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商標異議申立

2025-900017

スマートクラウドファイル、スマートクラウド

審判番号
2025-900017
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-114325
登録番号
6862660
請求日
2025年01月16日
審決日
2025年06月09日
公報発行日
2025年07月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ソルコムビジネスサービス
  • 【異議申立人】エヌ・ティ・ティ・コムウェア 株式会社
  • 【異議申立人代理人】西澤 和純
  • 【異議申立人代理人】眞島 竜一郎
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 大島 勉
  • 審判官 真鍋 伸行
分類
T1651.261-Y (W42) / T1651.262-Y (W42) / T1651.263-Y (W42)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6862660号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6862660号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6862660号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマートクラウドファイル」の片仮名を標準文字で表してなり、第42類「ローカルコンピュータのファイル・フォルダ・データ・情報をコンピュータネットワーク上のストレージプラットフォームと同期するためのコンピュータソフトウェアのオンラインによる一時的な提供,コンピュータネットワークを介したデータのストレージ及びファイルの同期において使用するためのコンピュータソフトウェアの提供,インターネットによるコンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,作業環境においてファイル・フォルダ・データ・情報及びその他の電子的に記録・保存が可能なコンテンツについて同期・送信・ストリーミング及び共有するための可変容量のサーバーの記憶領域の貸与,インターネットを利用した検索エンジンの提供,認証されたユーザーに安全な通信ネットワーク回線を提供するためのコンピュータプログラムの提供,SaaS形式によるコンピュータソフトウェアの提供,電子応用機械器具(ワードプロセッサ・電子応用静電複写機を除く。)の貸与」を指定役務として、令和5年9月29日に登録出願、同6年10月15日に登録査定、同年11月8日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標について引用する登録第5267543号商標(以下「引用商標」という。)は、「SmartCloud」の欧文字及び「スマートクラウド」の片仮名を上下2段に書してなり、平成21年2月24日に登録出願、第9類、第35類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月18日に設定登録され、現に有効に存続している。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証及び刊行物1ないし刊行物598(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、上記甲第1号証ないし甲第12号証については、「甲1~甲12」と、上記刊行物1ないし刊行物598については、「刊1~刊598」という。)を提出した。 (1)本件商標について 本件商標「スマートクラウドファイル」の構成文字中、「ファイル」の文字は、指定役務分野において、データやプログラムを表す語として一般的な辞書にも掲載されている(甲3~甲5)。 また、本件商標の指定役務分野において、「ファイル」の文字は一般的に商標の一部に採択されやすく、「ファイル」の文字を含む商標について本件商標の指定役務分野である第42類において、自他役務識別力を具備しないとして拒絶されている事例も見受けられるから、本件商標の構成文字中「ファイル」の文字部分は自他役務識別力が極めて弱いものと認識されるのが妥当である。 そうすると、本件商標を指定役務分野に使用した場合、「ファイル」の文字部分は、自他役務識別力が極めて弱いものであるから、本件商標は、「スマートクラウド」と「ファイル」に分離考察され、「スマートクラウド」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものと認められる。 よって、本件商標は「スマートクラウド」の文字部分が要部であり、「スマートクラウド」の文字部分のみを抽出して類否判断を行うべきであるから、引用商標である「SmartCloud\スマートクラウド」と本件商標の要部は、称呼及び観念が共通することは明らかであり、本件商標と引用商標は類似する商標である。 さらにいえば、本件商標は、前述のとおり、「スマートクラウド」の文字部分が要部であると認識されるから、本件商標を指定役務分野において使用する場合、需要者等は、本件商標を「スマートクラウド」の文字部分のみで略称することが少なくないものと推認される。 このように、本件商標が略称されることが少なくないことを考慮すれば、取引市場において、本件商標の権利者の提供するサービスと引用商標の権利者の提供するサービスが、出所の混同が生じることは容易に想定し得るものである。 よって、本件商標の登録を認めることは、引用商標と出所の混同が生じる商標について、引用商標と共通する取引市場における使用を認めることになり、需要者の保護に欠けるものである。 したがって、本件商標の要部と引用商標とは、称呼及び観念が共通し、取引市場においても出所の混同が生じ得る相紛らわしい類似する商標である。 (2)引用商標について 引用商標を構成する「SmartCloud\スマートクラウド」、「SmartCloud」、「スマートクラウド」の文字(以下、まとめて「「SmartCloud」等」という場合がある。)は、申立人が独自に採択し、当該サービス等の分野において、最初に使用した造語であるから、強い識別力を発揮し得るものである。 また、引用商標の権利者である申立人は、本件商標の出願日以前から現在に至るまで、約15年にわたる期間において、継続的に、引用商標をインターネット接続サービス、大容量メールサービス、仮想サーバーサービス等、幅広いクラウドサービスに使用しており(刊1~刊598)、現在においては、Googleやマイクロソフトが提供する対話型AIサービスにおいて、「SmartCloudはどこの会社のサービスですか?」と質問した場合、「SmartCloudはNTTコムウェアのサービスです。」と回答がなされるほどにインターネット上に申立人の「スマートクラウド」に関する情報が蓄積されていることが伺える(刊595~刊598)。 そして、これほどにインターネット上に申立人の「SmartCloud」等に関する情報が蓄積されているということは、申立人の「SmartCloud」等に関する情報に多くの需要者が接する機会があるものと思料するから、こうした実情に照らせば、「SmartCloud」等が引用商標の権利者である申立人の役務等の出所を表示するものとして、需要者に広く認識されていることを推認することが可能である。 加えて、現在に至るまでの引用商標の使用期間内において、申立人は積極的な宣伝広告等を展開し、多くの刊行物にも引用商標が申立人のサービス等を表す商標として掲載されている。 さらに、申立人は、「SmartCloud」シリーズで多くのサービスを展開し、「SmartCloud○○」といった商標も多数使用しており、前述のとおり、「SmartCloud」等は、申立人の商標として、広く需要者に認識されていることから、共通する商品、サービス分野等において、本件商標の商標権者やその使用許諾を受けた者が「SmartCloud○○」からなる商標を使用した場合には、引用商標の権利者である申立人のサービスの出所と誤認を生じるおそれが考えられる。 さらにまた、申立人が引用商標を使用している「SmartCloud」シリーズの商品、サービスは、近年のリモートワークの普及により、急速に需要が高まっていることから、申立人は、第4回AI・人工知能EXPO(秋)(2023年10月25日~同年10月27日開催/甲8)ほか、展示会等に出展し、宣伝広告活動を積極的に行っており、その認知度は現時点においても高く維持されている(甲9、甲10)。 加えて、申立人の「SmartCloud」の売り上げ高の推移をみても、2022年度には29.7億円の売り上げを記録し、その後も2023年度32.5億円、2024年度は34.1億円と順調に売り上げを伸ばしている(甲11)。そして、近年の需要の高まりとともに、申立人の「SmartCloud」シリーズのホームページ閲覧数は、2023年4月1日から2024年3月31日に限ってみても、月平均8,567ものページビュー数を記録している(甲12―2)から、引用商標「SmartCloud\スマートクラウド」、及び「SmartCloud」、「スマートクラウド」は、申立人の商品等の出所を表示するものとして、需要者の認知度もさらに高まっている。 そうすると、引用商標の権利者である申立人の登録商標が需要者に広く認識され、かつ、申立人が「SmartCloud」シリーズで多くのサービス等を提供していることから、共通する取引分野において、本件商標の商標権者やその使用許諾を受けた者が、「SmartCloud○○」からなる商標を使用することは、引用商標の権利者である申立人のサービス等と出所を混同するおそれがあるといわざるを得ず、需要者の利益が害されることが明らかであり、需要者の保護の観点からも認められるべきものではない。 (3)指定商品及び指定役務について 本件商標の指定役務は、引用商標の指定商品又は役務と同一又は類似するから、第42類において、互いに抵触する。 (4)商標法第4条第1項第11号該当性について 以上から、本件商標と引用商標は、指定商品及び役務が互いに抵触するものであり、かつ、本件商標は、「スマートクラウド」のみを抽出して類否判断を行う必要があるから、引用商標である「SmartCloud\スマートクラウド」とは、称呼及び観念が共通することは明らかであり、本件商標と引用商標は類似する商標である。 さらに、申立人の登録商標が、申立人による長年の使用により、需要者に広く認識され、かつ、申立人が「SmartCloud」シリーズで多くのサービス等を提供していることから、共通する取引分野において「Smart Cloud○○」からなる商標を使用することは、申立人のサービス等と出所を混同するおそれがあり、需要者の利益が害されることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人は、引用商標及び「SmartCloud」等の周知性を根拠として、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているところがあるので、まずこの点について判断する。 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下の事実のとおりである。 (ア)申立人は、遅くとも2010年7月に、「SmartCloud」(以下「申立人使用商標」という。)と称するクラウドコンピューティングサービス(以下「申立人役務」という。)の提供を開始した(刊2、刊20ほか)。 (イ)申立人役務には、「SmartCloud メール」(刊34、刊49ほか)、「SmartCloud Desktop(デスクトップ)」(刊21、刊28、刊34、刊49ほか)、「SmartCloud Resource Pool」(刊21、刊34、刊49ほか)、「SmartCloud Data Center」(刊26、刊34ほか)、「SmartCloud Phone」(刊61ほか)、「SmartCloud DevaaS2.0」(刊62、刊323ほか)、「SmartCloud イメージベースAR」(刊89ほか)、「SmartCloud Duo」(刊365ほか)、「SmartCloud IAM ソリューション」(刊380ほか)等、シリーズ化した役務も存在し、これらの役務名には共通して、申立人使用商標の構成文字である「SmartCloud」の文字が冒頭に付されている。 (ウ)申立人使用商標を付した申立人役務(シリーズ化した役務を含む。以下同じ。)は、申立人役務の提供開始の頃から、少なくとも本件商標の登録査定時までの間、各種新聞(刊20、刊25、刊29~刊32、刊36、刊37、刊46、刊57、刊61ほか)、雑誌(刊2~刊6、刊10、刊13~刊19、刊21、刊23、刊26、刊33~刊35、刊43~刊45、刊48~刊50、刊53ほか)、ウェブサイト(刊179~刊214、刊216~刊249及び刊251ほか)において紹介記事が掲載され、また、申立人による雑誌広告(刊7~刊9、刊11、刊12、刊457、刊459~刊463ほか)や、申立人ウェブサイトにおける広告や記事(刊149~刊178ほか)も掲載された。 なお、これらの新聞、雑誌の購読者数等を明らかにする客観的な証左の提出が見いだせないから、その数は明らかでない。 また、申立人ウェブサイト(SmartCloudシリーズのホームページ)の2023年度上半期及び2022年度の閲覧者数について、申立人は具体的な数字を挙げて主張するが、提出された証拠(甲12-1)には、データ取得元の記載(Google Analytics)と一覧表で数値が示されているだけで、客観的にこの数値を証明する具体的な証左は見いだせない。 (エ)申立人は、「第4回AI・人工知能EXPO(秋)」(2023年10月25日~同月27日開催)及び「docomo business Forum‘23」(2023年10月12日及び13日開催)に出展し、そのブースの壁面(パネル)及び展示会の配布資料に「SmartCloud」の文字が使用されていることが認められるが(甲8、甲9)、当該展示会のブースへの訪問者数及び配付資料の配布数等を明らかにする客観的な証左の提出が見いだせないから、その数は明らかでない。 (オ)申立人使用商標を付した申立人役務に関する売上高について、申立人は具体的な数字を挙げて主張するが、提出された証拠(甲11)には、一覧表で数値が示されているだけで、客観的にこの数値を証明する具体的な証左は見いだせない。 その他、申立人使用商標を付した申立人役務の取引実績等、取引状況を具体的に示す証左は見いだせない。 (カ)申立人役務について、申立人使用商標である「SmartCloud」の文字に、「スマートクラウド」の文字を併記して紹介等する記事や広告は見受けられるものの、「SmartCloud」の欧文字と「スマートクラウド」の片仮名を上下二段に表してなる、引用商標と同一の構成からなる標章が用いられている事実は確認できない。 イ 上記アのとおり、申立人は、2010年7月頃から、申立人使用商標を用いて申立人役務を提供し、当該申立人役務が新聞、雑誌、ウェブサイト及び展示会において紹介され、申立人により広告されたことが認められるものの、申立人役務の提供に係る売上高、シェアなど取引実績や新聞、雑誌などの購読者数、展示会の訪問数やウェブサイトにおける閲覧数などを裏付ける証左は見いだせないことから、その販売規模や購読者数、訪問数、閲覧数などの多寡を評価、把握できず、加えて、申立人が使用する商標として、引用商標と同一の構成からなる標章が用いられた事実も確認できない。 そうすると、申立人使用商標及び引用商標(「SmartCloud」等を含む。以下同じ。)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも、申立人の業務に係る役務(クラウドコンピューティングサービス)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「スマートクラウドファイル」の片仮名を標準文字で表してなるところ、構成中の「スマート」の文字が「装置・機器などが情報処理機能を具えること。」等の意味、「クラウド」の文字が「(雲の意)それを提供するサーバーなどについて意識することなく、ネットワークを通じて様々な場所から利用可能なコンピューターのリソース。」等の意味、「ファイル」の文字が「コンピューターで、意味的なまとまりをもったデータの集まり。また、それを格納する記憶装置。」等の意味をそれぞれ有する語(いずれも「広辞苑 第七版」)であるとしても、これらを組み合わせた「スマートクラウドファイル」の文字は、全体として辞書等に掲載されている語ではなく、一種の造語というべきものである。 また、本件商標は、構成中の「スマート」及び「クラウド」の文字が、申立人使用商標及び引用商標の片仮名部分と同じくするものであるものの、上記1のとおり、申立人使用商標及び引用商標の周知性は認められないものである。 さらに、本件商標の構成は、「スマート」、「クラウド」及び「ファイル」の各文字が、同書、同大、同間隔にまとまりよく一体に表され、いずれかの文字部分が殊更に看者の注意をひくというような事情も見いだせない。 そうすると、たとえ構成中の「ファイル」の文字が、上記のとおり「コンピューターで、意味的なまとまりをもったデータの集まり。また、それを格納する記憶装置。」の意味を有する語であるとしても、本件商標から殊更に「スマートクラウド」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせず、当該「スマートクラウド」の文字部分が要部として抽出されるとはいえない。 してみれば、本件商標は、その構成文字全体をもって「スマートクラウドファイル」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。 イ 引用商標 引用商標は、上記2のとおり、「SmartCloud」の欧文字及び「スマートクラウド」の片仮名を上下2段に書してなり、下段に表された片仮名は、上段の欧文字の読みを特定するためのものと看取されるというべきであり、その構成文字に相応して、「スマートクラウド」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じないというべきである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標は、片仮名を横一列に表してなるのに対し、引用商標は、欧文字及び片仮名を上下2段に書してなり、また、両者の構成文字及びその文字数において明らかな差異を有するから、両者は、外観において紛れるおそれはない。 次に、本件商標から生じる「スマートクラウドファイル」の称呼と引用商標から生じる「スマートクラウド」の称呼は、「ファイル」の音の有無に差異を有し、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、称呼上、十分に聴別し得るものというべきである。 また、本件商標と引用商標からは、特定の観念が生じないから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別でき、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 小括 したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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