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特許拒絶査定不服審判

2025-003111

自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム

審判番号
2025-003111
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-031820
請求日
2025年02月27日
審決日
2026年06月22日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヤンマーホールディングス株式会社
  • 【請求人代理人】種村 一幸
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 家田 政明
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P18 .121-Z (A01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 31820「自動走行方法、自動走行システム、及び自動走行プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 9月14日出願公開、特開2023-127875〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年3月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年 9月10日付け : 拒絶理由通知書 (同年 9月17日発送) 同年11月15日 : 意見書、手続補正書の提出 同月26日付け : 拒絶査定 (同年12月 3日 : 謄本送達) 令和7年 2月27日 : 審判請求書の提出 第2 本願発明 本願において、審判請求時に手続補正書は提出されておらず、本願の請求項1ないし11に係る発明は、令和6年11月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の、請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものである。 そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 なお、当審において適宜に改行を整え、分説を付した。 「【請求項1】 A) 圃場に設定された目標経路に従って作業車両を自動走行させることと、 B) 前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に前記圃場の外周に位置する障害物を検出することと、 C) 前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に検出された前記障害物が回避対象物である場合に、自動走行を継続して前記作業車両を前記目標経路よりも前記圃場の内側の回避経路を自動走行させることと、 D) を実行する自動走行方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当する、 または、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献 特開2019-169059号公報 第4 当審の判断 1 引用文献について (1)記載事項 原査定の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献には、次の記載及び図示がある(下線は、当合議体で付した。)。 なお、図面の図示は、関連する段落の摘記の後に示した。 ア 基本構成について (ア)段落【0015】-【0042】の記載 「【発明を実施するための形態】 【0015】 本発明に係る走行領域形状特定装置を自動走行システムに適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。 この自動走行システムにおいては、図1に示すように、本発明に係る作業車両としてトラクタ1を適用しているが、トラクタ以外の、乗用田植機、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ、除雪車等の乗用作業車両、及び、無人草刈機等の無人作業車両を適用することができる。 【0016】 この自動走行システムは、図1及び図2に示すように、トラクタ1に搭載された自動走行ユニット2、及び、自動走行ユニット2と通信可能に通信設定された携帯通信端末3を備えている。携帯通信端末3には、タッチ操作可能な表示部51(例えば、液晶パネル)等を有するタブレット型のパーソナルコンピュータやスマートフォン等を採用することができる。 ・・・(中略)・・・。 【0023】 図2に示すように、車載電子制御ユニット18は、変速装置13の作動を制御する変速制御部181、左右のサイドブレーキの作動を制御する制動制御部182、ロータリ耕耘装置等の作業装置12の作動を制御する作業装置制御部183、自動走行時に左右の前輪5の目標操舵角を設定してパワーステアリング機構14に出力する操舵角設定部184、及び、予め設定された自動走行用の目標走行経路P(例えば、図3参照)等を記憶する不揮発性の車載記憶部185等を有している。 ・・・(中略)・・・。 【0039】 この実施形態では、キャビン10にユーザ等が搭乗せずにトラクタ1を自動走行させるだけでなく、キャビン10にユーザ等が搭乗した状態でトラクタ1を自動走行させることも可能となっている。よって、キャビン10にユーザ等が搭乗せずに、車載電子制御ユニット18による自動走行制御により、トラクタ1を目標走行経路Pに沿って自動走行させることができるだけでなく、キャビン10にユーザ等が搭乗している場合でも、車載電子制御ユニット18による自動走行制御により、トラクタ1を目標走行経路Pに沿って自動走行させることができる。 ・・・(中略)・・・。 【0041】 トラクタ1には、図1及び図2に示すように、トラクタ1(走行機体7)の周囲における障害物を検知して、障害物との衝突を回避するための障害物検知システム100が備えられている。障害物検知システム100は、レーザを用いて測定対象物までの距離を3次元で測定可能な複数のライダーセンサ(距離センサに相当する)101,102と、超音波を用いて測定対象物までの距離を測定可能な複数のソナーを有するソナーユニット103,104と、障害物検知部110と、衝突回避制御部111とが備えられている。ここで、ライダーセンサ101,102及びソナー103,104にて測定する測定対象物は、物体や人等としている。 【0042】 障害物検知部110は、ライダーセンサ101,102及びソナーユニット103,104の測定情報に基づいて、所定距離内の物体や人等の測定対象物を障害物として検知する障害物検知処理を行うように構成されている。衝突回避制御部111は、障害物検知部110にて障害物を検知すると、衝突回避制御を行うように構成されている。障害物検知部110は、ライダーセンサ101,102及びソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理をリアルタイムで繰り返し行い、物体や人等の障害物を適切に検知しており、衝突回避制御部111は、リアルタイムで検知される障害物との衝突を回避するための衝突回避制御を行うようにしている。」 (イ)【図1】の図示 「 [図:0001438902000001.jpg] 」 イ 検知について (ア)段落【0071】-【0089】の記載 「【0071】 前ライダーセンサ101における左右測定範囲C1は、図12に示すように、走行機体7の左右方向において走行機体7の左右中心線を対称軸とする左右対称な範囲である。左右測定範囲C1は、前ライダーセンサ101から延びる第1境界線E1と第2境界線E2との間の第1設定角度α1の範囲に設定されている。左右測定範囲C1は、走行機体7の横幅方向において、トラクタ1の横幅、及び、作業装置12の横幅よりも大きな範囲に設定されている。左右測定範囲C1は、どのような大きさの範囲とするかは適宜変更が可能である。 ・・・(中略)・・・。 【0087】 図12に示すように、右側のソナーユニット103の測定範囲Nと、左側のソナーユニット104の測定範囲Nとは、走行機体7から延びる方向が左右逆方向になっている点が異なるだけであり、右側と左側とで左右対称の測定範囲Nとなっている。 【0088】 ソナーユニット103,104は、走行機体7の機体外方を測定対象とするものである。ソナーユニット103,104は、水平方向よりも所定角度だけ下方側に向けて超音波を投射するように走行機体7に取り付けられ、ソナーユニット103,104から所定角度だけ下方側を向く方向に延びるように測定範囲Nが設定されている。ソナーユニット103,104の測定範囲Nは、ソナーユニット103,104から走行機体7の外方側に向けて所定距離までの距離を半径とする範囲であり、走行機体7の前後方向において、前ライダーセンサ101における左右測定範囲C1と後ライダーセンサ102における左右測定範囲D1との間に設定されている。 【0089】 このようにして、障害物検知部110は、ソナーユニット103,104の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うことで、左右の測定範囲Nにて障害物の存否を検知している。」 (イ)【図12】の図示 「 [図:0001438902000002.jpg] 」 ウ 衝突回避制御について 段落【0090】-【0103】の記載 「【0090】 以下、障害物検知部110による障害物検知処理、及び、衝突回避制御部111による衝突回避制御について説明するが、まず、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合の衝突回避制御について説明し、次に、ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理において障害物を検知した場合の衝突回避制御を説明する。 【0091】 ライダーセンサとして、前ライダーセンサ101と後ライダーセンサ102との2つのライダーセンサを備えているが、障害物検知部110は、目標走行経路Pに含まれた前後進切り替え地点での前後進の切り替え、又は、キャビン10の内部に備えられた前後進切り替え用のリバーサレバーによる前後進の切り替えに基づいて障害物検知状態を切り替える。トラクタ1が前進走行する場合には、前ライダーセンサ101による測定を行い、障害物検知部110が前ライダーセンサ101の測定情報に基づく障害物検知処理を行う前進検知状態に切り替え、トラクタ1が後進走行する場合には、後ライダーセンサ102による測定を行い、障害物検知部110が後ライダーセンサ102の測定情報に基づく障害物検知処理を行う後進検知状態に切り替えている。このように、トラクタ1が前進走行しているか後進走行しているかによって、前ライダーセンサ101と後ライダーセンサ102のどちらのライダーセンサを用いて障害物の検知を行うかを切り替えることで、処理負担の軽減を図りながら、障害物の検知を行うようにしている。 ・・・(中略)・・・。 【0093】 前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102を用いて障害物を検知した場合には、図12に示すように、測定範囲C,Dである障害物検知用の検知範囲のうち、どの範囲にて障害物を検知したかによって、衝突回避制御部111による衝突回避制御の制御内容が異なるように設定されている。測定範囲C,D(検知範囲)は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離に応じて、第1検知範囲J1と第2検知範囲J2と第3検知範囲J3との3つの範囲が設定されている。第1検知範囲J1は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が、第4設定距離X4から第1設定距離X1まで又は第4設定距離X4から第3設定距離X3までの範囲に設定されている。第2検知範囲J2は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が第5設定距離X5から第4設定距離X4までの範囲に設定されている。第3検知範囲J3は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が第5設定距離X5までの範囲に設定されている。よって、前ライダーセンサ101、後ライダーセンサ102、及び、作業装置12を含むトラクタ1に対して、第1検知範囲J1、第2検知範囲J2、第3検知範囲J3がその順に近くなるように設定されている。 【0094】 前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102を用いて障害物を検知した場合の衝突回避制御の制御内容は、トラクタ1が前進走行している場合も後進走行している場合も同様であるので、以下、トラクタ1が前進走行している場合について説明する。 【0095】 トラクタ1が前進走行しているときに、図12に示すように、障害物検知処理において第1検知範囲J1内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第1検知範囲J1内に障害物が存在することを報知する第1報知制御を行う。第1報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。 【0096】 障害物検知処理において第2検知範囲J2内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第2検知範囲J2内に障害物が存在することを報知する第2報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させる第1減速制御を行う。第2報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。第1減速制御では、例えば、衝突回避制御部111が、現在のトラクタ1の車速や障害物までの距離等に基づいて、トラクタ1が障害物に衝突するまでの衝突予測時間を求めている。衝突回避制御部111は、求めた衝突予測時間が設定時間(例えば、3秒)に維持される状態でトラクタ1の車速を減速させるように、エンジン9、変速装置13及びブレーキ操作機構15等を制御している。 【0097】 障害物検知処理において第3検知範囲J3内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第3検知範囲J3内に障害物が存在することを報知する第3報知制御を行うとともに、トラクタ1を停止させる停止制御を行う。第3報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを連続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。停止制御では、例えば、衝突回避制御部111が、トラクタ1を停止させるように、ブレーキ操作機構15等を制御している。 【0098】 ちなみに、第1報知制御及び第2報知制御において報知ブザーを断続させる所定周波数は、同じ周波数でもよく、異なる周波数でもよい。また、第1~第3報知制御において報知ランプを点灯させる所定色は、同じ色でもよく、異なる色でもよい。衝突回避制御部111は、第1~第3報知制御において、トラクタ1の報知装置26の制御に加えて、第1~第3検知範囲J1~J3の何れかに障害物が存在することを示す表示内容を携帯通信端末3の表示部51に表示させるように、端末電子制御ユニット52を制御することもできる。 【0099】 例えば、第1検知範囲J1内で障害物が検知された場合には、衝突回避制御部111が第1報知制御を行うことで、第1検知範囲J1内に障害物が存在することをユーザ等に報知することができる。そのままトラクタ1の走行が継続されて、障害物の検知範囲が第1検知範囲J1から第2検知範囲J2に近づくと、衝突回避制御部111が、第2報知制御に加えて、第1減速制御を行うことで、トラクタ1と障害物との衝突を回避可能とするために、トラクタ1の車速を減速させておくことができる。トラクタ1を減速させても、障害物の検知範囲が第2検知範囲J2から第3検知範囲J3に近づくと、衝突回避制御部111が、第3報知制御に加えて、停止制御を行うことで、トラクタ1を停止させることができ、トラクタ1と障害物との衝突を適切に回避することができる。 【0100】 ライダーセンサ101,102を用いる場合には、人等の移動する測定対象物も障害物として検知する。よって、検知範囲J内で障害物が検知されても、障害物自体が移動することで、障害物が検知範囲Jから外れることがある。そこで、障害物が第1検知範囲J1から外れた場合には、衝突回避制御部111が、第1報知制御を終了する。障害物が第2検知範囲J2から外れた場合には、衝突回避制御部111が、第2報知制御を終了するとともに、トラクタ1の車速を設定車速まで増速させるように、エンジン9や変速装置13等を制御する車速回復制御を行う。障害物が第3検知範囲J3から外れた場合には、衝突回避制御部111が、トラクタ1を走行停止状態に維持しながら、第3報知制御を終了する。この場合には、ユーザ等によりトラクタ1の自動走行の再開等が指令されることで、トラクタ1の自動走行を再開することができる。 【0101】 次に、ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合の衝突回避制御について説明する。 ソナーユニット103,104は、左右に備えられているが、トラクタ1が前進走行する場合もトラクタ1が後進走行する場合も、障害物検知部110は、左右両側のソナーユニット103,104の全ての測定情報に基づいて障害物検知処理を行う。 【0102】 ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、ソナーユニット103,104の何れかの測定範囲N内に障害物が存在することを報知する第4報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させる第2減速制御を行う。第4報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。第2減速制御では、例えば、衝突回避制御部111が、トラクタ1の車速を設定車速に減速させるように、エンジン9、変速装置13及びブレーキ操作機構15等を制御している。 【0103】 このようにして、障害物検知システム100は、前ライダーセンサ101及び後ライダーセンサ102を用いて走行機体7の前方側及び後方側における障害物の存否を検知するとともに、ソナーユニット103,104を用いて走行機体7の左右における障害物の存否を検知することができる。障害物検知システム100は、障害物検知部110にて障害物の存在を検知すると、衝突回避制御部111が衝突回避制御を行うことによって、障害物の存在をユーザ等に報知して、ユーザ等に障害物との衝突を回避するように促すことができるとともに、仮にトラクタ1と障害物とが衝突する可能性が生じても、トラクタ1を減速や停止させて、トラクタ1と障害物との衝突を適切に回避することができる。」 エ 目標走行経路の生成について (ア)段落【0105】-【0121】の記載 「【0105】 以下、走行経路生成部53による目標走行経路Pの生成について説明する。 走行経路生成部53が目標走行経路Pを生成するに当たり、携帯通信端末3の表示部51に表示された目標走行経路設定用の入力案内に従って、運転者や管理者等のユーザ等が作業車両や作業装置12の種類や機種等の車体情報を入力しており、入力された車体情報が端末記憶部54に記憶されている。目標走行経路Pの生成対象となる走行領域S(図3参照)を圃場としており、携帯通信端末3の端末電子制御ユニット52は、走行領域Sの形状や位置を含む走行領域情報を取得して端末記憶部54に記憶している。 ・・・(中略)・・・。 【0107】 そこで、走行領域Sの形状の特定方法について説明する。 走行領域Sの形状を特定するために、図2に示すように、衛星測定システムを用いてトラクタ1の位置情報を取得する測位ユニット(位置情報取得部に相当する)21と、その測位ユニット21にて取得するトラクタ1の位置情報に基づいて、トラクタ1の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部56と、走行領域Sの境界部S1までの距離を取得する距離取得部57と、走行領域Sの形状を特定する形状特定部58とが備えられている。移動軌跡取得部56、距離取得部57、及び、形状特定部58は、端末電子制御ユニット52に備えられている。 【0108】 走行領域Sの内側と外側とは境界部S1にて区画されているので、図16に示すように、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させる。この周回走行中に、トラクタ1の位置情報を測位ユニット21にてリアルタイムにて取得しており、移動軌跡取得部56が、測位ユニット21の位置情報に基づいて、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡M1を取得している。図16では、走行領域Sの境界部S1、及び、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡を例示している。 ・・・(中略)・・・。 【0110】 図17は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1までの距離を3次元にて検出している場合を示しているが、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて走行領域Sの境界部S1までの距離を3次元にて検出する場合も同様であるので、説明及び図示は省略する。 【0111】 走行領域Sを圃場等とした場合には、走行領域Sの境界部S1に畔が存在しており、走行領域Sの境界部S1が畔によって走行領域Sの内側よりも一段高い位置となっている。また、走行領域Sの境界部S1に壁等の区画体が設けられる場合も、走行領域Sの境界部S1が走行領域Sよりも高い位置となっている。そこで、距離取得部57は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1における上端部までの距離K1及び下端部までの距離K2を検出して、走行領域Sの境界部S1における高さK3を検出している。 ・・・(中略)・・・。 【0114】 形状特定部58は、図19に示すように、移動軌跡取得部56にて取得したトラクタ1の移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正する形態で、走行領域Sの形状を特定している。形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した距離K4分だけ外側に広げるように補正して(図中矢印にて示す)、走行領域Sの形状を特定している。図19に示すものでは、矩形状の走行領域Sが特定されている。 ・・・(中略)・・・。 【0119】 図3に示すものでは、走行経路生成部53が、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分け設定している。中央領域R1は、走行領域Sの中央部に設定されており、先行してトラクタ1を往復方向に自動走行させて所定の作業(例えば、耕耘等の作業)を行う往復作業領域となっている。外周領域R2は、中央領域R1の周囲に設定されており、中央領域R1に後続してトラクタ1を周回方向に自動走行させて所定の作業を行う周回作業領域となっている。走行経路生成部53は、例えば、車体情報に含まれる旋回半径やトラクタ1の前後幅及び左右幅等から、トラクタ1を圃場の畔際で旋回走行させるために必要となる旋回走行用のスペース等を求めている。走行経路生成部53は、中央領域R1の外周に求めたスペース等を確保するように、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分けしている。 【0120】 走行経路生成部53は、図3に示すように、作業装置12に関する作業装置情報を含む車体情報や走行領域情報等を用いて、目標走行経路Pを生成している。例えば、目標走行経路Pは、中央領域R1において同じ直進距離を有して作業幅(作業装置12の横幅に相当する)に対応する一定距離をあけて平行に配置設定された複数の作業経路P1と、隣接する作業経路P1の始端と終端とを連結する連結経路P2と、外周領域R2において周回する周回経路P3(図中点線にて示している)とを有している。 【0121】 複数の作業経路P1は、トラクタ1を直進走行させながら、所定の作業を行うための経路である。連結経路P2は、所定の作業を行わずに、トラクタ1の走行方向を180度転換させるためのUターン経路であり、作業経路P1の終端と隣接する次の作業経路P1の始端とを連結している。周回経路P3は、外周領域R2にてトラクタ1を周回走行させながら、所定の作業を行うための経路である。周回経路P3は、走行領域Sの四隅に相当する位置において、トラクタ1を前進走行と後進走行とに切り替えることで、トラクタ1の走行方向を90度転換させるようにしている。ちなみに、図3に示す目標走行経路Pは、あくまで一例であり、どのような目標走行経路を設定するかは適宜変更が可能である。」 (イ)【図3】の図示 「 [図:0001438902000003.jpg] 」 オ 回避すべき障害物がある場合の経路の生成について (ア)段落【0122】-【0133】の記載 「【0122】 図16~図19を用いて、走行領域Sの形状の特定方法について説明したが、図21に示すように、走行領域Sの境界部S1に障害物V1,V2が存在している場合がある。以下、このような場合における走行領域Sの形状の特定方法について、図21~図24に基づいて説明する。 ・・・(中略)・・・。 【0124】 図21に示すように、図16と同様に、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1に周回走行させる。このとき、走行領域Sの境界部S1には、障害物として物体V1や畔崩れV2が存在しているので、トラクタ1は、物体V1や畔崩れV2を回避するように、物体V1や畔崩れV2よりも内側を走行することになる。よって、移動軌跡取得部56は、物体V1や畔崩れV2を内側に回避したトラクタ1の移動軌跡M2を取得する。図21では、走行領域Sの境界部S1、及び、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡を例示している。障害物の物体V1としては、例えば、電柱、側溝、注排水パイプ、マンホールの蓋等、各種の物体が考えられる。 【0125】 トラクタ1にて周回走行させるときには、ライダーセンサ101,102にて走行領域Sの境界部S1までの距離を測定しているので、図22及び図23に示すように、ライダーセンサ101,102にて物体V1及び畔崩れV2までの距離を3次元にて測定することができる。図22は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1、及び、物体V1までの距離を3次元にて検出している場合を示している。図23は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1、及び、畔崩れV2までの距離を3次元にて検出している場合を示している。図23において、畔崩れが生じる前の畔の状態を一点鎖線にて示し、畔崩れが生じた状態を実線にて示している。後ライダーセンサ102を用いる場合も同様であるので、説明及び図示は省略する。 ・・・(中略)・・・。 【0130】 形状特定部58は、図24に示すように、移動軌跡取得部56にて取得したトラクタ1の移動軌跡M2を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正するとともに、障害物特定部59にて特定した障害物V,V2に応じて補正する形態で、走行領域Sの形状を特定している。形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した距離K4分だけ外側に広げるように補正するとともに、障害物特定部59にて特定した障害物V,V2の位置及び形状に応じて内側に突出するように補正して、走行領域Sの形状を特定している。 ・・・(中略)・・・。 【0133】 形状特定部58にて特定された走行領域Sの形状等を含む走行領域情報が端末記憶部54に記憶されると、走行経路生成部53は、端末記憶部54に記憶されている走行領域情報や車体情報を用いて、図3と同様に、図26に示すように、目標走行経路Pを生成する。図26では、障害物V1,V2の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状が内側に突出する形状(図21、図24参照)となっているので、図中点線で示す周回経路P3の一部分(図中、右側に位置する周回経路P3と上側に位置する周回経路P3)が、走行領域Sの形状に応じて内側に湾曲する形状に生成されている。ちなみに、走行領域情報には、傾斜角度特定部60にて特定された走行面の傾斜角度が含まれているので、走行経路生成部53は、走行面の傾斜角度を考慮して、目標走行経路Pを生成することができる。」 (イ)【図23】の図示 「 [図:0001438902000004.jpg] 」 (ウ)【図26】の図示 「 [図:0001438902000005.jpg] 」 カ 経路の再生成について (ア)段落【0134】-【0141】の記載 「【0134】 上述の如く、走行領域Sの境界部S1に障害物V1,V2が存在していても、障害物V1,V2の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状を特定できるとともに、目標走行経路Pを生成することができる。例えば、畔崩れV2等の障害物については、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行った後に発生する場合もある。そこで、図27に示すように、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行った後に、障害物V3が発生した場合でも、その障害物V3に応じて、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行うようにしている。 【0135】 車載電子制御ユニット18にて自動走行制御を行い、トラクタ1を自動走行させている場合に、障害物検知部110が障害物検知処理を行うことで、障害物V3を検知することができる。そこで、図2に示すように、端末電子制御ユニット52には、障害物登録部72と走行経路再生成部73とが備えられている。 【0136】 障害物登録部72は、図27に示すように、障害物検知部110にて検知された障害物V3を、形状特定部58にて特定された走行領域Sに登録している。図27では、図中左側の走行領域Sの境界部S1において障害物V3が検知された状態を示している。 ・・・(中略)・・・。 【0138】 形状特定部58は、障害物登録部72にて障害物V3が登録されると、図27の一点鎖線にて示すように、特定済みの走行領域Sの形状を、登録された障害物V3に応じて補正して、走行領域Sの形状を再特定している。形状特定部58は、登録された障害物V3に応じて内側に突出する形状に走行領域Sの形状を再特定している。形状特定部58にて再特定された走行領域Sの形状を含む走行領域は、既に記憶されている走行領域を更新する状態で端末記憶部54に記憶されている。 【0139】 走行経路再生成部73は、形状特定部58にて走行領域Sの形状が再特定されると、図27に示すように、障害物登録部72にて登録された障害物V3に応じて、一点鎖線にて示すように、目標走行経路Pを再生成している。障害物V3の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状が内側に突出する形状となっているので、走行経路再生成部73は、周回経路P3の一部分が、走行領域Sの形状に応じて内側に湾曲する形状に再生成している。 【0140】 走行経路再生成部73にて目標走行経路Pが再生成されると、その後、車載電子制御ユニット18にて自動走行制御を行う場合には、再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させることになる。このように、自動走行制御を行うことで、障害物V3を検知すると、その後は、障害物V3に応じて再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる。 【0141】 図27では、走行領域Sの境界部S1に障害物V3を検知した場合を例示したが、車載電子制御ユニット18による自動走行制御中には、ライダーセンサ101,102を用いて障害物を検知しているので、走行領域S内のどこで障害物を検知しても、図27と同様に、障害物登録部72にて障害物の登録を行うことができる。例えば、障害物登録部72にて登録された障害物が走行領域Sの中央部等、走行領域Sの境界部S1とは異なる位置であると、形状特定部58による走行領域Sの形状の再特定は行わず、走行経路再生成部73による目標走行経路Pの再生成を行う。」 (イ)【図27】の図示 「 [図:0001438902000006.jpg] 」 (2)記載された発明 上記(1)より、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が、記載されていると認められる。 なお、当審において分説を付し、各分説が何に関する構成であるかを括弧書きで付した。また各構成の後に、認定の根拠とした段落番号等を括弧書きで付した。 <引用発明> a)(基本構成について) 自動走行ユニット2を備えた、作業車両としてのトラクタ1を、圃場の走行領域Sに設定された自動走行用の目標走行経路Pに沿って、キャビン10にユーザ等が搭乗せずに、または、キャビン10にユーザ等が搭乗した状態でトラクタ1を自動走行させる方法であって、(【0015】、【0016】、【0023】、【0039】、【0111】) b)(検知について-1) トラクタ1の障害物検知部110は、ライダーセンサ101,102及びソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理をリアルタイムで繰り返し行い、(【0041】、【0042】) c)(検知について-2) 前ライダーセンサ101の左右測定範囲C1は、走行機体7の横幅方向において、トラクタ1の横幅、及び、作業装置12の横幅よりも大きな範囲に設定されており、(【0071】) d)(検知について-3) 右側のソナーユニット103と左側のソナーユニット104は、左右の測定範囲Nにて障害物の存否を検知しており、(【0087】、【0089】) e)(衝突回避制御について-1) 衝突回避制御において、トラクタ1が前進走行している場合に、前ライダーセンサ101により、トラクタ1に対して、第1検知範囲J1、第2検知範囲J2、第3検知範囲J3がその順に近くなる第1検知範囲J1内で障害物が検知された場合には、第1検知範囲J1内に障害物が存在することをユーザ等に報知し、そのままトラクタ1の走行が継続されて、障害物の検知範囲が第1検知範囲J1から第2検知範囲J2に近づくと、報知制御に加えて減速制御を行うことで、トラクタ1の車速を減速させておき、トラクタ1を減速させても障害物の検知範囲が第2検知範囲J2から第3検知範囲J3に近づくと、報知制御に加えて停止制御を行うことで、トラクタ1を停止させ、(【0090】、【0093】、【0094】、【0099】) f)(衝突回避制御について-2) 検知範囲J内で障害物が検知されても、障害物が第1検知範囲J1から外れた場合には、報知制御を終了し、障害物が第2検知範囲J2から外れた場合には、報知制御を終了するとともに、トラクタ1の車速を設定車速まで増速させ、(【0100】) g)(衝突回避制御について-3) 左右両側のソナーユニット103,104が障害物を検知した場合には、報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させ、(【0101】、【0102】) h)(目標走行経路の生成について) 走行領域Sの形状を特定し、目標走行経路Pを生成する際には、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させながら、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1までの距離を3次元にて検出し、圃場の境界部S1の畔に基づいて走行領域Sの形状を特定し、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分けして、複数の作業経路P1と連結経路P2、及び、外周領域R2にてトラクタ1を周回走行させながら所定の作業を行うための周回経路P3を設定し、(【0105】、【0107】、【0110】、【0111】、【0114】、【0119】、【0121】) i)(回避すべき障害物がある場合の経路の生成について) 走行領域Sの境界部S1に回避すべき障害物である畔崩れV2等が存在している場合には、ユーザ等がトラクタ1を運転して走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1に周回走行させるときに、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1、及び、畔崩れV2までの距離を3次元にて検出し、畔崩れV2の位置及び形状に応じて内側に突出するように走行領域Sの形状を特定するとともに、周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に生成し、(【0122】、【0124】、【0125】、【0130】、【0133】) j)(経路の再生成について) 畔崩れV2等の障害物については、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行った後に発生する場合もあることから、トラクタ1を自動走行させている場合に障害物検知処理を行い、走行領域Sの境界部S1において障害物V3が検知されると、障害物V3の位置及び形状に応じて、周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成し、その後自動走行制御を行う場合には、再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる、(【0134】、【0139】、【0140】) k)(結び) トラクタ1を自動走行させる方法。(【0039】) 2 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明と引用発明とについて、対比・判断する。 (1)構成Aについて ア 引用発明において、基本構成である構成aで、「自動走行ユニット2を備えた、作業車両としてのトラクタ1を、圃場の走行領域Sに設定された自動走行用の目標走行経路Pに沿って、キャビン10にユーザ等が搭乗せずに、または、キャビン10にユーザ等が搭乗した状態でトラクタ1を自動走行させる」ことは、本願発明において、「圃場に設定された目標経路に従って作業車両を自動走行させる」構成Aに、相当する。 イ また、引用発明において、経路の再生成を伴う構成jで、「目標走行経路Pの生成を行った後に・・・トラクタ1を自動走行させている」ことは、構成aと同様の自動走行をさせていることが明らかであるから、当該構成jにおける「自動走行」もまた、本願発明において、「圃場に設定された目標経路に従って作業車両を自動走行させる」構成Aに、相当する。 ウ したがって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。 (2)構成Bについて ア 引用発明において、目標経路の生成に関する構成hで生成される、「圃場の境界部S1の畔に基づいて走行領域Sの形状を特定し、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分けして」生成される「目標走行経路P」のうち、「外周領域R2にてトラクタ1を周回走行させながら所定の作業を行うための周回経路P3」は、本願発明の構成Bにおける、「前記圃場の外周領域の前記目標経路」に、相当する。 イ 引用発明において、経路の再生成に関する構成jで、「畔崩れV2等の障害物」として「走行領域Sの境界部S1において」検知する「障害物V3」は、本願発明の構成Bにおける、「前記圃場の外周に位置する障害物」に、相当する。 ウ 引用発明において、経路の再生成に関する構成jで、「畔崩れV2等の障害物について・・・、目標走行経路Pの生成を行った後に・・・、トラクタ1を自動走行させている場合に障害物検知処理を行い、走行領域Sの境界部S1において障害物V3が検知される」ことは、「目標経路P」が含む「外周領域R2」の「周回経路P3」を自動走行させている時にも、同様の検知を行っていることが明らかであることを踏まえると、本願発明において、「前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に前記圃場の外周に位置する障害物を検出する」構成Bに、相当する。 エ したがって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。 (3)構成Cについて ア 引用発明において、上記(2)ウで指摘したように、経路の再生成に関する構成jで、「目標経路P」が含む「外周領域R2」の「周回経路P3」を自動走行させている時に、「走行領域Sの境界部S1」の「障害物V3」として「畔崩れV2等」が検知されることは、構成iで「走行領域Sの境界部S1」の「畔崩れV2等」が「回避すべき障害物」とされていることを踏まえると、本願発明の構成Cにおいて、「前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に検出された前記障害物が回避対象物である場合」に、相当する。 イ 引用発明において、経路の再生成に関する構成jで、「障害物V3の位置及び形状に応じて、周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成し、その後自動走行制御を行う場合には、再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる」ことは、本願発明の構成Cにおいて、「前記作業車両を前記目標経路よりも前記圃場の内側の回避経路を自動走行させる」ことに、相当する。 ウ 引用発明において、衝突回避制御に関する構成e~gで、「トラクタ1」を「停止」させるのは、「前ライダーセンサ101」により遠方の「第1検知範囲J1内」で検知された障害物について、「第2検知範囲J2」までの「報知」と「減速」をさせても、当該障害物が最もトラクタ1に近い「第3検知範囲J3」まで入った場合のみである。 そして、障害物が検知されても、「第2検知範囲J2」までで障害物が検知範囲から外れた場合には、「報知制御を終了するとともに、トラクタ1の車速を設定車速まで増速させ」るから、検知した障害物が「トラクタ1の車速を減速させて」いる間に「第3検知範囲J3」に入らないものとなる場合には、トラクタ1は停止されず、「自動走行」を継続していることが明らかである。 また、「左右両側のソナーユニット103,104が障害物を検知した場合には、報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させ」ているのみであるから、右側のソナーユニット103または左側のソナーユニット104が障害物を検知した場合にも、トラクタ1は停止されず、「自動走行」を継続していることが明らかである。 そして、引用発明において、経路の再生成に関する構成jでの「畔崩れV2」の検知について、トラクタの停止が必須となる「前ライダーセンサ101」の「第3検知範囲J3」以外では検知できないという事情はない。検知に関する構成b~cのとおり、「障害物検知処理をリアルタイムで繰り返し行」うこと、「右側のソナーユニット103と左側のソナーユニット104は、左右の測定範囲Nにて障害物の存否を検知して」いること、及び、衝突回避制御に関する構成eのとおり、「前ライダーセンサ101」が「トラクタ1に対して、第1検知範囲J1、第2検知範囲J2、第3検知範囲J3がその順に近くなる」検知範囲を有することから、「畔崩れV2」の検知が「第3検知範囲J3」のみで行われるのではなく、「前ライダーセンサ101」であれば「第3検知範囲J3」より遠方の、「第1検知範囲J1」や「第2検知範囲J2」の時点から検知が行われることは、明らかである。 さらに、圃場を作業走行するトラクタの速度について、通常は低速であることが技術常識であることを踏まえると、引用発明において、経路の再生成に関する構成jで、自動走行中に「畔崩れV2」を検知した際に「周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成」する処理は、低速である作業走行速度、及び作業走行速度からさらに減速をした速度の状態を含む、「自動走行」の継続中に、通常は停止を必須とすることなく行われ、また引用発明において「再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる」処理も、通常は「トラクタ1」を停止させることなく行われることが、明らかである。 したがって、引用発明は、本願発明の構成Cにおいて、「前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に検出された前記障害物が回避対象物である場合」に「前記作業車両を前記目標経路よりも前記圃場の内側の回避経路を自動走行させる」処理について、「自動走行を継続して」行うことに相当する構成を、実質的に有することが明らかである。 エ よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。 (4)構成Dについて 引用発明において、結びの構成kで「トラクタ1を自動走行させる方法」であることは、本願発明において、「自動走行方法」である構成Dに、相当する。 (5)小括 ア 新規性欠如について 上記(1)~(4)のとおり、本願発明と引用発明とは、全ての点で一致し、両者の間に相違点はない。 したがって、本願発明は、引用発明であり、特許法29条1項3号に該当する。 イ 進歩性欠如について また、引用発明において、経路の再生成に関する構成jで、「周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成し、・・・再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる」前に、仮に「トラクタ1」を一度停止させ、本願発明の構成Cにおける「自動走行を継続して」を充足しない場合があったとしても、上記(3)ウで示したとおり、引用発明において、「畔崩れV2」を検知した際に「周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成」する処理を行ううえで、「トラクタ1」を停止させる必要はない。 したがって、引用発明において、「トラクタ1」を不要に停止させることなく、自動走行を継続しながら「周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成し、・・・再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる」ものとし、もって本願発明の構成Cを充足するものとすることは、動機付けがあったものであり、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 そして、そうしたことにより、引用発明から予測されない格別顕著な効果が生じるとは、認められない。 よって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明であり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 3 請求人の主張について ア 請求人の主張 (ア)請求人は、令和6年11月15日提出の意見書において、引用文献では、自動走行中に障害物を検知した場合には、段落【0095】-【0097】に記載される報知、減速、停止の衝突回避制御が実行されるだけであるから、その場で回避経路を生成したり、自動走行を継続したまま回避走行させたりすることはできない旨を主張している。(特には同意見書の第3頁下から2行~第4頁第12行参照) (イ)また、請求人は審判請求書において、引用文献ではトラクタ1を自動走行させている最中に障害物V3を検知した場合には、その時点で報知、減速、停止などの衝突回避制御が実行されることになり、ユーザが手動走行によって障害物V3を回避したり、自動走行の再開操作を行うことになるから、本願発明の構成Cにおける「自動走行を継続して」という構成とすることはできない旨を主張している。(特には審判請求書の第7頁第6行~同頁第17行参照) (ウ)また請求人は審判請求書において、引用文献において、トラクタ1が内周領域R1において自動走行していると仮定した場合には、その後で外周領域R2を自動走行する際には、再生成した目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させることが可能になるとしても、トラクタ1が外周領域R2を自動走行しているときに障害物V3を検知した場合には、自動走行を停止して衝突回避制御を行うから、自動走行を継続したまま回避経路を自動走行することはできず、本願発明の構成Cにおける「前記作業車両が前記圃場の外周領域の前記目標経路を自動走行中に検出された前記障害物が回避対象物である場合に、自動走行を継続して前記作業車両を前記目標経路よりも前記圃場の内側の回避経路を自動走行させる」構成とすることは、引用文献には記載も示唆もされていない旨を主張している。(特には審判請求書の第7頁第18行~第8頁第12行参照) イ 上記請求人の主張についての検討 上記請求人の主張について、検討する。 (ア)上記ア(ア)~(ウ)の請求人の主張は、いずれも、引用文献において障害物が検知されると必ず停止処理が行われることを前提とした主張である。 しかしながら、上記2(3)ウで説示したとおり、引用発明において、衝突回避制御として「トラクタ1」を「停止」させるのは、「前ライダーセンサ101」により遠方の「第1検知範囲J1内」で検知された障害物について、「第2検知範囲J2」までの「報知」と「減速」をさせても、当該障害物が最も「トラクタ1」に近い「第3検知範囲J3」まで入った場合のみである。そして引用文献において、それ以外の場合には、障害物が検知されても「トラクタ1」は停止されず、「減速」や「トラクタ1の車速を設定車速まで増速させ」る処理も含めた、自動走行を継続していることが明らかである。 したがって、引用文献において、障害物が検知されると、その時点で必ず報知、減速、停止という衝突回避制御が実行され、自動走行は継続しない旨をいう上記請求人のア(ア)~(ウ)の主張は、前提において誤っており、妥当なものとして採用することができない。 (イ)上記ア(ウ)で請求人が言及する、トラクタ1が外周領域R2を自動走行しているときに着目しても、上記2(3)ア及びウで説示したとおり、引用発明において、「目標経路P」が含む「外周領域R2」の「周回経路P3」を自動走行させている時に、「畔崩れV2」を検知して「周回経路P3の一部分を内側に湾曲する形状に再生成」するうえで、減速制御を経るのみでは足りず、必ず「第3検知範囲J3」まで入って「トラクタ1」を停止させる必要はないことが、明らかである。 したがって、引用発明において、外周の経路の自動走行中に障害物を発見した際に、経路の再生成及び再生成した回避経路の自動走行は、低速の作業走行速度、及び作業走行速度からさらに減速をした状態を含む、自動走行の継続中に、通常は行われているといえる。また、仮にそうでない場合があるとしても、不要な停止をすることなく自動走行を継続しながら経路の再生成等を行うことは、引用発明において動機付けがあることであり、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。 したがって、上記ア(ウ)の請求人の主張についても、妥当なものとして採用することができない。 (ウ)よって、上記ア(ア)~(ウ)の請求人の主張について検討しても、上記2の対比・判断を変更すべき事情は見いだせない。 4 まとめ 上記1~3より、本願発明は、原査定の理由のとおり、引用文献に記載された発明であり、また引用文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当する。 また、本願発明は、引用文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-003111

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