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特許拒絶査定不服審判

2023-016467

距離計測装置、システム、方法、及びプログラム

審判番号
2023-016467
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-139433
請求日
2023年09月29日
審決日
2024年12月04日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日本電気通信システム株式会社
  • 【請求人代理人】加藤 朝道
  • 【請求人代理人】内田 潔人
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 谷垣 圭二
  • 審判官 喜々津 徳胤
分類
P18 .575-Z (G01B) / P18 .121-Z (G01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
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事件の表示

特願2019-139433「距離計測装置、システム、方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月18日出願公開、特開2021- 21672〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年7月30日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 2月13日付け:拒絶理由通知書 同年 3月 7日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月15日付け:拒絶理由通知書 同年 7月 6日 :意見書の提出 同年 8月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 9月 5日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月29日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年11月30日 :上申書の提出 令和6年10月25日 :面接 第2 令和5年9月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年9月29日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和5年9月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 予測モデルの基礎となる3D画像データを小データ化する処理と、 小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理と、 機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理と、 点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理と、 平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理と、 クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタを小データ化し、小データ化された前記各クラスタに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理と、 を行う、距離計測装置。」 (2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 予測モデルの基礎となる3D画像データをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理と、 小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理と、 機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理と、 点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理と、 平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理と、 クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理と、 を行う、距離計測装置。」 2 本件補正の目的 本件補正による請求項1についての補正は、本件補正前の「予測モデルの基礎となる3D画像データ」及び「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタ」の「小データ化」に関し、「ボクセル化又はデジタル化することによって」行うものに限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件についての当審の判断 本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。 (1) 本件補正発明の認定等 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 ここで、本件補正発明の構成を便宜上次のように構成A~構成Fまでと構成Xに分説する。 また、参考図として、本願の【図5】及び【図6】を掲載する。 <本件補正発明の分説> (構成A) 予測モデルの基礎となる3D画像データをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理と、 (構成B) 小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理と、 (構成C) 機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理と、 (構成D) 点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理と、 (構成E) 平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理と、 (構成F) クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理と、 (構成X) を行う、距離計測装置。 <参考図> [図:0001418861000001.jpg] イ 課題・効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載においては、発明が解決しようとする課題及び発明の効果について、次のとおり記載されている。 「【0006】 計測対象物を検知(認識)する方法として、計測点群の対象物体について形状の分類を行った上で、計測点群と、分類された形状と同一形状のモデル点群とのマッチング処理を行うことによって計測点群から対象物体に相当する点群を自動で抽出する方法があるが(例えば、特許文献3参照)、計測点群の中に地面や壁面のように同じ形状の対象物体が複数種類存在すると分類する際に誤分類が生じやすいので、誤検知が起こりやすくなる可能性がある。 【0007】 本発明の主な課題は、作業員の技量に依存することなく、誤検知を抑えつつ、作業を容易化することに貢献することができる距離計測装置、システム、方法、及びプログラムを提供することである。」 「【0088】 実施形態1によれば、平面除去部413により撮影データ50の中から平面部分を除去しているので、撮影データ50における地面や壁面のように平坦な同じ形状の物体が除去されて、正しくクラスタリングを行えるようになり、誤分類が抑えられ、検知精度を向上させることができる。 【0089】 また、実施形態1によれば、撮影データ50(点群データ)の中から計測対象物10を自動的に検知することができる。これにより、点群データに馴染みのない作業員でも容易に計測対象物10を特定することができる。」 「【0091】 また、実施形態1によれば、目的に応じて計測対象物10を機械学習して検知することができる。これにより、1つのソリューションに特化することなく、汎用的にソリューションを適用することができる。 【0092】 また、実施形態1によれば、予測モデル作成部300によって3D画像データ20の予測モデル40を自動的に作成することができるので、様々な離隔距離の計測対象物及びその形状の予測モデル40を容易に準備することができる。これにより、ユーザの準備作業を軽減することができる。 【0093】 さらに、実施形態1によれば、機械学習にあたり、小データ化部312によって3D画像データ20を小データ化して機械学習しているので、3D画像データ20をそのまま機械学習するよりもデータサイズを抑えることができ、予測モデル40の作成を容易化することができる。」 (2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願前に発行された文献である特開2013-196355号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。 a 段落【0001】~【0005】 「【0001】 本発明の実施形態は、物体測定装置、及び物体測定方法に関する。 【背景技術】 【0002】 非接触で物体の寸法、表面積、及び体積を測定する物体測定装置が実用化されている。例えば、物体測定装置は、装置と物体の各部との距離の値がマトリクス状に配列された距離画像に基づいて、物体の寸法を測定する。 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記したような物体測定装置は、対象物の周囲から距離画像を取得する必要がある為、装置のコストが高いという課題がある。 【0005】 そこで、より利便性の高い物体測定装置、及び物体測定方法を提供することを目的とする。」 b 段落【0009】~【0016】、図1~2 「【0009】 (第1の実施形態) 図1は、第1の実施形態に係る物体測定装置100の構成例を示す。また、図2は、物体測定装置100の処理の例を示す。 物体測定装置100は、制御部110、及び画像取得部120を備える。」 「【図1】 [図:0001418861000002.jpg] 」 「【図2】 [図:0001418861000003.jpg] 」 「【0010】 制御部110は、物体測定装置100の各部の動作を統合的に制御する。制御部110は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備える。CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより行われる演算の結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。制御部110は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。 【0011】 画像取得部120は、物体の距離画像を取得する。画像取得部120は、取得した距離画像を制御部110に入力する(ステップS1)。画像取得部120は、例えば、距離画像を取得するための構成として、複数視点画像の対応点をとるステレオ画像方式のセンサ、パターン光投影方式のセンサ、またはTOF方式のセンサ(3次元距離画像センサ)を備える。 【0012】 ユーザは、物体測定装置100を手に持ち、角度を変えながら対象物を画像取得部120により撮影する。これにより、物体測定装置100の画像取得部120は、物体に対して複数の角度から撮像された複数の距離画像を取得する。例えば、画像取得部120は、連続して、即ち動画として距離画像を取得する。これにより、画像取得部120は、連続した複数フレームの距離画像を取得することができる。 【0013】 また、画像取得部120は、例えば、物体のカラー画像を取得するための構成として、光を電気信号に変換する光学センサを備える。光学センサは、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子と光学系(レンズ)を備える。光学センサは、物体で反射した反射光を光学系により受光し、CCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。 【0014】 制御部110は、プログラムを実行する事により、位置角度推定部111、形状データ配置部112、及び測定部114として機能する。 【0015】 位置角度推定部111は、距離画像を座標変換して形状データを生成する(ステップS2)。また、位置角度推定部111は、前段以前のフレームの距離画像から生成された形状データとの相対的な位置及び角度を推定する(ステップS3)。 【0016】 形状データとは、対象物の表面に対応する3次元空間中の座標値をもつ点の集合によって、物体の3次元的な形状を表す点群データである。」 c 段落【0036】 「【0036】 たとえば、測定部114は、位置角度を合わせて配置した形状データに基づいて、対象物が置かれた床面を最大平面として検出する。測定部114は、検出した床面を除去し、撮影された中心に近い点群データのかたまりとして、対象物を背景から抽出する。なお、点群データのかたまりの抽出には、メッシュデータの隣接情報が用いられてもよい。また、k-means法などのクラスタリングの手法が用いられてもよい。測定部114は、抽出された点群データについて、3次元空間の座標軸ごとに最小値と最大値を抽出する。測定部114は、抽出した各最小値及び最大値を含む面を外接直方体の面として検出する。」 d 段落【0045】~【0061】、図11~12 「【0045】 (第2の実施形態) 図11は、第2の実施形態に係る物体測定装置100の構成例を示す。なお、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成には、同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図12は、図11に示された物体測定装置100の処理の例を示す。 図11に示される物体測定装置100は、制御部110、画像取得部120、角速度加速度入力部130、プロジェクタ140、修正部150、及びディスプレイ160を備える。」 「【図11】 [図:0001418861000004.jpg] 」 「【図12】 [図:0001418861000005.jpg] 」 「【0046】 画像取得部120は、対象物の距離画像、及びカラー画像を取得する。画像取得部120は、取得した距離画像を制御部110に入力する(ステップS11)。さらに、画像取得部120は、取得したカラー画像を制御部110に入力する(ステップS12)。 【0047】 画像取得部120は、例えば、物体のカラー画像を取得するための構成として、光を電気信号に変換する光学センサを備える。光学センサは、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子と光学系(レンズ)を備える。光学センサは、物体で反射した反射光を光学系により受光し、CCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。 【0048】 角速度加速度入力部130は、物体測定装置100の角速度、及び加速度を検出する。角速度加速度入力部130は、検出した角速度、及び加速度を制御部110に入力する(ステップS13)。角速度加速度入力部130は、は、例えば、物体測定装置100の傾き、および向きの変化を検知するジャイロセンサを備える。また、角速度加速度入力部130は、物体測定装置100の移動方向を検知する加速度センサを備える。 【0049】 プロジェクタ140は、光を放出する投光装置である。プロジェクタ140は、光源及びレンズなどの光学系を備える。プロジェクタ140は、画像取得部120の撮影領域の境界に光を投光する(ステップS14)。 …(中略)… 【0052】 制御部110は、プログラムを実行する事により、位置角度推定部111、形状データ配置部112、モデル選択部113、及び測定部114として機能する。 【0053】 位置角度推定部111は、距離画像を座標変換して形状データを生成する(ステップS15)。また、位置角度推定部111は、角速度加速度入力部130から入力された角速度、及び加速度に基づいて、距離画像毎に他の距離画像との相対的な位置及び角度(位置角度)を推定する(ステップS16)。 …(中略)… 【0060】 形状データ配置部112は、位置角度推定部111により生成された形状データを、位置角度推定部111により推定された位置角度で配置する(ステップS17)。 【0061】 形状データ配置部112は、以上の処理を、対象物の表面形状が十分に取得されるまで繰り返す(ステップS18)。」 e 段落【0080】~【0081】 「【0080】 なお、位置角度が合わされて配置された複数の形状データは、多数の重なり合う情報を有する。この為、最終的に生成される形状情報に比べてデータ容量が大きい。また、各点の隣接関係の整合性が取られていない場合がある。これを解消するために物体測定装置100は、後処理を行ってもよい。 【0081】 例えば、物体測定装置100は、複数の形状データの点群が密集している部分について、点群の密度が同程度になるように点の数を減らす処理を行う構成であってもよい。また、物体測定装置100は、表面形状の部分的な領域ごとに、重なりあった複数の形状データののうち、1個を残して他を削除する構成であってもよい。また、物体測定装置100は、輝度情報、テクスチャ情報、法線方向の近い、近傍の点同士を1点で代表する、または複数の点を平面や曲面などで近似する構成であってもよい。」 f 段落【0082】~【0086】 「【0082】 モデル選択部113は、対象物を識別し(ステップS19)、識別した対象物に応じたモデルを選択する(ステップS20)。 【0083】 モデル選択部113は、入力画像、または形状データに基づいて対象物を識別する。モデル選択部113は、たとえば、画像認識手法を使い、測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録する。モデル選択部113は、入力画像を辞書とマッチングすることにより、対象物を識別する。 【0084】 また、モデル選択部113は、形状データから、位置角度推定処理と同じ方法で特徴点などを検出し、Bag of featuresなどの方法を用いて識別する構成であってもよい。 【0085】 モデル選択部113は、識別結果に基づいて、用途や物体によって異なるモデルの中から、適切なモデルを選択する。さらに、モデル選択部113は、選択したモデル毎に予め定義された測定対象を検出する。 【0086】 モデルは、たとえば、直方体で表される箱モデルである。このモデルが利用される場合、モデル選択部113は、撮影したデータから直方体を検出する。さらに、モデル選択部113は、検出した直方体の3辺の長さを測定対象として検出する。」 g 段落【0094】 「【0094】 測定部114は、対象物の測定対象を検出する(ステップS21)。さらに、物体測定装置100は、必要に応じて、測定した測定対象をディスプレイ160に表示する(ステップS22)。」 h 段落【0100】~【0104】 「【0100】 また、測定対象として複数の候補が検出された場合、物体測定装置100は、ユーザによる操作に応じて、特定の測定対象を選択する。これにより、対象物となりえる複数の物体が撮影範囲にある場合であっても、物体測定装置100は、正しい測定対象を確実に測定することができる。 …(中略)… 【0104】 また、図17に示されるように、物体測定装置100は、机と椅子とを含む範囲を撮影した場合、机と椅子との両方を対象物として検出する可能性がある。この場合、物体測定装置100は、測定対象として、机と椅子との両方を含む外接直方体2002を検出する可能性がある。しかし、修正部150は、操作入力に応じて、椅子を対象物から除外することができる。この結果、修正部150は、机の外接直方体2003を測定対象として検出することができる。」 (イ) 引用文献1の記載からの認定事項 a 前記(ア)dにおいて摘記した「第1の実施形態において説明した構成と同様の構成には、同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する」(段落【0045】を参照)との示唆から、引用文献1の第2の実施形態として示された物体測定装置100の技術事項について、第2の実施形態の特徴を害さない限り、第1の実施形態として示された物体測定装置100に関する技術事項を踏まえて認定することができるといえる。 b 前記aから、引用文献1の段落【0036】及び【0060】の記載に基づいて、第2の実施形態の物体測定装置100の構成に関して、次の事項が読み取れる(以下「引用文献1認定事項」という。)。 [引用文献1認定事項] 「物体測定装置100において、 位置角度推定部111により推定された位置角度で配置された形状データに基づいて、 対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去し、撮影された中心に近い点群データのかたまりとして、対象物を背景から抽出してもよく、また、点群データのかたまりの抽出には、メッシュデータの隣接情報が用いられてもよく、また、k-means法などのクラスタリングの手法が用いられてもよいこと。」 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、引用発明1の認定に用いた引用文献1の記載箇所の段落番号と認定事項を参考までに括弧内に付した。 [引用発明] 「制御部110、画像取得部120、角速度加速度入力部130、プロジェクタ140、修正部150、及びディスプレイ160を備える物体測定装置100であって、(【0045】) 画像取得部120は、対象物の距離画像、及びカラー画像を取得し、取得した距離画像を制御部110に入力し、(【0046】) 角速度加速度入力部130は、物体測定装置100の角速度、及び加速度を検出し、検出した角速度、及び加速度を制御部110に入力し、(【0048】) 制御部110は、プログラムを実行することにより、位置角度推定部111、形状データ配置部112、モデル選択部113、及び測定部114として機能し、(【0052】) 位置角度推定部111は、距離画像を座標変換して形状データを生成し、(【0053】) 形状データとは、対象物の表面に対応する3次元空間中の座標値をもつ点の集合によって、物体の3次元的な形状を表す点群データであり、(【0016】) 位置角度推定部111は、角速度加速度入力部130から入力された角速度、及び加速度に基づいて、距離画像毎に他の距離画像との相対的な位置及び角度(位置角度)を推定し、(【0053】) 形状データ配置部112は、位置角度推定部111により生成された形状データを、位置角度推定部111により推定された位置角度で配置し、(【0060】) 形状データ配置部112は、以上の処理を、対象物の表面形状が十分に取得されるまで繰り返し、(【0061】) 物体測定装置100において、位置角度推定部111により推定された位置角度で配置された形状データに基づいて、対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去し、撮影された中心に近い点群データのかたまりとして、対象物を背景から抽出してもよく、また、点群データのかたまりの抽出には、メッシュデータの隣接情報が用いられてもよく、また、k-means法などのクラスタリングの手法が用いられてもよく、(引用文献1認定事項) 位置角度が合わされて配置された複数の形状データは、多数の重なり合う情報を有し、このため、最終的に生成される形状情報に比べてデータ容量が大きく、これを解消するために物体測定装置100は、複数の形状データの点群が密集している部分について、点群の密度が同程度になるように点の数を減らす後処理を行ってもよく、(【0080】~【0081】) モデル選択部113は、対象物を識別し、識別した対象物に応じたモデルを選択し、(【0082】) モデル選択部113は、たとえば、画像認識手法を使い、測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録し、入力画像を辞書とマッチングすることにより、対象物を識別し、(【0083】) モデル選択部113は、形状データから、位置角度推定処理と同じ方法で特徴点などを検出し、Bagof featuresなどの方法を用いて識別する構成であってもよく、(【0084】) モデル選択部113は、識別結果に基づいて、用途や物体によって異なるモデルの中から、適切なモデルを選択し、さらに、選択したモデル毎に予め定義された測定対象を検出し、(【0085】) モデルは、たとえば、直方体で表される箱モデルであり、このモデルが利用される場合、モデル選択部113は、撮影したデータから直方体を検出し、さらに、検出した直方体の3辺の長さを測定対象として検出し、(【0086】) 測定部114は、対象物の測定対象を検出する、(【0094】) 物体測定装置100」 イ 引用文献2~6に記載された事項及び周知技術等の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願前に発行された文献である特開平4-58943号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 a 2ページ左上欄1行~6行 「〈産業上の利用分野〉 本発明はデジタル放射線画像の画像認識装置に関し、詳しくは、被写体を透過した放射線量として撮影される放射線画像をデジタル信号化したデータから被写体の撮影部位や撮影体位などを認識し得る装置に関する。」 b 2ページ右下欄2行~3ページ左上欄17行 「 本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、複雑な計算を必要とせず、然も、抽出すべき特徴量の選択や辞書マッチングなとの労力を不要にできるデジタル放射線画像の画像認識装置を提供することを目的とする。 〈課題を解決するための手段〉 そのため本発明では、第1図に示すように、デジタル放射線画像の画素数と信号の量子化ステップ数との少なくとも一方を縮減させる信号間引き手段と、前記デジタル放射線画像の特徴が予め学習され、信号間引き手段の出力を入力し、入力した画像が予め特定される複数の認識対象のどれに該当するかを示す識別信号を出力するニューラルネットワークと、を含んでデジタル放射線画像の画像認識装置を構成した。 ここで、前記認識対象は、デジタル放射線画像における被写体の撮影部位と撮影体位との少なくとも一方とすることができる。 また、信号間引き手段が、原画像を複数の小領域に分割し、これら小領域それぞれでの画像信号値の平均値又は代表値をサンプリングすることでデジタル放射線画像の画素数と信号の量子化ステップ数との少なくとも一方を縮減させるよう構成すると良い。 更に、ニューラルネットワークが、予め学習データ集合の内容を変えながら複数回学習して得られた学習結果を複数備えるようにして、これら複数の学習結果それぞれに基づき処理されて出力された複数の識別信号の中の最も数の多いものを最終的に出力するよう構成することが好ましい。 ここで、上記のように複数の学習結果を備えるようにする場合には、未学習初期値を用いて最初のニューラルネットワーク学習を行わせ、2回目以降の学習においては前回の学習結果を初期値として学習を行わせることによって複数の学習結果を得るよう構成すると良い。」 c 5ページ右上欄8行~同ページ左下欄13行 「 ところで、上記のように間引き後の各画素の信号値をニューラルネットワーク3に入力させて、その画像を認識させるには、予めデジタル放射線画像の特徴を学習させておいて、例えば胸部正面の画像信号が入力されたときにはニューロンモデルR1の出力のみが1となるとように予め学習させておく必要がある。 かかるニューラルネットワーク3の学習は、予め撮影部位・撮影体位が判っているデジタル放射線画像信号を信号間引き部2で処理してニューラルネットワーク3に入力させたときに、正解である撮影部位・撮影体位に対応する識別信号が出力されるように、学習データ集合(学習用としてニューラルネットワーク3に入力させる間引き画像信号)を変えながらニューラルネットワーク3における各シナプスウェイト(結合荷重)の値を出力層R側から順次学習させて認識率を除々に増大させるものであり、かかる学習(バックプロパゲーション則)によって被写体の撮影部位・撮影体位の違いによる入力データの違いを学習させ、撮影部位・撮影体位を識別したいデジタル放射線画像信号を信号間引き部2で間引いた結果をニューラルネットワーク3に入力させることで、デジタル放射線画像における撮影部位・撮影体位を予め定めた複数の認識対象の何れかに識別させるようにするものである。」 d 7ページ左下欄6行~同欄18行 「〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明にかかるデジタル放射線画像の画像認識装置によると、信号の間引き処理を行ったデジタル放射線画像をニューラルネットワークに入力させて認識させるようにしたので、予め抽出する特徴量を選択したり、また、特徴量の辞書をマッチングさせる必要がなく、簡素な画像認識システムを簡便に構築できる一方、実際の画像認識においては、複雑な計算を必要とせず広範な画像を実時間でかつ高い識別率で認識させることができ、かかる認識によって得た撮影部位や撮影体位の情報に基づいてその後の読影に最適な画像処理を施すことができる。」 (イ) 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願前に発行された文献である特開2016-28229号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 a 段落【0001】~【0008】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、スペクトルデータを処理するデータ処理装置、及びそれを有する試料情報取得システム、データ処理方法等に関する。 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従来、機械学習を用いてスペクトルデータを分析する際には、スペクトルデータ中の全てのスペクトル成分を用いて処理を行っていた。しかし、スペクトルデータ1つあたりのスペクトル成分の数が多い場合や、分析の対象となるスペクトルデータの数が多い場合には、処理するデータ量が膨大となり、処理に要する時間が増大するという課題があった。 【0007】 一方、スペクトル成分をランダムに選択してスペクトルデータごとにスペクトル成分を間引き、データ量を削減することで、処理を高速化することが可能である。しかし、スペクトル成分をランダムに選択すると、分析に必要な情報を欠落させてしまう可能性がある。その結果、機械学習によって生成される識別器の識別精度が低下してしまうという課題があった。 【0008】 そこで本発明は上述の課題に鑑み、識別精度を保持しつつ、識別器の生成に要する時間を短縮することを目的とする。」 b 段落【0012】~【0030】 「【0012】 以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する具体例は本発明に係る最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。 【0013】 (構成) まず、本実施形態に係るデータ処理装置1(以下、「処理装置1」と称する)の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る処理装置1を含む試料情報取得システムの構成を示すブロック図である。 【0014】 本実施形態に係る試料情報取得システム100(以下、「システム100」と称する)は、処理装置1と、計測装置2と、表示部3と、外部記憶部4とを有する。処理装置1と、計測装置2と、表示部3と、外部記憶部4と、は部分的に又は全体的にネットワークを介して接続されていても良い。なお、ネットワークはLAN(LocalArea Network)及びインターネットを含む。 【0015】 計測装置2は、計測部21と、制御部22と、を有する。計測部21は、制御部22によって制御され、不図示の試料からスペクトルを計測しスペクトルデータを取得する部分である。 【0016】 スペクトルデータは、複数のスペクトル成分のそれぞれに対して、該スペクトル成分の強度値(「スペクトル強度」と称する)が格納されたデータであれば、特に限定はされない。スペクトルデータとしては、例えば、試料に対して刺激を与えた際に生じる応答について、その応答強度(スペクトル強度に対応する)を計測パラメータ(スペクトル成分に対応する)に対して格納したデータを用いることができる。ここで言う「刺激」とは、電磁波や音、電磁場、温度、湿度を含む。 …(中略)… 【0020】 表示部3は、処理装置1の処理結果を表示する部分である。表示部3としては、例えばフラットパネルディスプレイなどの画像表示装置を用いることができる。表示部3は、処理装置1から送信される画像データ等を表示することができる。 【0021】 外部記憶部4は、各種データを記憶する装置である。外部記憶部4には、計測装置2によって取得したスペクトルデータや、後述する識別器生成部13によって生成した識別器等の各種データ、等を記憶することができる。あるいは、処理装置1による処理結果を記憶しても良い。 【0022】 外部記憶部4に記憶した各種データは、必要に応じて読み出し、表示部3に表示することができる。また、処理装置1は外部記憶部4に記憶した識別器やスペクトルデータを用いて処理を行っても良い。あるいは、他の装置で計測し生成されたスペクトルデータを外部記憶部4にあらかじめ記憶しておき、処理装置1でそれらのスペクトルデータの処理を行っても良い。 【0023】 処理装置1は、機械学習を用いてスペクトルデータを処理する装置である。処理装置1は、スペクトル成分選択部11と、データセット取得部12と、識別器生成部13と、内部記憶部14と、識別部15と、を有する。 【0024】 スペクトル成分選択部11(以下、「選択部11」と称する)は、スペクトルデータの有する複数のスペクトル成分から、後述する識別器生成部13における機械学習に用いる機械学習用スペクトル成分を複数選択する部分である。 【0025】 データセット取得部12(以下、「取得部12」と称する)は、選択部11が選択した機械学習用スペクトル成分からなる機械学習用スペクトルデータを複数取得する部分である。以下、複数の機械学習用スペクトルデータを含むデータセットを、機械学習用データセットと称する。後述するように、取得部12は、外部記憶部4または内部記憶部14に記憶された複数のスペクトルデータからそれぞれ機械学習用スペクトル成分を抽出することで、機械学習用データセットを取得することができる。あるいは、計測装置2を用いて選択部11が選択した機械学習用スペクトル成分についての計測を行うことで、機械学習用スペクトルデータを取得しても良い。 【0026】 機械学習用スペクトルデータは、元のスペクトルデータに比べてデータ量が小さい。すなわち、元のスペクトルデータ中のスペクトル成分の総数をN、選択部11が選択した機械学習用スペクトル成分の数をMとすると、スペクトルデータ1つあたりのデータ量をM/N倍に縮小することができる。そのため、後述する識別器生成部13における機械学習の処理を高速に行うことができるようになり、識別器を生成するのに要する時間を短縮することができる。 【0027】 識別器生成部13(以下、「生成部13」と称する)は、取得部12によって取得された機械学習用データセットを用いて機械学習を行い、スペクトルデータを識別する識別器を生成する部分である。すなわち、生成部13は識別器選択部11が選択した複数の機械学習用スペクトル成分を用いて機械学習を行い、スペクトルデータを識別する識別器を生成する。 【0028】 なお、本実施形態では取得部12は機械学習用データセットに含まれる各機械学習用スペクトルデータが属する構成成分に関する情報(いわゆるラベル情報)を併せて取得することが好ましい。そして生成部13はラベル情報付き機械学習用データセットを用いて機械学習を行う。すなわち生成部13は、教師あり機械学習を行って識別器を生成する。 【0029】 内部記憶部14は、計測装置2で取得したスペクトルデータや、選択部11、取得部12、生成部13、識別部15で生成された各種データを記憶する部分である。 【0030】 識別部15は、生成部13が生成した識別器を用いて、計測装置2または外部記憶部4又は内部記憶部14から取得した、未識別の新たなスペクトルデータの識別を行う部分である。識別部15は、識別器を用いてスペクトルデータの識別を行い、スペクトルデータを試料における各構成成分に帰属することができる。」 c 段落【0066】~【0069】 「【0066】 [スペクトルデータを識別する工程] 次に識別部15は、生成部13が生成した識別器を用いてスペクトルデータの識別を行う。識別部15はスペクトルデータを識別し、それぞれのスペクトルデータを試料中の構成成分に帰属する。 【0067】 識別を行うスペクトルデータは、計測装置2で計測を行い新たに取得したスペクトルデータであってもよいし、外部記憶部4または内部記憶部14に記憶された、事前に取得済みのスペクトルデータであってもよい。また、識別を行うスペクトルデータの有するスペクトル成分は特に限定はされないが、選択部11が選択した機械学習用スペクトル成分からなるスペクトルデータであることが好ましい。 【0068】 識別を行うスペクトルデータを、選択部11が選択した機械学習用スペクトル成分からなるスペクトルデータとすることで、本工程でスペクトルデータを識別するのに要する時間を短縮することができる。すなわち、本実施形態によれば識別器の生成に要する時間を短縮することに加えて、その識別器を用いて識別を行う際の識別処理に要する時間を短縮することもできる。また本実施形態によれば、識別を行うスペクトルデータを計測する場合には機械学習用スペクトル成分についてのみ計測を行えば良いので、計測に要する時間も短縮することができる。 【0069】 識別部15による識別結果の形態は特に限定はされない。例えば処理装置1が、画素ごとにスペクトルデータがそれぞれ格納された画像データを処理する場合は、識別部15は画素ごとに格納されたスペクトルデータのそれぞれを、各構成成分に帰属し、各スペクトルデータにラベルデータを付加する。そして識別部15は、そのラベルデータに基づいて、各スペクトルデータの格納された画素を色分けして表示する二次元画像データまたは三次元画像データを生成してもよい。生成した二次元画像データまたは三次元画像データは、表示部3で画像表示してもよい。以上の工程により、試料の構成成分の分布を可視化することができる。」 (ウ) 引用文献4に記載された事項 当審において新たに引用する本願の出願前に発行された文献である国際公開第2004/003850号(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。 a 1ページ6行~同ページ10行 「技術分野 本発明は3次元イメージを比較して差異を表示する3次元イメージ比較プログラム、3次元イメージ比較方法、および3次元イメージ比較装置に関し、特に3次元イメ一ジのボクセル差異を高精度で比較する3次元イメージ比較プログラム、3次元イメージ比較方法、および3次元イメージ比較装置に関する。」 b 2ページ19行~3ページ25行 「従来の比較は、図27に示すように、設計モデルである表面データIm101と、写真等の表面データIm102とを直接比較することはできない。このため、従来の比較では、表面データIm102の表面を点群に変換し、点群データPIm102を生成した後に、表面データIm101と点群データIm102との比較を行っている。 しかしながら、従来の比較方法では、表面と点群の高精度比較であれば、対象となる点群は無数となる。また、実製品のCADモデルでは、微少な面が多く、比較すべき面数が膨大となる。つまり、実製品のCADモデルでは、計算すべき点と表面の組み合わせが無数となる。その結果、以下の問題が表出する。 ・計算時間が膨大となる。 ・ある点に最近接の表面の選択が困難となり、正しくない値が与えられる場合がある。 また、実際の製造業において要求される計測点数は、以下の表(1)の通りであり、どの方法により比較した場合でも、計測点数がネックとなり、現実的に実現が不可能となっている。 [図:0001418861000006.jpg] ただし、プラスティック製品では、計測点数を上記部品分の表面サイズ(400×400mm)の5倍と仮定している。 発明の開示 本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、3次元イメージの比較を高精度かつ高速に行うことができる3次元イメージ比較プログラム、3次元イメージ比較方法、および3次元イメージ比較装置を提供することを目的とする。本発明の第1の態様では上記課題を解決するために、たとえば、図1のような3次元イメージ比較プログラムが提供される。本発明の3次元イメージ比較プログラムは、3次元イメージを比較して差異を表示する場合に適用される。また、本発明の3次元イメージ比較プログラムは、コンピュータに以下の処理を実行させる。 予めボクセル化された第1の3次元イメージと第2の3次元イメージとを比較して、3次元差異イメージを生成する(ステップS1)。また、前記3次元差異イメージの表面に対し、前記比較よりも細かい精度にて前記第1の3次元イメージと前記第2の3次元イメージとの3次元差異細密イメージを生成する(ステップS2)。さらに、前記第1の3次元イメージの3次元差異細密イメージと、前記第2の3次元イメ一ジの3次元差異細密イメージとを比較して、前記3次元差異イメージの差異部の表示形式を決定する(ステップS3)。そして、前記3次元差異イメ一ジをボクセル比較結果として前記表示形式で表示する(ステップS4)。」 c 33ページ18行~同ページ24行 「[第1の実施の形態における計算資源の評価結果例] 最後に、第1の実施の形態における計算資源の評価結果例について説明する。 ここで、第1の実施の形態における効果は、以下の3点となる。 ・従来方式に比べて、圧倒的に必要とする計算量が少なく、結果を得る時間が短い。 ・詳細な比較を現実的な計算機資源(メモリ、ディスク量)にて実現可能となる。 ・比較作業の効率化におけるメリットがある。」 (エ) 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する本願の出願前に発行された文献である特開2016-103263号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。 a 段落【0004】~【0005】 「【0004】 ところで、建設現場の進捗状況を簡単に管理することが要望されている。つまり、所定の期間の間に建物のどの部材が出来上がったか、つまりその期間内に新規に完了した出来形が建物のどの部分であるかを簡単に把握できるようにすることが要望されている。また、その期間で消失した仮設材を簡単に把握できるようにすることが要望されている。 そこで、本発明が解決しようとする課題は、所定期間内に新規に完了した出来形や消失した仮設材を容易に把握できるようにすることである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決するために、本発明の構造物状況把握支援装置は、構造物を点群により表現した第1の構造物点群モデルを、前記構造物をボクセルにより表現する第1の構造物ボクセルモデルに変換する第1変換手段と、前記第1の構造物点群モデルとは異なる時点の前記構造物を点群により表現した第2の構造物点群モデルを、前記構造物をボクセルにより表現する第2の構造物ボクセルモデルに変換する第2変換手段と、前記第1の構造物ボクセルモデルと前記第2の構造物ボクセルモデルとの差分をとることによって、前記第2の構造物ボクセルモデルにあり且つ前記第1の構造物ボクセルモデルにないボクセル、あるいは、前記第2の構造物ボクセルモデルになく且つ前記第1の構造物ボクセルモデルにあるボクセル、あるいは、前記第2の構造物ボクセルモデルにあり且つ前記第1の構造物ボクセルモデルにあるボクセル、あるいは、前記第2の構造物ボクセルモデルになく且つ前記第1の構造物ボクセルモデルにないボクセルをそれぞれ分類抽出する分類抽出手段と、を備える。」 b 段落【0052】~【0056】 「【0052】 以上説明した本発明の実施の形態によれば、構造物状況把握支援装置10を用いることにより、以下の効果が得られる。 【0053】 (1) 建物点群モデル30と設計建物モデル20を照合し(ステップS3)、何れの構成要素モデル21の三次元形状の外縁の内側にも含まれない点に施工時設計変更の付加情報が付与され(ステップS4)、その点がそれ以外の点の色と異なる色で表示されるので(ステップS10)、建設中又は改修工事中の建物うちどの部分が施工時に設計変更となったかをユーザや作業員に把握させることができる。 【0054】 (2) 建物点群モデル30と設計建物モデル20を照合し(ステップS5)、構成要素モデル21の三次元形状の外縁の内側に含まれる点が少なければ(ステップS6:NO)、それらの点に未施工の付加情報が付与されるので(ステップS8)、それらの点をそれ以外の点の色と異なる色で表示することができる(ステップS10)。そのため、建設中又は改修工事中の建物うちどの部分が未施工であるかをユーザや作業員に把握させることができる。 【0055】 (3) 建物点群モデル30と設計建物モデル20を照合し(ステップS5)、構成要素モデル21の三次元形状の外縁の内側に含まれる点が多い場合には(ステップS6:YES)、それらの点に属性情報21eが付加情報として付与されるので(ステップS7)、それらの点を属性情報21eの内容ごとに異なる色で表示することができる(ステップS10)。そのため、建設中又は改修工事中の建物うち完成した部位とそれらの属性をユーザや作業員に把握させることができる。 【0056】 (4) 建物点群モデル30a,30bをボクセルモデルに変換する(ステップS32)ことによってデータ数が減少するので、建物ボクセルモデル30a,30bを対比してこれら建物ボクセルモデル30a,30bの差分をとる際の計算時間を短縮することができる。」 (オ) 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する本願の出願前に発行された文献である阿部誠也 等、大規模点群からのDeep Learningによる構造物の検出、2018年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、54-55、2018(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。 a 54ページ左欄1行~同欄19行 「1 緒言 近年,MMS(Mobile Mapping System)やLiDAR(Light Detection And Ranging)といった広域3次元計測技術が発展してきた.これにより,図に示す計測車両などを用いて,都市全体を点群として網羅したデータの取得が可能となった.都市全体を点群として網羅したデータは,インフラのメンテナンスや自動車の安全性向上への利用が期待されている. しかし,取得された点群データは膨大な量の構造物の点群データを含んでいる.膨大な点群データを活用するためには,これらの構造物を抽出し,各構造物に正しく分類することが必要となる.この分類を手動で行う場合,膨大な時間がかかってしまい,膨大な点群データを活用することが困難となってしまう.この分類をコンピュータが自動的に行うことで,より短い時間で有意な点群の活用ができると考えられる.そこで,クラス分類問題などが得意である機械学習を用いて,構造物を抽出し,各構造物ごとに正しく分類する. 本研究では人が生活を行う上でのライフラインである構造物に焦点を当て,大規模な点群データからDeep Learningにより構造物を検出しラベル付けを行うことを目的とする.」 b 54ページ右欄11行~同欄38行、表1 「4 学習データの作成 本研究で行うDeep Learningは,教師あり学習であるので入カデータと教師データのトレーニングセットを用いて学習を行う.学習を行い構造物を検出するためにも学習データである点群データと教師データである構造物ラベルのトレーニングセットが必要となる.そのため,トレーニングセットの作成を行った. 初めに,静岡大学とその周辺を計測した地勢データより,路面の点群を除去したデータを作成した.路面の点群はRANSAC法による平面検出を行い,平面と検出された点群を路面であると仮定し,路面の点群の除去を行った.その後,電柱が存在する領域を抜き出した.抜き出したの座標情報を持つ電柱の次元点群データをボクセル表現により,30×30×30のボクセルデータに変換し,ボクセルデータを作成した. その後,ボクセルデータの境界付近の特徴を考慮するためにゼロパディングを行い32×32×32のボクセルデータに変換した学習データを作成した(図2).このような電柱を識別するためのトレーニングセットを207個用意し,xy平面上で15度ずつ回転することにより増加させ4968個作成した. しかし,電柱を識別するためのトレーニングセットだけでは識別する教師データが1種類だけになってしまうので,学習データに対して電柱の教師データのみを結果として出してしまい,学習がうまく行えているか判断をを行うことができない.そこで,静岡大学とその周辺を計測した地勢データ及び各構造物に分類されたデータより,複数の学習データと教師データのトレーニングセットを作成した.学習のために作成したトレーニングデータセットは4種類で,学習データと教師データのラベルは表1の通りである.」 「 表1 [図:0001418861000007.jpg] 」 c 55ページ左欄1行~同欄11行、表2 「5 学習 本研究では,オープンソースのDeep Learning用フレームワークであるChainerを用いて開発を行った.Chainerは,Pythonのライブラリとして提供されており,あらゆるニューラルネットの構造に柔軟に対応し,直感的に記述が可能である点で優れている. 5.1 ネットワークの構成 電柱を識別するための学習は,表2に示すのネットワークを用いて学習を行った.入カデータは,32×32×32のボクセルデータに変換した学習データと教師データのトレーニングセットである.」 「 表2 [図:0001418861000008.jpg] 」 d 55ページ左欄38行~同欄49行 「6 識別 学習によって得られた学習パラメータを用いて識別を行った.識別を行う領域は,図に示すような学習で使用していない静岡大学とその周辺を計測した地勢データの23m×20mの領域を用いて行った. 識別を行う際,路面の計測データが含まれてしまうと路面が電柱の一部とされ識別が困難である.したがって,識別を行う前処理としてRANSAC法により平面除去を行い路面を除去したデータを作成した.識別を行う領域は,3 次元点群データの道路と同じ平面上である平面上の領域を3m×3mの領域で区切り1.5mずつ重なり合うようにずらしていき,それぞれの領域で識別を行った.その結果,図3の領域では,3次元点群データを70個の領域に区切ることができた.」 「図3 [図:0001418861000009.jpg] 」 (カ) 周知技術1の認定 引用文献2、3及び6(前記(ア)、(イ)及び(オ)に摘記した事項を参照)に例示されように、次の技術事項は当業者にとって周知の技術事項であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。 [周知技術1] 「検出対象データから検出対象の検出を行うに際し、学習パラメータの基礎となるデータを小データ化し、小データ化されたデータに基づいて機械学習することで機械学習に要する時間を短縮すること。」 (キ) 周知技術2の認定 引用文献6(前記(オ)に摘記した事項を参照)に例示されるように、次の技術事項は当業者にとって周知の技術事項であったと認められる(以下「周知技術2」という。)。 [周知技術2] 「検出対象物が含まれる3次元点群データから検出対象物を抽出して分類するに際し、計測された3次元点群データをボクセルデータに変換したデータを学習用データとして機械学習を行い、機械学習によって得られた学習パラメータを用いること。」 (ク) 周知技術3の認定 引用文献2及び3(前記(ア)及び(イ)に摘記した事項を参照)に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術3」という。)。 [周知技術3] 「学習によって得られた学習パラメータを用いて検出対象データから検出対象の検出を行うに際して、学習パラメータの基礎となるデータの小データ化に加え、検出対象データも小データ化することで、検出に要する時間を短縮すること。」 (ケ) 技術常識1の認定 引用文献4~6(前記(ウ)~(オ)に摘記した事項を参照)に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。 [技術常識1] 「点群からなる三次元画像データをボクセル化することで小データ化することができること。」 ウ 引用文献7~8に記載された事項及び技術常識2の認定 (ア) 引用文献7に記載された事項 当審において新たに引用する本願の出願前に発行された文献である城殿清澄 等、高解像度レーザレーダによる歩行者識別、日本ロボット学会誌、Vol.29、No.10、963-970、2011(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。 a 963ページ右欄5行~同欄23行 「 本論文では高解像度のレーザレーダで取得した三次元のレンジデータから歩行者を識別する手法を提案する.これまでにレーザレーダを用いて観測間の自車運動を推定したり,自車周辺の移動物を追跡する技術[6][7]が開発されている.移動物の大きさと移動速度に基づいて車両・ニ輪車・歩行者の区別が可能であることが確認されている.一方,運転支援のために自車周辺に潜む危険要因を推定する研究[8]からは,歩行中の人物だけでなく,道路脇で静止している人物も他の静止物と区別して検出したいという要求がある. そこで,本研究では動き情報を利用せずに三次元レンジデータの分布に基づいて歩行者を精度よく検出することを目的とする.初めに取得したレンジデータから路面点を除去して,立体物ごとの点群集合(クラスタ)を生成する.次に,生成されたクラスタ群の中から大きさに基づいて歩行者候補のクラスタを抽出する.そして,歩行者候補クラスタに含まれるレンジデータから特徴量を算出し,識別器によって歩行者か否かを判定する.識別器の学習にはSVM(Support Vector Machine)を用いる.本研究では追跡処理による性能向上については扱わず,フレームごとの識別性能に焦点を当てて議論する.」 b 965ページ左欄16行~同ページ右欄22行 「4.1 認識処理の概要 1観測分のレンジデータに対する認識処理の流れを示す.各部の処理について以下に述べる. (1)データ取得 レーザレーダから観測自車周辺360°の計測で得られる三次元レンジデータを取得する.それぞれのレンジデータは三次元位置と反射強度を持つ. (2)立体物判定 取得した三次元レンジデータを立体物と路面の2クラスに分割する.この処理には占有グリッドマップを用いる.計測された三次元レンジデータを路面と平行な二次元占有グリッドマップに投影する.そして,投影されたレンジデータの高さ方向の分散をセル単位で算出し,分散値が設定した閾値より大きい場合にセル内のレンジデータは立体物であると判定する.縁石よりも高い物体を立体物として抽出できるように後述する実験では占有グリッドマップのセルサイズは0.35[m],高さ方向の分散値の閾値σは0.05[m]とした. (3)クラスタリング 一定距離θd内に存在するレンジデータを同一物体としてグループ化し,立体物と判定されたレンジデータから複数の物体候補(クラスタ)を生成する.ここで,同一物体とみなす距離の閾値θdは0.5[m]とした.計算量を削減するため,ここでも占有グリッドマップを利用する.セルサイズをθdの半分に設定したグリッドマップに立体物のレンジデータを投影する.グリッドマップを画像に見立てて,レンジデータが投影されたセルに対応する画素の画素値を255,それ以外の画素の画素値を0とする2値化画像を生成する.この値化画像に対してラベリング処理を行うことでクラスタリングを行う.そして,Rotating Calipers法[27]を用いて生成したクラスタの点群に外接する直方体を当てはめ,直方体の大きさに基づいて歩行者候補を抽出する. …(中略)… (4)識別 歩行者候補として抽出されたクラスタに対して識別処理を行う.クラスタに含まれるレンジデータ群から識別に必要な特徴ベクトルを算出し,事前に学習した識別器によって,そのクラスタが歩行者であるか否かを評価する.識別器にはRBF(Radial Basis Function)カーネルのSVMを用いた.」 (イ) 引用文献8に記載された事項 当審において新たに引用する本願の出願前に発行された文献である藤吉弘亘、機械学習を用いた距離画像からの物体認識技術、信学技報、Vol.115、No.124、13-18、2015(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。 a 14ページ左欄1行~同欄5行 「2. 1 ポイントクラウド ポイントクラウドは,三次元座標値(X,Y,Z)を持つ点pの集合として定義され,レーザー走査型の TOF センサ等から取得された2.5次元の点群データを指す.2.5次元とは,カメラの視点方向から物体や空間の三次元形状を表したものである.」 b 14ページ左欄19行~同ページ右欄1行 「3. ポイントクラウドを用いた物体認識 本章では,ポイントクラウドデータを用いた物体認識の手法として,PCLに採用された人検出法とレイヤー毎にモデルを学習する人検出法について述べる. 3.1 PCLの人検出 PCLに採用された人検出法[6]は,ポイントクラウドデータから床面を推定し,クラスタリングにより人の候補位置を求めるアプローチである.本手法は Point Cloud Library(PCL)のバージョン1.7から採用された.本手法の流れを以下に示す. ・床面の推定と除去 ・三次元クラスタリング ・画像情報を用いた識別 本手法では,まず,ポイントクラウドデータをボクセル化と,RANSAC アルゴリズムを用いた平面モデルを当てはめにより,平面の推定をする.そして,平面である床面を除去したポイントクラウドデータにクラスタリングを行い,検出対象候補を推定する.次に,床面から頭部までの高さとクラスタリング領域のサイズから候補を絞り込む.最後に,ポイントクラウド上で検出した候補領域に対応する画像領域からHOG 特徴量を抽出し,SVMにより識別して最終判定を行う.」 (ウ) 技術常識2の認定 引用文献7及び8(前記(ア)及び(イ)に摘記した事項を参照)に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という。)。 [技術常識2] 「検出対象データから平面に対応する三次元点群データを除去し、残った点群データに対してクラスタリングを行い、クラスタリングにより識別された対象物候補を学習済みモデルとマッチングすることで対象物の検出を行うことが、三次元点群データである検出対象データから検出対象物の検出を行うに際し、広く用いられている一般的な技術であること。」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成X(「距離計測装置」)の観点 a 「距離計測」の解釈 (a) 本願の明細書の発明の詳細な説明及び図面には次の記載がある。 「【0053】 操作部442は、ユーザの操作を受ける機能部である(図4参照)。ユーザは、操作部442を操作(例えば、マウスのクリック操作、タッチパネルのタップ操作など)することにより、表示部441に表示されている撮影データ50に対して計測対象物(例えば、図8の10)の始点(例えば、図8の始点A)、及び、終点(例えば、図8の終点B)を指定する。この場合、操作部442は、ユーザによって指定された始点Aの座標に係るデータを始点記憶部451に向けて出力し、ユーザによって指定された終点Bの座標に係るデータを終点記憶部452に向けて出力する。なお、先に始点Aを指定して後に終点Bを指定するだけでなく、先に終点Bを指定して後に始点Aを指定するようにしてもよい。」 「【図8】 [図:0001418861000010.jpg] 」 「【0054】 距離計測部450は、指定された始点A及び終点Bに基づいて2点間(線分AB間)の距離を計測する機能部である(図4参照)。距離計測部450は、始点記憶部451と、終点記憶部452と、距離算出部453と、を有する。」 「【0087】 以上のような実施形態1に係る距離計測システム1は、電力業界における離隔距離の計測、建設業界における建設現場や資材の計測、林業分野における樹木の距離計測、物流業界における配送物の寸法の計測、スマートファクトリ分野における工場内の空き空間の距離計測等に利用することができる。」 (b) 前記(a)に抜粋した本願の明細書の発明の詳細な説明及び【図8】の記載を参酌すると、電柱の長さの計測や物流業界における配送物の寸法の計測などの物品の寸法の計測は、本件補正発明にいうところの「距離計測」の概念に包摂されることが理解できる。 b 前記aの「距離計測」の解釈を用いた検討 引用発明の「物体測定装置100」は、「モデル選択部113」により「検出した直方体の3辺の長さを測定対象として検出」し、「測定部114」により「対象物の測定対象を検出する」ものである。 c そうすると、引用発明の「物体測定装置100」が検出する直方体の辺の長さ、すなわち、当該辺を構成する頂点間の距離は、物品の寸法であるから、前記a(b)の結論、すなわち、本件補正発明にいうところの「距離計測」の概念に電柱の長さの計測や物流業界における配送物の寸法の計測などの物品の寸法の計測が包摂されることを踏まえると、引用発明の「物体測定装置100」は、距離を計測する装置であるといえる。 d したがって、本件補正発明と引用発明は「距離計測装置」の発明である点において一致する。 (イ) 構成A及び構成Bの観点 構成Aは、「予測モデルの基礎となる3D画像データをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理」を行うことであり、構成Bは、「小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理」を行うことである。 構成A及び構成Bの観点において、本件補正発明と引用発明に一致する点はないから、両者は次の点において相違する。 本件補正発明においては、「予測モデルの基礎となる3D画像データをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理と、小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理」を行うのに対して、 引用発明では、そのような処理を行うことの特定がない点。 (ウ) 構成Cの観点 構成Cは、「機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理」を行うことである。 a 「予測モデル」の解釈 (a) 「予測」の字義は「将来の出来事や有様をあらかじめ推測すること。前もっておしはかること。」(広辞苑第七版)であるから、当該字義に基づけば、「予測」との特定事項によって、「モデル」が、計測対象物の将来の状態を推測することができるものに限定されると解するのが相当である。 (b) これに関し、本願明細書の発明の詳細な説明には、「予測モデル」について、「点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理と、平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理と、クラスタリングされた前記撮影データを用いて、予め作成された予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理と、を行う」(段落【0016】を参照)等の記載があるのみであって、これらの記載からは、「予測モデル」が、点群で描画された撮影データに基づくデータとマッチングすることによって計測対象物を検知できるものであることは把握できるものの、計測対象物の将来の状態を推測できるものであることまで想定されていると解することはできない。 (c) したがって、本件補正発明の「予測モデル」における「予測」との特定事項は、点群で描画された撮影データに基づくデータとマッチングすることによって計測対象物を検知できることを意味するものと解釈し、後記bにおいて引用発明との対比を行う。 b 前記aの「予測モデル」の解釈を用いた検討 (a) 引用発明の「辞書」に「登録」された「測定対象の種類ごと」の「画像や形状データ」は、「入力画像」「とマッチングすることにより、対象物を識別」できるものである。 (b) 前記(a)において、「入力画像」は、「画像取得部120」によって「取得」された「距離画像を座標変換して」「生成した」「形状データ」であるところ、「形状データ」は「距離画像を座標変換し[た]」「物体の3次元的な形状を表す点群データであ[る]」から、点群で描画された撮影データであるといえる。 (c) 前記(a)及び(b)から、引用発明の「辞書」に「登録」された「測定対象の種類ごと」の「画像や形状データ」は、前記a(c)の解釈も踏まえると、本件補正発明の「予測モデル」に相当する。 そして、引用発明において「測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録」することは、測定対象の予測モデルの準備に関する処理であるといえる。 (d) ここで、本件補正発明の「予測モデルを作成する処理」は、予測モデルを準備する処理であるといえるから、本件補正発明と引用発明は、構成Cの観点に関して、次のiに示す構成Cの観点での一致点において共通し、iiに示す構成Cの観点での相違点において相違する。 i 構成Cの観点での一致点 「予測モデルを準備する処理」を行う点。 ii 構成Cの観点での相違点 予測モデルを準備する処理が、 本件補正発明においては、「機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理」であるのに対して、 引用発明では、「測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録」する処理である点。 (エ) 構成Dの観点 構成Dは、「点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理」を行うことである。 a 引用発明の「位置角度推定部111により推定された位置角度で配置された形状データ」は、本件補正発明の「点群で描画された撮影データ」に相当する(前記(ウ)b(b)を参照)。 b 引用発明の「対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去し、撮影された中心に近い点群データのかたまりとして、対象物を背景から抽出」することは、「除去[される]」「床面」が「最大平面として検出[された]」ものであるから、本件補正発明の「平面部分を除去する処理」に相当する。 c 前記a及びbを踏まえると、引用発明の「位置角度推定部111により推定された位置角度で配置された形状データに基づいて、対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去」することは、本件補正発明の「点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理」に相当する。 d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理」を行う点。 (オ) 構成Eの観点 構成Eは、「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」を行うことである。 a 引用発明において、「点群データのかたまりの抽出に」「k-means法などのクラスタリングの手法が用いられ[る]」ことは、本件補正発明の「クラスタリングを行う処理」に相当する。 b 一方で、引用発明において、クラスタリングの手法を用いることが、「形状データ」から「対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去」したデータ(前記(エ)を参照)に対して行われるのか、「形状データ」に対して「対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去」することに代えて行われるのかが明確に特定されていない。 c そして、前記bにおいて、前者の場合は、引用発明が本件補正発明の「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」に相当する構成を備えるといえるが、後者の場合は、そのような構成を備えないことになる。 d 前記aからcまでの検討結果を踏まえると、引用文献1に記載された事項からは、本件補正発明と引用発明が「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」を行う点で一致しているか否かが明らかでないから、両者は次の点において一応相違する。 本件補正発明においては、「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」を行うのに対して、 引用発明では、そのような処理を行うか否かが明らかでない点。 (カ) 構成Fの観点 構成Fは、「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理」を行うことである。 a 引用発明の「辞書」に「登録」された「測定対象の種類ごと」の「画像や形状データ」は、本件補正発明の「予測モデル」に相当する(前記(ウ)b(c)を参照)。 b また、引用発明の「入力画像」は、撮影データに基づくデータであるといえるから、本件補正発明の「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタ」と、「撮影データに基づくデータ」である点で共通する。 c 前記a及びbから、引用発明の「モデル選択部113は、たとえば、画像認識手法を使い、測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録し、入力画像を辞書とマッチングすることにより、対象物を識別」することは、本件補正発明の「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理」を行うことと、「撮影データに基づくデータに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理」を行う点で共通する。 d(a) したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点に関して、次のiに示す構成Fの観点での一致点において共通し、iiに示す構成Fの観点での相違点において相違する。 i 構成Fの観点での一致点 「撮影データに基づくデータに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理」を行う点。 ii 構成Fの観点での相違点 撮影データに基づくデータが、 本件補正発明においては、「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタ」であるのに対して、 引用発明では、「入力画像」である点。 イ 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違する。 (ア) 一致点 「予測モデルを準備する処理と、 点群で描画された撮影データの中から平面部分を除去する処理と、 撮影データに基づくデータに対して、前記予測モデルとマッチングすることによって、計測対象物を検知する処理と、 を行う、距離計測装置」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 予測モデルを準備する処理が、 本件補正発明においては、 「予測モデルの基礎となる3D画像データをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理」と、 「小データ化された前記3D画像データに基づいて機械学習を行う処理」と、 「機械学習した内容に基づいて前記予測モデルを作成する処理」であるのに対して、 引用発明においては、「測定対象の種類ごとに、画像や形状データをあらかじめ辞書に登録」する処理である点。 b 相違点2 本件補正発明においては、 「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」を行い、 撮影データに基づくデータが「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタ」であるのに対して、 引用発明においては、平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理を行うか否かが明らかでなく、 撮影データに基づくデータが「入力画像」である点。 (4) 判断 ア 相違点1について (ア) 周知技術1及び技術常識1に基づく判断 a 検出対象データから検出対象の検出を行うに際し、機械学習の基礎となるデータを小データ化し、小データ化されたデータに基づいて機械学習することで機械学習に要する時間を短縮することは、周知の技術事項である(前記周知技術1を参照)。 b 引用発明において、「辞書」に「登録」された「測定対象の種類ごと」の「画像や形状データ」を用いることに代えて、識別精度を向上すること、登録されていない類似のものの識別を可能とすること等により登録作業の労力を軽減することなどの観点から、機械学習を用いるようにすることは、当業者にとっては自明の設計変更にすぎないところ、その際、機械学習に要する時間を短縮すべきことは当然の課題であるから、引用発明において前記周知技術1を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 c そして、点群からなる三次元画像データをボクセル化することで小データ化することができることは、技術常識である(前記技術常識1を参照)から、前記bにおける小データ化の手法としてボクセル化を採用することは、周知技術1の具体的適用に際して適宜選択できる設計事項というべきものであり、格別のものでない。 d 以上のとおりであるから、引用発明において、前記技術常識1を踏まえて前記周知技術1を採用して、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ) 周知技術2に基づく判断 a 検出対象物が含まれる3次元点群データから検出対象物を抽出して分類するに際し、計測された3次元点群データをボクセルデータに変換したデータを学習用データとして機械学習を行い、機械学習によって得られた学習パラメータを用いることは、周知の技術事項である(前記周知技術2を参照)。 b そして、引用発明において、「辞書」に「登録」された「測定対象の種類ごと」の「画像や形状データ」を用いることに代えて、機械学習を用いるようにすることは、当業者にとっては自明の設計変更にすぎないところ、機械学習に要する時間を短縮すべきことは当然の課題にすぎないから、引用発明において前記周知技術2を採用して、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について (ア) 「平面部分が除去された前記撮影データに対してクラスタリングを行う処理」を行う点(以下「相違点2-1」という。)について a 検出対象データから平面に対応する三次元点群データを除去し、残った点群データに対してクラスタリングを行い、クラスタリングにより識別された対象物候補を学習済みモデルとマッチングすることで対象物の検出を行うことは、三次元点群データである検出対象データから検出対象物の検出を行うに際し、広く用いられている一般的な技術である(前記技術常識2を参照)。 b 前記技術常識2を踏まえると、当業者であれば、引用発明の「位置角度推定部111により推定された位置角度で配置された形状データに基づいて、対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去し、撮影された中心に近い点群データのかたまりとして、対象物を背景から抽出してもよく、また、点群データのかたまりの抽出には、メッシュデータの隣接情報が用いられてもよく、また、k-means法などのクラスタリングの手法が用いられてもよく」との構成に接した際に、「形状データ」から「対象物が置かれた床面を最大平面として検出し、検出した床面を除去」したデータに対して、クラスタリングを行う態様を観念できるといえるから、前記相違点2-1が実質的な相違点であるとは認められない。 c なお、前記相違点2-1を実質的な相違点とすべきとしても、引用発明において相違点2-1に係る本件補正発明の構成とすることは、前記技術常識2に基づき当業者が適宜なし得たことである。 (イ) 撮影データに基づくデータが「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタをボクセル化又はデジタル化することによって小データ化し、小データ化された前記各クラスタ」である点(以下「相違点2-2」という。)について a 学習によって得られた学習パラメータを用いて検出対象データから検出対象の検出を行うに際して、学習パラメータの基礎となるデータの小データ化に加え、検出対象データも小データ化することで、検出に要する時間を短縮することは、周知の技術事項である(前記周知技術3を参照)。 b したがって、引用発明において、機械学習の基礎となるデータの小データ化に関する前記周知技術1又は2の適用(前記ア(ア)及び(イ)を参照)に加えて、前記技術常識1を踏まえて前記周知技術3を採用して、前記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 総合評価 前記ア及びイで検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1及び3並びに技術常識1及び2、又は、引用発明、周知技術2、周知技術3及び技術常識2に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 また、前記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び3並びに技術常識1及び2、又は、引用発明、周知技術2、周知技術3及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 請求人の主張について ア 審判請求書、上申書及び面接時等の主張内容 請求人の主張は、概略次のとおりである。 (ア) 主張1 引用文献1には、3次元画像データをボクセル化、デジタル化することによってデータサイズを小データ化することは、記載も示唆もされていない(審判請求書を参照)。 (イ) 主張2 引用文献1-5に基づくクラスタリングとボクセル化との有機的な組み合わせは、本件補正発明を参照した上での後知恵にすぎない(上申書を参照)。 (ウ) 主張3 本件補正発明の「3D画像データ」とは、3D画像作成部を用いて、ユーザによって作成された3D画像データであって、センシングされた撮影データに基づく3D画像データを含まない(令和6年10月25日に実施した面接についての面接記録、及び、令和6年11月8日に実施した応対についての応対記録に添付された回答書を参照)。 イ 請求人の主張に対する当審の判断 (ア) 主張1について 点群からなる三次元画像データをボクセル化することで小データ化できることは技術常識であり、そのような手段を採用することが、引用発明に対して周知技術1又は3の具体的適用に際して適宜選択できる設計事項というべきものであることは、前記(4)ア及びイにおいて検討したとおりであるから、請求人の主張は、前記(4)ウの結論を左右するものではない。 (イ) 主張2について 令和6年10月25日に実施した面接において、請求人から主張2における「有機的な」とは、クラスタリングとボクセル化を実施することにより相乗効果を奏することを意味するとの説明がなされたため(前記面接記録を参照)、そのような解釈に基づいて検討する。 本願明細書の発明の詳細な説明には、クラスタリングとボクセル化を実施することにより相乗効果を奏することは記載も示唆もされていない。 したがって、請求人の主張は、妥当な根拠に基づくものでないから、採用することができない。 (ウ) 主張3について a 当合議体は請求人の前記主張3を採用することはできないところ、その理由は、次の(a)から(e)に示すとおりである。 (a) 本件補正発明において、「3D画像データ」について次のi~iiiの特徴を有することが特定されている。 i 「予測モデルの基礎となる」ものであること ii 「ボクセル化又はデジタル化することによって小データ化する処理」の対象となること iii 「小データ化された」「3D画像データ」「に基づいて機械学習を行う処理」を行うこと ここで、センシングされた撮影データに基づいた3D画像データであっても、予測モデルの基礎となることができ、ボクセル化等によって小データ化することができ、小データ化したデータに基づいて機械学習を行うことができるものであることは明らかであるから、前記i~iiiの特徴を備えることができるといえる。 そうすると、本件補正発明の構成からは、本件補正発明の「3D画像データ」について、字義どおりの解釈ではなく、センシングして撮影された撮影データに基づく3D画像データを含まないと解釈する根拠はない。 (b) 次に、明細書の発明の詳細な説明を参酌しても、「3D画像データ」についての定義の記載は無いから、実施態様において、センシングして撮影された撮影データに基づく3D画像データを含まないものが記載されているとしても、それはあくまで一つの態様であって、本件補正後の請求項1における「3D画像データ」について字義どおりの解釈ではなく、「センシングして撮影された撮影データに基づく3D画像データを含まない」と解釈すべき理由はない。 (c) 前記主張3は、審査の段階における意見書や審判請求書等において主張する機会があったにもかかわらずしておらず、審判請求後の面接において初めてされたものであり、請求人も面接の前までは、前記aの解釈によっていたと推測される。 (d) 前記主張3については、手続補正により明確化する機会はあったにもかかわらず、補正をしていない以上、「3D画像データ」という用語については、通常の字義どおりに解釈するのが妥当である。 (e) 面接の際に、主張3に係る解釈が妥当で、字義どおりの解釈が妥当でないとすることの根拠について説明を求めたところ、面接の場及び面接後に提出した回答書において、実施態様が前記主張3のとおりになっていることの説明はあるが、請求項1において前記主張3の解釈が字義どおりの解釈に比較して妥当であることの合理的な根拠を示していない。 b なお、仮に、前記主張3に係る解釈が妥当であったとしても、次の文献に例示されるように、ユーザがCAD等の画像作成部を用いて作成した3D画像データに基づいて機械学習を行っても良いことは技術常識であるから、前記主張3に係る技術事項は自明のことにすぎず、前記主張3は前記(4)ウの結論を左右するものとはいえない。 「深野健太等、移動計測データに基づく地物分類のための学習データ生成手法、精密工学会大会学術講演会講演論文集、ROMBUNNO.H02、2014」 「深野健太等、移動計測データに基づく地物分類のための学習データ生成手法(第2報)、精密工学会大会学術講演会講演論文集、ROMBUNNO.H67、2015」 (6) 本件補正についての補正の却下の決定のむすび 以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1~9に係る発明は、令和5年3月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。 2 拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由は、次のとおりである。 本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 <主たる引用文献> 引用文献1:特開2013-196355号公報 <周知技術を示す文献> 引用文献2:特開平4-58943号公報 引用文献3:特開2016-28229号公報 3 引用文献に記載された事項 引用文献1には、前記第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。 また、前記周知技術1、3は、前記第2の3(2)イ(カ)及び(ク)において認定したとおりである。 さらに、前記技術常識1、2は、前記第2の3(2)イ(ケ)及びウ(ウ)において認定したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から「予測モデルの基礎となる3D画像データ」及び「クラスタリングされた前記撮影データにおける各クラスタ」の「小データ化」についての「ボクセル化又はデジタル化することによって」行うことの限定を省いたものである(前記第2の2参照)。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において検討したとおり、引用発明、周知技術1及び3並びに技術常識1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、周知技術1及び3並びに技術常識1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-016467

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