特許拒絶査定不服審判
2024-017981
色計測学を用いた基板の厚さ測定
- 審判番号
- 2024-017981
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-093649
- 請求日
- 2024年11月11日
- 審決日
- 2026年03月30日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 後藤 亮治
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 関口 英樹
- 分類
- P18 .121-Z (G01B) / P18 .575-Z (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 93649「色計測学を用いた基板の厚さ測定」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 9月 6日出願公開、特開2022-130452〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)8月25日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2019-511393号)の一部を、令和4年6月9日に新たな外国語書面出願としたものであって(パリ条約による優先権主張 2016年8月26日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 7月 5日 :翻訳文の提出
同日 :手続補正書の提出
令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書
同年12月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同月28日付け:拒絶理由通知書
令和6年 4月16日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月 9日 :原査定の謄本の送達)
同年11月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、2016年(平成28年)8月26日を「優先日」という。
第2 令和6年11月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月11日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年11月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年4月16日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項7の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項7の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項7】
基板の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システムであって、
集積回路製造用の基板を保持する支持体と、
前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラと、
コントローラであって、
前記基板のスクライブラインを表す、はみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し、
前記カラーカメラから前記カラー画像を受信し、
ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、
前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、
前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成し、
前記マスクされたカラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、
前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定し、
前記座標空間内の前記ピクセルの前記座標に基づいて前記基板の層の厚さを表す値を決定するように構成されたコントローラと、
を備える、計測システム。」
(2) 本件補正後
「 【請求項7】
基板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システムであって、
集積回路製造用の基板を保持する支持体と、
前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラと、
コントローラであって、
前記基板のスクライブラインを表す、はみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し、
前記カラーカメラから前記カラー画像を受信し、
ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、
前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、
前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成し、
前記マスクされたカラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、
前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定し、
前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存し、
前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定するように構成されたコントローラと、
を備える、計測システム。」
2 補正の目的
(1) 本件補正のうち請求項7についてする補正は、本件補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のア及びイの限定をするものである。
ア 「基板の層」について、「基板上」の層であることに限定すること。
イ 「前記ピクセルの前記座標に基づいて」「厚さを表す値を決定する」ことについて、「座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存し、前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置」に基づいて行うものに限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項7に記載された発明と本件補正後の請求項7に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項7に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項7に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、本件補正後の請求項7における「はみ出る画像の部分を表す画像マスク」との記載があるが、何からはみ出る画像であるのか明りょうでない。そこで、発明の詳細な説明における段落【0052】の「任意選択により、画像マスクは、画面からはみ出る画像データ部分に適用されうる(ステップ260)。例えば、図3を参照すると、典型的な基板10は複数のダイ12を含む。スクライブライン14はダイ12を分割しうる。幾つかの応用では、ダイに対応する画像データのみを処理するのが有用となりうる。この場合、図4を参照すると、非マスク領域22は空間位置でダイ12に対応し、マスク領域24はスクライブライン14に対応した状態で、画像マスクはコントローラによって保存可能である。マスク領域24に対応する画像データは、閾値化ステップ中に処理されないか、使用されない。」(なお、下線は当合議体が付したものである。)との記載を参酌するに、当該記載は、「後続の画像処理される部分からはみ出る画像の部分を表す画像マスク」を意味するものとと解して、以下検討する。
また、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成C(CF2)までに分説する。そして、参考図として、本願の【図1】及び【図6】に部材名等を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
X 基板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システムであって、
A 集積回路製造用の基板を保持する支持体と、
B 前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラと、
C コントローラであって、
CA 前記基板のスクライブラインを表す、後続の画像処理される部分からはみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し、
CB 前記カラーカメラから前記カラー画像を受信し、
CC ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、
CD 前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、
CE 前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成し、
CF 前記マスクされたカラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、
CF1 前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定し、
CF2 前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存し、前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定するように構成された
C コントローラと、
X を備える、計測システム。
<参考図>
【図1】
[図:0001438786000001.jpg]
【図6】
[図:0001438786000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。
「【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の層の厚さの計測などのための光学計測学に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、シリコンウェハに導電層、半導電層、又は絶縁層を連続して堆積させることによって、基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面上に充填層を堆積し、充填層を平坦化することを含む。ある応用例では、充填層は、パターン層の上面が露出するまで平坦化される。
…(中略)…
【0004】
スラリ分布、研磨パッド状態、研磨パッドと基板の間の相対速度、および基板への荷重の各ばらつきが、材料除去速度のばらつきを生じさせる可能性がある。これらのばらつき、並びに基板層の初期厚さのばらつきが、研磨終点に到達するのに必要な時間のばらつきを生じさせる。従って、単に研磨時間の関数として研磨終点を決定することは、基板の過剰研磨、又は研磨不足につながりうる。
【0005】
インライン又は単体の計測ステーションなどで、研磨前及び研磨後の基板の厚さ測定には、分光や偏光などの様々な光学計測システムが使用できる。加えて、単色光学モニタリングや渦電流モニタリングなどの、様々なインシトゥ(その場の)モニタリング技術が研磨終点の検出に利用できる。
【0006】
一態様では、基板の層の厚さを表す測定値を得るための計測システムは、集積回路製造のための基板と、支持体によって保持される基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラと、コントローラとを含む。コントローラは、カメラからカラー画像を受け取り、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間に所定の経路を保存し、所定の経路上の位置の関数として厚さを表す値を提供する関数を保存し、カラー画像のピクセルに関して当該ピクセルのカラー画像のカラーデータから座標空間での当該ピクセルの座標を決定し、当該ピクセルの座標に最も近い所定の経路上の点の位置を決定し、所定の経路上の点の関数と位置から厚さを表す値を計算するように構成されている。」
「【0019】
基板上の層の厚さは、例えば、インライン又は単体の計測ステーションで、研磨の前又は後に光学的に測定されうる。しかしながら、分光分析などの幾つかの光学的手法は、高価な分光器と、スペクトルデータに対して計算負荷の大きい操作が必要となる。計算負荷は別として、幾つかの状況では、アルゴリズムは増大し続けるユーザーの精度要件を満たせない結果となる。しかしながら、別の計測手法は、基板のカラー画像を取得し、色空間内で画像を解析して、層の厚さを決定する。特に、2次元色空間内の経路に沿った位置は、研磨の現在の状態に関する情報、例えば、材料の除去量又は残存量などの情報を提供することができる。」
「【0056】
図6及び図7を参照すると、厚さを表す値を計算するため、
2つのカラーチャネルの座標空間500内の所定の経路604は、例えば、コントローラ190のメモリ内に保存される(ステップ710)。所定の経路は基板の測定に先立って生成される。経路404は、開始座標402から終了座標406まで続きうる。経路404は、開始時の基板の層の厚さに対応する開始座標402、及び層の最終の厚さに対応する終了座標によって、全研磨処理を表すことができる。別の態様では、経路は研磨処理の一部だけ、例えば、研磨終了時の基板を横切る層の厚さの予想される分布を表しうる。
…(中略)…
【0062】
厚さ経路604は、1本の線、ポリライン、一又は複数の円弧、一又は複数のベジェ曲線などの様々な関数によって提供されうる。幾つかの実装では、厚さ経路604は、座標空間の離散点間に引かれた線分の組であるポリラインによって提供される。
【0063】
図6に戻ると、関数が所定の厚さ経路604上点と厚さの値との間の関係を提供する。例えば、コントローラ190は、所定の厚さ経路604の始点602に対する第1の厚さの値と、所定の厚さ経路604の終点606に対する第2の厚さの値を保存することができる。第1及び第2の厚さの値は、始点602及び終点606にそれぞれ最も近い点802を提供するピクセルに対応する位置で、基板層の厚さを測定する従来の厚さ計測システムを用いて取得可能である。
【0064】
操作中、コントローラ190は、始点602から所定の点610までの経路604に沿った距離に基づいて、第1の値と第2の値との間を補間することによって、経路604上の所定の点610での厚さを表す値を計算することができる。例えば、コントローラが、
T=T1+D/L(T2-T1)
に基づいて、所定の点610の厚さTを計算できるとすると、T1は始点602に対する値で、T2は終点606に対する値で、Lは始点602と終点606との間の経路に沿った総距離で、Dは始点602と所定の点610との間の経路に沿った距離となる。」
(当審注:【0056】における「経路404」、「開始座標402」、「終了座標406」は、正しくは、それぞれ、「経路604」、「開始座標602」、「終了座標606」であると思われる。)
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2004-279297号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 請求項1
「【請求項1】
波長の分布が広範囲にわたる光源からの照射光を測定対象物である基板上に設けた被膜に入射させ、前記被膜からの干渉を起こした反射光を受光装置により測定し、測定した反射光の波長毎に干渉光の強度が極大,極小をとる膜厚が異なることによる干渉光の色の変化を検出することによって前記被膜の膜厚を取得することを特徴とする膜厚取得方法。」
(イ) 【0001】~【0012】
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は膜厚取得方法に関するものであり、例えば、液晶表示装置等の製造工程において、平板上に薄膜を塗布する際に、塗布した薄膜の膜厚の分布を簡単な装置で高速に得るための構成に特徴のある膜厚取得方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置等の製造工程においては、フォトレジストの塗布工程或いは反射防止膜の成膜工程等の多数の薄膜の形成工程を必要としているが、このような薄膜の形成工程においては、薄膜の膜厚を均一にする必要があり、特に、液晶パネルが大型化するにともなって、製造歩留りを高めるためにはより一層の面内均一化が必要になっている。
【0003】
従来、この様な薄膜の膜厚を非接触で測定する方法としては、干渉による偏光の変化を用いるタイプと、干渉による分光反射率の変化を用いるものなどが知られている。
【0004】
このうち、干渉による偏光の変化を用いるタイプとしては、エリプソメータがあり、このエリプソメータは、入射光と反射光の偏光の変化を測定して解析し、膜厚、光学定数、物質特性などを測定する装置である。
この測定で得られるデータは多岐に渡ること、複雑な構成の膜などの測定も可能であることなどの特徴があるが、装置は一般に高価である。
【0005】
一方、分光反射率を利用した膜厚計は、白色光を薄膜で反射させると、干渉のために波長によって反射強度が変動する分光反射率が得られる。
これを分光器で測定して得られた波形とのフィッティングや極大・極小解析により膜厚や光学定数を測定することができる。
【0006】
また、反射光の色度を用いて色材層の厚さを測定する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この提案においては、色材層そのものが持つ色が、厚さが増すにつれて変化して見えることを利用したものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平7-225119号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来での膜厚検査技術は、基本的に同時には局所的な1点の膜厚を測定することしかできないという問題があり、基板面内の膜厚分布を測定するためには多大の時間を要するという問題がある。
【0009】
また、エリプソメータにせよ、分光器を用いた膜厚計にせよ、測定器部分が高価で大掛かりなため、測定器をアレイ状に配置して同時に広い面積を測定するというアプローチをとることも現実的には困難である。
【0010】
そのため、広い面積の膜厚分布を取得するためには、測定器を測定対象物に沿って走査することが必要となるが、液晶パネルなどを高い解像度で膜厚分布測定を行おうとすれば、多大な時間を要することになる。
特に、液晶パネルの大画面化に伴って測定に要する時間が大幅に増大することになる。
【0011】
また、上記の特許文献1における提案は、薄膜における干渉による着色を利用したものではないので数十μm~数μmのオーダーの膜厚の測定を対象とするものであり、サブミクロンオーダーの透明薄膜の膜厚を数%以上の精度で測定することができないという問題がある。
【0012】
したがって、本発明は、簡単な構成により平板上に設けた薄膜の膜厚の面内分布を高速に取得することを目的とする。」
(ウ) 【0013】~【0015】、【図1】
「【0013】
【課題を解決するための手段】
図1は、本発明の原理的構成を表す膜厚と色度の相関を示す概念図であり、ここで、図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、膜厚取得方法において、波長の分布が広範囲にわたる光源からの照射光を測定対象物である基板上に設けた被膜に入射させ、被膜からの干渉を起こした反射光を受光装置により測定し、測定した反射光の波長毎に干渉光の強度が極大,極小をとる膜厚が異なることによる干渉光の色の変化を検出することによって被膜の膜厚を取得することを特徴とする。」
「【図1】
[図:0001438786000003.jpg]
」
「【0014】
従来のように、膜厚の変化を波長依存性や偏光状態の変化として捉えるのではなく、色の変化として捉えることにより、受光装置は光の色合いの変化を取得するだけで良いので装置構成が簡素化され、且つ、測定の高速化が可能になる。
【0015】
また、薄膜における反射光の波長毎の干渉光の強度の変化による色合いの変化を利用しているので、無色の膜の膜厚の測定も可能になり、且つ、サブミクロンオーダの膜厚を数%の精度で測定することが可能になる。」
(エ) 【0016】~【0021】
「【0016】
(2)また、本発明は、上記(1)において、干渉光の色合いの基準として、XYZ表色系に基づく色度を用いたことを特徴とする。
【0017】
この場合の干渉光の色合いの基準としてとしては、CIEが定めた表色基準であるXYZ表色系のX,Y,Zの等色関数に基づく色度x,y,zを用いることが望ましい。
この場合、図1に示すように、膜膜のx-y色度平面における座標は、膜厚によって異なるので、色度x,yを取得することによって膜厚を換算することが可能になる。
【0018】
(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、受光装置として、エリアセンサタイプのイメージセンサを用いて、薄膜の膜厚の2次元分布を得ることを特徴とする。
【0019】
このように、受光装置としてエリアセンサタイプのイメージセンサを用い、イメージセンサの各ピクセルを個々の受光素子として使うことによって、大面積の2次元膜厚分布を高速に取得することが可能になる。
なお、この場合、イメージセンサは、CCD型、CMOS型、或いは、MOS型のいずれでも良いものである。
【0020】
(4)また、本発明は、上記(3)において、受光装置により、R,G,B毎の画像を取得することを特徴とする。
【0021】
このように、受光装置により、R,G,B毎の画像を取得することによって、RGB値をXYZ値に変換し、このXYZ値に基づいて色度x,yを取得すれば良い。」
(当審注:【0017】における「膜膜」は、「薄膜」の誤記であると認める。)
(オ) 【0022】~【0026】、【図2】
「【0022】
【発明の実施の形態】
ここで、図2乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の膜厚取得方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施の形態に用いる膜厚取得装置の概念的構成図であり、面光源11、撮像用レンズ15を備えたエリアセンサ型のカラーCCDカメラ12、測定対象の薄膜を成膜した測定パネル13、測定パネル13を水平に載置・保持するステージ14から構成される。」
「【図2】
[図:0001438786000004.jpg]
」
「【0026】
この様な膜厚取得装置によって、測定パネル13の画像を撮像することによって、カラーCCDカメラ12を構成するCCDの各ピクセルについて、各ピクセルの対応する位置における薄膜の膜厚の違いによる色合いの違いから、異なるRGB値の出力が得られる。」
(カ) 【0027】~【0031】
「【0027】
なお、ここで使用するカラーCCDカメラ12は、カラーフィルタのRGBの関数がルーター条件を満たしているものを使用する。
このルーター条件とは、測色のためのカラーCCDカメラ12のRGBの関数が、等色関数の線形変換となっていることであり、等色関数としてはCIEが定めた国際的な表色基準であるXYZ表色系のX,Y,Zの等色関数を用いる。
【0028】
このとき、カラーCCDカメラ12を用いて取得した画像のRGB値は、次のようにして色度x,yに変換する。
まず、(1)式によって、RGB値をXYZ値に変換する。
【数1】
[図:0001438786000005.jpg]
なお、(1)式におけるAはカラーフィルタの特性を表す3行3列の変換行列である。
【0029】
次いで、(2)式によって、XYZ値を色度x,yに変換すれば良い。
【数2】
[図:0001438786000006.jpg]
【0030】
次いで、得られた色度x,yから膜厚への変換方法を説明する。
上述の図1に示したように、薄膜の膜厚が変化するにつれて、色度はx-y平面上を移動する。
【0031】
このとき、どの膜厚の時に、どの平面上のどの座標になるかを、使用する光源の波長強度分布、測定対象となる薄膜の屈折率を基にして図1のような変動をテーブル化してリファレンスとし、実測によって得られた色度座標をこのリファレンスとフィッティングすることによって膜厚を求める。
なお、膜厚の変化が大きい場合、異なる膜厚の時にも色度が近い値をとることがあるが、その場合は膜厚範囲を限定するなどの方法で対処すれば良い。」
(キ) 【0032】~【0035】
「【0032】
以上を前提として、次に、図3乃至図6を参照して、具体的膜厚取得方法を説明する。
図3参照
図3は、撮像時のカラーCCDカメラと測定パネルの位置関係の説明図であり、測定対象として、大型液晶パネルに用いる1800mm×1500mmのサイズのガラス基板21上に設けたSiO2膜22とする。
なお、SiO2の屈折率nは、λ=632.8nmの時に、n=1.45となる。
【0033】
ここでは、測定対象のSiO2膜22を設けたガラス基板21の表面から、カラーCCDカメラ12の撮像用レンズ15の主点までの高さHを440mmに設定する。
このとき、撮像用レンズ15の焦点距離を4mm、CCDのサイズを1/3インチタイプとすると、画角は約61°×48°となる。
【0034】
ガラス基板21表面における440mmの高さから48°の範囲は約400mmであり、また、61°の範囲は760mmとなるので、1800mm×1500mmの面積をカバーするためには、ガラス基板21を3×4に12分割して撮像する必要がある。
【0035】
また、ここではSiO2 膜22の膜厚は、およそ400nm程度とし、これを、3%の膜厚変化を検出可能にすることを目標とする。
400nmの3%は12nmで、安全率を見込んで0.3%を目標とすると、1.2nmの膜厚変化を検出する必要がある。」
(ク) 【0036】~【0038】、【図4】~【図6】
「【0036】
図4及び図5参照
図4及び図5は、ある光源のもとで、視野角30°から見た時の薄膜の膜厚の変化に伴う色度の変化をシミュレーションした結果を変換テーブルとして示したものである。」
「【図4】
[図:0001438786000007.jpg]
」
「【図5】
[図:0001438786000008.jpg]
」
「【0037】
図6参照
上記の図4及び図5に示したデータをグラフすることによって、図6に示した色度曲線が得られた。」
「【図6】
[図:0001438786000009.jpg]
」
「【0038】
ついで、カラーCCDカメラ12を用いて所定領域のRGB値を一括して取得し、上記の式(1)及び(2)から、各ピクセルに対応する領域の色度座標(x,y)を求め、予め取得したデータとフィッティングして膜厚を求める。」
(ケ) 【0040】~【0044】
「【0040】
使用するR,G,Bのそれぞれについて10ビットの諧調を持つCCDカメラについて、RGB値からXYZ表色系のXYZ値に変換する具体的式が、下記の式(3)で表すことができるとする。
【数3】
[図:0001438786000010.jpg]
【0041】
カラーCCDカメラ12で測定パネル13の視野角θ=30°の点Pにおいて取得したRGB値が、下記の(4)式である。
【数4】
[図:0001438786000011.jpg]
【0042】
次いで、これを上記の(1)式で線形変換し、さらに上記(2)式により、
x=0.308
y=0.365
の色度座標が得られる。
【0043】
この色度座標(x,y)と、図4及び図5に示した変換テーブルのデータとをフィッテォングして、最も差が小さくなる膜厚を検出したところ、点Pの膜厚dは、d=388nmとなる。
【0044】
なお、求める点の視野角が、点Pとは異なる場合は、それぞれの視野角ごとに図4及び図5と同様なテーブルを作成して変換することで、測定パネル全体の膜厚分布を求めることができる。」
(コ) 【0047】~【0051】
「【0047】
また、上記実施の形態においては、予めシミュレーションにより膜厚-色度相関の変換テーブルを作成し、このテーブルとフィッティングすることによって膜厚を求めているが、実際にさまざまな膜厚のリファレンスを測定して、膜厚-色度相関の変換テーブルを作成しておいても良いものであり、この時の光源は実際の製造工程における薄膜の膜厚を測定するときと同じ波長強度分布を有する光源を用いることが望ましい。
…(中略)…
【0050】
また、本発明は、液晶パネルに限られるものではなく、プラズマ表示装置等の他の表示装置における成膜工程、或いは、半導体装置等の各種のデバイスの製造工程における各種の成膜工程にも適用されるものである。
【0051】
さらには、本発明は特定の装置の成膜工程に限られるものではなく、表面が平坦な基板にミクロン~サブミクロンオーダの薄膜を成膜する全ての成膜工程に適用されるものである。」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 認定事項1
段落【0032】、図3から、測定パネル13の例として大型液晶パネルが記載されていると認められる。(以下「認定事項1」という。)
(イ) 認定事項2
段落【0017】、【0036】、【0042】、【0043】、図4、図5から、「得られた色度座標(x,y)と、ある光源のもとで、視野角30°から見た時の薄膜の膜厚の変化に伴う色度の変化をシミュレーションした結果である変換テーブルのデータとをフィッティングして、各膜厚の色度座標と得られた色度座標(x,y)との差が最も小さくなる膜厚を各ピクセルの膜厚として決定すること」が記載されていると認められる。(以下「認定事項2」という。)
ウ 引用発明の認定
(ア) 引用発明1A
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、図3~6に関連する次の発明(以下「引用発明1A」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明1A>
「面光源11、撮像用レンズ15を備えたエリアセンサ型のカラーCCDカメラ12、測定対象の薄膜を成膜した測定パネル13、測定パネル13を水平に載置・保持するステージ14から構成される膜厚取得装置であって、(【0022】)
測定パネル13が大型液晶パネルであって、(認定事項1)
測定対象として、大型液晶パネルに用いるガラス基板21上に設けたSiO2膜22とし、(【0032】)
干渉光の色合いの基準として、XYZ表色系に基づく色度を用い、(【0016】)
図1に示すように、薄膜のx-y色度平面における座標が膜厚によって異なることを利用して、色度x,yを取得することによって膜厚に換算するものであり、(【0017】)
測定パネル13の画像を撮像することによって、カラーCCDカメラ12を構成するCCDの各ピクセルについて、異なるRGB値の出力を得て、(【0026】)
RGB値をXYZ値に変換し、(【0028】)
次いで、XYZ値を色度x,yに変換し、(【0029】)
得られた色度座標(x,y)と、ある光源のもとで、視野角30°から見た時の薄膜の膜厚の変化に伴う色度の変化をシミュレーションした結果である変換テーブルのデータとをフィッティングして、各膜厚の色度座標と得られた色度座標(x,y)との差が最も小さくなる膜厚を各ピクセルの膜厚として決定するものであり、(認定事項2)
膜厚-色度相関の変換テーブルを作成は、シミュレーション、又は、さまざまな膜厚のリファレンスの測定により行う、(【0047】)
膜厚取得装置。」
(イ) 引用発明1B
前記ア(ア)~(ウ)の摘記事項から明らかなように、引用文献1における測定対象である基板及び基板上の薄膜は、液晶パネルに用いるガラス基板及びガラス基板上のSiO2膜に限定されるものではないところ、前記ア(コ)の【0050】には、「半導体装置等の各種のデバイスの製造工程における各種の成膜工程にも適用される」ことが記載されている。
そこで、半導体装置の成膜工程で、光学的に膜厚が測定される対象を検討するに、「半導体製造装置」の技術分野において、当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開平10-311708号公報の【0001】~【0003】等の記載事項、特開平8-240413号公報の【0001】~【0014】、【0045】等の記載事項に例示されるように、「半導体ウエハの製造に際し、基板上に形成されたSiO2等の絶縁膜の成膜工程において、成膜工程の管理のために絶縁膜の膜厚を光学的に測定すること。」は、当業者にとって技術常識(以下「技術常識1」という。)であったと認められる。
かかる技術常識1を踏まえるに、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1B」という。)は記載されているに等しい事項と認められる。
<引用発明1B>
「面光源11、撮像用レンズ15を備えたエリアセンサ型のカラーCCDカメラ12、測定対象の薄膜を成膜した測定パネル13、測定パネル13を水平に載置・保持するステージ14から構成される膜厚取得装置であって、
測定パネル13が半導体ウエハ基板であって、測定対象として、半導体ウエハ基板上に形成されたSiO2等の絶縁膜とし(技術常識1、【0050】)
干渉光の色合いの基準として、XYZ表色系に基づく色度を用い、
図1に示すように、薄膜のx-y色度平面における座標が膜厚によって異なることを利用して、色度x,yを取得することによって膜厚に換算するものであり、
測定パネル13の画像を撮像することによって、カラーCCDカメラ12を構成するCCDの各ピクセルについて、異なるRGB値の出力を得て、RGB値をXYZ値に変換し、次いで、XYZ値を色度x,yに変換し、
得られた色度座標(x,y)と、ある光源のもとで、視野角30°から見た時の薄膜の膜厚の変化に伴う色度の変化をシミュレーションした結果である変換テーブルのデータとをフィッティングして、各膜厚の色度座標と得られた色度座標(x,y)との差が最も小さくなる膜厚を各ピクセルの膜厚として決定するものであり、
膜厚-色度相関の変換テーブルの作成は、シミュレーション、又は、さまざまな膜厚のリファレンスの測定により行う、
膜厚取得装置。」
仮に、引用文献1に記載されているに等しい事項ではなかったとしても、引用発明1Bは、引用発明1A、【0050】の示唆及び技術常識1に基づいて、当業者が当然に想起し得たものであることから、以降の検討は、引用発明1Bに基づいて行うこととする。
(3) 各引用文献の記載事項及び引用文献7技術事項等の認定
ア 引用文献7に記載された事項及び引用文献7技術事項の認定
(ア) 引用文献7に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2013-211010号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 【0001】~【0006】
「【技術分野】
【0001】
…(中略)…
【0002】
本開示は、一般に、ウェーハ表面計測の分野に関し、特に、ウェーハ表面計測のための高度化されたサイトベースのナノトポグラフィシステム及び方法に関する。
【背景技術】
…(中略)…
【0005】
ナノトポグラフィは、約0.2~20mmの空間波長内の表面の偏差として定義される。ナノトポグラフィは、空間周波数でのウェーハ表面の凹凸のトポロジーマップにおける粗度と平坦度との間のギャップを埋める。シリコンウェーハのナノトポグラフィは、大体において、研磨プロセスによって決定づけられる。シリコンウェーハの両方の側部を同時に研磨するトゥループラネタリ・フリーフローティング両面研磨プロセス(true planetary, freefloating, double-sided polishing process)は、必要とされるナノトポグラフィ結果及び平坦度結果を技術的に達成する。
【0006】
ナノトポグラフィ及び平坦度の監視は、ウェーハ製造プロセスでの異なるステップにおいて重要である。入ってくるバルクウェーハのナノトポグラフィ及び平坦度は、最終的なウェーハ特性及びウェーハ結合能力にそれらが影響するため、重要なパラメータである。入ってくる200mm-及び300mm-ウェーハの平坦度特性は、ウェーハ加工中の軽微な変化を受けるので、最終的なウェーハ表面上のトポグラフィの微小な変動を検出するのに正確且つ包括的な計測機能が必要である。」
b 【0013】
「【0013】
本開示は、ウェーハを検査する方法に向けられる。方法は、ウェーハパーティショニングスキーム(ウェーハの区画について計画)を定義すること、ウェーハ表面イメージを得ること、低周波数表面成分を除去するためにウェーハ表面イメージをフィルタリングすること、鋭いウェーハエッジロールオフ(エッジにおける急峻な遮断)又はエッジ除外動作によって生じるデータ不連続性からの強いフィルタ応答を抑制するためにウェーハ表面イメージに対してウェーハエッジ処理を行うこと、ウェーハ表面イメージ上に存在するフィルタ応答を正規化すること、ウェーハパーティショニングスキームに従ってウェーハ表面イメージを複数の測定サイト(測定場所)にパーティショニング(区画)すること、フィルタされたウェーハ表面イメージに基づいて複数の測定サイトのそれぞれに関するメトリック値(測定値)を計算すること、及び複数の測定サイトのそれぞれに関して計算されたメトリック値をグラフ図で報告することを含む。」
c 【0020】~【0024】
「【0020】
本開示は、ウェーハ計測ツール及び干渉計測システムのような光学系の微小欠陥検査機能を提供するシステム及び方法に向けられる。さらに、変換ステップはまた、分析する目的で、後で詳細に説明されることになる付加的なプロセスに関連したメトリック値を抽出するのに使用されてもよい。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る表面フィーチャを検出する及び定量化するための高度化されたサイトベースのナノトポグラフィの主要なステップを例証する流れ図である。図1に示すように、ステップ102でデータ収集及びデータ処理レシピ(手順)が設定される。図2は、データ処理レシピを設定するための例示的なインターフェースである。この例示的なインターフェース(レシピエディタと呼ばれる場合がある)は、ユーザが種々の制御パラメータを設定/定義できるようにする。
【0022】
一実施形態では、制御パラメータは、a)異なるピクセルサイズの表面イメージに関する「ピクセルサイズ」、b)ウェーハ表面イメージ及びスクライブストリート(ウェハの分割ライン)マスキングのパーティショニングに関する「サイトアレイ」、c)ウェーハエッジマスクに関する「エッジ除外」、d)低周波数表面成分の除去及び表面フィーチャ/バックグラウンド・コントラストの強化のために用いられる異なるフィルタを選ぶことに関する「フィルタリング」、及びe)サイトベースの表面分析のための、限定はされないが、平均、ピーク、谷、PV範囲、二乗平均平方根(RMS)などを含むメトリクスの選択に関する「出力」、を含む。
【0023】
レシピエディタは、カルテシアン(Cartesian)・エディティング・フォーマットに限定されないことが考慮される。ウェーハ表面上の測定サイトはまた、等半径の及び角度のパーティションをもつ6つのセクタ及び6つのゾーンの例示的な設定に関する図3に示すように、セクタ及びゾーンを用いるポーラ(極:polar)・フォーマット(極アレイ)で定義することができる。或る状況では、ポーラ・フォーマットは、ウェーハエッジ領域に対するより良好な表面カバー率を生じることができ、他のツールからの測定とのより自然な整合を提供する。
【0024】
ウェーハ表面イメージ及びスクライブストリートマスキングのパーティショニングに関する「サイトアレイ」は、使用される座標系に基づいて様々に定義されてもよいことも考慮される。例えば、カルテシアンサイトに関しては、サイト幅、高さ、及びサイトX/Yオフセットが指定されてもよい。ポーラサイトに関しては、他方では、セクタの数及びゾーンの数が指定されてもよい。さらに、パターン形成されたウェーハに関しては、デバイス領域だけからメトリクスが導出されるようにスクライブストリートをマスキングで除去することができ、ウェーハの表面及び/又は裏面の両方をストリートマスキングのために選択することができる。」
(イ) 引用文献7技術事項の認定
前記(ア)に摘記した事項から、引用文献7には、次の技術事項が記載されていると認められる。(以下「引用文献7技術事項」という。)
<引用文献7技術事項>
「ウェーハ計測ツール及び干渉計測システムのようなシステムにおいて、(【0020】)
ウェーハを検査するに当たり、ウェーハパーティショニングスキーム(ウェーハの区画について計画)を定義し、ウェーハパーティショニングスキームに従ってウェーハ表面イメージを複数の測定サイト(測定場所)にパーティショニング(区画)し、ウェーハ表面イメージに基づいて複数の測定サイトのそれぞれに関するメトリック値(測定値)を計算するものであって、(【0013】)
制御パラメータは、ウェーハ表面イメージ及びスクライブストリート(ウェハの分割ライン)マスキングのパーティショニングに関する「サイトアレイ」を含み、(【0022】)
パターン形成されたウェーハに関して、デバイス領域だけからメトリクス(測定値)が導出されるように、ウェーハ表面イメージにおけるスクライブストリートをマスキングで除去すること。(【0022】、【0024】)」
イ 引用文献4、5、9、10に記載された事項及び周知・慣用技術1a、1bの認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2006-138768号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、文字や絵柄などの印刷が施されたシート状等の印刷物に対して、ホコリ等の異物、キズ、又は汚れといった欠陥を検査するための方法に関する。
【背景技術】
…(中略)…
【0004】
また、検査対象が傾いた場合の他の方法としては、撮影された検査対象の画像を回転させ、傾きの無い状態に補正した上でマスク処理する方法も考えられる。」
(イ) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第2013/118543号(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「[0036] ここで、スポットビームとウェハ1間で行われる走査動作について説明する。本実施例では、図4に示すように、ウェハ1はステージ2によって矢印401の方向(これは照明光の方位に対して実質的に平行な方向と表現することもできる)に直線移動し、矢印402の方向に回転する。したがって、ウェハ1上のスポットビームの軌跡は、らせん状になる。信号処理系7はウェハ1上の計測位置を、ウェハ1の中心を原点とする極座標系(半径と偏角とで表現される座標系)で記憶する。偏角は、ウェハ1の回転に応じて変化し、ウェハ上に仮想した基準線405(例えば、ノッチ404とウェハ中心とを通る半直線)を基準に表現できる。以上の走査動作により、ウェハ1上の位置座標と検出信号とは順次、信号処理系7に蓄積されることになる。この動作は図2のステップ202に含まれる。」
(ウ) 引用文献9に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2000-9655号公報(以下「引用文献9」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,被検材の外観検査を行う外観検査装置に係り,例えば,半導体集積回路の製造プロセス等で生じたウェーハ上の不良箇所の検出などに用いることが可能な外観検査装置に関するものである。
」
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】まず,上記目視による検査方法には次のような問題点があった。上記ウェーハに照射される光は,他のウェーハの感光を防ぐため,イエローランプなどの単色光に制限される場合がある。このような単色光を用いるる場合,自然光を利用する場合に比べて目視による検査が行いにくく,作業に時間がかかったり,或いは誤った判別が行われる可能性が高かった。また,単一の方向からの光では限られた異常しか検出できないため,光の照射角を変えてそれぞれ目視による検査を行う必要があり,検査に時間がかかったり,或いは誤った判別が行われる可能性がより高くなるという問題点もあった。また,上記外観検査装置A0では,チップ単位,検査エリア単位でXYステージをその都度移動させながら順次検査を行うため,検査に時間がかかるという問題点があった。また,2軸を有するXYステージを用いてスキャンしており,これも検査時間の増大の原因の1つとなっていた。また,チップ単位,検査エリア単位でスキャンしながら検査するため,予め設定された検査エリアとウェーハ上の検査エリアを予め一致させておく必要があり,そのため,ウェーハをステージ上の所定位置,所定方向に正確に設置する必要があった。これには,ウェーハのノッチ位置検出装置などの装置が必要となる。更に,各検査エリア毎の平均輝度に基づいて判断しているため,僅かな異常を見逃してしまう可能性もあった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,短時間で,正確な外観検査が可能な外観検査装置を提供することである。」
「【0007】続いて,図2に示すフローチャートに従って,上記外観検査装置A1による処理手順について説明する。まず,ウェーハ1の一方の端部がラインセンサ4の視野に入る位置まで上記ステージ10を移動させ(S1),その位置でのウェーハ1からの散乱光を上記ラインセンサ4で受光させ,その出力をフレームメモリ7内に格納する(S2)。続いて,ウェーハ1のもう一方の端部に向かって上記ステージ10を一定量移動させ(S3),そこで上記と同様にラインセンサ4の出力を上記フレームメモリ7内に格納する(S2)。以上のS2~S3の処理を,ウェーハ1全面の走査が終了するまで(S4)繰り返し行う。ウェーハ1全面の走査が終了した時点で,上記フレームメモリ7内には上記ウェーハ1全面の画像信号が格納される。図3に,上記フレームメモリ7内に格納されたウェーハ1全面の画像の一例を示す。ウェーハ1全面の走査が終了すると,上記CPU8において,上記フレームメモリ7内の画像(以下,取り込み画像という)の位置合わせが行われる(S5)。これは,上記ウェーハ1上のチップの領域を,予め設定されたチップ領域と一致させるために行われるもので,具体的には例えば次のような手順で行われる。まず,上記取り込み画像の位置,及び姿勢(方向)を知るために,上記取り込み画像から,ウェーハ1の外周上に形成されているノッチ(若しくはオリフラ)の位置を検出する。その手順としては,図3に示すような取り込み画像を微分して図4に示すような画像を求め,更にウェーハ1の外周が明るく得られるように2値化し,得られた外周線に円の方程式をフィッティングすることでまず円(ウェーハ1)の中心位置を求める。そして,予め用意されたノッチ部のテンプレート画像(図5)を回転させながら,図3に示す取り込み画像とのマッチング演算(正規相関演算)を行い,最も大きな正規相関演算値を示す位置を探索することによって取り込み画像上のノッチ位置を求める。以上の処理によって取り込み画像の中心位置と回転角,即ち位置及び姿勢が検出できる。取り込み画像の位置,姿勢が検出されると,それに基づいて上記取り込み画像の座標系と上記チップ領域が設定されている基準座標系とを一致させるように上記取り込み画像が位置合わせされる。
【0008】続いて,上記CPU8において,上記取り込み画像から,予め設定された上記チップ領域毎にその領域内に含まれる画素の輝度(所定の状態量の一例)の平均値(所定の統計処理の一例)が求められ(S6),得られた平均値が所定の閾値(上限値及び下限値)の範囲内にあるか否かが判断される(S7)。上記範囲を外れていれば異常チップと判断され,そのチップ位置が結果として表示される。」
(エ) 引用文献10に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2007-292606号公報(以下「引用文献10」という。)には、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】本発明は、表面検査装置に関する。例えば半導体ウエハ基板など、表面に繰り返しパターンが形成された被検体の表面検査を行う表面検査装置に関する。」
「【0028】ステップS3では、ウエハ5の移動と撮像ユニット40による撮像を開始する。
まず、ライン状照明光源44を点灯し、モータ23を駆動して、1軸移動ステージ2を図示Y軸正方向に移動する往路移動を行う。そして、1ライン分の画像を取得する所定タイミングごとにカメラ41によって撮像位置46の撮像を行い、ライン画像データを順次画像記憶部32に送出して記憶する。
1軸移動ステージ2は、撮像位置46が、ウエハ5に対して図示Y軸負方向側の外部に位置する状態まで移動し停止する(図4(b))。
この工程により図4(a)のウエハ撮像領域51Aが走査され、図5(a)のようなウエハ5の中心線LOを境にした半円部Aと、他方の半円部Bのうち中心線LOから幅Wの範囲の部分を加えた画像が、ウエハ画像52Aとして記憶される。ここで、ウエハ5の外側は照明光が反射しないため、画像上の暗部をなしており、ウエハ周縁部5dが明部と暗部の境界をなしている。
…(中略)…
【0030】ステップS5では、移動方向を図示Y軸負方向に変えて復路移動させて、ステップS3と同様な撮像動作を行い、画像記憶部32に、図5(b)に示すようなウエハ画像52Bを記憶する。ただし、図5(b)は、図示上下方向を逆に図示している。
ウエハ画像52Bは、ウエハ画像52Aの重複部分60Aに対応して、略同様の画像からなる重複部分60Bを含んでいる。
…(中略)…
【0032】ステップS7では、位置合わせ処理部34によってウエハ画像52A、52Bの位置合わせ処理を行う。
この位置合わせ処理について、図6を参照して説明する。
ウエハ画像52A、52Bは、1軸移動ステージ2、回転ステージ3の回転移動の誤差やウエハ5の配置誤差などにより、斜め方向に走査されている場合がある。そのため、ステップS70では、位置合わせするウエハ画像52A、52Bを順次メモリに呼び出して回転補正を行い、それぞれウエハ画像53A、53Bとして画像記憶部32に記憶する。このとき、ステップS6で抽出した欠陥情報のうち位置情報についても同様に回転補正した位置情報に更新する。
すなわち、それぞれの画像に含まれる基準ノッチ5aの画像から、それぞれに共通する座標系を設定して、基準ピンに相当する直径Dの仮想円の中心の位置と、ウエハ5の中心Oとの位置座標を算出し、それぞれを画像処理のそれぞれを結んで得られる中心線LOの傾きから、共通座標系に対する画像の回転角度ずれを算出し、そのずれ量を補正するように、各画素位置に対応する座標データを回転変換する。そして、その結果を画像記憶部32に記憶する。」
(オ) 周知・慣用技術1aの認定
前記(イ)~(エ)に摘記した引用文献5、9、10の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、「半導体製造装置」の技術分野において周知・慣用技術であったと認められる。(以下「周知・慣用技術1a」という。)
<周知・慣用技術1a>
「ウエハに関する信号処理を行う際に、ウエハの中心位置とノッチ位置を検出して、これらの位置に基づいて、位置決めを行うこと。」
(カ) 周知・慣用技術1bの認定
前記(ア) 、(ウ)、(エ)に摘記した引用文献4、9、10の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、「画像解析」の技術分野において周知・慣用技術であったと認められる。(以下「周知・慣用技術1b」という。)
<周知・慣用技術1b>
「後続する画像解析を行うに先立ち、取得した画像の特徴部分を検出して、これらの位置に基づいて、取得した画像の回転及び/又は平行移動させて、画像解析に適した画像位置に合わせること。」
ウ 引用文献8、11、12に記載された事項及び周知・慣用技術2の認定
(ア) 引用文献8に記載された事項
前置報告書において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開昭62-42006号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の記載がある。
a 1ページ右下欄16~18行
「〔産業上の利用分野〕
本発明は、ガラス基板上に成膜された透明な光学薄膜の膜厚測定装置に関するものである。」
b 2ページ左上欄13~17行
「本発明の目的は前記従来の薄膜測定法の欠点を解消し、薄膜の干渉色の色度Yxyを測定することにより、膜厚の測定時間が短く、測定装置が大型化せず、正確に膜厚を求めることができる光学薄膜の膜厚測定装置を提供することである。」
c 4ページ左上欄1行~右上欄10行、第2図
「次に、前記XYZから色度座標xyを、CPU210は計算する。XYZと、xyの関係は次のようである。
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
これにより、反射光の色度座標Yxyは求められたことになる(ステップ8)。
次にYxyから膜厚を求める方法について説明する。まず、ガラス基板1上に薄膜2がある場合の反射光の色度がどうなるかをあらかじめ計算しておく。この計算方法は、通常の、単層膜の光の干渉理論により求められるので詳述を避け、結果を第2図に示す。第2図は薄膜2がTiO2で、その屈折率は光の波長が500nmの時~2.68で、600nmの時2.59であるような波長分散性を持つ場合について計算しである。図中・印は、TiO2の膜厚が4nm毎の値を示し×印は20nm毎の値であり、数字はTiO2の膜厚である。このxyの値と膜厚の関係を(xi,yi,膜厚)の形でメモリ220に格納しておく。そこで、測定されたxyの値から、膜厚を求める方法は、測定値x,yと、メモリ値xi,yiの間でもっとも近い値を捜すことである。すなわち
[図:0001438786000012.jpg]
が最小になるようなxi,yiを捜し出し、その時の膜厚が求める値となるわけである(ステップ9)。この時、膜厚の値は、前述したような4nm毎でなく、もっと細く、たとえば1nm毎にとっておけばそれだけ精度は向上する。あるいはまた、隣りあったデータで、θが最も小さくなるような2点から補間法で、膜厚を求めても良い。」
(当審注:「ステップ8」、「ステップ9」における数字は、○の中に数字を記載したものである。)
「第2図
[図:0001438786000013.jpg]
」
(イ) 引用文献11に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開平6-18327号公報(以下「引用文献11」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、直角座標面に点の位置としてとられた互いに関連する二つの量のデータ、たとえば光分析装置によって得られた分光スペクトルにおける、吸光度の周波数に対する特性に係るデータで、その点数が少ないときや、隣り合う同士が離れ過ぎているときでも、そのデータの解析が適正におこなわれるように、その隣り合う各点間を簡便に補間する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、光分析装置によって得られた分光スペクトルの解析をおこなう場合に、分光スペクトルにおける、吸光度の周波数に対する特性に係るデータを、直角座標面の点の位置としてプロットし、このプロットされた断片的,散発的な各データに係る点の位置関係に基づいて解析がおこなわれる。そのために、通常には主として簡便性の理由から、各データに係る点の内で隣り合う各点間を直線で結んで補間する方法がとられる。」
(ウ) 引用文献12に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2008-14834号公報(以下「引用文献12」という。)には、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて流量を計測する超音波流量計に関し、特に流路を流れる流体の流量の計測値の補正を行うことにより、高精度な流量計測を図る技術に関する。」
「【0026】
器差=(計測値-真値)/真値 …(1)
図4は予め定められた各々の代表点における理想曲線と器差曲線との差分を補正値とする様子を示す図である。図4に示すように、予め離散的な複数の代表点103a,103b等を選択し、離散的な複数の代表点103a,103b等における理想曲線101上の真値と器差曲線102上の計測値との差分を矢印で示す補正値104a,104b等を得る。
【0027】
この補正値を得るためには、図1に示す超音波流量計システムにおいて、流体発生器2で発生した被計測流体を計量器1とマスターメータ3とに同一流量を出力する。そして、マスターメータ3で計測した被計測流体の流量を真値とし、計量器1で計測した被計測流体の流量を計測値とし、両者の差分を補正値とする。この補正値は、パーソナルコンピュータ4によって求められる。
【0028】
離散的な代表点毎の補正値は、制御部23の制御により、計量器1の記憶部13にデータテーブル化されて記憶される。
【0029】
次に、制御部23は、計測時又は計測前に、記憶部13に記憶された離散的な代表点毎の補正値を補間して、連続的な補正値を求め、計測値の誤差を示した器差曲線を近似する。離散的な代表点間の補間方法としては、例えば、図5に示すように、代表点間(例えば、103a~103b)を直線で結んだ直線補間を用いて得られた器差曲線102b、代表点間(例えば、105a~105b)を曲線で結んだ曲線補間を用いて得られた器差曲線102cがある。なお、直線補間の具体例及び曲線補間の具体例については、後で詳細に説明する。
…(中略)…
【0031】
(代表点のとり方及び補間方法の具体例)
次に、代表点のとり方及び補間方法の具体例について説明する。
【0032】
(例1)
図7は直線における代表点のとり方の一例を示す図である。図7では、代表点103a,103b等を一定間隔で設けて離散的な複数の補正値104a,104b等をテーブル化し、代表点106a,106b等(代表点103a,103b等に対応)を直線で結ぶことにより、制御部23は、器差曲線102bを近似して連続的な補正値を求める。」
(エ) 周知・慣用技術2の認定
前記(ア)~(ウ)に摘記した引用文献8、11、12の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、分野を問わず広く用いられる周知・慣用技術であったと認められる。(以下「周知・慣用技術2」という。)
<周知・慣用技術2>
「座標系上の隣接する離散的な点の間の値を、何らかの関数で補間すること。」
(4) 本件補正発明と引用発明1Bの対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明1Bを対比する。
(ア) 構成Xの観点
a 構成Xは、「基板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システム」を備えることである。
b 引用発明1Bにおける「半導体ウエハ基板」、「半導体ウエハ基板上に形成されたSiO2等の絶縁膜」は、それぞれ、本件補正発明における「基板」(「集積回路製造用の基板」)、「基板上の層」に相当する。
c 引用発明1Bにおいて、「測定対象」である「半導体ウエハ基板上に形成されたSiO2等の絶縁膜」について「決定する」「膜厚」は、前記bを踏まえると、本件補正発明における「基板上の層の厚さを表す測定値」に相当する。
d そして、引用発明1Bの「膜厚取得装置」は、「半導体ウエハ基板上に形成されたSiO2等の絶縁膜」の「膜厚」を「取得」する「装置」であって、前記cも踏まえると、本件補正発明の「基板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システム」に相当する。
e したがって、本件補正発明と引用発明1Bは、構成Xの観点に関し、次の点において一致する。
<一致点>
「板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システム」の発明である点。
(イ) 構成Aの観点
a 構成Aは、「集積回路製造用の基板を保持する支持体」を備えることである。
b 引用発明1Bにおける「半導体ウエハ基板」である「測定パネル13」を、「水平に載置・保持するステージ14」は、本件補正発明における「集積回路製造用の基板を保持する支持体」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明1Bは、構成Aの観点に関し、次の点において一致する。
<一致点>
「集積回路製造用の基板を保持する支持体」を備える点。
(ウ) 構成Bの観点
a 構成Bは、「前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラ」を備えることである。
b 引用発明1Bにおける「カラーCCDカメラ12」は、本件補正発明における「カラーカメラ」に相当する。
c 引用発明1Bにおいて、「カラーCCDカメラ12」は、「ステージ14」が「水平に載置・保持する」「測定パネル13の画像を撮像する」ものであるから、前記b及び(イ)bも踏まえると、引用発明1Bは、本件補正発明における「前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラ」に相当する構成を備えるといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明1Bは、構成Bの観点に関し、次の点において一致する。
<一致点>
「前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラ」を備える点。
(エ) 構成Cの観点
a 構成Cは、「コントローラ」を備えることである。
b 引用発明1Bは、「膜厚取得装置」の発明であるから、「膜厚」の「取得」のための一連の工程を実行する制御部を備えることは明らかである。
そして、引用発明1Bが備えるそのような制御部は、本件補正発明における「コントローラ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明1Bは、構成Cの観点に関し、次の点において一致する。
<一致点>
「コントローラ」を備える点。
(オ) 構成CA、CC~CEの観点
a 構成CA、CC~CEは、「コントローラ」が、「前記基板のスクライブラインを表す、はみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し」、「ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成」するように構成されたものであることである。
b 引用発明1Bは、本件補正発明の構成CA、CC~CEに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明1Bは、構成CA、CC~CEの観点に関し、次の点において相違する。
<相違点>
「コントローラ」が、
本件補正発明においては、「前記基板のスクライブラインを表す、後続の画像処理される部分からはみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し」、「ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成」するように構成されたものであるのに対して、
引用発明1Bにおいては、そのような処理を行うように構成されたものでない点。
(カ) 構成CBの観点
a 構成CBは、「コントローラ」が、「前記カラーカメラから前記カラー画像を受信」するように構成されたものであることである。
b 引用発明1Bの「膜厚取得装置によって、測定パネル13の画像を撮像する」に際して、前記(エ)において検討した制御部が、「カラーCCDカメラ12」から「画像」を取得することは明らかである。
そのため、引用発明1Bは、本件補正発明でいうところの「コントローラ」が、「前記カラーカメラから前記カラー画像を受信」する構成を備えるといえる。
c したがって、本件補正発明と引用発明1Bは、構成CBの観点に関し、次の点において一致する。
<一致点>
「コントローラ」が、「前記カラーカメラから前記カラー画像を受信」するように構成されたものである点。
(キ) 構成CF及びCF1の観点
a 構成CF及びCF1は、「コントローラ」が、「前記マスクされたカラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して」、「前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定」するように構成されたものであることである。
b 引用発明1Bにおける「色度座標(x、y)」の一方は、本件補正発明の「第1のカラーチャネル」に相当し、他方が「第2のカラーチャネル」に相当する。
そのため、引用発明1Bにおける「CCDの各ピクセルについて」の「色度座標(x,y)」は、本件補正発明における「第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標」に相当する。
c 引用発明1Bにおいて、「測定パネル13の画像を撮像することによって、カラーCCDカメラ12を構成するCCDの各ピクセルについて」「得」られた「RGB値」は、「画像」にマスク処理されることの特定がないことから、本件補正発明における「カラー画像内のマスクされていない」「ピクセルの前記カラー画像のカラーデータ」に相当する。
d 前記b及びcの対比分析の結果を踏まえると、引用発明1Bにおいて、「測定パネル13の画像を撮像することによって、カラーCCDカメラ12を構成するCCDの各ピクセルについて」「得」られた「RGB値」を、「XYZ値に変換し、次いで、XYZ値を色度x,yに変換し」て「色度座標(x,y)」を「得」ることは、本件補正発明において、「カラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定」することに相当する。
e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明1Bの構成CF及びCF1の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成CF及びCF1の観点における一致点
「コントローラ」が、「カラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定」するように構成されたものである点。
(b) 構成CF及びCF1の観点における相違点
「コントローラ」が「前記ピクセルの座標を決定」する際に用いる「カラー画像」について、
本件補正発明においては、「前記マスクされた」ものであるのに対して、
引用発明1Bにおいては、マスクされたものでない点。
(ク) 構成CF2の観点
a 構成CF2は、「コントローラ」が、「前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存し、前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定するように構成された」ものであることである。
b 引用発明1Bにおいて、「変換テーブルのデータ」が色度座標と膜厚を対応させたものであることは明らかであるから、引用発明1Bにおける「得られた色度座標(x,y)と、」「変換テーブルのデータとをフィッティングして、各膜厚の色度座標と得られた色度座標(x,y)との差が最も小さくなる膜厚を各ピクセルの膜厚として決定する」工程は、「変換テーブル」に含まれる複数の色度座標のうち、「色度座標(x,y)」からの距離が最も小さくなる色度座標を決定し、当該色度座標に対応する膜厚を「各ピクセルの膜厚として決定する」ことを意味すると解するのが相当である。
c そのため、前記bに示した引用発明1Bの工程と、本件補正発明における、「前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定する」工程は、「前記ピクセルの前記座標に最も近い点の位置を決定し、前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定する」点で共通する。
d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明1BのCF2の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成CF2の観点における一致点
「コントローラ」が、「前記ピクセルの前記座標に最も近い点の位置を決定し、前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定する」ように構成されたものである点。
(b) 構成CF2の観点における相違点
本件補正発明においては、
「コントローラ」が、「前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存」するように構成されたものであって、
「層の厚さを表す値を決定する」際に使用する「前記ピクセルの前記座標に最も近い点」が、「関数」が示す「所定の経路上の点」であるのに対して、
引用発明1Bにおいては、
得られた色度座標(x,y)と、変換テーブルのデータとをフィッティングするものであって、「層の厚さを表す値を決定する」際に使用する「前記ピクセルの前記座標に最も近い点」に相当する点が、変換テーブルのデータが示す点に限られる点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明1Bは、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「基板上の層の厚さを表す測定値を取得するための計測システムであって、
基板を保持する支持体と、
前記支持体によって保持される前記基板の少なくとも一部のカラー画像を撮像するように配置されたカラーカメラと、
コントローラであって、
前記カラーカメラから前記カラー画像を受信し、
カラー画像内のマスクされていないピクセルの各々に対して、
前記ピクセルの前記カラー画像のカラーデータから、第1のカラーチャネルと第2のカラーチャネルを含む少なくとも2次元の座標空間内の前記ピクセルの座標を決定し、
前記ピクセルの前記座標に最も近い点の位置を決定し、前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定するように構成されたコントローラと、
を備える、計測システム」の発明である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明においては、
「コントローラ」が、「前記基板のスクライブラインを表す、後続の画像処理される部分からはみ出る画像の部分を表す画像マスクを保存し」、「ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知し、前記ウエハノッチの位置及び前記ウエハの中心の位置に基づいて、前記カラー画像を、回転、及び/又は平行移動、及び/又は拡大縮小することによって標準的な座標フレームに変換し、前記画像マスクを前記標準的な座標フレーム内の前記カラー画像に適用し、マスクされたカラー画像を生成」するように構成されたものであって、
「コントローラ」が「前記ピクセルの座標を決定」する際に用いる「カラー画像」が、「前記マスクされた」ものであるのに対して、
引用発明1Bにおいては、
「コントローラ」に相当する構成が、そのような処理を行うように構成されたものでなく、
「コントローラ」が「前記ピクセルの座標を決定」する際に用いる「カラー画像」に相当する画像が、マスクされたものでない点。
b 相違点2
本件補正発明においては、
(a) 「コントローラ」が、「前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数を保存」するように構成されたものであって、
(b) 「層の厚さを表す値を決定する」際に使用する「前記ピクセルの前記座標に最も近い点」が、「関数」が示す「所定の経路上の点」であるのに対して、
引用発明1Bにおいては、
(a’) 「コントローラ」に相当する構成が、上記(a)の処理を行うように構成されたものでなく、
(b’) 得られた色度座標(x,y)と、変換テーブルのデータとをフィッティングするものであって、「層の厚さを表す値を決定する」際に使用する「前記ピクセルの前記座標に最も近い点」に相当する点が、変換テーブルのデータが示す点に限られる点。
(5) 判断
ア 相違点1について
(ア) 引用文献7技術事項について
a 前記(3)ア(イ)において認定した引用文献7技術事項は、次に再掲したとおりのものである(根拠箇所の記載は省略した。)。
<引用文献7技術事項>
「ウェーハ計測ツール及び干渉計測システムのようなシステムにおいて、
ウェーハを検査するに当たり、ウェーハパーティショニングスキーム(ウェーハの区画について計画)を定義し、ウェーハパーティショニングスキームに従ってウェーハ表面イメージを複数の測定サイト(測定場所)にパーティショニング(区画)し、ウェーハ表面イメージに基づいて複数の測定サイトのそれぞれに関するメトリック値(測定値)を計算するものであって、
制御パラメータは、ウェーハ表面イメージ及びスクライブストリート(ウェハの分割ライン)マスキングのパーティショニングに関する「サイトアレイ」を含み、
パターン形成されたウェーハに関して、デバイス領域だけからメトリクス(測定値)が導出されるように、ウェーハ表面イメージにおけるスクライブストリートをマスキングで除去すること。」
b ここで、引用文献7技術事項における「スクライブストリート」は、本件補正発明における「スクライブライン」に相当する。
また、引用文献7技術事項において、「サイトアレイ」は、ウェーハ表面イメージ及びスクライブストリート(ウェハの分割ライン)マスキングのパーティショニングに関するものであって、ウェーハパーティショニングスキームに従ってウェーハ表面イメージを複数の測定サイト(測定場所)にパーティショニング(区画)するのに使用されるものであるから、本件補正発明の「画像マスク」もしくはそれに類する構成に相当する(いずれにせよ、引用文献7技術事項がそのような構成を備えることは明らかである。)。
そして、引用文献7技術事項において、「サイトアレイ」を使用して「ウェーハ表面イメージにおけるスクライブストリートをマスキングで除去すること」は、本件補正発明において「後続の画像処理される部分からはみ出る画像の部分を表す画像マスクを」「画像に適用し、マスクされた」「画像を生成」することに相当する。
(イ) 周知・慣用技術1a及び1bについて
a 前記(3)ウ(ウ)において認定した周知・慣用技術1a及び1bは、次に再掲したとおりのものである。
<周知・慣用技術1a>
「ウエハに関する信号処理を行う際に、ウエハの中心位置とノッチ位置を検出して、これらの位置に基づいて、位置決めを行うこと。」
<周知・慣用技術1b>
「後続する画像解析を行うに先立ち、取得した画像の特徴部分を検出して、これらの位置に基づいて、取得した画像の回転及び/又は平行移動させて、画像解析に適した画像位置に合わせること。」
b ここで、周知・慣用技術1aにおいて「ウエハの中心位置とノッチ位置を検出」することは、本件補正発明において「ウエハノッチの位置及びウエハの中心の位置を検知」することに相当する。
また、周知・慣用技術1bにおいて「これらの位置に基づいて、取得した画像の回転及び/又は平行移動させて、画像解析に適した画像位置に合わせること」は、本件補正発明において「位置に基づいて、前記」「画像を、回転、及び/又は平行移動」「することによって標準的な」「フレームに変換」することに相当する。
(ウ) 引用発明1Bに対する引用文献7技術事項等の適用について
a 引用文献7技術事項について
引用発明1Bと引用文献7技術事項は、半導体ウエハを含む基板を計測対象とする計測システムに関する点で技術分野が関連しており、干渉光の計測を含む点においても異なるものでない。
加えて、半導体ウエハにおけるスクライブラインは、ダイシングのための領域であって集積回路として機能しない領域であるから、引用発明1Bにおいて半導体ウエハを測定対象としようとする当業者にとって、情報処理負荷の低減、不要領域のデータに起因するノイズの回避等の観点で、スクライブラインを計測領域から除外しようとする動機は存在する。
したがって、当業者にとって、引用発明1Bに対して引用文献7技術事項を適用しようとする動機は存在する。
b 周知・慣用技術1a及び1bについて
撮像した画像に基づく計測を行う引用発明1Bにおいて、半導体ウエハを測定対象としようとする場合に、処理を最適化するために様々な画像処理技術を適用しようとすることは、当業者が有する通常の創作能力の発揮にすぎない。
そして、周知・慣用技術1a及び1bがマスキング処理に限った技術でないことは明らかであるから、引用発明1Bに対する周知・慣用技術1a及び1bの適用の契機は、引用文献7技術事項を踏まえずとも見出すことができるものである。
(エ) 前記(ア)~(ウ)において説示した事項を踏まえると、引用発明1Bにおいて、前記(ウ)において説示した事項を契機として、前記(ア)及び(イ)に記載した引用文献7技術事項及び周知・慣用技術1a及び1bを適用することで、相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 周知・慣用技術2について
前記(3)エ(エ)において認定した、分野を問わず広く用いられる周知・慣用技術2は、次に再掲したとおりのものである。
<周知・慣用技術2>
「座標系上の隣接する離散的な点の間の値を、何らかの関数で補間すること。」
(イ) 引用発明1Bにおいて「所定の経路」を観念できることについて
a 引用文献1には、「本発明の原理的構成を表す膜厚と色度の相関を示す概念図」(【0013】参照)として、次の【図1】が記載されている。
「【図1】
[図:0001438786000014.jpg]
」
b 前記aにおいて摘記した【図1】から、300nm~550nmに対応する色度座標(x、y)が一つながりの連続した経路であることが看て取れる。
そのため、引用発明1Bの「変換テーブル」は、「図1に示すように、薄膜のx-y色度平面における座標が膜厚によって異なることを利用して、色度x,yを取得することによって膜厚に換算する」ために利用される「x-y色度平面における座標」と「膜厚」との対応関係を示す一実施形態であるといえる。
(ウ) 相違点2の(a)の構成(「前記座標空間における所定の経路上の位置の関数として、厚さを表す値を提供する関数」の「保存」)について
a 前記(イ)において検討したとおり、引用発明1Bにおける「変換テーブルのデータ」が、一つながりの経路上(本件補正発明における「所定の経路上」に相当する。)のデータであることを観念できるといえる。
そうすると、当業者にとって、「x-y色度平面における座標」と「膜厚」との対応関係として離散的なデータの集合である「変換テーブルのデータ」に代えて、より連続的な比較を実現するために、分野を問わず広く用いられる技術である周知・慣用技術2を適用する契機はあるといえる。
b また、引用発明1Bにおいて、「シミュレーション」や「さまざまな膜厚のリファレンス」の「測定」によって「変換テーブルのデータ」を準備するに際し、準備するデータの間隔は、準備に必要なコストや求められる測定精度等を比較考量して当業者が適宜決定すべきものである。
そのため、引用発明1Bにおいて、準備するデータの間隔について、図4及び図5における間隔(1nm)よりも広い間隔とすることが妨げられるものではない(例えば、引用文献8においては4nm間隔の値を準備している(前記(3)ウ(ア)c参照)。)。
c したがって、引用発明1Bにおいていずれにせよ、色度座標と膜厚の対応関係を示すデータとして、「変換テーブルのデータ」に代えて、あるいは、当該データに対して、周知・慣用技術2を適用して、連続的なデータを準備して、これをメモリ等に保存するようにして、相違点2の(a)に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得た設計変更にすぎない。
(エ) 相違点2の前記(ウ)以外の構成について
引用発明1Bにおいて周知・慣用技術2を適用して相違点2の(a)に係る本件補正発明の構成を採用した場合、「図1に示すように、薄い膜のx-y色度平面における座標が膜厚によって異なることを利用して、色度x,yを取得することによって膜厚に換算する」ための両者の対応関係は、色度座標系上の隣接する離散的な点の間の値を補間した関数により記述されることとなるから、「得られた色度座標(x,y)」に最も近接する(差が小さくなる)点は、当該関数が示す所定の経路上の点も含むことは明らかである。
そうすると、引用発明1Bにおいて、相違点2の(b)に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、前記(ウ)において説示した周知・慣用技術2の具体的適用に際して、当業者が当然選択できる設計事項というべきものであり、格別のものでない。
(オ) まとめ
以上の検討結果を踏まえると、引用発明1Bにおいて、周知・慣用技術2を適用することで、相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明1Bにおいて、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明1B、引用文献7技術事項、周知・慣用技術1a、1b及び2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明1B、引用文献7技術事項、周知・慣用技術1a、1b及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、引用文献1には、膜厚のXY色度平面における座標が記載され、膜厚を求めるときに、膜厚のXY色度平面における座標をテーブル化してリファレンスとし、実測によって得られた色度座標をこのリファレンスとフィッティングすることで膜厚を求める構成が記載されている。そのため、引用発明1Bは、本件補正発明のように、ピクセルの座標に最も近い所定の経路上の点の位置を導き出す構成ではない。すなわち、引用発明1Bから、本件補正発明の「前記ピクセルの前記座標に最も近い前記所定の経路上の点の位置を決定し、前記関数と前記所定の経路上の前記点の位置に基づいて、前記基板上の層の厚さを表す値を決定するようにさせる」構成を得ることはできないと主張している。
(イ) 請求人の主張についての検討
請求人の主張は、相違点2に係る構成についてのものであるところ、前記(5)イにおいて説示したとおり、引用発明1Bの「変換テーブル」は、「図1に示すように、薄膜のx-y色度平面における座標が膜厚によって異なることを利用して、色度x,yを取得することによって膜厚に換算する」ために利用される「x-y色度平面における座標」と「膜厚」との対応関係を示す一実施形態にすぎないから、引用発明において周知・慣用技術2を適用して相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明1B、引用文献7技術事項、周知・慣用技術1a、1b及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項7についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項7(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2004-279297号公報(主たる引用文献)
引用文献3.特開2006-120133号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2006-138768号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.国際公開第2013/118543号(周知技術を示す文献)
引用文献7.特開2013-211010号公報
3 引用文献1に記載された事項及び引用発明1B等の認定
引用文献1に記載された事項、引用発明1B、引用文献7技術事項、周知・慣用技術1a及び1bは、前記第2の3(2)ア、ウ(イ)、(3)ア(イ)、ウ(オ)及び(カ)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)ア及びイに示した限定を省いたものであるから、前記第3の(4)アにおける対比分析の結果を踏まえると、本願発明と引用発明1Bは、前記相違点1で相違し、そのほかの点において一致する。
そして、前記第3の(5)アにおいて検討した事項を踏まえると、引用発明1Bにおいて、引用文献7技術事項及び周知・慣用技術1a及び1bを適用することで、相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献7技術事項、周知・慣用技術1a及び1bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-017981