帯域(すなわち、クロマティック)であってもよい。本明細書に記載のリターダは、それゆえ、旋光もしくは複屈折遅延またはそれらの任意の組合せを介して偏光の変更を達成し得るが、それを通過する光の伝播方向に実質的に影響を与えず、またはそれを変化させないものであり得る。」
イ 図1
[図:0001423503000014.jpg]
ウ 図5A
[図:0001423503000015.jpg]
2 本件特許発明2
(1)対比
本件特許発明2と引用発明とを対比する。
ア 光学異方性層
引用発明の「第1の偏光格子構造」は、「液晶分子を備える第1の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、側方軸に沿って第1の周期性を有する反復ユニットを形成する第1の複数の液晶サブ層を備え」、引用発明の「第2の偏光格子構造」は、「液晶分子を備える第2の複数の液晶サブ層であって、前記液晶分子は、側方軸に沿って第2の周期性を有する反復ユニットを形成する、第2の複数の液晶サブ層を備え」、引用発明の「第3の偏光格子構造」は、「液晶分子を備える複数の液晶サブ層を含み、前記液晶分子は、第3の周期性を有する反復ユニットを形成」するものである。
そして、液晶分子が光学軸を有することは技術常識であることから、引用発明は、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」における液晶分子に由来の光学軸の向きが側方軸に沿って周期性を有する反復ユニットを形成するといえる。ここで、「側方軸に沿って」における「側方軸」とは、「光学デバイス」の面内の一方向を意味することは明らかである。
また、引用発明の「偏光格子構造」について、甲1には「液晶格子構造は、液晶分子を備える、液晶材料の複数のサブ層を備える。液晶分子の配向は、サブ層を横断して側方軸に沿って規則的インターバルで変動し、それによって、側方軸に沿って離間された伸長液晶分子の反復ユニットを形成する。」(上記1(1)イ[0084])と記載されている。一方、本件特許発明2の「連続的に回転しながら変化した面内配向パターン」とは、本件明細書の【0013】及び図1等の記載に照らせば、液晶化合物由来の光学軸の向きが一方向に沿って規則的インターバルで、すなわち、離散的に変動(変化)しているような面内配向パターンを含むと理解することができる。そうすると、引用発明において「周期性を有する反復ユニットを形成する」ことは、液晶分子(液晶化合物)に由来の光学軸の配向(向き)が、側方軸(少なくとも一方向)に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有することを意味しているといえる。さらに、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、それぞれ「複数のサブ層を備え」ることから、これらが層をなすことは明らかである。
以上によれば、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、いずれも本件特許発明2の「光学異方性層」に相当する。また、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、いずれも本件特許発明2の「光学異方性層」の「液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する」との要件を満たす。
イ 第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層
引用発明は、「第1の偏光格子構造」と、「前記第1の偏光格子構造にわたる第2の偏光格子構造」と、「前記第2の偏光格子構造にわたる第3の偏光格子構造をさらに備え」る。
上記アと上記構成からみて、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、それぞれ、本件特許発明2の「第1光学異方性層」、「第2光学異方性層」及び「第3光学異方性層」に相当する。また、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、本件特許発明2の「複数の光学異方性層」の「第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含み」との要件を満たす。
ウ 光学素子
引用発明の「光学デバイス」は、「第1の偏光格子構造と」、「第2の偏光格子構造と」、「第3の偏光格子構造」を「備え」る。
上記ア及びイ並びに上記構成からみて、引用発明の「光学デバイス」は、本件特許発明2の「光学素子」に相当する。
また、引用発明の「光学デバイス」は、「第1の偏光格子構造と」、「第2の偏光格子構造と」、「第3の偏光格子構造」を厚さ方向に備えるといえる。そうしてみると、引用発明の「光学デバイス」は、本件特許発明2の「光学素子」の「光学異方性層を厚さ方向に複数備え」るとの要件を満たす。
(2)一致点及び相違点
上記(1)によると、本件特許発明2と引用発明は、
「 液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含む、光学素子。」の点で一致し、以下の点で相違するか、一応相違する。
<相違点1>
「複数の光学異方性層」について、本件特許発明2は、「それぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる複数の領域を有」するのに対して、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、この点が明らかでない点。
<相違点2>
「複数の光学異方性層」について、本件特許発明2は、「それぞれ、前記一方向に沿って前記厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察した断面像において、前記光学軸の向きに由来した明線および暗線の対を前記一方向に沿って複数有」するのに対して、引用発明の「第1の偏光格子構造」、「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、この点が明らかでない点。
<相違点3>
「前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層」について、本件特許発明2は、「それぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる傾き角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であ」るのに対して、引用発明の「第1の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、この点が明らかでない点。
<相違点4>
「第1光学異方性層」と「第3光学異方性層」について、本件特許発明2は、「前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる」のに対して、引用発明の「第1の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、このような構成でない点。
(3)判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。
ア 甲1の[0155]には、「いくつかの実施形態では、格子光学軸の傾斜角度θ(例えば、θ1、θ2、およびθ3)は、-85度~約85度の範囲内であってもよい。例えば、傾斜角度θは、-10度~約10度、-20度~約20度、-35度~約35度、-45度~約45度、-50度~約50度、-65度~約65度、-75度~約75度、またはこれらの範囲または下位範囲内の任意の値の範囲内であってもよい。好ましくは、スタックを形成する格子構造間の傾斜角度は、約0~±90度だけ異なり、約0~±10度、約±10度~±20度、約±20度~±30度、約±30度~±40度、約±40度~±50度、約±50度~±60度、約±60度~±70度、約±70度~±80度、または約±80度~±90度を含む。」と記載されている。上記記載は、傾斜角度θが取り得る角度が例示されていることにとどまり、複数の偏光格子構造の格子光学軸の傾斜角度の方向が異なることを示唆するとまではいえない。
また、甲1の[0157]には、「いくつかの実施形態では、格子構造スタックの格子構造の全ての全サブ層は、図10A、10B、11、12A、および12B-1に描写されるように、同一方向に偏移されてもよい。例えば、各サブ層の反復液晶分子ユニットは、同一側、例えば、左または右に偏移されてもよい。例えば、図12Aおよび12B-1に描写されるように、異なる偏光格子スタックの格子光学軸は全て、面法線の右に傾斜される。異なるサブ層の格子光学軸を同一側に傾斜させることは、図12C-1、12C-2、12D-1、および12D-2を参照して下記に説明されるように、より広範囲の入力角度にわたって回折効率を増加させることに有利であり得る。」と記載されていて、上記記載は、異なるサブ層の格子光学軸を同一側に傾斜させることが記載されていることにとどまり、複数の偏光格子構造の格子光学軸の傾斜角度の方向が異なることを記載されているとまではいえない。さらに、図11、12A、12B-1、12C-1、12D-1、13E及び14からも、複数の偏光格子構造の格子光学軸の傾斜角度の方向は同一であることが看取できる。甲1の上記記載以外にも、複数の偏光格子構造の格子光学軸の傾斜角度の方向が異なることを記載されていない。
ここで、本件明細書の【0021】及び【0023】等の記載から、甲1の偏光格子構造においても上記相違点4に係る「明線および暗線」を有するといえる。しかしながら、甲1の複数の偏光格子構造の格子光学軸の傾斜角度の方向が異なることは記載されているとはいえないことから、甲1において、ある偏光格子構造の明線および暗線の対が、別の偏光格子構造の明線および暗線の対との、偏光格子構造の界面の法線に対する傾き方向が異なることは、記載されているとはいえない。
そうすると、甲1には、上記相違点4に係る傾き方向を異ならせることは記載も示唆もない。
イ 甲5の【0055】及び【0060】には、それぞれ、「本発明のいくつかの実施形態によるPGは、少なくとも2つのキラル液晶層を備えているとよく、各々が比較的穏やかな捩じれ角(例えば、70°)および互いに逆の捩じれ性を有しているとよい。」、及び「図1B,1Cを再び参照すると、本発明のいくつかの実施形態による2層ツイスト構造を備えるPG(当合議体注:「PG」は「偏光回折格子」である。以下同様。)のアクロマチック性能は、比較的広いスペクトル幅、例えば、中心波長の約34.3%におよぶスペクトル幅にわたって、100%におよぶ回折効率をもたらすことができる。これは、中心波長の約6.8%のスペクトル幅をもたらす従来のPGと比較して、約5倍広がっていることを示している。従って、互いに逆の捩じれ性を有する2つのツイストPGを組み合わせることによって、PG回折の広帯域性(achromacity)を達成することができる。」と記載されている。図1Cも参酌すると、甲5には、広帯域性を達成するために互いに逆の捩れ性を有する2つのツイストPGを組み合わせることが記載されているといえる。
また、甲9の【0109】には、「本発明の実施形態によって提供される別の偏光素子が、1つの直線偏光を別の(回転した)直線偏光に/別の(回転した)直線偏光を1つの直線偏光に変換(lin-lin)する2分の1波長(HW)リターダであり、旋光を達成するのに使用することができる。同様に、HWリターダは、円偏光を直交する円偏光に変換(cir-cir)するのに使用することができる。下記に説明する例は、両方の変換を達成する2つのHW MTR設計をカバーしている。それぞれ450~650nmおよび400~800nmの帯域幅のための特定の2TRおよび3TR設計を表3に示す。以下の結果は、2TR HW設計および3TR HW設計の帯域幅が、上述の類似のQW MTRと同様である(すなわち、アクロマティック2TRおよびスーパーアクロマティック3TRについて、それぞれ37%および75%である)ことを示している。このHWの事例において、類似の帯域幅の定義は、|S(1 or 3)|≧0.99に対する波長範囲を中心波長で除算したものである。」と記載されている。ここで、MTRはマルチツイストリターダ(甲9の【0058】)を表し、2TR及び3TRは、それぞれ、M=2層及びM=3層(甲9の【0097】)を表し、QWは4分の1波長(甲9の【0097】)を表す。また、アクロマティックは、広帯域(甲9の【0129】)という意味である。甲9の上記【0109】の記載と【0110】の表3の記載から、甲9には、広帯域性を達成するために逆の捩れ性を有する2つの層を有するリターダが記載されているといえる。
ウ そこで、引用発明において、甲5及び甲9に記載された事項を適用する動機付けがあるかどうかについて検討する。
甲1の[0157]及び[0158]には、「異なるサブ層の格子光学軸を同一側に傾斜させることは、図12C-1、12C-2、12D-1、および12D-2を参照して下記に説明されるように、より広範囲の入力角度にわたって回折効率を増加させることに有利であり得る。」及び「図12D-1および12D-2に示されるように、層1150の格子構造は、入射角約-20度~0度の光に対して高回折効率を提供するように構成される、第1の傾斜角度だけ傾斜され、層1152の格子構造は、入射角0度~約20度の光に対して高回折効率を提供するように構成される、第2の傾斜角度だけ同一側で傾斜される。故に、±20度の角度範囲内の光入射の回折効率は、図12C-1および12C-2に示される単一格子構造1148によって達成された約20%回折効率と比較して、約40%まで増加される。」と記載されていて、傾斜角度の異なる偏光回折格子により入射角の異なる光に対して高回折効率を提供することが記載されている。
一方で、甲1の[0134]及び[0153]には、それぞれ、「内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受信する異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる。」及び「格子構造の周期性Λは、格子構造が作用するように構成される波長範囲に応じて、約200nm~約100μmであってもよい。例えば、格子構造の周期性Λは、約200nm~約350nm、約330nm~約410nm、約370nm~約480nm、約450nm~約510nm、約500nm~約570nm、約550nm~約700nm、約650nm~約1μm、約980nm~約3μm、約1.3μm~約3.2μm、約2.3μm~約5μm、約5μm~約10μm、約5μm~約100μm、またはこれらの範囲または下位範囲内の任意の値であってもよい。好ましくは、ディスプレイ用途では、格子構造は、光が、広回折角度、例えば、その上に格子構造が形成され得る導波管内のTIRのために好適な角度で、格子構造から伝搬するように、可視光を回折するように構成される。」と記載されている。これらの記載から、甲1においては、異なる波長を回折するために異なる内部結合光学要素を用いたり格子構造の周期性Λを変えたりすることにとどまり、広帯域性を達成するために複数の偏光格子構造の傾斜角度を異ならせているとはいえない。
エ 上記イ及びウより、甲1、甲5及び9に記載された事項は、いずれも広帯域性を達成することを課題としている点で共通しているといえども、甲1においては、複数の異なる内部結合光学要素を用いたり格子構造の周期性Λを変えたりするのに対して、甲5及び9においては、逆の捩れ性を有する2つの層を用いるものであって、具体的な手段が異なるものである。
そうしてみると、引用発明における複数の偏光格子構造に甲5及び9に記載された事項を適用する動機付けはないといえる。むしろ、甲1の[0157]の「異なるサブ層の格子光学軸を同一側に傾斜させることは、図12C-1、12C-2、12D-1、および12D-2を参照して下記に説明されるように、より広範囲の入力角度にわたって回折効率を増加させることに有利であり得る。」との記載から、引用発明における複数の偏光格子構造に甲5及び9に記載された事項を適用することの阻害要因があるといえる。
オ さらに、引用発明において上記相違点4に係る本件特許発明2の構成を適用することは、甲5及び甲9の他の記載や他の甲号証にも記載されておらず、また、周知技術であるともいえない。
カ したがって、当業者であっても、引用発明に甲1~9に記載された事項を適用して上記相違点4に係る構成とすることは、想到し得たとはいえない。
(4)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人の主張の概要
特許異議申立人は、令和7年1月6日に提出された意見書において、「相違点3に係る本件特許発明の構成は、光学異方性層の同一垂直レベルに関する構成である相違点1に係る構成により形成される構成であるから、当該構成は、第1光学異方性層の垂直方向、及び、第3光学異方性層の垂直方向、にそれぞれ形成される領域に係る構成ではなく、光学異方性層の同一垂直レベルに形成される領域に係る構成と解釈すべきである。」(4頁。下線は特許異議申立人が付与した。以下、この主張を「主張1」という。)、及び、「当業者は、甲1の技術思想に代えて、甲5の技術思想を採用する動機がある。したがって、当業者は、引用発明の第1の偏光格子構造及び第3の偏光格子構造を、互いに逆の捩じれ性を有する偏光格子構造(明暗線の法線に対する傾き方向が異なる偏光格子構造)に変更する動機がある。よって、相違点4に係る構成は、引用発明、甲1及び甲5等の周知技術に基づいて当業者が容易になし得るものである。」(20頁。以下「主張2」という。)と主張している。
イ 当合議体の判断
(ア)主張1について
上記相違点3に係る本件特許発明2の構成は、「前記第1光学異方性層及び第3光学異方性層のはそれぞれ、前記一方向において前記光学軸の向きが180°回転するまでの長さが互いに異なる領域を有することによって、前記断面像において前記明線および暗線の対が前記光学異方性層の界面の法線に対して互いに異なる傾き角度で傾いた領域を有する傾斜光学異方性層であ」って、上記「第1光学異方性層の垂直方向、及び、第3光学異方性層の垂直方向、にそれぞれ形成される領域に係る構成ではなく、光学異方性層の同一垂直レベルに形成される領域に係る構成」ではない。
本件明細書の【0152】には、「・・・SEMによる断面像において、第1光学異方性層および第3光学異方性層では、光学異方性層下界面の法線に対し、斜めに傾斜した明暗線が観察され、第2光学異方性層では、法線に沿って延びる明暗線が観察された。第1および第3の光学異方性層において、中心から外側に向かって明暗線の法線に対する傾斜角度は小さくなっており、第1光学異方性層と第3光学異方性層との法線に対する明暗線の傾き方向は逆であった。」と記載されていて、図16も参酌すると、第1光学異方性層及び第3光学異方性層では、傾いた領域は第1光学異方性層及び第3光学異方性層の同一垂直レベルに形成されるのではなく、第1光学異方性層及び第3光学異方性層の垂直方向であることが理解できる。同趣旨の記載は、本件明細書の【0022】、【0042】、図2、図5、図6等にも記載されている。
そうしてみると、上記主張1は採用できない。
(イ)主張2について
上記主張2の動機付けについては、上記(3)で述べたとおりである。
したがって、上記主張2は採用できない。
(ウ)以上のことから、特許異議申立人の主張は、いずれも採用できない。
(5)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、本件特許発明2は、引用発明及び甲1~9に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
3 本件特許発明3
(1)対比、一致点及び相違点
本件特許発明3と引用発明とを対比すると、本件特許発明2との対比と同様のことがいえる。
そうしてみると、本件特許発明3と引用発明は、
「 液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含む、光学素子。」の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点5>
「第2光学異方性層」と「第3光学異方性層」について、本件特許発明3は、「前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる」のに対して、引用発明の「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、このような構成でない点。
(2)判断
上記相違点5は、上記相違点4において「第1光学異方性層」を「第2光学異方性層」に置き換えたものであるから、上記2(3)で述べたことと同様のことがいえる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、本件特許発明3は、引用発明及び甲1~9に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない
4 本件特許発明4~14
本件特許発明4~14は、本件特許発明2又は3の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明4~14も、本件特許発明2又は3と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び甲1~9に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
5 本件特許発明15
(1)対比、一致点及び相違点
本件特許発明15と引用発明とを対比すると、本件特許発明2との対比と同様のことがいえる。
そうしてみると、本件特許発明15と引用発明は、
「 液晶化合物に由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化した面内配向パターンを有する光学異方性層を厚さ方向に複数備え、前記複数の光学異方性層は、第1光学異方性層、第2光学異方性層及び第3光学異方性層を含む、光学素子。」の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点6>
「第1光学異方性層」と「第3光学異方性層」について、本件特許発明15は、「前記断面像において、前記第1光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる」のに対して、引用発明の「第1の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、このような構成でない点。
<相違点7>
「第2光学異方性層」と「第3光学異方性層」について、本件特許発明15は、「前記断面像において、前記第2光学異方性層の前記明線および暗線の対と、前記第3光学異方性層の前記明線および暗線の対との、前記法線に対する傾き方向が異なる」のに対して、引用発明の「第2の偏光格子構造」及び「第3の偏光格子構造」は、このような構成でない点。
(2)判断
上記相違点6及び7は、それぞれ、上記相違点4及び5と同様であるから、上記2(3)及び3(2)で述べたことと同様のことがいえる。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、本件特許発明15は、引用発明及び甲1~9に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない
6 まとめ
本件特許発明2~15は、当業者であっても、甲1に記載された発明及び甲1~9に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
第6 むすび
本件特許の請求項2~15に係る特許は、取消理由通知書によって通知した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項2~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正請求により、請求項1は削除されたから、本件特許の請求項1に係る特許についての特許異議の申立ての対象は存在しないこととなった。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許についての特許異議の申立ては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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