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特許拒絶査定不服審判

2024-010785

コンバイン及び走行経路作成方法

審判番号
2024-010785
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-200123外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年07月01日
審決日
2025年09月01日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-200123「コンバイン及び走行経路作成方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月14日出願公開、特開2022- 87961〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和2年12月2日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和 5年12月20日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 2月 1日 :意見書、手続補正書の受付

同年 4月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

同月16日 :原査定の謄本の送達

同年 7月 1日 :審判請求書の受付

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は、令和6年2月1日受付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の最大刈取条数よりも少ない下限刈取条数を予め設定し、圃場の複数の条列 を有する作業領域に対して条方向に沿った複数の行程を往復して自動刈取走行を行う走行 経路を作成する場合に、前記作業領域の全条列数と、前記最大刈取条数と、前記下限刈取 条数と、前記作業領域を条方向に沿って分割する中割行程の所定回数とに基づいて、各行 程に前記下限刈取条数以上を設定して前記走行経路を作成する走行経路作成部と、
前記走行経路に従って自動走行及び自動刈取を制御する自動運転制御部と、
を備えることを特徴とするコンバイン。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の本願発明に対する拒絶の理由の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1~3に記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

<引用文献等一覧>

1.特開2020-124149号公報

3.特開2003-52216号公報(周知技術を示す文献)

4.特開2019-106926号公報(周知技術を示す文献)

第4 各引用文献に記載された事項、引用発明等

1 引用発明

(1)引用文献1に記載された事項

a 記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2020-124149号公報(令和2年8月20日公開)(以下「引用文献1」という。)には、「経路生成システム」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

「【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、コンバイン1の全体構成を示す左側面図である。図2は、コンバイン1の制御構成を示すブロック図である。コンバイン1は、自律して走行及び作業が可能なコンバイン(自律型コンバイン)である。
【0009】
コンバイン1は、自脱形コンバインである。コンバイン1は、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7、動力部8、及び、操縦部9を備える。
【0010】
コンバイン1は、走行部2によって走行しつつ、刈取部3(作業機に相当)によって刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒を選別して貯留部6のグレンタンク11に貯える。グレンタンク11に貯えられた穀粒は、排出オーガ12によって排出される。また、脱穀後の排藁は排藁処理部7によって処理される。動力部8のエンジン13から、これら走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7に動力が供給される。操縦部9は、運転席14やステアリングハンドル15等の運転操作具を内装するキャビン16を備える。」
「【0012】
コンバイン1の制御装置40は、CPU等のコンピュータからなる処理部41と、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶部42とを有する。処理部41は、ROMに格納されているプログラム等をRAM上に読み出したうえで、これを実行することができる。記憶部42には、グレンタンク11の容量、刈取部3の幅等のコンバイン1の各諸元情報が記憶されている。
【0013】
制御装置40は、制御プログラムを処理部41が実行することにより、各種構成要件の作動制御を行う。具体的には、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御等を行う。また、制御装置40は、外部とのデータ通信用の通信部43を有する。制御装置40は、通信部43を通じて、他の作業車両(コンバインや、収穫物を搬送するトラック等)、携帯端末等の外部構成と通信可能である。」
「【0016】
以下、図3~図7を参照して、経路生成システムについて説明する。経路生成システム100は、経路生成部101と、通信部102と、を備えている。本実施形態では、経路生成システム100は、コンバイン1の外部に設けられるタブレット103に含まれている。
【0017】
経路生成部101は、コンバイン1を自動走行させる走行経路を生成する。経路生成部101には、走行経路を生成するための経路生成プログラムが格納されている。通信部102は、コンバイン1の通信部43と通信することができる。
続きを表示(全34行)
【0018】
タブレット103は、コンバイン1の外部に設けられる携帯端末であり、コンバイン1を制御するアプリケーションソフトがインストールされている。タブレット103は、コンバイン1の通信部43と通信することで、コンバイン1の位置情報及び運転状況を取得し、表示することができる。また、タブレット103は、制御装置40に制御信号を送信してコンバイン1を操作することができる。
【0019】
図4のPk(k=1、2、・・・、n-1、n)は走行経路を示している。コンバイン1は、走行経路P1、P2、・・・、Pn-1、Pnの順に走行する。
【0020】
経路生成の手順について説明する。経路生成部101は、収穫対象領域となる圃場Fの形状を登録する。例えば、コンバイン1を手動で操作して、測位ユニット20を利用しながら圃場Fの外周を1周させることで、経路生成部101は、走行経路P1~P4を生成し、圃場Fの形状を取得する。走行経路P1~P4を生成する際には、排出位置(トラックの位置)、圃場Fの出入口位置等が考慮される。なお、コンバイン1が走行経路Pkの終点から次の走行経路Pk+1の始点へ移動するときの走行経路については特に限定されない。
【0021】
次いで、経路生成部101は、走行経路P1~P4の内側に外周側から中心へ向かって渦巻き状に走行経路P5~Pnを生成する。本実施形態では、n=19となっており、コンバイン1は、圃場Fの全域の刈取作業を完了するまでに、走行経路P1~P19をそれぞれ直進走行する。
【0022】
経路生成部101は、走行経路P1~Pnとして、収穫対象幅W1が刈取部3の刈幅W2(作業幅に相当)と等しい第1走行経路と、収穫対象幅W1が刈幅W2より狭い第2走行経路とを生成可能である。収穫対象幅W1と刈幅W2は、条数で定めることができる。例えば、6条刈りのコンバイン1であれば、刈幅W2は6条分であり、第1走行経路では収穫対象幅W1は6条分であり、第2走行経路では収穫対象幅W1は5条分以下である。
【0023】
通常、経路生成部101は、第1走行経路として走行経路P1~Pn-1を生成し、第2走行経路として走行経路Pn(本実施形態ではP19)を生成する。しかし、走行経路P1~P19のうち、仮に図5に示すように最終の走行経路P19において刈り取る穀稈C(未刈穀稈)が1条、すなわち収穫対象幅W1が1条分の場合、6条刈りのコンバイン1で1条分の穀稈Cを刈り取ろうとすると、穀稈Cの姿勢が安定せず、刈残しが発生しやすく、また、左右で2条と3条分の排藁を取り込むことになってしまう。
【0024】
そのため、経路生成部101は、第2走行経路として、刈幅W2に対する収穫対象幅W1が所定割合未満の走行経路を生成しないように構成されている。例えば、6条刈りのコンバイン1の場合、第2走行経路として、収穫対象幅W1が3条分未満の走行経路を生成しない。すなわち、6条刈りのコンバイン1の場合、第2走行経路では、収穫対象幅W1が3~5条分となる。
【0025】
好ましくは、4条刈り以下のコンバイン1の場合、第2走行経路として、収穫対象幅W1が2条分未満の走行経路を生成しない。また、好ましくは、5条刈り以上のコンバイン1の場合、第2走行経路として、収穫対象幅W1が3条分未満の走行経路を生成しない。
【0026】
本実施形態では、経路生成部101は、走行経路P19に加え、隣接する走行経路P17も第2走行経路として生成する。具体的には、図6に示すように、経路生成部101は、最終の走行経路P19で収穫対象幅W1が3条分、隣接する走行経路P17で収穫対象幅W1が4条分となるように走行経路P19及び走行経路P17を生成する。
【0027】
刈り取る条数を多くすることで刈残しの発生と排藁の取り込みを抑制することができる。排藁の取り込みを抑制できる理由としては、排藁はコンバイン1の全幅に亘って拡散するが、機体中心で機体両端よりも多い傾向にあり、隣り合う走行経路Pkの刈幅W2の端部同士が重複する部分では排藁の取り込みが少ないためである。
【0028】
以上のように本実施形態の経路生成システムは、作物を収穫可能な刈取部3を有するコンバイン1を自動走行させる走行経路Pkを生成する経路生成部101を備える経路生成システム100であって、
経路生成部101は、走行経路Pkとして、収穫対象幅W1が刈取部3の刈幅W2と等しい第1走行経路と、収穫対象幅W1が刈幅W2より狭い第2走行経路とを生成可能であり、
経路生成部101は、第2走行経路として、刈幅W2に対する収穫対象幅W1が所定割合未満の走行経路Pkを生成しない。
【0029】
かかる構成によれば、収穫対象幅W1が極めて狭い(所定割合未満の)走行経路を生成しないため、刈残しの発生や排藁の取り込みを抑制でき、最後まで適切に収穫作業を行うことが可能な走行経路を生成することができる。
【0030】
経路生成部101は、圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報とに基づいて、走行経路Pkを生成するようにしてもよい。移植機の条間としては、例えば30cm又は33cmである。経路生成部101が、圃場Fの形状情報と刈幅W2に加え、移植機(田植機)の条間設定情報とに基づいて、走行経路Pkを生成することで、収穫対象幅W1が極めて狭い(所定割合未満の)第2走行経路を含まない走行経路を適切に生成できる。
【0031】
例えば、圃場Fを幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80となる。この圃場Fを6条刈りのコンバイン1で刈取作業を行うとき、80/6=13あまり2のため、12本分の走行経路として6条刈りの第1走行経路を生成し、残りの2本の走行経路としてそれぞれ3条刈り、5条刈りの第2走行経路を生成する。なお、残りの2本の走行経路としてそれぞれ4条刈り、4条刈りの第2走行経路を生成してもよい。」
「【0033】
また、前述の実施形態では、経路生成部101は、走行経路P1~P4を生成し、圃場Fの形状を取得した後、走行経路P1~P4の内側に外周側から中心へ向かって渦巻き状に走行経路P5~Pnを生成する例を示したが、これに限定されない。図7に示すように、経路生成部101は、走行経路P1~P4を生成した後、走行経路P1~P4の内側に往復するように走行経路P5′~Pnを生成してもよい。
【0034】
前述の実施形態では、タブレット103に経路生成システム100の機能を持たせたが、コンバイン1の制御装置40に経路生成システム200の機能を持たせても良い。また、経路生成システム100を外部サーバ等に実装してもよい。」

b 引用発明

上記aに摘記した記載事項より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(根拠となる段落等を併記した。)。

「自律して走行及び作業が可能なコンバイン1であって(【0008】)、
走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7、動力部8、及び、操縦部9を備え(【0009】)、
コンバイン1の外部に設けられる携帯端末であり、コンバイン1を制御するアプリケーションソフトがインストールされ、コンバイン1の通信部43と通信することで、コンバイン1の位置情報及び運転状況を取得し、表示することができ、制御装置40に制御信号を送信してコンバイン1を操作することができるタブレット103と(【0018】)、を有し、
走行部2によって走行しつつ、刈取部3によって刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒を選別して貯留部6のグレンタンク11に貯え(【0010】)、
続きを表示(全20行)
制御装置40は、
処理部41と、記憶部42とを有し、処理部41は、ROMに格納されているプログラム等をRAM上に読み出したうえで、これを実行することができ、記憶部42には、グレンタンク11の容量、刈取部3の幅等のコンバイン1の各諸元情報が記憶されており(【0012】)、
通信時における情報の送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御等を行い(【0013】)、
経路生成システム100は、経路生成部101と、通信部102と、を備え、経路生成システム100は、コンバイン1の外部に設けられるタブレット103に含まれ(【0016】)、
経路生成部101は、
コンバイン1を自動走行させる走行経路を生成し、経路生成部101には、走行経路を生成するための経路生成プログラムが格納され、通信部102は、コンバイン1の通信部43と通信することができ(【0017】)、
収穫対象領域となる圃場Fの形状を登録し、測位ユニット20を利用しながら圃場Fの外周を1周させることで、走行経路P1~P4を生成し(【0020】)、
走行経路P1~P4の内側に外周側から中心へ向かって渦巻き状に走行経路P5~Pnを生成し(【0021】)、
走行経路P1~Pnとして、収穫対象幅W1が刈取部3の刈幅W2と等しい第1走行経路と、収穫対象幅W1が刈幅W2より狭い第2走行経路とを生成可能であり、収穫対象幅W1と刈幅W2は、条数で定めることができ、例えば、6条刈りのコンバイン1であれば、刈幅W2は6条分であり、第1走行経路では収穫対象幅W1は6条分であり、第2走行経路では収穫対象幅W1は5条分以下であり(【0022】)、
第2走行経路として、刈幅W2に対する収穫対象幅W1が所定割合未満の走行経路を生成しないように構成されており、例えば、6条刈りのコンバイン1の場合、第2走行経路として、収穫対象幅W1が3条分未満の走行経路を生成しない、すなわち、6条刈りのコンバイン1の場合、第2走行経路では、収穫対象幅W1が3~5条分となり(【0024】)、
圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報とに基づいて、走行経路Pkを生成するようにしてもよく(【0030】)、
例えば、圃場Fを幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80となり、この圃場Fを6条刈りのコンバイン1で刈取作業を行うとき、80/6=13あまり2のため、12本分の走行経路として6条刈りの第1走行経路を生成し、残りの2本の走行経路としてそれぞれ3条刈り、5条刈りの第2走行経路を生成し(【0031】)、
走行経路P1~P4を生成し、圃場Fの形状を取得した後、走行経路P1~P4の内側に外周側から中心へ向かって渦巻き状に走行経路P5~Pnを生成する例を示したが、走行経路P1~P4を生成した後、走行経路P1~P4の内側に往復するように走行経路P5′~Pnを生成してもよく(【0033】)、
圃場Fの全域の刈取作業を完了するまでに、走行経路P1~P19をそれぞれ直進走行し(【0021】)、
タブレット103に経路生成システム100の機能を持たせたが、コンバイン1の制御装置40に経路生成システム200の機能を持たせても良い(【0034】)
コンバイン1(【0008】)。」

(2)引用文献3に記載された事項

a 記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-52216号公報(平成15年2月25日公開)(以下「引用文献3」という。)には、「刈取作業機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】
一般に、刈取作業機のなかには、例えばコンバインのように、所定の条間距離を存して並列状に条植えされた作物を、複数条分同時に刈取るものがある。この種の刈取作業機を用いた刈取作業においては、通常、刈取圃場の畦際部分を刈り取った(横刈りまたは条刈り)後、未刈り作物の周囲を一方向に回りながら作物条列に沿って刈取り(条刈り)が行われる。また、圃場の一部を刈取る場合は、未刈り作物の中を割って刈取り(中割)を行い、その後、上記のように作物条列に沿って刈取り(条刈り)が行われる。」

b 引用文献3記載の技術事項

上記aに摘記した記載事項より、引用文献3には次の事項が記載されている(以下「引用文献3記載の技術事項」という。)。

「コンバインのような刈取作業機を用いた刈取作業において、未刈り作物の中を割って刈取り(中割)を行い、その後、作物条列に沿って刈取り(条刈り)が行われること。」

(3)引用文献4に記載された事項

a 記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-106926号公報(令和元年7月4日公開)(以下「引用文献4」という。)には、「自動走行システム」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。

「【0101】
〔圃場の外形が凹入部を有する形状でない場合の収穫作業の流れ〕
以下では、自動走行システムAを利用した収穫作業の例として、コンバイン1が、図11に示す第2穀物圃場G2(本発明に係る「圃場」に相当)で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
【0102】
続きを表示(全23行)
最初に、データ取得部21が、管理サーバ2、トラクタ5、田植機6の何れかから圃場外形データを取得する。データ取得部21により取得された圃場外形データは、外形判定部22及び第1走行情報生成部27へ送られる。
【0103】
次に、外形判定部22が、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、第2穀物圃場G2の外形が凹入部Pを有する形状であるか否かを判定する。図11に示すように、第2穀物圃場G2の外形は、凹入部Pを有する形状でない。そのため、外形判定部22により、第2穀物圃場G2の外形が凹入部Pを有する形状でないと判定される。この判定結果は、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0104】
この判定結果を受け取った第1走行情報生成部27は、図11に矢印で示す第1走行経路FLを示す第1走行情報を生成する。図11に示すように、第1走行経路FLは、図11おいて右下に位置する地点から第2穀物圃場G2の外形に沿って反時計周りに3周する走行経路と、中割経路LMと、を含んでいる。図11に示すように、中割経路LMは、第2穀物圃場G2の中央部分において、図11における上下方向に延びている。
【0105】
尚、図11に示すように、このとき生成される第1走行情報により示される第1走行経路FLにおいて、中割経路LM以外の部分は、第2穀物圃場G2における外周部分Qを通っている。
【0106】
次に、第1走行情報生成部27により生成された第1走行情報が、走行制御部26及び通信端末4へ送られる。そして、通信端末4は、図13に示すように、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される第1走行経路FLを表示する。
【0107】
また、走行制御部26が第1走行情報を受け取ると、コンバイン1の自動走行が開始される。コンバイン1は、図11に示す第1走行経路FLに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、第1収穫走行が行われる。
【0108】
第1収穫走行が完了すると、図12に示すように、第1収穫走行が行われた部分が収穫済みとなる。また、この収穫済みの領域の内側の領域は、未刈のまま残されている。また、図11及び図12に示すように、コンバイン1が中割経路LMに沿って収穫走行することにより、第2穀物圃場G2における未刈領域は2つに分割されている。
【0109】
領域設定部24は、第1収穫走行におけるコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。さらに、領域設定部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、第1収穫走行により収穫済みとなった領域を、第1領域R1として算出する。そして、領域設定部24は、算出された第1領域R1の内側を、第2領域R2として算出する。この方法により、領域設定部24は、第2領域R2を設定する。
【0110】
尚、図12に示すように、この例においては、第1領域R1により囲まれる領域が2つ存在する。そのため、領域設定部24は、2つの第2領域R2を設定する。
【0111】
その後、2つの第2領域R2のそれぞれにおいて、図6及び図9に基づいて説明したように、内周走行経路LIが算出されると共に、自動走行により第2収穫走行が行われる。そして、第2収穫走行が完了すると、第2穀物圃場G2の全体が収穫済みとなる。」

b 引用文献4記載の技術事項

上記aに摘記した記載事項より、引用文献4には次の事項が記載されている(以下「引用文献4記載の技術事項」という。)。

「コンバイン1が、圃場で収穫作業を行う場合、中割経路LMと、を含んでおり、中割経路LMに沿って収穫走行することにより、第2穀物圃場G2における未刈領域は2つに分割され、領域設定部24は、2つの第2領域R2を設定し、2つの第2領域R2のそれぞれにおいて、内周走行経路LIが算出されること。」

(4)周知技術

上記(2)bの引用文献3記載の技術事項及び(3)bの引用文献4記載の技術事項を総合すると、

「コンバインで収穫作業を行うときに、所定回の中割を行って作業領域を分割した後、収穫作業を行うこと。」は本願出願前にコンバインの技術分野で周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する。

1 引用発明の「刈取部3」は、「穀稈」が「刈取部3によって刈り取」られることからみて、本願発明の「穀稈を刈り取る刈取部」に相当する。

2 引用発明の「6条刈りのコンバイン1の場合」「収穫対象幅W1」の「刈幅W2」である「6条分」、「6条刈りのコンバイン1の場合」「収穫対象幅W1が3」「条分」、「条数で定めること」は、それぞれ本願発明の「前記刈取部の最大刈取条数」、「最大刈取条数よりも少ない下限刈取条数」、「予め設定」することに相当する。

3 引用発明の「圃場F」、「幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80とな」る「圃場F」、「走行経路P5′~Pn」を「それぞれ直進走行」することに、「走行経路P1~P4の内側に」「コンバイン1を自動走行」で「往復する」「走行経路P5′~Pn」、「生成」する場合のそれぞれは、本願発明の「圃場」、「複数の条列を有する作業領域」、「条方向に沿った複数の行程」、「往復して自動刈取走行を行う走行経路」、「作成する場合」に相当する。

4 引用発明では、「経路生成部101は、圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報とに基づいて、走行経路Pkを生成するようにしてもよく、例えば、圃場Fを幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80となり、この圃場Fを6条刈りのコンバイン1で刈取作業を行うとき、80/6=13あまり2のため、12本分の走行経路として6条刈りの第1走行経路を生成し、残りの2本の走行経路としてそれぞれ3条刈り、5条刈りの第2走行経路を生成し」ており、「タブレット103に経路生成システム100の機能を持たせたが、コンバイン1の制御装置40に経路生成システム200の機能を持たせても良い」ことから、引用発明の「幅方向の条数」の「80」、「12本分の走行経路」と「残りの2本の走行経路」におけるそれぞれの「刈り取り」「作業」をすること、「6条刈りの第1走行経路」と「3条刈り、5条刈りの第2走行経路」、「生成」すること、「経路生成部101」は、それぞれ本願発明の「前記作業領域の全条列数」、「各行程」、「前記下限刈取条数以上を設定」した「前記走行経路」、「作成する」こと、「走行経路作成部」に相当し、さらに、上記2を踏まえると、本願発明の「前記作業領域の全条列数と、前記最大刈取条数と、前記下限刈取条数と、前記作業領域を条方向に沿って分割する中割行程の所定回数とに基づいて、各行程に前記下限刈取条数以上を設定して前記走行経路を作成する走行経路作成部」と引用発明とは、「前記作業領域の全条列数と、前記最大刈取条数と、前記下限刈取条数とに基づいて、各行程に前記下限刈取条数以上を設定して前記走行経路を作成する走行経路作成部」を有する点で共通する。

5 引用発明の「走行経路」を「自動走行」すること、「走行部2によって走行しつつ、刈取部3によって刈り取」ること、「制御等を行」うこと、「制御装置40」は、それぞれ本願発明の「前記走行経路に従って自動走行」すること、「自動刈取」をすること、「制御する」こと、「自動運転制御部」に相当する。

6 引用発明の「コンバイン1」は、本願発明の「コンバイン」に相当する。

上記1~6から、本願発明と引用発明とは、

<一致点>

「穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の最大刈取条数よりも少ない下限刈取条数を予め設定し、圃場の複数の条列を有する作業領域に対して条方向に沿った複数の行程を往復して自動刈取走行を行う走行経路を作成する場合に、前記作業領域の全条列数と、前記最大刈取条数と、前記下限刈取条数とに基づいて、各行程に前記下限刈取条数以上を設定して前記走行経路を作成する走行経路作成部と、
前記走行経路に従って自動走行及び自動刈取を制御する自動運転制御部と、
を備えるコンバイン。」

で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>

「走行経路作成部」に関して、「走行経路を作成する場合に」、

本願発明では、「前記作業領域の全条列数と、前記最大刈取条数と、前記下限刈取条数と」に加えて「前記作業領域を条方向に沿って分割する中割行程の所定回数」に基づくのに対して、

引用発明では、「経路生成部101は、圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報とに基づいて、走行経路Pkを生成するようにしてもよく、例えば、圃場Fを幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80となり、この圃場Fを6条刈りのコンバイン1で刈取作業を行うとき、80/6=13あまり2のため、12本分の走行経路として6条刈りの第1走行経路を生成し、残りの2本の走行経路としてそれぞれ3条刈り、5条刈りの第2走行経路を生成し」ており、「圃場F」を条方向に沿って分割する「中割行程の所定回数」に基づいていない点。

第6 判断

1 相違点について

上記第4(4)のとおり、コンバインの技術分野において、「コンバインで収穫作業を行うときに、所定回の中割を行って作業領域を分割した後、収穫作業を行うこと。」は周知技術である。

そして、引用発明の「コンバイン1」と上記周知技術とは、コンバインでの収穫作業を行うものであるという点で技術分野が同一であり、また、引用発明の「コンバイン1」において、圃場Fの広さ等に応じて効率よく刈取作業を行うという課題を潜在的に有することは自明であるから、引用発明と上記周知技術とは、コンバインの作業の効率化という課題を有する点で共通している。

ここで、引用発明は、「圃場Fを幅24m×奥行き24mの矩形状とし、移植機の条間を30cmとすると、幅方向の条数は80となり、この圃場Fを6条刈りのコンバイン1で刈取作業を行うとき、80/6=13あまり2のため、12本分の走行経路として6条刈りの第1走行経路を生成し、残りの2本の走行経路としてそれぞれ3条刈り、5条刈りの第2走行経路を生成し」、「経路生成部101は、走行経路P1~P4を生成し、」「走行経路P1~P4の内側に往復するように走行経路P5′~Pnを生成してもよ」いものであり、その場合、コンバイン1は、条方向に刈取作業を行うこととなるから、圃場Fの広さ等に応じて、作業の効率化のために上記周知技術を適用して所定回の中割を行うようにすることは当業者が適宜なし得ることであって、引用発明に上記周知技術を適用すると、引用発明の刈取作業の方向と同じ条方向に中割することは技術常識から明らかであり、また、所定回の中割を行うと分割された領域毎に圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報がそれぞれ存在することとなることは明らかであるから、分割された領域の数を算出するため、当然に必要となる中割の回数にも基づいて、分割された領域毎に走行経路Pkを生成し、相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び上記周知技術が奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張する(下線は合議体が付した。)。

「(7)また、拒絶査定では、「所定回数の中割による分割傾域ごとに走行経路を作成する場合に、圃場の大きさと『中割工程の所定回数』に基づいて分割領域ごとの条列数を算出するといったことも、当業者であれば適宜なし得たことというべきである」、と指摘している。
しかしながら、この指摘における「所定回数の中割による分割傾域ごとに走行経路を作成する」という前提について、引用文献1から想定することはできず、引用文献3や引用文献4を参照しても周知の技術とすることはできない。そのため、このような前提に対して、「圃場の大きさと『中割工程の所定回数』に基づいて分割領域ごとの条列数を算出する」ことは、引用文献1、引用文献3及び引用文献4を参照しても、当業者であれば適宜なし得たこととはいえない。
(8)以上のように、本願発明は、引用文献1、3及び4に記載の発明とその構成が全く相違するものであり、引用文献1、3及び4に基づいて当業者が容易に発明することができるものではない。また、引用文献3~4に記載の技術を引用文献1に適用しても、本願発明に想到することはできない。」

(2)請求人の主張について検討する。

上記1で説示したとおり、コンバインの技術分野において、「コンバインで収穫作業を行うときに、所定回の中割を行って作業領域を分割した後、収穫作業を行うこと」は周知技術であって、圃場の広さ等に応じて所定回の中割を行い、各作業領域で収穫作業を行うことは当該技術分野で一般的に行われていることに過ぎない。

そうすると、引用発明に上記周知技術を適用し、所定回の中割を行うと分割された領域毎に圃場Fの形状情報と、刈幅W2と、移植機の条間設定情報がそれぞれ存在することとなるから、中割の回数にも基づいて、分割された領域毎に走行経路Pkを生成するように構成することは当業者が容易になし得たことである。

よって、上記請求人の主張は上記1の判断を左右されるものではなく、採用できない。

3 まとめ

以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

第7 むすび

本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-010785

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