特許拒絶査定不服審判
2024-015857
避難支援システム、統合システム、避難支援方法及びプログラム
- 審判番号
- 2024-015857
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-116698
- 請求日
- 2024年10月02日
- 審決日
- 2025年05月20日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人北斗特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 松原 徳久
- 審判官 土居 仁士
- 分類
- P18 .121-Z (G08B) / P18 .575-Z (G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-116698「避難支援システム、統合システム、避難支援方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月19日出願公開、特開2022- 14395〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)7月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 3月 5日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 5月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 6月28日付け:拒絶査定
令和 6年10月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年10月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年10月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の請求項1は削除され、本件補正前の請求項2を新たな請求項1とする旨の主張が審判請求書でなされている。
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は、本件補正前の請求項2に対する補正箇所であり、下線は当審で付した。後の参照の便宜のため、請求項1をA~Gの符号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
「【請求項1】
A 対象空間からの避難に関する避難トリガ情報を取得する取得部と、
B 前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると、前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象の行動情報に基づいて、前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する判断部と、
C 前記避難対象が前記要避難領域に存在すると前記判断部が判断する場合には、前記避難の支援に係る報知情報を報知する報知部と、を備え、
D 前記報知情報は、前記避難対象の数を含み、
E 前記判断部は、
F 前記行動情報に基づいて、前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから第1所定時間が経過しても前記避難対象が前記要避難領域に存在している状態、及び第2所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態のうち少なくとも一方の状態であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する、
G 避難支援システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項2の記載
本件補正前の、令和6年5月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2の記載は次のとおりである。
「【請求項2】
対象空間からの避難に関する避難トリガ情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると、前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象の行動情報に基づいて、前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する判断部と、
前記避難対象が前記要避難領域に存在すると前記判断部が判断する場合には、前記避難の支援に係る報知情報を報知する報知部と、を備え、
前記判断部は、
前記行動情報に基づいて、前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから第1所定時間が経過しても前記避難対象が前記要避難領域に存在している状態、及び第2所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態のうち少なくとも一方の状態であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する、
避難支援システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「報知情報」の内容について、出願当初明細書の「【0045】・・・安全経路、報知用画像及び避難対象の数を含む報知情報を・・・」等の記載に基づいて、「前記避難対象の数を含」むという限定を付加するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された特開2000-113357号公報(平成12年4月21日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
「【0031】図1は、本発明による防災救難システムの実施形態を示すシステム構成図であり、大別すると、建物内に設置された各種の防災用検知設備からの検知出力信号に基づき災害の発生の有無、拡大または縮小状況の予測、避難経路の探索等を行う防災救難コンピュータ10と、・・・消防機関等の防災対策要員や建物内に存在する人と侵入経路や避難経路の情報等を送受する送受信機群30と、・・・から構成されている。」
「【0035】本実施形態では、建物内集中制御コンピュータ50が使用するセンサ群60の出力信号をデータ入出力部80を介して防災救難コンピュータ10に取りこみ、火災等の災害の発生を検出すると共に、災害の発生時には、スプリンクラ群701や防火シャッタ群702等の防災設備あるいはエレベータ/エスカレータ群703や空調機器群704等の付帯設備を建物内集中制御コンピュータ50を介して安全側に制御するように構成している。」
「【0040】センサ群60は、図2に示すように、煙感知機601、火災感知機602、ガス感知機603、赤外線感知機604、気象観測計605、出入り口通過センサ606、浸水検知機607、歪(倒壊)検知機608等から構成されている。・・・」
「【0050】図4に、本システムの全体処理フローを示している。
【0051】通常時においても、図1の防災救難コンピュータ10は、送受信部制御部109を通して、検知機/携帯通信機器/制御端末等からの情報受信を行う(ステップ401)。火災情報以外にも、ステップ404に示す人員分布情報、・・・の各種情報を受信した場合は、災害、気象、人員等データ管理部101を通して、該当情報を外部記憶装置111に受信データとして格納する。
【0052】いずれかの3次元ブロックまたは3次元グループで火災を検知した場合(ステップ402)、防災救難コンピュータ10は、受信データを解析して、火元の特定を行う。また、災害や人員分布情報の把握もあわせて行う(ステップ403)。さらに、防災救難コンピュータ10は、建物内の各種設備の稼働状況を把握し(ステップ405)・・・」
「【0058】次に、避難/侵入経路を算出するための前処理として、図4のステップ407で、全対象者のグループ分けを行う。全対象者(避難者および救助要員)は、個人ごとに図6で示す個人情報格納マスタテーブル610に登録しておく。
【0059】この個人情報格納マスタテーブル610は、名前611、経路踏破能力クラステーブルアドレス612、所在地テーブルアドレス613、・・・から成り、携帯通信端末またはICカードによって把握し得た個人毎に、経路踏破能力のクラステーブルアドレス、所在地テーブルアドレス、・・・が登録される。
【0060】経路踏破能力クラステーブルアドレス612とは、携帯通信端末またはICカードによって把握し得た各人を、その経路踏破能力に応じて区分けした場合に、どのクラスに属するかを示すものである。経路踏破能力クラステーブル720は、図7に示すように、避難対象者を、一般健常人、老人及び幼児、車椅子使用者、目が不自由な人、その他と、5つの区分に分け、また、救助対象者として、怪我人と一般入院患者の2つの区分、消防隊員/救助隊員として、それぞれ一般装備と特殊装備の2つの区分、さらにその他として、各種隊員の区分に分けて管理するためのものである。」
「【0062】図6の個人情報格納マスタテーブル610には、このほかに、現在の所在地を示すための所在地テーブル(図8)へのアドレス613や、各人の所有する携帯通信端末の情報を得るための携帯端末情報テーブル(図9)へのアドレス616、避難者を踏破能力別にグループ分けした場合の避難者グループを管理する避難者グループテーブル(図10)へのアドレス614、同一避難者グループポインタ615が格納される。」
「【0065】・・・消防隊員/救急隊員等の防災対策要員なのかを区別するために用いる。」
「【0104】ところで、消防隊員は火災発生箇所を目標に侵入し、救急隊員は動けない負傷者を目標に侵入する訳であるが、前記の人員センサにより、時間が立っても動かない避難者を負傷者とみなせば、救急隊員の侵入経路も同様に求めることができる。
【0105】図4のステップ410とステップ411が、その処理に該当する。この救助経路探索処理の詳細フローを図27に示す。
【0106】・・・ステップ2714で、救急隊員が避難者の所に到達する前は、救助対象者と救急隊員の所在地から迷路法アルゴリズムに従い救助経路を探索し(ステップ2715)、到達した後は、「救助対象者+救急隊員の所在地」と非常口から迷路法アルゴリズムに従い避難経路を探索する・・・次にステップ2717で、求めた経路を経路管理テーブル1300(図13)へ格納し、ステップ2718で、求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信して表示し、経路を指示する。」
「【0117】以上のように、本実施形態によれば、ビル等の建造物に設置された複数の各種検知機からの情報をもとに、火災、有毒ガス、酸素不足、浸水や倒壊等の危険を検知し、安全区域または出入り口への避難経路を探索し、内部に存在する人を安全に避難させることができると共に、消防隊や救助隊等の専門の危険対策要員の侵入経路を示し、災害の拡大を効果的に防止することを支援することができる。」
「【図1】
[図:0001425590000001.jpg]
」
図1は、「防災救難システムの実施形態を示すシステム構成図」(【0031】)であるから、図1によれば、防災救難システムは、防災救難コンピュータ10と、送受信機群30と、センサ群60と、データ入出力部80とを備えると解される。
「【図4】
[図:0001425590000002.jpg]
」
図4によれば、検知機等から受信した情報が災害(火災)情報かを判断し(ステップ402)、災害(火災)情報であった場合には、救助対象者がいるかを判断する(ステップ410)と解される。
また、図4によれば、救助対象者がいると判断する(ステップ410YES)場合に、救助経路の算出及び表示指示を行う(ステップ411)ものと解される。
「【図6】
[図:0001425590000003.jpg]
」
「【図7】
[図:0001425590000004.jpg]
」
「【図27】
[図:0001425590000005.jpg]
」
(イ)前記(ア)の下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa1~hの符号を付して分説し、「構成a1」のようにして参照する。
「a1 防災救難コンピュータ10と、送受信機群30と、センサ群60と、データ入出力部80とを備える防災救難システムであって、(図1)
a2 防災救難コンピュータ10は、建物内に設置された各種の防災用検知設備からの検知出力信号に基づき災害の発生の有無、拡大または縮小状況の予測、避難経路の探索等を行い、(【0031】)
a3 防災救難コンピュータ10は、検知機/携帯通信機器/制御端末等からの情報受信、火元の特定、災害や人員分布情報の把握、建物内の各種設備の稼働状況の把握を行い、(【0051】、【0052】)
a4 送受信機群30は、消防機関等の防災対策要員や建物内に存在する人と侵入経路や避難経路の情報等を送受し、(【0031】)
a5 防災対策要員は消防隊員/救急隊員等であり、(【0065】)
a6 センサ群60は、煙感知機601、火災感知機602、ガス感知機603、赤外線感知機604、気象観測計605、出入り口通過センサ606、浸水検知機607、歪(倒壊)検知機608等から構成され、(【0040】)
b センサ群60の出力信号をデータ入出力部80を介して防災救難コンピュータ10に取りこみ、火災等の災害の発生を検出し、(【0035】)
c1 検知機等から受信した情報が火災情報かを判断し、火災情報であった場合には、救助対象者がいるかを判断し、(図4)
c2 救助対象者がいると判断する場合に、救助経路の算出及び表示指示を行い、(図4)
c3 救急隊員が避難者の所に到達する前は、救助対象者と救急隊員の所在地から救助経路を探索し、到達した後は、「救助対象者+救急隊員の所在地」に従い避難経路を探索し、求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信して表示し、経路を指示し、(【0106】)
d 時間が立っても動かない避難者を負傷者とみなし、動けない負傷者を目標に救急隊員が侵入するための侵入経路を求め、(【0104】)
e 救助対象者として、怪我人と一般入院患者の2つの区分に分けて管理し、(【0060】)
f1 全対象者(避難者および救助要員)は、個人ごとに個人情報格納マスタテーブル610に登録され、(【0058】)
f2 個人情報格納マスタテーブル610は、名前611、経路踏破能力クラステーブルアドレス612、所在地テーブルアドレス613から成り、携帯通信端末またはICカードによって把握し得た個人毎に、経路踏破能力のクラステーブルアドレス、所在地テーブルアドレスが登録され、(【0059】)
f3 個人情報格納マスタテーブル610には、現在の所在地を示すための所在地テーブルへのアドレス613が格納され、(【0062】)
g ビル等の建造物に設置された複数の各種検知機からの情報をもとに、火災等の危険を検知し、安全区域または出入り口への避難経路を探索し、内部に存在する人を安全に避難させると共に、救助隊等の侵入経路を示す、(【0117】)
h 防災救難システム。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 発明特定事項Aについて
(ア)引用発明の「データ入出力部80」は、「センサ群60の出力信号」を「防災救難コンピュータ10に取りこ」む(構成b)ためのものであるから、「センサ群60の出力信号」を取得する取得部といえる。
そうすると、引用発明の「データ入出力部80」は、本件補正発明の「取得部」に相当する。
(イ)a 引用発明の「防災救難システム」(構成a1)は、「ビル等の建造物に設置された複数の各種検知機からの情報をもとに、火災等の危険を検知」する(構成g)ものである。
上記「各種検知機」は、「センサ群60」を構成する「浸水検知機607、歪(倒壊)検知機608」(構成a6)はもちろん、「火災感知機602」を含むと解される。このことは、引用文献1の「防災用検知設備は、火災検知機、有毒ガス検知機、浸水検知機、歪検知機、温度検知機の少なくとも1つを備える」(【0017】)との記載により、当該「火災検知機」の一形態が「火災感知機602」であると解されるからである。
そして、この解釈に基づくと、上記「各種検知機からの情報」は、「火災感知機602」からの火災を感知した際の情報(以下「火災感知情報」という。)を含むこととなり、当該火災感知情報は、「センサ群60」に含まれる「火災感知機602」から出力される情報であって、引用発明の「センサ群60の出力信号をデータ入出力部80を介して防災救難コンピュータ10に取りこみ、火災等の災害の発生を検出」する(構成b)との構成を鑑みれば、火災感知情報は「出力信号」として出力されるものと解されるから、「センサ群60の出力信号」に含まれるものといえる。
b 引用発明は、「ビル等の建造物に設置された複数の各種検知機からの情報をもとに、火災等の危険を検知し、」「出入り口への避難経路を探索し、内部に存在する人を安全に避難させる」(構成g)ものであり、前記aの解釈に鑑みれば、「各種検知機からの情報」は、「センサ群60の出力信号」として「火災感知機602」から出力される火災感知情報であり、当該火災感知情報が得られたことを契機として、内部に存在する人を安全に避難させる動作が生じると解される。
よって、引用発明の「センサ群60の出力信号」として「火災感知機602」から出力される火災感知情報は、避難させる動作の引き金、すなわち、トリガとなっていると解されるため、本件補正発明の「避難に関する避難トリガ情報」に相当する。
(ウ)a 引用発明は、「ビル等の建造物に設置された複数の各種検知機からの情報をもとに、火災等の危険を検知し、安全区域または出入り口への避難経路を探索し、内部に存在する人を安全に避難させる」もの(構成g)であるから、避難させる対象は、「ビル等の建造物」の「内部に存在する人」であるが、「安全区域」に存在する人は避難させる対象とはならないと解される。すなわち、引用発明における「避難」は、ビル等の建造物の内部の安全区域以外からの避難であると解される。
b 本願明細書の「施設5内の空間(対象空間)における領域であって避難すべき領域である要避難領域」(【0024】)との記載を参照すると、本件補正発明の「対象空間」とは、「施設5内の空間」であり、「対象空間」には、「要避難領域」とそれ以外の領域(避難が不要な領域)が含まれると解される。
c 引用発明の「ビル等の建造物」の「内部」が空間であることは明らかであり、引用発明の「ビル等の建造物」の「内部」には、前記aの解釈を鑑みれば、避難を要する領域(安全区域以外)と、避難が不要な領域(安全区域)とが含まれる。また、前記bの解釈に鑑みれば、引用発明の「ビル等の建造物」の「内部」は、本件補正発明の「対象空間」に相当するといえる。
そうすると、前記(イ)も併せると、引用発明の「センサ群60の出力信号」として「火災感知機602」から出力される火災感知情報は、本件補正発明の「対象空間からの避難に関する避難トリガ情報」に相当する。
(エ)前記(ア)のとおり、引用発明の「データ入出力部80」は、「センサ群60の出力信号」を取得する取得部といえ、また、前記(イ)のとおり、引用発明の「センサ群60の出力信号」として「火災感知機602」から出力される火災感知情報は、本件補正発明の「避難に関する避難トリガ情報」に相当する。
前記(ウ)cも併せると、本件補正発明と引用発明とは、「対象空間からの避難に関する避難トリガ情報を取得する取得部」を備える点で一致する。
イ 発明特定事項Bについて
(ア)引用発明の「防災救難コンピュータ10」は、「建物内に設置された各種の防災用検知設備からの検知出力信号に基づき災害の発生の有無、拡大または縮小状況の予測、避難経路の探索等を行」い(構成a2)、「検知機/携帯通信機器/制御端末等からの情報受信、火元の特定、災害や人員分布情報の把握、建物内の各種設備の稼働状況の把握」も行う(構成a3)ものであるから、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」する(構成c1)ことについても、「防災救難コンピュータ10」が行うといえ、「防災救難コンピュータ10」は、「救助対象者がいるか」を判断する判断部といえる。
そうすると、引用発明の「防災救難コンピュータ10」は、本件補正発明の「判断部」に相当する。
(イ)a 引用発明は、「救助対象者がいるかを判断」し(構成c1)、「救助対象者がいると判断する場合に、救助経路の算出及び表示指示を行」う(構成c2)ものであって、「救急隊員が避難者の所に到達する前は、救助対象者と救急隊員の所在地から救助経路を探索し、到達した後は、「救助対象者+救急隊員の所在地」に従い避難経路を探索」する(構成c3)ものであるから、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」(構成c1)における「救助対象者」とは、探索された救助経路を用いて救助対象者の所在地に到着した救急隊員とともに、避難経路を用いて避難する者といえ、避難の対象であることは明らかである。
b 前記ア(ウ)のとおり、引用発明の「ビル等の建造物」の「内部」における「安全区域」に存在する人は避難させる対象とはならないと解されるから、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」(構成c1)における「救助対象者」とは、引用発明の「安全区域」以外、すなわち、避難を要する領域に存在する「救助対象者」であるといえる。
c 前記a、bの解釈に鑑みれば、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」(構成c1)における「救助対象者」とは、本件補正発明の「前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象」に相当する。
d 引用発明の「救助対象者がいるかを判断」する(構成c1)とは、前記ア(ウ)のとおり、引用発明の「安全区域」に存在する人は避難させる対象とはならないことを鑑みれば、「安全区域」以外、すなわち、避難を要する領域において救助対象者の存否を判断しているといえる。
そうすると、前記a~cも併せると、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」することは、本件補正発明の「前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する」ことに相当する。
(ウ)a 引用発明の「個人情報格納マスタテーブル610」は、「全対象者(避難者および救助要員)」について「個人ごとに」「登録され」る(構成f1)ものであって、「全対象者(避難者および救助要員)」には救助対象者も当然含まれるから、「個人情報格納マスタテーブル610」には救助対象者毎に登録された情報が含まれるといえる。
b 引用発明の「個人情報格納マスタテーブル610」は、「所在地テーブルアドレス613から成り、携帯通信端末またはICカードによって把握し得た個人毎に、」「所在地テーブルアドレスが登録され」る(構成f2)ものであって、「所在地テーブルアドレス613」は、「現在の所在地を示すための所在地テーブルへのアドレス613」である(構成f3)。
前記aも併せると、引用発明の「個人情報格納マスタテーブル610」によって、救助対象者と、当該救助対象者の「現在の所在地を示すための所在地テーブル」とが対応付けられていると解される。
c 引用発明は、「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみなし、動けない負傷者を目標に救急隊員が侵入するための侵入経路を求め」るもの(構成d)であって、「救助対象者として、怪我人と一般入院患者の2つの区分に分けて管理」しており(構成e)、「負傷者」は「怪我人」のことといえるから、避難者の位置が時間の経過につれて変化しない場合に、当該避難者を救助対象者であると判定していると解される。
そして、前記a及びbによれば、各者の位置は「所在地テーブル」の「現在の所在地」として管理されていると解される。
そうすると、引用発明では、各者の「現在の所在地」が時間の経過につれて変化しないことをもって、救助対象者が存在すると判断していると解される。
換言すれば、引用発明で「救助対象者がいるかを判断」することは、「現在の所在地」に基づいて行われるといえる。
d 本願明細書の「行動情報は、避難対象の対象空間での存在位置に関する位置情報を含む。」(【0037】)との記載を参酌すると、本件補正発明の「避難対象の行動情報」は「避難対象の対象空間での存在位置に関する位置情報」を含むと解される。
e 前記dの解釈に鑑みると、引用発明の「救助対象者」の「現在の所在地」は、本件補正発明の「避難対象の行動情報」に相当する。
ここで、前記(イ)cのとおり、引用発明の「救助対象者」は、本件補正発明の「前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象」に相当する。
また、引用発明において「救助対象者がいるか」を判断する(構成c1)のは、前記(ア)のとおり、「防災救難コンピュータ10」である。
以上により、前記(イ)も併せると、引用発明の「救助対象者がいるかを判断」すること(構成c1)とは、本件補正発明の「前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象の行動情報に基づいて、前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する」ことに相当する。
(エ)前記アのとおり、引用発明の「データ入出力部80」は、「火災感知機602」から出力される火災感知情報を取得する取得部であり、引用発明の「検知機等から受信した情報が火災情報かを判断し、火災情報であった場合」(構成c1)とは、「データ入出力部80」が、「火災感知機602」から出力される火災感知情報を取得した場合のことといえ、本件補正発明の「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると」に相当するから、引用発明の「検知機等から受信した情報が火災情報かを判断し、火災情報であった場合には、救助対象者がいるかを判断」する(構成c1)とは、前記(イ)も考慮すると、本件補正発明の「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると、」「前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する」に相当する。
したがって、前記(ア)~(ウ)も併せると、本件補正発明と引用発明とは、「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると、前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象の行動情報に基づいて、前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する判断部」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項Cについて
(ア)a 引用発明の「送受信機群30」は、「消防機関等の防災対策要員」「と侵入経路や避難経路の情報等を送受する」(構成a4)ものであり、「防災対策要員」は、「救急隊員等であ」り(構成a5)、「救急隊員」は「携帯情報端末26-1」を有する(構成c3)ことから、「送受信機群30」は、「救急隊員」の有する「携帯情報端末26-1」と「侵入経路や避難経路の情報等を送受する」といえる。
b 前記aの解釈に鑑みれば、引用発明の「求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信」する(構成c3)ことにおける「送信」も、引用発明の「送受信機群30」が行うものといえる。
c 本願明細書には「報知部104は、報知情報を、第2通信部13を介して携帯端末40に送信(報知)する。」(【0043】)と記載されているように、送信することは報知することに含まれるといえるから、前記bのとおり、引用発明の「送受信機群30」が行う「送信」することは、報知することといえる。
よって、前記a、bを併せると、引用発明の「送信」する「送受信機群30」は、本件補正発明の「報知する報知部」に相当する。
(イ)前記(ア)bを考慮すると、引用発明の「送受信機群30」は、「求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信」する(構成c3)といえ、当該「求めた経路」は、探索された「救助経路」及び「避難経路」(構成c3)であって、情報であることは明らかである。
そして、前記(ア)cのとおり、「送信」することは報知することといえるから、引用発明の「送受信機群30」が「送信」する「経路」は、本件補正発明の「報知情報」に相当する。
(ウ)引用発明の「送受信機群30」が「送信」する「経路」、すなわち、「救助経路」及び「避難経路」(構成c3)は、前記イ(イ)aのとおり、探索された救助経路を用いて救助対象者の所在地に到着した救急隊員とともに、救助対象者が避難経路を用いて避難する際に用いられるものであり、前記ア(ウ)aのとおり、引用発明の「避難」とは、ビル等の建造物の内部からの避難であるから、引用発明の「経路」は、ビル等の建造物の内部からの救助対象者の避難を支援するための情報であることは明らかであって、避難の支援に関する情報であるといえる。
よって、前記(イ)を併せると、引用発明の「送受信機群30」が「送信」する「経路」は、本件補正発明の「前記避難の支援に係る報知情報」に相当する。
(エ)引用発明の「防災救難コンピュータ10」は、避難を要する領域において救助対象者の存否を判断するものであって(前記イ(ア)、イ(イ)d)、「救助対象者がいると判断する場合に、救助経路の」「表示指示を行」い(構成c2)、当該「表示指示」において、「求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信して表示し、経路を指示」する(構成c3)から、引用発明は、避難を要する領域において救助対象者がいると判断する場合に、「経路」を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信するといえる。
したがって、前記(ア)~(ウ)も併せると、本件補正発明と引用発明とは、「前記避難対象が前記要避難領域に存在すると前記判断部が判断する場合には、前記避難の支援に係る報知情報を報知する報知部」を備える点で一致する。
エ 発明特定事項Dについて
引用発明の「経路」(構成c3)は、前記ウ(ウ)のとおり、本件補正発明の「前記報知情報」に相当するものの、本件補正発明は「前記報知情報」が「前記避難対象の数を含」むのに対し、引用発明は、「経路」に「救助対象者」の数を含めることが特定されていない点で相違する。
オ 発明特定事項E、Fについて
(ア)前記イ(ア)のとおり、引用発明の「防災救難コンピュータ10」は、本件補正発明の「前記判断部」に相当する。
(イ)本願明細書の「例えば、要避難領域内において同一のカメラ30において、取得部101が避難トリガ情報を取得してから第2所定時間が経過するまで同一の避難対象が撮影されている場合には、移動範囲に変化がない避難対象が存在することを検知したと判断する」(【0040】)との記載より、本件補正発明の「前記避難対象の移動範囲に変化がない状態」とは、避難者が存在する位置が所定範囲内に留まる状態と解される。
引用発明の「現在の所在地」(構成f3)は、避難者の移動に伴って変化し、避難者が動かない場合には変化しないことも明らかである。
そして、「現在の所在地」が変化していない場合には、避難者が移動していない状態、すなわち、避難者が存在している地理的な範囲に変化がない状態であるといえる。
そうすると、引用発明の「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみな」すこと(構成d)は、所定の「時間」の経過の中、「現在の所在地」が所定範囲内に留まる状態である者を検知し、検知された者を負傷者すなわち救助対象者と判断しているといえる(負傷者が救助対象者である点は、前記イ(ウ)cのとおりである。)。
ここにおいて、救助対象者は明らかに避難を要する領域内の者といえる。
よって、引用発明の「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみな」すこと(構成d)は、本件補正発明の「前記行動情報に基づいて、」「所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態」「であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断」することに相当する。
(ウ)引用発明の「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみなし、動けない負傷者を目標に救急隊員が侵入するための侵入経路を求め」る(構成d)動作の主体についても、前記イ(ア)のとおり、本件補正発明の「判断部」に相当する引用発明の「防災救難コンピュータ10」が行うものといえるから、本件補正発明と引用発明とは、「前記判断部は、前記行動情報に基づいて、」「所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態」「であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する」点で一致する。
(エ)本件補正発明の「第2所定時間」は「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから」の時間であるのに対し、引用発明の「時間が立っても動かない」(構成d)ことにおける「時間」は、その起点が特定されていない点で相違する。
(オ)本件補正発明は「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから第1所定時間が経過しても前記避難対象が前記要避難領域に存在している状態」「を検知した場合に」も、「前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する」のに対し、引用発明はそのことが特定されていない点で相違する。
カ 発明特定事項Gについて
引用発明の「防災救難システム」は、「データ入出力部80」と「送受信機群30」と「防災救難コンピュータ10」とを備え(構成a1)、また、前記ウ(ウ)のとおり、「経路」は救助対象者の避難の支援に関する情報であって、「防災救難システム」は「求めた経路を救急隊員の携帯情報端末26-1に送信して表示し、経路を指示」する(構成c3)ものであるから、避難を支援するシステムといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「避難支援システム」である点で一致する。
キ 一致点、相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「対象空間からの避難に関する避難トリガ情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記避難トリガ情報を取得すると、前記対象空間における領域であって避難すべき領域である要避難領域に存在する避難対象の行動情報に基づいて、前記要避難領域における前記避難対象の存否を判断する判断部と、
前記避難対象が前記要避難領域に存在すると前記判断部が判断する場合には、前記避難の支援に係る報知情報を報知する報知部と、を備え、
前記判断部は、
前記行動情報に基づいて、所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する、
避難支援システム。」
【相違点1】
「報知情報」について、本件補正発明は、「前記避難対象の数を含」むのに対し、引用発明は、当該構成について特定されていない点。
【相違点2】
「第2所定時間」について、本件補正発明は、「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから」の所定時間であるのに対し、引用発明は、所定時間の起点については特定されていない点。
【相違点3】
「前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する」について、本件補正発明は、「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから第1所定時間が経過しても前記避難対象が前記要避難領域に存在している状態」「であることを検知した場合に」も、「前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する」のに対し、引用発明は、当該構成が特定されていない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
建物内の災害時に、救助者が持つ端末に対して要救助者数を送信し、当該端末に表示することは、本願の出願前に周知技術であった。一例として、特開2017-45319号公報には、救助すべき人物の人数の情報を含む人物情報(【0052】)を含む解析環境情報(【0050】)を情報表示端末30が受信して表示し、防災対策要員が避難誘導や救助活動等を行うこと(【0034】)が記載されている。別の例として、国際公開第2015/129055号には、救助隊員の携行する携帯端末31に([0029])、階数に紐付けた要救助者数表73を表示する表示階画面70([0080]、図11)を表示すること([0081])が記載されている。要救助者数は、救助の対象となる人数であるから、救助活動に必要な情報と解される。
そして、引用文献1には、各人の持つ携帯通信端末に指示を出す例(【0100】)として、救急隊員が持つ携帯情報端末(【0102】)に、火災が発生したフロアのレイアウト図上に、火災場所、侵入経路、非常口、風向、風速などの情報を表示すること(【0103】、【図26】)が記載されており、これらの情報は救助活動をするにあたり必要となる情報であると解される。また、引用文献1には、公共防災システムに対して、火元、気象情報、救助対象者人数等の情報を発信すること(【0112】)が記載されており、これらの情報も防災及び救助に必要な情報であると解される。
これら周知技術及び引用文献1の記載に鑑みれば、引用発明においても救助活動に必要となる要救助者数を、救助経路と共に救急隊員の携帯情報端末26-1に送信して表示するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明の「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみな」すこと(構成e)における「時間」とは、何らかの契機を起点とした所定時間であることは明らかであり、また、自力で動けない者を判断する際に、通常は、火災の検知や報知等を行った時点の最初の所在地からの動きの有無によって判断するものと認められ、また、引用文献1には、火災情報を最初に受信した時点で人員の所在地を取得する(【0052】、図4の402YES~403)ことも記載されているから、引用発明の所定時間の起点を火災情報を受信した時点とすることは、当然のことと認められる。
ウ 相違点3について
前記イのとおり、引用発明における「時間が立っても動かない避難者を負傷者とみな」す(構成d)際における「時間」を、「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから」の所定時間(これを「第2所定時間」と呼ぶことは任意である。)とすることは当然である。
ここで、第2所定時間が経っても動かない避難者は、第2所定時間が経過しても要避難領域に存在していることは、明らかである。
本件補正発明は、「第1所定時間」と「第2所定時間」との異同について何ら限定をしておらず、本願明細書を参照しても、「第1所定時間」と「第2所定時間」との異同については何も説明していないから、本件補正発明は、「第1所定時間」が「第2所定時間」以下の場合が排除されていない。
したがって、引用発明において「時間が立っても動かない避難者」が存在すると判断することは、同時に、避難対象が第1所定時間が経過しても要避難領域に存在すると判断することに等しい。
そうすると、本件補正発明の「前記取得部が前記避難トリガ情報を取得してから第1所定時間が経過しても前記避難対象が前記要避難領域に存在している状態、及び第2所定時間が経過しても前記避難対象の移動範囲に変化がない状態のうち少なくとも一方の状態であることを検知した場合に、前記避難対象が前記要避難領域に存在すると判断する」という動作は、引用発明における「時間」の起点を火災情報を受信した時点とすることに伴い、引用発明が自ずと備える動作であるといえる。
エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年10月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年5月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項2に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項2に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2000-113357号公報
引用文献2:特開2017-107583号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「報知情報」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-015857