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特許拒絶査定不服審判

2020-004539

流量計および定量供給装置

審判番号
2020-004539
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-089528
請求日
2020年04月03日
審決日
2021年01月07日
公報発行日
2021年04月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】江口産業株式会社
  • 【請求人代理人】西教 圭一郎
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 岸 智史
  • 審判官 中塚 直樹
分類
P18 .575-Z (G01F) / P18 .113-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018- 89528「流量計および定量供給装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月14日出願公開、特開2019-196922〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成30年5月7日にされた特許出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 令和元年 5月14日付け:拒絶理由通知書 令和元年 7月18日  :意見書、手続補正書の提出 令和元年12月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和2年 1月 7日  :原査定の謄本の送達 令和2年 4月 3日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年4月3日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲及び明細書についての補正である。本件補正前(令和元年7月18日付け手続補正書による補正の後をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1~2の記載と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次のとおりである(下線は補正箇所を示す。)。 (1)本件補正前 「【請求項1】 中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って複数のベーン溝が形成されたロータと、 一端部が前記ロータに、前記中心軸線と長手軸線とが同軸となるように固定される出力軸と、 前記出力軸の前記一端部が挿通され、前記出力軸を前記長手軸線まわりに回転自在に支持するケーシングであって、 前記ロータが収容される収容空間、 前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口、および 前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口、を有するケーシングと、 前記ケーシングの内周面に両端を接触させた状態で、前記ロータの各ベーン溝のそれぞれに嵌まり込む複数のベーンと、 前記ケーシングに設けられ、前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する流量計測手段と、を備え、 前記ロータの周囲には、前記ケーシングの内周面との間に各ベーンによって仕切られた計量室が形成されており、 前記供給口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し、 前記排出口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口していることを特徴とする流量計。 【請求項2】 前記ケーシングの内周面は、前記長手軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記長手軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記長手軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、予め定める第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 前記供給口は、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第3内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ、 前記排出口は、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置とにわたって開口して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流量計。」 (2)本件補正後 「【請求項1】 中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って複数のベーン溝が形成されたロータと、 一端部が前記ロータに、前記中心軸線と長手軸線とが同軸となるように固定される出力軸と、 前記出力軸の前記一端部が挿通され、前記出力軸を前記長手軸線まわりに回転自在に支持するケーシングであって、 前記ロータが収容される収容空間、 前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口、および 前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口、を有するケーシングと、 前記ケーシングの内周面に両端を接触させた状態で、前記ロータの各ベーン溝のそれぞれに嵌まり込む3つのベーンと、 前記ケーシングに設けられ、前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する流量計測手段と、を備え、 前記ロータの周囲には、前記ケーシングの内周面との間に各ベーンによって仕切られた計量室が形成されており、 前記供給口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し、 前記排出口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口しており、 前記ケーシングの内周面は、前記長手軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記長手軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記長手軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、予め定める第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 前記供給口は、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第4内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ、 前記排出口は、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており、 前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第1のベーンが前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持することを特徴とする流量計。」 2 本件補正の目的 本件補正のうち、請求項1に係る補正は、(1)本件補正前の請求項2で特定していた事項に相当する、下記の補正事項Aを付加して、前記ケーシングの内周面、供給口及び排出口について限定を行うとともに、(2)ベーンの数を「3つ」に限定し、さらに、(3)計量室について、「前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第1のベーンが前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」との記載を追加して、その態様を限定するものである。 <補正事項A> 「前記ケーシングの内周面は、前記長手軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記長手軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記長手軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、予め定める第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 前記供給口は、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第4内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ、 前記排出口は、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置とにわたって開口して設けられていること。」 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正のうち、請求項1に係る補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討を行う。 3 独立特許要件についての判断 (1)本件補正発明 ア 本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、当該本件補正後の請求項1の記載には、以下の点で誤記がある。下線は当合議体が付した。 (ア)本件補正後の請求項1の「前記供給口は、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第4内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ」という記載は、「供給口」と「第4内周面」の位置関係を考慮すると明らかな矛盾があり、本件補正前の請求項2の記載とも食い違っている。 よって、当該記載には誤記があり、正しくは、「前記供給口は、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第3内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ」であることが明らかである。 (イ)本件補正後の請求項1の「前記排出口は、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており」という記載は、「排出口」と「第3内周面」の位置関係を考慮すると明らかな矛盾があり、本件補正前の請求項2の記載とも食い違っている。 よって、当該記載には誤記があり、正しくは、「前記排出口は、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており」であることが明らかである。 (ウ)本件補正後の請求項1の「前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第1のベーンが前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」という記載は、密閉状態の計量室が、第1内周面及び第3内周面の境界位置を通過した第1のベーンと第1内周面及び第4内周面の境界位置を通過するまでの第2のベーンとの間に形成されることを考慮すると、明らかな矛盾がある。 よって、当該記載には誤記があり、正しくは、「前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第2のベーンが前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」であることが明らかである。 イ そこで、当合議体は、誤記を正した上で本件補正発明を認定し、独立特許要件の判断を行うこととする。誤記を正した請求項1を記すと次のとおりである。なお、下線は誤記を正した箇所を示し、当合議体が付した。 <本件補正発明> 「中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って複数のベーン溝が形成されたロータと、 一端部が前記ロータに、前記中心軸線と長手軸線とが同軸となるように固定される出力軸と、 前記出力軸の前記一端部が挿通され、前記出力軸を前記長手軸線まわりに回転自在に支持するケーシングであって、 前記ロータが収容される収容空間、 前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口、および 前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口、を有するケーシングと、 前記ケーシングの内周面に両端を接触させた状態で、前記ロータの各ベーン溝のそれぞれに嵌まり込む3つのベーンと、 前記ケーシングに設けられ、前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する流量計測手段と、を備え、 前記ロータの周囲には、前記ケーシングの内周面との間に各ベーンによって仕切られた計量室が形成されており、 前記供給口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し、 前記排出口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口しており、 前記ケーシングの内周面は、前記長手軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記長手軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記長手軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、予め定める第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 前記供給口は、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第3内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ、 前記排出口は、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており、 前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第2のベーンが前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持することを特徴とする流量計。」 (2)引用文献 以下に示す引用文献1、3及び4は、原査定の拒絶の理由に引用された文献であり、引用文献6は、本願明細書において先行技術文献として示されていたものであって、引用文献4と併せて技術常識を示すために当合議体が新たに引用する文献である。 引用文献1、3、4及び6の発行日は、いずれも本願の出願日より前である。 引用文献1:特開昭60-253818号公報 引用文献3:特開2012-31803号公報 引用文献4:特公昭42-16016号公報 引用文献6:特開平8-219032号公報 (3)引用文献に記載された発明等 ア 引用文献1 (ア)引用文献1には、以下の記載がある。下線は当合議体が付した。 a 明細書1ページ右下欄6~12行 「(産業上の利用分野) 本発明は本体内に回転自在に配置したロータに対して直径方向に一体となって出入自在なブレードを配置し、流体が流入してロータが回転することにより流量を計測する摺動式ブレード流量計で、特に新規なロータとブレードとを有する摺動式ブレード流量計に関するものである。 (従来の技術) 従来、ブレード101を有する流量計としては第4図及び第5図に示すようになものがある。この流量計の本体102は大円弧面と小円弧面及びこれら円弧面を滑かに結ぶ曲面とからなる形状、いわゆるはまぐり形状の内面102aを有している。」 b 明細書2ページ左下欄3行~右下欄2行 「(実施例) 以下本発明の一実施例を第1図乃至第4図に基づいて説明する。 第1図及び第4図において、1は流量計の本体であり、流入口2及び流出口3を有している。この本体1は内面1aがはまぐり形状をなしている。本体1には軸受4により回転支持されたロータ軸11が本体1の中心から偏心した位置に配置されており、これによりロータ10は本体1の内面1aに上部で接近している。このロータ軸11は流量表示部5に連結された回転取出し機構(図示せず)に連結されている。ロータ10は前記本体1の内面上部で接して回転する円弧を有する円筒体であり、ロータ10と本体1の内面1aとの間には流体が漏洩しない程度の間隙が設けられている。第2図に示すように、このロータ10は一端に前記ロータ軸11を一体固定し、他端を開放した有底円筒体とこの有底円筒体の開放端を開鎖するとともにロータ軸11を固定した円板とから構成されている。」 c 明細書2ページ右下欄3行~3ページ左上欄11行 「またロータ10にはこの直径方向に中心軸を挟んで互いに相対向する摺動溝12が削設されており、前記直径方向に垂直な方向にも同様の摺動溝12が削設されている。この摺動溝12には夫々2枚のブレード13、14が、ロータ直径方向とこれに垂直な方向とに夫々独立して摺動自在に収納されており、第3図に示すように、このブレード13、14の夫々は軸方向に並行な遮断部13a、13b、14a、14bとこの遮断部を夫々連結する連結部13c、14cとから構成されたH形状である。このように互いに相対向する摺動溝12に入る前記遮断部13a、13b、14a、14bは連結部13c、14cとを介して一体に形成されている。前記流入口2と流出口3とはこのブレード13、14の遮断部13a、13b、14a、14bのいずれかにより常時遮断される構成である。このブレード13、14にはロータ10の軸方向に沿うてブレード13、14の一端からこの長さの少なくとも半分以上でしかも少なくともロータ10の軸方向に対して直角方向に移動可能な幅を有する遊嵌溝13d、14dが構成してあり、他端にはロータ10の軸方向に対して直角方向に移動可能な幅を有する逃し溝13e、14eが夫々形成されている。即ち、前記遮断部13a、13b、14a、14bと連結部13c、14cとにより遊嵌溝13d、14dと逃し溝13e、14eが形成されている。そしてこのような形状のブレード13、14を2枚用いて互いの遊嵌溝13d、14dを嵌め合せてロータ10に配置されている。」 d 明細書3ページ左上欄12行~右上欄11行 「上記流量計において、第4図に示すように流入口2に流体が流入すると、流体の動圧がブレード13の遮断部13aに加わり、ロータ10は回転を開始する。ロータ10が回転すると、一方の遮断部13aは本体1の内面1aに沿うて摺動し、ブレード13はロータ10内から外方へ所定量だけ前進した状態で回転する。この時、他方の遮断部13bはロータ10内へ後退する。このようにして回転を続けると、もう一方のブレード14の一方の遮断部14aがロータ10から突出して前方の遮断部13aとロータ10の外周と本体1の内面1aとにより計量室が形成される。この状態からロータ10が引続いて回転すると、ブレード13の一方の遮断部13aは摺動溝12内をロータ10内へ後退する。この後退時には他方の遮断部13bはロータ10内から前進を開始する。このようにブレード13、14の前後動はその本体1の内面1aにより規制されているが、ブレード13、14はロータ10の摺動溝12により僅かの摺動抵抗を受けるだけである。」 e 第1~4図 「 」 f 第1図から、ロータ軸11の一端部が本体1に挿通されていることが見てとれる。 g 第2図から、ロータ10の中心軸とロータ軸11の長手軸線が同軸であることが見てとれる。 h 第4図及び前記dの記載から、本体1の内部の空間にロータ10が配置されること、流入口2及び流出口3が一直線上かつ反対側にあること、及び、ブレード13、14の遮断部13a、13b、14a、14bが本体1の内面1aに接触していることが見てとれる。 i 第4図から、流入口2は、ロータ10及びブレード13、14が反時計回りに回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口しており、流出口3は、ロータ10及びブレード13、14が反時計回りに回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口していることが見てとれる。 (イ)引用文献1の前記(ア)の記載をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「直径方向に中心軸を挟んで互いに相対向する摺動溝12が削設され、前記直径方向に垂直な方向にも同様の摺動溝12が削設されたロータ10と(c)、 前記ロータ10の一端に一体固定され、ロータ10の中心軸と同軸となる長手軸線を有するロータ軸11と(b及びg)、 前記ロータ軸11の一端部が挿通され、前記ロータ軸11を軸受4により回転支持する本体1であって(b及びf)、 前記ロータ10が配置される空間(h)、 前記空間に臨んで開口し、動圧を有する流体が流入する流入口2、及び 前記流入口2とは一直線上かつ反対側で前記空間に臨んで開口し、前記流体が流出する流出口3、を有する本体1と(b、d及びh)、 本体1の内面1aに遮断部13a、13b、14a、14bを接触させた状態で、前記ロータ10の前記摺動溝12に摺動自在に収納された2つのブレード13、14と(c及びh)、 前記ロータ軸11に連結され、かつ流量表示部5に連結された回転取出し機構と(b)、を備え、 前記ロータ10の外周と、前記遮断部13a、14aと、前記本体1の内面1aにより計量室が形成されており(d)、 前記流入口2は、ロータ10及びブレード13、14が反時計回りに回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し(i)、 前記流出口3は、ロータ10及びブレード13、14が反時計回りに回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口しており(i)、 流量計の本体102は、大円弧面と小円弧面及びこれら円弧面を滑らかに結ぶ曲面とからなる、いわゆる、はまぐり形状の内面102aを有している(a)、 摺動式ブレード流量計(a)。」 イ 引用文献3 (ア)引用文献3には、以下の記載がある。下線は当合議体が付した。 a「【請求項1】 回転軸線(33)まわりに予め定める回転方向(A)に回転駆動され、直円筒状の外周面を有し、前記回転軸線(33)に直交する3以上のベーン溝(37)が放射状に形成されるロータ(38)と、 前記ロータ(38)の各ベーン溝(37)に、各ベーン溝(37)に沿って移動自在に嵌まり込む3以上のベーン(39)と、 前記ロータ(38)および各ベーン(39)が収容される収容空間(40)を有し、前記回転軸線(33)に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面(20,21,22,23)が前記収容空間(40)に臨んで形成されるケーシング(41)とを含み、 前記第1内周面(20)は、前記回転軸線(33)を中心とする予め定める第1半径(R1)の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面(21)は、第1内周面(20)とは前記回転軸線(33)に関して反対側であり、かつ、前記第1半径(R1)よりも小さく、かつ、前記第1半径(R1)との和が各ベーン(39)の長さに等しい第2半径の(R2)直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面(22)は、第1内周面(20)の前記回転方向(A)上流側の端部と第2内周面(21)の前記回転方向(A)下流側の端部とに連なり、第3内周面(22)と第2内周面(21)との境界位置(P2)および第1内周面(20)と第3内周面(22)との境界位置(P1)を結んで半径方向外方に凸となる曲面から成り、 前記第4内周面(23)は、第1内周面(20)の前記回転方向(A)下流側の端部と、第2内周面(21)の前記回転方向(A)上流側の端部とに連なり、第1内周面(20)と第4内周面(23)との境界位置(P3)および第4内周面(23)と第2内周面(21)との境界位置(P4)を結んで半径方向外方に凸となる曲面から成り、 前記ケーシング(41)には、第3内周面(22)上で開口し、移送物が供給される供給孔(82A)と、第4内周面(23)上で開口し、移送物を吐出する吐出孔(82B)とが設けられることを特徴とするベーンポンプ。」 b「【0011】 ベーンポンプ31は、回転軸線33まわりに回転方向Aに回転駆動される回転軸34と、回転軸34を回転自在に軸支する軸受け部35と、回転軸34の軸線方向一端部36Aに連結され、回転軸線33に直交する複数(本実施形態では3)のベーン溝37が形成されるロータ38と、ロータ38のベーン溝37に設けられる3つのベーン39A,39B,39Cと、収容空間40内にロータ38を回転自在に収容するケーシング41と、ケーシング41に着脱自在に設けられる蓋体32と、回転軸34とロータ38との連結部に設けられるシール部44とを含む。なお、前述の軸線方向は、回転軸線33に平行である。」 c「【0029】 再び図1および図2を参照して、前記ケーシング41は、回転軸線33に対して偏心した軸線を有する収容空間40内にロータ本体63を回転自在に収容する。ロータ本体63の周囲には、ケーシング41の内周面80との間に各ベーン39A~39Cによって仕切られたポンプ室81a~81f(総称する場合には、「ポンプ室81」と記す場合がある)が形成される。 【0030】 前記ケーシング41の収容空間40は、第1~第4内周面20~23によって外囲される。第1内周面20は、回転軸線33を含み、かつ互いに直交する2つの仮想平面X,Yの成す角度θ1の範囲にわたって前記回転軸線33を中心とする第1半径R1の直円筒面の一部から成る。 【0031】 また第2内周面21は、前記第1内周面20とは回転軸線33に関して反対側、すなわち軸対称であり、かつ前記第1半径R1よりも小さい第2半径R2の直円筒面の一部から成り、角度θ2の範囲にわたって形成される。したがって第1内周面20と第2内周面21とは同軸である。 【0032】 前記第3内周面22は、第3半径R3の半径方向外方に凸の曲面である大略的に直円筒面の一部から成り、第1内周面20のロータ38の回転方向A上流側の変曲点P1と第2内周面21のロータ38の回転方向A下流側の変曲点P2とに連なり、角度θ3の範囲にわたって形成される。 【0033】 第4内周面23は、第4半径R4の半径方向外方に凸の曲面である大略的の直円筒面の一部から成り、第1内周面20のロータ38の回転方向A下流側の変曲点P3と第2内周面21のロータ38の回転方向A上流側の変曲点P4とに連なり、角度θ4の範囲にわたって形成される。これらの角度θ1~θ4は、それぞれ90°である。 【0034】 前記第3および第4内周面22,23を決定するにあたっては、回転軸線33を通る仮想平面Yと回転軸線33を含む仮想平面Xとが直交し、これらの仮想平面Y,Xの2等分線24上において、回転軸線33から各ベーン39A~39Cの長さL4の半分の長さ(=L4/2)の点P5,P6と、各点P5,P6の周方向両側にそれぞれ隣接する各変曲点P1,P2;P3,P4とを通るように、第3および第4内周面22,23の円弧の中心Q1,Q2が設定される。 【0035】 ケーシング41には、上方に臨んで開口する供給孔82Aと、側方に臨んで開口する吐出孔82Bが形成される。 【0036】 前記供給孔82Aはポンプ室81e,81fに臨んで開口しており、また吐出孔82Bはポンプ室81b,81cに臨んで開口している。したがって供給孔82Aから供給された移送物は、2つのポンプ室81eおよび81fに供給され、ロータ38が回転軸線33のまわりに回転方向Aに回転駆動されるにつれて、容積を増加させながら回転方向Aに移動する各ポンプ室81e,81f内の移送物は同一方向に順次移送され、図1のポンプ室81aに対応する位置に移る。さらにロータ38が回転方向Aに回転すると、各ポンプ室81は、吐出口82Bよりも回転方向A上流側ポンプ室81aから下流側のポンプ室81bのように容積を減少させながら図1のポンプ室81cの状態に至り、ベーン39A~39Cが第1内周面20と第4内周面23との間の変曲点P3を回転方向A下流側に通過した直後から、各ポンプ室81内の移送物は吐出孔82Bへ押出される。 【0037】 各ベーン39A~39Cが、ポンプ室81dに示される位置に至ると、ロータ38の外周面と第2内周面21とがたとえば約0.3mmの微小な隙間をあけて対向した状態であるため、ポンプ室81dの容積はほぼゼロとなる。このような動作を連続的に繰返すことによって、各ポンプ室81e,81f→81a→81b→81c→81d内の移送物は、顕著な脈動を生じることなしに、ほぼ一定の流量で移送される。」 d「【0040】 ケーシング41の収容空間40内には、水平方向に回転軸線33を有するロータ38のロータ本体63が、その1/4円周区域100でケーシング41の内周面80に対して一定の断面積を持った移送路を保って設けられる。この1/4円周区域100では、ロータ本体63とケーシング41の内周面80とが同軸で、異なる半径の円弧状に設定される。 【0041】 ケーシング41内において、1/4円周区域100を挟む両側の1/4円周区域101,102には、これらの区域101,102に向けてそれぞれ供給孔82Aおよび吐出孔82Bが形成される。そして、残る1/4円周区域103は、ロータ本体63の外周面に対向して、わずかな空隙を持って形成される。」 e「【0062】 本実施形態によれば、第1内周面20の上流側の変曲点P1に1つのベーンが配置されたとき、このベーンよりも回転方向A下流側に隣り合うもう1つの第2のベーンは、第1内周面20と第4内周面23との間の変曲点P3よりも回転方向A上流側に配置されることになる。したがって、この第2のベーンが第1内周面20と第4内周面23との間の変曲点P3に到達するまでの期間は、第1内周面20に2つのベーンが摺接し、供給孔82Aおよび吐出孔82B間の移送路を高い液密性で遮断することができる。」 f「【図1】 」 g 前記cの【0034】で示されているように第3および第4内周面22、23の円弧の中心Q1、Q2を設定すると、その対称性から、第3内周面22の第3半径R3と第4内周面23の第4半径R4が等しくなることは明らかである。 (イ)引用文献3の前記(ア)の記載をまとめると、引用文献3には、以下の技術事項が記載されている。 「ロータのベーン溝に設けられる3つのベーンを有し(b)、 前記ロータ及び各ベーンが収容されるケーシングの内周面は、前記ロータの回転軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され(a)、 前記第1内周面は、前記回転軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り(a)、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記回転軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り(a)、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、第3半径の直円筒面の一部から成り(a及びcの【0032】)、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り(a、cの【0033】及びg)、 供給孔は、前記第2内周面及び前記第3内周面の境界位置(P2)と、前記第3内周面及び前記第1内周面の境界位置(P1)とにわたって開口して設けられ(a、dの【0041】及びf)、 吐出孔は、前記第1内周面及び前記第4内周面の境界位置(P3)と、前記第2内周面及び前記第4内周面の境界位置(P4)とにわたって開口して設けられ(a、dの【0041】及びf)、 第1内周面の上流側の変曲点(P1)に1つのベーンが配置されたとき、このベーンよりも回転方向下流側に隣り合うもう1つの第2のベーンは、第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)よりも回転方向上流側に配置され、この第2のベーンが第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)に到達するまでの期間は、第1内周面に2つのベーンが摺接し、供給孔および吐出孔間の移送路を高い液密性で遮断することができる(e)、 ベーンポンプ(a)。」 ウ 技術常識 (ア)引用文献4 引用文献4には、以下の記載がある。下線は当合議体が付した。 「(1ページ左欄26行~右欄8行) 本発明は、かかる新しい数学的図形を応用した流体の定積型移動、計量および出力機構に係るもので、一つの具体例としては、上記蛤形曲線をその切断面形状とする筒形と、この筒形に直交する両端の平面壁とをもつて形成される外箱の中に上記同心円の小円をその切断面形状とするローターを蛤形筒の中心線にその中心線を合致せしめて設置し、このローターにはこれを直径方向に貫通する1乃至数個のスリットを設け、その長さを外箱の両端壁面間距離と等しくし、その位置を両端壁面位置に一致せしめ、各スリット内には蛤形曲線の直径の長さを基本の長さとし、スリットの長さを幅とする薄い厚さの板羽根を収めて、ローターの回転に伴いそのスリットから突出した羽根の部分をして常にローターと外箱間に形成された空間を掃過せしめるようにし、外箱両側の加速度減速度カム曲線部に流体の入口および出口を設けて、板羽根により掃過される空間に流体を流入および流出せしめるように構成した定積型流体移動機構に係り、その目的とするところは、極めて小型簡単な構造で廉価に製造とれ、しかも高能率をもつて流体の移動、計量および出力用に使用し得る機構を提供せんとするにある。」 「第3図 」 (イ)引用文献6 引用文献6は、本願の明細書の段落【0009】で示された先行技術文献であるところ、以下の記載がある。下線は当合議体が付した。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ベーンポンプ、ベーンモータ及び流量計に関する。」 「【0012】 図1は本発明によるベーンポンプの一実施例を示す分解斜視図であり、図2はその部分斜視図であり、図3及び図4はいずれもこのベーンポンプの組立て状態を示す断面図である。」 「【0025】 同様に回転軸の径方向内方及び外方の双方においてベーンのためのカム部材を配置した構造を用いて、流量計を作製することができる。即ち、上記実施例における駆動回転軸6を回転軸となし、モータに代えて回転軸の回転数または回転速度を検出する検出手段を接続し、流体吸入口3を流体供給口となし、流体吐出口5を流体排出口となして、流体供給口から流体を供給して流体流路を通して流体排出口から排出させると、ベーン12付きのロータ8が回転せしめられ、かくして回転軸が回転せしめられ、検出手段により回転軸の回転数または回転速度が検出され、これにより流体の流量が検出される。 【0026】 尚、上記回転軸の回転数または回転速度を検出する検出手段としては、回転軸に接続されたものではなしに、第2カム部材に取付けられたベーン通過検知センサを用いてもよい。その実施例を図5及び図6に示す。これらの図において、上記図1~図4におけると同様の機能を有する部材には同一の符号が付されている。図5は上記図4に対応する断面図であり、図6は上記図1に対応する部分斜視図である。図示されている様に、回転軸6はケーシング外へ延出してはおらず、これにより流体シール箇所が少なくなるという利点がある。第2カム部材16の内周カム面最小半径周方向位置(この位置では流体供給口側と流体排出口側との間の流体の流通はない)において、第2カム部材16にベーン通過検知センサ40を取付けておき、該センサ位置をロータ回転に伴い単位時間に通過するベーンの数を検知する。ベーン通過検知センサ40としては、たとえば、電磁的に検知するものや機械的に接触検知するもの等を用いることができる。 【0027】 以上の様な、ベーンモータや流量計においても、上記ポンプに関し述べたと同様な効果を得ることができる。」 「【図3】 」 (ウ)引用文献4には、ベーン式の「定積型流体移動機構」が、流体の「計量」と「出力」の両方に使用されることが記載されており、引用文献6には、「ベーンポンプ」と同じ構造で「流量計」を作製することができることが記載されている。 よって、次の事項は技術常識である。 「ベーンポンプとベーン式流量計で、共通の機構を採用できること。」 (4)対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 本件補正発明と引用発明は、ともに「流量計」である点で一致する。 イ 引用発明の「ロータ10」及び「摺動溝12」は、それぞれ、本件補正発明の「ロータ」及び「ベーン溝」に相当する。そして、引用発明の「ロータ10」には、「中心軸」から「直径方向」に2つの「摺動溝12」が削設されているところ、この「摺動溝12」の配置は、本件補正発明において、「複数のベーン溝」が「中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って」形成された配置に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って複数のベーン溝が形成されたロータ」を備える点で一致する。 ウ 引用発明の「ロータ軸11」は、その一端が「ロータ10」に一体固定され、その長手軸線が「ロータ10」の中心軸と同軸であるから、本件補正発明の「出力軸」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「一端部が前記ロータに、前記中心軸線と長手軸線とが同軸となるように固定される出力軸」を備える点で一致する。 エ 引用発明の「本体1」は、「ロータ軸11」の一端部が挿通され、「ロータ軸11」を軸受4により回転支持するものであるから、本件補正発明の「ケーシング」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記出力軸の前記一端部が挿通され、前記出力軸を前記長手軸線まわりに回転自在に支持するケーシング」を備える点で一致する。 オ 引用発明は、「前記ロータ10が配置される空間」を有しているから、「本体1」が「ロータが収容される収容空間」を有しており、当該構成は、本件補正発明における、「ケーシング」が「前記ロータが収容される収容空間」を有していることに相当する。 引用発明の「流入口2」は、本件補正発明における「供給口」に相当し、引用発明の「動圧を有する流体」は、本件補正発明の「加圧された移送物」に相当する。この点を踏まえると、引用発明における「前記空間に臨んで開口し、動圧を有する流体が流入する流入口2」は、本件補正発明における「前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口」に相当する。 引用発明の「流出口3」は、本件補正発明における「排出口」に相当し、引用発明において、「流入口2」及び「流出口3」が「一直線上かつ反対側」である配置は、本件補正発明において、「供給口」及び「排出口」が「前記長手軸線を含む仮想一平面に関して」「反対側」である配置に相当する。この点を踏まえると、引用発明における、「前記流入口2とは一直線上かつ反対側で前記空間に臨んで開口し、前記流体が流出する流出口3」は、本件補正発明における「前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口」に相当する。 以上の点を総合すると、本件補正発明と引用発明は、「ケーシング」が「前記ロータが収容される収容空間、前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口、および前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口」を有する点で一致する。 カ 引用発明の「ブレード13、14」は、その両端にある「遮断部13a、13b、14a、14b」を「本体1の内面1a」に接触させた状態で「摺動溝12」に摺動自在に収納されたものであるから、本件補正発明の「ベーン」に相当する。そして、引用発明の「ブレード13、14」と本件補正発明の「ベーン」の数は、ともに複数である点で共通する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記ケーシングの内周面に両端を接触させた状態で、前記ロータの各ベーン溝のそれぞれに嵌まり込む複数のベーン」を備える点で一致する。 キ 引用発明の「回転取出し機構」は、「ロータ軸11」の回転を検出してロータ軸11の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する機能を有することは自明であるから、引用発明の「回転取出し機構」は、本件補正発明の「前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する計測手段」に相当する。そして、引用発明において、「回転取出し機構」は、「前記ロータ軸11に連結され」ているから、「本体1」に設けられていることも明らかである。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記ケーシングに設けられ、前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する流量計測手段」を備える点で一致する。 ク 引用発明の「計量室」は、「ロータ10」の外周と、「ブレード13、14」の両端にある「遮断部13a、14a」と、「本体1の内面1a」により形成されたものであるから、本件補正発明の「計量室」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記ロータの周囲には、前記ケーシングの内周面との間に各ベーンによって仕切られた計量室が形成されて」いる点で一致する。 ケ 引用発明の「流入口2」及び「流出口3」は、それぞれ、本件補正発明の「供給口」及び「排出口」に相当する。また、引用発明は、「流入口2」に動圧を有する流体が流入したときに「ロータ10及びブレード13、14」が反時計回りに回転するものであり、この回転方向は、本件補正発明における「予め定める回転方向」にほかならない。 引用発明において、「ロータ10及びブレード13、14」が、予め定める回転方向に回転したときに、「流入口2」は、その容積が増加する方向に変化する「計量室」に臨んでいる。また、同様に、引用発明において、「ロータ10及びブレード13、14」が、予め定める回転方向に回転したときに、「流出口3」は、その容積が減少する方向に変化する「計量室」に臨んでいる。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記供給口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し、前記排出口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口して」いる点で一致する。 (5)一致点及び相違点 前記(4)の対比の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「中心軸線から垂直に放射状に延びる複数の半径線に沿って複数のベーン溝が形成されたロータと、 一端部が前記ロータに、前記中心軸線と長手軸線とが同軸となるように固定される出力軸と、 前記出力軸の前記一端部が挿通され、前記出力軸を前記長手軸線まわりに回転自在に支持するケーシングであって、 前記ロータが収容される収容空間、 前記収容空間に臨んで開口し、加圧された移送物が供給される供給口、および 前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口、を有するケーシングと、 前記ケーシングの内周面に両端を接触させた状態で、前記ロータの各ベーン溝のそれぞれに嵌まり込む複数のベーンと、 前記ケーシングに設けられ、前記出力軸の予め定める回転方向の回転量に基づいて、移送物の流量を計測する流量計測手段と、を備え、 前記ロータの周囲には、前記ケーシングの内周面との間に各ベーンによって仕切られた計量室が形成されており、 前記供給口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が増加する方向に変化する計量室に臨んで開口し、 前記排出口は、前記予め定める回転方向に前記ロータおよび前記各ベーンが回転したとき、容積が減少する方向に変化する計量室に臨んで開口している流量計。」 イ 相違点 本件補正発明は、「ベーン」の数が3つであり、「ケーシングの内周面」、「供給口」及び「排出口」の構造について、 「前記ケーシングの内周面は、前記長手軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記長手軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記長手軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、予め定める第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 前記供給口は、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第3内周面および前記第1内周面の境界位置とにわたって開口して設けられ、 前記排出口は、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第4内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており、 前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第2のベーンが前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」ものであるのに対して、 引用発明は、ベーンの数が2つであり、本体102の内面は、大円弧面と小円弧面及びこれら円弧面を滑らかに結ぶ曲面とからなる、いわゆる、はまぐり形状であり、「流入口2」及び「流出口3」、「計量室」と「本体1の内面1a」を構成する曲面の境界の線(変曲線)に関する限定を有していない点。 (6)相違点についての判断 前記(3)ウ(ウ)で示したとおり、ベーンポンプとベーン式流量計で、共通の機構を採用できることは技術常識であるから、引用発明における機構を、引用文献3に記載されたベーンポンプにおける機構に置換できることは、当業者には自明である。 したがって、引用発明において、「ベーンの数が2つであり、本体102の内面は、大円弧面と小円弧面及びこれら円弧面を滑らかに結ぶ曲面とからなる、いわゆる、はまぐり形状」である構成に換えて、引用文献3に記載された、「ロータのベーン溝に設けられる3つのベーンを有し、 前記ロータ及び各ベーンが収容されるケーシングの内周面は、前記ロータの回転軸線に関して90°毎に半径の異なる第1~第4内周面によって構成され、 前記第1内周面は、前記回転軸線を中心とする予め定める第1半径の直円筒面の一部から成り、 前記第2内周面は、前記第1内周面とは前記回転軸線に関して反対側であり、かつ、前記第1半径よりも小さく、かつ、前記第1半径との和が各ベーンの長さに等しい第2半径の直円筒面の一部から成り、 前記第3内周面は、前記第1内周面の前記回転方向上流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向下流側の端部とに連なり、第3半径の直円筒面の一部から成り、 前記第4内周面は、前記第1内周面の前記回転方向下流側の端部と、前記第2内周面の前記回転方向上流側の端部とに連なり、前記第3半径に等しい第4半径の直円筒面の一部から成り、 供給孔は、前記第2内周面及び前記第3内周面の境界位置(P2)と、前記第3内周面及び前記第1内周面の境界位置(P1)とにわたって開口して設けられ、 吐出孔は、前記第1内周面及び前記第4内周面の境界位置(P3)と、前記第2内周面及び前記第4内周面の境界位置(P4)とにわたって開口して設けられ、 第1内周面の上流側の変曲点(P1)に1つのベーンが配置されたとき、このベーンよりも回転方向下流側に隣り合うもう1つの第2のベーンは、第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)よりも回転方向上流側に配置され、この第2のベーンが第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)に到達するまでの期間は、第1内周面に2つのベーンが摺接し、供給孔および吐出孔間の移送路を高い液密性で遮断することができる」構成を採用することは、当業者にとって発想の飛躍を要するものであるとは認められない。 ここで、引用文献3に記載された、「第1内周面の上流側の変曲点(P1)に1つのベーンが配置されたとき、このベーンよりも回転方向下流側に隣り合うもう1つの第2のベーンは、第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)よりも回転方向上流側に配置され、この第2のベーンが第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)に到達するまでの期間は、第1内周面に2つのベーンが摺接し、供給孔および吐出孔間の移送路を高い液密性で遮断することができる」構成において、「第1内周面の上流側の変曲点(P1)」、「第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)」、「1つのベーン」及び「もう1つの第2のベーン」は、それぞれ、本件補正発明における「前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置」、「前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置」、「第1のベーン」及び「第2のベーン」に相当する。そして、当該構成において、「この第2のベーンが第1内周面と第4内周面との間の変曲点(P3)に到達するまでの期間は、第1内周面に2つのベーンが摺接し、供給孔および吐出孔間の移送路を高い液密性で遮断することができる」ことは、流量計である引用発明に採用した場合、本件補正発明において、「第1のベーンと、」「第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第2のベーンが前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」ことに相当する。よって、引用発明の構成を引用文献3に記載された構成で置換すると、相違点に係る構成は全て充足されることになる。 したがって、引用発明が相違点に係る構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献3に記載された技術事項及び技術常識に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 (7)作用効果について 本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献3に記載の技術事項及び技術常識から予測されるものを超える格別顕著なものであるとは認めることができない。 (8)審判請求人の主張について 審判請求人は審判請求書において、「補正後の新請求項1に係る発明によれば、安定した計測精度で流量を計測することができるという効果を奏する。これに対し引用文献1に記載の引用発明では、計量室の密閉状態が保持されず、圧力変動が生じやすいので、安定した計測精度で流量を計測することができないものである。」と主張している。 しかしながら、引用発明において引用文献3に記載のベーンポンプの機構を採用することで、計量室の密閉状態が保持されるようにすることができるから、請求人の主張は採用することができない。 よって、審判請求人の主張は、上記の認定・判断を左右するものではない。 (9)上申書について 審判請求人は、令和2年9月8日に提出した上申書において、次の点を主張している。 <請求人の主張> 請求項1の「前記排出口は、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置とにわたって開口して設けられており」という記載を、「前記排出口は、前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置と、前記第2内周面および前記第3内周面の境界位置とにわたって、前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口して設けられており」という記載に補正することで(下線は補正箇所を示す。)、補正後の請求項1に係る発明は、当業者が容易に想到し得たものではないものとなる。 前記請求人の主張を検討すると、供給口と排出口が長手軸線を含む仮想一平面に関して反対側であるという事項は、本件補正発明が既に有しているから、補正案は請求項1に係る発明を限定するものではない(請求項1の「前記長手軸線を含む仮想一平面に関して前記供給口とは反対側で前記収容空間に臨んで開口し、前記収容空間内の移送物を排出する排出口」という記載を参照。)。 そして、前記(4)オで示したとおり、供給口と排出口が長手軸線を含む仮想一平面に関して反対側であるという事項は、引用発明が有するものである。 したがって、本件補正発明が前記請求人の主張のとおり補正されたとしても、当業者が容易に想到し得たものであるとの結論に変わりはない。 (10)独立特許要件についての判断のまとめ よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献3に記載の技術事項及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願に係る発明 本件補正は、上記第2において述べたとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由1及び2の概要 本願発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1:特開昭60-253818号公報(前掲) 3 引用文献に記載された発明等 引用文献1には、前記第2の3(3)ア(イ)において記載したとおりの引用発明が記載されている。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、前記補正事項Aを省くとともに、ベーンの数が「3つ」であるという限定を省き、さらに、計量室について、「前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第1のベーンと、前記第1のベーンの下流側に隣接して位置し、前記第1内周面および前記第4内周面の境界位置を通過した第2のベーンとによって仕切られた計量室は、前記第1のベーンが前記第1内周面および前記第3内周面の境界位置を通過するまで密閉状態を保持する」という限定を省いたものである。 そうすると、本願発明と引用発明に、前記第2の3(5)イで示した相違点は存在せず、本願発明と引用発明は同一である。 よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号及び同法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-004539

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