商標取消審判
2024-300357
ピタッ
- 審判番号
- 2024-300357
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2007-062280
- 登録番号
- 5173809
- 請求日
- 2024年06月04日
- 審決日
- 2025年03月13日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】竹内 大子
- 【被請求人】小林製薬株式会社
- 【被請求人代理人】杉村 憲司
- 【被請求人代理人】杉村 光嗣
- 【被請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 分類
- T132 .1 -Z (X0510)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第3条、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5173809号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5173809号商標の指定商品中、第5類「医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ」及び第10類「洗眼器,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5173809号商標(以下「本件商標」という。)は、「ピタッ」の文字を標準文字で表してなり、平成19年6月19日に登録出願、第5類及び第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同20年10月17日に設定登録されたものであり、その後、商標登録の取消審判により、その指定商品中、第5類「医療用機械器具」を取り消す旨の審決がされ、同28年6月9日にその確定審決の登録がされた結果、その指定商品は、別掲のとおりの商品となった。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年6月20日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同3年6月20日から同6年6月19日までを、以下「要証期間」という場合がある。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年8月1日付け審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同年9月12日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第5類「医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ」及び第10類「洗眼器,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)本件商標「ピタッ」は、「サカムケア」に関するウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)の2か所において使用されている旨の主張(乙1、乙2)について
乙第1号証は、2024年4月6日時点における被請求人によるウェブサイト中、被請求人の製造、販売に係る商品「サカムケア」を広告するウェブサイトの状態を表すWayback Machineのアーカイブである。
被請求人の主張によれば、「本件ウェブページの2頁の左上方には、「ピタッ」の文字が2箇所で表示されている」とのことである。
そこで、本件ウェブページの上部には、商品「液体絆創膏」の出所識別標識として「サカムケア」の標章が使用されており、その下に、「そんな時はサカムケア」「サカムケアの使い方」「サカムケアの特徴」「こんな時に便利なサカムケア」「製品一覧」とのメニューが記載され、さらにその下部に「しみてつらいひび、あかぎれに/防水だから、しみない。」「毎日の家事をしっかりサポート。」「手洗いが痛い!」「ガーデニングが痛い!」「タイピングが痛い!」「洗剤がしみる!」「シャンプーがしみる!」「そんな時はサカムケア」「バッチリ防水!」といった文字要素、並びに「サカムケア」のパッケージの画像や使用者の手や指の画像が掲載されている。
本件ウェブページのさらに下には、「お料理のプロも悩んでいます」という料理研究家のコメントが掲載された欄の下に、「サカムケアの使い方」という項目があり、その中に、「塗る時は・・・」「ハケで塗ってピタッと密着!」「防水しみない!」と記載されており、ようやく「ハケで塗ってピタッと密着!」という文章の中に、「ピタッ」が使用されている事例(使用態様A)が確認できる。また、その下に「乾燥して薬剤が固まったらいつも通りに動かせます。防水皮膜なので、水仕事をしてもしみません!※傷に塗ったとき、一瞬しみますが、乾燥するとしみなくなります」という説明文とともに、指のイラストの中に「ピタッ」という文字が、その右側に縦に3つ並んだ水滴のような図形要素とともに使用されていることが確認できる(使用態様B)。
商標とは、自己の商品・役務と他人の商品・役務とを区別するために用いられるものであり、このような自他商品識別機能は、商標の機能の中で最も本質的な機能であることは多言を要しないが、このような使用態様をみると、乙第1号証において、需要者・取引者の目を引き、自他商品識別力を備える商標として認識される部分は、本件ウェブページの上部、並びに本件ウェブページにおいて度々表示されている「サカムケア」の文字であるといえる。
一方、「ピタッ」は、使用態様A及び使用態様Bのいずれについても、商品「液体絆創膏」の機能等を表すためだけに用いられる明らかな記述的な表示と認識されるものであって、商標として機能しないことは明らかである。
すなわち、使用態様Aにおいては、「ハケで塗ってピタッと密着!」という文章中に「ピタッ」が記載されており、「ピタッ」は、「続いていた物事が急に完全に止まるさま。/隙間なく密着するさま。/完全に合致するさま。」を意味する言葉であることを考慮すれば(甲2)、このような使用態様において、「ピタッ」の要素は、「サカムケア」という商標が付された商品「液体絆創膏」が、患部に隙間なく密着させることができる旨を示す極めて記述的な表示であると認識されるにすぎず、「ピタッ」の要素が自他商品識別標識としては機能しないことは明らかである。
使用態様Bにおいては、「防水!しみない!」という表示、及び「乾燥して薬剤が固まったらいつも通りに動かせます。防水被膜なので、水仕事をしてもしみません!※傷に塗ったとき、一瞬しみますが、乾燥するとしみなくなります」という説明文とともに、その説明を示すイメージ図が掲載されており、そのイメージ図中の指のイラストの上に、「ピタッ」の文字が、その右側に縦に3つ並んだ水滴のような図形要素とともに使用されている。ここでは、「サカムケア」という商標が付された商品「液体絆創膏」が、患部に隙間なく「ピタッと」密着させることができることにより、結果として水を防ぎ、しみない、といった効果を果たすことができることが示されているにすぎず、このような使用態様では、「ピタッ」の要素が自他商品識別標識としては機能しないことは明らかである。
(2)乙第22号証について
乙第22号証において、知財高裁平成28年11月2日判決・同年(行ケ)10115号の判決文から抜粋した記載を引用しているが、この事件における提出証拠では、登録商標「アイライト」が登録商標を示す(R)(※審決注:(R)は丸に「R」を表す。)マークとともに使用されている一方で、証拠として提出されたカタログについて、「その内容が漠然としており,専ら不使用を理由とする本件商標の商標登録の取消しを免れるために,名目的に本件商標を付したにすぎず,このような広告的使用は,商標法第50条所定の「使用」に該当しない」のではないかといった点が争点になっていたのであって、本件のように、使用商標が明らかに出所表示識別機能を欠く態様で使用されていた場合に、登録商標の使用と判断されるか否かが争点となった事案ではない。
現に、令和3(行ケ)10076の判例をはじめとして、「登録商標の使用」に該当するかを判断するにあたり、乙第22号証として提出された事案の判決以降に、「使用商標が出所表示機能を発揮する態様で使用されているか否か」を基準として判断された事例は数多存在する(知財高裁平成30年(行ケ)10037号、知財高裁平成30(行ケ)10059号ほか)。
以上を考慮すれば、乙第22号証は、本件使用商標が、登録商標の使用に該当するかの判断において参考となるようなものではない。むしろ、商標は自他商品等の識別標識としての機能をその本質的機能とするがゆえに、商標法第50条1項の「使用」は、その本質的機能たる自他商品等の識別標識としての機能を発揮するような態様での使用に限られると解すべきである。
したがって、乙第1号証において示された使用態様では、商標の本質的機能である自他商品識別標識を発揮するような態様で使用されていたとはいえないことは明らかであるから、このような使用が、登録商標の使用と判断されるべきではない。
(3)結論
被請求人によって提出された提出商標中、使用商標が記載されているのは乙第1号証のみであるが、乙第1号証において、「ピタッ」は、「サカムケア」という商標が付された商品「液体絆創膏」が、患部に隙間なく密着させることができることを示すことを目的に記載された明らかに記述的な表示であって、自他商品識別標識としての使用とは認識されないことは明らかであるから、このような使用が、登録商標の使用と判断されるべきではない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、第1答弁書及び令和7年1月6日付け審判事件答弁書(以下「第2答弁書」といい、第1答弁書と第2答弁書をまとめていうときは「答弁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第27号証を提出した。
1 第1答弁書
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人のウェブサイト中、その製造、販売に係る商品「サカムケア」を広告するウェブページであって、2024年4月6日時点におけるもの(本件ウェブページ)のプリントアウトであって、インターネットアーカイブサービス「Wayback Machine」に保存されているものである。
本件ウェブページ1頁の最上段左には、アーカイブのサービス名「INTERNET ARCHIVE Wayback Machine」及び保存されているウェブページのURLが表示され、同頁の最上段右には、抽出されたウェブ情報の日付「APR062024」が表示されている。
そして、本件ウェブページの2頁の左上方には、「ピタッ」の文字が2か所で表示されている。
また、本件ウェブページで広告されている、被請求人の製造、販売に係る商品「サカムケア」は、「液体絆創膏」(以下「使用商品」という場合がある。)である。
(2)本件商標及び使用商標について
本件ウェブページが広告する商品「液体絆創膏」は、本件商標の指定商品中、「ばんそうこう」の範疇に含まれる商品である。
この点、我が国で衛生材料(「「ばんそうこう」を含む。)に関わる主要な者が加盟する業界団体である、一般社団法人日本衛生材料工業連合会(乙3)は、「絆創膏には、患部に塗ることで被膜をつくる水絆創膏(液状絆創膏)やテープ絆創膏(サージカルテープ、粘着包帯、伸縮性粘着包帯)など、さまざまな種類があります」と説明する(乙4)。また、全国の医療機関で構成される全日本民主医療機関連合会(乙5)も、「絆創膏には、患部に塗って使用する液状の『水絆創膏』、患部の大きさに合わせて切って使うサージカルテープなどの『テープ絆創膏』といった種類があります。」(乙6)と説明する。「液体絆創膏」は、これらで「ばんそうこう」の一種として説明される「水絆創膏(液状絆創膏)」及び「液状の『水絆創膏』」である。
現に、被請求人の製造、販売に係る商品を含む「液体絆創膏」は、ドラッグストアの店頭の「ばんそうこう」売り場で、テープ絆創膏と並べて販売されている(乙7~乙17)。電子商取引でも、「ばんそうこう」のカテゴリで、テープ絆創膏と並べて販売されている(乙18~乙20)。
また、「特許情報プラットフォーム」によれば、審査実務上、「液体絆創膏」(「液状絆創膏」及び「水絆創膏」)と同じ商品「流動ばんそうこう」には、「ばんそうこう」について付与されるのと同じ類似群コード「01C01」が付与されている(乙21)。
このように、「液体絆創膏」は、本件商標の指定商品中、「ばんそうこう」の範疇に含まれる、同一の商品である。
そして、本件商標は、標準文字で書された「ピタッ」であり、本件ウェブページに表示されているものも片仮名で書された「ピタッ」であるため、同一である。
したがって、被請求人は、本件商標と、同一の標章を、同一の商品に関する広告を内容とする情報に付して、電磁的方法により提供している(商標法第2条第3項第8号)。また、商標法第50条所定の「使用」は、商標が指定商品又は役務について、何らかの態様で同法第2条第3項各号所定の使用がなされていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない(知財高裁平成28年11月2日判決・同年(行ケ)10115号(乙22の10頁)参照。)。
2 第2答弁書
(1)使用商標について
乙第1号証中「ピタッ」の文字は、他の文字や図形部分とは分離可能な態様で使用されている。具体的には、「ピタッ」の文字は、商品説明として下部に記載されている「乾燥して薬剤が固まったらいつも通りに動かせます。」等の他の文字に比べて大きく、赤色の太字で表されており、使用商品を指に使用することを示す図とともに看者の注意を引く態様である。
また、「ピタッ」の文字を強調するように水滴のような図形が三つ、右斜め上に配されているところ、該図形により、看者には「ピタッ」の文字部分がより強調して印象付けられることから、「ピタッ」の文字は自他商品識別標識として認識される。
さらに、乙第23号証は、被請求人のウェブサイト中、その製造、販売に係る商品「サカムケア」を広告するウェブページであって、2017年2月27日時点におけるものであって、インターネットアーカイブサービス「WayBack Machine」に保存されているものである。同号証中でも「ピタッ」の文字を現在と同じ態様で使用している。
このように、被請求人は、商品「サカムケア」の広告において「ピタッ」の文字が極めて重要であると考え、遅くとも2017年2月27日以降、目立つ態様で長年にわたり使用している。
(2)弁駁書の主張及び裁判例について
請求人は、「商標法第50条第1項の『使用』は、その本質的機能たる自他商品等の識別標識としての機能を発揮するような態様での使用に限られると解すべきである。したがって、乙第1号証で示された使用態様では、商標の本質的機能である自他商品識別標識を発揮するような態様で使用されていたとは言えないことは明らかである」と述べる。
しかしながら、過去の裁判例では、不使用取消審判において出所表示機能を果たしていない使用態様であるとの主張に関し次のように判示されている。
「商標第50条の主な趣旨は,登録された商標には,その使用の有無にかかわらず,排他独占的な権利が発生することから,長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させることは,当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め,国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので,一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるというものである。上記趣旨に鑑みれば,商標法50条所定の『使用』は,当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り,出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである。」(知財高裁平成27年11月26日判決 同26年(行ケ)10234号・判時2296号116頁:乙24)
また、「商標の不使用を事由とする商標登録取消しを論ずるときには、『前述のような制度の存在理由に鑑みても、商標法第50条所定の登録商標の使用』は、商標がその指定商品について何らかの態様で使用されておれば十分であって、識別標識としての使用(すなわち、商品の彼比識別など商標の本質的機能を果たす態様の使用)に限定しなければならぬ理由は、全く考えられない」と判示されてもいる(東京高裁平成3年2月28日判決同2年(行ケ)48号・知的裁集23巻1号163頁:乙25)。
このように、商標法第50条第1項の「使用」に関しては、出所表示機能を果たしている使用に限定されるべきではないとの裁判例がある。同項の「使用」に関し、請求人は「自他商品等の識別標識としての機能を発揮するような態様での使用に限られると解すべき」と主張するが、それが通説であるとはいえない。
また、近年、ウェブサイトにおける使用について次のように判示している事例が存在している(知財高裁令和3年6月29日判決同年(行ケ)10004号:乙26。同10005号も同旨。)。対象となったのは顔を想起させる図形商標であるところ、同判決では「商標の使用があるとするためには,指定商品との具体的関係において使用されることが必要である(最高裁昭和43年2月9日第二小法廷判決・民集22巻2号159頁)」と述べつつ、「本件商標は、『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様で使用されていない商標』に該当する」との主張に対して、「本件使用商標は,本件ウェブページにおいて,レック社の商品を示すものとして,使用商品と共に掲載されており,この表示によって,本件使用商標は,レック社の商品であることを認識できる態様で使用されていると認められる」と判示している。
また、本事例では、原告の「本件商標は、自他商品等識別機能を有するものではない」との主張に対して、「本件商標は・・・(中略)・・・商品名の表示がなくても十分に自他商品等識別機能を有すると認められる」と判示しているとおり、使用態様とは関係なく、使用商標それ自体の識別力の有無に言及されている。そして、「ピタッ」とのオノマトペが使用され得る商品分野でも近年登録例が存在しているとおり(登録第6313059号:乙27)、「ピタッ」の文字のみで十分に自他商品識別標識としての機能を発揮している。
(3)まとめ
過去から現在までの裁判例を考慮すると、商標法第50条第1項の「使用」は、必ずしも自他商品識別標識としての機能を果たす態様のみに限定されるものではなく、請求人の主張は成り立たない。
「ピタッ」の文字は、それ自体で自他商品識別標識としての機能を発揮し、被請求人のウェブページにおいて、他の文字や図形部分と分離可能な態様で、被請求人の商品を示すものとして長年使用されている。このような表示により、「ピタッ」の文字が自他商品識別標識として全く機能しないということはなく、被請求人の商品であることを一定程度認識できる態様で使用しているといえる。
第4 当審の判断
1 商標法第50条にいう「登録商標の使用」について
商標法上、商標の本質的機能は、自他商品又は役務の識別機能にあると解するのが相当であるから(商標法第3条)、同法第50条にいう「登録商標の使用」というためには、当該登録商標が商品又は役務の出所を表示し、自他商品又は役務を識別するものと取引者及び需要者において認識し得る態様で使用されることを要すると解するのが相当である(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)第10076号 同4年2月9日判決)。
2 被請求人が提出した証拠について
被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
インターネットアーカイブサービス「WayBack Machine」における本件ウェブページについて
インターネットアーカイブサービス「WayBack Machine」における本件ウェブページの最上部右側には、「APR/06/2024」と記載されており、同ウェブページには、商品の包装箱と考えられる写真に、「速乾 液体絆創膏」「サカムケアa」(「a」は右下に小さく表されている。以下同じ。)等の記載、包装容器と考えられる写真に、「サカムケアa」等の記載、その下方「そんな時はサカムケア」の項目中に、「「サカムケア」は、ひび・あかぎれ・さかむけをピタッ!と固める、ハケで塗る絆創膏。」等の記載がある。なお、上記包装箱及び包装容器と考えられる写真と同一の写真は、他に2か所、同本件ウェブページ中に表されている。
また、「サカムケアの使い方」の項目中に、「塗る時は・・・」の記載があり、その下方に、「ハケで塗ってピタッと密着!」の記載と共に指の創傷にハケを当てているような図形が表され、その右側には、「ピタッ」(「ッ」の右上には水しぶきのような図形が表さている。)の記載と共に創傷のある指を表した図形が表されている。
さらに、「サカムケアの特徴」の項目中に、「ピタッ」(「ッ」の右上には水しぶきのような図形が表さている。)の記載と共に創傷のある指を表した図形及び「ひび・あかぎれなどをピタッと固める!」等の記載がある。
加えて、上記本件ウェブページ最下部には、「小林製薬株式会社」の記載がある(乙1)。
3 上記2の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)「ピタッ」の表示について
上記2のとおり、被請求人の提出した証拠方法(乙1)から、被請求人が、要証期間に、使用商品(「サカムケアa」)について、「ピタッ」の文字を3か所表示して、自社の本件ウェブページにおいて宣伝・広告したことはうかがえるものの、同ウェブページの記載によれば、当該各表示は、「ピタッと密着!」及び「ピタッ!と固める」の用例より、「隙間なく密着するさま。」の意味を有する副詞である「ぴたっと」(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)における「ぴたっ」の部分を片仮名で表したものと認識させるというのが自然である。
してみれば、上記自社の本件ウェブページにおいて表示された「ピタッ」の文字は、近傍に表示された創傷のある指を表した図形と相まって、創傷に対して隙間なく密着し固定されるという、いずれも、商品の効能を表すものにすぎないというのが相当であるから、商品の出所を表示し、自他商品を識別するものと認識されるものとはいえない。
そうすると、当該各表示中の「ピタッ」の文字は、商標法第50条にいう「登録商標の使用」に該当しない。
(2)上記(1)のとおり、被請求人の提出した証拠によっては、使用商品について、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用したと認めることはできない。
その他、被請求人の主張及び同人が提出した全証拠をみても、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことについて確認することができない。
上記のとおり、被請求人である商標権者はもとより、本件商標の商標権に係る専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品に使用した事実を確認できないことから、商標法第2条第3項各号における本件商標の使用の行為を認めることができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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