特許異議申立
2024-700506
樹脂部材およびシステムキッチン
- 審判番号
- 2024-700506
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-061847
- 登録番号
- 7389560
- 請求日
- 2024年05月30日
- 審決日
- 2024年10月02日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】クリナップ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 【異議申立人】山▲崎▼ 浩一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 河本 充雄
- 審判官 後藤 政博
- 分類
- P1651.113-Y (C04B) / P1651.121-Y (C04B) / P1651.536-Y (C04B) / P1651.537-Y (C04B) / P1651.55 -Y (C04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7389560号発明「樹脂部材およびシステムキッチン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7389560号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7389560号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成31年3月27日に出願され、令和5年11月21日にその特許権の設定登録がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~6に係る特許に対し、令和6年5月30日に特許異議申立人 山崎 浩一郎(当審注:名字の「崎」は、原文では「たつさき」である。以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
樹脂の母材に骨材を分散させた樹脂部材であって、
表面に凹凸形状が形成されていて、
前記骨材は前記樹脂部材より硬質であり、
前記骨材の内部まで前記母材と同色に着色されていることを特徴とする樹脂部材。
【請求項2】
前記骨材の粒径は平均300μmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部材。
【請求項3】
前記骨材同士の間隔は140μm以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項4】
前記凹凸形状は、形状が不規則な岩肌調であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂部材。
【請求項5】
前記骨材は、前記樹脂部材の全体に均一に分散されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂部材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂部材を天板もしくはシンク、またはその両方に備えたシステムキッチン。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第3号証(以下、「甲1」~「甲3」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
1 申立理由1(新規性)
本件請求項1~5に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2 申立理由2(進歩性)
本件請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び周知技術(甲2、甲3)に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 申立理由3(明確性要件)
本件請求項1~6に係る発明は、明確でないから、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
4 申立理由4(サポート要件)
本件請求項1、3~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、請求項1、3~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
5 申立理由5(実施可能要件)
発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件請求項1~6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
6 申立理由6(新規事項の追加)
令和5年10月11日提出の手続補正書でした補正は、本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。
[証拠方法]
甲1:特開平5-294696号公報
甲2:特開2008-264072号公報
甲3:特開2006-169831号公報
第4 申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)について
1 甲1(特開平5-294696号公報)に記載された発明
甲1の記載によれば、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる(当審注:括弧内は根拠となる引用文献1の段落番号等である。)。
「30乃至70メッシュの大きさの天然石等の細粒成分と微粒成分の和が製品の92重量%以上、樹脂成分が8重量%以下、の構成であり、各成分が均一に組成されており、天然石等の細粒成分が表面に露出しており、(【請求項1】)
製品の表面に凹凸が設けられており、凹凸を持つ表面において細粒成分が露出している高密度人造石であって、(【請求項5】)
細粒成分は、岡山県新見町産石英系天然石を粉砕し、篩い分けして得た50メッシュの細粒であり、樹脂成分は不飽和ポリエステルであり、(【0025】)
完全な大理石調の乳白色と艶をもち、内部や表面に気泡が存在せず、各面に表れた組成は均一である、(【0026】)
高密度人造石。」
なお、甲2、甲3については、本件発明6に対する周知技術として提示された文献であるから摘記を省略する。
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「高密度人造石」は、「30乃至70メッシュの大きさの天然石等の細粒成分と微粒成分の和が製品の92重量%以上、樹脂成分が8重量%以下、の構成であり、各成分が均一に組成されており」、「細粒は、岡山県新見町産石英系天然石を粉砕し、篩い分けして得た50メッシュの細粒であり、樹脂は不飽和ポリエステル」であるから、「樹脂成分」及び「石英系天然石」からなる「細粒成分」を含有する部材であるといえる
そうすると、甲1発明の「細粒成分」、「樹脂成分」は、それぞれ、本件発明1の「骨材」、「樹脂部材」に相当し、本件発明1と甲1発明とは、「樹脂」及び「骨材」を含有する「部材」である点で共通する。
しかし、甲1発明の「高密度人造石」において、「樹脂成分」は「8重量%以下」であるから、「石英系天然石」からなる「細粒成分」は、「樹脂成分」の母材に分散しているとはいえない。
イ 甲1発明は、「製品の表面に凹凸が設けられて」いるから、表面に凹凸形状が形成されているといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「表面に凹凸形状が形成されてい」る点で共通する。
ウ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「樹脂及び骨材を含有する部材であって、
表面に凹凸形状が形成されている部材。」
<相違点>
相違点1:樹脂及び骨材を含有する部材が、本件発明1では、「樹脂の母材に骨材を分散させた樹脂部材」であるのに対し、甲1発明では、「天然石等の細粒成分と微粒成分の和が製品の92重量%以上、樹脂成分が8重量%以下、の構成であ」る「高密度人造石」である点。
相違点2:本件発明1は、「前記骨材は前記樹脂部材より硬質であ」るのに対し、甲1発明は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
相違点3:本件発明1は、「前記骨材の内部まで前記母材と同色に着色されている」であるのに対し、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点1について検討するに、上記(1)アで検討したとおり、甲1発明の「高密度人造石」において、「樹脂成分」は「8重量%以下」であるから、「石英系天然石」からなる「細粒成分」は、「樹脂成分」の母材に分散しているとはいえない。
したがって、相違点1は実質的な相違点である。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではない。
イ 甲1発明の「30乃至70メッシュの大きさの天然石等の細粒成分と微粒成分の和が製品の92重量%以上、樹脂成分が8重量%以下、の構成であ」る「高密度人造石」は、甲1の【0008】に、「本発明においては、得られた人造石において樹脂成分を極力少なくすることにより、得られた人造石の樹脂製品的傾向を排除し、使用した原料石に近い高密度なものとするかに注力した。」と記載されているものであるから、甲1発明の「高密度人造石」において、樹脂成分の含有量を「8重量%以下」から「母材」となる量まで増やして「樹脂部材」とすることには阻害要因がある。
また、甲2には「アクリル系人工大理石、ポリエステル系人工大理石」(【0014】)、甲3には「人工大理石」(【請求項5】等)との用語が記載されているものの、これらの記載(周知技術)が、甲1発明の「高密度人造石」において、樹脂成分の含有量を「8重量%以下」から「母材」となる量まで増やして「樹脂部材」とする動機とはならない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得るものであるとはいえない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術(甲2、甲3)に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)小括
以上から、本件発明1は、甲1発明ではないし、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術(甲2、甲3)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明ではないし、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術(甲2、甲3)に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由1及び申立理由2には理由がない。
第5 申立理由3(明確性要件)について
1 申立人は、特許異議申立書の20ページ1~24行において、請求項1の「前記骨材の内部まで前記母材と同色に着色されている」ことについて、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)には、例えば、どの程度の色差のものまでが「同色」であるかといった説明が何ら記載されていないため、本件発明における「同色」の定義が不明確であり、ここで、特許権者は、令和5年10月11日提出の手続補正書によって、骨材の色を「母材と近似した色」から「母材と同色」に補正し、同日提出の審判請求書において、進歩性及び明確性に係る拒絶理由が解消した旨主張していることから、本件発明において、「同色」が「近似」とは異なるものを意味しているというべきであり、一方で、特許権者は、同審判請求書において、『「同色」とは、同じ色のことであり、人(当業者)が肉眼で同じ色と認識できる色、すなわち、色の違いが把握できない色を意味するものであります。』と主張しているが、当業者、すなわち、システムキッチンの天板等に用いられる樹脂部材に係る本件発明の属する技術の分野(本件明細書【0001】参照。)における通常の知識を有する者は、色彩に関する専門家ではなく、仮に色彩に関する専門家であったとしても、「肉眼で同じ色と認識できる色、すなわち、色の違いが把握できない色」は、個人により異なるから、特許権者のいう「同色」には、ある程度の範囲の色が含まるものであり、実質的には「近似した色」と何ら変わりはなく、そして、本件明細書には、母材と近似した色についても、何らの説明もないから、審判請求書における特許権者の上記主張を加味したとしても、「同色」の定義は明確でないから、本件発明1~6は明確でない旨主張している。
しかし、特許権者が審判請求書において説明するとおり「同色」とは、同じ色のことであり、人(当業者)が肉眼で同じ色と認識できる色、すなわち、色の違いが把握できない色を意味するものであり、第三者が、肉眼で同じ色と認識すれば同色であるといえ、また、肉眼で異なる色と認識すれば同色でないといえるから、請求項1に記載の「同色」は明確であって、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
2 申立人は、特許異議申立書の21ページ6~15行において、請求項4に記載されている「前記凹凸形状は、形状が不規則な岩肌調である」について、本件明細書の【0019】には、「岩肌調とは、不規則な曲面で構成されており、不規則とは山谷の高さ、間隔、曲率が不規則であることを意味している。」と記載されており、岩肌調は、不規則な曲面で構成された表面である旨定義されているが、この岩肌調が不規則であるとはどのような形状を意味するかを当業者が理解することは困難であり、また、「不規則」との表現は、定性的であって、不規則な岩肌調と不規則でない岩肌調との境界が明確でなく、請求項4を引用する請求項5、6についても同様であるから、本件発明4~6は明確でない旨主張している。
しかし、本件明細書の【0019】に記載されているとおり、「岩肌調」とは、不規則な曲面で構成されていることを意味するものであり、また、「不規則」とは山谷の高さ、間隔、曲率が不規則であることを意味するものであるから、請求項4に記載の「不規則な岩肌調」は明確である。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由3には理由がない。
第6 申立理由4(サポート要件)について
1 申立人は、特許異議申立書の21ページ17行~22ページ下から7行において、本件発明の課題は、人工大理石のような樹脂製の部材における傷の目立ちを防ぎ、高い美観を長期間維持することが可能な樹脂部材を提供することであり(【0006】)、本件発明は、骨材を芯まで着色することで、無着色部分の露出を防ぎ、上記課題を解決しているところ、本件明細書には、骨材の着色に関し、「粒径が大きすぎると骨材154の芯まで着色が浸透せず、骨材154が削れた際に無着色部分が露出してしまうことが考えられる。しかしながら、骨材154の粒径を500μm以下とすることにより、骨材154を内部まで十分に着色することができる。」との記載がある(【0029】)ものの、請求項1においては、骨材の粒径が特定されておらず、あらゆる粒径のものを含んでいるため、本件発明1における骨材には、粒径が大きいために内部まで着色が浸透していないものも含まれ、すなわち、請求項1には、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、請求項1を引用する請求項3~6についても同様であるから、本件特許は、特許請求の範囲がサポート要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨主張している。
しかし、請求項1に記載されているとおり、「骨材」は、「内部まで前記母材と同色に着色されている」ものであるから、本件発明1には、「骨材」の内部まで着色が浸透していないものは含まれない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
2 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1、3~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由4には理由がない。
第7 申立理由5(実施可能要件)について
1 申立人は、特許異議申立書の22ページ下から5行~23ページ最下行において、本件明細書には、骨材の着色に関し、「粒径が大きすぎると骨材154の芯まで着色が浸透せず、骨材154が削れた際に無着色部分が露出してしまうことが考えられる。しかしながら、骨材154の粒径を500μm以下とすることにより、骨材154を内部まで十分に着色することができる。」との記載がある(【0029】)が、請求項1においては、骨材の粒径が特定されておらず、粒径が500μmを超える態様も含まれ、また、骨材の粒径が500μm以下であったとしても、硬質な骨材の外部から内部まで色が浸透することは、当業者が一般に正しいものとして認識している科学的又は技術的事実と反し、例えば、本件明細書には、骨材の例としてシリカが挙げられているが(【0020】)、粒径500μmのシリカの内部まで色を浸透させる技術は、本件特許出願時には知られていないから、硬質な骨材の内部まで着色を浸透させるためには、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑高度な実験等をする必要があり、当業者がどのように本件発明を実施するかを理解できるとはいえず、請求項2では、骨材の粒径は平均300μmであることが特定されているが、骨材の粒径が平均300μmであっても同様であり、また、請求項1、2を引用する請求項3~6についても同様であるから、本件特許は、発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨主張している。
しかし、骨材に着色するに際し、例えば、時間をかければかけるほど、その内部に色が浸透していくことは、当業者にとって自明の事項であるから、着色の条件を適宜調整することによって、骨材の内部にまで十分に着色することができるといえる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
2 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由5には理由がない。
第8 申立理由6(新規事項の追加)について
1 申立人は、特許異議申立書の24ページ2行~下から2行において、請求項1における「前記骨材の内部まで前記母材と同色に着色されている」との記載は、令和5年10月11日提出の手続補正書によって、「前記骨材の内部まで前記母材と近似した色に着色されている」との記載を補正したものである(以下、「本件補正」という。)ところ、特許権者は、本件補正について、手続補正書と同日提出の審判請求書において、「補正後請求項1に係る補正は、本願明細書の段落[0008]における「近似した色(同系色)」の記載に基づき、「近似した色」との記載を、「同系色」よりもさらに限定した「同色」に補正しました。本願明細書の段落[0008]では、「骨材が母材と近似した色(同系色)に着色されていることにより、露出した骨材が目立つことがない。」ことが記載されています。そして、「同系色」は、「同色」と「その系統色」とが組み合わされた言葉であって、「同色」及び「その系統色」を意味することは当業者ならずとも当然に把握できます。」と説明しているが、本件明細書の【0008】中、「同系色」は「近似した色」の直後の括弧内に記載されており、近似した色の同義語であるところ、「近似」は近く似通ったことを意味するものであって、「同一」の意味はなく、また、「同系統」は、元が同じで、そこから分かれた同一の系列、系統のことであって、大本が同一であるにすぎず、「同一」の意味はなく、そして、本件明細書等の記載から、「近似した色」に「同色」が含まれることが自明な事項であるということもできず、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項の要件を満たさない補正がされた特許出願に対してされたものである旨主張している。
しかし、本件明細書の【0008】の「骨材が母材と近似した色(同系色)に着色されていることにより、露出した骨材が目立つことがない。」との記載から、骨材は、母材との色の違いを目立たないようにするために着色するものであって、骨材と母材が同色であれば、骨材が目立たないことは明らかであるから、本件補正は、本件明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
2 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由6には理由がない。
第9 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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