商標異議申立
2023-900178
スマートクスクラウド、スマートエックスクラウド、スマートクス、スマートエックス、スマート
- 審判番号
- 2023-900178
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-116817
- 登録番号
- 6702154
- 請求日
- 2023年08月02日
- 審決日
- 2024年04月25日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】北京志▲りん▼海納科技有限公司
- 【異議申立人】エヌ・ティ・ティ・コムウェア 株式会社
- 【異議申立人代理人】西澤 和純
- 【異議申立人代理人】眞島 竜一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 阿曾 裕樹
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1651.25 -Y (W42) / T1651.261-Y (W42) / T1651.262-Y (W42) / T1651.263-Y (W42) / T1651.271-Y (W42) / T1651.222-Y (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6702154号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6702154号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6702154号商標(以下「本件商標」という。)は、「smartxcloud」の欧文字を横書きしてなり、令和4年10月12日に登録出願、第42類「科学技術に関する研究,コンピュータ技術に関する助言,クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータソフトウェアの保守,コンピュータプログラムの変換及びコンピュータデータの変換(媒体からの変換でないもの),コンピュータシステムの分析,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),遠隔操作によるデータのバックアップ,ソフトウェア制作におけるコンピュータソフトウェアの開発,コンピュータデータの回復,コンピュータシステムの設計」を指定役務として、令和5年5月8日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとするものである。
(1)登録第5267543号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「SmartCloud」の欧文字と「スマートクラウド」の片仮名を2段に表してなるもの
指定商品及び指定役務 第9類、第35類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成21年2月24日
設定登録日 平成21年9月18日
(2)「SmartCloud」の欧文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)
(3)「スマートクラウド」の片仮名からなる商標(以下「引用商標3」という。)
なお、引用商標1に係る商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証及び刊行物1ないし刊行物513(以下「甲1~甲9」及び「刊1~刊513」のようにいう。)を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「smartxcloud」の構成からなり、本件商標の「x」を欧文字の「x」であるとすると、欧文字「t」の後ろに何ら母音を介さず、直接、欧文字「x」を配していることから、商標全体を自然に称呼することが困難であること、及び「Smart」と「Cloud」の文字は、日本国内において、一般に広く認識されており、日本人であれば、本件商標の構成文字中、「Smart」と「Cloud」が既成語であることは容易に看取し得ることを考慮すると、本件商標に接した需要者は、本件商標を商標全体として一連一体の商標と認識するというよりは、「smart」、「×(かける)」、「Cloud」の3つの組合せであると認識するのが自然である。
そして、商標を採択、表記する際には、2つの既成語の中間に「×(かける)」等の記号符号を配する構成はしばしば見受けられる態様であり、たとえ、本件商標の「x」が欧文字の「x」であるとしても、欧文字「x」が記号符号である「×(かける)」と外観上、相紛らわしいことも相まって、かかる態様の本件商標の要部は、「smart」と「cloud」であり、「スマートクラウド」の称呼が自然に生じるから、本件商標からは、「スマートクラウド」の称呼が生じるものと認定したうえで、類否判断を行うべきである。
また、特許情報プラットフォームにおいて、本件商標と構成が共通する「smartxcloud」(登録6688617号/甲3)の称呼(参考情報)に「スマートクラウド」が掲載されている。こうした特許情報プラットフォームの掲載内容は、特許庁の認識においても本件商標から無理なく「スマートクラウド」の称呼が生じることを示しているから、本件商標からは、「スマートクラウド」の称呼が生じる。
下記アのとおり、既成語の間に配された「×(かける)」等の記号符号以外の部分が要部であるとして、「○○×●●」からは「○○●●」に相応する称呼を生じると認定されている事例も見受けられる。
そして、本件商標は、不正の目的をもって、申立人の商標として需要者に広く認識されている「SmartCloud」をすべて小文字表記とし、意図的に商標全体に埋没しやすい位置である中間に「x」の文字又は「×(かける)」の記号符号を挿入することで、権利を取得することを図ったものと考えられる。
ア 不服2019-8715(甲4)
商標の構成中「Beauty × Ecology」の文字部分から、「ビューティーバイエコロジー」又は「ビューティーエコロジー」の称呼が生じるとした事例。
さらに、下記イのとおり、既成語の間に配された記号以外の部分が要部であるとして、「○○-(ハイフン)●●」と「○○&●●」は類似すると認定されている事例も見受けられる。
イ 不服2002-16884(甲5)
商標「HUG-HUG」と商標「hug&hug」
(2)引用商標の周知性について
引用商標は、引用商標の権利者である申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者に広く認識され、かつ、申立人が「SmartCloud」シリーズで多くの商品、サービスを提供していることから、共通する商品等分野において「スマートクラウド」の称呼が生じる商標を使用することは、申立人の商品等と出所を混同するおそれがある。
ア 「スマートクラウドメール」(刊25)
イ 「SmartCloudデスクトップ」(刊28)
ウ 「メール・サービス(SmartCloudメール)」「デスクトップ・サービス(SmartCloud Desktop)」「ICT基盤サービス(SmartCloud Resource Pool)」「データセンターサービス(SmartCloud Data Center)」(刊34)
エ 「SmartCloud仮想サーバー」(刊40)
オ 「SmartCloudデスクトップ」(刊45)
カ 「メール・サービス(SmartCloud メール)」「デスクトップ・サービス(SmartCloud Desktop)」「ICT基盤サービス(SmartCloud Resource Pool)」(刊49)
キ 「SmartCloud Phone」(刊361)
ク 「SmartCloud Devaas(R)2.0」(刊323)
さらに、申立人が引用商標を使用している「SmartCloud」シリーズの商品、サービスは、近年のリモートワークの普及により、急速に需要が高まっており、「SmartCloud」シリーズの一つである「Smart Cloud Phone」の売上高の推移をみても、2020年度には前年の2倍以上の3.4億円の売り上げを記録し、その後も2021年度4.2億円、2022年度は4.8億円と順調に売り上げを伸ばしている(甲6)。そして、近年の需要の高まりとともに、申立人の「SmartCloud」シリーズのホームページ閲覧数は、2022年4月1日から2023年3月31日に限ってみても、月平均7483ものページビュー数を記録している(甲7)から、引用商標は、申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者の認知度もさらに高まっている。
また、2023年6月21日~同月23日にビッグサイトにおいて開催された「第6回 ものづくり AI/IoT展」に申立人は引用商標に係るサービスを出展しており、申立人は、継続的に引用商標に係るサービスの宣伝を行っている(甲8)。
(3)指定商品及び指定役務について
本件商標の指定役務のすべてが、引用商標の指定役務中、第35類「コンピュータデータベースヘの情報構築・情報編集」、第42類「ウェブサイトヘのアクセス情報の分析・分析結果に関する情報の提供・分析結果に関するコンサルティング,コンピュータプログラムの設計・作成・導入・保守及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,コンピュータシステムの設計・構築・導入・運用・保守及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,ウェブサイトの設計・構築・導入・運用・保守及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,インターネットのホームページの設計・作成・導入・保守及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,通信ネットワークの設計・構築・導入・運用・保守及びこれらに関するコンサルティング・情報の提供,コンピュータプログラムのインストール・バージョンアッフ,コンピュータデータベースヘのアクセスタイムの賃貸,コンピュータデータの回復,コンピュータシステムの分析,コンピュータの貸与及びこれに関する情報の提供,インターネット用サーバの貸与(サーバの記憶装置の記憶領域の貸与を含む。),通信ネットワークに接続されたコンピュータの貸与(コンピュータの記憶装置の記憶領域の貸与を含む。),コンピュータサイトのホスティング,コンピュータプログラムの提供,電子計算機用データの暗号化」と類似する。
よって、本件商標は、引用商標の指定役務中、第42類において抵触する。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標1は、指定商品及び役務が抵触するものであり、かつ本件商標は、「スマートクラウド」の称呼が生じるから、引用商標1「SmartCloud/スマートクラウド」とは、称呼及び観念が共通することは明らかであり、また、外観上、本件商標と引用商標1は、中間における「x」の文字又は「×(かける)」の記号符号の有無の相違を有するものの、この相違点は、商標全体の中間における相違であることから、「x」の文字又は「×(かける)」の記号符号の有無といった相違は、商標全体に埋没しやすく、外観上も相紛らわしい印象は否めないから、本件商標と引用商標は類似する商標である。
さらに、引用商標1が需要者に広く認識され、かつ申立人が「SmartCloud」シリーズで多くの商品、サービス等を提供していることから、共通する取引分野において「スマートクラウド」の称呼が生じる商標を使用することは、申立人の商品等と出所を混同するおそれがあり、需要者の利益が害されることは明らかである。
また、前述のとおり、本件商標と構成が共通する「smartxcloud」(登録6688617号/甲3)の称呼(参考情報)に「スマートクラウド」が掲載されている。こうした特許情報プラットフォームの掲載内容は、特許庁の認識においても本件商標から無理なく「スマートクラウド」の称呼が生じることを示しているから、本件商標からは「スマートクラウド」の称呼が生じ、本件商標は引用商標1と称呼が共通する相紛らわしい類似する商標として拒絶されるべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者に広く認識され、かつ本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品及び役務に使用するものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者に広く認識されていることから、本件商標を使用する行為は、引用商標と称呼、観念が共通し、かつ外観が相紛らわしい商標を使用する行為に該当し、出所の混同が生じることは明らかであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者に広く認識されており、本件商標は引用商標と類似する商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、2010年7月から「SmartCloud」と称して、いわゆる「クラウドサービス」(以下「申立人役務」という。)の提供を開始したこと(刊20、刊21)、申立人役務には「スマートクラウドメール」「SmartCloud メール」(刊25、刊34、刊49)、「SmartCloud デスクトップ」「SmartCloud Desktop」(刊28、刊34、刊45、刊49)、「SmartCloud Resource Pool」(刊34、刊49)、「SmartCloud Data Center」(刊34)、「SmartCloud仮想サーバー」(刊40)、「SmartCloud Phone」(刊361)、「SmartCloud Devaas(R)2.0」(異議決定注:「(R)」の文字は、○の中に「R」の文字を有する記号。刊323)などと称する役務が含まれていること、及び、それらの役務など引用商標を使用した申立人役務(以下「引用使用役務」という。)は、同役務の提供を開始した2010年7月から2023年4月頃まで、各種新聞、雑誌、ウェブサイトなどで紹介、広告されている(刊2~刊19、刊20、刊510、ほか)。
しかしながら、引用使用役務の売上高、シェアなど取引実績を裏付ける証左は見いだせない。
イ 上記アのとおり、申立人は2010年7月から引用使用役務の提供を開始し、引用使用役務は2010年7月から少なくとも2022年頃まで、各種新聞、雑誌、ウェブサイトなどで紹介、広告されているものの、引用使用役務の売上高、シェアなど取引実績を裏付ける証左は見いだせないから、その販売規模の多寡を評価、把握できず、引用使用役務に使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ なお、申立人は、「SmartCloud Phone」の売上高は2020年度が3.4億円、2021年度が4.2億円、2022年度が4.8億円であり、また、「SmartCloud」シリーズのホームページ閲覧数は2022年4月1日から2023年3月31日において月平均7,483ページビュー数である旨主張し、その証左(甲6、甲7)を提出しているが、それら証左は容易に作成できる書面であるから、かかる売上高などを採用することができない。また、仮にそれらが事実であり、かつ、当該売上高が「引用使用役務」の一部であるとしても、2015年度の国内クラウドサービスの市場規模が1兆円程度である(刊13、刊316)ことからすれば、当該市場規模が拡大していると推認される2020年度ないし2022年度において、かかる売上高などが引用商標の周知性を基礎付けるほどのものとは認められない。
エ したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標は引用商標1との関係において本号に該当する旨主張しているので、以下、検討する。
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「smartxcloud」の欧文字を横書きしてなり、該文字に相応し「スマートエックスクラウド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標1
引用商標1は、上記2(1)のとおり「SmartCloud」の欧文字と「スマートクラウド」の片仮名を2段に表してなり、該文字に相応し「スマートクラウド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は、片仮名の有無という差異など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。また、本件商標と引用商標1の構成中の欧文字「SmartCloud」との比較においても、前者が全ての構成文字が小文字で一体に表されているのに対し、後者は語頭の「S」の文字及び中間の「C」の文字が大文字で表されているうえ、両者のつづりも中間の「x」の文字の有無という差異を有するから、両者は、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「スマートエックスクラウド」の称呼と引用商標1から生じる「スマートクラウド」の称呼を比較すると、両者は中間部において「エックス」の音の有無という差異を有し、この差異音が両称呼全体の構成音数、語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1は、観念において比較できないとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがないから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標の「x」を欧文字の「x」であるとすると、本件商標は商標全体を自然に称呼することが困難であり、「Smart」と「Cloud」の文字が日本国内において一般に広く認識されている既成語であると容易に看取し得ることから、本件商標に接した需要者は、本件商標を商標全体として一連一体の商標と認識するというより「smart」「×(かける)」「cloud」の3つの組合せであると認識するのが自然であり、かつ、商標を採択、表記する際に2つの既成語の中間に「×(かける)」等の記号符号を配する構成がしばしば見受けられるから、欧文字「x」が「×(かける)」と外観上、相紛らわしいことも相まって、本件商標は、その要部は「smart」と「cloud」であり、「スマートクラウド」の称呼が自然に生じるなどとして、本件商標は引用商標1と類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標は、その構成文字「smartxcloud」は同書同大同間隔でまとまりよく一体に表され、その中の「x」の文字部分が記号、符号などと看取されるものではなく、これから生じる「スマートエックスクラウド」の称呼はやや冗長といえるものの、無理なく一連に称呼し得るものであるから、本件商標に接する取引者、需要者をして、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握させるものと判断するのが相当であり、他に、本件商標から「スマートクラウド」の称呼が生じるというべき事情及び本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標
本件商標は、上記(2)アのとおり「smartxcloud」の文字からなり、「スマートエックスクラウド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、上記(2)イのとおり「SmartCloud」と「スマートクラウド」の文字を2段に表してなり、「スマートクラウド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標2及び3は、上記2(2)及び(3)のとおり、それぞれ「SmartCloud」及び「スマートクラウド」の文字からなり、いずれも当該文字に相応し「スマートクラウド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1は、上記(2)のとおり、非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
(イ)本件商標と引用商標2は、外観において、前者は全ての構成文字が小文字で一体に表されているのに対し、後者は語頭の「S」の文字及び中間の「C」の文字が大文字で表されているうえ、両者のつづりも中間の「x」の文字の有無という差異を有するから、両者は、相紛れるおそれはない。
また、本件商標の称呼「スマートエックスクラウド」と引用商標2の称呼「スマートクラウド」は、上記(2)ウと同様の理由により、かれこれ聞き誤るおそれはない。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがないから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(ウ)本件商標と引用商標3は、外観において、前者の構成文字「smartxcloud」と後者の構成文字「スマートクラウド」は、文字の種類など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれはない。
また、本件商標の称呼「スマートエックスクラウド」と引用商標3の称呼「スマートクラウド」は、上記(2)ウと同様の理由により、かれこれ聞き誤るおそれはない。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標3は、観念において比較できないとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがないから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
エ 小括
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものではなく、本件商標と引用商標は、上記ウのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標を使用する商品及び役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものではなく、本件商標と引用商標は、上記(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、引用商標の独創性の程度、本件商標の指定役務と引用商標を使用する役務との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものではなく、本件商標と引用商標は、上記(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであって、上記(4)のとおり本件商標は引用商標を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は、引用商標を使用する申立人などから不正の利益を得る目的など、不正の目的をもって使用をするものかは明らかではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-900178