商標取消審判
2024-300199
ゲストラウンジアワイアワイ、ゲストラウンジ、アワイアワイ、アワイ、アイダ、マ
- 審判番号
- 2024-300199
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2020-002343
- 登録番号
- 6319473
- 請求日
- 2024年03月26日
- 審決日
- 2025年03月24日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ディライト 株式会社
- 【請求人代理人】松山 徳子
- 【被請求人】オリックス不動産 株式会社
- 【被請求人代理人】久門 享
- 【被請求人代理人】久門 保子
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 真鍋 伸行
- 分類
- T132 .1 -Y (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6319473号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6319473号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「GEST LOUNGE 間 AWAI」の文字を書してなるものであり、令和2年1月8日に登録出願され、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,食器の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同年11月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年4月9日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年4月9日から令和6年4月8日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和6年5月24日付け答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年7月2日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを表示するときは、枝番号を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第43類「宿泊施設の提供」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
被請求人は乙3ないし乙12において、本件審判請求に係る指定役務に関し商標を使用していた事実が認められる旨主張しているが、各乙号証により示されている使用事実は、いずれも本件商標の指定役務中「飲食物の提供」に関し、本件商標を使用している事実を示すにすぎない。つまり「ラウンジ」すなわち「アルコールやソフトドリンク・軽食などを提供する役務」としての使用を示しているにすぎない。
甲第2号証はAのウェブ頁「強羅・箱根佳ら久」(https://www.gorakaraku.jp/)を示すものである。このウェブページで明らかなように、宿泊施設の名称は「強羅・箱根佳ら久」あるいは「佳ら久」である。甲第3号証はAのウェブ頁「熱海・伊豆山佳ら久」(https://izusankaraku.orixhotelsandresorts.com/)を示すものである。このウェブページで明らかなように、宿泊施設の名称は「熱海・伊豆山佳ら久」あるいは「佳ら久」である。「GUEST LOUNGE 間 AWAI」あるいは「ゲストラウンジ間AWAI」とは、当該宿泊施設である前記両「佳ら久」の中に存するラウンジの名称にすぎないことは明らかである。このことは被請求人が提出した乙第3号証ないし乙第12号証においても明らかである。以下詳述する。
乙第3号証:乙3-1にはグラスやボトルが写されているように、明らかに「飲食物の提供」を行う「ラウンジ」であることが見て取れる。決して「宿泊施設の提供」という役務を提供していることを示すものではない。
乙第4号証:乙4-1には「ゲストラウンジ間AWAI」が宿泊施設「箱根・強羅佳ら久」の中の一施設にすぎず、乙4-2には「ゲストラウンジ間AWAI」が「バータイム」すなわち「飲食物の提供」という役務を行っていることが明示されている。
乙第5号証:乙5-4には、棚に存するボトル類及びカウンター内にいるラウンジレディが見て取れる。すなわち「ゲストラウンジ間AWAI」という名称の「ラウンジ」として「飲食物の提供」という役務を行っていることが見て取れる。
乙第6号証:乙6-1には「ゲストラウンジ間AWAI」が宿泊施設「熱海・伊豆山佳ら久」の中の一施設にすぎず、乙6-2には「ゲストラウンジ間AWAI」が「バータイム」すなわち「飲食物の提供」という役務を行っていることが明示されている。
乙第7号証:ボトルを手にしたバーテンダーや食べ物が写されており、「ゲストラウンジ間AWAI」という商標のもと、「飲食物の提供」という役務が行われていることが明示されている。
乙第8号証:ボトルを手にしたバーテンダーや、各種ボトルや食べ物が写されている。また、「バータイム」の説明として「美食に舌鼓を打ち・・グラス片手に語らうバーラウンジ」という説明がなされており、明らかに「ゲストラウンジ間AWAI」という名称の「ラウンジ」として「飲食物の提供」という役務を行っていることが示されている。
乙第9号証、乙第10号証、乙第11号証、乙第12号証:いずれも「強羅・箱根佳ら久」あるいは「熱海・伊豆山佳ら久」における「ゲストラウンジ間AWAI」において、各種食材が調達されていたことを示すものであり、「ゲストラウンジ間AWAI」が「飲食物の提供」という役務を提供していたことが示されている。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書による主張
本件商標の商標権者(以下、被請求人という。)の100%子会社たるオリックス・ホテルマネジメント株式会社が本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内においてその指定役務「宿泊施設の提供」(以下、本件役務という。)について使用していたことは、提出した乙号証によって証明された。
(1)本件商標の使用者
本件商標の商標権者は被請求人たるオリックス不動産株式会社であるが、実際に本件商標を使用しているのは、被請求人の100%子会社のオリックス・ホテルマネジメント株式会社である。
Aは、本件商標を、以下に示すとおり、オリックス・ホテルマネジメント株式会社の運営するホテル「箱根・強羅佳ら久」と「熱海・伊豆山佳ら久」において継続して使用している。
ここにおいて、オリックス・ホテルマネジメント株式会社が被請求人の100%子会社であることについては、オリックス・ホテルマネジメント株式会社のウェブ頁の「会社概要」頁において、「株主:オリックス不動産株式会社(100%)」という記載において確認可能である(乙1)。
また、上記の書面に加え、株主リストの証明書も提出する(乙2)。
上記証拠によれば、本件商標はオリックス・ホテルマネジメント株式会社が使用しているが、実質的に被請求人の使用と同視されるものである。
(2)使用している商標
本件商標は、「GUEST LOUNGE 間AWAI」であり、欧文字の「GUEST LOUNGE」と「AWAI」の間に漢字「間」を配した構成となっている。
オリックス・ホテルマネジメント株式会社が使用している商標は、「GUEST LOUNGE 間AWAI」という本件商標と同一の商標(乙3-2,3-3、3-4、乙5-1、乙5-2)に加え、「ゲストラウンジ間AWAI」という、本件商標と社会通念上同一の商標(乙4-1、乙4-2、乙5-5、乙5-6、乙6-1、乙6-2、乙7、乙8)がある。
(3)使用に係る役務
使用に係る役務について、本件商標は、本件役務、すなわち、第43類の「宿泊施設の提供」に使用されている。
オリックス・ホテルマネジメント株式会社は、宿泊施設の提供を受ける者(お客様)に対して、朝コーヒーを飲んでくつろぐスペースとして、温泉で身体を温めた後のくつろぎのスペースとして、又、夕食前の食前酒を楽しむスペースとして、ラウンジ(役務の提供を受ける者の利用に供する物)を使用してもらうという手厚いおもてなしサービスを提供している。
そうとすれば、当該ラウンジは、「本件役務の提供の用に供する物」に該当するものであり、そのラウンジのガラス壁に標章を付したものを役務の提供のために展示しているといえる。
したがって、ラウンジでのサービスは本件役務の提供の範疇と把握されて然るべきものである。
(4)使用の時期
ア 本件役務に、本件商標を使用した時期に関しては、まず、箱根・強羅「佳ら久」の竣工検査時のゲストラウンジの写真(乙3-2、乙3-3、乙3-4、乙3-5:撮影日時2020年10月8日)を提出している。これら証拠が示す通り、強羅・箱根佳ら久ホテルの竣工時点において、本件商標を使用したラウンジのガラス壁は使用の準備が整っており、開業が同年10月2日であるため、2020年10月2日より現在に至るまで、本件商標は継続して使用されている。
イ さらには、オリックス・ホテルマネジメント株式会社のウェブ頁「強羅・箱根佳ら久」の紹介コーナーにおいて、社会通念上同一の商標として「ゲストラウンジ間AWAI」の紹介頁があり(現在のウェブ頁における紹介コーナー:乙7)、同ページに関して、Way Back Machineにより時間を遡ってみたところ、2023年の3月27日に同じ紹介頁(多少の変更部分はあるが)が確認できる(乙8)。
上記の様に、本件商標と社会通念上同一の商標は、2023年3月27日から現在におけるまでAのウェブ頁において継続的に使用されていたことが判る。
また、本件商標が確認できる証拠ではないが、「箱根・強羅佳ら久」内の「ゲストラウンジ間AWAI」が要証期間内に実際に営業されていたことの証拠として、同ホテルのゲストラウンジにおける食材とサービス用物品の2021年3月と4月のInventory Record(棚卸時の記録)を提出する(乙9、乙10)。
これにより2021年の3月、4月に当該ラウンジが実際に営業していたことがわかる。
さらに、同じく本件商標が確認できる証拠ではないが、「熱海・伊豆山佳ら久」の「ゲストラウンジ間AWAI」が要証期間内に実際に営業されていたことの証拠として、上記ホテルのゲストラウンジにおける食材とサービス用物品の2024年2月と3月のInventory Record(棚卸時の記録)をする(乙11、乙12)。これにより2024年の2月、3月に当該ラウンジが実際に営業していたことがわかる。
(5)使用の場所
本件商標は、「箱根・強羅佳ら久」、「熱海・伊豆山佳ら久」のゲストラウンジ(乙3、乙5)、エレベーター内、エレベーターホールにおいて使用されている(乙3―7、乙5-6)。
また、本件商標は、「箱根・強羅佳ら久」、「熱海・伊豆山佳ら久」の館内案内書面(乙4、乙6)において使用されている。
さらには、本件商標は、オリックス・ホテルマネジメント株式会社のウェブページの両ホテルのラウンジ案内ページ(乙7、乙8)においても使用されている。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)オリックス・マネジメント株式会社は、1997(平成9)年1月20日に設立され、少なくとも2023(令和5)年6月22日時点において、被請求人(本件商標権者)がその議決権の100%を有する会社である(乙1、乙2)。
(2)オリックス・マネジメント株式会社は、主な事業の内容を「ホテル・旅館・研修所等の施設運営」とするものである(乙1)。
(3)オリックス・マネジメント株式会社は、上記事業の内容として、「オリックス ホテルズ&リゾーツ」のブランドの下、「熱海・伊豆山 佳ら久」及び「箱根・強羅 佳ら久」などの名称の宿泊施設を運営している(乙1)。
(4)オリックス・マネジメント株式会社は、ホテル等の宿泊施設として運営している「箱根・強羅 佳ら久」のウェブサイトのゲストラウンジを紹介するページにおいて(ページ冒頭に「2024/05/14 14:42」、「ゲストラウンジ|【公式】箱根・強羅 佳ら久-全室に露天風呂を備えた温泉旅館 2020年10月2日開業」及び「Way Back Machine-https//web.archive.org/web/20230327034550/https://www.gora-kara・・・」との記載がある。)、ゲストラウンジ内とおぼしき写真とともに、「ゲストラウンジ間AWAI」(以下「使用商標」という。)、「自邸のようにくつろげるラウンジは滞在中に何度でも足を運んで 建物の中心に位置する宿泊者専用のゲストラウンジ。朝は香り高いコーヒーに人が集い、昼は連泊のお客さまだけのプライベートな空間に。家具に電源がついているのでワークスペースとしても活用いただけます。夕刻は風呂上がりにくつろぎ、夕・・ゆっくりとお酒を嗜むのもおすすめ。」、「営業時間 フリーフロータイム14:00~19:00/7:00~11:00※テラス席は日没まで バータイム19:30~23:00 提供サービス、イベント フリースロータイムは無料で利用可能(バータイムは有料)」及び「神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-8」などの宿泊施設に関する紹介文を令和5年3月27日にウェブサイト上で掲載していた(乙8)。
(5)事業所を「箱根・強羅 佳ら久」と、対象年月を「2021年3月」及び「2021年4月」とする「在庫移動実績」を表す「Inventory Record(現場)」と題する書面に「2021年3月」分(乙9)は21品目の商品が、「2021年4月」分(乙10)は20品目の商品が掲載されている。
2 判断
上記1によれば、以下のとおりである。
(1)オリックス・マネジメント株式会社による使用商標の使用について
ア 使用商標について
乙第8号証のオリックス・マネジメント株式会社が運営する宿泊施設「箱根・強羅 佳ら久」(以下「佳ら久」という。)のウェブサイトにおいて、同宿泊施設内に設けられているゲストラウンジの名称として「ゲストラウンジ間AWAI」の表示、すなわち使用商標が用いられているところ、本件商標は、別掲のとおり、欧文字の「GUEST LOUNGE」と「AWAI」の間に、やや大きめのフォントで漢字の「間」を配したものであり、使用商標と本件商標とは、フォントの大きさやスペースの有無の違いはあるものの「間AWAI」の文字を共通に有するものであって、「すきま。あいま。」を意味する「間」の漢字は、「アワイ」と称呼する場合もあることから(広辞苑 第七版 有斐閣)、欧文字部分の「AWAI」は、「間」の読みを欧文字で表したものと認識されるものである。
そして、使用商標の構成中の「ゲストラウンジ」の片仮名及び本件商標の構成中の「GUEST LOUNGE」の欧文字は、ともに「客」等の意味を有する「GUEST(ゲスト)」の文字(広辞苑)と「ホテルなどの休憩室・談話室」の意味を有する「LOUNGE(ラウンジ)」の文字(広辞苑)とを組み合わせたものであるから、当該文字部分は全体として「ホテルなどにおける宿泊客用の休憩室・談話室」を意味するものと容易に認識されるものである。
そうすると、使用商標と本件商標は、全体として「ホテルなどにおける宿泊客用の休憩室・談話室」である「GUEST LOUNGE(ゲストラウンジ)」の名称が「間(AWAI)」であると認識されるものであるから、その観念を共通にし、その読みも、共に「ゲストラウンジアワイ」と称呼されるのが自然であるといえることから、両商標は、片仮名と欧文字の差異やスペースの有無等の違いはあるものの、書体及び一部の片仮名及び欧文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生じる商標同士であるといえる。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
イ 使用商標の使用時期及び使用地域
乙第8号証は、印刷されたページの冒頭に「2024/05/14 14:42」の記載があることから、本件審判請求の登録後の令和6年5月14日に印刷されたものであると認められるが、同じく印刷されたページの冒頭に記載されているWay Back Machineに関するアドレスの表示から、要証期間内である令和5年3月27日時点において、印刷された内容の当該ウェブサイトの画面がウェブ上に存在していたものと推認することができる。
また、乙第8号証は、宿泊施設「箱根・強羅 佳ら久」に関するウェブサイトであるところ、同宿泊施設の所在地は、神奈川県であって、同ウェブサイトは日本語で表示されていることから、同ウェブサイトは少なくとも我が国における需要者を対象にウェブ上に掲載されていたものと認められる。
ウ 使用商標の使用役務及び使用行為
乙第8号証は、オリックス・マネジメント株式会社が運営する宿泊施設「箱根・強羅 佳ら久」のウェブサイト上の、同宿泊施設内に設けられているゲストラウンジを紹介する内容の画面を印刷したものであって、当該ウェブサイトの画面は、前記宿泊施設において受けられるサービスの特徴(ゲストラウンジの利用)など同宿泊施設を宣伝・広告する媒体として機能するものであり、使用商標は、そのゲストラウンジの名称を表すものとして当該ウェブサイトの画面において使用されていたものである。
そうすると、オリックス・マネジメント株式会社が、「宿泊施設の提供」に関する広告を内容とする情報に、使用商標を付して、電磁的方法(インターネット)により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
なお、請求人は、各乙号証により示されている使用事実は、いずれも本件商標の指定役務中「飲食物の提供」に関し、本件商標を使用している事実を示すにすぎない、つまり「ラウンジ」すなわち「アルコールやソフトドリンク・軽食などを提供する役務」としての使用を示しているにすぎない旨主張する。
旅行業法における「旅館・ホテル営業」とは、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業であって(旅館業法第2条第2項)、「宿泊」とは、寝具を使用して旅館・ホテル営業における施設を利用することをいうところ(同条5項)、ラウンジ(休憩室、談話室)は、旅館業の許可において、宿泊施設内に必ず設けなければならないものとはいえない(旅館業法、旅館業法施行令、旅館業法施行規則参照)。
しかしながら、オリックス・マネジメント株式会社が運営する宿泊施設「箱根・強羅 佳ら久」においては、宿泊者専用のスペースとしてゲストラウンジが設けられており、昼間の時間帯においては、宿泊料を支払った宿泊者が無料でゲストラウンジを休憩室や談話室、あるいは、ワークスペースとして利用することが可能であることからすると(乙8)、宿泊施設内に設けられたゲストラウンジを利用できるサービスは、宿泊者が宿泊料を支払ったことによって得られる旅館・ホテル営業のサービス(宿泊施設の提供)の範ちゅうに含まれるものであると認められる。
なお、当該ゲストラウンジにおいて、夜の時間帯(19:30~23:30のバータイム)は、宿泊者であっても有料で飲食物の提供が行われていることが認められることから、確かに当該ゲストラウンジが「飲食物の提供」の役務を行っていることも認められるが、そのことをもって、昼間の時間帯(フリーフロータイム14:00~19:00/7:00~11:00)に、「宿泊施設の提供」の範ちゅうに含まれる役務が当該ゲストラウンジにおいて行われていることが否定されるものではない。
エ 使用商標の使用者について
オリックス・マネジメント株式会社は、被請求人(本件商標権者)がその議決権の100%を有する会社であることから(前記1(1))、両者は密接な業務上の繋がりがあると認められ、また、そのような関係にある中にあって、被請求人(本件商標権者)がオリックス・マネジメント株式会社による使用商標の使用について異議を述べたという事実も見あたらない。
そうすると、被請求人(本件商標権者)は、オリックス・マネジメント株式会社に対して本件商標を使用する黙示の許諾を与えていたものと認めて差し支えない。
したがって、オリックス・マネジメント株式会社は、本件商標の通常使用権者であるといえる。
(2)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるオリックス・マネジメント株式会社は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務である第43類「宿泊施設の提供」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付して、オリックス・マネジメント株式会社が運営する宿泊施設のウェブサイト上で表示し、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法(インターネット)により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標権者及び通常使用権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務「宿泊施設の提供」について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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