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特許異議申立

2024-700213

画像判定装置、画像判定方法、および、プログラム

審判番号
2024-700213
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-049440
登録番号
7340484
請求日
2024年03月06日
審決日
2025年02月25日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
  • 【権利者代理人】三好 秀和
  • 【権利者代理人】高橋 俊一
  • 【権利者代理人】伊藤 正和
  • 【異議申立人】五十嵐 千代子
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 宣博
  • 審判官 木方 庸輔
  • 審判官 千葉 輝久
分類
P1651.121-YAA(G06T)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7340484号発明「画像判定装置、画像判定方法、および、プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7340484号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~7〕、8、9について訂正することを認める。 特許第7340484号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7340484号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和2年3月19日の出願であって、令和5年8月30日にその特許権の設定登録がされ、令和5年9月7日に特許掲載公報が発行されたものである。 令和6年3月6日に特許異議申立人五十嵐千代子により請求項1~9に係る特許に対して本件特許異議の申立て(証拠:甲第1号証~甲第4号証)がされた。 令和6年5月30日付けで取消理由が通知され、令和6年7月22日に特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、令和6年9月3日に特許異議申立人により意見書(証拠:甲第5号証)が提出された。 さらに、令和6年9月27日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和6年11月29日に特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、令和7年1月17日に特許異議申立人により意見書(証拠:甲第6号証~甲第8号証)が提出された。 第2 令和6年11月29日の訂正請求による訂正の適否 1 一群の請求項1~7の訂正について (1)訂正の内容 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力し、前記画像の情報量を削減する画像削減部と、」と記載されているのを、「移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部と、」に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載の画像判定装置であって、前記時系列順の画像から同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部を有し、前記第2検出部は、前記対象選択部が選択した対象物を分類することを特徴とする画像判定装置。」と記載されているのを、「移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置であって、移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部と、情報量を削減した画像から対象物を検出する第1検出部と、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部と、前記対象選択部が選択した前記対象物の位置に対応する部分画像を情報量を削減する前の画像から得る画像抽出部と、前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部を有し、前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類することを特徴とする画像判定装置。」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3~7も同様に訂正する。) ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2に記載の画像判定装置であって、」と記載されているのを、「請求項2に記載の画像判定装置であって、」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4~7も同様に訂正する。) エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1ないし3のいずれかに記載の画像判定装置であって、」と記載されているのを、「請求項2または3に記載の画像判定装置であって、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5~7も同様に訂正する。) オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1ないし5のいずれかに記載の画像判定装置であって、」と記載されているのを、「請求項2ないし5のいずれかに記載の画像判定装置であって、」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。) カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1ないし6のいずれかに記載の画像判定装置であって、」と記載されているのを、「請求項2ないし6のいずれかに記載の画像判定装置であって、」に訂正する。 (2)訂正の適否 ア 訂正事項1 訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0022】の「実時間画像判定装置100は、カメラ111で撮影した画像を入力とする。」との記載事項、段落【0024】の「画像削減部112は、入力された画像を縮小して情報量を削減する。」との記載事項、段落【0044】の「カメラ111はその時点での画像を撮影しており、実時間画像判定装置100は、当該画像を入力とする(ステップS1)。」との記載事項に基づいて、請求項1の「画像を入力し、前記画像の情報量を削減する画像削減部」に「画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する」との限定を付加するものである。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、請求項2について、請求項1を引用する記載であったものを、請求項1を引用しない独立形式の記載とし、さらに、願書に添付した明細書の段落【0024】の「画像削減部112は、入力された画像を縮小して情報量を削減する。」との記載事項に基づいて、請求項2の「前記画像の情報量を削減する画像削減部」に「前記画像を縮小して情報量を削減する」との限定を付加し、段落【0049】の「対象選択部114は、図5のフローチャートの手順により、前記得られた矩形の座標から対象物の同一性を判定し、後段の処理対象とすべき物体のみを選択する。」との記載事項、【0050】の「すなわち、対象選択部114は、前記得られた矩形の座標の並びに対し、X座標が画像全体の一定範囲に全部もしくは一部が存在するような矩形のみを選別する(ステップS41)。もし、並びが空集合となった場合には、選択対象なしとしてサブルーチンを終了する(ステップS42)。」との記載事項、【0060】の「そして、ステップS44では、一つの対象物に対して一回のみ後続の処理を行わせることを意図している。車が走行すると道路の左側にある対象物は画像においてより左へと流れていくから、図7の第1範囲にある間は一度だけ処理すればよく、「処理済み」フラグによって二度目の処理を行わないことにより達成する。」との記載事項、【0089】の「例えば、対象選択部114は、複数の画像および座標位置情報を記憶できる一時記憶領域を具備し、ステップS41によって選択した矩形の座標の並びのうち一番右にある矩形の座標に対し、当該座標並びに対応する画像を前記一時記憶領域に記憶するとともに、対象選択処理の複数回の実行によって当該座標が右から左に変化することを前記一時記憶領域の記憶内容から判定し、一時記憶領域の記憶内容のうちで最も中央に座標が位置する画像を、対象選択処理における選択対象として、サブルーチンを終了する構成としてもよい。」との記載事項に基づいて、請求項2の「前記時系列順の画像から同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部」に「前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する」との限定を付加するものである。 したがって、訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、請求項3について、請求項1または2を引用する記載であったものを、請求項2のみを引用する記載にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、請求項4について、請求項1ないし3を引用する記載であったものを、請求項2または3を引用する記載にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、請求項6について、請求項1ないし5を引用する記載であったものを、請求項2ないし5を引用する記載にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ 訂正事項6 訂正事項6は、請求項7について、請求項1ないし6を引用する記載であったものを、請求項2ないし6を引用する記載にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)小括 以上のとおり、一群の請求項1~7の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。また、請求項1に係る訂正は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めにより、別の訂正単位とする。 よって、訂正後の請求項1、〔2~7〕について訂正することを認める。 2 請求項8の訂正について (1)訂正の内容 特許請求の範囲の請求項8に「移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力するステップと、前記画像の情報量を削減するステップと、」と記載されているのを、「移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力するステップと、前記画像を縮小して情報量を削減するステップと、」に訂正する。 (2)訂正の適否 請求項8の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0022】、【0024】、【0044】に記載した事項に基づいて、請求項8の「画像を入力するステップ」、「画像の情報量を削減するステップ」に限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)小括 以上のとおり、請求項8の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、訂正後の請求項8について訂正することを認める。 3 請求項9の訂正について (1)訂正の内容 特許請求の範囲の請求項9に「移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力する処理と、前記画像の情報量を削減する処理と、」と記載されているのを、「移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力する処理と、前記画像を縮小して情報量を削減する処理と、」に訂正する。 (2)訂正の適否 請求項9の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0022】、【0024】、【0044】に記載した事項に基づいて、請求項9の「画像を入力する処理」、「画像の情報量を削減する処理」に限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)小括 以上のとおり、請求項9の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、訂正後の請求項9について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明9」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置であって、 移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部と、 情報量を削減した画像から対象物を検出する第1検出部と、 検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を情報量を削減する前の画像から得る画像抽出部と、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部を有し、 前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項2】 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置であって、 移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部と、 情報量を削減した画像から対象物を検出する第1検出部と、 前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部と、 前記対象選択部が選択した前記対象物の位置に対応する部分画像を情報量を削減する前の画像から得る画像抽出部と、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部を有し、 前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項3】 請求項2に記載の画像判定装置であって、 前記第2検出部の分類結果を通知する通知部を有すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項4】 請求項2または3に記載の画像判定装置であって、 前記第2検出部の分類結果を記憶する結果記憶部と、 前記結果記憶部に記憶した分類結果を表示する結果表示部を有すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項5】 請求項4に記載の画像判定装置であって、 前記結果記憶部は、前記分類結果に前記対象物の位置の情報もしくは位置を得るための情報を付与して記憶し、 前記結果表示部は、前記分類結果および前記分類結果の位置情報を用いて、地図上に前記分類結果に応じた態様で前記対象物を表示すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項6】 請求項2ないし5のいずれかに記載の画像判定装置であって、 前記対象物は、電力線、通信線、交通信号機、および交通標識のうち少なくともいずれか1つ以上を設置する構造物であり、 前記第2検出部は、前記構造物に、営巣、表面のひび割れ、コンクリートの剥がれ、鉄筋の露出、金属のサビ、および浮遊物の付着のうち少なくともいずれか1つ以上が存在するか否かを分類すること を特徴とする画像判定装置。 【請求項7】 請求項2ないし6のいずれかに記載の画像判定装置であって、 前記第1検出部の処理と前記第2検出部の処理は繰り返して実行されること を特徴とする画像判定装置。 【請求項8】 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定方法であって、 コンピュータが実行する、 移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力するステップと、 前記画像を縮小して情報量を削減するステップと、 情報量を削減した画像から対象物を検出するステップと、 検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を情報量を削減する前の画像から得るステップと、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類するステップを有し、 前記対象物を検出するステップは、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記対象物を分類するステップは、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とする画像判定方法。 【請求項9】 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、 前記コンピュータに、 移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力する処理と、 前記画像を縮小して情報量を削減する処理と、 情報量を削減した画像から対象物を検出する処理と、 検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を情報量を削減する前の画像から得る処理と、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類する処理を実行させ、 前記対象物を検出する処理は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記対象物を分類する処理は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とするプログラム。 第4 特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人が申立てた特許異議申立ての理由(以下、「申立理由」という。)の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)請求項1-9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 請求項1、8、9 甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証 請求項2~7 甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証 記 甲第1号証:特開2018-107759号公報 甲第2号証:特開2018-74757号公報 甲第3号証:NTT西日本、 NTT西日本研究開発センタにおけるAIを用いたデータ解析の取り組み、NTT技術ジャーナル、2017年4月、第29巻、第4号、pp.46~49 甲第4号証:特開2020-4293号公報 第5 証拠について 1 甲第1号証 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。 「【0001】 本開示は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理システムに関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記のように画像の一部の領域を特定する技術においては、当該領域の特定に係る処理量を抑制することが望まれていた。」 「【発明の効果】 【0008】 以上説明したように本開示によれば、注目領域の特定に係る処理量を抑制することが可能である。」 「【0021】 図1に示した画像処理装置において、学習・認識部612が画像読出し部611から出力される画像をそのまま用いて機械学習、及び認識処理を行うと、画像読出し部611が有する画素の数によっては処理量が膨大となってしまう場合がある。そのため、学習・認識部612は、例えば画像読出し部611から出力された画像を縮小した縮小画像を、縮小に係るパラメータを変更しながら生成(所謂ピラミッド画像生成)し、縮小画像に対して機械学習や認識処理を行うことが考えられる。」 「【0027】 しかし、画像処理装置62とサーバ72との間のネットワーク通信に係る遅延が発生するため、例えばリアルタイムに認識処理を行うことは依然として困難であった。そこで、図3に示すように、機械学習を行う機能はサーバに残しつつ、機械学習により得られた認識器を用いた認識処理は画像処理装置で行うことも考えられる。図3は、本実施形態の他の比較例の構成を示す説明図である。」 「【0032】 上記の構成により、認識処理はネットワーク通信に伴う遅延の影響を受けず、画像処理装置63はより高速に認識処理を行うことが可能となり得る。ただし、それでもなお、認識処理に係る処理量は大きいため、例えば上述した縮小画像の生成が必要となり得る。しかし、縮小画像を生成するための縮小処理が発生するため、より処理量を削減する余地があった。また、縮小画像に写る被写体の領域は小さい場合があり、被写体に係る認識精度が低下する恐れがあった。 【0033】 そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態を創作するに至った。本実施形態によれば、画像読出し部から出力される低解像度画像から特定した注目領域の高解像度画像を画像読出し部から取得して認識処理を行うことで、処理量を抑制しつつ、認識精度を向上させることが可能となり得る。以下、このような効果を有する本開示の一実施形態の構成、及び動作について説明する。」 「【0035】 画像処理装置1は、イメージセンサによる撮像機能を有し、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等であってもよいし、スマートフォンやPC(Personal Computer)等であってもよい。画像処理装置1は、例えば撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識処理を行う。また、画像処理装置1は、撮像により得られる画像から検出される注目領域(ROI、Region of Interest)の画像をサーバ7へ送信する。なお、画像処理装置1の詳細な構成については後述する。」 「【0038】 (画像処理装置の構成) 以上、本実施形態に係る画像処理システム1000の全体構成について説明した。つづいて、画像処理装置1の詳細な構成について説明する。画像処理装置1は、図4に示すように画像読出し部10、第1の信号処理部101、第2の信号処理部102、及び認識器記憶部103を備える。」 「【0040】 図5は、画像読出し部10の構成例を示す説明図である。図5に示すように例えば、画像読出し部10は、(半導体)基板である画素基板11と回路基板12を含む。なお、本実施形態において、画素基板11と回路基板12とは積層されている。 【0041】 図5に示すように、画素基板11は、光電変換を行い、画素信号を出力する複数の画素22が2次元のマトリクス状に配列された画素アレイ21を有する。また、画素アレイ21を構成する複数の画素22は、複数の画素からなる画素ブロック23に区分されている。図5に示す例では、画素アレイ21は、8×8画素ごとに1の画素ブロック23に区分されている。なお、本実施形態においては図5に示すように画素ブロック23を8×8画素の合計64画素で構成しているが、画素ブロック23を構成する画素22の数や形状は任意であり、8×8画素に限定されるものではない。 【0042】 また、図5に示すように、回路基板12は、画素基板11の画素ブロック23にそれぞれ対応する複数のADC32(AD変換部)が2次元のマトリクス状に配列されたADCアレイ31と、水平領域制御部33と、垂直領域制御部34と、出力部35とを有する。 【0043】 ADCアレイ31は、画素アレイ21が有する画素ブロック23と同一の数のADC32を有する。ADC32は、対応する画素ブロック23に属する複数の画素22から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換して(AD変換して)、デジタルの画素値を得る。なお、図5では回路基板12は、ADC32がアレイ状に配置されたADCアレイ31を有する例を示しているが、本技術は係る例に限定されず、画素ブロック23とADC32が1対1で対応していればADC32の配置はアレイ状でなくてもよい。例えば、ADC32はカラム状(短冊状)であってもよい。」 「【0046】 また、画像読出し部10は、低解像度画像を後述する第1の信号処理部101へ出力する。 【0047】 図6は、低解像度画像について説明するための模式図である。図6に示すように、ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行うことで、低解像度画像G11が得られる。なお、低解像度画像G11内の解像度(画素密度)を一定にするため、当該画素22aは、すべての画素ブロック23における同じ位置(図6に示す例では左上の位置)であることが望ましい。上述のようにして得られる低解像度画像は、画素アレイ21に含まれる画素の数よりも少ない画素数の画像であるため画像の出力や、後段の処理に係る時間が短縮され得る。また、上述したように画像読出し部10が有するADC32は画素ブロック23と対応付けられ、並列にAD変換を行うことが可能であるため、例えば順次水平に走査が行われる場合と比較してより高速に低解像度画像を得ることが可能である。」 「【0055】 また、画像読出し部10は、後述する第1の信号処理部101により特定される注目領域の画像(以下、注目領域画像とも呼称する)を後述する第2の信号処理部102へ出力する。また、注目領域画像は、不図示の通信部を介してサーバ7へも送信される。 【0056】 例えば、画像読出し部10は、第1の信号処理部101から、画像読出し部10における注目領域を指定する領域指定信号を受け取り、当該領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換を行って注目領域画像を出力してもよい。また、画像読出し部10は、第1の信号処理部101が、複数の注目領域を検出した場合、当該複数の注目領域に対応する複数の注目領域画像を出力し得る。」 「【0064】 図4に示す第1の信号処理部101は、画像読出し部10から図5を参照して説明した低解像度画像を受け取り、画像読出し部10における注目領域の特定(検出)を行う。また、第1の信号処理部101は、注目領域を指定する領域指定信号を画像読出し部10へ出力する。例えば、低解像度画像における注目領域が特定された場合、低解像度画像における注目領域内の画素値に対応する1または複数のADC32が、画像読出し部における注目領域として特定され得る。」 「【0068】 なお、第1の信号処理部101による注目領域の特定方法は上記の例に限定されない。例えば、被写体の形状、または被写体の色の一致度を用いて特定する方法や、複数枚の画像を用いた時系列的な処理により、前フレームで抽出した注目領域の場所の情報を用いても良いし、被写体の動きから特定する方法が採用されてもよい。また、第1の信号処理部101は、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、注目領域を特定してもよく、例えば被写体検出により検出される所定の種別の被写体(例えば人、顔、車両等)の写る領域を、注目領域として特定してもよい。」 「【0077】 第2の信号処理部102は、領域指定信号に基づいて画像読出し部10が出力する注目領域画像に対して認識処理を行う。第2の信号処理部102の認識処理が、画像読出し部10の有する全ての画素に基づく画像ではなく、注目領域画像に対して行われることにより、処理量が抑えられる。また、注目領域画像は、低解像度画像よりも解像度(画像密度)が高く、例えば、全ての画素に基づく画像と同等の解像度を有するため、縮小画像を用いて認識処理を行う場合よりも高精度に認識処理を行うことが可能となる。」 「【0080】 また、第1の信号処理部101が所定の種別の被写体を検出して、検出された被写体の領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、当該被写体のより詳細な情報や、属性等を認識する処理であってもよい。例えば、第1の信号処理部101が人(人物)を検出し、人物領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、人物を識別(例えば名前やIDとの対応付け)処理であってもよい。また、第1の信号処理部101が人の顔を検出し、顔領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理であってもよい。」 「【0082】 また、第2の信号処理部102は、認識器記憶部103に記憶された認識器を用いて、認識処理を行ってもよい。当該認識器は、上述したように、サーバ7が行う注目領域画像に基づく機械学習により得られる。なお、サーバ7が行う機械学習の手法は特に限定されないが、例えばCNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法であってもよく、係る場合、機械学習により得られる認識器はニューラルネットワークであってもよい。 【0083】 なお、第2の信号処理部102が認識処理を行って得られた認識結果は、例えば画像処理装置1が有する表示部(不図示)に表示されてもよいし、不図示の他の装置へ出力されてもよい。」 「【0085】 <3.動作> 以上、本実施形態の構成例について説明した。続いて、本実施形態に係る動作例について、図9、図10を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る画像処理装置1による認識に係る動作を示すフローチャート図である。」 「【0090】 以上、画像処理装置1による認識に係る動作を説明したが、図9に示した動作は一例であって本実施形態は係る例に限定されない。また、図9に示したステップS102~S114の処理は適宜(例えば撮像が行われる毎に)繰り返し行われてもよい。」 「【0119】 <6.応用例> 本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。」 「【0124】 車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。」 「【0139】 以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031、マイクロコンピュータ12051に適用され得る。例えば、図4に示した画像処理装置1は撮像部12031、またはマイクロコンピュータ12051に適用することが可能である。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することより、例えば撮像画像からより高速、かつ高精度に歩行者や標識、ナンバープレート等の認識処理を行うことが可能となる。」 2 甲第2号証 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 「【0059】 異常箇所画像データ40bは、情報処理装置10及びドローン14を用いて、実際に被点検物に対する巡視点検をすることより取得された異常箇所の実画像データである。異常箇所画像データ40bは、ドローン14により撮影された画像データから、異常箇所であること及び異常種類が作業員等によって確認された画像データが用いられる。」 「【0127】 ここで、異常種類を表す画像であると判定された場合(ステップD3、Yes)、異常箇所検出部21cは、異常種類に相当する画像(異常画像)と判定された画像データ(異常箇所画像データ)を切り出すと共に、異常箇所画像データに対応する位置データを取得する。なお、異常箇所検出部21cは、何れの異常種類に対応する学習モデルをもとに異常と検出されたか、すなわち何れの異常種類の以上箇所であるかを示す異常種類データを記憶する。例えば、検査対象項目選択画面70において、アーク痕ボタン72が選択されている場合、素線切れ、炭付着、光沢の各カテゴリに対応する学習モデルを用いて異常箇所の判定が実行されており、素線切れに対応する学習モデルにより異常箇所と判定された場合に、「素線切れ」を示す異常種類データを記憶する。 【0128】 異常箇所検出部21cは、異常箇所検出処理により異常箇所が検出されると異常箇所のデータを異常箇所記憶部21gに記憶させる(ステップD5)。異常箇所のデータには、例えば異常箇所画像データ、異常箇所画像データに対応する位置データ(及び時刻)、異常種類データ、異常箇所画像データを含む動画像データの範囲に対応する巡回/点検対象データ、動画像データに対応する巡回/点検ルートなどを含む。」 「【0131】 図27は、本実施形態における異常候補画像表示画面80の一例を示す図である。 異常候補画像表示画面80には、例えば異常箇所画像データをもとに異常箇所画像81(異常候補画像)と共に異常種類データが示す異常種類82が表示される。また、異常候補画像表示画面80には、異常箇所画像81に関係する参考情報83が表示される。参考情報83には、例えば巡回/点検ルートを示す「Point B-1」、撮影日時、位置データが示す検出位置(緯度、経度、高度)、巡回/点検対象データが示す被点検物「上部送電線」「上部」(送電線の上部からの撮影であることを示す)が含まれる。また、参考情報83には、マップボタン84が設けられている。マップボタン84が選択された場合、異常箇所表示部21fは、検出位置を含む地図(送電設備17の位置などを付加する)を表示させて、送電設備17の異常箇所が検出された位置を地図上で確認できるようにする。」 3 甲第3号証 「 [図:0001423474000001.jpg] [図:0001423474000002.jpg] [図:0001423474000003.jpg] [図:0001423474000004.jpg] [図:0001423474000005.jpg] 」 4 甲第4号証 甲第4号証には、次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、車載電子制御装置に関する。 【背景技術】 【0002】 自動車等の車両にはカメラが設置され、カメラで撮像された画像データに基づいて自動運転支援などを行う車載電子制御装置が普及している。」 「【0016】 図2は、走行する車両10から標識を認識する例を示す図である。標識は、速度規制や解除を示す本標識55、57と本標識55、57の条件を表す補助標識54、56から構成される。補助標識54、56は文字や矢印などの記号を含んでおり、文字認識を正確に行わないと判断できない。例えば、補助標識54と56において、普通車がどちらに属するかを判定するには、“大貨等・三輪けん引を除く”を正確に認識できなければならない。このため、遠距離での正確な文字認識が、高解像度の4Kカメラや8Kカメラが必要となる理由の一つとなっている。 【0017】 補助標識54、56の文字認識の判定には高解像度の画像が必要だが、山やガードレールなど背景部分は高解像度が必要なわけではない。そこで、詳細認識向けの高解像度の限定領域の画像と、画面全体の情報として解像度を下げた低解像度の全体画像か、フレームレートを下げた高解像度の全体画像のいずれかにする。これにより、常に通常フレームレートで、高解像度の全体画像のデータ伝送量に比べて、データ伝送量を削減することができる。 【0018】 図2に示すように、走行している車両10に搭載されているレーダ4が時刻Tにおいて、距離d1[m]、角度θ1の方向で何らかの遠方立体物を検知したとする。車両10は、自車速Y[km/h]で進むので、カメラ3は、時刻T+ΔTで、角度φ1、または距離d2[m]の位置で遠方立体物を捉えられると予測される。その為、カメラ3に事前にT+ΔTの時刻に、角度φ1、または距離d2[m]の画像を切り出すよう制御部2からカメラ3に要求を出しておくと、カメラ3はT+ΔTの時刻になったときに、全体画像と該当の部分画像のみを切出した高解像度画像とを制御部2に転送する。ここで図2では角度φ1と記載しているが、カメラ3と図面上の座標系が異なる場合は、カメラ3の座標系に合わせた角度でカメラ3に通知する必要がある。制御部2内では、例えば、DNN(Deep Neural Network)を含む認識部41があり、そこに高解像度の部分画像を入力し、文字認識を行う。 【0019】 このように制御部2に入力されるレーダ4などの他センサの情報を用いて、カメラ3の画像の切出し位置を指定するので、例えば、カメラ3よりも検知距離の長いレーダ4で、カメラ3では検知できない距離、時点の情報を利用し、制御部2からカメラ3に通知しておくことで、カメラ3で有効な画像が取得できる時点で直ちに高解像度の部分画像の切り出しを行うことができる。」 5 甲第5号証 令和6年9月3日に特許異議申立人により意見書とともに提出された甲第5号証(特開2010-252276号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0044】 なお、特徴領域特定部203は、特願2008-078641号に記載された方法で特徴領域を検出してよい。例えば、特徴領域特定部203は、オブジェクト検出対象の撮像画像を所定比率で間引くことにより、または当該所定比率で段階的に間引くことより、撮像画像と一枚以上の間引画像とを含む画像群を生成する。そして、特徴領域特定部203は、生成された画像群のうちの相対的に小さい第1の画像に、第1のフィルタを作用させて、評価値を算出する。ここで、第1のフィルタは、画像上の二次元的に広がる領域に作用することで、当該領域内に特定種類のオブジェクトが存在する確率を表わす評価値を生成する。また、第1のフィルタは、画像上の領域の広さに対応する画素数が所定比率で異なる、または当該所定比率で段階的に異なる、複数の広さの領域にそれぞれ作用する複数のフィルタを含むフィルタ群のうちの、相対的に狭い領域に作用するフィルタであってよい。複数の広さの領域とは、例えば、32×32画素の領域、16×16画素の領域、および、8×8画素の領域であってよい。特徴領域特定部203は、所定の第1の閾値を越える評価値が得られた一次候補領域を、第1の画像から抽出する。 【0045】 そして、特徴領域特定部203は、第1の画像よりも画素数が一段階多い第2の画像における一次候補領域に相当する領域に、フィルタ群のうちの第1のフィルタよりも一段階広い領域に作用する第2のフィルタを作用させて、評価値を算出する。そして、特徴領域特定部203は、所定の第2の閾値を越える評価値が得られる二次候補領域を抽出する。 【0046】 ここで、特徴領域特定部203は、上述の異なる広さの領域に作用する複数のフィルタを画像群のうちの対応する広さの領域に作用させて上記候補領域を抽出する抽出過程を繰り返していく。このとき、特徴領域特定部203は、相対的に狭い領域に作用するフィルタを作用させる抽出過程から、相対的に広い領域に作用するフィルタを作用させる抽出過程を、順次に繰り返していく。具体的には、特徴領域特定部203は、相対的に小さい画像に相対的に狭い領域に作用するフィルタを作用させる抽出過程から相対的に大きな画像に相対的に広い領域に作用するフィルタを作用させる抽出過程に向けて順次に繰り返す。そして、特徴領域特定部203は、2以上の抽出過程を繰り返して最終的に候補領域を抽出することにより、特定種類のオブジェクトを検出する。そして、特徴領域特定部203は、当該特定種類のオブジェクトが存在する領域を、特徴領域として検出する。このように、特徴領域特定部203は、後の抽出過程においては、直前の過程で抽出された領域に限定してフィルタを作用させる。このため、複数の各抽出過程において順次にオブジェクトの存在の有無が選別されていき、特徴領域をより高精度に検出することができる。また、小さいサイズの画像で特徴領域の粗ぶるいが行なわれるので、より高速に特徴領域を検出することができる。」 6 甲第6号証 令和7年1月17日に特許異議申立人により意見書とともに提出された甲第6号証(特開2013-9050号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0008】 本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は、全方位の撮像が可能な撮像装置が撮像した画像を高解像度画像として取得すると共に、該高解像度画像から解像度を低下させた画像を低解像度画像として取得する取得手段と、前記取得手段が取得した低解像度画像から、予め定められた被写体が写っている領域を被写体領域として検出する検出手段と、前記取得手段が取得した高解像度画像において、前記被写体領域に対応する領域を特定し、該特定した領域に対して、該領域内の被写体を認識する処理を行う認識手段と、前記認識手段による認識結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。」 「【0013】 全方位カメラ部101は、このような構成により撮像した各フレームの画像(広範囲画像)を順次出力すると共に、この撮像した画像より低解像度の画像を出力する機能を有する。すなわち、全方位カメラ部101は、全方位の撮像が可能な撮像装置であって、撮像した画像を高解像度画像として出力すると共に、該高解像度画像よりも低解像度の画像である低解像度画像を出力する撮像装置である。 【0014】 低解像度画像は、全方位カメラ部101が有する撮像素子群から適当な間隔(荒い間隔)で撮像素子を選択し、選択した撮像素子から画素を読みだすことで出力可能である。一方、高解像度画像は、全方位カメラ部101の有する全ての撮像素子から画素を読み出すことで出力可能である。低解像度画像の生成は、単純な画素間引きによってだけではなく、高解像度画像からバイリニア法などのアルゴリズムによっても可能である。これにより、例えば、全方位カメラ部101はm画素×n画素の解像度を有する高解像度画像を出力すると共に、(m/2)画素×(n/2)画素の解像度を有する低解像度画像を出力することができる。そのため、全方位カメラ部101は、高解像度画像を出力する間隔よりも短い間隔で低解像度画像を出力することになる。」 7 甲第7号証 令和7年1月17日に特許異議申立人により意見書とともに提出された甲第7号証(特開2018-69845号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0060】 警戒対象検出部27は、自車両の後方において移動する物体を警戒対象として検出する。本例の警戒対象検出部27は、撮影画像に基づいて警戒対象を検出する。例えば、警戒対象検出部27は、前述の移動検出部23と同様に、時間的に前後する撮影画像において、同一の被写体を表示している部分を抽出し、各表示位置の関係に基づいて移動ベクトルを求め、路面と異なる移動ベクトルを有する物体を警戒対象と検出する。」 8 甲第8号証 令和7年1月17日に特許異議申立人により意見書とともに提出された甲第8号証(特開2015-138319号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0040】 例えば、動きベクトル検出部22により図3に示される検出結果が得られた場合、領域検出部24aは、図5に示されるように、同じ大きさおよび方向の動きベクトルを有する複数の画素によって形成される一塊の領域70を、物体の領域として検出する。図5において、検出された物体の領域70は、実際に物体が写っている領域53と概ね一致しているが、輪郭がずれている。」 「【0053】 次に、物体検出装置20は、ステップS1で検知された自車の走行状態と、ステップS7で検出された物体領域の位置と、当該物体領域内のステップS3で検出された動きベクトルとから、当該物体領域にある物体が自車の障害物であるか否かを判定する(S8)。例えば、物体検出装置20は、物体領域にある物体の移動方向および速度と自車の移動方向および速度との関係から、衝突の危険があると判断した場合には、障害物であると判定する。また、物体領域の物体と自車とで移動方向および速度が等しく、物体と自車とが互いに平行に移動している場合にも、自車または物体の移動方向または速度が変化すれば、物体が自車の障害となる可能性があるので、障害物であると判定する。自車の移動方向と反対方向に移動している物体については、障害物でないと判定する。」 第6 当審の判断 1 甲1発明の認定 上記甲第1号証の記載事項(特に、下線部)によれば、次のことがいえる。 甲第1号証には、段落【0001】、【0035】によれば、撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識を行う画像処理装置1の発明が記載されている。 また、段落【0027】、【0119】、【0124】、【0139】によれば、画像処理装置1の上記認識は、移動中の撮像によりリアルタイムで行うものである。 したがって、甲第1号証には、 “移動中の撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識をリアルタイムで行う画像処理装置1” の発明が記載されている。 段落【0038】、【0040】、【0041】、【0042】、【0043】、【0047】、【0046】によれば、 “画像処理装置1は、画像読出し部10、第1の信号処理部101、第2の信号処理部102、及び認識器記憶部103を備え、 画像読出し部10は、画素基板11と回路基板12を含み、 画素基板11は、光電変換を行い、画素信号を出力する複数の画素22が2次元のマトリクス状に配列された画素アレイ21を有し、また、画素アレイ21を構成する複数の画素22は、複数の画素からなる(例えば、8×8画素ごとに1の)画素ブロック23に区分されており、 回路基板12は、画素基板11の画素ブロック23にそれぞれ対応する複数のADC32(AD変換部)が2次元のマトリクス状に配列されたADCアレイ31と、水平領域制御部33と、垂直領域制御部34と、出力部35とを有し、ADCアレイ31は、画素アレイ21が有する画素ブロック23と同一の数のADC32を有し、ADC32は、対応する画素ブロック23に属する複数の画素22から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換して、デジタルの画素値を得、ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行うことで、低解像度画像G11が得られ、 画像読出し部10は、低解像度画像を第1の信号処理部101へ出力するもの” である。 段落【0064】、【0068】によれば、 “第1の信号処理部101は、画像読出し部10から低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、画像読出し部10における注目領域の特定(検出)を行い、注目領域を指定する領域指定信号を画像読出し部10へ出力するもの” である。 段落【0055】、【0056】によれば、 “画像読出し部10は、第1の信号処理部101から、画像読出し部10における注目領域を指定する領域指定信号を受け取り、当該領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換を行って注目領域画像を第2の信号処理部102へ出力” する。 段落【0077】によれば、 “第2の信号処理部102は、領域指定信号に基づいて画像読出し部10が出力する注目領域画像に対して認識処理を行い、注目領域画像は、低解像度画像よりも解像度(画像密度)が高く、全ての画素に基づく画像と同等の解像度を有するため、縮小画像を用いて認識処理を行う場合よりも高精度に認識処理を行うことが可能” となる。 段落【0080】によれば、 “例えば、第1の信号処理部101が人の顔を検出し、顔領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理” である。 段落【0082】によれば、 “第2の信号処理部102は、CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器を用いて、認識処理を行うもの” である。 以上によれば、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、(a)~(k)の符号は、後の参照のために付したものである。 [甲1発明] (a)移動中の撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識をリアルタイムで行う画像処理装置1であって、 (b)画像処理装置1は、画像読出し部10、第1の信号処理部101、第2の信号処理部102、及び認識器記憶部103を備え、 (c)画像読出し部10は、画素基板11と回路基板12を含み、 (d)画素基板11は、光電変換を行い、画素信号を出力する複数の画素22が2次元のマトリクス状に配列された画素アレイ21を有し、また、画素アレイ21を構成する複数の画素22は、複数の画素からなる(例えば、8×8画素ごとに1の)画素ブロック23に区分されており、 (e)回路基板12は、画素基板11の画素ブロック23にそれぞれ対応する複数のADC32(AD変換部)が2次元のマトリクス状に配列されたADCアレイ31と、水平領域制御部33と、垂直領域制御部34と、出力部35とを有し、ADCアレイ31は、画素アレイ21が有する画素ブロック23と同一の数のADC32を有し、ADC32は、対応する画素ブロック23に属する複数の画素22から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換して、デジタルの画素値を得、ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行うことで、低解像度画像G11が得られ、 (f)画像読出し部10は、低解像度画像を第1の信号処理部101へ出力するものであり、 (g)第1の信号処理部101は、画像読出し部10から低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、画像読出し部10における注目領域の特定(検出)を行い、注目領域を指定する領域指定信号を画像読出し部10へ出力するものであり、 (h)画像読出し部10は、第1の信号処理部101から、画像読出し部10における注目領域を指定する領域指定信号を受け取り、当該領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換を行って注目領域画像を第2の信号処理部102へ出力し、 (i)第2の信号処理部102は、領域指定信号に基づいて画像読出し部10が出力する注目領域画像に対して認識処理を行い、注目領域画像は、低解像度画像よりも解像度(画像密度)が高く、全ての画素に基づく画像と同等の解像度を有するため、縮小画像を用いて認識処理を行う場合よりも高精度に認識処理を行うことが可能となり、 (j)例えば、第1の信号処理部101が人の顔を検出し、顔領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理であり、 (k)第2の信号処理部102は、CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器を用いて、認識処理を行うものである、 (a)画像処理装置。 2 本件発明1について (1)本件発明1と甲1発明との対比 ア 画像判定装置 甲1発明は、「移動中の撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識をリアルタイムで行う画像処理装置1」(a)であり、この「撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識」は、「例えば、・・・人の顔を検出し、・・・性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理」(j)であるから、撮影した画像を判定する処理といえる。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置」である点で一致する。 イ 画像削減部 本件発明1は、「移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有するのに対し、甲1発明はそのような画像削減部を有していない点で両者は相違する。 ウ 第1検出部 甲1発明は、「第1の信号処理部101」(b)を備え、「第1の信号処理部101は、・・・低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、・・・注目領域の特定(検出)」(g)を行うものである。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「画像から対象物を検出する第1検出部」を有する点で共通する。 しかしながら、該第1検出部が、本件発明1では、「情報量を削減した画像」から対象物を検出するのに対し、甲1発明では、「ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行う」(e)ことで得られた「低解像度画像」(e)(g)から「注目領域の特定(検出)」(g)をする点で両者は相違する。 エ 画像抽出部 甲1発明は、「画像読出し部10」(b)を備え、「画像読出し部10は、第1の信号処理部101から、画像読出し部10における注目領域を指定する領域指定信号を受け取り、当該領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換を行って注目領域画像を第2の信号処理部102へ出力」(h)するものである。 甲1発明の「領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」を行った「注目領域画像」、「画像読出し部10」は、本件発明1の「検出した前記対象物の位置に対応する部分画像」、「画像抽出部」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を画像から得る画像抽出部」を有する点で共通する。 しかしながら、該画像抽出部が、本件発明1では、検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を「情報量を削減する前の画像」から得るのに対し、甲1発明では、「・・・注目領域を指定する領域指定信号・・・に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」(h)を行って注目領域画像を得る点で両者は相違する。 オ 第2検出部 甲1発明は、「第2の信号処理部102」(b)を備え、「第2の信号処理部102は、・・・注目領域画像に対して認識処理」(i)を行うものであり、「例えば、第1の信号処理部101が人の顔を検出し、顔領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理」(j)であるから、この「第2の信号処理部102」は、対象物を分類する処理を行うといえる。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部」を有する点で一致する。 カ 学習モデル 甲1発明では、「第1の信号処理部101は、画像読出し部10から低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、画像読出し部10における注目領域の特定(検出)」(g)を行うものである。また、「第2の信号処理部102は、CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器を用いて、認識処理を行うもの」(k)である。 この「第1の信号処理部101」における「機械学習に基づく被写体(物体)検出」は、被写体のアノテーションを含む教師データを用いて学習したモデルを用いて被写体(物体)検出を行うものであるのは明らかである。 また、「第2の信号処理部102」における「CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器」は、上述したように対象物を分類するものであるから、対象物を分類した教師データを用いて学習したモデルを用いて対象物を分類するものであるのは明らかである。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類する」点で一致する。 キ 一致点、相違点 以上をまとめると、本件発明1と甲1発明には、次の一致点、相違点があると認められる。 [一致点] 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置であって、 画像から対象物を検出する第1検出部と、 検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を画像から得る画像抽出部と、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部を有し、 前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とする画像判定装置。 [相違点] 本件発明1は、「移動する視点から撮影した時系列順の画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有し、「第1検出部」が、「情報量を削減した画像」から対象物を検出し、「画像抽出部」が、検出した前記対象物の位置に対応する部分画像を「情報量を削減する前の画像」から得るのに対し、甲1発明は、そのような画像削減部を有しておらず、「ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行う」(e)ことで得られた「低解像度画像」(e)(g)から「注目領域の特定(検出)」(g)をし、「・・・注目領域を指定する領域指定信号・・・に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」(h)を行って注目領域画像を得る点。 (2)相違点についての判断 甲1発明は、「画像処理装置1」(a)であって、「画像処理装置1は、画像読出し部10」(b)を備え、「画像読出し部10は、画素基板11と回路基板12」(c)を含み、「画素基板11は、光電変換を行い、画素信号を出力する複数の画素22」(d)を有し、「複数の画素22から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換して、デジタルの画素値」(e)を得るものである。 すなわち、甲1発明は、それ自体が画像を撮像してデジタル信号に変換する機能を有するカメラであって、これを外部のカメラ装置から入力した画像を処理する装置に変更する動機はない。外部のカメラ装置から入力した画像を処理する画像処理装置自体は、様々な場面で使用され、よく知られたものではあるが、そのことが甲1発明をそのように変更する動機とはならない。 したがって、仮に、甲1発明において、本件発明1でいう「画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有するようにすることが考えられたとしても、画像処理装置の内部で画像を縮小する構成が得られるだけであって、その上でさらに、「画像をカメラ装置から入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有するように変更することまでもが容易に想到し得るということはできない。 また、甲第1号証~甲第3号証及び追加された甲第5号証、甲第6号証の全ての記載を検討しても、本件発明1が、甲1発明に基いて上記相違点を克服して当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 3 本件発明2~7について (1)本件発明2と甲1発明との対比 ア 画像判定装置 甲1発明は、「移動中の撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識をリアルタイムで行う画像処理装置1」(a)であり、この「撮像により得られる画像に写る被写体に関する認識」は、「例えば、・・・人の顔を検出し、・・・性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理」(j)であるから、撮影した画像を判定する処理といえる。 したがって、本件発明2と甲1発明は、「移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置」である点で一致する。 イ 画像削減部 本件発明2は、「移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有するのに対し、甲1発明はそのような画像削減部を有していない点で両者は相違する。 ウ 第1検出部 甲1発明は、「第1の信号処理部101」(b)を備え、「第1の信号処理部101は、・・・低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、・・・注目領域の特定(検出)」(g)を行うものである。 したがって、本件発明2と甲1発明は、「画像から対象物を検出する第1検出部」を有する点で共通する。 しかしながら、該第1検出部が、本件発明2では、「情報量を削減した画像」から対象物を検出するのに対し、甲1発明では、「ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行う」(e)ことで得られた「低解像度画像」(e)(g)から「注目領域の特定(検出)」(g)をする点で両者は相違する。 エ 対象選択部 本件発明2は、「前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部」を有するのに対し、甲1発明はそのような対象選択部を有していない点で両者は相違する。 オ 画像抽出部 甲1発明は、「画像読出し部10」(b)を備え、「画像読出し部10は、第1の信号処理部101から、画像読出し部10における注目領域を指定する領域指定信号を受け取り、当該領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換を行って注目領域画像を第2の信号処理部102へ出力」(h)するものである。 甲1発明の「領域指定信号に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」を行った「注目領域画像」、「画像読出し部10」は、本件発明2の「前記対象物の位置に対応する部分画像」、「画像抽出部」に相当する。 したがって、本件発明2と甲1発明は、「前記対象物の位置に対応する部分画像を画像から得る画像抽出部」を有する点で共通する。 しかしながら、該画像抽出部が、本件発明2では、「前記対象選択部が選択した」前記対象物の位置に対応する部分画像を「情報量を削減する前の画像」から得るのに対し、甲1発明では、「・・・注目領域を指定する領域指定信号・・・に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」(h)を行って注目領域画像を得る点で両者は相違する。 カ 第2検出部 甲1発明は、「第2の信号処理部102」(b)を備え、「第2の信号処理部102は、・・・注目領域画像に対して認識処理」(i)を行うものであり、「例えば、第1の信号処理部101が人の顔を検出し、顔領域を注目領域として特定していた場合、第2の信号処理部102による認識処理は、性別、年齢、表情、感情等の属性を認識する処理」(j)であるから、この「第2の信号処理部102」は、対象物を分類する処理を行うといえる。 したがって、本件発明2と甲1発明は、「前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部」を有する点で一致する。 キ 学習モデル 甲1発明では、「第1の信号処理部101は、画像読出し部10から低解像度画像を受け取り、機械学習に基づく被写体(物体)検出により、画像読出し部10における注目領域の特定(検出)」(g)を行うものである。また、「第2の信号処理部102は、CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器を用いて、認識処理を行うもの」(k)である。 この「第1の信号処理部101」における「機械学習に基づく被写体(物体)検出」は、被写体のアノテーションを含む教師データを用いて学習したモデルを用いて被写体(物体)検出を行うものであるのは明らかである。 また、「第2の信号処理部102」における「CNN(Convolutional Neural Network)に基づく手法の機械学習により得られる認識器」は、上述したように対象物を分類するものであるから、対象物を分類した教師データを用いて学習したモデルを用いて対象物を分類するものであるのは明らかである。 したがって、本件発明2と甲1発明は、「前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類する」点で一致する。 ク 一致点、相違点 以上をまとめると、本件発明2と甲1発明には、次の一致点、相違点があると認められる。 [一致点] 移動しながら撮影した画像を実時間で判定する画像判定装置であって、 画像から対象物を検出する第1検出部と、 前記対象物の位置に対応する部分画像を画像から得る画像抽出部と、 前記部分画像を用いて前記対象物を分類する第2検出部を有し、 前記第1検出部は、画像に前記対象物のアノテーションを含む教師データを用いて学習した第1学習モデルを用いて前記対象物を検出し、 前記第2検出部は、前記対象物を分類した教師データを用いて学習した第2学習モデルを用いて前記対象物を分類すること を特徴とする画像判定装置。 [相違点] 相違点1 本件発明2は、「移動する視点から撮影した時系列順の画像を入力し、前記画像を縮小して情報量を削減する画像削減部」を有し、「第1検出部」が、「情報量を削減した画像」から対象物を検出し、「画像抽出部」が、前記対象物の位置に対応する部分画像を「情報量を削減する前の画像」から得るのに対し、甲1発明は、そのような画像削減部を有しておらず、「ADC32が画素ブロック23ごとに、1の画素22aについてのみAD変換を行う」(e)ことで得られた「低解像度画像」(e)(g)から「注目領域の特定(検出)」(g)をし、「・・・注目領域を指定する領域指定信号・・・に基づいて指定される画素ブロック23に含まれる画素に係るAD変換」(h)を行って注目領域画像を得る点。 相違点2 本件発明2は、「前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部」を有し、「画像抽出部」が、「前記対象選択部が選択した前記対象物」の位置に対応する部分画像を得るのに対し、甲1発明は、そのような対象選択部を有していない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて相違点2について先に検討する。 甲第4号証(上記下線部を参照)には、車両に設置されたカメラで撮像された画像データに基づいて、例えば走行する車両から標識を認識する場合に、時刻Tにおいて遠方立体物を検知し、T+ΔTの時刻に、画像を切り出すようカメラ3に要求を出しておいて、T+ΔTの時刻になったときに、全体画像と該当の部分画像のみを切出した高解像度画像から認識を行う技術、すなわち、動画から同一の対象物を1回のみ選択して選択した対象物の画像を認識する技術が記載されている。 しかしながら、甲第4号証には、本件発明2のような、画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する技術は記載ないし示唆はされておらず、自明ともいえない。 したがって、甲1発明において、甲第4号証に記載の技術を適用したとしても、本件発明2でいう「前記画像内の所定範囲内に対象物が存在しない場合は当該画像に対する処理を終了し、前記画像内の所定範囲内に対象物が存在する場合は、前記時系列順の画像において前記対象物の位置が同一方向に変化する前記対象物を同一の対象物と判定し、同一の前記対象物を1回のみ選択する対象選択部」を有するようにすることが容易に想到し得るということはできない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲第4号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 また、甲第1号証~甲第4号証及び追加された甲第5号証~甲第8号証の全ての記載を検討しても、本件発明2が、甲1発明に基いて上記相違点を克服して当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 さらに、本件発明3~7の請求項3~7の記載は、本件発明2の請求項2の記載を引用するものであって、本件発明3~7は、本件発明2の発明特定事項を全て含むものであるから、少なくとも甲1発明と上記相違点1、2で相違する。 よって、本件発明3~7は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 4 本件発明8、9について 本件発明8、9は、装置の発明である本件発明1の発明のカテゴリーを方法、プログラムとして捉えた発明であり、上記「2 本件発明1について」に記載したものと同様の対比・判断ができる。 よって、甲第1号証~甲第3号証及び追加された甲第5号証、甲第6号証の全ての記載を検討しても、本件発明8、9が、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては訂正後の本件請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~9に係る特許を取り消す理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700213

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