特許拒絶査定不服審判
2024-004219
追跡管理システム、トラッキング方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2024-004219
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-106493
- 請求日
- 2024年03月11日
- 審決日
- 2024年08月20日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】NTTリミテッド・ジャパン株式会社
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 洋
- 審判官 上田 翔太
- 審判官 寺谷 大亮
- 分類
- P18 .121-Z (G08B) / P18 .575-Z (G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-106493「追跡管理システム、トラッキング方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 1月17日出願公開、特開2023- 4658〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年6月28日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 5年 3月22日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 5月29日 :意見書、補正書
令和 5年 7月18日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 9月25日 :意見書
令和 5年12月 8日付け:拒絶査定
令和 6年 3月11日 :審判請求書、手続補正書
令和 6年 4月22日付け:前置報告書
令和 6年 6月13日 :上申書
以下では、令和5年12月8日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和6年3月11日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキングを行う追跡管理システムであって、
ビーコン信号を用いて前記ユーザのビーコントラッキングを行うビーコン情報処理部と、
カメラにより得られた映像を用いて前記ユーザのカメラ映像AIトラッキングを行う映像情報処理部と、
前記ビーコン情報処理部により得られたトラッキング結果と、前記映像情報処理部により得られたトラッキング結果とに基づいて、前記ユーザのトラッキング結果を出力する判断部と
を備える追跡管理システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年5月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ユーザのトラッキングを行う追跡管理システムであって、
ビーコン信号を用いて前記ユーザのビーコントラッキングを行うビーコン情報処理部と、
カメラにより得られた映像を用いて前記ユーザのカメラ映像AIトラッキングを行う映像情報処理部と、
前記ビーコン情報処理部により得られたトラッキング結果と、前記映像情報処理部により得られたトラッキング結果とに基づいて、前記ユーザのトラッキング結果を出力する判断部と
を備える追跡管理システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ユーザのトラッキング」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載した事項により特定されるとおりのものである。
なお、後の参照の便宜のため、請求項1を以下のA~Eに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
【請求項1】
A 複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキングを行う追跡管理システムであって、
B ビーコン信号を用いて前記ユーザのビーコントラッキングを行うビーコン情報処理部と、
C カメラにより得られた映像を用いて前記ユーザのカメラ映像AIトラッキングを行う映像情報処理部と、
D 前記ビーコン情報処理部により得られたトラッキング結果と、前記映像情報処理部により得られたトラッキング結果とに基づいて、前記ユーザのトラッキング結果を出力する判断部と
E を備える追跡管理システム。」
(2)文献の記載事項
ア 引用文献1の記載事項、引用発明
(ア)原査定で引用された特開2018-182705号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した(以下同様)。
「【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る識別システム100は、図1に示すように、対象空間9に存在する識別対象8を識別するためのシステムである。対象空間9は、例えば、オフィスビル等の施設における特定の空間である。例えば、施設における、廊下、エレベータホール、エントランスホール、事務室、実験室、図書室、フィットネスルーム及び洗濯室等、適宜の空間全体又は当該空間の一部が、対象空間9となる。識別対象8は、例えば、施設がオフィスビルである場合には、オフィスビルで働く人等、施設の利用者である。
【0012】
一例として、識別対象8が、扉によって隔てられたエントランスホールからエレベータホールに移動する際には、扉の開閉が必要になる。このような状況において、エントランスホールに存在する識別対象8が、この施設において正規に登録された人物である場合にのみ扉を開けるためには、エントランスホールに存在する識別対象8の識別が必要になる。識別システム100は、例えば、このような場合において、対象空間9に存在する識別対象8を識別する。」
「【0016】
識別システム100は、第1システム1と、第2システム2と、統合サーバ3と、を備えている。図2では、識別システム100に加えて、携帯端末4と、カメラ5と、表示部6と、開閉制御部7と、を示している。これら携帯端末4、カメラ5、表示部6及び開閉制御部7は、本実施形態では識別システム100の構成要素に含まれないこととするが、携帯端末4、カメラ5、表示部6及び開閉制御部7の少なくとも一部は識別システム100の構成要素に含まれてもよい。
【0017】
また、本実施形態では、携帯端末4が1つだけでなく、複数(ここでは2つ)ある場合を想定している。複数の携帯端末4を区別する場合には、複数の携帯端末4の各々を「携帯端末41」、「携帯端末42」と呼ぶ。さらに、識別対象8は、1人につき1つの携帯端末4を携帯する。そのため、本実施形態では、識別対象8が複数人いる場合を想定する。複数人の識別対象8を区別する場合には、複数人の識別対象8の各々を「識別対象81」、「識別対象82」と呼ぶ。
【0018】
複数の携帯端末4の各々は、例えば、電波を媒体とする無線信号を周期的に出力する端末である。各携帯端末4は、いわゆるビーコン端末である。無線信号の通信方式は、一例として、Bluetooth(登録商標)である。無線信号の通信方式は、他にも例えば、Wi-Fi(登録商標)又は特定小電力無線通信等でもよい。複数の携帯端末4は、対象空間9が設定された施設の利用者である複数の識別対象8に携帯される。識別対象8(施設の利用者)は、一例として、複数の携帯端末4のうち利用者ごとに割り当てられた特定の携帯端末4を携帯する。より詳細には、第1の識別対象81は、第1の携帯端末41を携帯する。第2の識別対象82は、第2の携帯端末42を携帯する。つまり、携帯端末4と識別対象8とは一対一に対応する。複数の識別対象8の各々は、対象空間9に対して自由に出入りでき、かつ対象空間9内を自由に移動できる。」
「【0021】
第1システム1は、受信部11と、LPSサーバ12と、を備えている。第1システム1は、対象空間9のように、特定の空間(エリア)内での携帯端末4の位置を計測するローカル測位システム(LPS:Local Positioning System)である。
【0022】
受信部11は、複数の受信機131,132を有している。複数の受信機131,132を区別しない場合、複数の受信機131,132の各々を「受信機13」とも呼ぶ。複数の受信機13は、対象空間9又はその周辺に配置されている。受信機13は、携帯端末4と無線通信を行うように構成されている。ここで、受信機13は、少なくとも対象空間9に存在する携帯端末4から、識別情報を無線通信にて受信する。」
「【0024】
LPSサーバ12は、通信部121と、位置特定部122と、記憶部123と、処理部124と、を有している。LPSサーバ12は、例えば、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステム(マイクロコンピュータを含む)を主構成とする。すなわち、コンピュータシステムは、適宜のプログラムをプロセッサにて実行することにより、LPSサーバ12として機能する。」
「【0026】
位置特定部122は、LPSデータ(識別情報、受信機情報及び受信情報)に基づいて、対象空間9内に存在する携帯端末4の対象空間9における位置を特定する。具体的には、位置特定部122は、LPSデータに含まれる複数の受信機13についての受信機情報及び受信情報の組み合わせを、記憶部123に記憶されている情報と照合する。これにより、位置特定部122は、LPSデータに含まれる識別情報の携帯端末4の対象空間9での位置を表す位置情報を求める。本実施形態では一例として、位置情報は、対象空間9内での携帯端末4の位置、つまり対象空間9内のどの位置に携帯端末4があるか、ということを示す情報である。ただし、位置情報は、携帯端末4の位置に関する情報であればよく、対象空間9における携帯端末4の位置を表す情報に限らない。例えば、位置情報は、複数の受信機13が携帯端末4からの無線信号を受信したか否かによって、携帯端末4が対象空間9内にあるか対象空間9外にあるか、という大雑把な携帯端末4の位置に関する情報であってもよい。
【0027】
記憶部123は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶部123は、複数の受信機13についての受信機情報及び受信情報の組み合わせと、位置情報とが対応付けられたデータベースを記憶している。また、記憶部123は、少なくとも位置特定部122で求められた識別情報及び位置情報を記憶する。位置特定部122は、位置情報を識別情報と対応付けて、時系列に沿って記憶部123に記憶する。これにより、記憶部123には、携帯端末4の識別情報ごとに位置情報の履歴が記憶されることになる。位置情報の履歴は、対象空間9における携帯端末4の移動の軌跡を表す軌跡情報を構成する。
【0028】
処理部124は、このようにして生成される軌跡情報(つまり位置情報の履歴)と、携帯端末4の識別情報との組み合わせを、第1情報D1として、統合サーバ3に出力する。」
「【0029】
第2システム2は、インタフェース21と、画像処理サーバ22と、を備えている。
【0030】
インタフェース21は、カメラ5に接続されている。インタフェース21は、カメラ5から撮像画像を取得する。カメラ5は、少なくとも対象空間9を視野内に含むように設置されており、対象空間9を撮像した画像を対象空間9の撮像画像として、インタフェース21に出力する。本実施形態では、カメラ5が出力する撮像画像は、カラーの動画であることと仮定するが、これに限らず、モノクロ画像であってもよいし、静止画であってもよい。インタフェース21とカメラ5との間の接続は、例えば、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよいし、中継器等を介した接続形態であってもよい。インタフェース21は、対象空間9の撮像画像に対して、例えば、エッジ抽出等の前処理を実行する機能を有していてもよい。
【0031】
画像処理サーバ22は、顔認識部221と、格納部222と、記憶部223と、解析部224と、を有している。画像処理サーバ22は、例えば、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステム(マイクロコンピュータを含む)を主構成とする。すなわち、コンピュータシステムは、適宜のプログラムをプロセッサにて実行することにより、画像処理サーバ22として機能する。
【0032】
顔認識部221は、インタフェース21が取得した撮像画像に対して、画像処理を施すことにより、対象空間9に存在する識別対象8の顔を認識する。具体的には、顔認識部221は、撮像画像から識別対象8の顔を含む領域(以下、顔領域ともいう)を抽出し、顔領域に含まれる識別対象8の顔を、格納部222に登録されている顔画像と照合する。これにより、識別対象8の顔画像が格納部222に登録されている場合には、顔認識部221は、識別対象8の顔から、識別対象8の識別情報を特定することができる。つまり、顔認識部221は、識別対象8の顔を認識する。」
「【0035】
解析部224は、対象空間9の撮像画像を解析することにより、顔認識部221で認識された識別対象8の対象空間9内での位置を求める。具体的には、解析部224は、顔認識部221で抽出された顔領域の撮像画像内での位置に基づいて、対象空間9における識別対象8の位置を求め、求めた位置を表す位置情報を出力する。解析部224は、位置情報を、顔認識部221で認識された識別対象8の識別情報と対応付けて、時系列に沿って記憶部223に記憶する。これにより、記憶部223には、識別対象8ごとに位置情報の履歴が記憶されることになる。位置情報の履歴は、対象空間9における識別対象8の移動の軌跡を表す軌跡情報を構成する。解析部224は、このようにして生成される軌跡情報(つまり位置情報の履歴)と、識別対象8の識別情報との組み合わせを、第2情報D2として、統合サーバ3に出力する。本実施形態では、第2情報D2には、識別情報以外の属性情報(識別対象8の名前、アクセス権限及びプロフィール等)、及び対象空間9の撮像画像が含まれている。」
「【0036】
統合サーバ3は、第1取得部31と、第2取得部32と、出力部33と、備えている。統合サーバ3は、例えば、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステム(マイクロコンピュータを含む)を主構成とする。すなわち、コンピュータシステムは、適宜のプログラムをプロセッサにて実行することにより、統合サーバ3として機能する。」
「【0039】
出力部33は、第1情報D1及び第2情報D2に基づく出力情報を出力する。つまり、出力部33は、第1取得部31が取得した第1情報D1と、第2取得部32が取得した第2情報D2とに基づいて、対象空間9内の識別対象8の識別を行い、その識別結果を出力情報として出力する。本実施形態では、出力部33は、表示部6及び開閉制御部7に接続されており、これら表示部6及び開閉制御部7に対して、出力情報を出力する。出力部33と、表示部6及び開閉制御部7との間の接続は、例えば、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよいし、中継器等を介した接続形態であってもよい。」
「【0043】
判定部332は、相関係数が閾値以上であれば、第1情報D1と第2情報D2との間に相関があると判定する。判定部332の判定結果は、出力部33の出力情報に含まれる。言い換えれば、出力部33は、第1情報D1に基づく対象空間9における携帯端末4の位置の履歴からなる軌跡と、第2情報D2に基づく対象空間9における識別対象8の位置の履歴からなる軌跡との照合結果を、出力情報に含む。ここで、判定部332は、識別情報ごとに、第1情報D1と第2情報D2との相関を判定する。つまり、判定部332は、同一の識別情報についての、例えば、第1情報D1に含まれる軌跡情報と、第2情報D2に含まれる軌跡情報との類似度から、第1情報D1と第2情報D2との相関を判定する。」
「【0050】
ここにおいて、図1に示すように、対象空間9には、携帯端末41を携帯する識別対象81、及び携帯端末42を携帯する識別対象82が存在すると仮定する。識別対象81及び識別対象82は、いずれも対象空間9が設定された施設の利用者として正規に登録された人物である。そのため、識別対象81の識別情報(携帯端末41の識別情報と同じ)、及び識別対象82の識別情報(携帯端末42の識別情報)は、格納部222に登録(記憶)されている。」
「【0071】
また、対象空間9が設定される施設は、オフィスビルに限らず、例えば、福祉施設、病院、テーマパーク、工場又は店舗等であってもよいし、集合住宅又は戸建住宅等であってもよい。1つの部屋に複数の対象空間9が設定されていてもよい。対象空間9は、屋内に限らず、例えば、グランド等の屋外施設における特定の空間であってもよい。」
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa~aeに分説し、「構成a」のようにして参照する。
「a 対象空間9に存在する識別対象8を識別するための識別システム100であって、(【0011】)
b 施設における、廊下、エレベータホール、エントランスホール、事務室、実験室、図書室、フィットネスルーム及び洗濯室等、適宜の空間全体又は当該空間の一部が、対象空間9となり、(【0011】)
c 対象空間9が設定される施設は、オフィスビルに限らず、例えば、福祉施設、病院、テーマパーク、工場又は店舗等であってもよく、(【0071】)
d 一例として、識別対象8が、扉によって隔てられたエントランスホールからエレベータホールに移動する際には、扉の開閉が必要になり、(【0012】)
e このような状況において、エントランスホールに存在する識別対象8が、この施設において正規に登録された人物である場合にのみ扉を開けるためには、エントランスホールに存在する識別対象8の識別が必要になり、(【0012】)
f 識別システム100は、このような場合において、対象空間9に存在する識別対象8を識別するものであって、(【0012】)
g 施設の利用者として正規に登録された人物である識別対象の識別情報は、登録(記憶)されており、(【0050】)
h 識別システム100は、第1システム1と、第2システム2と、統合サーバ3と、を備え、(【0016】)
i 識別対象8は、1人につき1つの携帯端末4を携帯し、(【0017】)
j 携帯端末4は、ビーコン端末であり、(【0018】)
k 第1システム1は、受信部11と、LPSサーバ12と、を備え、(【0021】)
l 受信部11は、複数の受信機を有し、(【0022】)
m 受信機は、携帯端末4から、識別情報を無線通信にて受信し、(【0022】)
n LPSサーバ12は、位置特定部122と、記憶部123と、処理部124と、を有し、(【0024】)
o 位置特定部122は、LPSデータ(識別情報、受信機情報及び受信情報)に基づいて、対象空間9内に存在する携帯端末4の対象空間9における位置を特定し、(【0026】)
p 位置特定部122は、位置情報を識別情報と対応付けて、時系列に沿って記憶部123に記憶し、(【0027】)
q 記憶部123には、携帯端末4の識別情報ごとに位置情報の履歴が記憶され、(【0027】)
r 処理部124は、軌跡情報(つまり位置情報の履歴)と、携帯端末4の識別情報との組み合わせを、第1情報D1として、統合サーバ3に出力し、(【0028】)
s 第2システム2は、インタフェース21と、画像処理サーバ22と、を備え、(【0029】)
t カメラ5は、対象空間9を撮像した画像を対象空間9の撮像画像として、インタフェース21に出力し、(【0030】)
u カメラ5が出力する撮像画像は、カラーの動画であり、(【0030】)
v 画像処理サーバ22は、顔認識部221と、記憶部223と、解析部224と、を有し、(【0031】)
w 顔認識部221は、撮像画像から識別対象8の顔を含む領域を抽出し、識別対象8の顔を、格納部222に登録されている顔画像と照合し、(【0032】)
x 解析部224は、顔認識部221で抽出された顔領域の撮像画像内での位置に基づいて、対象空間9における識別対象8の位置を求め、求めた位置を表す位置情報を出力し、(【0035】)
y 記憶部223には、識別対象8ごとに位置情報の履歴が記憶され、(【0035】)
z 位置情報の履歴は、対象空間9における識別対象8の移動の軌跡を表す軌跡情報を構成し、(【0035】)
aa 解析部224は、軌跡情報(つまり位置情報の履歴)と、識別対象8の識別情報との組み合わせを、第2情報D2として、統合サーバ3に出力し、(【0035】)
ab 統合サーバ3は、第1取得部31と、第2取得部32と、出力部33と、備え、(【0036】)
ac 出力部33は、第1取得部31が取得した第1情報D1と、第2取得部32が取得した第2情報D2とに基づいて、対象空間9内の識別対象8の識別を行い、その識別結果を出力情報として出力し、(【0039】)
ad 出力部33は、第1情報D1に基づく対象空間9における携帯端末4の位置の履歴からなる軌跡と、第2情報D2に基づく対象空間9における識別対象8の位置の履歴からなる軌跡との照合結果を、出力情報に含む(【0043】)
ae 識別システム100。」
イ 引用文献2の記載事項
(ア)当審にて新たに引用する特開2015-153054号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0004】
しかしながら、上記従来技術では、監視カメラが撮像した画像を警備員が常時監視しており、入館者に対するセキュリティ違反の判断は、その警備員個人の判断に依存している。したがって、多くの入館者の多様な用件に基づく行動を正しく制御することは困難である。また、特許文献1に記載された技術では、あらかじめ入館者の生体情報や識別コードを登録しておく必要があり、さらにデータセンタ内の複数エリアにおける行動を許可する場合には、エリアごとに生体情報や識別コードの認証が必要となる。このため、入館者に対するセキュリティ違反を判断するために手間のかかるシステムを構築する必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、データセンタ内における人物の居場所の特定と、その場所に滞在する許可の有無を容易に判断することが可能なセキュリティエリア管理システム、セキュリティエリア管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるセキュリティエリア管理システムは、監視対象となるエリアに設けられた撮像部と、カラーコードが付されたタグをつけた利用者に許可されたエリアと前記利用者の識別情報とを対応付けたエリア管理テーブルを記憶する記憶部と、前記撮像部が撮像した画像から前記タグを検知し、検知したタグと前記エリア管理テーブルとに基づいて、前記利用者がそのエリアに入ることが許可された利用者であるか否かを判定する検知部と、を備えることを特徴とするセキュリティエリア管理システムとして構成される。」
「【0019】
図5では、例えば、データセンタを利用するA社は、通路1~3、およびルームAのA-1エリアで行動することは許可されているが、通路4、およびその他のルームおよびエリアでは行動が許可されていないことを示している。他の各社B~Dについても、各社の基準に従って記憶されている。なお、エリア管理テーブル2101は、データセンタを運営し、本システムを管理する会社と、上述した各社との間で、各社が行動可能なエリアがあらかじめ定められ、本テーブルに記憶される。また、本実施例では、セキュリティエリアの例として、通路やルームを挙げているが、エントランス、ロビー、車寄せ等、様々なエリアをセキュリティエリアとして設定することも可能である。」
「【0027】
図9に示すように、入館処理では、管理PC100の入力受付部110は、管理者からの入館者に対する入館情報(例えば、入館日、入館目的、訪問先等の情報)や本人確認情報(会社名、本人氏名等の情報)を受け付け、制御部130は、これらの情報を監視サーバ200に送信する(ステップS901)。
【0028】
監視サーバ300の入退館処理部220は、記憶部210に記憶されている入退管理テーブル2102の中で割り当て済みとなっていないタグのタグIDを特定し、そのタグIDを管理PC100に送信し、管理PC100の制御部130がそのタグIDのタグを発行し、表示部120がそのタグIDを画面上に表示する(ステップS902)。管理者は、そのタグIDが付されたタグを入館者に渡し、入館者はそのタグを自身の胸や腕に着用し、入館ゲート(不図示)を通過すると、入館ゲートに設置された監視カメラ300が、入館者が着用したタグを撮像する(ステップS903)。このステップS903の処理が終了すると、図9に示した入館処理が終了する。」
「【0030】
図10に示すように、タグ検知処理では、まず、検知部230が入館ゲートに設置された監視カメラ300が撮像した画像の中からタグを読み取り、記録再生部240がその監視カメラ300が設置されているエリア、タグを読み取った時刻、および検知状態をタグ検知情報テーブル2103に記録する(ステップS1001)。
【0031】
具体的には、検知部230は、入退管理テーブル2102の中から、撮像された画像から読み取ったカラーコードを識別するタグIDに対応する入館IDを読み取る。記録再生部240は、その入館ID、その監視カメラ300が設置されているセキュリティエリア、タグが検知された時刻および検知された時刻からの経過時間を、それぞれ、タグ検知情報テーブル2103の入館ID、セキュリティエリア、時刻および経過時間に記録する。さらに、検知部230は、そのタグIDに対応する社名を読み取ってエリア管理テーブル2101を参照し、その社名の会社が許可されたセキュリティエリアを読み取る。そして、検知部230は、現在のセキュリティエリアがその会社が許可されたエリアであるか否かを判定する。記録再生部240は、検知部230が判定した結果(許可、エリア外)をタグ検知情報テーブル2103の検知状態に記録する。なお、図7に示した例では、入退館時には、入館者が入館ゲート等に滞在することがないため、経過時間については「-」として記録される。
【0032】
以降、入館者が通路1、通路2を通過し、ステップS1001の場合と同様に、検知部230がこれらの通路1、通路2に設置された監視カメラ300が撮像した画像の中からタグを読み取るとともに入館者が許可されたセキュリティティエリアに入っていないかを判定し、記録再生部240がタグ検知情報テーブル2103に記録する(ステップS1002、S1003、S1004)。
【0033】
これらのステップS1002~S1004の処理が行われると、それぞれのステップでの処理終了後に、検知部230は、入館者が滞在や行動したエリアが許可されたエリアであるか否かを判定し(ステップS1005)、許可されたエリアであると判定した場合(ステップS1005;Yes)、その後、ステップS1001の場合と同様に、記録再生部240がタグ検知情報テーブル2103の内容を記録する(ステップS1006)。ステップS1006の処理が終了すると、図10に示した検知処理が終了する。」
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「データセンタにおいて、各社が行動可能なエリアがあらかじめ定められており、通路やルーム、エントランス、ロビー、車寄せ等、様々なエリアをセキュリティエリアとして設定することが可能であって、
入館処理として、入館者に対する入館情報(例えば、入館日、入館目的、訪問先等の情報)や本人確認情報(会社名、本人氏名等の情報)を受け付け、これらの情報を監視サーバ200に送信し、タグを発行し、
タグ検知処理として、入館者が通路1、通路2を通過し、検知部230がこれらの通路1、通路2に設置された監視カメラ300が撮像した画像の中からタグを読み取り、入館者が滞在や行動したエリアが許可されたエリアであるか否かを判定し、許可されたエリアであると判定した場合、記録再生部240がタグ検知情報テーブル2103の内容を記録し、
利用者がそのエリアに入ることが許可された利用者であるか否かを判定する、データセンタ内におけるセキュリティエリア管理システム。」
ウ 引用文献3の記載事項
(ア)当審にて新たに引用する国際公開第2019/017439号(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「[0086] 利用者の所持するRFIDタグ35のタグID情報の読み取りおよび生体情報の読み取り(ステップS41)については第1動作モードのステップS31と同様である。読み取られたタグID情報は、読み取り時刻と読み取ったリーダ装置37のID情報と関連づけられてホストコンピュータ82へ送信される。また、読み取られた生体情報も、読み取り時刻と読み取った生体情報読み取り装置38のID情報と関連づけられてホストコンピュータ82へ送信される。ホストコンピュータ82では、認証部92が、送信されたタグID情報および生体情報を受信する。認証部92は、受信したタグID情報および生体情報を、認証データベース94に保管されている入場権限のあるタグID情報および生体情報と照合することで認証する(ステップS42)。
[0087] ステップS42での照合が一致して認証が成功した場合(ステップS43のYes)、認証部92は、認証成功の結果を入場判定部66へ送信する。入場判定部66は、認証成功の結果を受信すると、入場ゲート8の入場扉40に入場許可信号を送信する(ステップS44)。入場ゲート8では、入場扉40が入場判定部66からの入場許可信号を受信すると、入場扉40が開き(ステップS45)、利用者が管理エリア3内へ入場することができる。」
「[0095] 図13を参照する。管理エリア3内のリーダ装置45、47、49、51、53、55は、RFIDタグ35のタグID情報の読み取り領域が異なるようにそれぞれ配置されている。また、管理エリア3内のリーダ装置45、47、49、51、53、55は、隣り合う各リーダ装置のRFIDタグ35の読み取り範囲が部分的に重なるように、管理エリア3内に配置されている。例えば、リーダ装置45の読み取り範囲45rは、リーダ装置45の隣に配置されているリーダ装置47、51のそれぞれの読み取り範囲47r、51rと一部が重なっている。また、リーダ装置55の読み取り範囲55rは、リーダ装置55の隣に配置されているリーダ装置49、53のそれぞれの読み取り範囲49r、53rと一部が重なっている。このような配置により、管理エリア3内のどこに利用者がいてもRFIDタグ35を漏れなく検出することができる。管理エリア3内の各リーダ装置は、予め定められた時間周期で、RFIDタグ35の読み取りを行う。リーダ装置の読み取り範囲内にRFIDタグ35がなかったために、リーダ装置が1周期内でIDタグ情報の読み取りが無かった場合、各リーダ装置はホストコンピュータ81へ読み取りデータとして何も送らない。管理エリア3内の各リーダ装置の読み取り周期は、数秒間隔で行う。ホストコンピュータ81への読み取りデータの転送は、リーダ装置ごとに送信してもよいし、管理エリア単位でまとめて送信してもよい。」
「[図13]
[図:0001416356000001.jpg]
」
「[0100] なお、位置特定システムは、上述したRFIDタグ35とリーダ装置のみを用いたシステムでもよいし、それ以外にも、複数のカメラ59、61、63、64を用いて画像認識で追跡するシステムを採用してもよい。画像認識で追跡する場合、カメラ57にて入場ゲート7を通過する利用者の顔を1人ずつ撮影して映像記録部105に記録し、撮影された画像を基に、画像処理にて複数のカメラ画像の中から追跡してもよい。該当する利用者が画像処理で見つかった場合、カメラ選択部103が撮影するカメラを選択して、撮影画像をモニタ79に出力してもよい。」
「[0105] 本発明にかかる入退場管理システムおよび入退場管理方法は、工場、銀行、病院、会社、データセンター等の施設への入退場管理として有用である。」
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献3には、以下の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
「受信したタグID情報および生体情報を、認証データベース94に保管されている入場権限のあるタグID情報および生体情報と照合することで認証し、
照合が一致して認証が成功した場合、利用者が管理エリア3内へ入場することができ、
管理エリア3内のリーダ装置45、47、49、51、53、55は、RFIDタグ35のタグID情報の読み取り領域が異なるようにそれぞれ配置され、管理エリア3内のどこに利用者がいてもRFIDタグ35を漏れなく検出することができ、RFIDタグ35とリーダ装置以外にも、複数のカメラを用いて画像認識で追跡する、
データセンター等の施設への入退場管理システム。」
エ 引用文献4の記載事項
(ア)当審にて新たに引用する特開2021-33787号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0052】
次に、プラットフォーム10-2~10-7について説明する。図4に示すように、プラットフォーム10-2~10-7は、協働でAI処理部100を実現する。AI処理部100は、カメラ50から取得した画像データに対して、ディープラーニング(Deep Learning)技術を利用した人物の認識等のAI処理を実行する。より詳細には、AI処理部100は、人物特定処理、人物紐付け処理、人物分類処理などのAI処理を、分散して実行する。」
「【0065】
人物紐付け処理部102は、特定した人物の座標を時系列順に紐付ける。更に詳しくは、人物紐付け処理部102は、人物特定処理部101が人物であると特定した場合に、人物特定処理部101が特定した人物の画像データ上の座標を時系列順に記録する。これにより、人物紐付け処理部102は、人物特定処理部101が特定した人物の移動の軌跡を記録する。すなわち、人物紐付け処理部102は、人物特定処理部101が特定した人物を追跡可能にする。」
「【0091】
完成判定部1088は、フィルタ情報の生成が完了したか否かを判定する。ここで、フィルタ情報の生成完成の判定基準は、任意の条件を設定することができる。例えば、完成判定部1088は、人物が設定人数以上通過しても移動可能領域が増加しない場合に生成完了と判定してもよいし、設定時間が経過しても移動可能領域が増加しない場合に生成完了と判定してもよいし、カメラ50が撮影した動画が終了した場合に生成完了と判定してもよい。」
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献4には、以下の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。
「カメラ50が撮影した動画について、カメラ50から取得した画像データに対して、人物特定処理、人物紐付け処理、人物分類処理などのAI処理を、分散して実行し、
人物紐付け処理部102は、人物特定処理部101が人物であると特定した場合に、人物特定処理部101が特定した人物の画像データ上の座標を時系列順に記録し、
人物特定処理部101が特定した人物を追跡可能にする技術。」
オ 引用文献5の記載事項
(ア)当審にて新たに引用する特開2020-204892号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0084】
情報処理装置100は、移動体抽出モジュール1210と接続されている。情報処理装置100は、移動体抽出モジュール1210によって抽出された移動体について、2つのフレーム間の移動体の対応を機械学習する。
もちろんのことながら、機械学習が終了(収束)した後は、学習モデルが生成される。そして、その学習モデルを用いて、動画像内の移動体の追跡を行うことができる。
本実施の形態で対象となる移動体とは、カメラに撮影され得るものであって、ある場所から他の場所へ移動する物体であればよい。移動体は、生物であってもよいし、機械等の無生物であってもよい。また、移動として、気流や水流に乗っての受動的消極的な移動であってもよいし、運動器官やエンジン等を用いての積極的な移動であってもよい。移動体として、具体的には、人間、自動車等がある。
【0085】
図13は、本実施の形態を利用したシステム構成例を示す説明図である。
移動体追跡機械学習装置1200は、店舗1320内のカメラ1310A、カメラ1310B、カメラ1310Cは、通信回線1390を介してそれぞれ接続されている。カメラ1310は、ビデオカメラであって動画を撮影する。通信回線1390は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット、イントラネット等であってもよい。また、移動体追跡機械学習装置1200による機能は、クラウドサービスとして実現してもよい。
例えば、店舗1320内には、カメラ1310Aが設置されており、店舗1320内にいる人間1330A、人間1330Bを撮影している。また、路上には、カメラ1310B、カメラ1310Cが設置されており、人間1330、自動車1340等を撮影している。
【0086】
店舗1320に設置されている監視カメラであるカメラ1310A、路上に設置されている監視カメラであるカメラ1310B、カメラ1310C等、数多くの監視カメラが設置され、人手での人間1330、自動車1340等の追跡が困難になりつつある。
そこで、本実施の形態である移動体追跡機械学習装置1200では、カメラ1310が撮影した動画像内で移動体の移動を自動追跡する技術とその自動追跡できるようにするための機械学習の技術を提供する。1つのカメラ1310によって撮影された動画像における移動体の追跡であってもよいし、複数のカメラ1310によって撮影された動画像の移動体の追跡であってもよい。なお、カメラ1310は固定されたものだけでなく、ドローン等に搭載されたものであってもよい。」
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献5には、以下の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。
「機械学習が終了した後、学習モデルが生成され、その学習モデルを用いて、動画像内の移動体の追跡を行う技術であって、
移動体として、人間があり、
移動体追跡機械学習装置1200では、カメラ1310が撮影した動画像内で移動体の移動を自動追跡する技術。」
カ 周知技術の認定
(ア)前記イ(イ)より、引用文献2記載事項における「データセンタ」は、「通路やルーム、エントランス、ロビー、車寄せ等」の複数のエリアを有する。
また、引用文献2記載事項では、データセンタの「入館処理」において、「入館者に対する」「本人確認」を行っており、これは認証に相当する。
さらに、引用文献2記載事項では、「タグ検知処理」において、「入館者が通路1、通路2を通過」する際に、「通路1、通路2に設置された監視カメラ300が撮像した画像」から、「入館者が滞在や行動したエリアが許可されたエリアであるか否かを判定」し、「記録」するものであるから、入館者の行動を追跡していると認められる。このとき、引用文献2記載事項において、「入館者」と「利用者」は同義であると認められる。
したがって、引用文献2記載事項では、認証した利用者のトラッキングを行っているといえる。
(イ)前記ウ(イ)より、引用文献3記載事項では、データセンター等の施設における「管理エリア3」が、「リーダ装置45、47、49、51、53、55」のそれぞれの「読み取り領域」により分割されており、これは複数のエリアであるといえる。したがって、引用文献3記載事項におけるデータセンターは、複数のエリアを有する。
また、引用文献3記載事項では、「利用者が管理エリア3内へ入場する」際に「認証」を行い、該利用者を「RFIDタグ35とリーダ装置」及び「複数のカメラを用いて画像認識」により「追跡」している。これは、認証した利用者のトラッキングであるといえる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)より、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる。
(周知技術1)
「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキング。」
(エ)前記エ(イ)より、引用文献4記載事項では、「カメラ50が撮影した動画について」「AI処理を」「実行し」、「人物を追跡」している。
(オ)前記オ(イ)より、引用文献5記載事項は、「機械学習」により生成された「学習モデルを用いて」、「カメラ1310が撮影した動画像内で」人間である「移動体の移動を自動追跡する」ものであるから、カメラ映像からAIを用いて行うトラッキングであるといえる。
(カ)前記(エ)及び(オ)より、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる。
(周知技術2)
「カメラ映像からAIを用いて人物のトラッキングを行うカメラ映像AIトラッキング。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 発明特定事項A及びEについて
(ア)引用発明は、「識別対象8が、扉によって隔てられたエントランスホールからエレベータホールに移動する際に」(構成d)、「正規に登録された人物である場合にのみ扉を開ける」(構成e)ために、「対象空間9に存在する識別対象8を識別する」「システム」(構成a)である。
このとき、引用発明では、識別のために「第1情報D1に基づく対象空間9における携帯端末4の位置の履歴からなる軌跡と、第2情報D2に基づく対象空間9における識別対象8の位置の履歴からなる軌跡と」(構成ad)を用いるものであるから、引用発明における「識別システム100」は、「識別対象8」をトラッキングするものであると認められる。
また、引用発明では、「施設の利用者として正規に登録された人物である識別対象の識別情報は、登録(記憶)されて」いる(構成g)ため、トラッキングする「識別対象」を管理しているとも認められる。
したがって、引用発明は、「識別対象」のトラッキングを行い、追跡管理する「システム」であるといえる。
(イ)引用発明における「識別対象8」は、「施設の利用者として正規に登録された人物」である(構成g)から、本件補正発明における「ユーザ」に相当する。
(ウ)引用発明では、さまざまな施設(構成c)において、「識別対象8」である「ユーザ」(前記(イ))をトラッキングする(前記(ア))ことができることが記載されているものの、本件補正発明のように「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザ」のトラッキングを行うことについては特定されていない。
(エ)前記(ア)~(ウ)より、本件補正発明と引用発明とは、「対象空間におけるユーザのトラッキングを行う追跡管理システム」である点で共通するが、引用発明では、「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証された」ユーザのトラッキングを行うことについて特定されていない。
イ 発明特定事項Bについて
(ア)引用発明において、「携帯端末4」は、「ビーコン端末」であり(構成j)、「受信機」は、「携帯端末4から、識別情報を無線通信にて受信」する(構成m)から、該「識別情報」は、「ビーコン端末」から無線通信によって受信する信号であり、本件補正発明における「ビーコン信号」に相当すると認められる。
(イ)引用発明では、「LPSデータ(識別情報、受信機情報及び受信情報)に基づいて、対象空間9内に存在する携帯端末4の対象空間9における位置を特定し」(構成o)、「携帯端末4の識別情報ごとに位置情報の履歴」を記憶し(構成q)、「第1情報D1」として出力する(構成r)。
これは、「携帯端末4」のトラッキングであると認められるところ、該トラッキングに用いる「識別情報」は「ビーコン信号」である(前記(ア))から、ビーコントラッキングであるといえる。
(ウ)引用発明では、「識別対象8は、1人につき1つの携帯端末4を携帯」する(構成i)ことから、該「携帯端末4」のトラッキングは、「識別対象8」のトラッキングであるといえる。
(エ)引用発明における「第1システム1」は、「LPSサーバ12」を備え(構成k)、該「LPSサーバ12」が「位置特定部122と、記憶部123と、処理部124と」を有し(構成n)、「第1情報D1」を出力する(構成r)ものであるから、前記(ア)~(ウ)より、引用発明における「第1システム1」は、本件補正発明における「ビーコン情報処理部」に相当する。
(オ)前記(ア)~(エ)及び前記ア(イ)より、本件補正発明と引用発明とは、「ビーコン信号を用いて前記ユーザのビーコントラッキングを行うビーコン情報処理部」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項Cについて
(ア)引用発明では、「カメラ5」により「対象空間9を撮像し」(構成t)、「撮像画像から識別対象8の顔を含む領域を抽出し、識別対象8の顔を、格納部222に登録されている顔画像と照合し」(構成w)、「顔認識部221で抽出された顔領域の撮像画像内での位置に基づいて、対象空間9における識別対象8の位置を求め、求めた位置を表す位置情報を出力し」(構成x)、「識別対象8ごとに位置情報の履歴」を記憶し(構成y)、「第2情報D2」として出力する(構成aa)ところ、これは「識別対象8」のトラッキングであると認められる。
また、「カメラ5が出力する撮像画像は、カラーの動画であ」る(構成u)から、該トラッキングは、カメラにより得られた映像を用いて行うトラッキングであるといえる。
他方、引用発明には、トラッキングが「カメラ映像AIトラッキング」であることについて特定されていない。
(イ)引用発明における「第2システム2」は、「画像処理サーバ22」を備え(構成s)、該「画像処理サーバ22」が「顔認識部221と、記憶部223と、解析部224と」を有し(構成v)、「第2情報D2」を出力する(構成aa)ものであるから、前記(ア)より、引用発明における「第2システム2」は、本件補正発明における「映像情報処理部」に相当する。
(ウ)前記(ア)~(イ)及び前記ア(イ)より、本件補正発明と引用発明とは、「カメラにより得られた映像を用いて前記ユーザのトラッキングを行う映像情報処理部」を備える点で共通するが、引用発明では、カメラにより得られた映像を用いてトラッキングを行うものの、「カメラ映像AIトラッキング」について特定されていない。
エ 発明特定事項Dについて
(ア)引用発明では、「第1取得部31が取得した第1情報D1と、第2取得部32が取得した第2情報D2とに基づいて、対象空間9内の識別対象8の識別を行い、その識別結果を出力情報として出力」する(構成ac)。
また、引用発明では、「第1情報D1に基づく対象空間9における携帯端末4の位置の履歴からなる軌跡と、第2情報D2に基づく対象空間9における識別対象8の位置の履歴からなる軌跡との照合結果を、出力情報に含む」(構成ad)。
このとき、該「出力情報」は、「携帯端末4の位置の履歴からなる軌跡」と、「識別対象8の位置の履歴からなる軌跡」の「照合結果」を含むものであるから、前記ア(イ)、イ(ウ)及びウ(ア)より、これはユーザのトラッキング結果であるといえる。
(イ)引用発明における「統合サーバ3」は、「第1取得部31と、第2取得部32と、出力部33と」を備え(構成ab)、該「出力部」が「出力情報」を出力する(構成ac)ものであるから、前記(ア)より、引用発明における「統合サーバ3」は、本件補正発明における「判断部」に相当する。
(ウ)前記(ア)、(イ)、イ及びウより、本件補正発明と引用発明とは、「前記ビーコン情報処理部により得られたトラッキング結果と、前記映像情報処理部により得られたトラッキング結果とに基づいて、前記ユーザのトラッキング結果を出力する判断部」を備える点で一致する。
オ 一致点及び相違点
前記ア~エによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりと認められる。
<一致点>
「対象空間におけるユーザのトラッキングを行う追跡管理システムであって、
ビーコン信号を用いて前記ユーザのビーコントラッキングを行うビーコン情報処理部と、
カメラにより得られた映像を用いて前記ユーザのトラッキングを行う映像情報処理部と、
前記ビーコン情報処理部により得られたトラッキング結果と、前記映像情報処理部により得られたトラッキング結果とに基づいて、前記ユーザのトラッキング結果を出力する判断部と
を備える追跡管理システム。」である点
<相違点1>
本件補正発明は、「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証された」ユーザのトラッキングを行うのに対し、引用発明は、「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証された」ユーザのトラッキングについて特定されていない点。
<相違点2>
本件補正発明は、カメラにより得られた映像を用いて「カメラ映像AIトラッキング」を行うのに対し、引用発明は、カメラにより得られた映像を用いてトラッキングを行うものの、「カメラ映像AIトラッキング」について特定されていない点。
(4)相違点についての判断
相違点1及び2について検討する。
ア 相違点1について
引用発明では、トラッキングが行われる「対象空間9が設定される施設」として複数の施設が例示されており(構成c)、引用発明をさまざまな施設に適用できることは明らかであり、前記(2)カ(ウ)より、複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキングは周知の技術であったと認められることから、引用発明を「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキング」に適用することに格別な困難性はない。
イ 相違点2について
引用発明では、「カメラ5」により「対象空間9を撮像し」(構成t)、「撮像画像から識別対象8の顔を含む領域を抽出し、識別対象8の顔を、格納部222に登録されている顔画像と照合し」(構成w)、「顔認識部221で抽出された顔領域の撮像画像内での位置に基づいて、対象空間9における識別対象8の位置を求め、求めた位置を表す位置情報を出力し」(構成x)ているところ、カメラ映像からAIを用いて人物のトラッキングを行うカメラ映像AIトラッキングは周知技術に過ぎない(前記(2)カ(カ))。
(5)効果についての判断
本件補正発明の効果は「継続的に精度の良いトラッキングを行うことが可能となる」(【0105】)というものである。
しかしながら、前記(4)で検討したとおり、前記相違点は格別なものではなく、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果は、当業者が引用発明及び上記周知技術に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(6)請求人の主張についての判断
請求人の主張は、概略、本件補正後の請求項1に係る発明は、発明特定事項Aにおける「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証されたユーザのトラッキング」という特有の構成を含むが、引用文献1(当審注:以下の第4に掲げる文献1)には、上記構成について開示も示唆もない(審判請求書4頁、上申書1頁)というものである。
しかしながら、前記(4)アに示したとおり、当該構成は引用発明及び周知技術1に基づき容易になし得たものであるから、請求人の主張は採用できない。
また請求人は、「ユーザはエリア間の移動の度に認証動作を行うことが不要になり、ユーザの利便性が向上する」(審判請求書4頁)、「エリアごとに異なるセキュリティレベルが求められる「データセンタ」において、本発明のように、ビーコントラッキングとカメラ画像AIトラッキングとを組み合わせることで、柔軟に必要なセキュリティレベルを満たすことが可能になります」(上申書1頁)との効果についても主張しているが、本件補正後の請求項1に係る発明には、「エリア間の移動の度に認証動作を行うことが不要」とするための構成や、「柔軟に必要なセキュリティレベルを満たす」ための構成について何ら特定されていないため、上記主張は請求項の記載に基づく主張とはいえず、採用できない。
(7)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は前記第2のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載した事項により特定されるものである。
第4 原査定の概要
原査定の概要は、以下のとおりである。
(新規性)この出願の請求項1~6に係る発明は、以下の文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1~6に係る発明は、以下の文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
文献1.特開2018-182705号公報
第5 文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された文献1は、前記第2[理由]2(2)アに示した引用文献1と同一であり、その記載事項は、前記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。
第6 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、その発明特定事項である「ユーザのトラッキング」について、「複数のエリアを有するデータセンタにおける認証された」との限定事項を削除したものである(前記第2[理由]2を参照)。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2に示したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
前記第6のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-004219