特許異議申立
2024-700511
情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2024-700511
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-031778
- 登録番号
- 7391286
- 請求日
- 2024年05月31日
- 審決日
- 2025年06月30日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】荏原環境プラント株式会社
- 【権利者代理人】大野 聖二
- 【権利者代理人】野本 裕史
- 【権利者】株式会社Ridge-i
- 【権利者代理人】大野 聖二
- 【権利者代理人】野本 裕史
- 【異議申立人】金田 綾香
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 正木 裕也
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P1651.4 -Y (F23G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第2項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7391286号発明「情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7391286号の請求項1-25に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7391286号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-25に係る特許についての出願は、令和4年3月2日に出願され、令和5年11月27日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月5日に特許掲載公報が発行されたものである。その後、その特許について、令和6年5月31日に特許異議申立人 金田 綾香(以下、「申立人」という。)により請求項1-25に係る特許についての特許異議の申立てがされ、当審は、令和6年9月27日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和6年11月26日に意見書の提出を行った。その後、令和7年1月17日付けで申立人に対して審尋し、期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが、申立人からは応答がなかった。
第2 本件発明
本件特許の請求項1-25に係る発明(以下、「本件発明1-25」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1-25に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部と、
第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行う第2画像解析部と、
前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1撮像装置は、赤外線撮像装置であり、前記第2撮像装置は、可視光撮像装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1評価軸は、被燃焼物の量、被燃焼物の質、被燃焼物の種類、被燃焼物の温度、燃焼ガス発生量、焼却炉の壁の温度のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2評価軸は、火炎状態、燃焼完結点の位置、燃焼完結点の形状、被燃焼物の量、被燃焼物の質、被燃焼物の種類、未燃物の量、焼却灰の量のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1撮像データは、60秒以内の動画像データである、および/または、
前記第2撮像データは、60秒以内の動画像データである、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記赤第1撮像データは、5秒以上の動画像データである、および/または、
前記赤第2撮像データは、5秒以上の動画像データである、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1教師データにおける分類ラベルは、あらかじめ定められた複数の分類項目のうちどれに該当するかを示すラベルと、複数の第1撮像データの間での相対的な順序のうち少なくとも一方である、および/または、
前記第2教師データにおける分類ラベルは、あらかじめ定められた複数の分類項目のうちどれに該当するかを示すラベルと、複数の第2撮像データの間での相対的な順序のうち少なくとも一方である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1画像解析部は、焼却炉内の第1撮像データと、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせに対して、前記第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データと、新たなプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせを入力として前記第1評価軸での評価を行う、および/または、
前記第2画像解析部は、焼却炉内の第2撮像データと、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせに対して、前記第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データと、新たなプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量との組み合わせを入力として前記第2評価軸での評価を行う、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセスデータは、
前記第1撮像データおよび/または前記第2撮像データの撮像時刻と前記センサの応答時刻との間のタイムラグを考慮したデータであり、
前記タイムラグは前記センサの応答速度、施設内での前記センサの設置位置、実験、シミュレーション、運転員の経験則のうち少なくとも1つに基づいて決定される
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行う第1画像解析部と、
2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記第1撮像装置は、赤外線撮像装置である、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1評価軸は、被燃焼物の量、被燃焼物の質、被燃焼物の種類、被燃焼物の温度、燃焼ガス発生量、焼却炉の壁の温度のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1撮像装置は、可視光撮像装置である、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1評価軸は、火炎状態、燃焼完結点の位置、燃焼完結点の形状、被燃焼物の量、被燃焼物の質、被燃焼物の種類、未燃物の量、焼却灰の量のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記燃焼状態判定部は、燃焼状態の判定結果を、施設内に設置されたセンサから得られるプロセスデータおよび/または当該プロセスデータから演算により得られる演算量に応じて補正する、
ことを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記燃焼状態判定部は、燃焼状態の判定結果に応じてアラートの表示または発報を行う、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記燃焼状態判定部の判定結果に基づいて、クレーン制御装置および/または燃焼制御装置へ操作指示を送信する指示部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記機械学習に用いられるアルゴリズムは、最尤分類法、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク(NN)、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォレストを用いた統計的推定、ブースティング、強化学習、ディープラーニングのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習することにより、前記第1学習済みモデルを生成する第1モデル構築部、および/または、
第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習することにより、前記第2学習済みモデルを生成する第2モデル構築部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項20】
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習することにより、前記第1学習済みモデルを生成する第1モデル構築部をさらに備える
ことを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項21】
請求項17に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置から送信された操作指示に基づいて、廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーンを制御する前記クレーン制御装置、および/または、焼却炉での廃棄物の燃焼を制御する前記燃焼制御装置と、
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項22】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップと、
第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行うステップと、
前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項23】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行うステップと、
2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項24】
コンピュータに、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップと、
第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行うステップと、
前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定するステップと、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項25】
コンピュータに、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行うステップと、
2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングすることにより、現在の燃焼状態を判定するステップと、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。」
第3 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和6年9月27日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(同日出願)本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許と同日の出願である下記の甲第11号証の特許の請求項12に係る発明と同一であり、かつ、下記の甲第11号証の特許の請求項12に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないため、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
<引用文献等一覧>
甲第11号証:特許第7390581号(以下、「甲11」という。)
2 当審の判断
甲11の特許の請求項12は、令和6年11月26日にされた訂正請求による訂正により削除された。
したがって、当審が令和6年9月27日に特許権者に通知した取消理由は解消した。
第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張
申立人が特許異議申立書において主張する特許異議申立の理由は、以下のとおりである。
〔理由1〕
本件発明1-25は、甲第1-10号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1-25に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<証拠一覧>
甲第1号証:特開2001-159915号公報(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:特開2017-187228号公報(以下、「甲2」という。)
甲第3号証:特開平6-34118号公報(以下、「甲3」という。)
甲第4号証:特開2021-96046号公報(以下、「甲4」という。)
甲第5号証:特開平10-38243号公報(以下、「甲5」という。)
甲第6号証:特開2019-74240号公報(以下、「甲6」という。)
甲第7号証:特開2021-188880号公報(以下、「甲7」という。)
甲第8号証:特開平9-14630号公報(以下、「甲8」という。)
甲第9号証:特開平7-208733号公報(以下、「甲9」という。)
甲第10号証:特公平7-54171号公報(以下、「甲10」という。)
2 理由1について
(1) 甲号証に記載された発明、事項等
ア 甲1
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。
(ア)「【0019】
【発明の実施の形態】本発明の運転支援装置を実炉に付帯させた場合の形態を説明する。図1は運転支援装置のブロック図であり、本発明の運転支援装置は、焼却炉1とガイダンス演算装置2と表示装置3から構成されている。
【0020】焼却炉1では計測装置1aにより炉内の各種物理量が計測され、それらのデータがガイダンス演算装置2へ入力される。本実施形態では、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、および燃焼画像を計測値として用いている。
【0021】ガイダンス演算装置2では、各種計測量より燃焼状態を判断する燃焼状態評価部2aと、燃焼状態を良好にするために最適な手動操作方法を判別する手動操作方法判別部2b、表示内容の選定を行う表示内容選定部2cを備えている。なお、装置間でのデータの伝送は、図に示すように、データ記憶手段4を介して行うと便利である。」
(イ)「【0023】以下、ガイダンス演算装置2の各部の処理内容について説明する。
(1)燃焼状態評価部
ガイダンス演算装置2における燃焼状態評価部2aの処理内容を図2のブロック図に示す。
【0024】燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。蒸発量偏差は蒸発量計測値と指令値との相対誤差より導出される。ごみ厚みは工業用カメラによる炉内燃焼画像のごみ部分の高さを検知することで得られる。燃え切り点は工業用カメラは炉内下流部から上流方向へ取り付けられているので、最も手前にある炎の位置を検出することで得られる。
【0025】このようにして、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィ演算を施す。その際用いるファジィルールを表1に示す。これらのファジィルールに従い、現在の燃焼状態を評価するために、計測量を入力として燃焼状態リスト各々における適合度を算出する。適合度とは現状の燃焼状態が表1内ファジィルールで定めたつまり各々の燃焼状態との近さを表し、値の大きいルールほど現在の燃焼状態に近いことを示す。なお、これらの燃焼状態リスト関連のデータは、図に示すように、燃焼状態蓄積装置5aに蓄積しておくと便利である。
【0026】適合度は各計測量の前件部に関する適合度をメンバーシップ関数より求めてから、燃焼状態毎に対応表に基づき、該当する適合度を積算することで算出する。各計測量における事象の適合度を図3に示す蒸発量偏差のメンバーシップ関数を例に挙げて説明する。蒸発量偏差がAであるとき、「蒸発量偏差が負である」という事象の適合度はa1(変数名は表1にも記載)、「蒸発量偏差が正である」という事象の適合度はa2である。
【0027】なお、事象の適合度は0以上1以下の値で表現される。同様に燃焼室温度、O2濃度、NOx濃度、ごみ厚み、燃え切りについてもそれぞれの事象についての適合度が事前に決定されているメンバーシップ関数により求められる。なお、メンバーシップ係数は個々の焼却炉または運転訓練装置に合わせて調整可能とする。
【0028】次に表1に示す対応表の燃焼状態毎に適合度を算出する。実際には、「蒸発量偏差が負」、「ガス混合室温度が低又は高」等の個々の事象の適合度の積により算出する。例えば、表1中Rule1の燃焼状態「酸素過剰により燃焼不活発である」は、事象「ガス混合室温度が低」と事象「O2濃度が高」が、適合度の観点では関係がある。従って、これらの事象の適合度b1 とd2から、以下の式で適合度m1を導出する。
m1=b1×d2(1)
【0029】同様に各燃焼状態の適合度m1,...,miを算出して、燃焼状態リストから最も適合する燃焼状態を判別し、演算結果として図2に示す適合度m1,...,miを手動操作方法判別部2bに出力する。」
(ウ)「【0030】
【表1】
[図:0001425737000001.jpg]
」
(エ)(ア)の段落【0020】から、計測装置1aは、ガイダンス演算装置2へ入力される炉内の各種物理量を計測すると認められる。
また、(イ)の段落【0024】の「燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。」との記載、段落【0025】の「現在の燃焼状態を評価するために、計測量を入力として燃焼状態リスト各々における適合度を算出する。」との記載から、ガイダンス演算装置2の燃焼状態評価において、「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」が入力されると認められる。
そうすると、計測装置1aは、「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」を計測すると認められる。
さらに、(イ)の段落【0024】の「燃焼状態評価における入力は蒸発量偏差、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データによるごみ厚みと燃え切り点である。」、「ごみ厚みは工業用カメラによる炉内燃焼画像のごみ部分の高さを検知することで得られる。燃え切り点は工業用カメラは炉内下流部から上流方向へ取り付けられているので、最も手前にある炎の位置を検出することで得られる。」なる記載から、上記「ごみ厚みの計測量」と「燃え切り点の計測量」について、炉内画像データを入力として、ごみ部分の高さを検知することで「ごみ厚みの計測量」が得られるとともに、最も手前にある炎の位置を検出することで「燃え切り点の計測量」が得られると認められる。
そうすると、計測装置1aは、工業用カメラによる炉内画像データを入力として、ごみ厚みの計測量を得るとともに、燃え切り点の計測量を得ると認められる。
(オ)(イ)の段落【0023】の「ガイダンス演算装置2における燃焼状態評価部2aの処理内容を図2のブロック図に示す。」との記載、及び段落【0025】の「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィ演算を施す。その際用いるファジィルールを表1に示す。これらのファジィルールに従い、現在の燃焼状態を評価するために、計測量を入力として燃焼状態リスト各々における適合度を算出する。適合度とは現状の燃焼状態が表1内ファジィルールで定めたつまり各々の燃焼状態との近さを表し、値の大きいルールほど現在の燃焼状態に近いことを示す。」との記載から、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出することにより、現在の燃焼状態を評価する燃焼状態評価部2aを備える運転支援装置、情報処理方法及び情報処理が理解できる。
上記によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明A」-「甲1発明C」という。)が記載されている。
〔甲1発明A〕
「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得る計測装置1aと、
蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出することにより、現在の燃焼状態を評価する燃焼状態評価部2aと、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。」
〔甲1発明B〕
「情報処理方法であって、
工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得るステップと、
蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出することにより、現在の燃焼状態を評価するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。」
〔甲1発明C〕
「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得るステップと、
蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出することにより、現在の燃焼状態を評価するステップと、
からなる情報処理。」
イ 甲2
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0045】
画像処理部81では、熱画像撮像部75から一定時間毎に入力される熱画像に対して、平滑化処理等の画像処理が施される。ごみ高さ演算部82は、識別器821と、学習部822とを備える。ごみ高さ演算部82では、画像処理部81により画像処理が施された熱画像(以下、同様に「熱画像」という。)に基づいて、搬送方向および幅方向における火格子部21上の各位置のごみの高さ(以下、単に「ごみ高さ」という。)が求められる。これにより、搬送方向および幅方向におけるごみ高さの分布を示すごみ高さ情報が取得される。火格子部21上の各位置におけるごみ高さは、当該位置におけるごみの厚さ、または、ごみの堆積値である。」
(イ)「【0052】
次に、ごみ高さ演算部82が、熱画像からごみ高さ情報を取得する処理について説明する。ごみ高さ情報を取得するには、まず、機械学習により識別器821を構築する処理が事前準備として行われる。図6は、識別器821を構築する処理の流れを示す図である。
【0053】
識別器821の構築では、まず、熱画像撮像部75により取得される複数の熱画像が準備される(ステップS11)。図7は、熱画像の一例を示す図である。熱画像撮像部75では、ごみの燃焼時に生成される炭酸ガスや、火炎(輝炎)の影響を受けにくい特定波長の赤外線のみを検出することにより、図7に示すように、炭酸ガスや火炎の影響が除去された熱画像が取得される。実際には、火格子部21上におけるごみの堆積状態(ごみ高さの分布)が様々である複数の熱画像が準備される。画像処理部81では、複数の熱画像に対して平滑化処理等の画像処理が施される。当該画像処理が施された熱画像(多階調の画像)は、識別器821の学習に用いられる画像であり、以下、「教師画像」という。」
(ウ)「【0055】
ごみ高さ演算部82では、図9に示すように、各教師画像において火格子部21の存在領域53を分割した複数の分割領域59(図9中にて細い破線にて示す。)が設定される。複数の分割領域59は、図2を参照して説明した火格子部21上の分割領域29をそれぞれ示す。続いて、教師画像の各分割領域59に対して、ごみ高さを示すクラスが、習熟した運転員により教示される(ステップS12)。例えば、ごみが無い状態を0%とし、想定される最大高さを100%として、0~100%の範囲を分割した8個の区間をそれぞれ示す8個のクラスが設定され、当該8個のクラスのいずれかに、各分割領域59が割り振られる。例えば、1%は1cm(センチメートル)に相当する。」
(エ)「【0062】
学習部822では、未知の熱画像において、教師画像と同様にして設定される各分割領域のごみ高さを取得する部分識別器が、複数の教師データを用いて学習を行うことにより構築される。各分割領域の部分識別器の学習では、複数の教師画像において、当該分割領域と同じ位置の分割領域59に対する複数の教師データが用いられる。ここで、識別器(部分識別器)の構築とは、識別器が含むパラメータに値を付与したり、構造を決定すること等により識別器を生成することを意味する。部分識別器において用いられるアルゴリズムとしては、様々なものが採用可能であり、本実施の形態では、ファジィクラスタリング(例えばファジィc平均法)が利用される。
【0063】
既述のように、教師データは、複数(8個)のクラスのうちの1つのクラスを示し、ファジィクラスタリングを利用する部分識別器は、未知の熱画像の分類領域に対して、各クラスに属する度合いを示す帰属度(メンバシップ値)を出力する。制御システム8では、熱画像の複数の分類領域にそれぞれ対応する複数の部分識別器の集合が識別器(ここでは、FCM識別器)821として扱われる。このようにして、ごみ高さ演算部82において学習部822により識別器821が構築される(ステップS14)。運転員(人)が熱画像から各位置のごみ高さを決定する際には、熱画像中の当該位置と周囲との色合いの差や、ごみ領域51のエッジ等に基づいて、ごみの状態を無意識に三次元的に捉えていると考えられる。図6の処理により構築される識別器821では、熱画像中の当該位置および周囲の輝度や、ごみ領域51と側壁部領域52との境界位置に基づく複数の特徴量を用いることにより、運転員による上記決定に従った分類が可能となる。
【0064】
図11は、ごみ高さ情報を取得する処理の流れを示す図である。ごみ高さ情報の取得では、熱画像撮像部75により熱画像が取得され、画像処理部81を介してごみ高さ演算部82に入力される(ステップS21)。熱画像では、図9と同様に、複数の分割領域59および複数の矩形領域58が設定され、上記ステップS13と同様にして、各分割領域59に対して複数の特徴量が取得される(ステップS22)。各分割領域59に対する複数の特徴量は、当該分割領域59の領域輝度と、当該分割領域59の周囲の分割領域59の領域輝度との差を含む。また、当該複数の特徴量は、当該分割領域59近傍の矩形領域58における境界高さを含む。
【0065】
そして、各分割領域59に対する複数の特徴量が、当該分割領域59に対応する部分識別器に入力されることにより、当該分割領域59に対して、ごみ高さの8個のクラスの帰属度が分類結果として出力される(ステップS23)。ごみ高さ演算部82では、8個のクラスの帰属度の総和で、各クラスの帰属度を割って得た値が当該クラスの重みとして求められる。また、各クラスが示すごみ高さの範囲の中央値、最大値または最小値等が当該クラスの代表高さとして扱われる。そして、代表高さと重みとを掛けて得た値の全てのクラスにおける総和、すなわち、全てのクラスに対する重み付き平均値が、当該分割領域59に対応する火格子部21上の分割領域29のごみ高さとして取得される(ステップS24)。これにより、搬送方向および幅方向における火格子部21上の各位置のごみ高さを示すごみ高さ情報が取得される。」
(オ)図4A「
[図:0001425737000002.jpg]
」
上記によれば、甲2には、次の技術事項(以下、「甲2に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲2に記載の技術事項〕
「ごみ高さ演算部82は、熱画像撮像部75により取得される火格子部21上におけるごみの堆積状態(ごみ高さの分布)が様々である複数の熱画像に対して、ごみ高さを示すクラスが割り振られた教師画像を機械学習することにより構築された部分識別器において利用されるアルゴリズムを用いて、熱画像を入力として火格子部21上の各位置のごみ高さを示すごみ高さ情報を取得すること。」
ウ 甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0012】図2に示すように、前記燃え切り位置検出手段Dは、被焼却物の搬送方向に沿って複数配置され炎の有無を受光強度に基づき検出するフォトセンサでなる光量検出手段D1と、前記燃焼帯7近傍の上方内壁面に複数配置され炉内の温度を検出する炉内温度検出手段D2と、被焼却物の搬送方向に沿って前記火格子Gに複数配置され前記火格子Gの温度を検出する火格子温度検出手段D3と、それらからの検出値に基づき各別に燃え切り地点を推定する複数の下位ニューラルネットワークN1,N2,N3と、各下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の出力を統合する上位ニューラルネットワークN4とで構成してある。
【0013】図1に示すように、前記光量検出手段D1は、燃焼帯7の前半部、中間部、後半部の三箇所に設けてあり、前記炉内温度検出手段D2は、乾燥帯部、前部燃焼帯部に対応する炉出口部、後部燃焼帯部、後燃焼帯部の四箇所に設けてあり、前記火格子温度検出手段D3は、前記燃焼帯7の床を構成する火格子Gに、その幅方向に三箇所及び搬送方向に四箇所の合計12箇所に、温度検出素子としての熱電対Tを埋め込んで構成してあり、それぞれの出力信号を前記下位ニューラルネットワークN1,N2,N3に入力してある。但し、前記火格子温度検出手段D3は、その幅方向の三箇所の平均値を入力してある。
【0014】前記下位ニューラルネットワークN1,N2,N3は、予め、光量検出手段D1、炉内温度検出手段D2、火格子温度検出手段D3のそれぞれで検出される燃え切り位置の典型的なパターンを教師信号とするバックプロパゲーションによる学習がなされており、実際の入力データに対して燃え切り位置が”上方”、”良好”、”下方”のいずれであるかを0.0から1.0の間の数値で出力するように構成されている。例えば、”上方”が1.0、”良好”が0.0、”下方”が0.0であれば、入力データに基づく判断は”上方”であることを示し、”上方”が0.8、”良好”が0.1、”下方”が0.0であれば、入力データに基づく判断はほぼ”上方”であることを示す。つまり、”上方”、”良好”、”下方”の各数値はそれぞれの程度を示すことになる。
【0015】前記上位ニューラルネットワークN4は、下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の個別の燃え切り位置出力である”上方”、”良好”、”下方”の3出力をそれぞれ入力とする総合判断用のニューラルネットワークであり、光量検出手段D1、炉内温度検出手段D2、火格子温度検出手段D3に対応する下位ニューラルネットワークN1,N2,N3のそれぞれに、信頼性を示す重み付けを行い学習させている。即ち、光量検出手段D1、炉内温度検出手段D2、火格子温度検出手段D3に対応して、下位ニューラルネットワークN1に”1.0”,下位ニューラルネットワークN2に”0.9”,下位ニューラルネットワークN3に”0.8”の重み付けを行い、表2に示す入力教師信号に対して、数1に示す変換式により求まる値を出力教師信号として、バックプロパゲーションによる学習を行っている。」
(イ)図2「
[図:0001425737000003.jpg]
」
上記によれば、甲3には、次の技術事項(以下、「甲3に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲3に記載の技術事項〕
「被焼却物の搬送方向に沿って複数配置され炎の有無を受光強度に基づき検出するフォトセンサでなる光量検出手段D1と、光量検出手段D1からの検出値に基づき燃え切り地点を推定する複数の下位ニューラルネットワークN1,N2,N3と、各下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の出力を統合する上位ニューラルネットワークN4とを有し、上位ニューラルネットワークN4は、下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の個別の燃え切り位置出力である”上方”、”良好”、”下方”の3出力をそれぞれ入力とし、各下位ニューラルネットワークN1,N2,N3の出力を統合すること。」
エ 甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0022】
状態特定装置300は、処理画像をカメラ220から取得して輝度などを特定して、フィーダ31と、乾燥段21と、燃焼段22と、後燃焼段23のそれぞれの燃焼状態を特定し、火格子61の速度および風箱2が供給する空気の量を制御する。状態特定装置300は、画像取得部310と、輝度特定部320と、点特定部330と、温度特定部340と、状態特定部350と、推奨提案部360と、を備える。状態特定装置300は、有線または無線で燃焼設備100と接続される。」
(イ)「【0074】
〈第2の実施形態〉
以下、第2の実施形態に係る燃焼設備100を説明する。第2の実施形態に係る状態特定装置300の構成は、第1の実施形態に係る状態特定装置300の構成に加えて、モデル生成部370と、モデル記憶部380を備える構成である。
【0075】
モデル生成部370は、乾燥段21の輝度を含む入力サンプルと、当該乾燥段21の燃焼状態を含む出力サンプルからなるデータセットを用いた教師あり学習によって学習させられた学習済みモデルを生成して、モデル記憶部380に記録する。例えば、モデル生成部370は、可視画像の輝度の値を入力サンプルとする。また、モデル生成部370は、燃焼状態が「乾燥不良」であるか否かに関連付けられた値を出力サンプルとする。モデル生成部370は、上記輝度の値を入力サンプルとし、上記燃焼状態を現す値を出力サンプルとするデータセットを用いて、CNN(Convolutional Neural Network)の手法を用いて、学習済みモデルを学習させる。上記学習済みモデルとは、上記輝度の値と、上記燃焼状態の値と、重みとが関連付けられた関係式である。」
上記によれば、甲4には、次の技術事項(以下、「甲4に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲4に記載の技術事項〕
「処理画像をカメラ220から取得した乾燥段21の輝度を含む入力サンプルと、当該乾燥段21の燃焼状態を含む出力サンプルからなるデータセットを用いた教師あり学習によって学習させられた学習済みモデルを生成すること。」
オ 甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0024】本発明の燃焼判定・制御方法が適用されている画像処理装置1、ファジィシステム2および燃焼制御装置3を備える燃焼装置Aの概略図を図1に、その燃焼判定・制御装置の機能ブロック図を図2に示し、同判定・制御装置Aは、カラー画像撮像手段10と、表色系変換手段22と、特徴パラメータ抽出・生成手段24と、プロセス状態量入力処理手段32と、可変ニューラルネットワーク手段42と、確率的統合処理手段44と、燃焼制御処理手段46と、プロセス制御量出力処理手段34とを主要部としてなる。そして、表色系変換手段22と、特徴パラメータ抽出・生成手段24と、プロセス状態量入力処理手段32と、可変ニューラルネットワーク手段42と、確率的統合処理手段44と、燃焼制御処理手段46と、プロセス制御量出力処理手段34とにより画像処理装置1が構成されている。」
(イ)「【0032】可変ニューラルネットワーク手段42は、入力された特徴パラメータの値に基づいて、あるいは必要に応じてプロセス状態量入力手段32からのプロセス状態量の値にも基づいて、典型的な燃焼状態との適合度を求めて、例えば燃焼悪化、燃焼適正、燃焼過剰というような燃焼状態の判定または評価を行うニューラルネットワークが、燃焼装置の運転データをオンラインで取り込んで作成された教師データにより、その燃焼装置の稼働中に学習がなされた新たなニューラルネットワークに更新可能とされてなるものである。」
(ウ)図2「
[図:0001425737000004.jpg]
」
上記によれば、甲5には、次の技術事項(以下、「甲5に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲5に記載の技術事項〕
「燃焼装置Aの画像処理装置1において、入力された特徴パラメータの値に基づいて、典型的な燃焼状態との適合度を求めて、例えば燃焼悪化、燃焼適正、燃焼過剰というような燃焼状態の判定または評価を行うニューラルネットワークを備えること。」
キ 甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0038】
また、図1に示すように、燃焼炉7には、炉内を撮像するための撮像装置6が設置される。撮像装置6は、例えば動画像または静止画像の少なくとも一方が撮像可能な炉内カメラである。より具体的には、撮像装置6は、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、特定の波長を検知可能な赤外線カメラなどのカメラであっても良い。図1に示す実施形態では、撮像装置6は、一次燃焼領域81の上方(図1では直上部)に位置する燃焼炉7の上部7cに設置されており、燃焼状態を真上から撮像するように構成されている。ただし、本実施形態に本発明は限定されず、他の幾つかの実施形態では、撮像装置6は燃焼炉7の側壁部7sなど、燃焼炉7の上部7c以外の位置に設置されても良い。例えば、側壁部7sにおける二次燃焼領域82を形成する部分や、そのさらに上の部分(上部7cにより近い部分)に撮像装置6を設置すると共に、一次燃焼領域81が位置する下方を撮像するように斜め下に向けて設置されても良い。こうして撮像装置6によって撮像された燃料Fgの燃焼時の炉内の画像V(燃焼画像)は、撮像装置6に接続される記憶装置に記憶(蓄積)される。図1に示す実施形態では、炉内状態量推定装置1の記憶装置1mに記憶されるように構成されているが、他の幾つかの実施形態では、例えば、後述する推定モデル作成装置2bが備える記憶装置や、その他の装置の記憶装置など、炉内状態量推定装置1とは別体の記憶装置に記憶されても良い。
(イ)「【0041】
推定モデル作成部2は、燃焼炉7の炉内を撮像した画像V(以下、単に、画像Vという。)に基づいて得られる画像情報Iであって過去の画像Vに基づいて得られる過去画像情報Ipと、過去画像情報Ipで示される燃焼状態に応じた状態量Sとが対応付けられた学習データDの機械学習を行い、推定モデルMを作成する。学習データDは、過去の画像Vに基づいて得られる過去画像情報Ip(画像情報I)と、この過去の画像Vが撮像された際の状態量Sの計測値Srまたは推定値とを対応付けたデータ(学習構成データ)の複数で構成される。画像情報Iは、炉内を撮像した画像Vそのものであっても良いし、後述するように、画像Vから抽出可能な特徴量Fであっても良い。また、画像Vは、静止画像であっても良いし、動画像を構成するフレーム(画像)であっても良い。そして、推定モデル作成部2は、周知な機械学習の手法(アルゴリズム)の少なくとも1つを用いて、学習データDの機械学習を実行することにより、画像情報Iから状態量Sを算出するための推定モデルMを作成し、作成した推定モデルMを外部記憶装置などの記憶装置1mに記憶する。」
(ウ)「【0047】
上記の構成によれば、炉内の燃焼状態に応じて、例えば灰中未燃分や、NOx濃度、CO濃度などの状態量Sは変化するが、炉内の燃焼時の画像情報Iと、その画像情報Iが撮像された際の状態量S(計測値Srや推定値など)とが対応付けられた学習データDの機械学習により作成された推定モデルMを用いて、燃焼時の炉内を撮像した画像情報Iから、その燃焼状態で生じる状態量S(推定状態量Se)を推定する。これによって、炉内の画像情報Iから状態量Sを迅速かつ精度良く推定することができる。」
上記によれば、甲6には、次の技術事項(以下、「甲6に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲6に記載の技術事項〕
「撮像装置6で撮像した画像Vに基づいて得られる画像情報Iから状態量Sを算出するための推定モデルMを、学習データDの機械学習を実行することにより作成すること。」
カ 甲7
甲7には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0054】
境界識別学習モデル44aの生成のために用いられるデータは、撮像部26が撮像した透過画像データ、および透過画像データに対して境界が識別されて上述した境界線53が描画処理された処理画像データ(以下、境界画像データ)である。透過画像データおよび境界画像データの数は、例えばそれぞれ、100以上とするのが好ましい。すなわち、生成のために用いられる境界画像データは、作業者によって、透過画像データに対して、廃棄物50と、廃棄物供給部12、段差壁13、炉壁1a、および火格子4とのそれぞれの境界に対して境界線53が描画された画像データである。境界識別学習モデル44aを生成する際の入出力データセットとしては、学習用入力パラメータとして透過画像データが用いられ、学習用出力パラメータとして境界画像データが用いられる。制御部41の学習部413は、上述した学習用入力パラメータおよび学習用出力パラメータを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いたディープラーニング(深層学習)などの機械学習によって、境界識別学習モデル44aを生成する。制御部41は、学習部413により学習された内容に基づいて、透過画像データから境界画像データを生成する。また、学習部413は、入力された透過画像データ、および作業者が境界を修正したり描画したりすることで得られた境界画像データを用いて、境界識別学習モデル44aを適宜更新する。」
(イ)「【0056】
燃焼状態学習モデル44bの生成のために用いられる学習用入力パラメータは、撮像部26が撮像した透過画像データ、および境界生成部411が境界識別学習モデル44aに基づいて生成した境界画像データの少なくとも一方とする。また、燃焼状態学習モデル44bの生成のために用いられる学習用出力パラメータは、作業者によって、透過画像データまたは境界画像データに対して、火格子上廃棄物52と他の領域との境界、および燃焼温度が所定温度以上の火格子上廃棄物52と所定温度未満の火格子上廃棄物52を含む他の領域との境界が描画処理された処理画像データ(以下、抽出画像データ)である。図7に示す例では、境界画像データに対して、火格子上廃棄物52の燃焼温度が所定温度以上、例えば1000K以上の部分が白抜きで描画され、所定温度未満、例えば1000K未満の部分が打点で描画されている。図7に示す火格子上廃棄物52において、燃焼温度が所定温度未満の部分の外縁には境界線532aが描画され、燃焼温度が所定温度以上の燃焼部52Aと他の領域との境界、すなわち燃焼部52Aの外縁には境界線532bが描画されている。なお、熱画像カメラなどを備えた撮像部26は、廃棄物50の温度分布に基づいた透過画像データを出力することができる。この場合、出力された透過画像データは、例えば、温度が高いほど輝度が高くされ、温度が低いほど輝度が低くされた画像データとして出力できる。これにより、透過画像データから火格子上廃棄物52を抽出し、抽出した火格子上廃棄物52において、所定温度以上となる高温の領域を燃焼部52Aとして抽出できる。このように、輝度によって温度分布が把握できる透過画像データに対して、火格子上廃棄物52と燃焼部52Aとを抽出した画像データを抽出画像データとしても良い。
【0057】
学習に用いる透過画像データ、境界画像データ、および抽出画像データの数は、例えばそれぞれ、100以上が好ましい。燃焼状態学習モデル44bを生成する際の入出力データセットとしては、学習用入力パラメータとして透過画像データまたは境界画像データが用いられ、学習用出力パラメータとして抽出画像データが用いられる。制御部41の学習部413は、上述した学習用入力パラメータおよび学習用出力パラメータを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いたディープラーニングなどの機械学習によって、燃焼状態学習モデル44bを生成する。制御部41は、学習部413により学習された内容に基づいて、透過画像データまたは境界画像データから抽出画像データを生成する。また、学習部413は、入力された透過画像データまたは境界画像データ、および作業者が境界を修正したり描画したりすることで得られた抽出画像データを用いて、燃焼状態学習モデル44bを適宜更新する。」
(ウ)「【0071】
次に、ステップST7に移行して制御部41の燃焼判定部412は、火格子上廃棄物52の層の高さ(以下、廃棄物層高さH)を算出する。具体的に、燃焼判定装置40の燃焼判定部412は、境界線532における段差壁13と火格子上廃棄物52との境界部分に基づいて、火格子上廃棄物52の高さ(以下、廃棄物層高さH)を算出する。ここで、図6および図7に示すように、境界線532における段差壁13と火格子上廃棄物52との境界部分は凹凸状である。算出部としての燃焼判定部412は、境界画像データにおいて確定している火格子4と段差壁13との交差部分から、境界線532によって得られる火格子上廃棄物52の上部までの高さhを幅方向に対して平均化させることにより、廃棄物層高さHを算出する。
【0072】
なお、境界画像データや抽出画像データにおいて、境界線532と、火格子4と段差壁13との交差部分とによって挟まれた火格子上廃棄物52の面積を導出し、導出した面積を定数である炉1の横幅(図7中、左右の幅)で除して平均化させることで、廃棄物層高さHを算出しても良い。算出された廃棄物層高さHは、火格子4上に供給された廃棄物50(火格子上廃棄物52)に対応する物理量となる。制御部41は、算出した火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHの情報を燃焼制御装置30に送信する。燃焼制御装置30の制御部31は、受信した廃棄物層高さHの情報を記憶部32に格納する。
【0073】
次に、ステップST8に移行して燃焼判定部412は、燃焼量の測定装置として機能して、火格子上廃棄物52における燃焼量を算出する。すなわち、図7に示すように、抽出画像データにおいて、火格子上廃棄物52の燃焼温度が所定温度以上の領域が境界線532bによって囲まれて燃焼部52Aとして抽出されている(図7中、白抜き部)。ここで抽出画像データにおいては、例えば画像の画素ごとに燃焼温度に対応した輝度が設定されている。なお、画素の代わりに,燃焼部53Aを複数の所定のメッシュに分割して、それぞれのメッシュ(計算格子)ごとに燃焼温度に対応した輝度が設定されていても良い。また、輝度の代わりに温度の計測値の情報を画素やメッシュに関連付けたメタ情報として抽出画像データに埋め込んでも良い。
【0074】
図9は、本発明の一実施形態による情報処理方法を説明するための焼却炉の燃焼部分を模式的に示す図である。図9に示すように、炉1内においては、廃棄物供給装置3の移動に対応して供給前廃棄物51が火格子4上に落下する。火格子4においては、廃棄物50の移動方向の上流側から下流側に沿って、主に、廃棄物50を乾燥させる乾燥段、廃棄物50を燃焼させる燃焼段、および燃焼が終了した廃棄物50の燃焼灰を搬送する後燃焼段が設けられる。この場合、通常、火格子上廃棄物52の燃焼温度は燃焼段の部分で最も高温になり、図9中斜線で示す部分が燃焼部52Aの燃焼量VFに相当する。この点に関して本発明者は鋭意検討を行い、火格子上廃棄物52の燃焼量VFは、燃焼部52Aの面積、燃焼部52Aの最高温度、または燃焼部52Aの温度積算値に比例することを想到した。すなわち、燃焼判定部412が、透過画像データや境界画像データに対して熱画像処理を行うことによって、抽出画像データを生成し、燃焼部52Aにおける、面積、最高温度、または温度積算値を算出することにより、燃焼量VFを定義できる。換言すると、抽出画像データにおいて抽出された燃焼部52Aの面積、最高温度、または温度積算値によって、火格子上廃棄物52の燃焼量VFを把握できる。制御部41は、算出した燃焼部52Aにおける、面積の情報、最高温度の情報、および温度積算値の情報の少なくとも1つの情報を燃焼量VFの情報として燃焼制御装置30に送信する。燃焼制御装置30の制御部31は、受信した燃焼量VFの情報を記憶部32に格納する。
【0075】
次に、図8に示すステップST9に移行して燃焼判定部412は、燃焼点の位置測定装置として機能して、燃焼点Fの位置測定方法を実行する。すなわち、火格子上廃棄物52と火格子4との境界線53cは、廃棄物50の具体的な燃焼点となる。通常、廃棄物50の具体的な燃焼点は、凹凸状である。そこで、燃焼判定部412は、図7に示すように、抽出画像データにおいて描画されている境界線532bにおける火格子4と燃焼部52Aとの境界を炉1の幅方向に平均化させる。換言すると、燃焼判定部412は、抽出画像データに描画された境界線532bに基づいて、廃棄物50(火格子上廃棄物52)の燃焼点Fが、火格子4の移動方向に沿った線上のどの位置に平均的に存在するかを算出する。これにより、燃焼判定装置40は、火格子4上における廃棄物50の燃焼点Fを導出できる。制御部41は、導出した廃棄物50の燃焼点Fの位置情報を燃焼制御装置30に送信する。燃焼制御装置30の制御部31は、受信した燃焼点Fの位置情報を記憶部32に格納する。以上のステップST7,ST8,ST9は、上述した順序に限定されず、並行して行っても、逆順に行っても、任意の順序で行っても良い。
【0076】
次に、図8に示すステップST10に移行して燃焼制御装置30の制御部31は、炉1の構造に対応してあらかじめ導出されている、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼点Fとの適切な関係となる所定範囲である基準燃焼点領域を記憶部32から読み出す。図10は、本発明の一実施形態による燃焼制御方法に用いられる燃焼点Fと廃棄物層高さHとの間における基準燃焼点領域を示すグラフである。
【0077】
図10に示すように、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼点Fとの間には適切な関係が存在し、その領域を本明細書では基準燃焼点領域という。基準燃焼点領域のデータは記憶部32に格納されている。制御部31は、記憶部32に格納された図10に示す基準燃焼点領域の情報を読み出す。一方、制御部31は、燃焼判定装置40から取得した廃棄物層高さHおよび燃焼点Fの位置情報を記憶部32から読み出す。制御部31は、読み出した廃棄物層高さHおよび燃焼点Fの位置情報と、図10に示す基準燃焼点領域とを比較する。図10に示す例では、燃焼判定装置40から送信された廃棄物層高さHと燃焼点Fとの関係が、グラフ上で例えば計測点P11の位置に存在していたり、計測点P12の位置に存在していたりする。計測点P11は、廃棄物層高さHに対して燃焼点Fが下流側、すなわち撮像部26側に位置していることを表す。計測点P12は、廃棄物層高さHに対して燃焼点Fが上流側、すなわち段差壁13側に位置していることを表す。
【0078】
次に、図8に示すステップST11に移行して制御部31は、炉1の構造に対応してあらかじめ導出されている、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼量VFとの適切な関係となる所定範囲である基準燃焼量領域を記憶部32から読み出す。図11は、本発明の一実施形態による燃焼制御方法に用いられる燃焼量VFと廃棄物層高さHとの間における基準燃焼量領域を示すグラフである。
【0079】
図11に示すように、火格子上廃棄物52の廃棄物層高さHと燃焼量VFとの間には適切な関係が存在し、その領域を本明細書では基準燃焼量領域という。一方、制御部31は、燃焼判定装置40から取得した廃棄物層高さHおよび燃焼量VFの情報を記憶部32から読み出す。制御部31は、読み出した廃棄物層高さHおよび燃焼量VFの情報と、図11に示す基準燃焼量領域とを比較する。図11に示す例では、燃焼判定装置40から送信された廃棄物層高さHと燃焼量VFとの関係が、グラフ上で例えば計測点P21の位置に存在していたり、計測点P22の位置に存在していたりする。計測点P21は、廃棄物層高さHに対して燃焼量VFが大きく、燃焼量VFが過剰であることを表す。同様に、計測点P22は、廃棄物層高さHに対して燃焼量VFが小さく、燃焼量VFが不足していることを表す。以上のステップST10,ST11は、上述した順序に限定されず、並行して行っても、逆順で行っても良い。
【0080】
次に、図8に示すステップST12に移行して制御部31は、燃焼判定装置40から送信された廃棄物層高さH、燃焼点Fの位置情報、および燃焼量VFの情報に基づいて、火格子上廃棄物52の燃焼状態が適切になるよう燃焼制御方法を実行する。すなわち、制御部31は、取得した情報に基づいて、上述した燃焼制御装置30における制御パラメータを補正して、廃棄物供給装置送り速度(給塵速度)や火格子送り速度(火格子速度)、必要に応じて燃焼用空気量や二次空気量(送風量)や燃焼空気温度を調整することにより、炉1を制御する。具体的に、燃焼点Fの位置情報に基づいた制御の例を表1に示す。」
(エ) 図10「
[図:0001425737000005.jpg]
」
(オ) 図11「
[図:0001425737000006.jpg]
」
(カ)段落【0076】、【0077】及び【0080】の記載、並びに図10の図示事項から、廃棄物層高さと燃焼点を、廃棄物層高さと燃焼点を座標軸とするグラフ上にマッピングすることにより、燃焼状態を判定することが理解できる。
(キ)段落【0078】-【0080】の記載、及び図11の図示事項から、廃棄物層高さと燃焼量を、廃棄物層高さと燃焼量を座標軸とするグラフ上にマッピングすることにより、燃焼状態を判定することが理解できる。
上記によれば、甲7には、次の技術事項(以下、「甲7に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲7に記載の技術事項〕
「撮像部26が撮像した透過画像データ、又は前記透過画像データを機械学習した境界識別学習モデル44aから出力される境界画像データを機械学習した燃焼状態学習モデル44bから出力される抽出画像データを用いて算出された廃棄物層高さ、燃焼量、及び燃焼点を、廃棄物層高さと燃焼点を座標軸とするグラフ及び廃棄物層高さと燃焼量を座標軸とするグラフ上にマッピングすることにより、燃焼状態を判定すること。」
キ 甲8
甲8には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0009】図1及び図4に示すように、前記焼却処理帯5の下流側後壁部に、前記燃焼帯Mにおける燃焼火炎を撮影入力する撮像手段20としてのカラーCCDカメラを設け、その撮像手段20による入力画像データから前記燃焼帯Mにおける燃焼中のゴミの質を推定するマイクロコンピュータ利用の画像処理手段21を設けてゴミ質推定装置を構成してある。画像処理手段21は、図1に示すように、撮像手段20から入力された画像データを赤(R)緑(G)青(B)の色成分に分解してメモリに格納し、緑(G)成分の画像データから火炎領域を抽出する第一演算手段C1と、前記第一演算手段C1により抽出された火炎領域における青(B)成分と緑(G)成分の強度比を演算導出して、その値から高温領域の面積を抽出する第二演算手段C2と、前記第一演算手段C1により抽出された炎領域の面積と前記第二演算手段C2により抽出された高温領域の面積とから前記燃焼帯Mで焼却処理されているゴミの質を推定する第三演算手段C3とからなる。」
上記によれば、甲8には、次の技術事項(以下、「甲8に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲8に記載の技術事項〕
「カラーCCDカメラによる入力画像データから燃焼中のゴミの質を推定すること。」
ク 甲9
甲9には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0008】そこで、本発明は上記問題点を解決するためのものであってその目的とするところは、火炉内燃焼に関係ある多数の計器からの情報を取り込み客観的判断基準に基づいて燃焼状態を連続監視する機能を具備することにより、運転技術者の精神的、肉体的負担を軽減し、いかなるレベルの運転技術者でも、容易に安定な燃焼状態で運転をすることができる燃焼監視装置を提供することにある。」
(イ)「【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の第1実施例に係るボイラプラントの燃焼監視装置の具体的構成を示すブロック図である。図において、1は燃焼監視装置全体で、火炉内燃焼を火炎イメージセンサとカラーカメラからなる火炎検出器で捕らえた火炎映像信号Xを画像処理部2で取り込む。画像処理部2では上記火炎映像信号Xを画像処理し、火炎画像データ(火炎輝度、火炎透明度、火炎温度)2aを16ビット・ディジタルデータとして一定周期で出力する。」
上記によれば、甲9には、次の技術事項(以下、「甲9に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲9に記載の技術事項〕
「火炉内燃焼を火炎イメージセンサとカラーカメラからなる火炎検出器で捕らえた火炎映像信号Xを用いて燃焼状態を連続監視すること。」
ケ 甲10
甲10には、以下の事項が記載されている。
(ア)「燃焼状態診断装置は、該燃焼室(2)の燃焼状態データを出力するニューラルネットワーク(21)と、該ニューラルネットーク(21)の出力を入力として該燃焼室(2)の燃焼傾向データを出力するエキスパートシステム(30)とで構成してある。
詳述すると、第2図に示すように、該ニューラルネットワーク(21)は、所定単位のメモリーで構成された複数のニューロン(22a)でなる入力層(22)と、該入力層(22)からの出力データを所定の重みで関連付けて中間出力する同じく複数のニューロン(23a)でなる中間層(23)と、該中間層(23)からの出力を所定の重みで関連付けて該燃焼室(2)の燃焼状態データとしての“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”を出力する二つのニューロン(24a)でなる出力層(24)と、入力されたプロセスデータを中間層から出力層へ所定の重みをもって乗加算する演算装置(論理素子やマイクロコンピュータ)で構成してある。
該入力層(22)には、ゴミの燃焼状況を監視する撮像手段(15)としての産業用テレビカメラ(ITV)の画像情報である燃焼帯火炎等や、プッシャ速度、ストーカ速度、炉出口温度等各種センサの出力情報、該燃焼制御装置(20)による制御出力でなるプロセスデータを0から100の範囲で正視化したものであって過去10分間の平均値が1分毎に入力される。
該出力層(24)から出力される“ゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”は、0.0から1.0の範囲の数値で表され、“良好(0.0から0.2)”、“兆候(0.4から0.6)”、“発生(0.7から1.0)”といった具合に評価される。」(第3ページ左欄第15行ー第42行)
(イ)「第2図
[図:0001425737000007.jpg]
」
上記によれば、甲10には、次の技術事項(以下、「甲10に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲10に記載の技術事項〕
「燃焼状態診断装置において、産業用テレビカメラ(ITV)の画像情報である燃焼帯火炎等が入力される入力層(22)、該入力層(22)からの出力データを所定の重みで関連付けて中間出力する中間層(23)、及びゴミ切れ指数”、“ゴミ山盛り指数”を出力する二つのニューロン(24a)でなる出力層(24)で構成されるニューラルネットワーク(21)を用いること。」
(2) 理由1についての当審の判断
ア 本件発明1と甲1発明Aとの対比・判断
本件発明1と甲1発明Aとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Aの「工業用カメラによる」は、本件発明1における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Aの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する焼却炉1内の画像データであるから、本件発明1の「焼却炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。また、甲1発明Aの「ごみ厚みと燃え切り点」は、燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明1の「第1評価軸」に相当する。
さらに、甲1発明Aの「計測量を得る」は、本件発明1の「評価する」に相当し、同様に「計測装置1a」は「第1画像解析部」に相当する。
そうすると、甲1発明Aの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得る計測装置1a」と、本件発明1の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行う第1画像解析部」の限りにおいて一致する。
甲1発明Aの「現在の燃焼状態を評価する燃焼状態評価部2a」は、本件発明1における「現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部」に相当する。
甲1発明Aの「運転支援装置」は、本件発明1における「情報処理装置」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明Aとは、次の一致点で一致し、相違点1で相違する。
〔一致点〕
「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行う第1画像解析部と、
現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。」
〔相違点1〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明1では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行」い、「第2画像解析部」で「第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行」い、「前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Aでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
上記相違点1について検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚みと燃え切り点」以外の事象を評価軸としたグラフ上にマッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Aは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから、甲1発明Aに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点1に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点1に係る事項は、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。
よって、本件発明1は、甲1発明A及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2-9について
本件発明1は、上記アのとおり、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件発明1の発明特定事項をすべて含む本件発明2-9も、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本件発明10と甲1発明Aとの対比・判断
本件発明10と甲1発明Aとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Aの「工業用カメラによる」は、本件発明10における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Aの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する焼却炉1内の画像データであるから、本件発明10の「焼却炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。
また、甲1発明Aの「ごみ厚みと燃え切り点」は、ともに燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明10の「2つ以上の第1評価軸の各々」に相当する。
また、甲1発明Aの「計測量を得る」は、本件発明10の「評価を行う」に相当し、同様に、「計測装置1a」は、「第1画像解析部」に相当する。
そうすると、甲1発明Aの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得る計測装置1a」と、本件発明10の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行う第1画像解析部」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行う第1画像解析部」の限りにおいて一致する。
甲1発明Aの「現在の燃焼状態を評価する燃焼状態評価部2a」は、本件発明10における「現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部」に相当する。
甲1発明Aの「運転支援装置」は、本件発明10における「情報処理装置」に相当する。
よって、本件発明10と甲1発明Aとは、次の一致点で一致し、相違点2で相違する。
〔一致点〕
「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行う第1画像解析部と、
現在の燃焼状態を判定する燃焼状態判定部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。」
〔相違点2〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明10では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行」い、「2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Aでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の各々の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
上記相違点2について検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚み」及び「燃え切り点」を評価軸としたグラフ上に、マッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Aは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから、甲1発明Aに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点2に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点2に係る事項は、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。
よって、本件発明10は、甲1発明A及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件発明11-21について
本件発明10は、上記ウのとおり、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件発明10の発明特定事項をすべて含む本件発明11-21も、本件発明10と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
オ 本件発明22と甲1発明Bとの対比・判断
本件発明22と甲1発明Bとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Bの「情報処理方法」と、本件発明22の「コンピュータが実行する情報処理方法」とは、「情報処理方法」の限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「工業用カメラによる」は、本件発明22における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Bの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する焼却炉1内の画像データであるから、本件発明22の「焼却炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。
また、甲1発明Bの「ごみ厚みと燃え切り点」は、燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明22の「第1評価軸」に相当する。
さらに、甲1発明Bの「計測量を得る」は、本件発明22の「評価を行う」に相当する。
そうすると、甲1発明Bの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点での評価を得るステップ」と、本件発明22の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップ」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行うステップ」である限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「現在の燃焼状態を評価するステップ」は、本件発明22における「現在の燃焼状態を判定するステップ」に相当する。
よって、本件発明22と甲1発明Bとは、次の一致点で一致し、相違点3-4で相違する。
〔一致点〕
「情報処理方法であって、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行うステップと、
現在の燃焼状態を判定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。」
〔相違点3〕
「情報処理方法」について、本件発明22においては、「コンピュータが実行する」のに対し、甲1発明Bにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点4〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明22では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行」い、「第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行」い、「前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Bでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
事案に鑑み、相違点4から検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚みと燃え切り点」以外の事象を評価軸としたグラフ上に、マッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Bは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから、甲1発明Bに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点4に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点4に係る事項は、当業者が容易に想到したものであるとはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明22は、甲1発明B及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ 本件発明23と甲1発明Bとの対比・判断
本件発明23と甲1発明Bとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Bの「情報処理方法」と、本件発明23の「コンピュータが実行する情報処理方法」とは、「情報処理方法」の限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「工業用カメラによる」は、本件発明23における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Bの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する燃焼炉1内の画像データであるから、本件発明23の「燃焼炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。
また、甲1発明Bの「ごみ厚みと燃え切り点」は、ともに燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明23の「2つ以上の第1評価軸の各々」に相当する。
さらに、甲1発明Bの「計測量を得る」は、本件発明23の「評価を行う」に相当する。
そうすると、甲1発明Bの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の評価を行うステップ」と、本件発明23の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行うステップ」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行うステップ」である限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「現在の燃焼状態を評価するステップ」は、本件発明23における「現在の燃焼状態を判定するステップ」に相当する。
よって、本件発明10と甲1発明Bとは、次の一致点で一致し、相違点5-6で相違する。
〔一致点〕
「情報処理方法であって、
第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行うステップと、
現在の燃焼状態を判定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。」
〔相違点5〕
「情報処理方法」について、本件発明23においては、「コンピュータが実行する」のに対し、甲1発明Bにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点6〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明23では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸の各々での評価を行」い、「2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Bでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
事案に鑑み、相違点6から検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚み」及び「燃え切り点」を評価軸としたグラフ上に、マッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Bは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから、甲1発明Bに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点6に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点6に係る事項は、当業者が容易に想到したものであるとはいえない。
よって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明23は、甲1発明B及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
キ 本件発明24と甲1発明Cとの対比・判断
本件発明24と甲1発明Cとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Cの「工業用カメラによる」は、本件発明24における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Cの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する燃焼炉1内の画像データであるから、本件発明24の「燃焼炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。
また、甲1発明Cの「ごみ厚みと燃え切り点」は、燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明24の「第1評価軸」に相当する。
さらに、甲1発明Cの「計測量を得る」は、本件発明24の「評価を行う」に相当する。
そうすると、甲1発明Cの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点での計測量を得るステップ」と、本件発明24の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行うステップ」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行うステップ」である限りにおいて一致する。
甲1発明Cの「現在の燃焼状態を評価するステップ」は、本件発明24における「現在の燃焼状態を判定するステップ」に相当する。
甲1発明Cの「情報処理」と、本件発明24における「コンピュータに」「実行させることを特徴とする情報処理プログラム」とは、「情報処理」である限りにおいて一致する。
よって、本件発明24と甲1発明Cとは、次の一致点で一致し、相違点7-8で相違する。
〔一致点〕
「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として第1評価軸での評価を行うステップと、
現在の燃焼状態を判定するステップと、
からなる情報処理。」
〔相違点7〕
「情報処理」について、本件発明24においては、「コンピュータに」「実行させる」「プログラム」であるのに対し、甲1発明Cにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点8〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明24では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第1評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として前記第1評価軸での評価を行」い、「第2撮像装置で撮像した焼却炉内の第2撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる少なくとも1つの第2評価軸における分類ラベルが付与されることにより生成された第2教師データを機械学習した第2学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第2撮像データを入力として前記第2評価軸での評価を行」い、「前記第1評価軸および第2評価軸の各々での評価結果を、前記第1評価軸および第2評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Cでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
事案に鑑み、相違点8から検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚みと燃え切り点」以外の事象を評価軸としたグラフ上に、マッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Cは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから、甲1発明Cに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点8に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点8に係る事項は、当業者が容易に想到したものであるとはいえない。
よって、相違点7について検討するまでもなく、本件発明24は、甲1発明C及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ク 本件発明25と甲1発明Cとの対比・判断
本件発明25と甲1発明Cとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Cの「工業用カメラによる」は、本件発明25における「第1撮像装置で撮像した」に相当する。
そして、甲1発明Cの「炉内画像データ」は、現在の燃焼状態を評価する燃焼炉1内の画像データであるから、本件発明25の「燃焼炉内の新たな第1撮像データ」に相当する。
また、甲1発明Cの「ごみ厚みと燃え切り点」は、ともに燃焼状態を判断する要素であるから、本件発明25の「2つ以上の第1評価軸の各々」に相当する。
さらに、甲1発明Cの「計測量を得る」は、本件発明25の「評価を行う」に相当する。
そうすると、甲1発明Cの「工業用カメラによる炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得るステップ」と、本件発明25の「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行うステップ」とは、「第1撮像装置で撮像した」「焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行うステップ」である限りにおいて一致する。
甲1発明Cの「現在の燃焼状態を評価するステップ」は、本件発明25における「現在の燃焼状態を判定するステップ」に相当する。
甲1発明Cの「情報処理」と、本件発明24における「コンピュータに」「実行させることを特徴とする情報処理プログラム」とは、「情報処理」である限りにおいて一致する。
よって、本件発明25と甲1発明Cとは、次の一致点で一致し、相違点9-10で相違する。
〔一致点〕
「第1撮像装置で撮像した焼却炉内の新たな撮像データを入力として2つ以上の第1評価軸の各々での評価を行うステップと、
現在の燃焼状態を判定するステップと、
からなる情報処理。」
〔相違点9〕
「情報処理」について、本件発明25においては、「コンピュータに」「実行させる」「プログラム」であるのに対し、甲1発明Cにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点10〕
「現在の燃焼状態を判定」するに際し、本件発明25では、「焼却炉内の第1撮像データに対して、燃焼状態を判断する要素となる2つ以上の第1評価軸の各々における分類ラベルが付与されることにより生成された第1教師データを機械学習した第1学習済みモデルを用いて、焼却炉内の新たな第1撮像データを入力として2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価を行」い、「2つ以上の前記第1評価軸の各々での評価結果を、2つ以上の前記第1評価軸を座標軸とする予め定められた燃焼状態判定マップ上へマッピングする」のに対し、甲1発明Cでは、「炉内画像データを入力としてごみ厚みと燃え切り点の計測量を得」て、「蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、炉内画像データを取り込み、ファジィルールに従い、燃焼状態リスト各々における適合度を算出する」点。
事案に鑑み、相違点10から検討する。
甲1には、蒸発量、炉内各温度、排ガス濃度、ごみ厚み及び燃え切り点について、各計測量における事象の適合度の積を用いることで、現在の燃焼状態を判定することが記載されている(段落【0025】-【0030】を参照)。そして、甲1において、各計測量における事象の適合度を求めるに際し、炉内画像データから得られるごみ厚み及び燃え切り点の計測量を、「ごみ厚み」及び「燃え切り点」を評価軸としたグラフ上に、マッピングする必要はない。
そうすると、甲1発明Cは、マッピングに係る技術事項を開示する甲7に記載の技術事項を適用しなくても、現在の燃焼状態を判定することができるものであるから甲1発明Cに、甲7に記載の技術事項を適用する動機付けは認められない。
そして、甲2-6、8-10に記載の技術事項は、上記相違点10に係る事項について開示も示唆もしないから、上記相違点10に係る事項は、当業者が容易に想到したものであるとはいえない。
よって、相違点9について検討するまでもなく、本件発明25は、甲1発明C及び甲2-10に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1-25に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に、本件特許の請求項1-25に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700511