特許拒絶査定不服審判
2024-018835
積層コア
- 審判番号
- 2024-018835
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-032679外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年11月26日
- 審決日
- 2025年09月24日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WZ (H02K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第44条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 32679「積層コア」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月27日出願公開、特開2023- 60136〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月17日に出願された特許出願(特願2019-132041号)の一部を、令和5年3月3日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月26日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月23日 :意見書の提出
令和6年 8月27日付け:拒絶査定
令和6年11月26日 :審判請求書の提出
令和7年 6月 2日付け:拒絶理由通知書
令和7年 7月28日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年7月28日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載した事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
互いに積層され、両面が絶縁被膜により被覆された複数の電磁鋼板と、
積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の間に設けられ、前記電磁鋼板同士をそれぞれ接着する接着部と、
前記電磁鋼板同士がそれぞれ溶接された溶接部と、を備え、
前記電磁鋼板同士は、前記接着部及び前記溶接部のみによって接合され、
前記電磁鋼板は、環状のコアバック部と、前記コアバック部から径方向に向けて突出するとともに、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部と、
を備え、
前記ティース部に前記接着部が設けられ、
前記コアバック部に前記溶接部が設けられる、積層コア(ただし、分割コアであるものを除く)。」
第3 当審における拒絶の理由
当審において、令和7年6月2日付けで通知した拒絶理由のうち、引用文献2及び引用文献1に基づく理由2は、次のとおりのものである。
理由2(進歩性) 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2002-262485号公報
引用文献2:特開2019-071745号公報
第4 引用文献
1 引用文献2に記載された発明
(1) 引用文献2の記載
当審の拒絶理由通知で引用された特開2019-071745号公報(以下、「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。
「【0024】
積層体2は、ヨーク部4と、複数のティース部5とを有する。ヨーク部4は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部4の径方向(以下、単に「径方向」という。)における幅、内径、外径及び厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。」
「【0026】
各ティース部5は、ヨーク部4の内縁から中心軸Ax側に向かうように径方向(ヨーク部4に対して交差する方向)に沿って延びている。すなわち、各ティース部5は、ヨーク部4の内縁から中心軸Ax側に向けて突出している。積層体2においては、48個のティース部5がヨーク部4に一体的に形成されている。各ティース部5は、周方向において、略等間隔で並んでいる。隣り合うティース部5の間には、巻線(図示せず)を配置するための空間であるスロット7が画定されている。」
「【0030】
打抜部材Wは、図5に詳しく示されるように、薄板状の母材W1と、絶縁皮膜W2とを含む。絶縁皮膜W2は、母材W1の両主面である上面S1及び下面S2に形成されている。一方、絶縁皮膜W2は、母材W1の端面S3には形成されていない。これは、打抜部材Wが電磁鋼板ESから打ち抜かれて形成されたものであり、打ち抜きによる電磁鋼板ESの破断面が打抜部材Wの端面S3をなしているためである。絶縁皮膜W2の厚さは、例えば、0.5μm~2.0μm程度であってもよい。」
「【0075】
<第2実施形態>
[固定子積層鉄心の構成]
まず、図10を参照して、固定子積層鉄心1Bの構成について説明する。固定子積層鉄心1Bが固定子積層鉄心1Aと異なる点は、積層体2の積層方向において隣り合う加工板10(鉄心部材)同士が樹脂部3ではなく接着剤20(接合部)によって接着されている点である。以下では、第1実施形態との相違点について主として説明する。」
「【0080】
まず、積層体30を形成する。具体的には、コントローラ140の指示信号に基づいて、送出装置120によって電磁鋼板ESを打抜装置130に送り出し、打抜装置130によって電磁鋼板ESの被加工部位を所定形状に打ち抜く。これにより、打抜部材Wが形成される。この打抜加工を繰り返すことにより、複数の打抜部材Wが互いに仮カシメ42によって締結されながら所定枚数積層されて、一つの積層体30が製造される。
【0081】
打抜装置130から積層体30が排出されると、図示しない除去装置により積層体30から仮カシメ部31が除去される。例えば、除去装置は、積層体30のうち固定子積層鉄心1Bとなる部分を固定し、仮カシメ部31に対して積層方向にピストン等で力を付与する。これにより、積層体30から仮カシメ部31が取り除かれ、隣り合う加工板10同士が締結されていない状態で複数の加工板10が積層された仮積層体が形成される。」
「【0083】
図12に示されるように、第2実施形態に係るマスク部材202は、ヨーク部4の周方向に沿って所定間隔に並ぶ複数の開口組202bを含む。各開口組202bはそれぞれ、ティース部5の延在方向に沿って一列に並ぶ複数の開口部202aによって構成されている。従って、マスク部材202を介してレーザ光源203からレーザ光が加工板10の主面(上面S1又は下面S2)に照射されると、ティース部5の延在方向に沿って一列に並ぶ複数の露出領域Rexが、加工板10の主面に複数組形成される。このとき、加工板10の周囲にスタンピングオイルが付着している場合には、レーザ光によって露出領域Rexからスタンピングオイルが除去される。なお、積層体2の最上層をなす加工板の上面S1及び積層体2の最下層をなす加工板の下面S2には他の加工板10が接着されないので、これらの面には、レーザ光が照射されず、露出領域Rexが形成されなくてもよい。
【0084】
続いて、主面に露出領域Rexが形成された加工板10は、図示しない搬送装置又は人手により、接着剤供給装置に搬送される。接着剤供給装置は、一つの加工板10の上面S1に形成された露出領域Rexに接着剤20をスポット状に供給する。接着剤供給装置は、続いて一つの加工板10が搬送されると、当該後続の加工板10を、一つ前の加工板10の上に積み重ねる。これにより、後続の加工板10の下面S2に形成された露出領域Rexと、一つ前の加工板10の上面S1に形成された露出領域Rexとが、接着剤20を介して接合される。接着剤供給装置は、これらの作業を加工板10の一つ一つに対して繰り返し行う。これにより、隣り合う加工板10同士が接着剤20によって接合されて、固定子積層鉄心1Bが完成する。」
「【0090】
溶接部50は、積層体2の積層方向において凹溝6に沿って延びるように、凹溝6内に形成されている。すなわち、溶接部50は、積層体2の外周面に形成されている。露出領域Rexは、各打抜部材Wのうち凹溝6の近傍に形成されている。そのため、溶接部50は、露出領域Rexを介して、積層体2の積層方向において隣り合う打抜部材Wの母材W1同士を接合している。第3実施形態では、積層体2の積層方向において隣り合う打抜部材W同士は、ティース部5に設けられたカシメ部60によっても互いに接合されている。」
「【0100】
<他の実施形態>
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、上記の第1及び第2実施形態において、露出領域Rexを形成した後に、露出領域Rexにおける母材W1に対して露出領域Rexの表面改質処理又は粗面化処理を行ってもよい。表面改質処理とは、コロナ放電により打抜部材Wの周囲にプラズマを生成することで、樹脂との結合性を高める官能基を母材W1の表面に形成する処理をいう。粗面化処理とは、化学的又は物理的に母材W1の表面に微細な凹凸を形成する処理をいう。この場合、樹脂部3又は接着剤20と露出領域Rexとの接合性能が、化学的又は物理的に高められる。そのため、複数の打抜部材W又は加工板10をさらに確実に接合することが可能となる。」
「【0106】
上記の各実施形態において、打抜部材W又は加工板10同士は、カシメによって互いに接合されていてもよいし、接着剤によって互いに接合されていてもよいし、溶接によって互いに接合されていてもよい。あるいは、上記の第1及び第3の実施形態の積層体2も、積層体30から仮カシメ部31が除去されたものであってもよい。」
「【図10】
[図:0001429789000001.jpg]
」
「【図13】
[図:0001429789000002.jpg]
」
(2) 引用文献2に記載された発明
ア 引用文献2の段落0075、0084の記載によると、第2実施形態に係る固定子積層鉄心1Bは、加工板10の積層体2において、隣り合う加工板10同士を接着剤20によって接合して完成するものであるから、加工板10は、積層方向において隣り合うものといえる。
そして、引用文献2の段落0080、0081の記載によると、打抜部材Wは、積層体における加工板10であって、また、引用文献2の段落0075及び段落0030の記載によると、打抜部材Wは、電磁鋼板ESから打ち抜かれて形成されたものであって、薄板状の母材W1と、絶縁皮膜W2とを含み、絶縁皮膜W2は、母材W1の両主面である上面S1及び下面S2に形成されたものである。よって、引用文献2には、「電磁鋼板ESから形成され、積層方向において隣り合い、薄板状の母材W1と、絶縁皮膜W2とを含み、絶縁皮膜W2は、母材W1の両主面である上面S1及び下面S2に形成されている、加工板10」が記載されている。
イ 引用文献2の段落0075には、積層体2の積層方向において隣り合う加工板10(鉄心部材)同士が接着剤20(接合部)によって接着されていることが記載されている。また、引用文献2の段落0084及び図10には、接着剤20(接合部)が、積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の間に設けられることが示されている。よって、引用文献2には、「積層体2の積層方向において隣り合う加工板10同士の間に設けられ、前記加工板10同士を接着する接着剤20(接合部)」が記載されている。
ウ 引用文献2の段落0024及び図10によると、「積層体2は、ヨーク部4と、複数のティース部5とを有し、前記ヨーク部4は、円環状を呈しており」、段落0026及び図10によると、「各ティース部5は、前記ヨーク部4の内縁から径方向に沿って延びるとともに、周方向において、略等間隔で並んでおり」、また、図10から、「ティース部5に接着剤20(接合部)が設けられる」ことが見て取れる。
エ 以上を踏まえると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「電磁鋼板ESから形成され、積層方向において隣り合い、薄板状の母材W1と、絶縁皮膜W2とを含み、絶縁皮膜W2は、母材W1の両主面である上面S1及び下面S2に形成されている、加工板10と、
積層体2の積層方向において隣り合う加工板10同士の間に設けられ、前記加工板10同士を接着する接着剤20(接合部)と、を備え、
積層体2は、ヨーク部4と、複数のティース部5とを有し、前記ヨーク部4は、円環状を呈しており、各ティース部5は、前記ヨーク部4の内縁から径方向に沿って延びるとともに、周方向において、略等間隔で並んでおり、
前記ティース部5に接着剤20(接合部)が設けられる、固定子積層鉄心1B。」
2 引用文献1に記載された公知技術
(1) 引用文献1の記載
当審の拒絶理由通知で引用された特開2002-262485号公報(以下、「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。
「【0009】また、本件発明は、固定子分割部材は、複数の電磁鋼板を接着剤のみで連結したことを特徴とする電動機であり、溶接による電磁鋼板の電気的絶縁の破壊を抑えることができる。
【0010】また、本件発明の固定子分割部材は、各電磁鋼板を溶接により連結しており、前記固定子分割部材の極歯部に溶接点を設けないことで、磁束の変化が激しい箇所に溶接点を設けない。」
「【0018】図2(a)(b)は、固定子極歯部の斜視図を示している。固定子極歯部10は、固定子コアシートを積層したもので、内周部11と外周部12のコアシート積層面に接着剤を浸透させて積層固定したものである。接着剤は100mPa・S程度以下の低粘度なシアノアクリルレート系瞬間接着剤を用いる。このように、溶接やカシメを用いることなく積層した固定子極歯部にインシュレータを介して巻線を施し、環状に組み合わせた固定子を用いたモータは、溶接部にて電気絶縁が破壊されることで渦電流が増加し、効率が悪化するということはない。簡単な構造で小型高効率、高性能な集中巻固定子を用いたモータを実現することができる。」
「【0020】固定子極歯部20は、固定子コアシートを積層したもので、内周部21のコアシート積層面に接着剤を浸透させて積層固定したものである。接着剤は100mPa・S程度以下の低粘度なシアノアクリルレート系瞬間接着剤を用いる。外周部22は外周部からコアシート積層外周面の一部を溶接している。固定子内径部は、回転子と対面していて、磁束の変化が激しい箇所であり、ここでの電磁鋼板同士の絶縁破壊は、大幅に渦電流損が増加し効率の悪化を招く。本発明は、内径部を溶接していないので高効率である。」
「【0022】また、外径は溶接しているので、積層固定の強度もあり、大型モータにも適用できる。」
(2) 引用文献1に記載された公知技術
ア 引用文献1の段落0009、0018には、固定子の複数の電磁鋼板を接着剤のみで連結することが記載されている。
イ 引用文献1の段落0010、0020には、固定子の複数の電磁鋼板を接着剤と溶接のみで連結することが記載されている。
ウ よって、引用文献1には、下記の公知技術が記載されているといえる。
「固定子の複数の電磁鋼板を接着剤のみで連結してもよいし、接着剤と溶接のみで連結してもよく、内径部を溶接せず外径を溶接すれば、高効率であり、積層固定の強度もあること。」
第5 対比
本願発明と、引用発明2とを対比する。
1 引用発明2の固定子積層鉄心1Bは、「積層コア」といえ、また分割コアではない。
そうすると、引用発明2は、「積層コア(ただし、分割コアであるものを除く)」に係る発明である点で、本願発明と共通する。
2 引用発明2の「加工板10」は、「積層方向において隣り合」うところ、複数の「加工板10」が互いに積層されている。また、引用発明2の「母材W1の両主面である上面S1及び下面S2」は、本願発明の「両面」に相当し、引用発明2の「絶縁皮膜W2」は、本願発明の「絶縁被膜」に相当する。よって、引用発明2の「電磁鋼板ESから形成され、積層方向において隣り合い、薄板状の母材W1と、絶縁皮膜W2とを含み、絶縁皮膜W2は、母材W1の両主面である上面S1及び下面S2に形成されている、加工板10」は、本願発明の「互いに積層され、両面が絶縁被膜により被覆された複数の電磁鋼板」に相当する。
3 引用発明2の「積層体2の積層方向において隣り合う加工板10同士の間に設けられ、前記加工板10同士を接着する接着剤20(接合部)」は、本願発明の「積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の間に設けられ、前記電磁鋼板同士をそれぞれ接着する接着部」に相当する。
4 引用発明2の「積層体2は、ヨーク部4と、複数のティース部5とを有し、前記ヨーク部4は、円環状を呈しており、各ティース部5は、前記ヨーク部4の内縁から径方向に沿って延びるとともに、周方向において、略等間隔で並んで」いるから、引用発明2の、積層体2を構成する、電磁鋼板ESから形成された加工板10は、「環状のコアバック部と、前記コアバック部から径方向に向けて突出するとともに、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部と」を備える点で、本願発明の電磁鋼板と一致する。
5 引用発明2は、「前記ティース部5に接着剤20(接合部)が設け」られているから、「前記ティース部に前記接着部が設けられ」といえる点で、本願発明と一致する。
6 以上を踏まえると、本願発明と引用発明2とは、以下の点で一致し、相違する。
(1) 一致点
「互いに積層され、両面が絶縁被膜により被覆された複数の電磁鋼板と、
積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の間に設けられ、前記電磁鋼板同士をそれぞれ接着する接着部と、を備え、
前記電磁鋼板は、環状のコアバック部と、前記コアバック部から径方向に向けて突出するとともに、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部と、
を備え、
前記ティース部に前記接着部が設けられる、積層コア(ただし、分割コアであるものを除く)。」
(2) 相違点
本願発明が、「前記電磁鋼板同士がそれぞれ溶接された溶接部」を備え、「前記電磁鋼板同士は、前記接着部及び前記溶接部のみによって接合され」、「前記コアバック部に前記溶接部が設けられる」のに対し、引用発明2は溶接部を備えていない点。
第6 判断
1 相違点の判断
上記第4の1(1)のとおり、引用文献2の段落0100には、種々の変形を実施形態に加えてもよいことが記載されており、引用文献2の段落0106には、各実施形態において、加工板10同士は、溶接によって互いに接合されていてもよいことが記載されている。
そして、上記第4の2(2)ウの「固定子の複数の電磁鋼板を接着剤のみで連結してもよいし、接着剤と溶接のみで連結してもよく、内径部を溶接せず外径を溶接すれば、高効率であり、積層固定の強度もあること。」との公知技術を踏まえれば、複数の電磁鋼板で固定子を構成するという共通する技術分野に属する引用発明2の電磁鋼板同士を「接着剤と溶接のみで連結」し、「外径を溶接」することは、当業者が容易に想到し得ることである。
2 小括
したがって、本願発明は、引用発明2及び引用文献1に記載された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、令和7年6月2日付けで当審において通知した理由2(進歩性)は解消していない。
3 請求人の主張について
(1) 請求人の主張
請求人は、令和7年7月28日提出の意見書(以下「意見書」という。)で、当審における引用文献2及び引用文献1に基づく理由2(進歩性)について次の主張をした。
「また、引用文献2(特開2019-071745号公報)について、引用文献2には、コアバック部に溶接部を設けることは開示されていません。更に、引用文献2には分割コアが開示されていないことから、当業者であれば、分割コアでない引用文献2に、分割コアのみが開示された引用文献1の教示を適用しないと思料いたします。」
(2) 請求人の主張の検討
引用文献2には、引用発明2とは別の実施形態の第3実施形態として、溶接部50を積層体2の外周面に形成し、ティース部5にカシメ部60を設けることにより打抜部材W同士を接合することが記載されている(上記第4の1(1)の段落0090、図13等参照。)。
したがって、引用文献2には、積層体2の外周面、すなわち、コアバック部に溶接部を設けることは開示されている。
また当該記載によって、引用文献2には固定手段を二つ組み合わせるという技術思想も開示されていることを踏まえれば、引用発明2に、接着と溶接という二つの固定手段を組み合わせる公知技術の適用を阻害する要因があるともいえない。
そして、引用文献1に記載された公知技術が、分割コアか一体コアかに関わらず、固定子の電磁鋼板の積層方法として採用し得ることは明らかであるから、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-018835