2024-390142
位置依存イントラ予測コンビネーションを用いたピクチャ符号化及び復号の方法及びデバイス
- 審判番号
- 2024-390142
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-574780外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7580410
- 請求日
- 2024年11月26日
- 審決日
- 2025年02月21日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 分類
- P141 .853-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第7580410号(以下、「本件特許」という。)は、2020年(令和2年)6月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年6月20日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その請求項1-12に係る発明について、令和6年10月31日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和6年11月26日に特許権者インターディジタル・シーイー・パテント・ホールディングス・ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエより、本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7580410号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項8、10-12について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項8に「前記ブロックを符号化する」と記載されているのを、「前記ブロックを復号する」と訂正する。(請求項8を引用する請求項11、12も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に「前記ブロックを符号化する」と記載されているのを、「前記ブロックを復号する」と訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
(1)訂正前の請求項8、11、12ついて
訂正前の請求項11、12は、請求項8を引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項8、11、12に対応する訂正後の請求項8、11、12は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項8の記載について
「明瞭でない記載の釈明」とは、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中のそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その確定時)の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにすることをいう。
そこで、訂正前の請求項8の記載が、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていたかを検討する。
(ア)設定登録時の明細書等には、以下の記載がある。
「【0017】図1Bは、ビデオデコーダ200のブロック図を示している。デコーダ200において、ビットストリームは、後述するように、デコーダ要素によって復号されている。ビデオデコーダ200は、一般に、図18において記述されているように、符号化パスとは逆である復号パスを実行している。また、エンコーダ100は、一般に、ビデオデータの符号化の一部としてビデオ復号を実行している。具体的には、デコーダの入力は、ビデオエンコーダ100によって生成されうるビデオビットストリームを含む。ビットストリームは、まず、変換係数、動きベクトル、及びその他のコード化済みの情報を得るべく、エントロピー復号されている(230)。ピクチャパーティション情報は、ピクチャがパーティション化される方式を示している。従って、デコーダは、復号済みのピクチャパーティション化情報に従ってピクチャを分割している(235)。予測残差を復号するべく、変換係数が逆量子化され(240)且つ逆変換されている(250)。復号済みの予測残差及び予測されたブロックを組み合わせることにより(255)、画像ブロックが再構築されている。予測されたブロックは、イントラ予測(260)又は動き補償された予測(即ち、インター予測)(275)から取得することができる(270)。インループフィルタ(265)が再構築済みの画像に適用されている。フィルタリング済みの画像は、基準ピクチャバッファ(280)において保存されている。【0018】復号済みのピクチャは、例えば、逆色変換(例えば、YCbCr4:2:0からRGB4:4:4への変換)又は事前符号化処理(101)において実行されたリマッピングプロセスの逆を実行する逆リマッピングなどの事後復号処理(285)を更に経ることができる。事後復号処理は、事前符号化処理において導出された及びビットストリーム内においてシグナリングされたメタデータを使用することができる。」
「【図1B】[図:0001422348000001.jpg]」
そして、設定登録時の明細書等において、「ブロックビデオを復号する方法」について記載されているのは、「ビデオ」を復号(デコード)する「ビデオデコーダ200」に関する具体的な技術内容を記述する上記記載箇所のみである。
(イ)一方、訂正前の請求項8には、
「ブロックビデオを復号する方法であって、前記ビデオの前記ブロックに関して、前記ビデオの前記ブロックのサンプルごとに、前記サンプルのイントラ予測を行うことと、請求項1~6の何れか一項に記載の方法による前記サンプルの値を変更することと、前記ブロックを符号化することと、を含む、方法。」
と記載されていたところ、「ブロックビデオを復号する方法」が「前記ブロックを符号化すること」を含むことは、上記(ア)で摘記した記載箇所に記載がなく、当該実施形態と矛盾するから、訂正前の請求項8の記載は、明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていた。
イ 訂正後の請求項8について
訂正後の請求項8は、「前記ブロックを符号化する」と記載されていたものを、「前記ブロックを復号する」と訂正するものであり、訂正後の請求項8の記載は、上記ア(ア)の実施形態とも整合するため、「ブロックビデオを復号する方法」が明確となった。(請求項8を引用する請求項11、12の記載も同様に明確となった。)
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
明細書の段落【0017】には、「図1Bは、ビデオデコーダ200のブロック図を示している。デコーダ200において、ビットストリームは、後述するように、デコーダ要素によって復号されている。・・・(中略)・・・ビットストリームは、まず、変換係数、動きベクトル、及びその他のコード化済みの情報を得るべく、エントロピー復号されている(230)。ピクチャパーティション情報は、ピクチャがパーティション化される方式を示している。従って、デコーダは、復号済みのピクチャパーティション化情報に従ってピクチャを分割している(235)。予測残差を復号するべく、変換係数が逆量子化され(240)且つ逆変換されている(250)。復号済みの予測残差及び予測されたブロックを組み合わせることにより(255)、画像ブロックが再構築されている。」と記載されている。
また、明細書の段落【0129】には、「本出願において、「再構築される(reconstructed)」及び「復号される(decoded)」という用語は、相互交換可能に使用されてもよく、・・・(中略)・・・通常は、但し、必須ではないが、「再構築される」という用語は、エンコーダ側において使用され、「復号される」は、デコーダ側において使用される。」と記載されている。
段落【0017】によれば、「ビデオ」を復号(デコード)する「ビデオデコーダ200」において、「画像ブロックが再構築され」ることが記載され、段落【0129】によれば、「再構築」はデコード側において「復号」と言い換えることができるから、「ビデオデコーダ200」が実施する「(ブロック)ビデオを復号する方法」は、「(画像)ブロックを復号すること」を含む。
よって、訂正事項1は明細書の段落【0017】、【0129】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項10の記載について
上記2(1)アと同様に、訂正前の請求項10の記載が、設定登録時の明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていたかを検討する。
(ア)設定登録時の明細書等には、以下の記載がある。
「【0017】図1Bは、ビデオデコーダ200のブロック図を示している。デコーダ200において、ビットストリームは、後述するように、デコーダ要素によって復号されている。ビデオデコーダ200は、一般に、図18において記述されているように、符号化パスとは逆である復号パスを実行している。また、エンコーダ100は、一般に、ビデオデータの符号化の一部としてビデオ復号を実行している。具体的には、デコーダの入力は、ビデオエンコーダ100によって生成されうるビデオビットストリームを含む。ビットストリームは、まず、変換係数、動きベクトル、及びその他のコード化済みの情報を得るべく、エントロピー復号されている(230)。ピクチャパーティション情報は、ピクチャがパーティション化される方式を示している。従って、デコーダは、復号済みのピクチャパーティション化情報に従ってピクチャを分割している(235)。予測残差を復号するべく、変換係数が逆量子化され(240)且つ逆変換されている(250)。復号済みの予測残差及び予測されたブロックを組み合わせることにより(255)、画像ブロックが再構築されている。予測されたブロックは、イントラ予測(260)又は動き補償された予測(即ち、インター予測)(275)から取得することができる(270)。インループフィルタ(265)が再構築済みの画像に適用されている。フィルタリング済みの画像は、基準ピクチャバッファ(280)において保存されている。【0018】復号済みのピクチャは、例えば、逆色変換(例えば、YCbCr4:2:0からRGB4:4:4への変換)又は事前符号化処理(101)において実行されたリマッピングプロセスの逆を実行する逆リマッピングなどの事後復号処理(285)を更に経ることができる。事後復号処理は、事前符号化処理において導出された及びビットストリーム内においてシグナリングされたメタデータを使用することができる。」
「【図1B】[図:0001422348000002.jpg]」
そして、設定登録時の明細書等において、「ピクチャデータを復号するデコーダ」について記載されているのは、「ピクチャ」を復号(デコード)する「ビデオデコーダ200」に関する具体的な技術内容を記述する上記記載箇所のみである。
(イ)一方、訂正前の請求項10には、
「ピクチャデータを復号するデコーダを含む装置であって、前記デコーダが、ビデオのブロックに関して、前記ビデオの前記ブロックのサンプルごとに、前記サンプルのイントラ予測を行うことと、請求項1~6の何れか一項に記載の方法による前記サンプルの値を変更することと、前記ブロックを符号化することと、を行うように構成されている、装置。」
と記載されていたところ、「ピクチャデータを復号するデコーダ」である「前記デコーダ」が「ビデオのブロック」に関して「前記ブロックを符号化すること」を行うように構成されていることは、上記(ア)で摘記した記載箇所に記載がなく、当該実施形態と矛盾するから、訂正前の請求項10の記載は、明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっていた。
イ 訂正後の請求項10について
訂正後の請求項10は、「前記ブロックを符号化する」と記載されていたものを、「前記ブロックを復号する」と訂正するものであり、訂正後の請求項10の記載は、上記ア(ア)の実施形態とも整合するため、「ピクチャデータを復号するデコーダ」が明確となった。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
明細書の段落【0017】には「図1Bは、ビデオデコーダ200のブロック図を示している。デコーダ200において、ビットストリームは、後述するように、デコーダ要素によって復号されている。・・・(中略)・・・ビットストリームは、まず、変換係数、動きベクトル、及びその他のコード化済みの情報を得るべく、エントロピー復号されている(230)。ピクチャパーティション情報は、ピクチャがパーティション化される方式を示している。従って、デコーダは、復号済みのピクチャパーティション化情報に従ってピクチャを分割している(235)。予測残差を復号するべく、変換係数が逆量子化され(240)且つ逆変換されている(250)。復号済みの予測残差及び予測されたブロックを組み合わせることにより(255)、画像ブロックが再構築されている。」と記載されている。
また、明細書の段落【0129】には、「本出願において、「再構築される(reconstructed)」及び「復号される(decoded)」という用語は、相互交換可能に使用されてもよく、・・・(中略)・・・通常は、但し、必須ではないが、「再構築される」という用語は、エンコーダ側において使用され、「復号される」は、デコーダ側において使用される。」と記載されている。
段落【0017】によれば、「ピクチャ」を復号(デコード)する「ビデオデコーダ200」において、「ピクチャを(画像ブロックに)分割」し、「画像ブロックが再構築され」ることが記載され、段落【0129】によれば、「再構築」はデコード側において「復号」と言い換えることができるから、「ビデオデコーダ200」は、「ピクチャデータを復号するデコーダ」であり、「(画像)ブロックを復号すること」を行うように構成されている。
よって、訂正事項2は明細書の段落【0017】、【0129】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項2は、新たな技術的事項を導入するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1、2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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